説明

回転ボール型入力デバイスおよび電子機器

【課題】操作性に優れた回転ボール型入力デバイスを提供する。
【解決手段】球体101の周囲に内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dと、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dが配置されている。ユーザは親指1本で球体を回転させながらプッシュ・ボタンを1つまたは複数押下することができる。押下されたプッシュ・ボタンの数に応じた修正ゲインが生成される。球体の回転により生成されたカーソルの移動量は修正ゲインで修正される。よって、カーソルを長距離移動させるときほど多くのプッシュ・ボタンを同時に押下し、短距離移動させるときは球体だけを回転させて良好な操作性を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対して入力操作をする回転ボール型入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに入力操作をするユーザ・インターフェースとして、キーボードおよびポインティング・デバイスなどの入力デバイスが知られている。ポインティング・デバイスは、ディスプレイに表示されたカーソル(ポインタともいう。)の移動または画面のスクロール、および画面上のカーソルで指定された座標に対する入力操作などを行うために使用される。ポインティング・デバイスは、マウス、タッチ・パッド、ポインティング・スティック(トラック・ポイントともいう。)、およびトラック・ボール(ジョグ・ボールともいう。)などを含む。トラック・ボールは、指先や手のひらを使ってボールを同じ位置で回転させることで画面を操作することができる。
【0003】
特許文献1は、複数のボールを含むマウスを開示する。各マウスは、回転量を検出するセンサを備え、各センサの出力の合計でカーソルの移動量を決定する。したがって、中央のボールだけを操作すれば、カーソルを細かく移動させることができ、すべてのボールを同時に操作すればカーソルを加速させて移動させることができる。特許文献2は、薄型携帯端末装置に適したトラック・ボール型ポインティング・デバイスを開示する。同文献には、同サイズの複数のトラック・ボールをマトリクス状に配置し、1回の回転操作で各トラック・ボールが検出した移動情報から統合した移動情報を計算することが記載されている。
【0004】
特許文献3は、カーソルの移動量とトラック・ボールの回転量の比を可変制御することで、カーソルを高速に移動させることができるトラック・ボールの座標入力装置を開示する。同文献には、回転球の下部にスプリングを設け回転球を回転させながら押下してそのときの回転球の上下移動の量を可変抵抗器で検出することが記載されている。このような構成により、カーソルを長い距離を移動させるときは回転球を押しながら回転させ、微少距離を移動させるときは回転球を押さないで回転させることで可変制御する。特許文献4は、ボールの回転を、磁石が取り付けられたローラで検出し、磁石による磁束の変化をリードスイッチで非接触に検出するトラック・ボール装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国2009/0153484号公開公報
【特許文献2】特開2000−298548号公報
【特許文献3】特開平5−303468号公報
【特許文献4】特開2006−260179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラック・ボールは、小型に形成されかつ指1本でも操作することができるため、携帯電話やスマートフォンなどの小型の電子機器に実装する上で都合がよい。また、ひずみセンサを利用したポインティング・スティックや指の動きを検知するタッチ・パッドに比べて操作量とカーソルの移動量の調整が容易であるという利点も備えている。しかしトラック・ボールには、カーソルをディスプレイの広範囲に渡って移動させて正確な位置に停止させたり、地図などの大きなサイズの画面をスクロールして所定の表示位置で停止させて入力したりする際に、移動速度の調整がしにくいという操作性の問題が存在する。
【0007】
たとえば、ボールの回転量に対するカーソルの移動距離が長くなるようにゲインを設定すれば、カーソルの細かな範囲での正確な位置決めが困難になる。これとは反対にゲインを小さく設定すればカーソルを長い距離移動させるために複数回の回転操作が必要となり短時間でカーソルを移動させることができなくなる。ボールのサイズを大きくするほど操作性の問題は改善できるが、ボールのサイズを大きくするとデバイス全体が大型になってしまうため小型の電子機器に実装することが困難になる。さらにトラック・ボールは、画面の操作や特定のアプリケーションの起動などのマウス・ジェスチャに対応することができない。
【0008】
特許文献1および特許文献2の発明は、ボールと回転量を検出するセンサを複数設ける必要があるため指1本で操作が可能な程度まで小型化することが困難でかつ機構が複雑になる。特許文献3の発明は、トラック・ボールに対して回転操作と押圧操作を同時に行う必要があり、トラック・ボールを回転させながら所定の範囲に圧力を調整する操作が困難である。また、トラック・ボールの下部に圧力検出機構を設けることになるため、高さ方向のサイズが大きくなる。
【0009】
そこで本発明の目的は、カーソルまたは画面を長距離と微少距離のいずれを移動させる場合でも操作性に優れた回転ボール型入力デバイスを提供することにある。さらに本発明の目的は、構造が簡単な回転ボール型入力デバイスを提供することにある。さらに本発明の目的は、指1本で操作できる程度までの小型化が可能な回転ボール型入力デバイスを提供することにある。さらに本発明の目的は、多機能の回転ボール型入力デバイスを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのような回転ボール型入力デバイスを実装した電子機器およびカーソルの移動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回転ボール型入力デバイスは、操作面が回転可能に支持された球体と、球体の周囲に配置された複数のプッシュ・ボタンで構成されている。プッシュ・ボタンは、球体を回転させる指と同じ指で球体を回転させながら押下することができる。複数のプッシュ・ボタンのそれぞれに対応して複数の圧力検出部が設けられている。回転量変換部は、球体の回転量に対応するカーソルまたは画面の移動量を出力する。ゲイン修正部は、複数の圧力検出部の出力に基づいて修正ゲインを生成する。移動量修正部は、修正ゲインで移動量を修正して修正移動量を出力する。
【0011】
このような構成によれば、押圧力または操作面に対する指の接触面の傾斜といったようなプッシュ・ボタンの押下方法を調整することにより圧力検出部の出力を制御して、球体の回転量に対するカーソルまたは画面の移動量を調整することができる。そして、カーソルまたは画面の長距離の移動のときは修正ゲインを大きくし、短距離の移動のときは修正ゲインを小さくするよう回転操作をする指と同じ指で押下操作をすることができる。圧力検出部はプッシュ・ボタンに加えられた圧力を測定する圧力センサ、または、プッシュ・ボタンに動作圧力以上の押圧力が加えられたときにスイッチ動作をする圧力スイッチで構成することができる。
【0012】
本発明にかかる回転ボール型入力デバイスは、球体を回転させながら複数のプッシュ・ボタンのすべてまたはいくつかを1本の指で押下させて回転方向と回転速度を調整する。ユーザにとってプッシュ・ボタンに対する押圧力を調整することは、球体の回転量を調整することに比べて困難である。特に、手で保持して使用する携帯式電子機器においてはこの傾向は顕著である。しかし、選択した数のプッシュ・ボタンをスイッチ動作をさせる操作は比較的容易である。しかも、圧力スイッチの動作圧力は、圧力センサの圧力特性に比べて時間的に安定している。
【0013】
したがって圧力検出部に圧力スイッチを採用して、同時にスイッチ動作をした圧力検出部の数に応じて修正ゲインを決定することが望ましい。修正ゲインは圧力検出部の数に基づいて生成するため、圧力検出部の数が多いほど多様な特性に対応させることができる。圧力スイッチは圧力センサに比べて入力デバイスを簡単な構造で実現できるため小型化に適しており、多様な特性に対応するために必要な数のプッシュ・ボタンを1本の指で押下できる範囲に配置することができる。ゲイン修正部は、同時にスイッチ動作をした圧力検出部の数に応じて段階的に変化し、段階の差分が同時にスイッチ動作をした圧力検出部の数に応じて異なるような修正ゲインを生成することができる。
【0014】
