説明

回転ロータ

【課題】回転ロータの精度を損なうことなく、清掃体の清掃又は交換作業を効率よく行うことができる回転ロータを提供する。
【解決手段】回転ロータ10は、掃除機等の機器に回転自在に取着されるものであって、外周の長手方向に設けられた溝部1aを有する回転棒1と、この回転棒1の溝部1aに挿脱自在な基部2bとこの基部2bから前記溝部1aよりも突出させてなる複数の清掃部材2aとを備えた清掃体2と、回転棒1の両側の端部に配置されたブラケット3、13とからなるものである。そして、ブラケット3、13には清掃体取出部4が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機のアタッチメントとして使用される床ノズルの回転ロータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、図8と図9に示すように、床ノズル50には、回転ロータ27が使用されている。以下にその構成を説明する。26は一端が中央通路25に位置し、他端が電気掃除機本体(図示せず)に接続される吸気パイプ、27は回転ロータでロータ28と清掃体29、軸30と減速プーリ31Aを有するブラケット32A、軸30を有するブラケット32B、ブラケット32A,32Bの外周に取り付けられた起毛布33より構成され、回転ロータ27の両端にはワッシャ34、軸受35を保持する軸受ホルダー36が取り付けられ、開口22の長手方向の両端に設けられた軸受ホルダー保持部37にこの軸受ホルダー36を嵌めることにより軸30が軸受35に回転自在に支持され、清掃体29及び起毛布33の自由端38はその回転時に開口22より突出される。回転ロータ27を構成するロータ28はアルミニウムやその合金にて押し出し成形された直線状の棒状体であり、その長手方向には外周に開口する一条ないし複数条の清掃体29を支持するための支持溝41が設けられている。また、ブラケット32A、32Bはプラスチック等の硬質樹脂に金属製の軸30をインサート成形したもので、その外周には全周に起毛布33を取り付けている。そして、ロータ28を軸の周りに所定の角度捩りを加えてロータ28の支持溝41に清掃体29を挿入固定することで清掃体29を螺旋状にし、このロータ28の両端部にブラケット32A、32Bを固着することで回転ロータ27が完成する(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−143045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成された従来の回転ロータ27を回転させることにより、清掃体29の自由端38が被清掃面に摺接して塵埃を掻き上げたり、あるいは、拭いたり磨いたりする清掃効果を発揮するものである。しかしながら、回転ロータ27は、清掃効果を発揮する為に常に高速で回転しているので、清掃を繰り返し行うことにより、清掃体29が摩耗して清掃効果が落ちたり、或いは、塵埃が清掃体29自身に付着してしまったりする為、定期的に清掃や交換をする必要がある。
【0005】
清掃体29は、その基部をロータ28の端部から、ロータ28の外周の長手方向に設けられた支持溝41に挿入することで、ロータ28の外径方向への抜けが防止され、更に、ロータ28の両端にはブラケット32A、ブラケット32Bが精度保持の為に接着固定されるので、清掃体29は通常取り外せない構造となっている。
【0006】
清掃体29を交換、或いは、メンテナンスの為に取り外すためには、接着部を破壊する力でブラケット32A又は32Bをロータ28から引き抜き、清掃体29の基部をロータ28の支持溝41から長手方向にスライドさせて取り出す必要があった。次に、メンテナンスが終了した清掃体29或いは、新品の清掃体29をロータ28の支持溝41に挿入し、再び、取り外したブラケット32A又は32Bを接着固定して作業が完了する。その為、清掃体29の清掃及び、交換作業は非常に手間がかかっていた。 更に、一度接着したブラケット32A又は32Bには硬化した接着剤が付着している場合があり、これを取り除く作業も必要になる時があった。
【0007】
更に、この取外し作業を何度も繰り返すと、ブラケット32A又は32Bの内径が削れ、組立精度が低下することによって、回転ロータ28の性能低下(回転精度の低下)を招き、掃除性能の低下、芯振れによる振動、及び騒音の増加につながっていた。
