説明

回転ユニット

【課題】耐久性を確保しつつ、軽い操作力での開閉を可能にすることができる回転ユニットを提供すること。
【解決手段】回転ユニット10に、鉛直方向に延在する軸部12を有する軸側部材11と、軸部12が入り込む中空部23を有すると共に、中空部23に軸部12が入り込んだ状態で相対回転可能に軸部12を支持する支持側部材21と、軸側部材11における鉛直方向で支持側部材21に対向する面に配設される軸側磁石16と、対向面同士の極性が同じ極性で軸側磁石16に対向するように支持側部材21に配設される支持側磁石26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物には、扉など回転軸を中心として回転させることにより開閉する建具が多く用いられているが、回転軸は、支持部材に対して摺動しながら回転するため、開閉の動作が重くなったり、回転軸や支持部材に摩耗が発生したりする場合がある。このため、従来の扉等の回転ユニットでは、開閉動作を軽くしているものがある。例えば、特許文献1に記載された門扉の取付装置では、門扉のヒンジ構成部及び連結部材を軽量な材料を用いて構成しており、これにより、門扉の開閉動作を軽くすることができる。
【0003】
また、建築物の建具以外に用いられる回転ユニットでも開閉動作の軽量化を図っているものがある。例えば、特許文献2に記載された折り畳み式携帯無線機では、ヒンジ部の内部に、筐体を閉じた状態で筐体が開く方向に磁力が働く磁石を設けることにより、筐体を開く際の力を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−288166号公報
【特許文献2】特開平7−202787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、開閉動作を軽くするために、特許文献1に記載された門扉の取付装置のように、門扉のヒンジ構成部を軽量な材料を用いた場合、強度が低下し易くなり、耐久性が低下する場合がある。また、特許文献2に記載された折り畳み式携帯無線機のように、磁力の反発力を利用して開く方向の力を低減する場合、反対方向の力、即ち、閉じる方向の力が大きくなる場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐久性を確保しつつ、軽い操作力での開閉を可能にすることができる回転ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る回転ユニットは、鉛直方向に延在する軸部を有する軸側部材と、前記軸部が入り込む中空部を有すると共に、前記中空部に前記軸部が入り込んだ状態で相対回転可能に前記軸部を支持する支持側部材と、前記軸側部材における鉛直方向で前記支持側部材に対向する面に配設される軸側磁石と、対向面同士の極性が同じ極性で前記軸側磁石に対向するように前記支持側部材に配設される支持側磁石と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る回転ユニットは、軸側部材と支持側部材とに、鉛直方向の対向面同士の極性が同じ極性で対向するように軸側磁石と支持側磁石とを配設するため、軸側部材と支持側部材とを上下方向で離間させた状態で維持させることができ、軸側部材と支持側部材とを必要以上に軽量化することなく、相対回転させる際の抵抗を小さくすることができる。これにより、耐久性を確保しつつ、軽い操作力での開閉を可能にすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施形態に係る回転ユニットを備える門扉の概略図である。
【図2】図2は、図1のA部詳細図である。
【図3】図3は、図2に示す軸側部材の斜視図である。
【図4】図4は、図2に示す軸側部材の正面図である。
【図5】図5は、図4のA−A断面図である。
【図6】図6は、図2に示す支持側部材の斜視図である。
【図7】図7は、図2に示す支持側部材の正面図及び要部断面である。
【図8】図8は、軸側部材と支持側部材とを組み合わせる際の説明図である。
【図9】図9は、回転ユニットの正面図及び要部断面である。
【図10】図10は、図9のB−B断面図である。
【図11】図11は、実施形態に係る回転ユニットの変形例を示す正面図及び要部断面である。
【図12】図12は、図11のC−C断面図である。