このように同時にスイッチ動作をしたプッシュ・ボタンの数に応じて1個あたりのプッシュ・ボタンによる修正ゲインの増分を可変にする構成により、押圧力と修正ゲインの関係をユーザにとって望ましい操作感に合致させることができる。複数のプッシュ・ボタンは球体の周囲に配置された複数の内周側のプッシュ・ボタンとそれらの外側の周囲に配置された複数の外周側のプッシュ・ボタンで構成することができる。複数の内周側のプッシュ・ボタンと複数の外周側のプッシュ・ボタンは球体を中心とする同心円上に配置してもよい。
【0015】
球体と複数の内周側のプッシュ・ボタンと複数の外周側のプッシュ・ボタンで構成される操作面をドーム状に形成し、各プッシュ・ボタンを球面状の突起で形成すると指の押圧力と指の腹の操作面に対する傾斜角を調整して、所定の数のプッシュ・ボタンにスイッチ動作させる操作がし易くなる。表面が球面状の突起とは球体の一部を切り取った形状、回転楕円体の一部を切り取った形状、放物線または双曲線を回転させて形成したような形状を含む。ゲイン修正部は、複数の内周側のプッシュ・ボタンが1個ずつスイッチ動作をしたときの修正ゲインが第1の直線に沿って段階的に変化し、複数の内周側のプッシュ・ボタンがすべてスイッチ動作をした後に複数の外周側のプッシュ・ボタンが1個ずつスイッチ動作をしたときの修正ゲインが第2の直線に沿って段階的に変化するように修正ゲインを生成することができる。
【0016】
このとき第1の直線と第2の直線の差は、複数の内周側のプッシュ・ボタンのそれぞれに対応する修正ゲインに対するバイアスに相当する。このように内周側のプッシュ・ボタンの全体に対してバイアスを与えることで、移動量修正部は容易にユーザの良好な操作感に対応する修正移動量を生成することができる。スイッチ動作をした内周側のプッシュ・ボタンを特定する必要がない場合は、内周側の複数のプッシュ・ボタンのそれぞれに対応する圧力検出部を電気的に並列に接続された抵抗素子で構成し、合成抵抗の値からスイッチ動作をした圧力検出部の数を特定すると少ない配線数の構造にすることができる。
【0017】
動作モード変更部は、リセット後に、球体の回転動作と複数の外周側のプッシュ・ボタンのいずれかのスイッチ動作のいずれを先に受け取ったかを判断する。回転動作を先に検出したときはカーソルを移動させる通常モードを示す通常モード信号を出力し、スイッチ動作を先に検出したときは画面の表示方法を変更したりメニュー選択画面を表示したりする特定モードを示す特定モード信号を出力することができる。画面の表示方法の変更には、スクロールによる表示位置の変更、回転による表示方向の変更、または縮尺の選択による表示範囲の変更を含むことができる。動作モード変更部が球体とプッシュ・ボタンの動作の先後を検出して動作モードを変更することにより、入力デバイスをマウス・ジェスチャに対応した多機能な用途に供することができる。
【0018】
この場合、複数の内周側のプッシュ・ボタンと複数の外周側のプッシュ・ボタンが発光素子を含み、特定モード信号を受け取った際に、スイッチ動作をした外周側のプッシュ・ボタンと複数の内周側のプッシュ・ボタンのすべてを同色で発光させる発光素子制御部を備えることにより、ユーザは動作モードの変更と変更内容を容易に認識できる。内周側のプッシュ・ボタンおよび外周側のプッシュ・ボタンがスイッチ動作をする押圧力より大きな押圧力で動作するクリック・スイッチを設けることで、1本の指を移動させないでカーソルの移動と入力操作を行うことができる。
【0019】
複数の外周側のプッシュ・ボタンを電子機器の筐体に形成された開口の中に、それぞれが周囲の筐体の撓みを利用して操作できるように筐体の表面より低い位置に配置することで、球体よりも先に外周側のプッシュ・ボタンに触れることで意図しない特定モードへの移行を防ぐことができる。なお、意図しない特定モードへの移行を防ぐために外周側のプッシュ・ボタンがより強い押圧力でスイッチ動作をするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、カーソルまたは画面を長距離と微少距離のいずれを移動させる場合でも操作性に優れた回転ボール型入力デバイスを提供することができた。さらに本発明により、構造が簡単な回転ボール型入力デバイスを提供することができた。さらに本発明により、指1本で操作できる程度までの小型化が可能な回転ボール型入力デバイスを提供することができた。さらに本発明により、多機能の回転ボール型入力デバイスを提供することができた。さらに本発明により、そのような回転ボール型入力デバイスを実装した電子機器およびカーソルの移動方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態にかかる回転ボール型入力デバイスを実装する携帯式電子機器の外形を示す図である。
【図2】回転ボール型入力デバイスの概略の外形を示す図である。
【図3】回転ボール型入力デバイスの主要な構造を示す分解斜視図である。
【図4】図3のA−A断面に対応する位置の側面図である。
【図5】スイッチ動作をしているプッシュ・ボタンのパターンの一例を示す図である。
【図6】内周側のプッシュ・ボタンのスイッチ動作を説明する図である。
【図7】外周側のプッシュ・ボタンのスイッチ動作を説明する図である。
【図8】回転ボール型入力デバイスの制御回路の構成を説明する機能ブロック図である。
【図9】同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの数と修正ゲインとを対応付けた参照テーブルのデータ構造を説明する図である。
【図10】回転ボール型入力デバイスの動作を説明するフローチャートである。
【図11】クリック・スイッチに特徴がある他の回転ボール型入力デバイスの構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本実施の形態にかかる回転ボール型入力デバイスを実装する携帯式電子機器の外形を示す図である。携帯式電子機器10は、スマートフォンまたは携帯電話などの小型の電子機器である。携帯式電子機器10には、ディスプレイ11と回転ボール型入力デバイス(以下、単に入力デバイスという。)100が実装されている。ディスプレイ11には、現在の入力位置を示すカーソル13が表示されている。ユーザは入力デバイス100を操作してカーソル13を所定の位置まで移動させ、携帯式電子機器10に対する入力操作をすることができる。さらにユーザは入力デバイス100を操作して、ディスプレイ11に表示する画面のサイズ、表示方向、または画面全体の中の表示位置などのような表示方法を変更することができる。
【0023】
図2は、入力デバイス100の概略の外形を示す図である。図2(A)は側面図で図2(B)は操作面108側から見た平面図である。入力デバイス100は、操作面108が全方向に回転が可能な1個の球体101とその周辺に配置された8個のプッシュ・ボタン103a〜103d、105a〜105dで構成されている。入力デバイス100は、携帯式電子機器10の筐体15の表面に形成された円形の開口部21に配置され操作面108が指で操作できるように露出する構造となっている。
【0024】
入力デバイス100は、球体101と複数のプッシュ・ボタンを同時に親指180または他の1本の指だけで操作できる程度まで小型に形成されている。4個の内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dは、平面的に球体101を中心とする円周上でかつ球体101の周囲に等間隔で配置されている。4個の外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dは、平面的に球体101を中心とする円周上でかつ内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの外側の周囲に等間隔で配置されている。
【0025】
各プッシュ・ボタンには複数の色で発光できる発光ダイオード(LED)が組み込まれており、指が触れる表面が球面の一部となるような形状あるいはそれに近い形状の突起で形成されている。入力デバイス100は、指180からの操作量として球体101に対する任意の方向の回転力と、各プッシュ・ボタンに対する下向きの圧力(以後、押圧力という。)を受け取る。所定値以上の押圧力を受けた各プッシュ・ボタンは、押圧力に基づく物理的な変位により後に説明するようにスイッチ動作をする。本実施の形態にかかる入力デバイス100は、球体101の回転動作によりカーソル13を移動させることができ、さらに球体101を回転させている間に行う各プッシュ・ボタンのスイッチ動作により移動速度を調整してカーソル13を移動させることができる。
【0026】
