説明

回転スプレー装置

【課題】構造が堅固で、製造が容易で、回転が安定し、電力により駆動させる必要がない回転スプレー装置を提供する。
【解決手段】回転スプレー装置は、流体輸送管体2、回転駆動機構3、流出通路32及び輸送管体4を備える。流体輸送管体2は、一端に流体入口が設けられ、他端が噴射口を有し、複数の貫通孔23が管壁に設けられる。回転駆動機構3は、流体輸送管体2に結合され、貫通孔23の流体出力方向に対して斜めに形成された流体押圧壁31を有する。流出通路は、流体押圧壁31の端部に形成され、導流空間中にある流体が貫通孔23から流出して流体押圧壁31に当る。輸送管体4は、流体収納機構に接続された収納流体入口を一端に有し、他端が流体輸送管体2中に貫設されて流体輸送管体2の噴射口まで延伸されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレーガン装置に関し、特に、回転駆動機構により駆動する回転スプレー装置(rotary spraying device)に関する。
【背景技術】
【0002】
各種スプレーガンは、物体表面の埃及び汚れを洗浄したり、水を噴射させたり、ペンキを吹き付けたり、その他様々な用途で用いる。スプレーガンは、高圧気体を噴射させて埃及び汚れを洗浄したり、水又は噴霧液が混合された高圧気体により液体を噴射したりペンキを吹き付けたりすることができる。
【0003】
従来のスプレーガンの散布管は、均一に噴射することができるように湾曲状に製作され、スプレーガンの散布管上に回転機構が結合されている。散布管は、回転機構により回転され、散布管を回転させることにより、高圧流体と噴霧液との混合流体を各方向へ均一に噴射させることができる。例えば、回転機構には、数個のファンブレードを有するファンが配置され、スプレーガンに導入した高圧流体によりファンブレードを駆動させて回転機構を回転させたり、回転機構にモータを用い、外部電源を回転機構に供給して散布管を回転させたりしている。
【0004】
しかし、ファンブレードの形状は複雑である上に構造強度が低いため、製造及び小型化が困難である上、損壊して変形し易い。また、モータには電力を供給しなければならず、生産コスト及び電力にかかる費用が高かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスプレーガンは、ファン又はモータにより散布管を回転させ、製造が困難である上、コストが多くかかった。
本発明の目的は、構造が堅固で、製造が容易で、回転が安定し、電力により駆動させる必要がない回転スプレー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、流体輸送管体、回転駆動機構、流出通路及び輸送管体を備える回転スプレー装置であって、前記流体輸送管体は、一端に流体入口が設けられ、他端が噴射口を有し、複数の貫通孔が管壁に設けられ、前記回転駆動機構は、前記流体輸送管体に結合され、前記貫通孔の流体出力方向に対して斜めに形成された流体押圧壁を有し、前記流出通路は、前記流体押圧壁の端部に形成され、導流空間中にある流体が前記貫通孔から流出して前記流体押圧壁に当り、前記輸送管体は、流体収納機構に接続された収納流体入口を一端に有し、他端が前記流体輸送管体中に貫設されて前記流体輸送管体の前記噴射口まで延伸され、前記流体入口から前記流体輸送管体に流入する流体の一部が前記貫通孔を介して前記回転駆動機構中に流入し、流体が当って前記流体押圧壁に力が加わると前記回転駆動機構が回転し、これにより前記流体輸送管体が回転しながら噴射することを特徴とする回転スプレー装置が提供される。
【0007】
前記回転駆動機構の前記流体押圧壁は、インボリュート曲線方向で延伸して形成されることが好ましい。
【0008】
前記回転駆動機構は、前記流体輸送管体に向かって突設された複数の固定リブを有することが好ましい。
【0009】
前記回転駆動機構は、前固定層と、後固定層と、前記前固定層と前記後固定層との間に設けられた流路構造層と、を有することが好ましい。
【0010】
前記前固定層及び前記後固定層は硬質材料からなり、前記流路構造層は塑性材料からなることが好ましい。
【0011】
前記流体輸送管体中には、流入した流体を分流し、前記流体の一部を前記流体輸送管体の前記噴射口に向かって流し、前記流体の残部を前記流体輸送管体の前記貫通孔に向かって流す分流部材が配置されていることが好ましい。
【0012】
