説明

回転体の作動機構

【課題】回転体の作動機構の使い勝手をより向上させる。
【解決手段】支持体Cに対して、基準位置と展開位置との間に亘る回動と、この基準位置から展開位置と反対の所定位置への回動可能に組み合わされた回転体Mを備えてなると共に、付勢部材を含んで構成された保持機構によって回転体Mが基準位置にある状態が解除可能に保持されるようになっている。回転体Mの所定位置への回動操作により保持機構の付勢部材への蓄勢がなされると共に、回転体Mが所定位置に至ったときに保持機構との連係が解除されて回転体Mの展開位置への回動が許容され、回転体Mが展開位置に至ったときに付勢部材の付勢により保持機構との連係が復帰されてこの付勢により回転体Mが基準位置に復帰回動されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転体を備えて構成される機構、典型的には、自動車、航空機、船舶、鉄道車両などの室内に備え付けられて利用される内装具などに適用される回転体の作動機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物の室内に備えられるフック装置として、ケースに回転可能に組み合わさせたフック部材を、付勢手段によりケース内に引き込まれるように付勢すると共に、このフック部材のケース内への回転を制動する緩衝手段を備えたものがある。(特許文献1参照)かかる装置にあっては、物品を引っかけ可能な位置までフック部材をケース内から回転操作すると緩衝手段によってフック部材のケース内への回転はゆっくりとなされることから、ケース内にフック部材が引き込みきられる前にこのフック部材に物品を引っかけることができる。
【特許文献1】特開2006−35994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の回転体の作動機構の使い勝手をより向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、回転体の作動機構を、以下の(1)〜(3)の構成を備えたものとした。
(1)支持体に対して、基準位置と展開位置との間に亘る回動と、この基準位置から展開位置と反対の所定位置への回動可能に組み合わされた回転体を備えてなると共に、
(2)付勢部材を含んで構成された保持機構によって回転体が基準位置にある状態が解除可能に保持されるようになっており、
(3)回転体の所定位置への回動操作により保持機構の付勢部材への蓄勢がなされると共に、保持機構との連係が解除されて回転体の展開位置への回動が許容され、回転体が展開位置に至ったときに付勢部材の付勢により保持機構との連係が復帰されてこの付勢により回転体が基準位置に復帰回動されるようになっている。
【0005】
かかる作動機構によれば、前記所定位置へ回動操作することで(以下、この回動操作を解除操作と称する。)回転体を基準位置を超えて展開位置まで回動させることができる。また、展開位置に至った回転体を保持機構の付勢部材の付勢により基準位置に復帰回動させ、さらに次の解除操作がなされるまでこの基準位置に安定的に位置づけさせることができる。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる装置によれば、基準位置にある回転体を前記解除操作することでこの回転体を基準位置を超えて展開位置まで回動させることができ、前記特許文献1に示されるものに比べ、回転体を展開させるときにこの回転体を基準位置から展開位置まで継続的に回動操作させる必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1〜図6に基づいて、この発明を適用して構成された回転体を備えた装置の典型的な実施の形態について、説明する。
【0008】
ここで、図1〜図6は、支持機構を構成する回転体Mをフック体11とし、支持機構を構成する支持体Cを基準位置においてこのフック体11を納めるケース体10とした例を示している。図1はその構成部品を分解して示しており、図2は回転体Mが基準位置にある状態を、図3は図2の状態から回転体Mの上部側を後方に押し込んで補助スライダ18を後方に移動させた状態を、図4は図3の状態からさらに回転体Mの上部側を後方に押し込んで回転体Mを所定位置まで回動させてスライダ15を後方に移動させきった状態を、図5は図4の状態からこの押し込みを止めた直後の状態を、図6は図5の状態からスライダ15が付勢手段としての圧縮コイルバネ15gの付勢により前進して連係ギア16と回転体Mとしてのフック体11のギア状体11fとが再び噛み合った状態を、それぞれ示している。
【0009】