【図13】図13は、実施形態に係る回転ユニットの変形例を示す正面図及び要部断面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る回転ユニットの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る回転ユニットを備える門扉の概略図である。なお、以下の説明では、本実施形態に係る回転ユニット10が備えられる門扉1の通常の使用態様時における上下方向を、回転ユニット10の上下方向として説明する。図1に示す門扉1は、一対の門扉1が2つの門柱6によって開閉可能に支持されている。詳しくは、2つの門扉1は2つの門柱6間に配設され、各門扉1は、それぞれ門柱6に回転ユニット10によって連結されることにより、開閉可能に支持されている。回転ユニット10は、1つの門扉1と1つの門柱6とを2箇所で連結しており、門扉1の高さ方向における上端付近と下端付近で、門扉1と門柱6とを連結している。また、2つの門扉1には、それぞれ他方の門扉1寄りの端部にレバーハンドル2と錠前(図示省略)とが配設されており、このレバーハンドル2や錠前を操作することにより、門扉1を閉じた状態で維持したり、閉じている状態の門扉1を開いたりすることができる。
【0012】
図2は、図1のA部詳細図である。回転ユニット10は、軸側部材11と支持側部材21とを相対的に回転可能に組み合わせることにより構成されており、軸側部材11は門扉1と一体に設けられ、支持側部材21は門柱6と一体に設けられている。これにより、門扉1と門柱6とは、相対的に回転可能に組み合わされている。
【0013】
これらの軸側部材11と支持側部材21とのうち、軸側部材11は、門扉1において水平方向に延在する部材である横フレーム3の端部を含んで構成されており、この横フレーム3において軸側部材11を構成している部分は、回転ユニット10における門扉1に対する固定部分である門扉側固定部4となっている。
【0014】
また、支持側部材21は、回転ユニット10における門柱6に対する固定部分である門柱側固定部7を含んで構成されている。この門柱側固定部7は、門柱6から門扉1の方向に突出する部材によって設けられている。
【0015】
図3は、図2に示す軸側部材の斜視図である。図4は、図2に示す軸側部材の正面図である。軸側部材11は、円柱状に形成される軸部12と、この軸部12を保持する軸部固定部15と、により構成されている。詳しくは、軸部12は、円柱の一端が軸部固定部15に接続されることにより軸部固定部15に固定されており、軸部12は、門扉1の通常の使用態様において軸部固定部15から鉛直方向に下方に向かって延在している。また、軸部固定部15は、門扉側固定部4が兼ねており、即ち、軸部固定部15は、門扉1の横フレーム3が兼ねている。
【0016】
また、軸部12は、軸側磁石16と、後述する発電用コイル32と共に発電ユニット30を構成する発電用磁石31との2種類の磁石を有している。このうち、軸側磁石16は、軸部12の先端付近、即ち、軸部12における軸部固定部15に接続されている側の端部の反対側の端部付近に配設されている。また、発電用磁石31は、軸部12の長さ方向において軸側磁石16よりも軸部固定部15寄りの位置に配設されている。
【0017】
これらの軸側磁石16と発電用磁石31とは、共に軸部12の形状である円柱の径と同程度の径からなる円板状の形状で積層されている。このため、軸部12は、軸側磁石16と発電用磁石31を含む全体の形状が、円柱状、或いは丸棒状の形状で形成されている。
【0018】
また、軸側磁石16と発電用磁石31とは、互いに磁力の極性が異なる形態になって構成さている。具体的には、軸側磁石16は、軸部12の長さ方向で極性が異なっており、即ち、軸側磁石16は、軸部12の先端側の部分と発電用磁石31側の部分とで、極性が異なっている。このため、軸部12は、先端部分の全体が同じ極性になっている。例えば、軸側磁石16は、軸部12における先端側がN極になり、発電用磁石31がS極になっている場合は、軸部12は、先端の面の全体がN極になる。
【0019】
図5は、図4のA−A断面図である。軸部12の長さ方向において極性が異なる軸側磁石16に対し、発電用磁石31は、軸部12の周方向において極性が異なっており、即ち、軸部12の周方向で極性が交互に変化するように、発電用磁石31は構成されている。例えば、発電用磁石31は、2つの磁石を組み合わせることにより形成されている場合は、軸部12の軸方向に見た場合における形状が半円の形状になると共に、軸部12の周方向において90°で分けた領域で極性が異なる2つの磁石が組み合わされることにより形成される。即ち、半円の磁石は、軸部12の周方向において90°で分けた場合の一方の領域がN極になり、他方の領域がS極になり、発電用磁石31は、この半円の磁石2つを、隣接する極性同士が異なる極性になるように組み合わせる。これにより、発電用磁石31は、軸部12の周方向における90°ごとに磁石の極性が異なるように構成される。