前記輸送管体中には流量調節機構が配置され、前記流量調節機構は隔水壁及び止水杆体を有し、前記隔水壁には規制孔が設けられ、前記止水杆体の端部には、前記隔水壁の前記規制孔に移動可能に貫設させることが可能なテーパ部が設けられていることが好ましい。
【0013】
第1の調節部材及び第2の調節部材を有する回転速度調節機構をさらに備え、前記第1の調節部材は、前記回転駆動機構の前記流出通路に接続され、複数の第1の開口部が形成された出力面を有し、前記第2の調節部材は、前記第1の調節部材の前記出力面に回転可能に結合する入力面を有し、前記入力面上には、前記第1の開口部に対応した第2の開口部が複数設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の回転スプレー装置は、電力供給がなくても流体輸送管体を回転させることができ、回転駆動機構の内部に流体押圧壁、流出通路、導流空間などが形成されているため、構造が堅固であり、小型化が容易である上、回転駆動機構が安定的に回転し、回転速度が均一で変動し難いため、流体を均一に散布させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の一実施形態による回転スプレー装置を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態による回転スプレー装置を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態による回転スプレー装置を示す部分拡大図である。
【図4】図4は本発明の一実施形態による回転駆動機構を示す斜視図である。
【図5】図5は本発明の一実施形態による回転駆動機構を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の一実施形態による流量調節機構を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態による回転速度調節機構を示す分解斜視図である。
【図8】図8は本発明の一実施形態による回転速度調節機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1〜図3を参照する。図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態による回転スプレー装置100は本体1を含む。本体1は、一端に制御ハンドル11が設けられ、下方に流体収納機構12が設けられている。
【0018】
本体1内には、流体輸送管体2が配置されている。この流体輸送管体2は、軸受20により本体1に結合され、回転スプレー装置100内において軸方向で回転可能である。流体輸送管体2の端部は制御ハンドル11中まで延伸される。流体輸送管体2は、一端に流体F1の供給に用いる流体入口21が設けられ、他端が本体1の他方の側部に延伸され、噴射口22を有する。この構成により、流体入口21から供給された流体F1が噴射口22から噴射される。
【0019】
本体1中には回転駆動機構3が配置されている。この回転駆動機構3は、流体輸送管体2に結合され、流体輸送管体2を回転させながら噴射させる。
【0020】
本体1中には、輸送管体4が配置されている。この輸送管体4は、流体収納機構12に接続され、収納流体入口41を一端に有し、流体輸送管体2中に貫設されて流体輸送管体2の噴射口22まで延伸された収納流体出口42が他端に設けられている。流体輸送管体2の噴射口22から流体F1が噴射されるとき、管口に生じたベンチュリ効果により、流体収納機構12中の収納流体F2が、輸送管体4を介して外部へ噴射される。
【0021】
図4及び図5を参照する。図4及び図5に示すように、本発明の一実施形態による回転駆動機構3は、前固定層3aと、後固定層3bと、前固定層3aと後固定層3bとの間に設けられた流路構造層3cと、を含む。前固定層3a及び後固定層3bは、構造が簡素であり、金属、アクリルなどの硬質材料からなる。流路構造層3cは、構造が複雑であり、プラスチック、ゴムなどの塑性材料からなる。この構成により、回転駆動機構3を便利に製造することができる。しかし、本発明はこの態様だけに限定されるわけではなく、例えば、流路構造層3cを硬質材料で製作してもよい。
【0022】