この実施の形態にかかる作動機構は、回転体Mを支持体Cに回動可能に組み合わせると共に、展開位置にある回転体Mに基準位置に向けた付勢力を作用させる付勢手段を備えてなるものである。図示の例では、かかる機構は、自動車、航空機、船舶、鉄道車両などの室内や、各種の家具や什器などに付設される装置に適用されて、これらの内装品ないしは付属品として利用されるものとなっている。
【0010】
かかる作動機構は、支持体Cと、この支持体Cに対して基準位置と展開位置との間に亘る回動可能に組み合わされた回転体Mとを備えてなる。そして、この展開位置において回転体M又は支持体Cの利用がなされるように構成されている。また、かかる回転体Mはさらに、かかる基準位置から展開位置と反対の所定位置への回動可能に支持体Cに組み合わされている。
【0011】
具体的には、かかる機構は、支持体C側を、例えば自動車などの室内の内壁側に固定させて、この室内に備えられる。展開位置にある回転体Mによって何かを支持したりすることで、展開位置にある回転体Mの利用がなされる。また、回転体Mが展開位置にあるとき支持体C内に何かを納めたり、支持体C内に納められた何かを取り出したりすることで、前記展開位置において支持体Cの利用がなされる。より具体的には、例えば、回転体Mをフック体として構成させた場合、展開位置にある回転体Mとしてのフック体に引っかけ対象を引っかけてこの引っかけ対象をこのフック体により支持させることができる。また、例えば、回転体Mを基準位置で支持体Cの開口を塞ぎ、展開位置でこの開口を開放するリッド体として構成させた場合、回転体Mとしてのリッドを展開位置に回動させた状態において開放された開口を通じて収納体としての支持体C内に収納対象を納め入れ、また、納められていた収納対象を取り出すことができる。
【0012】
また、かかる作動機構は、前記回転体Mが基準位置にある状態を、付勢部材(後述するスライダ15を付勢する圧縮コイルバネ15g)を含んで構成された保持機構によって解除可能に保持するようになっている。
【0013】
そして、回転体Mの所定位置への回動操作により保持機構の付勢部材への蓄勢がなされると共に、保持機構との連係が解除されて回転体Mの展開位置への回動が許容され、回転体Mが展開位置に至ったときに付勢部材の付勢により保持機構との連係が復帰されてこの付勢により回転体Mが基準位置に復帰回動されるようになっている。
【0014】
これにより、かかる作動機構によれば、前記所定位置(図4の位置)へ回動操作することで(以下、この回動操作を解除操作と称する。)回転体Mを基準位置を超えて展開位置まで回動させることができる。また、展開位置に至った回転体Mを保持機構の付勢部材の付勢により基準位置に復帰回動させ、さらに次の解除操作がなされるまでこの基準位置に安定的に位置づけさせることができる。
【0015】
この実施の形態にあっては、かかる回転体Mが展開位置に至った後一定時間経過後に、回転体Mと保持機構との連係の復帰がなされるようにしてある。これにより、この実施の形態にあっては、展開位置に至った回転体Mの基準位置に向けた復帰回動がすぐに始まらないようにして、この一定時間を利用して例えば回転体Mに何かを引っかけるなどの作業を行い易くすることができる。
【0016】
具体的には、かかる保持機構は後述する連係ギヤ16を備えており、この連係ギヤ16が回転体Mの展開位置への回動時には回転体Mに備えられたギヤ(後述するギヤ状体11f)に噛み合わず、回転体Mが展開位置に至った後一定時間経過後にこの回転体Mに備えられたギヤに噛み合うようになっている。
【0017】
より具体的には、かかる保持機構は、
連係ギヤ16に連動されると共に、所定位置への回転体Mの回動操作によって付勢部材に蓄勢させながら往動される移動体(後述するスライダ15)と、
基準位置から展開位置と反対の所定位置への回転体Mの回動操作によって蓄勢される補助付勢部材(後述する補助スライダ18の圧縮コイルバネ18a)とを備えており、
前記所定位置への回動操作により回転体Mに備えられたギヤと連係ギヤ16との噛み合いが解かれると共に、この所定位置において回転体Mの回動操作を止めると補助付勢部材の付勢により展開位置に向けて回転体Mが回動され、
かつ、回転体Mが展開位置に至った後一定時間経過後に付勢部材の付勢により移動体が復動して回転体Mに備えられたギヤに連係ギヤ16が噛み合い回転体Mが基準位置に復帰回動されるようになっている。
【0018】
そして、移動体の移動に制動力を作用させる制動手段によって、回転体Mが展開位置に至った後一定時間経過後に回転体Mに備えられたギヤに連係ギヤ16が噛み合うようになっている。
【0019】