【0020】
図6は、図2に示す支持側部材の斜視図である。図7は、図2に示す支持側部材の正面図及び要部断面である。支持側部材21は、円筒状に形成される支持部材22と、この支持部材22を保持する支持部材固定部25と、により構成されている。詳しくは、支持部材22は、円筒の一端が支持部材固定部25に接続されることにより支持部材固定部25に固定されており、支持部材22は、門扉1の通常の使用態様において支持部材固定部25から鉛直方向に上方に向かって延在している。このため、円筒状に形成される支持部材22の内側部分である中空部23は、上方に向かって開口している。また、支持部材固定部25は、門柱側固定部7が兼ねており、支持側部材21は、支持部材固定部25が門柱6と一体に設けられることにより、門柱6に連結されている。
【0021】
また、支持部材22の中空部23は、内径が軸部12の外径よりも若干大きい径となって形成されており、その底部、即ち、支持部材固定部25寄りの端部には、支持側磁石26が配設されている。この支持側磁石26は、外径が中空部23の内径と同程度の径になる円板状の形状で、軸方向が中空部23に軸方向と一致する向きで中空部23の下端側に配設されている。このため、支持側磁石26は、上方側の面が中空部23の底面として構成されている。
【0022】
このように配設される支持側磁石26は、円板の厚さ方向、或いは中空部23の深さ方向で極性が異なっており、即ち、支持側磁石26は、中空部23の深さ方向における両面で極性が異なっている。このため、底部に支持側磁石26が配設される中空部23の底面は、全体が同じ極性になっている。さらに、支持側磁石26における中空部23の底面側に位置する極性は、軸部12の先端の極性と同じ極性になっている。例えば、軸部12の先端がN極になっている場合には、支持側磁石26は、上方側の面がN極になり、中空部23の底面全体がN極になる。
【0023】
また、支持部材22には、軸部12に設けられる発電用磁石31と共に発電ユニット30を構成する発電用コイル32が設けられている。この発電用コイル32は、伝導体の電線を、内側に空間を有するように巻くことにより構成されており、例えば、矩形の平面の外周を電線で巻いた形状で形成されている。支持部材22には、この発電用コイル32が複数配設されており、複数の発電用コイル32は、支持側磁石26が位置する部分よりも、全て上方側、或いは、支持部材固定部25が位置する側の反対側に、全て配設されている。また、複数の発電用コイル32は、円筒状の支持部材22の中心軸を中心とする周方向における間隔が等間隔となって配設されている。
【0024】
また、支持側部材21は、通信回路40と充電回路45との双方に接続されており、発電用コイル32は、この通信回路40と充電回路45との双方に対して直接、または間接的に、電気的に接続されている。この通信回路40と充電回路45とのうち、通信回路40は、無線アンテナ41を有しており、発電用コイル32と発電用磁石31とにより構成される発電ユニット30で発電した電気を用いて、外部の通信機器(図示省略)に対して所定の情報を電波によって無線送信可能になっている。また、充電回路45は、蓄電池やキャパシタ等を有して構成されており、発電ユニット30で発電した電気を充電することが可能になっている。
【0025】
図8は、軸側部材と支持側部材とを組み合わせる際の説明図である。回転ユニット10を構成する軸側部材11と支持側部材21とを組み合わせる場合は、軸側部材11の軸部12を、支持側部材21の中空部23に挿入することにより行う。即ち、軸部固定部15から下方に向かって延在している軸部12を、上方に向かって開口している支持部材22の中空部23に対して、上方から挿入する。これにより、軸部12を中空部23に入り込ませ、軸側部材11と支持側部材21とを組み合わせる。
【0026】
図9は、回転ユニットの正面図及び要部断面である。図10は、図9のB−B断面図である。支持側部材21は、このように中空部23に軸部12が入り込んだ状態で軸部12を支持するが、中空部23の径は、軸部12の径よりも若干径が大きくなっているため、軸部12は、中空部23に対して軸部12の中心軸を中心として中空部23に対して相対的に回転可能な状態になる。このため、支持側部材21は、中空部23に軸部12が入り込んだ状態では、相対回転可能に軸部12を支持する。