図2(A)に示したように、球体101の頂部と内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの頂部と外側のプッシュ・ボタン105a〜105dの頂部は、ドーム型の操作面108を形成するように高さの調整と平面的な位置決めが行われている。すなわち、球体101の頂部が最も高い位置に存在し、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dの頂部が最も低い位置に存在し、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの頂部が中間の高さの位置に存在している。操作面108をドーム型にしたことにより、操作面108に指を上から真下に押し当てたときは、指が球体101に先に接触し、つづいて内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dに接触し、最後に外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dに接触する。
【0027】
球体101の頂部と内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの頂部の間隔(高低差)および内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの頂部と外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dの頂部の間隔(高低差)はそれぞれ一例として1.2ミリ・メートルとなっている。したがって、ユーザはいずれのプッシュ・ボタンにも触れないようにしながら親指180をスライドさせて球体101を回転させることができる。あるいはユーザはいずれのプッシュ・ボタンもスイッチ動作をしないような押圧力で親指180をスライドさせて球体101を回転させることができる。
【0028】
球体101を回転させながら操作面108を親指180で押し付けると親指180の腹が変形して内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dにスイッチ動作をさせることができる。さらに、球体101を回転させながら操作面108を親指180で押し付けると親指180の腹がさらに変形して球体101と内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dおよび外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dにスイッチ動作をさせることができる。
【0029】
そして、所定値以上の押圧力を与えながら親指180の腹の入力デバイス100に対する接触面をさまざまな方向に傾けることにより、球体101を回転させながらスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数を選択することができる。入力デバイス100は、親指180で一度にすべてのプッシュ・ボタンの押下が可能でかつスライドして球体101の回転操作をするのに適したサイズにするために、複数の外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dで画定される直径Dを、15ミリ・メートル以下にしている。回転操作と押下操作を親指1本で同時に行うための平面方向の直径Dは、好ましくは10ミリ・メートル〜15ミリ・メートルとすることができる。入力デバイス100は、図3および図4に示す構造を採用することで、このような操作に適する程度までの小型化を図ることができる。
【0030】
図3は、入力デバイス100の主要な構造を示す分解斜視図である。図4は図3のA−A矢視の位置の側面図である。図4には、図3には描いていない携帯式電子機器10の筐体15および入力デバイス100のケース141も示している。図4において球体ユニット121は、球体101をいずれの方向にも回転できるように支持している。代表的に示しているローラ123aは球体101を左回転させたときに左側にシフトした球体101から回転力を受けて回転する。ローラ123bは球体101を右回転させたときに右側にシフトした球体101から回転力を受けて回転する。
【0031】
図4ではローラが球体101の2方向にだけ配置された様子を示しているが、実際には球体101の下部を4方向から取り囲むように4個のローラが配置されている。球体101は回転するときに回転方向にシフトするため、回転方向に配置された1つまたは2つのローラが球体101と同時に回転する。したがって、ローラごとの回転量を検出することで、球体101の回転量と回転方向を検知することができる。球体101の回転量とは、球体101の回転方向における回転角度または回転角度に対応する球体101の表面の長さに相当する量である。
【0032】
各ローラには、N極とS極が所定角度のピッチで交互に配置されたリング状の磁石が取り付けられている。ローラ123a、123bに対応する検出部127a、127bはリング状の磁石の磁束を検出できる位置に配置され、ローラ123a、123bの回転を磁束の変化として検出して電気的なパルスに変換する。他の2つのローラに対応する検出部も対応するローラの回転に応じて電気的なパルスを生成する。各検出部が生成するパルス数は、球体101の回転方向における回転量に対するX方向の成分またはY方向の成分に対応する。
【0033】
4つの検出部からのパルスにより、入力デバイス100は球体101の回転量と回転方向を検出することができる。クリック・スイッチ129が取り付けられた片持ちばね125は球体101を弾力的に支持している。球体101が所定値以上の押圧力で押下されると片持ちばね125は弾性変形して、クリック・スイッチ129が動作する。クリック・スイッチ129は、カーソル13の位置におけるシステムに対する入力またはドラッグなどに使用される。クリック・スイッチ129が動作する押圧力は、各プッシュ・ボタンがスイッチ動作をする押圧力よりも大きくなるように設定している。回路基板131は、球体101および各プッシュ・ボタンを通じて入力された信号を処理して携帯式電子機器10のシステムに出力するための制御回路200(図8参照)を含む。
【0034】
図3において、球体ユニット121の周囲には、導電性プラスチックで形成された平板状の上部内周リング107が配置されている。4個の内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dは、上部内周リング107に90度の間隔で取り付けられている。上部内周リング107の外側の周囲には、4分割され導線性プラスチックで形成された平板状の上部外周リング109a〜109dが配置されている。外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dは、各上部外周リング109a〜109dに内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dから45度回転した位置に等間隔で1個ずつ取り付けられている。
【0035】
上部内周リング107の下側には、導電性プラスチックで形成された平板状の下部内周リング117が配置されている。下部内周リング117には、プッシュ・ボタン103a〜103dに対応する位置にそれぞれ同じ高さの4個の抵抗素子113a〜113dが取り付けられている。さらに、下部内周リング117には、各抵抗素子113a〜113dの間にスプリングまたは弾性ゴムなどで形成された4個の弾性部材114a〜114dが取り付けられている。弾性部材114a〜114dはそれぞれ同じ高さで、かつ抵抗素子113a〜113dよりも高さが高くなっており、上部内周リング107を抵抗素子113a〜113dに対して所定の間隔に維持するように支持するスペーサとして機能する。
【0036】
上部内周リング107が弾性部材114a〜114dで支持されたときに、抵抗素子113a〜113dと上部内周リング107との間には所定のスペースが確保される。上部内周リング107は弾力性のある材料で形成され、いずれか1個のプッシュ・ボタン103a〜103dまたは任意に選択した2個以上のプッシュ・ボタン103a〜103dを指で所定値以上の押圧力で押し込むと、弾性部材114a〜114が弾性変形して押し込まれたプッシュ・ボタン103a〜103dに対応する抵抗素子113a〜113dと上部内周リング107が1箇所または複数箇所で接触する。
【0037】
したがって、弾性部材114a〜114dは、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dが押下されて、抵抗素子113a〜113dと上部内周リング107の接触によるスイッチ動作をするときの動作圧力を画定する。プッシュ・ボタン103a〜103dは押圧力が消滅すると弾性部材114a〜114dと上部内周リング107の復元作用により上部内周リング107と抵抗素子113a〜113dが離れて、スイッチ動作はリセットされる。
【0038】