回転駆動機構3は、流体輸送管体2に結合される。流体輸送管体2の管壁には、回転駆動機構3に連通する複数の貫通孔23が設けられている。流体輸送管体2中には、管体である分流部材24が配置されている。分流部材24は、流体輸送管体2中に貫設され、流体輸送管体2を2つの領域に画成する。この構成により、流体F1が分流部材24を通ると分流され、流体F1の一部が分流部材24の内側領域から流体輸送管体2の噴射口22に向かって流れ、流体F1の残部が分流部材24の外側領域から流体輸送管体2の貫通孔23に向かって流れる。また流体F1の一部は貫通孔23から回転駆動機構3中に流入する。
【0023】
回転駆動機構3は、貫通孔23の流体出力方向に対して斜めに形成された流体押圧壁31を有する。流体押圧壁31の端部には、流出通路32が設けられている。貫通孔23から回転駆動機構3中に供給された流体F1は、導流空間33を通って流体押圧壁31に当ってから、流出通路32から回転駆動機構3の外側に流出する。この過程において、貫通孔23からの流体F1が流体押圧壁31に当ると、回転駆動機構3が回転する。さらに、流体輸送管体2は、回転駆動機構3により同様に回転される。
【0024】
回転駆動機構3の回転方向は、流体押圧壁31の傾斜角度と関係がある。本実施形態の流体押圧壁31が図5に示すようにインボリュート曲線方向で延伸して形成されている場合、回転駆動機構3は時計回りで回転する。
【0025】
本実施形態の流体押圧壁31は4つであるが、本発明はこの態様だけに限定されるわけではなく、例えば1つにして流体押圧壁31の前端と後端との間に流出通路32を形成してもよい。
【0026】
回転駆動機構3は、流体輸送管体2に向かって突設された複数の固定リブ34a,34bを有するため、流体輸送管体2を回転駆動機構3の回転中心に位置決めするとともに、回転するときのヨーイング誤差(yaw error)を減らすことができる。
【0027】
本発明の構造は、電力供給が無くても流体輸送管体2を回転させることができる。回転駆動機構3は、内部に流体押圧壁31、流出通路32、導流空間33などが形成されているため、回転駆動機構3の構造が堅固であり、小型化が容易である。また回転駆動機構3は、回転が非常に安定し、回転速度が均一で変動が小さい。
【0028】
図6を参照する。図6に示すように、本発明の一実施形態による回転スプレー装置は、輸送管体4から供給された収納流体F2の流量を調整するために、輸送管体4中に流量調節機構5が配置されている。この流量調節機構5は、隔水壁51、止水杆体52及び調整部材53を含む。隔水壁51には、輸送管体4の収納流体F2を通すために用いる規制孔511が設けられている。止水杆体52は、隔水壁51の規制孔511中に変位可能に貫設されたテーパ部521を一端に有し、他端が本体1の外側まで延伸され、調整部材53に結合されている(図2参照)。また調整部材53を用いることにより、隔水壁51の規制孔511中に貫設させた止水杆体52のテーパ部521の深さを変え、規制孔511とテーパ部521との間に形成される隙間を調整し、輸送管体4を流れる収納流体F2の流量を調節することができる。
【0029】
回転スプレー装置100には、流体輸送管体2及び回転駆動機構3の回転速度を調節するために用いる回転速度調節機構6が配置されている。この回転速度調節機構6は、第1の調節部材61及び第2の調節部材62を含む。第1の調節部材61は、回転駆動機構3の流出通路32に接続されている。第1の調節部材61は、複数の第1の開口部612が形成された出力面611を有する。この構成により、回転駆動機構3から流出した流体F1が第1の調節部材61中に入った後、第1の開口部612から排出される。第2の調節部材62は、第1の開口部612に対応した複数の第2の開口部622が形成された入力面621を有する。第2の調節部材62の入力面621は、第1の調節部材61の出力面611と回転可能に結合されている。この構成により、第1の調節部材61と第2の調節部材62とが相対的に回転して変位し、第1の開口部612と第2の開口部622との間の連通空隙の大きさを変えることができる。これにより回転駆動機構3から流出する流体F1の流量を調節し、回転駆動機構3の回転速度を調整する。
【0030】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 流体輸送管体
3 回転駆動機構
3a 前固定層
3b 後固定層
3c 流路構造層
4 輸送管体
5 流量調節機構
6 回転速度調節機構
11 制御ハンドル
12 流体収納機構
20 軸受
21 流体入口
22 噴射口
