説明

回転ダンパ及びこの回転ダンパを具備した車輌用シート

【課題】応答性に優れた一方向にのみ制動作用を発揮する回転ダンパ及びこの回転ダンパを具備した車輌用シートを提供する。
【解決手段】流通路11が形成された隔壁部12を内部に備えたケーシング13と、ケーシングの内部に回転自在に配されているとともに、ケーシングと協働してケーシングの内部の隔壁部間の各室をそれぞれ二室R1、R2に区画する一対の回転翼14、15を備えた回転体16と、ケーシングの内部に収容される粘性流体Lと、回転体の一方向への回転移動に対してのみ回転体の回転移動方向に直交する上下方向に移動可能であって、粘性流体の二室間への流動を阻止するように一対の回転翼に装着された分割シール片63a、63bからなるリップシール17と、ケーシングの開口部31を閉塞する蓋体18とからなる回転ダンパ10等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転動作する制御対象物、例えば車輌用シートに対して所定の制動力を与えて、その回転動作を緩衝する回転ダンパ及びこの回転ダンパを具備した車輌用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車輌用シートとしては、図39に示すように、シートクッション(座側)1とシートバック(背凭れ側)2とをヒンジ機構3で連結して、シートバック2を前後方向の所定の角度位置で傾動可能にし、所望の傾動角度でシートバック2を固定できるようにした、主にフロントシート4側に設けられたリクライニング装置や、シートクッション1Aをその前下部において車体フロア5に固定されたヒンジ機構6に連結し、該ヒンジ機構6を支点にしてシートクッション1Aを鎖線1A1で示すように略90°起立させ、更に鎖線1A2で示すように略180°反転させるとともに、車体フロア5に固定されたヒンジ機構7に連結されたシートバック2Aを略90°起立させ、あるいは略180°反転したシートクッション1Aの空間位置に鎖線2A1で示すように前方に倒すことにより荷室空間を拡張できるようにした、主にリアシート8側に設けられたダブルフォールダウンシートがある。
【0003】
ところで、起立位置にあるシートバック2又は2Aの固定を解除すると、シートバック2及び2Aは、ヒンジ機構3及び6に配されたリターンばね(渦巻きばね)の付勢力により前方に急速に回転傾動する。例えば、シートクッション1又は1Aに幼児を座らせたままシートバック2又は2Aの固定解除を行なったときには、体を挟むなど幼児に大きなダメージを与えることになり、またシートクッション1又は1Aに置かれた物品等に対してもそれを損傷させる虞がある。
【0004】
上記の不具合を解決するべく、従来、車輌用シートのシートバック等の回転動作する制御対象物に対して、所定の制動力を与えてその回転動作を緩慢なものとさせ、制御対象物の急速な回転傾動を阻止するように作用する回転ダンパ(ロータリーダンパ)を前記ヒンジ機構に取り付けたもの、あるいはオイルダンパ又はエアダンパをシートクッションとシートバックとの間に取り付けたものなどが提案されている(例えば、特許文献6及び7参照)。
【0005】
ヒンジ機構に取り付けられる回転ダンパは、粘性流体が収容された流体室(ケーシング)内に配されるベーン(回転翼)が該流体室内を回転することにより、粘性流体の流動抵抗力を発生させるものである。このような回転ダンパとしては、ベーンが一方向にのみ制動力を発揮し得るように、逆止弁を有して構成される一方向性の回転ダンパ(特許文献1乃至5参照)と、ベーンの回転方向を問わずに制動力を発揮し得るように、逆止弁を設けないで構成される双方向性の回転ダンパとがある。
【0006】
この種の回転ダンパは、ベーンが回転することにより押圧される粘性流体が、ベーンと流体室の内周壁との僅かな隙間を通して流動する際に生じる流動抵抗力により、制御対象物の回転動作を緩慢なものとし、当該制御対象物の固定部材への衝撃的な当接を防止するものである。
【0007】
したがって、回転ダンパが発揮する制動力の大きさは、粘性流体が流動する際に通過する隙間の大きさを可変とすることによって変化させることができる。すなわち、粘性流体が流動する隙間を大きくすれば、粘性流体の流動抵抗は小さくなるので、制動力を小さくでき、また粘性流体が流動する隙間を小さくすれば、粘性流体の流動抵抗は大きくなるので、制動力を大きくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−242318号公報
【特許文献2】特開平4−282039号公報
【特許文献3】特開平5−52228号公報
【特許文献4】特開平5−263847号公報
【特許文献5】特開平7−301272号公報
【特許文献6】実開平5−34940号公報
【特許文献7】実開平7−265148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示されたダンパでは、ロータ本体と翼片と制御弁とが比較的大きくずれないと、粘性流体が流通する開閉通路が開閉されないという問題がある。また、特許文献2乃至5に開示されたダンパは、ロータに該ロータから放射状に延びた相対向する一対のベーンを形成し、制御弁を断面コ字状に形成し、制御弁の移動量を大きくすることにより一方向ダンパを形成しているもので、制動状態から非制動状態へ、あるいは非制動状態から制動状態へ反転するときの制御弁のベーンに対する移動距離が長くなり、応答性の悪いものであった。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、応答性に優れた一方向にのみ制動作用を発揮する回転ダンパ及びこの回転ダンパを具備した車輌用シートを提供することにある。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の回転ダンパは、流通路が形成された隔壁部を内部に備えたケーシングと、該ケーシングの内部に回転自在に配されているとともに、前記ケーシングと協働して前記ケーシングの内部の隔壁部間の各室をそれぞれ二室に区画する一対の回転翼を備えた回転体と、該ケーシングの内部に収容される粘性流体と、前記回転体の一方向への回転移動に対してのみ該回転体の回転移動方向に直交する上下方向に移動可能であって、該粘性流体の二室間への流動を阻止するように前記一対の回転翼に装着された分割シール片からなるリップシールと、該ケーシングの開口部を閉塞する蓋体とからなることを特徴とする。
【0012】
本発明の回転ダンパによれば、回転体の急速な一方向への回転移動に伴い、一対の回転翼に装着された分割シール片からなるリップシールは、ケーシングの内部に収容された粘性流体の流動抵抗によって該回転体の回転移動方向に直交する上下方向に移動し、リップシールとケーシングの環状底面の上面、蓋体の下面及びケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間に密な接触が行なわれる。これらの間の密な接触により、一対の回転翼によって区画された二室間への粘性流体の流動が阻止され、粘性流体はケーシング内の隔壁部に形成された流通路を通って他方の室内に流入することになる。この流通路を通る際、該回転体の回転移動に対して粘性流体の大きな粘性抵抗力が作用し、回転体の急速な回転移動が阻止され、該回転体は緩やかに回転する。
【0013】
反対に、回転体の他方向への回転移動に伴い、一対の回転翼に装着されたリップシールは、粘性流体の流動抵抗によって上下方向の移動位置から元の状態に移動し、該リップシールとケーシングの環状底部の上面、蓋体の下面及びケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間の密な接触が解除される。これらの間の密な接触が解除される結果、回転翼によって区画された二室間への粘性流体の流動が許容され、回転体は粘性流体の抵抗をほとんど受けることなく速やかに回転する。