4個の抵抗素子113a〜113dは相互に抵抗値が等しいものを選択する。プッシュ・ボタン103a〜103dのいずれか1つがスイッチ動作をしたときは上部内周リング107と下部内周リング117が一定の抵抗値で電気的に接続される。回路基板131の制御回路200は、上部内周リング107と下部内周リング117との間で並列に接続された抵抗素子113a〜113の合成抵抗を測定することで、同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタン103a〜103dの数を認識することができる。
【0039】
本実施の形態では後に説明するようにゲインの修正に、同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの数だけを利用するため、スイッチ動作をした内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dを個別に特定する必要はない。内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dは、個別にスイッチを設けることもできるが合成抵抗を測定する方法を採用することにより配線数を減らすことができる。
【0040】
図6は、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dのスイッチ動作を説明する図である。図6(A)は、スイッチ動作をする前の状態を示し、図6(B)は、プッシュ・ボタン103bと103cが同時に押下されてスイッチ動作をしている状態を示している。内周側プッシュ・ボタン103a〜103dのいずれかまたは複数個が押下されたときには、対応する弾性部材114a〜114dが弾性変形するとともに上部内周リング107も弾性変形して、押下された1個または複数個のプッシュ・ボタン103a〜103dだけがスイッチ動作をするようになっている。
【0041】
図3に戻って上部外周リング107の下側には、4分割され導電性プラスチックで形成された平板状の下部外周リング119a〜119dが配置されている。下部外周リング119a〜119dには、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dに対応する位置にそれぞれ同じ高さの4個の抵抗素子115a〜115dが取り付けられている。さらに、各下部内周リング119a〜119dには、各抵抗素子115a〜115dの両側にスプリングまたは弾性ゴムなどで形成された8個の弾性部材116a〜116hが取り付けられている。
【0042】
弾性部材116a〜116hは、相互に同じ高さでかつ抵抗素子115a〜115dよりも高さが高くなっており、上部外周リング109a〜109dを下部内周リング119a〜119dに対して所定の間隔に維持するように支持するスペーサとして機能する。上部外周リング109a〜109dが対応する弾性部材116a〜116hで支持されたときに、抵抗素子115a〜115dと上部外周リング119a〜119dとの間には所定のスペースが確保される。
【0043】
外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのいずれかを所定値以上の押圧力で押し込むと、対応する弾性部材116a〜116hが弾性変形して押し込まれたプッシュ・ボタンに対応する抵抗素子115a〜115dと上部外周リング109a〜109dが接触する。弾性部材116a〜116dは、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dがスイッチ動作をする動作圧力を画定する。
【0044】
プッシュ・ボタン105a〜105dは押圧力が消滅すると弾性部材116a〜116hの復元作用により元の位置に復帰してスイッチ動作はリセットされる。回路基板131の制御回路200は、各上部外周リング109a〜109dとそれらに対応する下部外周リング119a〜119との間の電気抵抗を測定することで、スイッチ動作をしたプッシュ・ボタン105a〜105dを特定することができる。
【0045】
本実施の形態では、ゲインを修正する上では同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの数だけを利用するので、その目的ではスイッチ動作をした外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを特定する必要はない。ただし、本実施の形態ではスイッチ動作をした外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを特定することで、入力デバイス100によりマウス・ジェスチャのための多くの機能を付与するようにしている。入力デバイス100の機能については後に説明する。
【0046】
下部内周リング117に取り付けられた弾性部材114a〜114dの高さおよび弾性係数と下部外周リング119a〜119dに取り付けられた弾性部材116a〜116hの高さおよび弾性係数はほぼ同じ値に設定している。ただし、両者の弾性係数および高さまたはいずれか一方を異なる値に設定するようにしてもよい。内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの頂部の高さと、外周側のプッシュ・ボタン105a〜150dの頂部の高さには、1.2ミリ・メートルの差があるため、親指180の操作面108に対する接触面を傾斜させないで操作面108を均等な圧力で徐々に押し込んだときには、最初に内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dがスイッチ動作をする。
【0047】
このとき親指180は各内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dから、弾性部材114a〜114dの弾力による圧力感を受け取る。さらに押圧力を強めて親指180を押し込むと指の腹がさらに変形して外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dがスイッチ動作をする。このとき親指180の外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを押下している部分は、弾性部材116a〜116hの弾力により最初に内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dだけがスイッチ動作をしたときと同じ程度の圧力感を受ける。外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dがスイッチ動作をしたときには、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dを押下している部分は、弾性部材114a〜114dの弾力によりさらに強い圧力感を受け取る。
【0048】
このように操作面108をドーム形状にしたり弾性部材の高さおよび弾性係数を適切に設定したりすることで、ユーザはプッシュ・ボタンから受ける圧力感に基づいて親指180の接触面の角度と押圧力を変えてスイッチ動作をさせるプッシュ・ボタンの数を選択することができる。内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dと外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dがスイッチ動作をしてから、さらに押圧力を強めるとクリック・スイッチ129が動作する。
【0049】
図5は同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンのパターンの一例を示す図である。図5(A)のパターンは、親指180が球体101にだけ接触していずれのプッシュ・ボタンもスイッチ動作をしていない状態を示している。この状態では、球体101に対する回転操作だけで入力することができる。図5(B)〜図5(I)のパターンは、押圧力を加えながら操作面108に対する親指180の接触面を傾斜させて、球体101と同時に1個〜8個のプッシュ・ボタンを押下して各プッシュ・ボタンにスイッチ動作をさせた状態を示している。
【0050】
図5のパターンは例示であり同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンのパターンは、図5に示したものに限定されない。そして親指180が操作面108を押下しながらスライドして図5(A)〜図5(I)のようなパターン間を遷移することより、球体101を回転させながら、同時にスイッチ動作をさせるプッシュ・ボタンの数を維持したり変更したりすることができる。入力デバイス100に対する回転操作と押下操作を同時に行うために、ユーザは親指180の接触面をさまざまな方向に傾けながら操作面108上をスライドさせることになる。
【0051】
