説明

回転ディスプレイ装置

【課題】 既存の照明設備を使用し、安全確実安価に回転ディスプレイ体を回転させることができる回転ディスプレイ装置を得る。
【解決手段】 照明光源を有する照明室の上に位置する区画板;この区画板に穿設した貫通穴;貫通穴の上方に位置させて固定した上下方向に延びる回転支持棒;及びこの回転支持棒の上端部に回転自在に支持される軸受体と、この軸受体を中心に配置されたフィンを有し空気が通過することで回転力を生じさせる風車部とを有する回転ディスプレイ体;を備えた回転ディスプレイ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱による対流を利用した回転ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱による対流を利用した回転ディスプレイ装置としては、走馬燈が広く知られている。走馬燈は、蝋燭または電球の熱によって生じる空気の対流を利用したもので、回転ディスプレイ体の内部に、蝋燭または白熱電球を配置することが必須である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、裸火である蝋燭は言うに及ばず、白熱電球も火事の原因となるおそれがある。また、いずれにしても、対流を生じさせるための特別なエネルギ源を必要とする。
【0004】
本発明は、既存の照明設備を使用し、安全確実安価に回転ディスプレイ体を回転させることができる回転ディスプレイ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、照明室に配置されている照明光源の熱を利用して回転ディスプレイを回転させるという着眼に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の回転ディスプレイ装置は、照明光源を有する照明室の上に位置する区画板;この区画板に穿設した貫通穴;貫通穴の上方に位置させて固定した上下方向に延びる回転支持棒;及びこの回転支持棒の上端部に回転自在に支持される軸受体と、この軸受体を中心に配置されたフィンを有し空気が通過することで回転力を生じさせる風車部とを有する回転ディスプレイ体;を有することを特徴としている。
【0006】
回転支持棒は、回転ディスプレイ体を小摩擦で回転自在に支持しかつ区画板の貫通穴エッジに固定できるように、上端部に球状部または針状部を有する中心針金体と、この中心針金体の下端部から横方向に延び、貫通穴エッジ部に固定される固定具とを備えていることが好ましい。
【0007】
回転支持棒に一体に、中心針金体の上部に延び、該中心針金体の上端部との間に、回転ディスプレイ体の軸受体を挟み込む抜け止め部を設けると、回転支持棒と回転ディスプレイ体とが離脱しないようにすることができる。
【0008】
この抜け止め部は、針金体を少なくとも2回密着巻した、紙葉を挟着可能なコイル部から構成すると、別の広告表示体(紙葉)を同時に表示することができる。
【0009】
回転ディスプレイ体の軸受体はガラス製とし、風車部は金属製とするのが実際的である。この回転ディスプレイ体には、風車部と一体に、飲料缶の周囲模様を模した合成樹脂製フィルムからなるダミー缶を設けることができる。あるいは、区画板に、貫通穴上に位置させて飲料缶の周囲模様を模したダミー缶を固定し、このダミー缶の上部に回転ディスプレイ体を位置させる態様も可能である。
【0010】
本発明の回転ディスプレイ装置は、具体的には少なくとも飲料缶の自動販売機に設置することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既存の照明光源を利用し特別な熱源を要することのない回転ディスプレイ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図6は、本発明による回転ディスプレイ装置を備えた飲料缶の自動販売機10を示している。自動販売機10は、横(水平)方向に延びる複数段の区画板11を有しており、各区画板11の下方に、照明用蛍光灯12が位置する照明室13が形成されている。区画板11の上方には、販売飲料缶を表示するダミー缶14が並んでいる。15はコイン投入窓、16はコイン返却口、17は購入飲料缶取出口である。
【0013】
区画板11には、図1ないし図3及び図5に示すように、各ダミー缶14の位置に対応させて貫通穴20が穿設されている。この貫通穴20は、既存の自動販売機10の区画板11に一般的に備えられている。
【0014】
本実施形態は、この区画板11に穿設されている貫通穴20を利用して、各貫通穴20の上方に、ダミー缶14となる回転ディスプレイ体30を回転自在に支持している。回転ディスプレイ体30は、上部のガラス製軸受体31と、金属製の風車部32と、飲料缶を模したダミー筒(ダミー缶)33とからなっている。ガラス製軸受体31は、筒状部の上端が半球状に閉じた中心軸受部31aと、中心軸受部31aの下端部に形成した外方フランジ31bとを有するハット(帽子)状をしている。風車部32は、中心貫通穴32aと、この中心貫通穴32aの周囲に等角度間隔で配置した同一形状のフィン32bと、周縁の複数のフィルム掛け突起32cとを有しており、例えばアルミ板材のプレス成形品で構成されている。ダミー筒33は、柔軟な合成樹脂フィルムからなっていて、飲料缶の周囲模様が印刷されている。
【0015】