このような、精度の低下を防ぐには、新しいブラケット32A又は32Bを用意する必要があり、この場合は、余分なコストがかかってしまうという欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、回転ロータの精度を損なうことなく、清掃体の清掃又は交換作業を効率よく行うことができる回転ロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、回転ロータは、機器に回転自在に取着されるとともに、外周の長手方向に設けられた溝部を有する回転棒と、該回転棒の溝部に挿脱自在な基部と該基部から前記溝部よりも突出させてなる複数の清掃部材とを備えた清掃体と、前記回転棒の端部に配置されたブラケットとからなり、該ブラケット又は/及び前記回転棒に清掃体取出部を形成したことに特徴を有する。したがって、清掃体の清掃又は交換のために該清掃体を取り外す作業は、ブラケット又は/及び回転棒に形成された清掃体取出部から清掃体を取り出すだけですみ、回転棒の端部に配置されたブラケットを回転棒から取り外さなくてもよい。また、回転ロータの精度を損なうことなく、清掃体を交換することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ブラケット又は/及び回転棒に形成された清掃体取出部に清掃体の抜けを防止する凸部を、前記清掃体の一側面側に形成したことに特徴を有する。したがって、清掃時に清掃体に対して負荷が加わった時に、凸部によって、清掃時に清掃体が上方に浮いて清掃体取出部から抜け落ちることを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、ブラケット又は/及び回転棒に清掃体取出部を形成したことによって、従来と比較した場合に、清掃体の取り外し作業を容易とすることができ、作業効率を向上させることができる。また、回転ロータの精度を損なうことなく、清掃体を交換することができる。さらに、清掃体のみの交換によって、回転ロータのメンテナンス費用を最小限に抑えることができる。
【0012】
請求項2の発明では、ブラケット又は/及び回転棒に形成された清掃体取出部に凸部を、清掃体の一側面側に形成したことによって、清掃体の取り外し作業を容易とすることができると共に、清掃時に、清掃体が上方に浮いて清掃体取出部から抜けるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る回転ロータ10の平面図であり、図2は、回転棒の斜視図である。図3は、清掃体の斜視図であり、図4は、ブラケットの正面図及び側面図である。図1に示すように、回転ロータ10は、掃除機等の機器に回転自在に取着されるものであって、外周の長手方向に設けられた溝部1aを有する回転棒1と、この回転棒1の溝部1aに挿脱自在な基部2bとこの基部2bから前記溝部1aよりも突出させてなる複数の清掃部材2aとを備えた清掃体2と、回転棒1の両側の端部に配置されたブラケット3、13とからなるものである。そして、ブラケット3、13には清掃体取出部4が形成されている。
【0014】
回転棒1は、外周に開口した溝部1aを長手方向に4条設けているものであり、アルミニウムやその合金等の材料を使用して、直線状に押出成形の後、両端部に捻り工具をはめて、軸心の周りに捻り加工を行うことによって、溝部1aを螺旋状にしたものである。尚、回転棒1の製造方法は、所要の強度、精度、重量等を考慮して、様々な方法を採用することができる。例えば、捻り押出成形で、押出しと同時に螺旋溝を形成することもできる。また、回転棒1の材料としては、ABS樹脂、PS樹脂等の合成樹脂を使用することも可能である。
【0015】
清掃体2は、図3(a)に示すように、基部2bと、この基部2bに植設されたパイル状の繊維からなる清掃部材2aとからなり、基部2bは、上述した回転棒1の溝部1aに挿脱自在で、清掃部材2aは、基部2bから回転棒1の溝部1aよりも外方へ突出するように形成される。
【0016】
尚、図3(b)に示すように、図3(a)のパイル状の繊維からなる清掃部材2a以外にも可撓性のあるゴムやプラスチックで形成されたブレードを清掃部材20aとして、この清掃部材20aを基部20bと一体化してなる清掃体20を使用することもできる。また、どのような清掃部材を使用するかについては、被清掃面によって使い分けることができ、布帛や起毛布も清掃部材として使用することができる。
【0017】
そして、上述した回転棒1の4条の溝部1aに清掃体2の基部2bを各々挿入固定することで清掃体2を螺旋状にし、この清掃体2が取り付けられた回転棒1の両端部にブラケット3と、ブラケット13とを固着することで回転ロータ10が組み立てられる。そして、ブラケット3の端部から外方に突出する軸3fが図示しない掃除機用床ノズルの軸受に回転自在に支持され、ブラケット13の図示しない嵌合片が、床ノズルのギヤと嵌合し、このギヤをモーター等の動力によって回転させて、回転ロータ10は、床ノズル内で回転するのである。
【0018】