選択した数のプッシュ・ボタンだけを動作圧力以上の押圧力で押下してスイッチ動作をさせるためには、親指180の接触面がどのような方向に傾斜してもスイッチ動作をしたときに弾性部材から同じ圧力感を受けることが望ましい。プッシュ・ボタンを平板状のパッドにした場合は親指180をスライドしたときの摩擦が大きいためスライド時に押圧力が変化して安定した押圧力を加えることが困難になることが予想される。さらに平板状のパッドでは、押圧力の作用点がその中心になるとは限らないため、押圧力の調整が困難になることも予想される。
【0052】
本実施の形態では、プッシュ・ボタンの指が触れる部分を球面形状または球面に近い形状の突起にしている。球面形状の突起は、親指180の接触面がどのような方向に傾斜していても接触面積が少ないため所定の押圧力に対して親指180の接触面にほぼ一定の圧力感を与えることができる。さらに、スライド時の摩擦力も小さいため、安定した押圧力を加えることができる。
【0053】
図7は外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのスイッチ動作を説明する図である。外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dは、筐体15に形成された円形の開口部の垂直面18の内側に配置され、その頂部は筐体15の傾斜面16と垂直面18の境界17とほぼ同じ位置になっている。したがって、筐体15の表面19に沿って親指108をスライドさせたときには、球体101または内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dより先に外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを押下してスイッチ操作をさせ難い構造にしている。
【0054】
入力デバイス100を操作する一般的な方法では、親指180で操作面108の全体を上から押下してからスライドさせ、指の腹の変形と接触面の傾斜により球体101の回転操作および各プッシュ・ボタンの押下操作をする。したがってこの一般的な操作方法では、球体101の回転動作と外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのスイッチ動作の先後関係は必ず球体101の回転動作が先になる。
【0055】
ここで、親指180の先で筐体15の傾斜面16を押下したときに、傾斜面16および近辺の表面19がわずかに下側に弾性変形するように筐体15を形成しておけば、親指180で外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのいずれかを球体101の回転動作または内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dのスイッチ動作よりも先にスイッチ動作させることができる。図3に示したように外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dは、スイッチ動作を個別に認識できるように上部外周リング109a〜109dと下部外周リング119a〜119dが分割されている。よって、先にスイッチ動作をした外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを識別して、入力デバイス100が多くの機能に対応できるように動作モードを変更することができる。
【0056】
図8は入力デバイス100の回路基板131に形成された制御回路200の構成を説明する機能ブロック図である。回転量変換部201は、1つまたは2つの検出部127から受け取ったX方向およびY方向またはいずれか一方のパルス数から、操作方向を示す方向情報を生成し、所定のゲインで球体101の回転量に対応するカーソル13の移動量またはスクロールする画面の移動量を生成する。ゲインとは、球体の回転量に対するカーソルの移動量またはスクロールする画面の移動量の倍率に対応する量である。
【0057】
本実施の形態では、回転量変換部201が保持する所定のゲインを最低の値に設定し、同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数でゲインを増大させるように構成している。回転量変換部201は、単位時間当たりに受け取ったパルス数をカウントして球体101の回転速度を検出し、回転速度に応じて周知の方法によりゲインを修正するようにしてもよい。たとえば、球体101が異なる回転速度で同じ回転量だけ回転した場合に、回転速度が速いほどカーソル13の移動距離が長くなるように所定のゲインを修正してもよい。
【0058】
回転量変換部201が生成した移動量は、同時にスイッチ動作をしたプッシュ・ボタンの数に応じて移動量修正部203で増幅されインターフェース47に出力される。いずれのプッシュ・ボタンもスイッチ動作をしていない状態で球体101が回転動作をしたときにはゲインが最低になっているので、入力デバイス100はカーソル13の位置の微調整または画面をスクロールする際の表示位置の微調整に適した動作をする。スイッチ動作をしていない状態でのゲインを最低に設定することは、弱い押圧力のときに距離の微調整をするという人間の自然の感覚に合致する。
【0059】
回転量変換部201は、球体101が回転動作をしてパルスを受け取っている間は、回転動作信号を動作モード変更部205に出力する。動作モード変更部205は、回転量変換部201から回転動作信号を受け取り、スイッチ動作検出部211からスイッチ動作信号を受け取る。スイッチ動作信号は、いずれかの外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dがスイッチ動作をしたときに、その都度当該プッシュ・ボタンを特定する情報とともにスイッチ動作検出部211が動作モード変更部205に出力する。すなわち、動作モード変更部205はスイッチ動作信号を受け取ったときにスイッチ動作をした外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを識別することができる。
【0060】
動作モード変更部205は、リセット後に受け取った回転動作信号とスイッチ動作信号の先後を判断してインターフェース47にモード信号を出力する。動作モード変更部205のリセットは、動作モード変更部205が所定の時間の間、回転動作信号およびスイッチ動作信号のいずれも受け取らないと判断したときに動作モード変更部205が行う。モード信号は、入力デバイス100を通常モードで動作させる通常モード信号と特定モードで動作させる特定モード信号で構成される。動作モード変更部205は、リセット後に回転動作信号を先に受け取ったときには、インターフェース47に通常モード信号を出力する。動作モード変更部205は、リセット後にスイッチ動作信号を先に受け取ったときはインターフェース47に特定モード信号を出力する。
【0061】
通常モードは、入力デバイス100がカーソル13を移動する情報をシステムに出力する動作モードをいう。特定モードは、入力デバイス100が、画面のスクロールによる表示位置の変更、画面の回転による表示方向の変更、画面の縮尺の選択による表示範囲の変更、および起動するアプリケーションを選択するメニュー画面の表示など行う情報をシステムに出力する動作モードをいう。
【0062】
特定モード信号は動作モードの種類に対応して、スクロール・モード信号、回転モード信号、縮尺モード信号、およびメニュー・モード信号で構成されている。そして、外周側のプッシュ・ボタン105aにはスクロール・モード信号が割り当てられ、プッシュ・ボタン105bには回転モード信号が割り当てられ、プッシュ・ボタン105cには縮尺モード信号が割り当てられ、さらに、プッシュ・ボタン105dにはメニュー・モード信号が割り当てられている。
【0063】
動作モード変更部205は、クリック・スイッチ129からクリック信号を受け取る。動作モード変更部205は、特定モード信号をインターフェース47に出力している間に、クリック・スイッチ129から所定時間以内に2回連続してクリック信号を受け取ったときは特定モードをリセットしてインターフェース47に通常モード信号を出力する。動作モード変更部205は、回転動作信号およびスイッチ動作信号を一定の時間受け取らない場合は現在の動作モードをリセットしてモード信号の出力を停止し、つぎに先に受け取った回転動作信号またはスイッチ動作信号に基づいていずれかのモード信号を出力する。
【0064】
LED制御部207は、動作モード変更部205から特定モード信号を受け取ったときは、スイッチ動作をしたいずれかの外周側のプッシュ・ボタンと内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dのすべてを同じ色に発光させる。たとえば、プッシュ・ボタン105aがスイッチ動作をしたときには、プッシュ・ボタン105aとプッシュ・ボタン103a〜103dを赤色に発光させる。また、プッシュ・ボタン105bがスイッチ動作をしたときには、プッシュ・ボタン105bとプッシュ・ボタン103a〜103dを緑色に発光させる。このように異なる発光色でプッシュ・ボタンのLEDを発光させることでユーザは特定モードの開始とその種類を容易に認識することができる。