ガラス製軸受体31の中心軸受部31aは、風車部32の中心貫通穴32aに下方から挿入されて外方フランジ31bにより抜け止められ、必要に応じ接着される。ダミー筒33は、その上端部の穴33aにフィルム掛け突起32cを嵌め、丸めて端部を接着することで回転ディスプレイ体30として完成する。フィン32bの形状と数は、下方から上方への僅かな空気流で回転ディスプレイ体30が中心軸受部31aを中心に回転できるように定める。
【0016】
回転ディスプレイ体30を回転自在に支持する回転支持棒40は、貫通穴20の上方に、貫通穴20の中心を通って上方に延びる中心針金部41と、この中心針金部41の上端部に設けたボールペン様の球(球状部)42(図4参照)と、中心針金部41の下端部から貫通穴20の半径方向に曲折延長した下方横延長部43と、この下方横延長部43の外端部から中心針金部41と平行に上方に延長した外側上方延長部44と、この外側上方延長部44の上端部から中心針金部41の上端部に向けて曲折した上方横延長部45と、この上方横延長部45の先端に少なくとも2回密着巻したコイル部(抜け止め部)46とを備えている。
【0017】
この回転支持棒40を貫通穴20の周縁エッジ部に固定するための固定具47は、水平部47aと、垂直部47bと、水平部47aの下方の曲折ばね部47cとを有する板ばね体からなっており、水平部47aと垂直部47bには、回転支持棒40の下方横延長部43と外側上方延長部44をかしめ止める切起し片47dと47eが形成されている。
【0018】
上記構成の本回転ディスプレイ装置は、予め、回転支持棒40の下方横延長部43と外側上方延長部44に、固定具47の切起し片47dと47eをかしめ止めておく。一方、ガラス製軸受体31と風車部32を別に組み立てておいて、これを中心針金部41の上端部(球42)とコイル部46の間に挿入し、中心軸受部31aを球42に係合させる。このときには、ガラス製軸受体31をコイル部46の中心部に挿入することができる。このように回転支持棒40にガラス製軸受体31と風車部32を支持したら、フィルム掛け突起32cにダミー筒33の穴33aを嵌めて巻き付け、両端部を接着して筒状とする。また、コイル部46には、その密着巻きしたコイル部の間に、広告表示体(紙葉)48を挟み込む。このようにコイル部46に広告表示体48を挟み込むことで、回転ディスプレイ体30が回転支持棒40から脱落するのを防止することができる。勿論、広告表示体48は脱落防止のための必須要素ではなく、単に脱落防止板をコイル部46に挟んでもよく、あるいは、コイル部以外の抜け止め部を設けてもよい。さらに柔軟な上方横延長部45を若干曲げてガラス製軸受体31と風車部32を球42とコイル部46との間に支持することで脱落を防止してもよい。また、図示例では、コイル部46は円形であるが、非円形(三角形や四角形)であってもよい。
【0019】
以上の回転ディスプレイ体30と回転支持棒40の組立体は、自動販売機10の貫通穴20に装着される。すなわち、図3に示すように、固定具47の水平部47aと曲折ばね部47cで貫通穴20のエッジ部を挟着し、中心針金部41を可及的に貫通穴20の中心に位置させる。広告表示体48は、自動販売機10の正面に向ける。
【0020】
この設置状態において安定させ、照明用蛍光灯12を点灯すると、照明用蛍光灯12からの熱により区画板11の下方の照明室13内が熱せられ(区画板11の上下に温度差が生じ)、貫通穴20の下方から上方に流れる空気流(対流)が生じる。この空気流は、風車部32のフィン32bの間の空間を通り、フィン32bの形状によって回転ディスプレイ体30に回転力を生じさせる。ガラス製の軸受体31と中心針金部41の先端部の球42は、回転ディスプレイ体30が低摩擦で回転することを許す。実際に、ガラス製軸受体31と球42の組合わせによると、実際の自動販売機10の照明用蛍光灯12の熱で、回転ディスプレイ体30が回転することが確認された。勿論、軸受体31と風車体32の全体を例えば金属材料や合成樹脂材料から構成し、球42との接触部に低摩擦性処理を施す等によっても回転ディスプレイ体30を回転させることが可能である。球42は必ずしも球である必要はなく、針金体の先端を球状に加工し、あるいは針状に加工してもよい。
【0021】
本実施形態の利点の一つは、回転ディスプレイ体30の回転支持棒40からの脱落を確実に防止できる点にもある。すなわち、回転ディスプレイ体30の軸受体31を中心針金部41の上端部(球42)に回転自在に係合させた状態では、回転ディスプレイ体30は、コイル部(抜け止め部)46によって抜け止められる。このため、運搬性、耐振動性に優れる。自動販売機10に用いる場合には、別の場所で組み立てた回転ディスプレイ体30の回転支持棒40の組立体を、目的とする自動販売機の存在場所に運び、その区画板11の貫通穴20に簡単に装着することができる。また自動販売機では、商品の補充のために開閉ドアを開閉することが行われるが、開閉に伴う振動で回転ディスプレイ体30が脱落することがない。なお、抜け止め部は、必ずしも密着巻コイル部であることを要さないが、密着巻コイル部は、上述のように、別の広告板や抜け止め板を簡単に挟むことができるという利点がある。
【0022】