【0014】
本発明の回転ダンパにおいて、回転体の外周面に一体に形成された一対の回転翼には、その上下面に該回転翼を長手方向に沿って二分する係合長溝が形成され、二分された回転翼の一方の回転翼の上下面の高さは他方の回転翼の上下面の高さより低く、かつ長手方向の長さは短く形成され、二分された回転翼の端面はそれぞれ円弧状凸面に形成されている。
【0015】
本発明の回転ダンパにおいて、分割シール片からなるリップシールは、略長形状の板状部と該板状部の一方の短辺側の端面に形成された円弧状凹面と該板状部の他方の短辺側の端部に形成された上方に延びる突起部と該突起部と連続して形成された該突起部の高さよりも高さが高い突出部と板状部の長辺側の一方の端部に該突出部と連続して該円弧状凹面の近傍まで延びて形成された該突出部の高さよりも高さの低い突壁部と該突壁部の裏面と板状部の裏面との角部に形成された面取り部と該突起部と突出部の外面に形成された連続する円弧状凸面を備えた第一のシール片と、略長方形状の板状部と該板状部の一方の短辺側の端面に形成された円弧状凹面と該板状部の他方の短辺側の端部に形成された上方に延びる突出部と該突出部と連続して形成された該突出部の高さよりも高さの低い突起部と該板状部の長辺側の一方の端部に該突起部と連続して該円弧状凹面の近傍まで延びて形成された該突起部の高さと同じ高さの突壁部と該突壁部の裏面と板状部の裏面との角部に形成された面取り部と該突出部及び突起部の外面に形成された連続する円弧状凸面を備えた第二のシール片とからなり、該第一のシール片の突出部の端面を第二のシール片の突起部の端面に当接させるとともに、第二のシール片の突出部を第一のシール片の突起部の端面に当接させて組み合わせることにより形成される。
【0016】
第一及び第二のシール片の分割シール片からなるリップシールは、第一のシール片の突出部の端面を第二のシール片の突起部の端面に当接させるとともに、第二のシール片の突出部を第一のシール片の突起部に当接させて組み合わせ、第一及び第二のシール片の突壁部を回転翼に形成された係合長溝に係合させ、第一及び第二のシール片の板状部で二分された回転翼の一方の回転翼の上下面を覆うとともに、組み合わされた第一のシール片の突出部と第二のシール片の突起部及び第二のシール片の突起部と第一のシール片の突出部とで形成される円弧状凹面で回転翼の端面を覆い、第一及び第二のシール片の一方の短辺側の端面の円弧状凹面を回転体の帯状円筒突出部の外周円筒面に当接させて該回転翼に装着される。
【0017】
二分された回転翼の一方の回転翼に装着された分割シール片からなるリップシールにおいて、回転翼の上下面を覆った第一及び第二のシール片の板状部の表面は二分された他方の回転翼の表面と面一であり、第一及び第二のシール片の板状部の長手方向の端面は、該回転翼の長手方向の端面よりも突出している。そして、第一及び第二のシール片には、回転翼の上下方向に沿って移動可能な自由度が与えられている。
【0018】
リップシールは、二分された回転翼の一方の回転翼の上下面を覆う第一及び第二のシール片の板状部の長手方向の端面が回転翼の長手方向の端面より突出して装着されているので、回転体の一方の回転移動に伴いケーシングの内部に収容された粘性流体の流動抵抗により該回転翼に装着された第一及び第二のシール片が回転翼の一方向の回転移動方向に直交する上下方向に移動するように形成されている。そして、回転体の急速な一方向への回転移動に伴って該回転翼に装着されたリップシールの第一及び第二のシール片は、該板状部において粘性流体の流動抵抗を受け、それによって第一及び第二のシール片が回転体の回転移動方向と直交する上下方向に移動した際には、該第一及び第二のシール片の板状部とケーシングの環状底部の上面及び蓋体の下面との間、並びに組み合わされた第一のシール片の突出部と第二のシール片の突起部及び第二のシール片の突起部と第一のシール片の突出部とで形成される円弧状凸面とケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間に密な接触が行なわれる。これらの間の密な接触により、一対の回転翼によって区画された二室間への粘性流体の流動が阻止され、該粘性流体はケーシング内の隔壁部に形成された流通路を通って他方の室内に流入することになる。この流通路を通る際、該回転体の回転移動に対して粘性流体の大きな粘性抵抗力が作用し、回転体の急速な回転移動が阻止され、該回転体は緩やかに回転する。
【0019】
また、反対に回転体の他方向への回転移動に伴って該回転翼に装着されたリップシールの第一及び第二のシール片の板状部が粘性流体の流動抵抗によって回転体の回転移動方向と直交する上下方向の移動位置から元の状態に移動した際には、第一及び第二のシール片の板状部とケーシングの環状底部の上面及び蓋体の下面との間、並びに組み合わされた第一のシール片の突出部と第二のシール片の突起部及び第二のシール片の突起部と第一のシール片の突出部とで形成される円弧状凸面とケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間に密な接触が解除される。その結果、一対の回転翼によって区画された二室間への粘性流体の流動が許容され、回転体は粘性流体の抵抗をほとんど受けることなく速やかに回転する。
【0020】
本発明の回転ダンパを具備した車輌用シートは、シートクッションとシートバックとの幅方向両側の連結部の一方にリクライニング装置が設けられている主としてフロントシートとして使用される車輌用シートであり、シートクッションとシートバックとの幅方向両側の連結部の他方側には、シートバックの前方への傾動時に当該シートバックの急速な傾動速度を制動する回転ダンパが設けられ、当該回転ダンパが上記回転ダンパとなる。
【0021】
また、本発明の回転ダンパを具備した他の車輌用シートは、シートクッションをその前下部において車体フロアに固定されたヒンジ機構に連結し、該ヒンジ機構を支点にしてシートクッションを略90°起立させ、あるいは略180°反転させるとともに、車体フロアに固定されたヒンジ機構に連結されたシートバックを略90°起立させ、あるいは略180°反転したシートクッションの空間位置に倒すことにより荷室空間を拡張できるようにした主にリアシートとして使用されるダブルフォールシートであり、前方へ傾動するシートバックのヒンジ機構に該シートバックの急速な傾動速度を制動する回転ダンパが設けられ、当該回転ダンパが上記回転ダンパとなる。
【0022】
本発明の回転ダンパを具備した車輌用シートによれば、シートバックは、リクライニング装置おけるロック解除によりシートバックの前後方向の傾動が許容され、その所望の角度位置でシートバックをロック保持するように構成されている。そして、起立位置にロック保持されたシートバックに対し、ロックを解除すると、該シートバックは渦巻きばねの付勢力により急速に前方に傾動する。このとき、ケーシングにおいてシートバック側に係合され、回転体においてヒンジ機構の回転枢軸に固定された回転ダンパが作動し、当該シートバックは前方への傾動速度が制動されて急速な傾動が阻止され、該シートバックは速やかに前方へ傾動する。
【0023】