また、かかる移動体の移動に作用される制動力は、移動体の復動の過程で変化するようになっている。具体的には、後述するように回転体Mが展開位置から所定中間位置に至るまでの間はスライダの二箇所の回転体M側ギヤにそれぞれ制動手段側ギヤが噛み合い、この所定中間位置から基準位置までの間ではこの噛み合いが無くなって移動体の移動に制動力が作用されず、従って回転体Mの基準位置への復帰回動には所定中間位置から制動手段による制動力が作用されなくなっている。
【0020】
また、かかる機構における展開位置側にある回転体Mには、基準位置に復帰回動させる向きの付勢力が作用されるようになっていると共に、かかる機構には、この回転体Mの復帰回動における展開位置から所定中間位置までの回動速度と、この所定中間位置から基準位置までの回動速度とを異ならせる速度切り替え手段が備えられている。
【0021】
回転体Mを展開位置まで回動操作した後、この操作を止めると、回転体Mは前記付勢力により基準位置に復帰回動を開始するが、その回動速度を所定中間位置までは例えばゆっくりと行わせ、所定中間位置からはこれよりも速く行わせることができる。これにより、回転体Mがゆっくりと回動されている間に、この回転体Mに何かを支持させたり、あるいはまた、支持体C内に何かを納めたり、支持体C内から何かを取り出すことができる。回転体Mに前記のように何かを支持させた場合、これによって回転体Mの回動復帰は停止され、この支持を止めると前記付勢により基準位置まで回転体Mを強制的に回動復帰させるようにすることができる。
【0022】
この実施の形態にあっては、前記支持体Cとしてのケース体10は、前面を開放させると共に、この開放部10aの開口縁を縦方向に長い略長方形状に形成させた箱状をなすように構成されている。ケース体10は、その開放部10aを巡る外鍔10bを備えており、図示しない自動車などの室内の内壁などに形成された取り付け穴などにこの外鍔10bがこの取り付け穴に引っかかる位置まで入れ込ませることでかかる室内に備え付けられるようになっている。
【0023】
一方、回転体Mとしてのフック体11は、前記ケース体10の開放部10aの幅と略等しい幅と長さとを持った略長方形の板状基部11aと、この板状基部11aの一端側においてその一面に略直交する向きに突き出すと共に突きだし端をこの板状基部11aの他端側に向けて屈曲させた鈎状部11bと、板状基部11aの一面側においてその一端と他端との間に形成された軸受け部11cとを備えている。軸受け部11cは左右板部11d、11dにそれぞれ通し穴11eを備えてなる。この例では、ケース体10の左右側板10c、10cに形成された貫通穴10dを通じてフック体11の軸受け部11cの通し穴11eにシャフト12を通すことで、このシャフト12を中心とした回動可能にフック体11をケース体10に組み付けさせている。基準位置においてフック体11の板状基部11aはケース体10の外鍔10bと略同面上に位置され、ケース体10の開放部10aを塞ぐようになっている。(図2)一方、フック体11は基準位置より前方に略90度伏倒回動されて展開位置に位置されるようになっている。(図5)ケース体10の左右側板10c、10cの内面であって前記シャフト12の通された貫通穴10dの後方には、このように伏倒回動されたフック体11の他端が下方から突き当たる規制部10gが形成されている。
【0024】
また、この例では、速度切り替え手段は、回転に制動手段27の制動力の作用を蒙る二つの制動手段側ギヤ13、13と、この制動手段側ギヤ13に対応してこれに噛み合う回転体側ギヤ14とを備えると共に、
回転体Mの復帰回動が所定中間位置に至る前と後とで制動手段側ギヤ13に噛み合う回転体側ギヤ14の数が変化するようになっている。
【0025】
これにより、この例では、回転体Mの復帰回動の速度を、所定中間位置に至る前と後とで変えることができるようになっている。
【0026】
この例では、回転体側ギヤ14は後述するスライダ15に形成されたラック14aによって構成され、また、回転体Mの復帰回動が所定中間位置に至る前では二つの制動手段側ギヤ13、13にそれぞれ前記ラック14aが噛み合うが、所定中間位置に至った後ではいずれのラック14aも制動手段27がギアに噛み合わず、回転体Mの復帰回動が所定中間位置に至った後は制動手段側ギヤ13に噛み合う回転体側ギヤ14の数が零になるようになっている。
【0027】
この例では、回転体Mとしてのフック体11は、ケース体10に前後方向にスライド移動可能に支持されたスライダ15と、このスライダ15の前後動に連係して回動される連係ギヤ16と、このスライダ15を前方に付勢する付勢手段としての圧縮コイルバネ15gとによってその動作を制御されるようになっている。
【0028】