【0027】
また、軸部12の先端には、軸側磁石16が配設されており、即ち、軸側磁石16は、軸側部材11における鉛直方向で支持側部材21に対向する面に配設されている。一方、中空部23の底部には、支持側磁石26が配設されており、即ち、支持側磁石26は、対向面同士の極性が同じ極性で軸側磁石16に対向するように支持側部材21に配設されている。
【0028】
このように、軸側磁石16と支持側磁石26とは、同じ極性の面が対向するため、軸側磁石16と支持側磁石26とは、この同じ極性の磁力によって反発し合うことになる。このため、中空部23に入り込んだ軸部12は、軸側磁石16と支持側磁石26との反発力により、先端部分が中空部23の底面には接触せずに、離間した状態で維持される。即ち、軸部12は、中空部23内で浮上した状態で維持される。
【0029】
また、軸部12における軸側磁石16よりも軸部固定部15側の位置に配設される発電用磁石31は、支持部材22において、支持側磁石26が位置する部分よりも上方側に配設される発電用コイル32と、上下方向における位置が同程度の位置になる。つまり、軸部12が中空部23に入り込んだ状態における発電用磁石31と発電用コイル32とは、軸部12や中空部23の軸方向における位置が同程度の位置になる。このため、複数の発電用コイル32は、等間隔で発電用磁石31の周囲に配設される状態になる。
【0030】
本実施形態に係る回転ユニット10及び回転ユニット10を備える門扉1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。門扉1を開閉する場合には、閉じている状態の門扉1を人が開けたり、開いている状態の門扉1を人が閉じたりするが、門扉1が開閉する際には、回転ユニット10を構成する複数の部材が相対的に回転することにより開閉する。
【0031】
つまり、回転ユニット10を構成する部材のうち、軸側部材11は門扉1に接続され、支持側部材21は門柱6に接続されており、支持側部材21は、中空部23に入り込んだ軸側部材11の軸部12を、相対回転可能に支持している。これにより、軸側部材11と支持側部材21とが相対回転することにより、門扉1は軸部12の中心軸を中心として門柱6に対して相対的に回転し、開閉可能になる。その際に、軸部12は、軸側磁石16と支持側磁石26との反発力により、中空部23内で浮上した状態になっているため、軸部12の先端と中空部23の底面とが離間した状態になっている。
【0032】
このため、軸側部材11と支持側部材21とは、上下方向、即ち、重力が作用する方向においては、いずれの部分も他方に接触しておらず、軸側部材11と支持側部材21とは、上下方向においていずれの部分も離間した状態になっている。従って、軸側部材11と支持側部材21とは、上下方向において対向する面同士が接触している場合のような、対向している面同士の摩擦力が発生しないため、軸側部材11と支持側部材21とが相対回転する際の抵抗が小さくなっている。これにより、軸側部材11と支持側部材21とを相対回転させる際には、小さい力を回転ユニット10に付与するのみで相対回転をするため、門柱6に対して門扉1を相対的に回転させることにより門扉1を開閉させる場合には、比較的小さな力を門扉1に付与することにより、門扉1は開閉する。
【0033】
また、門扉1の開閉時に、軸側部材11と支持側部材21とが相対的に回転した場合には、軸部12に設けられる発電用磁石31と、支持側部材21が有する発電用コイル32とは、相対的な位置が変化する。即ち、発電用磁石31は、軸部12の径方向における複数の発電用コイル32の内方側に位置しているため、軸側部材11と支持側部材21が相対的に回転した場合には、発電用磁石31と発電用コイル32とは、軸部12の周方向における相対的な位置が変化する。
【0034】
一方、発電用磁石31は、軸部12の周方向で極性が交互に変化しているため、発電用磁石31と発電用コイル32との周方向における相対的な位置が変化した場合には、発電用磁石31から発電用コイル32に対して作用する磁界が変化する。このため、発電用コイル32では、磁界が変化する際における誘導起電力によって電気が発生する。
【0035】