すなわち、シートバック側に係合された回転ダンパのケーシングと、ヒンジ機構の回転枢軸に固定された回転ダンパの回転体との間に相対回転が生じる。シートバックが渦巻きばねの付勢力により前方へ急速に傾動し、ヒンジ機構の回転枢軸に固定された回転ダンパの回転体は回転移動する。この回転体の回転移動により、該回転体に一体に形成された一対の回転翼も回転し、該回転翼に装着されたリップシールは、板状部においてケーシング内に収容された粘性流体の流動抵抗を受け、それによって該回転翼の上下面を覆う第一及び第二のシール片が該回転体の回転移動方向に直交する上下方向に移動し、該第一及び第二のシール片の板状部とケーシングの環状底部の上面及び蓋体の下面との間に、また組み合わされた第一のシール片の突出部と第二のシール片の突起部及び第二のシール片の突起部と第一のシール片の突出部とで形成される円弧状凸面とケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間に密な接触が生じ、回転翼によって区画されたケーシング内の二室間への粘性流体の流動が阻止され、該粘性流体はケーシング内の隔壁部に形成された流通路を流動することになる。この粘性流体が隔壁部の流通路を流動する際に大きな粘性抵抗力が作用し、該回転体の急速な回転移動が阻止される結果、該シートバックの前方への傾動は緩やかに行なわれる。
【0024】
反対に、前方への傾動位置に保持されたシートバックを起立位置に戻す際には、回転翼に装着されたリップシールは、ケーシング内に収容された粘性流体の流動抵抗により第一及び第二のシール片は回転体の回転移動方向に対して直交する上下方向の元の位置に移動し、第一及び第二のシール片の板状部とケーシングの環状底部の上面及び蓋体の下面との間に、また組み合わされた第一のシール片の突出部と第二のシール片の突起部及び第二のシール片の突起部と第一のシール片の突出部とで形成される円弧状凸面とケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間に密な接触が解除され、回転翼によって区画されたケーシング内の二室間への粘性流体の流動が許容される結果、回転体は粘性流体の粘性抵抗をほとんど受けることなくシートバックの速やかな起立位置への復帰が行なわれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、回転体の急速な一方向への回転移動に伴い、一対の回転翼に装着された分割シール片からなるリップシールは、ケーシングの内部に収容された粘性流体の流動抵抗によって該回転体の回転移動方向に直交する上下方向に移動し、リップシールとケーシングの環状底面の上面、蓋体の下面及びケーシングの円筒内壁面の円筒内周面との間に密な接触を生じ、一対の回転翼によって区画された二室間への粘性流体の流動が阻止され、粘性流体はケーシング内の隔壁部に形成された流通路を流動し、回転体の回転移動に対して粘性流体の大きな粘性抵抗力が作用して回転体の急速な回転移動を阻止するという応答性に優れた回転ダンパ及びこの回転ダンパを具備した車輌用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の回転ダンパの一実施の形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示す回転ダンパの平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図1に示す回転ダンパの一部切欠き底面図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【図7】図1に示す回転ダンパにおけるリップシールの移動状態を示す断面図である。
【図8】図1に示す回転ダンパにおけるケーシングの斜視図である。
【図9】図8に示すケーシングの平面図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】図9のE−E線断面図である。
【図12】図8に示すケーシングの底面図である。
【図13】図1に示す回転ダンパにおける回転体の斜視図である。
【図14】図13に示す回転体の平面図である。
【図15】図14のF−F線断面図である。
【図16】図13に示す回転体の正面図である。
【図17】図16に示す回転体の背面図である。
【図18】図16に示す回転体の左側面図である。
【図19】図17に示す回転体の右側面図である。
【図20】図14に示す回転体の底面図である。
【図21】図1に示す回転ダンパにおけるリップシールの第一のシール片を示す斜視図である。
【図22】図21に示すリップシールの第一のシール片の平面図である。
【図23】図22に示すリップシールの第一のシール片の正面図である。
【図24】図22に示すリップシールの第一のシール片の右側面図である。
【図25】図22に示すリップシールの第一のシール片の左側面図である。
【図26】図1に示す回転ダンパにおけるリップシールの第二のシール片を示す斜視図である。
【図27】図26に示すリップシールの第二のシール片の平面図である。
【図28】図27に示すリップシールの第二のシール片の正面図である。
【図29】図27に示すリップシールの第二のシール片の左側面図である。
【図30】図27に示すリップシールの第二のシール片の右側面図である。
【図31】本発明の回転ダンパにおける第一のシール片と第二のシール片を組み合わせたリップシールを示す正面図である。
【図32】図31に示すリップシールの平面図である。
【図33】図31に示すリップシールの底面図である。
【図34】図31に示すリップシールの右側面図である。
【図35】図31に示すリップシールの左側面図である。
【図36】図1に示す回転ダンパにおける蓋体の斜視図である。
【図37】図36に示す蓋体の平面図である。
【図38】図37のG−G線断面図である。
【図39】車輌用シートの一例を示す説明図である。
【図40】車輌用シートのリクライニング装置を示す概略図である。
【図41】本発明の回転ダンパを具備した車輌用シートにおける回転ダンパの取付け状態を示す概略図である。
【図42】本発明の回転ダンパを具備した車輌用シートにおける回転ダンパの取付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。尚、本発明はこれらの例に何等限定されない。
【0028】
図1乃至図6に示すように、本発明の回転ダンパ10は、流通路(オリフィス通路)11が形成された一対の隔壁部12及び12を一体に有するケーシング13と、このケーシング13の内部に回転自在に配されているとともに、ケーシング13と協働してケーシング13の内部の該隔壁部12及び12間の各室をそれぞれ二室R1及びR2に区画する一対の回転翼14及び15を備えた回転体16と、該ケーシング13の内部に収容された粘性流体Lと、回転体16の一方向への回転移動に対してのみ該回転体16の回転移動方向に直交する上下方向に移動可能であって、該粘性流体Lの二室R1及びR2間への流動を阻止するように一対の回転翼14及び15に装着された分割シール片からなるリップシール17と、該ケーシング13の開口部を閉塞する蓋体18とから形成されている。
【0029】
回転ダンパ10におけるケーシング13は、図8乃至図12に示すように、環状底部19を備えた円筒立壁部20と、該環状底部19の中央部の下面21に突設された円筒突出部22と、円筒突出部22の内面に形成された挿通孔23と、該挿通孔23と環状肩部24を介して拡径し、環状底部19の上面25に開口する貫通孔26と、円筒立壁部20の外周面27に径方向外方に突設された挿通孔28を有する取付け耳部29と、該円筒立壁部20の端面30に該円筒立壁部20の開口部31を囲繞して形成された環状凹溝32と
、該円筒突出部22の内面の挿通孔23に形成された環状凹部33と、を具備している。
【0030】