スライダ15は、板状のベース15aと、このベース15aの左右両辺部からそれぞれ上方に突き出す上部側板15bと、このベース15aの左右両辺部からそれぞれ下方に突き出す下部側板15cとを備えている。スライダ15の左右両側部にはそれぞれ、前後方向に沿って延びる溝15eが形成されており、一方、ケース体10の左右側板10c、10cの内面にはそれぞれ、ケース体10の天板との間にスライダ15の上部側を納める間隔を開けて前後方向に沿って延びるレール部10iが形成されており、スライダ15はその溝15eにこのレール部10iを納めてケース体10の上部側に前後動可能に納められている。スライダ15のベース15aの下部には、ケース体10の背板10jにバネ後端を支持された圧縮コイルバネ15gのバネ前端側を納めてこのバネ前端を支持するバネ収容部15fが形成されており、このバネ15gによってスライダ15は常時前方に向けた付勢力を蒙るようになっている。
【0029】
連係ギヤ16は、扇状の板状をなし、その弧状部分に歯を備えさせると共に、フック体11の回動組み付け部分の後方において要部分において左右方向に軸線を沿わせた軸16aをもってケース体10に回動可能に組み合わされている。連係ギヤ16は左右にそれぞれ備えられている。フック体11の軸受け部11cの左右板部11d、11dはそれぞれその板縁部に歯を備えたギア状体11fとなっている。そして、この例では、右側の連係ギヤ16にフック体11の右側のギア状体11fが噛合され、かつ、左側の連係ギヤ16にフック体11の左側のギア状体11fが噛合されるようになっている。また、スライダ15の左右の下部側板15c間に左右の連係ギヤ16の上部側が収まるようになっている。左右の連係ギヤ16の上端側にはそれぞれ貫通穴16bが形成されていると共に、スライダ15の下部側板15cの前端側には上下方向に長く延びる長穴15dが形成されており、左右の連係ギヤ16の貫通穴16bとスライダ15の下部側板15cの長穴15dとにシャフト17を通してスライダ15と連係ギヤ16とは連係されている。このシャフト17の端部は、連係ギヤ16の軸を中心とした円の円弧に沿うようにケース体10の左右側板10c、10cに形成された透かし溝10eに納められている。
【0030】
この例では、基準位置にあるフック体11の展開位置に向けた伏倒回動は、連係ギヤ16を介して前記付勢手段の付勢に抗したスライダ15の後退をもたらすようになっており、これによりかかる伏倒回動は阻止され、フック体11がこの基準位置にある状態を安定的に維持させている。(図2)このとき、前記シャフト17は透かし溝10eの前端にあってスライダ15のそれ以上の前進は阻止されている。
【0031】
この例では、スライダ15の左右の上部側板15b間にさらにブロック状をなす補助スライダ18が前後動可能に支持されている。この補助スライダ18も補助付勢手段としての圧縮コイルバネ18aによって前方に常時付勢されており、フック体11が基準位置にあるときにスライダ15の上部側板15bの前縁よりも前方に突き出してこの基準位置にあるフック体11の鈎状部11bに突き当たっているが、(図2)この補助スライダ18の付勢力はスライダ15の付勢力よりも小さくなっており、フック体11が基準位置にある状態を補助スライダ18は妨げることはない。
【0032】
基準位置にあるフック体11の上端側を後方に押し込むと、先ず補助スライダ18の前端に鈎状部11bが押し当たってが付勢に抗して後方に押し込まれ、(図3)次いで、スライダ15の上部側板15bの前端にこの鈎状部11bが押し当たってスライダ15が付勢に抗して後方に押し込まれる。(図4/解除操作)これに伴って連係ギヤ16も回動される。
【0033】
図示の例ではこの解除操作によってギヤ状体11fは図2における時計回りの向きに回動されこれに噛み合う連係ギヤ16は図2における反時計回りの向きに回動されるが、基準位置において連係ギヤ16のシャフト17はスライダ15の長穴15dの下端側に位置されると共に、スライダ15の長穴15dの下端側にはこのときの連係ギヤ16の回動方向にシャフト17を逃がす余裕が作られており、これによりスライダ15の後退開始前の連係ギヤ16の前記反時計回りの回動を許容するようにしてある。また、スライダ15の後退は図3における時計回りの向きの連係ギヤ16の回動を生じさせるためこのときはギヤ状体11fと連係ギヤ16の噛み合いを解く必要が生じる。図示の例では、前記透かし溝10eをその後端10e’からその前端に向かうに連れて溝幅を広くするように構成させており、これによりスライダ15の押し込みが生じると同時に連係ギヤ16の軸16aを軸穴10fの前端10f’から後端に移動させてギヤ状部11fと連係ギヤ16との噛み合いを解かせてスライダ15の前記後退を許容させている。