このように、発電用コイル32で発生した電気は、充電回路45と通信回路40とに伝達される。このうち、充電回路45は、伝達された電気を充電する。また、通信回路40は、発電用コイル32から電気が伝達された旨の情報を、発電用コイル32から伝達された電気と、充電回路45に充電されている電気とを用いて、外部の通信機器に対して無線送信する。
【0036】
換言すると、通信回路40は、門扉1の開閉によって発電用磁石31と発電用コイル32とからなる発電ユニット30で電気が発電された際に、この発電された旨の情報を外部の通信機器に対して無線送信し、通信機器は、この情報を受信する。これにより、例えば、通信機器が、門扉1が設置される建物の中に設置されている場合、通信回路40から無線送信される情報を通信機器で受信することによって、門扉1が開閉したことを建物の中で検知できる。このように、門扉1が開閉したことを通信機器で検知した場合は、通信機器は、玄関の照明を点灯させたり、空調の運転を開始したりするなど、各機器をスタンバイ状態にする。
【0037】
以上の回転ユニット10は、軸部12における支持側部材21に対向する面には軸側磁石16が配設され、軸部12が入り込む中空部23の底部には、対向面同士の極性が同じ極性で軸側磁石16に対向するように支持側磁石26が配設されている。このため、軸部12は中空部23内で浮上することができる。従って、軸側部材11と支持側部材21とは、必要以上に軽量化を図ることなく、相対回転させる際の抵抗を小さくすることができる。この結果、耐久性を確保しつつ、軽い操作力での開閉を可能にすることができる。
【0038】
なお、上述した回転ユニット10では、磁石の反発力を利用して軸側部材11と支持側部材21とを上下方向に離間させているが、磁石の反発力を利用して上下方向以外の方向にも離間させてよい。図11は、実施形態に係る回転ユニットの変形例を示す正面図及び要部断面である。図12は、図11のC−C断面図である。軸側部材11と支持側部材21とを、磁石の反発力を利用して上下方向以外の方向に離間させる場合には、例えば、図11、図12に示すように、軸部12の外周面13と中空部23の内周面24とが、磁石の反発力で離間するように磁石を設けてもよい。具体的には、軸部12には、当該軸部12の外周面13における中空部23に対向する面に、軸側磁石である軸側中立磁石50を配設する。
【0039】
この軸側中立磁石50は、軸部12における発電用磁石31よりも軸部固定部15寄りの位置に配設されている。また、軸側中立磁石50は、円筒形の形状で形成されており、円筒形の中心軸が軸部12の中心軸と一致する向きで配設されている。このため、軸側中立磁石50の径方向における中心側には、軸部12を構成する軸側中立磁石50以外の部材からなる軸心部51が位置している。
【0040】
また、このように円筒形の形状で形成される軸側中立磁石50の極性は、円筒形の内周面側と外周面側とで異なっている。このため、例えば、円筒形の外周面側がN極で内周面側がS極の場合は、外周面側は全てN極になるため、軸部12における軸側中立磁石50が配設されている部分の外周面13は、全てN極になる。
【0041】
このように軸側中立磁石50を配設する軸部12に対し、中空部23には、内周面24に、対向面同士の極性が同じ極性で軸側中立磁石50に対向するように、中空部側磁石である支持部側中立磁石55を配設する。即ち、支持部側中立磁石55は、中空部23に軸部12が入り込んだ状態の中空部23の軸方向において軸部12の軸側中立磁石50が位置する付近に配設されている。また、この支持部側中立磁石55は、円筒形の形状で形成されており、円筒形の中心軸が中空部23の中心軸と一致する向きで配設されている。
【0042】
また、このように円筒形の形状で形成される支持部側中立磁石55の極性は、円筒形の内周面側と外周面側とで異なっており、内周面側が、軸側中立磁石50の外周面側と同じ極性になっている。このため、例えば、軸側中立磁石50の外周面側がN極の場合は、支持部側中立磁石55の内周面側がN極になり、外周面側がS極になるため、中空部23における支持部側中立磁石55が配設されている部分の内周面24は、全てN極になる。
【0043】
これらのように、軸側中立磁石50と支持部側中立磁石55とを配設することにより、軸部12を中空部23に入り込ませた場合、軸側中立磁石50と支持部側中立磁石55とは、対向面同士が同じ極性になる。このため、軸側中立磁石50と支持部側中立磁石55とは、同じ極性の磁力によって反発し合うことになり、軸側中立磁石50や支持部側中立磁石55が位置する部分では、軸部12の外周面13と中空部23の内周面24との間には、反発力が発生する。これにより、軸部12は、外周面13が中空部23の内周面24から離れた状態が維持され、軸部12が中空部23に対して相対回転する際に、より確実に摩擦力が発生し難くなるようにすることができる。従って、軸側部材11と支持側部材21とを相対回転させる際の抵抗を、より確実に小さくすることができ、耐久性を確保しつつ、より確実に軽い操作力での開閉を可能にすることができる。