該ケーシング13には、円筒立壁部20の円筒内周面34に、該挿通孔23の中心O1を挟んで相対向する一対の平面視略扇形であって要側を中心O1に向けた隔壁部12及び12が環状底部19の上面25と円筒立壁部20の円筒内周面34とにわたって一体に形成され、該隔壁部12及び12の先端部の内面35には、それぞれ貫通孔26の直径よりも大きな直径の円弧状凹面36及び36が形成され、該隔壁部12及び12の上面37及び37にはそれぞれケーシング13の円筒立壁部20の内部に収容された粘性流体Lが流通する断面方形状の流通路11及び11が該挿通孔23の中心O1を中心とする円弧状に形成されている。
【0031】
ケーシング13の円筒立壁部20の端面30には、該端面30に形成された環状凹溝32の外側であって、その円周方向に沿って複数個のねじ穴38・・38が形成され、また隔壁部12及び12の先端部側の上面37には、ねじ穴39及び39が形成されている。
【0032】
該ケージング13の円筒突出部22の挿通孔23に形成された環状凹部33にはすべり軸受S(図3参照)が嵌装される。該すべり軸受Sとしては、例えばポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂からなるすべり軸受が使用されて好適である。
【0033】
上記構成からなるケーシング13及び該ケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34に一体に形成された隔壁部12及び12は、アルミニウム又はアルミニウム合金あるいは亜鉛又は亜鉛合金を使用したダイカスト鋳造法により形成されるか、合成樹脂又は補強基材入り合成樹脂を使用した射出成形法により形成される。
【0034】
回転体16は、図13乃至図20に示すように、内面に角孔(本実施の形態においては六角孔を示す。)40を有し、外面に円筒面41を有する円筒状基体42と、該円筒状基体42の上端側に所定の幅の円筒状基体部42aを残し、下端側に所定の幅の円筒状基体部42bを残して該円筒状基体42の外周面に一体に形成された該円筒面41の外径よりも大きい外径を有する帯状円筒突出部43と、該帯状円筒突出部43の外周面44に該角孔40の中心O2を挟んで径方向外方に相対向して突設された一対の回転翼14及び15を備えている。
【0035】
一対の回転翼14及び15の一方の回転翼14の上面45及び下面46は、帯状円筒突出部43の上端面47及び下端面48と軸方向に僅かな段部t及びtを有し、該回転翼14の上面45及び下面46には、その長手方向に沿って平面視方形状の係合長溝49及び50が該回転翼14の端面51側に開口して形成されている。該係合長溝49及び50によって二分された回転翼14a及び14bの一方の回転翼14aの上面45aから下面46aにかけての高さh1は、他方の回転翼14bの上面45から下面46にかけての高さh2よりも低く(h1<h2)形成されている。
【0036】
また、一方の回転翼14aの径方向の長さl1は、他方の回転翼14bの径方向の長さl2よりも短く(l1<l2)形成され、該回転翼14aの端面52及び回転翼14bの端面51は、それぞれケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34の曲率と同一の曲率の円弧状凸面53及び54に形成されている。
【0037】
同様に、一対の回転翼14及び15の他方の回転翼15の上面55及び下面56は、帯状円筒突出部43の上端面47及び下端面48と軸方向に僅かな段部t及びtを有し、該回転翼15の上面55及び下面56には、その長手方向に沿って平面視方形状の係合長溝57及び58が該回転翼15の端面59側に開口して形成されている。該係合長溝57及び58によって二分された回転翼15a及び15bの一方の回転翼15aの上面55aから下面56aにかけての高さh1は、他方の回転翼15bの上面55から下面56にかけての高さh2よりも低く(h1<h2)形成されている。
【0038】
また、一方の回転翼15aの径方向の長さl1は、他方の回転翼15bの径方向の長さl2よりも短く(l1<l2)形成され、該回転翼15aの端面60及び回転翼15bの端面59は、それぞれケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34の曲率と同一の曲率の円弧状凸面61及び62に形成されている。
【0039】
上記構成からなる一対の回転翼14及び15を一体に備えた回転体16は、例えばポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂あるいは補強基材入り熱可塑性合成樹脂を使用した射出成形法により形成される。
【0040】
一対の回転翼14及び15に装着されるリップシール17は、図21乃至図25に示す第一のシール片63aと、図26乃至図30に示す第二のシール片63bとの分割片からなり、図31乃至図35に第一及び第二のシール片63a及び63bの分割片を組み合わせたリップシール17を示している。リップシール17は、例えば、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂等を用いて射出成型法により形成される。
【0041】
第一のシール片63aは、図21乃至図25に示すように、略長方形状の板状部64aと、該板状部64aの一方の短辺側の端面65aに形成され、前記回転体16の帯状円筒突出部43の外周面44の曲率と同一の曲率に形成された円弧状凹面66aと、該板状部64aの他方の短辺側の端部に形成された上方に延びる突起部67aと、該突起部67aと連続して形成された該突起部67aの高さよりも高さの高い突出部68aと、該板状部64aの長辺側の一方の端部に該突出部68aと連続して該円弧状凹面66aの近傍まで延びて形成された該突出部68aの高さよりも高さの低い突壁部69aと、該突壁部69aの裏面と板状部64aの裏面との角部に形成された面取り部70aと、該突起部67aの外面から突出部68aの外面にかけての外面に連続して形成された円弧状凸面71aと、該突起部67aと該突起部67aと連続する該突出部68aの内面に連続して形成された円弧状凹面72aを具備し、該円弧状凸面71aは、ケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34の曲率と同一の曲率に形成され、該突起部67aと該突起部67aと連続する該突出部68aの内面に連続して形成された円弧状凹面72aは、前記回転翼14a及び15aの端面52及び60の円弧状凸面53及び61の曲率と同一の曲率をもって形成されている。
【0042】
第二のシール片63bは、図26乃至図30に示すように、略長方形状の板状部64bと、該板状部64bの一方の短辺側の端面65bに形成され、前記回転体16の帯状円筒突出部43の外周面44の曲率と同一の曲率に形成された円弧状凹面66bと、該板状部64bの他方の短辺側の端部に形成された上方に延びる突出部68bと、該突出部68bと連続して形成された該突出部68bの高さよりも高さの低い突起部67bと、該板状部64bの長辺側の一方の端部に該突起部67bと連続して該円弧状凹面67bの近傍まで延びて形成された該突起部67bの高さと同じ高さの突壁部69bと、該突壁部69bの裏面と板状部64bの裏面との角部に形成された面取り部70bと、該突出部68bの外面から突起部67bの外面にかけての外面に連続して形成された円弧状凸面71bと、該突起部67bと該突起部67bと連続する該突出部68bの内面に連続して形成された円弧状凹面72bを具備し、該円弧状凸面71bは、ケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34の曲率と同一の曲率に形成され、該突起部67bと該突起部67bと連続する該突出部68bの内面に連続して形成された円弧状凹面72bは、前記回転翼14a及び15aの端面52及び60の円弧状凸面53及び61の曲率と同一の曲率をもって形成されている。
【0043】