23 貫通孔
24 分流部材
31 流体押圧壁
32 流出通路
33 導流空間
34a 固定リブ
34b 固定リブ
41 収納流体入口
42 収納流体出口
51 隔水壁
52 止水杆体
53 調整部材
61 第1の調節部材
62 第2の調節部材
100 回転スプレー装置
511 規制孔
521 テーパ部
611 出力面
612 第1の開口部
621 入力面
622 第2の開口部
F1 流体
F2 収納流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体輸送管体、回転駆動機構、流出通路及び輸送管体を備える回転スプレー装置であって、
前記流体輸送管体は、一端に流体入口が設けられ、他端が噴射口を有し、複数の貫通孔が管壁に設けられ、
前記回転駆動機構は、前記流体輸送管体に結合され、前記貫通孔の流体出力方向に対して斜めに形成された流体押圧壁を有し、
前記流出通路は、前記流体押圧壁の端部に形成され、導流空間中にある流体が前記貫通孔から流出して前記流体押圧壁に当り、
前記輸送管体は、流体収納機構に接続された収納流体入口を一端に有し、他端が前記流体輸送管体中に貫設されて前記流体輸送管体の前記噴射口まで延伸され、
前記流体入口から前記流体輸送管体に流入する流体の一部が前記貫通孔を介して前記回転駆動機構中に流入し、流体が当って前記流体押圧壁に力が加わると前記回転駆動機構が回転し、これにより前記流体輸送管体が回転しながら噴射することを特徴とする回転スプレー装置。
【請求項2】
前記回転駆動機構の前記流体押圧壁は、インボリュート曲線方向で延伸して形成されることを特徴とする請求項1に記載の回転スプレー装置。
【請求項3】
前記回転駆動機構は、前記流体輸送管体に向かって突設された複数の固定リブを有することを特徴とする請求項1に記載の回転スプレー装置。
【請求項4】
前記回転駆動機構は、前固定層と、後固定層と、前記前固定層と前記後固定層との間に設けられた流路構造層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の回転スプレー装置。
【請求項5】
前記前固定層及び前記後固定層は硬質材料からなり、
前記流路構造層は塑性材料からなることを特徴とする請求項4に記載の回転スプレー装置。
【請求項6】
前記流体輸送管体中には、流入した流体を分流し、前記流体の一部を前記流体輸送管体の前記噴射口に向かって流し、前記流体の残部を前記流体輸送管体の前記貫通孔に向かって流す分流部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転スプレー装置。
【請求項7】
前記輸送管体中には流量調節機構が配置され、
前記流量調節機構は隔水壁及び止水杆体を有し、
前記隔水壁には規制孔が設けられ、
前記止水杆体の端部には、前記隔水壁の前記規制孔に移動可能に貫設させることが可能なテーパ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転スプレー装置。
【請求項8】
第1の調節部材及び第2の調節部材を有する回転速度調節機構をさらに備え、
前記第1の調節部材は、前記回転駆動機構の前記流出通路に接続され、複数の第1の開口部が形成された出力面を有し、
前記第2の調節部材は、前記第1の調節部材の前記出力面に回転可能に結合する入力面を有し、前記入力面上には、前記第1の開口部に対応した第2の開口部が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転スプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−236185(P2012−236185A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213931(P2011−213931)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(511233692)錮徳工業有限公司 (2)
【氏名又は名称原語表記】STRONG FORTRESS TOOL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】12F.−6, No.75, Sec. 1, Xintai 5th Rd., Xizhi Dist., New Taipei City, Taiwan
【Fターム(参考)】