【0065】
スイッチ動作検出部209は、1〜4個の範囲で同時にスイッチ動作しているプッシュ・ボタン103a〜103dの数をゲイン修正部213に出力する。スイッチ動作検出部211は、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのいずれかがスイッチ動作をしたときに動作モード変更部205に当該プッシュ・ボタンの情報とスイッチ動作信号を出力するとともに、1個〜4個の範囲で同時にスイッチ動作しているプッシュ・ボタン105a〜105dの数をゲイン修正部213に出力する。
【0066】
参照テーブル215は、同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの数と修正ゲインとを対応付けたデータを保有しており、ゲイン修正部213が参照できるようになっている。参照テーブル215のデータ構造は図9を参照して後に説明する。ゲイン修正部213は、スイッチ動作検出部209から受け取ったプッシュ・ボタンの数とスイッチ動作検出部211から受け取ったプッシュ・ボタンの数から同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの総数を計算する。
【0067】
ゲイン修正部213は参照テーブル215を参照して、同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの総数に対応する修正ゲインを取得し、移動量修正部203に出力する。修正ゲインは、回転量変換部201から受け取った移動量に対する倍率または回転量変換部201が保有する所定のゲインに代わる可変量に相当する。移動量修正部203は、回転量変換部201から受け取った移動量をゲイン修正部213から受け取った修正ゲインで修正して修正移動量を生成し、方向情報とともにインターフェース47に出力する。
【0068】
インターフェース47は、移動量修正部203から修正移動量と方向情報を受け取り、クリック・スイッチ129からクリック信号を受け取り、さらに、動作モード変更部205からモード信号を受け取って電子機器10の入力処理部51に出力する。入力処理部51は、通常モード信号を受け取ったときには、修正移動量と方向情報に基づいて携帯式電子機器10がカーソル13を移動するための処理をする。入力処理部51は、特定モード信号を受け取ったときには、特定モードの種類と修正移動量と方向情報に基づいて携帯式電子機器10が画面の表示方法を変更するためのさまざまな処理をする。
【0069】
スクロール・モード信号を受け取った入力処理部51は、移動量修正部203から受け取った修正移動量と方向情報を、画面を上下方向または左右方向にスクロールさせる信号に変換する。このとき入力処理部51は修正移動量を画面のスクロール速度を決める情報として利用し、方向情報を画面のスクロール方向を決める情報として利用することができる。回転モード信号を受け取った入力処理部51は、移動量修正部203から受け取った修正移動量と方向情報を、画面を右回転または左回転させる信号に変換する。このとき入力処理部51は修正移動量を画面の回転速度を決める情報として利用し、方向情報を画面の回転方向を決める情報として利用することができる。
【0070】
縮尺モード信号を受け取った入力処理部51は、移動量修正部203から受け取った修正移動量を、画面を拡大または縮小させる信号に変換する。このとき入力処理部51は、修正移動量を画面の拡大または縮小の速度を決める情報として利用し、方向情報を拡大と縮小を選択する情報として利用することができる。メニュー・モード信号を受け取った入力処理部51は、ディスプレイ11にあらかじめ定義されたメニュー画面を小ウインドウで表示し、移動量修正部203から受け取った方向情報を、メニュー項目を選択させる信号に変換する。このとき入力処理部51は修正移動量をメニュー項目を選択する情報として利用することができる。
【0071】
図9は、同時にスイッチ動作をしているプッシュ・ボタンの数と修正ゲインとを対応付けた参照テーブル215のデータ構造を説明する図である。図9(A)は、プッシュ・ボタン1個当たりのゲインの増分C3を可変にした例を示し、図9(B)はプッシュ・ボタン1個当たりのゲインの増分C1を一定にして内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの全体に対してゲインにバイアスを与えた例を示す。
【0072】
横軸は、入力デバイス100の操作面に加えられた押圧力と指の接触面の角度からなる同時にプッシュ・ボタンを動作させる特性を示し、縦軸はゲイン修正部213が出力する修正ゲインを示す。横軸は、親指180による球体101の回転動作だけの状態およびスイッチ動作をするプッシュ・ボタンを1つずつ増加させるような押圧力と接触面の変化に対応するということもできる。横軸で押圧力がP1まではいずれのプッシュ・ボタンもスイッチ動作をしないため修正ゲインは1となっている。
【0073】
このとき移動量修正部203は、回転量変換部201が生成した移動量を修正しないでインターフェース47に出力する。すなわち、球体101の回転量に対するゲインは、回転量変換部201が保有する所定のゲインとなる。押圧力がP1を越えると、プッシュ・ボタンのスイッチ動作により修正ゲインは増大する。押圧力がP1を越えた範囲の修正ゲインは、回転量変換部201が出力した移動量に対する修正移動量の倍率に相当する。
【0074】
P1を越えた押圧力を加えながら親指180の腹の接触面を傾けることにより、図5の(B)〜(E)に例示したようなパターンで、1個〜4個の内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dをスイッチ動作させることができる。さらにP2を越えた押圧力を加えながら内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dをすべてスイッチ動作させ、さらに図5の(F)〜(I)に例示したようなパターンで1個〜4個の外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dをスイッチ動作させることができる。
【0075】
図9(A)のライン255は、同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数が1個増える毎に同一の値の増分C1だけ修正ゲインが直線251に沿って階段状に増加していく様子を示している。各階段のステップに表示した数字は、同時に動作しているプッシュ・ボタンの数を示している。ユーザは、ライン253のように押圧力の中間部で修正ゲインが直線251よりも小さくなったほうが、カーソル13の操作性が良好であると感じる。すなわち、ユーザはカーソルを長い距離移動させる場合は押圧力を強くしてできるだけ速くカーソルを移動させるが、目標位置に近づくにしたがって押圧力を弱くしたときは、押圧力に比例して低下する以上にゲインが低下したほうが、適切なカーソルの移動ができる場合がある。
【0076】
このようなユーザの要求に対応するために、参照テーブル215は、ライン257に示すような階段状の修正ゲインを格納する。ライン257は、修正ゲインがユーザの要求を示すライン253に沿って変化するようにプッシュ・ボタン1個当たりの修正ゲインの増分C3が、同時にスイッチ動作するプッシュ・ボタンの数が増えるほど増加するように可変に設定されている。さらに、ライン257では、いずれのプッシュ・ボタンもスイッチ動作をしていない押圧力がP1以下のときの移動量に対して増分C2のバイアスをかけて、ライン257がライン253に接近するようにしている。バイアスC2は、いずれのプッシュ・ボタンもスイッチ動作をしていないときに、回転量変換部201が生成した移動量を増大させる。
【0077】
入力デバイス100は、操作面108が図2に示したようにドーム型になっている。したがって、図5(F)に示したように、通常の操作では外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dがスイッチ動作をするときは、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dはすでにスイッチ動作をしていると想定できる。この特徴を利用して他の例を示す図9(B)の修正ゲインは、階段の増分C1を変更しないで、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dの全体に対して減分C3のバイアスをかけて、ライン259がライン253に接近するようにしている。
【0078】