第一及び第二のシール片63a及び63bの分割片からなるリップシール17は、図31乃至図35に示すように、第一のシール片63aの突出部68aの端面を第二のシール片63bの突起部67bの端面に当接させるとともに、第二のシール片63bの突出部68bの端面を第一のシール片63aの突起部67aの端面に当接させて組み合わせることにより形成される。
【0044】
リップシール17は、第一及び第二のシール片63a及び63bの突壁部69a及び69bを前記回転翼14の上面45及び下面46に形成された係合長溝49及び50並びに回転翼15の上面55及び下面56に形成された係合長溝57及び58に係合させ、板状部64a及び64bで回転翼14aの上面45a及び下面46a並びに回転翼15aの上面55a及び下面56aを覆い、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの内面と第二のシール片63bの突起部67bの内面及び第二のシール片63bの突出部68bの内面と第一のシール片63aの突起部67aの内面とで形成される円弧状凹面72a及び72bからなる円弧状凹面とで回転翼14aの端面52の円弧状凸面53並びに回転翼15aの端面60の円弧状凸面61を覆って該回転翼14a及び回転翼15aに装着され、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面は、回転翼14bの端面51の円弧状凸面54並びに回転翼15bの端面59の円弧状凸面62と連続する円弧状凸面となっている。
【0045】
そして、回転翼14aの上面45a及び下面46a並びに回転翼15aの上面55a及び下面56aを覆うリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bの表面は、回転翼14bの上面45及び下面46並びに回転翼15bの上面55及び下面56と面一であり、該板状部64a及び64bの長手方向の端面は、回転翼14a及び回転翼15aの幅wよりも突出(図6参照)している。
【0046】
回転翼14aの上面45a及び46a並びに回転翼15aの上面55a及び下面56aを覆うリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bは、帯状円筒突出部44の上端面47及び下端面48との軸方向の段部t及びtの量に相当する距離だけ移動可能となっている。
【0047】
このように回転翼14a及び15aに装着された第一及び第二のシール片63a及び63bの分割片からなるリップシール17は、回転翼14aの上面45a及び46a並びに回転翼15aの上面55a及び下面56aを覆う第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bが回転翼14a及び回転翼15aの幅wよりも突出し、かつ第一及び第二のシール片63a及び63bは、帯状円筒突出部44の上端面47及び下端面48との軸方向の段部t及びtに相当する距離だけ移動可能に装着されているので、図4に示す回転体16に矢印X方向の回転移動が生じた場合、第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bは、ケーシング13の円筒立壁部20の内部に収容された粘性流体Lの流動抵抗を受けて押圧され、該第一及び第二のシール片63a及び63bは軸方向に段部tの量に相当する距離だけ移動するとともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面は径方向外方に移動する。この該第一及び第二のシール片63a及び63bの移動により、該第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bとケーシング13の円筒立壁部20の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76との間に密な接触が行なわれるとともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との間に密な接触が行われるように構成されている。
【0048】
反対に、図4に示す回転体16に矢印Y方向の回転移動が生じた場合、回転体16の回転移動に伴って、リップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bは、ケーシング13の円筒立壁部20の内部に収容された粘性流体Lの流動抵抗を受けて押圧され、第一及び第二のシール片63a及び63bは軸方向に段部tの量に相当する距離だけ移動して元の位置に戻る。第一及び第二のシール片63a及び63bが元の位置に戻ることにより、第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bとケーシング13の円筒立壁部20の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76との間の密な接触が解除されるとともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との間の密な接触が解除されるように構成されている。
【0049】
ケーシング13の円筒立壁部20の開口部31を閉塞する蓋体18は、図36乃至図38に示すように、円板状の基板72と、内面に貫通孔73を有して該基板72の中央部に突出する円筒突部74と、該貫通孔73と環状肩部75を介して拡径し下面76に開口する係合孔77を備え、該基板72の外周縁には円周方向に沿って複数個の孔78・・78が形成されているとともに、該基板72に該基板72の円筒突部74を挟んで相対向する位置に一対の取付孔79及び79が形成されている。
【0050】
蓋体18は、ケーシング13の円筒立壁部20の開口部31を覆い、下面76を該円筒立壁部20の端面30の環状凹溝32に嵌着されたOリングP2(図1参照)に密接させ、回転体16の円筒状基体42aを貫通孔73に挿通させ、環状肩部75を帯状円筒突出部43の上端面47に嵌着されたOリングP3に密接させて配置するとともに、外周縁の複数個の孔78・・78をケーシング13の円筒立壁部21の端面30のねじ穴38・・38に合致させてねじ80・・80を螺合し、一対の取付孔79及び79をケーシング13の隔壁部12及び12の取付孔39及び39に合致させ、図3に示すように、ねじ81の鍔部81aと取付孔39との間にOリングP4を介してねじ81及び81を螺合して該ケーシング13の円筒立壁部20の開口部31を閉塞して固定される。
【0051】
上記構成からなる蓋体18は、前記ケーシング13と同様、アルミニウム又はアルミニウム合金あるいは亜鉛又は亜鉛合金を使用したダイカスト鋳造法により形成されるか、合成樹脂又は補強基材入り合成樹脂を使用した射出成形法により形成される。
【0052】
前記ケーシング13の円筒立壁部20の内面に収容される粘性流体Lとしては、100から1000センチストークス(cSt)のシリコン油が好適であるが、これに限定されない。
【0053】
