説明

回転テーブル

【課題】分析すべき液体を収容する容器が設けられる容器ホルダが周縁部に設けられ、回転することにより前記容器ホルダを所定の位置に移動させる回転テーブルに関し、回転テーブルが停止しても、液面が波打たない回転テーブルを提供することを課題とする。
【解決手段】容器ホルダ15は、回転テーブル11に対して、回転テーブル11の回転方向の接線と平行な軸を中心に回転可能に設けられ、回転テーブル11が回転しない状態の位置方向に容器ホルダ15を付勢する付勢手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析すべき液体を収容する容器が設けられる容器ホルダが周縁部に設けられ、回転することにより前記容器ホルダを所定の位置に移動させる回転テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、試薬などの液体が充填された容器を複数搭載し、回転・停止を行う回転テーブルを有するものがある。
【0003】
この回転テーブルは、図3に示すように、回転テーブル1の周縁部に分析すべき液体3が充填された容器5が設けられる容器ホルダ7が固着されている。
【0004】
そして、自動分析装置の要求により、回転テーブル1が回転し、容器ホルダ7をあらかじめ決められた供給位置(所定の位置)に移動させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-105240
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図3に示すような回転テーブルが回転すると、図4に示すように、容器5内の液体3が遠心力により外側に偏る。その後、回転テーブル1が短時間で停止すると、容器5内の液体3は偏っていた反動で、波打ちが発生する。このため、以下のような問題点がある。
【0007】
(1) 分注用プローブを液面付近で停止させる必要がある場合に液面位置を誤検知する。
【0008】
また、液体3の界面活性が高い場合には、波打ち発生とともに、泡立ちも発生し、液面が水平になっても、液面位置を誤検知する。
【0009】
(2) 容器5内の液面が水平に安定するまでに時間がかかり、装置の処理速度の向上の妨げになる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、回転テーブルが停止しても、液面が波打たない回転テーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、分析すべき液体を収容する容器が設けられる容器ホルダが周縁部に設けられ、回転することにより前記容器ホルダを所定の位置に移動させる回転テーブルにおいて、前記容器ホルダは、前記回転テーブルに対して、前記回転テーブルの回転方向の接線と平行な軸を中心に回転可能に設けられていることを特徴とする回転テーブルである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記回転テーブルが回転しない状態の位置方向に前記容器ホルダを付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の回転テーブルである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記容器ホルダに、おもりを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の回転テーブルである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1−3に係る発明によれば、前記容器ホルダは、前記回転テーブルに対して、前記回転テーブルの回転方向の接線と平行な軸を中心に回転可能に設けられていることにより、回転テーブルが回転すると、容器ホルダに作用する遠心力により、容器ホルダが傾くので、容器ホルダ内の容器の液体の液面の偏りが防止され、回転テーブルが停止しても、液面が波打たない。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、前記回転テーブルが回転しない状態の位置方向に前記容器ホルダを付勢する付勢手段を設けたことにより、回転テーブルの停止後、直ちに容器ホルダが供給可能な姿勢に固定される。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、前記容器ホルダに、おもりを設けた。おもりの重さと、おもりの取り付け位置を選択することにより、容器ホルダに発生する遠心力を調整し、回転テーブルの回転時に、容器ホルダを最適な角度に傾かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態の回転テーブルが停止している時の構成図である。
【図2】図1に示す回転テーブルが回転している時の構成図である。
【図3】従来の回転テーブルが停止している時の構成図である。
【図4】図3の回転テーブルが回転している時の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1−図2を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は実施形態の回転テーブルが停止している時の構成図、図2は図1に示す回転テーブルが回転している時の構成図である。
【0019】
これらの図において、回転テーブル11は、図示しない駆動装置により、軸11aを中心に図において矢印A方向(図2参照)に回転駆動されるようになっている。
【0020】
回転テーブル11の周縁部には、ヒンジ13を介して容器ホルダ15が設けられている。このヒンジ13の軸(回転中心軸)は、回転テーブル11の回転方向の接線と平行となるように設けられている。
【0021】
また、容器ホルダ15には、分析すべき液体17が充填された容器19が固着されている。
【0022】
また、回転テーブル11が回転しない状態の位置方向(図において、矢印B方向)に容器ホルダ15を付勢する付勢手段が設けられている。この付勢手段の一例としては、中間部がヒンジ13の軸に巻回され、一端部が容器ホルダ15に係止され、他端部が回転テーブル11に係止されたトーションスプリングがある。
【0023】
更に、容器ホルダ15には、おもり21が設けられている。
【0024】
次に、上記構成の作動を説明する。図1に示す、回転テーブル11が停止している状態から、図示しない駆動装置を駆動して、回転テーブル11を矢印A方向に回転させると、遠心力により、容器ホルダ15が鉛直線(l)に対してθ傾く。この時、傾いた容器ホルダ15の底面15aと、容器19の液体17の液面とが略平行となる。
【0025】
なお、本実施形態例では、おもり21の重さ、おもり21の取り付け位置を適宜選定して、容器ホルダ15の質量、重心位置を設定できるようにした。
【0026】
そして、図示しない駆動装置を停止すると、回転テーブル11が停止し、容器ホルダ15は、図1の状態に復帰する。
【0027】
上記構成によれば、下記のような効果が得られる。
【0028】
(1) 容器ホルダ15は、回転テーブル11に対して、回転テーブル11の回転方向の接線と平行な軸を中心に回転可能に設けられていることにより、回転テーブル11が回転すると、容器ホルダ15に作用する遠心力により、容器ホルダ15が傾く。
【0029】
容器ホルダ15が傾くことにより、傾いた容器ホルダ15の底面15aと、容器19の液体17の液面とが略平行となり、容器19内の液体17の偏りが防止され、回転テーブル11が停止しても、液面が波打たない。
【0030】
(2) 回転テーブル11が回転しない状態の位置方向に容器ホルダ15を付勢する付勢手段を設けたことにより、回転テーブル11の停止後、直ちに容器ホルダ15が供給可能な姿勢に固定される。
【0031】
(3) 容器ホルダ15に設けるおもり21の重さと、おもり21の取り付け位置を選択することにより、容器ホルダ15の質量、重心位置を設定できるようにした。
【0032】
これにより、容器ホルダ15に発生する遠心力を調整し、容器ホルダ15の傾きを最適にすることができる。
【符号の説明】
【0033】
11 回転テーブル
15 容器ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析すべき液体を収容する容器が設けられる容器ホルダが周縁部に設けられ、回転することにより前記容器ホルダを所定の位置に移動させる回転テーブルにおいて、
前記容器ホルダは、前記回転テーブルに対して、前記回転テーブルの回転方向の接線と平行な軸を中心に回転可能に設けられていることを特徴とする回転テーブル。
【請求項2】
前記回転テーブルが回転しない状態の位置方向に前記容器ホルダを付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の回転テーブル。
【請求項3】
前記容器ホルダに、おもりを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の回転テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−57953(P2012−57953A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198484(P2010−198484)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】