内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dが1個ずつスイッチ動作したときの修正ゲインはライン259に示すように、直線251に平行な直線261に沿って階段状に増加する。同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数が5個以上のときは、ライン259の修正ゲインはライン255の修正ゲインに一致する。参照テーブル215は、ライン257またはライン259の修正ゲインと、同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数を対応付けて格納する。
【0079】
図10は、入力デバイス100の動作を説明するフローチャートである。ブロック301では、入力デバイス100が通常モードまたは特定モードで動作している。ブロック303で動作モード変更部205は、所定時間に回転動作信号またはスイッチ動作信号を受け取っている限り現在の動作モードを維持して同じモード信号をインターフェース47に出力する。所定時間以内に回転動作信号およびスイッチ動作信号のいずれも受け取っていない場合は、動作モード変更部205は現在の動作モードをリセットしてブロック305に移動する。動作モードをリセットしたときは、動作モード変更部205からインターフェース47および入力処理部51へのモード信号は停止する。
【0080】
ブロック305では、動作モード変更部205は回転動作信号とスイッチ動作信号のいずれを受け取ったかを判断する。回転動作信号を受け取ったときはブロック307に移行して、動作モード変更部205はインターフェース47を通じて入力処理部51に通常モード信号を出力する。これ以降は、入力処理部51はインターフェース47から受け取った修正移動量と方向情報に対してカーソル13を移動させる処理をする。
【0081】
ブロック309では、ユーザが親指107で球体101だけを回転させたり、球体101の回転操作とプッシュ・ボタンの押下操作を同時に行ったりしてカーソル13を移動させる。カーソル13を所定の位置まで移動させた後には、球体101を強く押下してクリック・スイッチ129を1回だけスイッチ動作させシステムに入力をしたりドラッグをしたりすることができる。ブロック311では、ゲイン修正部213が同時に押下されているプッシュ・ボタンの数に対応する修正ゲインを参照テーブル215から取得して移動量修正部203に送る。ブロック313では、入力処理部213がインターフェース47から受け取った修正移動量と方向情報に基づいてカーソル13の移動処理をする。
【0082】
移動量修正部203は、球体101の回転動作だけの場合あるいはスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数が少ない場合は、所定の回転量に対して小さな修正移動量をインターフェース47に出力するため、ユーザはカーソル13の細かな位置決めを容易に行うことができる。移動量修正部203は、押圧力が高まって同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数が多くなるほど所定の回転量に対して大きな修正移動量をインターフェース47に出力するので、ユーザはカーソル13の長距離の移動を容易に行うことができる。その後、ブロック303に戻って動作モード変更部205は通常モードを維持するか動作モードをリセットする。
【0083】
ブロック305で動作モード変更部205がスッチ動作信号を受け取ったときは、ブロック331に移行する。ブロック331では、動作モード変更部205はインターフェース47を通じて入力処理部51に4つの特定モード信号のいずれかを出力する。これ以降は、入力処理部51はインターフェース47から受け取った修正移動量と方向情報に対して画面のスクロールによる表示位置の変更、画面の回転による表示方向の変更、画面の縮尺の選択による表示範囲の変更、またはメニュー項目の選択のための処理をする。
【0084】
ブロック333では、LED処理部207がスイッチ動作をした外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dに応じて、当該外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのいずれかとすべての内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dのLEDを同一色で点灯する。ブロック335ではLEDの点灯により現在の動作モードを認識したユーザが、親指107で球体101だけを回転させたり、球体101の回転動作とプッシュ・ボタンのスイッチ動作を同時に行ったりして、画面に対する特定の操作をする。
【0085】
ブロック337はブロック311と同様にゲイン修正部213が同時に押下されているプッシュ・ボタンの数に対応する修正ゲインを参照テーブル215から取得して移動量修正部203に送る。ブロック339では、入力処理部51がインターフェース47から受け取った修正移動量と方向情報に基づいて画面の表示方法を変更したりメニューを選択したりするための特定モードの処理をする。
【0086】
移動量修正部203は、球体101の回転動作だけの場合あるいはスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数が少ない場合は、所定の回転量に対して小さな修正移動量をインターフェース47に出力するためユーザはスクロール操作に対しては画面の移動速度を遅くし、回転操作に対しては画面の回転速度を遅くし、拡大または縮小操作に対しては縮尺の変更速度を遅くすることができる。移動量修正部203は、押圧力が高まって同時にスイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数が多くなるほど所定の回転量に対して大きな修正移動量を出力するので、ユーザは画面の変更速度を速くすることができる。
【0087】
ブロック341では、動作モード変更部343が、クリック・スイッチ129から所定の時間以内に2個のクリック信号を受け取ったか否かを判断する。2個受け取った場合はブロック307に移動して、動作モード変更部205は、インターフェース47に通常モード信号を出力して通常モードに移行させる。2個のクリック信号を受け取らない場合は、ブロック303に移行して現在の動作モードを維持するか、動作モードをリセットする。
【0088】
図2では、入力デバイス100の内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dと外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dは、平面的に球体101の中心に対して同心円上に配置される例を示したが、プッシュ・ボタンは必ずしも同心円上に配置する必要はない。たとえば、右利き用と左利き用に適した配置を考慮して決定することもできる。あるいは親指180に代えて人差し指で操作するような場合は、それに適した配置にすることもできる。
【0089】
図4に示した入力デバイス100では、クリック・スイッチ129が球体101の押下により動作するが、異なる構造のクリック・スイッチを備える入力デバイス400を図11に示す。入力デバイス400は入力デバイス100と異なって、片持ちばね125に代えて入力デバイス400のケース141の下面にクリック・スイッチ151を設け、さらにケース141を弾性部材153a、153bが筐体15の底面から支持している。弾性部材153a、153bは、球体101だけを押下したとき、1つまたは複数のプッシュ・ボタンだけを押下したとき、または、球体101と1つまたは複数のプッシュ・ボタンを同時に押下したときに、プッシュ・ボタンより後にクリック・ボタン151が動作するように弾性係数が設定されている。
【0090】
図7では、特定モードを選択するために外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dを筐体15の周囲の表面19よりも低い位置に配置することで、球体101および内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dよりも押下しにくい構造にする例を説明したが、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dの動作圧力を決定する弾性部材116a〜116hを内周側のプッシュ・ボタンの動作圧力を決定する弾性部材114a〜114dよりも強くして同じ機能を実現することもできる。
【0091】