上述した構成からなる回転ダンパ10において、図4に示す回転体16に急速な矢印X方向の回転移動が生じた場合、回転体16に一体に形成された一対の回転翼14及び15も回転移動し、係合長溝49及び50並びに係合長溝57及び58で二分された一方の回転翼14a及び15aに装着されたリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63aの板状部64a及び64bはケーシング13の円筒立壁部20の内部に収容された粘性流体Lの流動抵抗を受けて押圧され、該回転翼14a及び15aの回転移動方向に対して直交する上下方向に帯状円筒突出部44の上端面47及び下端面48との軸方向の段部t及びtの量に相当する距離だけ移動するともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面は径方向外方に移動する。第一及び第二のシール片63a及び63aの板状部64a及び64bの移動により、該板状部64a及び64bの表面は、ケーシング13の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76に密に接触し、また組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aと第二のシール片63bの突起部67b及び第二のシール片63bの突出部68bと第一のシール片63aの突起部67aとで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる端面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34に密に接触する。
【0054】
該リップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bの表面とケーシング13の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76との密な接触により、また組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との密な接触により、回転翼14及び回転翼15によって区画された二室R1及びR2間への粘性流体Lの流動が阻止され、室R2内の粘性流体Lはケーシング13の円筒立壁部20内の隔壁部12及び12に形成された流通路11及び11を通って室R1内に流入することになる。この流通路11及び11を通る際、回転体16の回転移動に対して粘性流体Lの大きな粘性抵抗力が作用し、回転体16の急速な回転移動が阻止され、該回転体16は緩やかに回転する。
【0055】
反対に、図4に示す回転体16に矢印Y方向(時計回り方向)の回転移動が生じた場合、回転体16の回転移動に伴って回転翼14aの上面45a及び46a並びに回転翼15aの上面55a及び下面56aを覆って装着され、ケーシング13の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76に密に接触したリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63aの板状部64a及び64b及びケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34に密に接触した組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面は、粘性流体Lの流動抵抗により軸方向への段部tの量に相当する距離だけ移動して元の位置に戻り、それぞれの密な接触が解除されて粘性流体Lは室R2からR1への流動が許容され、回転体16は粘性流体Lの抵抗をほとんど受けることなく速やかに回転する。
【0056】
このように回転ダンパ1によれば、回転体16の急速な一方向への回転移動に伴い、該回転体16の回転翼14a及び15aに装着された第一及び第二のシール片63a及び63bの分割片からなるリップシール17は、該回転体16の回転移動方向と直交する上下方向に移動し、ケーシング13の環状底部19の上面25、蓋体18の下面76及びケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との間に密な接触を生じ、回転翼14及び15によって区画されたケーシング13の円筒立壁部20内の該隔壁部12及び12間の室R1及びR2間の粘性流体Lの流動が阻止され、当該粘性流体Lは隔壁部12及び12の流通路11及び11を流動し、回転体16の急速な回転移動に対して粘性流体Lの大きな粘性抵抗力が作用して回転体16の回転移動を阻止し、当該回転体の回転移動を緩やかなものとするという応答性に優れたものである。
【0057】
ケーシング13に対して回転体16の中心O2回りの一方向の相対的な回転移動を制動するように構成されている以上の回転ダンパ10を、例えば前記した図39に示すような車輌用シートに用いてもよい。すなわち、図40に示すように、第一の例の車輌用シートは、シートクッション1とシートバック2とをヒンジ機構3で連結して、シートバック2を前後方向の所定の角度位置で傾動可能にし、所望の傾動角度でシートバック2を固定できるようにしたフロントシート4の幅方向両側の連結部の一方側にリクライニング装置100が設けられ、図41に示すように、他方側に回転ダンパ10が設けられている。
【0058】
リクライニング装置100は、シートバック2に固定された可動ヒンジブラケット101と、シートクッション1に固定された固定ヒンジブラケット102と、該可動ヒンジブラケット101と固定ヒンジブラケット102を連結するヒンジ機構3の回転枢軸103と、一方の端部が該可動ヒンジブラケット101に固設された固定ピン104に係合固定され、他方の端部が回転枢軸103に固定されてシートバック2の前方(図39及び図40中の矢印Z1方向)への傾動を付勢する渦巻きばね105と、可動ヒンジブラケット101の下端部に形成されたギヤ106と、該ギヤ106に噛合し固定ヒンジブラケット102に固定されたラチェットギヤ107と、ラチェットギヤ107の近傍とコイルばね108を介して連結された操作レバー109とから構成されている。そして、操作レバー109を持上げてギヤ106とラチェットギヤ107の噛合によるロックを解除することにより、シートバック2を後方に傾動させることができ、またシートバック2を前方へ付勢するように設けられた渦巻きばね105の付勢力によりシートバック2が後方から前方へ傾動する構造であり、持上げられた操作レバー109を放すと再びロックがかかるものである。
【0059】
図41に示すように、シートクッション1とシートバック2との幅方向両側の連結部の他方側に設けられた回転ダンパ10は、シートバック2に固定された可動ヒンジブラケット101に固設された固定ピン115に該回転ダンパ10を形成するケーシング13の取付け耳部29の長円状の貫通孔28を係合させ、可動ヒンジブラケット101と固定ヒンジブラケット102とを連結するヒンジ機構3の回転枢軸103の六角軸部111に該回転ダンパ10を形成する回転体16の角孔40を嵌合固定することにより、シートクッション1とシートバック2との幅方向の他方側の連結部に取り付けられている。
【0060】
上記した本発明の回転ダンパ10を具備したフロントシート4によれば、回転枢軸103とリクライニング装置100とで支持されたシートバック2は、リクライニング装置100の操作レバー109によるロック解除により、シートバック2の前後方向の傾動が許容され、その所望の角度位置で操作レバー109を放すことにより再びロック保持される。そして、起立位置にロック保持されたシートバック2に対し、操作レバー109によりロック保持を解除すると、該シートバック2は渦巻きばね105のばね付勢力により急速に前方(図39及び図40中の矢印Z1方向)に傾動する。このとき、ケーシング13の取付耳部29においてシートバック2の可動ヒンジブラケット101に固設された固定ピン115に係合され、ケーシング13の円筒立壁部20の内部に配された回転体16の角孔40において可動ヒンジブラケット101と固定ヒンジブラケット102とを連結する回転枢軸103の六角軸部111に嵌合固定された回転ダンパ10が作動する。
【0061】