【0044】
また、上述した回転ユニット10では、軸側磁石16は軸部12の先端に配設し、支持側磁石26は中空部23の底部に配設しているが、軸側磁石と支持側磁石とは、これ以外の位置に配設してもよい。図13は、実施形態に係る回転ユニットの変形例を示す正面図及び要部断面である。例えば、支持側磁石65は、図13に示すように、支持部材22における上端部分に配設してもよく、軸側磁石61は、軸部固定部15における支持側磁石65に対向する面に配設してもよい。
【0045】
この場合における支持側磁石65は、軸部12や中空部23の軸方向における両面で極性が異なっている。また、軸側磁石61も、軸部12や中空部23の軸方向における両面で極性が異なっており、軸側磁石61と支持側磁石65とは、対向面同士の極性が同じ極性になっている。このため、軸部12を中空部23に挿入することにより、軸側磁石61と支持側磁石65とが対向する状態になった場合は、軸側磁石61と支持側磁石65とは、同じ極性の磁力によって反発し合うことになる。従って、軸部固定部15は、この磁石同士の反発力によって支持部材22に接触せず、支持部材22から離間した状態で維持される。この結果、軸側部材11と支持側部材21とは、必要以上に軽量化を図ることなく、相対回転させる際の抵抗が小さくすることができるため、耐久性を確保しつつ、軽い操作力での開閉を可能にすることができる。
【0046】
また、上述した回転ユニット10では、軸部12は軸部固定部15から鉛直方向に下方に向かって延在し、中空部23の上方から中空部23内に挿入する形態になっているが、軸部12と中空部23の向きは反対向きでもよい。つまり、軸部12は軸部固定部15から鉛直方向に上方に向かって延在し、下方側が開口する中空部23に対して下方側から軸部12を挿入する形態でもよい。軸部12と中空部23とが、このように組み合わされる場合でも、軸側部材11と支持側部材21とにおいて、上下方向で対向するそれぞれの面同士に、極性が同じ極性になる向きで磁石を配設することにより、軸側部材11と支持側部材21とが上下方向に離間した状態で維持することができる。これにより、必要以上に軽量化を図ることに起因して耐久性を低下させることなく、回転ユニット10を用いて開閉操作をする際における操作力を軽くすることができる。
【0047】
また、上述した回転ユニット10は、門扉1と門柱6との連結部分に配設され、門扉1の開閉に用いられているが、回転ユニット10は門扉1以外の部分に用いられてもよい。例えば、玄関の扉や、建物内に設置される扉など、回転軸を中心として回転することにより開閉すると共に、回転軸の向きが鉛直方向になる建具であれば、回転ユニット10を配設する部分の用途は問わない。
【符号の説明】
【0048】
1 門扉
4 門扉側固定部
6 門柱
7 門柱側固定部
10 回転ユニット
11 軸側部材
12 軸部
15 軸部固定部
16、61 軸側磁石
21 支持側部材
22 支持部材
23 中空部
25 支持部材固定部
26、65 支持側磁石
30 発電ユニット
31 発電用磁石
32 発電用コイル
40 通信回路
45 充電回路
50 軸側中立磁石
55 支持部側中立磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延在する軸部を有する軸側部材と、
前記軸部が入り込む中空部を有すると共に、前記中空部に前記軸部が入り込んだ状態で相対回転可能に前記軸部を支持する支持側部材と、
前記軸側部材における鉛直方向で前記支持側部材に対向する面に配設される軸側磁石と、
対向面同士の極性が同じ極性で前記軸側磁石に対向するように前記支持側部材に配設される支持側磁石と、
を備えることを特徴とする回転ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−40623(P2013−40623A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175870(P2011−175870)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】