ブラケット3は、図4に示すように、回転棒1の端部における外周面1bが挿入嵌合できるように内壁3eが筒状に形成されており、その内径は、回転棒1の外周面1bの外径が嵌合した時にガタツキの無い寸法に設定されている。回転棒1の溝部1aに嵌合する周り止め片3a、3aが上下方向の2箇所に設けられている。
【0019】
また、左右方向の2箇所には清掃体2を取り出すことができる清掃体取出部4が形成されている。この清掃体取出部4には、図4(a)の左側面図に示すように、溝部1aに清掃体2が挿入された回転棒1の端部が固定された時に、清掃体2の基部2bの半分の上方を覆う凸部3bが形成されており、この凸部3bによって、清掃体2の抜けを防止している。
【0020】
尚、この凸部3bは清掃体2の一側面側に形成されてあるものであり、清掃時に清掃体2に対して、清掃体2の反回転方向に負荷が加わった時に、凸部3bによって、清掃体2が清掃時に上方に浮いて清掃体取出部4から抜け落ちることを防止する機能を果たしている。
【0021】
また、図4(b)の正面図に示すように、ブラケット3の清掃体取出部4にはストッパー部3cが形成されてあり、清掃体取出部4に挿入された清掃体2の端部は、このストッパー部3cによって長手方向の動きを規制され、固定されている。
【0022】
さらに、ブラケット3の清掃体取出部4にはスライド部3dが形成されており、清掃体2の取り外し時には、清掃体2が前述したストッパー部3cを越えた後、基部2bの裏面が摺接して、清掃体2の取り外し作業を容易にしている。
【0023】
図5は、ブラケット13と清掃体2との位置関係を示した図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)はA−A断面図、(d)はB−B断面図、(e)及び(f)はA−A断面図で清掃体が床面と接触している状態を示す図である。前述したように、回転棒1には4条の溝1aが螺旋状に形成されており、この4条の溝1aに挿脱自在な基部2bを有する4本の清掃体2が挿入されているのであるが、図5(a)及び(b)に示すように、通常の清掃状態では、ブラケット13の一方の端部では、上下方向の2本の清掃体2の端部はストッパー部3cによって、ブラケット13の清掃体取出部4の中間位置で固定されるようになっている。
【0024】
一方、上記上下方向の2本の清掃体2に対して垂直方向の2本の清掃体2の端部はブラケット13の端部と接触する位置で固定されるようになっている。一方、反対側のブラケット3では、図1で示すように、水平方向に清掃体取出部4が形成されるように回転棒1と清掃体2とを固定しており、回転棒1に形成されている螺旋状の溝1aは両端で180度捻られていることから、上述した一方のブラケット13で、ブラケット13の清掃体取出部4の中間位置で固定された2本の清掃体2の端部は、ブラケット3の端部と接触する位置で固定されるようになっている。
【0025】
また、上述した一方のブラケット13で、ブラケット13の端部と接触する位置で固定された2本の清掃体2の端部は、ブラケット3の清掃体取出部4の中間位置で固定されるようになっている。このような構成とすることによって、清掃時の回転ロータ10の回転で、4本の清掃体4に均等に負荷が加わることになり、ひずみや、回転ぶれが生じ難く、清掃体2が清掃体取出部4から抜け落ちることの防止にもつながるものである。
【0026】
また、図5(c)〜図5(f)に示すように、ブラケット13の凸部3bを清掃体2の一側面側に形成していることによって、基部2bが外径側に浮き上がろうとするのを凸部3bが防ぎ、清掃時に清掃体2が上方に浮いて回転棒1の溝部1aから離脱するのを防止することができる。尚、凸部3bは清掃体2のどちらか一方の側面側に形成されていればよく、図5(e)とは清掃体2の回転方向が反対の図5(f)の場合でも清掃時に清掃体2が上方に浮いて回転棒1の溝部1aから離脱するのを防止することができる。
【0027】
また、上述したように、回転棒1の端部に挿入嵌合されたブラケット3、13には、各々に2条分の清掃体取出部4を180度反対側の位置に形成しているので、一方のブラケット3から、2条の清掃体2を取り出し、他方のブラケット13から残りの2条の清掃体2を取り出すことができるようにしている。これによって、4本の清掃体2を同じ長さで構成でき、しかも長手方向にずらして配置することになるので、清掃体2の長手方向の長さよりも、回転ロータ10の清掃幅は大きくなり、清掃効率を向上させることができる。
【0028】
図6は、清掃体2を回転ロータ10から取り外す状態又は挿入する状態を示す斜視図と正面図である。これら図に示すように、上下方向に設置された2本の清掃体2は、ブラケット3に形成された清掃体取出部4のストッパー部3cを越えてスライド部3dから、回転ロータ10の長手方向の外側にスライドさせることによって、基部2bの裏面がスライド部3dを滑りながら容易に取り出すことができる。