すなわち、取付け耳部29の長円状の貫通孔28にシートバック2の可動ヒンジブラケット101に固設された固定ピン115が挿通し、該シートバック2が渦巻きばね105の付勢力により前方へ傾動すると同時に該固定ピン115が長円状の貫通孔28内を移動し、該貫通孔28の内壁に当接することにより、回転枢軸103の六角軸部111に嵌合固定された回転ダンパ10を形成する回転体16が回転移動する。この回転体16の回転移動により、該回転体16に一体に形成された一対の回転翼14及び回転翼15も回転移動し、係合長溝49及び50並びに係合長溝57及び58で二分された一対の回転翼14及び回転翼15の一方の回転翼14a及び15aにそれぞれ装着された分割片からなるリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bは、ケーシング13の円筒立壁部20の内部に収容された粘性流体Lの流動抵抗を受けて押圧され、該回転翼14a及び15aの回転移動方向に対して直交する上下方向に帯状円筒突出部43の上端面47及び下端面48との軸方向の段部t及びtの量に相当する距離だけ移動するともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面は、径方向外方に移動する。この該第一及び第二のシール片63a及び63bの移動により、該第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bとケーシング13の円筒立壁部20の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76との間に密な接触が行なわれるとともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との間に密な接触が行われる。
【0062】
該リップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bの表面とケーシング13の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76との密な接触により、また組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との密な接触により、回転翼14及び回転翼15によって区画された二室R1及びR2間への粘性流体Lの流動が阻止され、室R2内の粘性流体Lはケーシング13の円筒立壁部20内の隔壁部12及び12に形成された流通路11及び11を通って室R1内に流入することになる。この流通路11及び11を通る際、回転体16の回転移動に対して粘性流体Lの大きな粘性抵抗力が作用し、回転体16の急速な回転移動が阻止され、回転体16を嵌合固定した回転枢軸103に支持されたシートバック2の前方への緩やかな傾動が行なわれる。
【0063】
また反対に、シートバック2の前方への傾動位置から起立位置にシートバック2を引き起こすと、回転体16の回転移動に伴って回転翼14aの上面45a及び46a並びに回転翼15aの上面55a及び下面56aを覆って装着されたリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bは、粘性流体Lの流動抵抗により軸方向への段部tの量に相当する距離だけ移動して元の位置に戻り、該板状部64a及び64bの表面とケーシング13の環状底部19の上面20及び蓋体18の下面76との間の密な接触が解除されるとともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部21の円筒内周面34との間の密な接触が解除される。その結果、粘性流体Lは室R2からR1への流動が許容され、回転体16は粘性流体Lの抵抗をほとんど受けることなく速やかに回転し、回転体16を嵌合固定した回転枢軸103に支持されたシートバック2の起立位置への復帰は速やかに行なわれる。
【0064】
第二の例の車輌用シートはリアシート8であり、前記図39に示すシートクッション1Aをその前下部において車体フロア5に固定されたヒンジ機構6に連結し、該ヒンジ機構6を支点としてシートクッション1Aを鎖線1A1で示すように略90°起立させ、更に鎖線1A2で示すように略180°反転させるとともに、車体フロア5に固定されたヒンジ機構7に連結されたシートバック2Aを略90°起立させ、あるいは略180°反転したシートクッション1Aの空間位置に鎖線2A1で示すように前方に倒すことにより荷室空間を拡張できるようにしたリアシート8側に構成されたダブルフォールダウンシートにおけるシートバック2Aのヒンジ機構7に回転ダンパ10が設けられている。
【0065】
車輌用シートとしてのリアシート8は、シートバック2Aに固定された可動ヒンジブラケット101(図42参照)と、車体フロア5に固定された固定ヒンジブラケット102、該可動ヒンジブラケット101と固定ヒンジブラケット102を連結するヒンジ機構7の回転枢軸112と、一方に端部が該回転枢軸112にかしめ固定され、他方の端部が固定ヒンジブラケット102に固定されてシートバック2Aの前方(図39中の矢印Z2方向)への傾動を付勢する渦巻きばね113と、該回転枢軸112の六角軸部114に回転体16の角孔40を嵌合固定し、ケーシング13の取付け耳部29の長円状の貫通孔28を固定ヒンジブラケット102に立設された固定ピン115に挿通させて設けられた回転ダンパ10とから形成されている。
【0066】
このリアシート8においても、前記フロントシート4と同様に、起立位置にロック保持されたシートバック2Aに対し、ロック保持を解除すると、該シートバック2Aは渦巻きばね113の付勢力により急速に前方(図39中の矢印Z2方向)に傾動する。このとき、ケーシング13の取付け耳部29の長円状の貫通孔28が車体フロア5に固定された固定ヒンジブラケット102に固設された固定ピン115に挿通され、回転体16の角孔40が可動ヒンジブラケット101に固定された回転枢軸112の六角軸部114に嵌合固定された回転ダンパ10が作動する。
【0067】
取付け耳部29の長円状の貫通孔28が車体フロア5に固定された固定ヒンジブラケット102に固設された固定ピン115に挿通し、該シートバック2Aが渦巻きばね113の付勢力により前方へ傾動すると同時に該固定ピン115が長円状の貫通孔28内を移動し、該貫通孔28の内壁に当接することにより、回転枢軸112の六角軸部114に嵌合固定された回転体16が回転移動する。この回転体16の回転移動により、該回転体16に一体に形成された一対の回転翼14及び回転翼15も回転移動し、係合長溝49及び50並びに係合長溝57及び58で二分された一対の回転翼14及び回転翼15の一方の回転翼14a及び15aにそれぞれ装着された分割片からなるリップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bは、ケーシング13の円筒立壁部20の内部に収容された粘性流体Lの流動抵抗を受けて押圧され、該回転翼14a及び15aの回転移動方向に対して直交する上下方向に帯状円筒突出部43の上端面47及び下端面48との軸方向の段部t及びtの量に相当する距離だけ移動するともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面は、径方向外方に移動する。この第一及び第二のシール片63a及び63bの移動により、該第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bとケーシング13の円筒立壁部20の環状底部19の上面25及び蓋体18の下面76との間に密な接触が行なわれるとともに、組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との間に密な接触が行われる。
【0068】