以上の実施形態では、ダミー筒33を含む回転ディスプレイ体30が回転するが、固定されているダミー筒上で、ガラス製軸受体31と風車部32が回転する構成も可能である。図5は、その実施形態であり、区画板11上には、貫通穴20と同心に円形リブ18が固定されており、この円形リブ18の外周に、ダミー筒33’の下端部が支持されている。この他の構成は、第一の実施形態と同一であり、同一部分には同一の符号を付している。
【0023】
この実施形態では従って、固定のダミー筒33’上でガラス製軸受体31と風車部32が回転するディスプレイ装置を構成することができる。回転ディスプレイのインパクトを高めるために、風車部32の周囲には、図に鎖線で示す付加ディスプレイ49を設けることができる。
【0024】
以上のように、本発明の回転ディスプレイ装置は既存の自動販売機10に適用できる点が利点の一つであるが、区画板11、照明用蛍光灯12及び照明室13を有する表示場所であれば、自動販売機10以外にも用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による回転ディスプレイ装置の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同回転ディスプレイ装置の分解状態の斜視図である。
【図3】同縦断面図である。
【図4】同回転軸受体部分の拡大断面図である。
【図5】本発明による回転ディスプレイ装置の第二の実施形態を示す、図3に対応する縦断面図である。
【図6】本発明による回転ディスプレイ装置の適用例を示す、飲料缶の自動販売機の正面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 自動販売機
11 区画板
12 照明用蛍光灯
13 照明室
14 ダミー缶
15 コイン投入窓
16 コイン返却口
17 商品(購入飲料缶)取出口
18 円形リブ
20 貫通穴
30 回転ディスプレイ体
31 ガラス製軸受体
31a 中心軸受部
31b 外方フランジ
32 風車部
32a 中心貫通穴
32b フィン
32c フィルム掛け突起
33 ダミー筒(回転)
33’ダミー筒(固定)
33a 穴
40 回転支持棒
41 中心針金部
42 球(球状部)
43 下方横延長部
44 外側上方延長部
45 上方横延長部
46 コイル部(抜け止め部)
47 固定具
47a 水平部
47b 垂直部
47c 曲折ばね部
47d 47e 切起し片
48 広告表示体(紙葉)
49 付加ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源を有する照明室の上に位置する区画板;
この区画板に穿設した貫通穴;
上記貫通穴の上方に位置させて固定した上下方向に延びる回転支持棒;及び
この回転支持棒の上端部に回転自在に支持される軸受体と、この軸受体を中心に配置されたフィンを有し空気が通過することで回転力を生じさせる風車部とを有する回転ディスプレイ体;
を備えたことを特徴とする回転ディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転ディスプレイ装置において、上記回転支持棒は、上端部に球状部または針状部を有する中心針金体と、この中心針金体の下端部から横方向に延び、上記貫通穴エッジ部に固定される固定具とを備えている回転ディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の回転ディスプレイ装置において、上記回転支持棒は、さらに、上記中心針金体の上部に延び、該中心針金体の上端部との間に、回転ディスプレイ体の軸受体を挟み込む抜け止め部を備えている回転ディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項3記載の回転ディスプレイ装置において、上記抜け止め部は、針金体を少なくとも2回密着巻した、紙葉を挟着可能なコイル部からなっている回転ディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の回転ディスプレイ装置において、回転ディスプレイ体の軸受体はガラス製であり、風車部は金属製である回転ディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の回転ディスプレイ装置において、回転ディスプレイ体は、風車部と一体に、飲料缶の周囲模様を模した合成樹脂製フィルムからなるダミー缶を備えている回転ディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の回転ディスプレイ装置において、上記区画板には、貫通穴上に位置させて飲料缶の周囲模様を模したダミー缶が固定され、このダミー缶の上部に上記回転ディスプレイ体が位置している回転ディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の回転ディスプレイ装置において、該ディスプレイ装置は飲料缶の自動販売機に設置されている回転ディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−84762(P2006−84762A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269302(P2004−269302)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591030341)株式会社システムコミュニケーションズ (10)
【Fターム(参考)】