図8の制御回路200では、移動量修正部203が回転量変換部201の出力した移動量を修正ゲインで修正する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。移動量修正部203は、検出部127から受け取ったパルスを修正ゲインで直接移動量に変換してもよい。また、特定モードに移行した後は、外周側のプッシュ・ボタン105a〜105dのスイッチ動作の数も修正ゲインの生成に利用する例を説明したが、特定モードのときはカーソル13の移動ほど細かなゲイン調整が必要ではないので、内周側のプッシュ・ボタン103a〜103dだけを修正ゲインの生成に利用するようにしてもよい。また、図8で説明した制御回路200が行う処理の一部を入力処理部51で行ったり、入力処理部51が行う処理の一部を制御回路200で行ったりすることもできる。
【0092】
図9に示した修正ゲインは、所定のゲインを最小に設定した回転量変換部201が生成した移動量を、同時にスイッチ動作をしたプッシュ・ボタンの数に応じて増大させている。他の例では修正ゲインが、所定のゲインを最大に設定した回転量変換部201が生成した移動量を、同時にスイッチ動作をしたプッシュ・ボタンの数に応じて減少させるようにしてもよい。
【0093】
これまで、スイッチ動作をするプッシュ・ボタンの数に基づいて修正ゲインを生成する例を説明したが、図3の抵抗素子に代えて圧力センサを設け圧力の大きさに基づいて修正ゲインを生成するようにしてもよい。この場合、修正ゲインは、各圧力センサの出力の合計とすることができる。これまで入力デバイス100を携帯式の電子機器に実装する例を示したが、入力デバイス100はノートブック型パーソナル・コンピュータに実装したり、デスクトップ型パーソナル・コンピュータ用の分離タイプのキーボードに実装したりすることも可能である。また回転ボール型入力デバイス100は、USBまたはBluetooth(登録商標)などのインターフェースで電子機器に接続して使用する独立した入力デバイスとして構成することもできる。
【0094】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0095】
10…電子機器
15…筐体
100、400…回転ボール型入力デバイス
101…球体
103a〜103d、105a〜105d…プッシュ・ボタン
107…上部内周リング
108…操作面
109a〜109d…上部外周リング
113a〜113d、115a〜115d…抵抗素子
114a〜114d、116a〜116d…弾性部材
117…下部内周リング
119a〜119d…下部外周リング
121…球体ユニット
127a、127b…検出部
200…制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを備える電子機器に入力操作をする回転ボール型入力デバイスであって、
回転可能に支持された球体と、
前記球体の回転量に対応するカーソルまたは画面の移動量を出力する回転量変換部と、
前記球体の周囲に配置され同じ指で前記球体を回転させながら押下することができる複数のプッシュ・ボタンと、
前記複数のプッシュ・ボタンのそれぞれに対応して設けられた複数の圧力検出部と、
前記複数の圧力検出部の出力に基づいて修正ゲインを生成するゲイン修正部と、
前記修正ゲインで前記移動量を修正して修正移動量を出力する移動量修正部と
を有する回転ボール型入力デバイス。
【請求項2】
前記圧力検出部が前記プッシュ・ボタンに所定値以上の圧力が加えられたときにスイッチ動作をする請求項1に記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項3】
前記ゲイン修正部は、同時にスイッチ動作をした前記圧力検出部の数に応じて前記修正ゲインを決定する請求項2に記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項4】
前記修正ゲインが同時にスイッチ動作をした圧力検出部の数に応じて段階的に変化し、前記ゲイン修正部は段階の増分が同時にスイッチ動作をした圧力検出部の数に応じて異なるような前記修正ゲインを生成する請求項3に記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項5】
前記複数のプッシュ・ボタンが前記球体の周囲に配置された複数の内周側のプッシュ・ボタンと該複数の内周側のプッシュ・ボタンの外側の周囲に配置された複数の外周側のプッシュ・ボタンで構成されている請求項2から請求項4のいずれかに記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項6】
前記球体と前記複数の内周側のプッシュ・ボタンと前記複数の外周側のプッシュ・ボタンで構成される操作面がドーム状に形成され、かつ、各プッシュ・ボタンの表面が球面状の突起で形成されている請求項5に記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項7】
前記ゲイン修正部は、前記複数の内周側のプッシュ・ボタンが1個ずつスイッチ動作をしたときの修正ゲインが第1の直線に沿って段階的に変化し、前記複数の内周側のプッシュ・ボタンがすべてスイッチ動作をした後に前記複数の外周側のプッシュ・ボタンが1個ずつスイッチ動作をしたときの修正ゲインが第2の直線に沿って段階的に変化するように前記修正ゲインを生成する請求項5または請求項6に記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項8】
前記複数の内周側のプッシュ・ボタンのそれぞれに対応する前記圧力検出部が電気的に並列に接続された抵抗素子で構成されている請求項5〜請求項7のいずれかに記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項9】
リセット後に、前記球体の回転動作を先に検出したときは前記移動量に基づいて前記カーソルを移動させる通常モードで動作させ、前記複数の外周側のプッシュ・ボタンのいずれかのスイッチ動作を先に検出したときは前記移動量に基づいて前記画面の表示方法を変更する特定モードで動作させる動作モード変更部を有する請求項5から請求項8のいずれかに記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項10】
前記複数の内周側のプッシュ・ボタンと前記複数の外周側のプッシュ・ボタンが発光素子を含み、
前記特定モードで動作する際に、前記スイッチ動作をした前記外周側のプッシュ・ボタンと前記複数の内周側のプッシュ・ボタンのすべてを同色で発光させる発光素子制御部を有する請求項9に記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項11】
前記内周側のプッシュ・ボタンおよび前記外周側のプッシュ・ボタンがスイッチ動作する押圧力より大きな押圧力で動作するクリック・スイッチを有する請求項5から請求項10のいずれかに記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項12】
前記回転ボール型入力デバイスが前記電子機器の筐体に形成された開口の中に配置され、前記複数の外周側のプッシュ・ボタンが周囲の前記筐体の撓みを利用して操作できるように前記筐体の表面より低い位置に配置されている請求項5から請求項11のいずれかに記載の回転ボール型入力デバイス。
【請求項13】
ディスプレイと
請求項1から請求項12に記載のいずれかに記載された回転ボール型入力デバイスと
を有する電子機器。
【請求項14】
球体と該球体の周囲に配置された複数のプッシュ・ボタンで構成された入力デバイスがディスプレイに表示されたカーソルを移動させる方法であって、
前記球体の回転量に対応する数のパルスを生成するステップと、
前記球体に回転操作をした指と同じ指による前記複数のプッシュ・ボタンの押下に応じた圧力信号を生成するステップと、
前記圧力信号に応じて修正ゲインを生成するステップと、
前記修正ゲインと前記パルスの数に基づいて移動量を生成するステップと、
前記移動量で前記カーソルを移動させるステップと
を有する方法。
【請求項15】
ディスプレイを備える電子機器の入力システムであって、
球体の回転量に対応する数のパルスを出力する検出部と、
前記球体の周囲で1本の指で押下できる範囲に配置された複数のプッシュ・ボタンと、
前記複数のプッシュ・ボタンの押下に応じて修正ゲインを生成するゲイン修正部と、
前記修正ゲインと前記パルスの数に基づいてカーソルの移動量を生成する移動量生成部と、
前記移動量で前記カーソルの移動処理をする入力処理部と
を有する入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−243124(P2011−243124A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116829(P2010−116829)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【Fターム(参考)】