該リップシール17の第一及び第二のシール片63a及び63bの板状部64a及び64bの表面とケーシング13の環状底部19の上面25及び蓋体18bの下面76との密な接触により、また組み合わされた第一のシール片63aの突出部68aの外面と第二のシール片63bの突起部67bの外面及び第二のシール片63bの突出部68bの外面と第一のシール片63aの突起部67aの外面とで形成される円弧状凸面71a及び71bからなる円弧状凸面とケーシング13の円筒立壁部20の円筒内周面34との密な接触により、回転翼14及び回転翼15によって区画された二室R1及びR2間への粘性流体Lの流動が阻止され、室R2内の粘性流体Lはケーシング13の円筒立壁部20内の隔壁部12及び12に形成された流通路11及び11を通って室R1内に流入することになる。この流通路11及び11を通る際、回転体16の回転移動に対して粘性流体Lの大きな粘性抵抗力が作用し、回転体16の急速な回転移動が阻止され、回転体16を嵌合固定した回転枢軸103に支持されたシートバック2Aの前方への緩やかな傾動が行なわれる。
【0069】
また反対に、シートバック2Aの前方への傾動位置から起立位置にシートバック2Aを引き起こす際には、前記したフロントシート4と同様に行なわれ、シートバック2Aの起立位置への復帰は速やかに行なわれる。
【0070】
このように回転ダンパ10を具備した車輌用シート4、8は、シートバック2又は2Aの急速な傾動に対して粘性流体Lの大きな粘性抵抗が作用して回転体16の急速な回転を阻止するという応答性に優れたものであり、シートバック2又は2Aの前方への緩やかな傾倒が行なわれることにより、シートクッション1又は1Aに幼児を座らせたままシートバック2又は2Aのロック解除を行なった時に生じる体を挟むなどの幼児への大きなダメージや、シートクッション1又は1Aに置かれた物品等の損傷等の不具合を解消することができる。
【符号の説明】
【0071】
1、1A シートクッション
2、2A シートバック
10 回転ダンパ
11 流通路
12 隔壁部
13 ケーシング
14・15、14a・14b、15a・15b 回転翼
16 回転体
17リップシール
18 蓋体
63a 第一のシール片
63b 第二のシール片
L 粘性流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通路が形成された隔壁部を内部に備えたケーシングと、該ケーシングの内部に回転自在に配されているとともに、前記ケーシングと協働して前記ケーシングの内部の隔壁部間の各室をそれぞれ二室に区画する一対の回転翼を備えた回転体と、該ケーシングの内部に収容される粘性流体と、前記回転体の一方向への回転移動に対してのみ該回転体の回転移動方向に直交する上下方向に移動可能であって、該粘性流体の二室間への流動を阻止するように前記一対の回転翼に装着された分割シール片からなるリップシールと、該ケーシングの開口部を閉塞する蓋体とからなることを特徴とする回転ダンパ。
【請求項2】
前記一対の回転翼には、その上下面に該回転翼をそれぞれ二分する長手方向に沿う係合長溝が形成されているとともに、二分された回転翼の一方の回転翼の上面から下面にかけての高さは他方の回転翼の上面から下面にかけての高さより低く、かつ長手方向の長さは短く形成され、前記分割片からなるリップシールは、前記係合長溝に係合して上面から下面にかけての高さが低い側の回転翼の上下面及び端面を覆ってその上下方向及び径方向に移動可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の回転ダンパ。
【請求項3】
前記リップシールは、略長方形状の板状部と、該板状部の一方の短辺側の端面に形成された円弧状凹面と、該板状部の他方の短辺側の端部に形成された上方に延びる突起部と、該突起部と連続して形成された該突起部より高さの高い突出部と、該板状部の長辺側の一方の端部に該突出部と連続して該円弧状凹面の近傍まで延びて形成された該突出部の高さよりも高さの低い突壁部と、該突壁部の裏面と板状部の裏面との角部に形成された面取り部と、該突起部及び突出部の外面に形成された円弧状凸面を備えた第一のシール片と、略長方形状の板状部と、該板状部の一方の短辺側の端面に形成された円弧状凹面と、該板状部の他方の短辺側の端部に形成された上方に延びる突出部と、該突出部と連続して形成された該突出部の高さより高さの低い突起部と、該板状部の長辺側の一方の端部に該突起部と連続して該円弧状凹面の近傍まで延びて形成された該突起部の高さと同じ高さの突壁部と、該突壁部の裏面と板状部の裏面との角部に形成された面取り部と、該突出部及び突起部の外面に形成された円弧状凸面を備えている第二のシール片とからなり、該第一のシール片の突出部の端面を第二のシール片の突起部の端面に当接させるとともに、第二のシール片の突出部を第一のシール片の突起部に当接させて組み合わせることにより形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転ダンパ。
【請求項4】
前記リップシールは、組み合わされた第一及び第二のシール片の突壁部を、一対の回転翼の一方の回転翼の上面及び下面に形成された係合長溝及び一対の回転翼の他方の回転翼の上面及び下面に形成された係合長溝に係合させ、板状部を上面から下面にかけての高さが低い側の一方の回転翼の上面及び下面並びに上面から下面にかけての高さが低い側の他方の回転翼の上面及び下面を覆い、かつ組み合わされた第一のシール片の突出部と第二のシール片の突起部及び第二のシール片の突出部と第一のシール片の突起部とで形成される円弧状凹面で上下面の高さが低い側の回転翼の端面をそれぞれ覆い、上面から下面にかけての高さが低い側の回転翼の上面及び下面を覆う第一及び第二のシール片の板状部の長手方向の端面を、上面から下面にかけての高さが低い側の回転翼の上面及び下面の長手方向の端面よりも突出させて上面から下面にかけての高さが低い側の回転翼にそれぞれ装着されていることを特徴とする請求項2に記載回転ダンパ。
【請求項5】
シートバックとシートクッションとの幅方向両側の連結部の一方側にリクライニング機構が設けられている車輌用シートであって、前記シートバックと前記シートクッションとの幅方向両側の連結部の他方側には、前記シートバックに固定された可動ヒンジブラケットに固設された固定ピンに前記ケーシングの取付け耳部の長円状の挿通孔を嵌合させ、前記可動ヒンジブラットと前記固定ヒンジブラケットとを連結する回転枢軸の角棒部に回転体の角孔を嵌合固定させた請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転ダンパが取付けられていることを特徴とする車輌用シート。
【請求項6】
シートクッションをその前下部において車体フロアに固定されたヒンジ機構に連結し、該ヒンジ機構を支点として前記シートクッションを略90°起立させ、更に略180°反転させるとともに、前記車体フロアに固定されたヒンジ機構に連結された前記シートバックを略90°起立させ、あるいは略180°反転した前記シートクッションの空間位置に前方に倒すことにより荷室空間を拡張できるようにしたダブルフォールダウンシートにおけるシートバックのヒンジ機構に請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転ダンパが取り付けられていることを特徴とする車輌用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2012−42026(P2012−42026A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185883(P2010−185883)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】