【0029】
一方、左右方向に設置された2本の清掃体2は、反対側のブラケット3に形成された清掃体取出部4から、同様にスライドさせることによって、容易に取り出すことができる。ここで、清掃体2をメンテナンスする手順は以下のとおりとなる。まず、回転ロータ10を床ノズル等の軸受(図示せず)から取り外す。
【0030】
次に、取り外した回転ロータ10の清掃体2の端部を指でつまんで、清掃体取出部4のストッパー部3cを越えてスライド部3dから回転ロータ10の長手方向の外側にスライドさせることによって、4本の清掃体2を回転棒1から取り外す。尚、清掃体2は、指でつまむか、ペンチ状の専用工具を使用して回転棒1から取り外される。
【0031】
そして、清掃体2に付着した塵埃を取り除くか、新しい清掃体2を用意した後、清掃体2の端部を指でつまんで、清掃体取出部4のスライド部3dから回転棒1の溝部1aに挿入し、4本の清掃体2の端部がストッパー部3cで固定されたことを確認した後、回転ロータ10を床ノズル等の軸受に装着してメンテナンス作業は終了する。
【0032】
図7(a)は、本発明の第2実施形態を説明するための回転棒11の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)におけるC−C断面図である。この図に示すように、回転棒11の中間部に清掃体取出部40を形成することもできる。この清掃体取出部40は回転棒11の溝11aを形成して、清掃体2の基部2bを固定している爪11bを削って大きくし、清掃体2の基部2bと略同様の幅となるようにしたものであり、4本の清掃体2を取り出すことができるように、清掃体取出部40は回転棒11の4箇所に形成されている。
【0033】
尚、回転棒11に形成された清掃体取出部40は単独でも機能するものであるが、前述したブラケット3に形成された清掃体取出部4と併用して用いることも可能である。また、清掃体取出部4、40を、回転棒1、11の端部とブラケット3、13とに連なるように形成することもできる。
【0034】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば、上記実施形態における回転ロータは、回転棒の4条の溝に4本の清掃体を設置したものであるが、これに限定されるものではなく、回転棒に1条乃至複数の清掃体を設置するものであれば、本発明の適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の回転ロータは、様々な目的に対して使用可能であるが、掃除機用床ノズルに使用する目的以外にも、被清掃面に対する清掃効果が極めて高く、的確、かつ迅速に清掃することができる床面洗浄機、床磨き機等として、広く好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る回転ロータの平面図。
【図2】回転棒の斜視図。
【図3】清掃体の斜視図。
【図4】ブラケットの正面図及び側面図。
【図5】ブラケットと清掃体との位置関係を示した図。
【図6】清掃体の回転ロータからの挿脱状態を示す図。
【図7】本発明の第2実施形態を説明するための回転棒の図。
【図8】従来の回転ロータを組込んだ掃除機用床ノズルの平面図。
【図9】従来の回転ロータの斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1、11 回転棒
2 清掃体
2a 清掃部材
2b 基部
3、13 ブラケット
3a 周り止め片
3b 凸部
3c ストッパー部
3d スライド部
4、40 清掃体取出部
10 回転ロータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に回転自在に取着されるとともに、外周の長手方向に設けられた溝部を有する回転棒と、該回転棒の溝部に挿脱自在な基部と該基部から前記溝部よりも突出させてなる複数の清掃部材とを備えた清掃体と、前記回転棒の端部に配置されたブラケットとからなり、該ブラケット又は/及び前記回転棒に清掃体取出部を形成したことを特徴とする回転ロータ。
【請求項2】
ブラケット又は/及び回転棒に形成された清掃体取出部に清掃体の抜けを防止する凸部を、前記清掃体の一側面側に形成したことを特徴とする請求項1に記載の回転ロータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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