【0034】
この例では、前記のようにスライダ15が後退されると、スライダ15の後述するラック14aと制動手段側ギヤ13とが噛み合うようになっている。この噛み合いによって、フック体11の押し込みを止めても直ちにはスライダ15は付勢により前進されないので、フック体11の押し込みを止めると付勢により前進される補助スライダ18によってフック体11の上端側が前方に押され、フック体11は基準位置を超えさらに所定中間位置を超えて展開位置まで伏倒回動される。(図5)この状態からスライダ15が連係ギヤ16の軸16aを軸穴10fの前端に位置させる位置まで前進されると、連係ギヤ16とフック体11のギア状体11fとが再び噛合され、(図6)展開位置にあるフック体11はさらに付勢により前進されるスライダ15によって基準位置に向けて復帰回動される。
【0035】
この例では、スライダ15の上部側板15bの基部であって、左右上部側板15bの外側にそれぞれ、上方に歯を向けた回転体側ギヤ14としてのラック14aが前後方向に沿って連続するように形成されている。
【0036】
一方、この例では、二つの制動手段19、19はそれぞれ、ステーター体19aと図示しないローター体とを備え、かかるローター体の回転に抵抗を付与するように構成されたいわゆるロータリーダンパーとして構成されている。ローター体へのかかる抵抗の付与は例えばステーター体19a内にシリコンオイルなどの粘性流体を封入させることで確保することができる。制動手段側ギヤ13はかかるローター体の外端に回転中心を止め付けられて制動手段19側に備えられている。
【0037】
この例では、ケース体10の左右側板10c、10cの一方に制動手段側ギヤ13をケース体10内に位置させるようにしてステーター体19aを固定させて制動手段19の一方をケース体10に備えさせ、かつ、ケース体10の左右側板10c、10cの他方に制動手段側ギヤ13をケース体10内に位置させるようにしてステーター体19aを固定させて制動手段27の他方をケース体10に備えさせている。そして、右側の制動手段側ギヤ13の下端にスライダ15の右側のラック14aが、フック体11が展開位置から所定中間位置まで復帰回動される間で噛み合い、かつ、左側の制動手段側ギヤ13の下端にスライダ15の左側のラック14aが、フック体11が展開位置から所定中間位置まで復帰回動される間で噛み合うようになっている。スライダ15のラック14aの全長は、スライダ15の移動寸法よりも短くなっており、フック体11が所定中間位置に至った後は制動手段側ギヤ13の下端下にスライダ15の無ラック14a箇所が位置されるようになっている。
【0038】
これにより、この例では、回転体Mの復帰回動が所定中間位置に至る前では、二つの制動手段19、19の制動力を同時に回転体Mに作用させて回転体Mの復帰回動を遅くさせ、一方、回転体Mの復帰回動が所定中間位置に至った後は、二つの制動手段19、19の制動力がいずれも回転体Mに作用されないようにして、回転体Mの復帰回動を早めさせている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】作動機構の分解斜視構成図
【図2】同側断面構成図
【図3】同側断面構成図
【図4】同側断面構成図
【図5】同側断面構成図
【図6】同側断面構成図
【符号の説明】
【0040】
C 支持体
M 回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に対して、基準位置と展開位置との間に亘る回動と、この基準位置から展開位置と反対の所定位置への回動可能に組み合わされた回転体を備えてなると共に、
付勢部材を含んで構成された保持機構によって回転体が基準位置にある状態が解除可能に保持されるようになっており、
回転体の所定位置への回動操作により保持機構の付勢部材への蓄勢がなされると共に、保持機構との連係が解除されて回転体の展開位置への回動が許容され、回転体が展開位置に至ったときに付勢部材の付勢により保持機構との連係が復帰されてこの付勢により回転体が基準位置に復帰回動されるようになっていることを特徴とする回転体の作動機構。
【請求項2】
回転体が展開位置に至った後一定時間経過後に、回転体と保持機構との連係の復帰がなされるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の回転体の作動機構。
【請求項3】
保持機構は連係ギヤを備えており、この連係ギヤが回転体の展開位置への回動時には回転体に備えられたギヤに噛み合わず、回転体が展開位置に至った後一定時間経過後に回転体に備えられたギヤに噛み合うようになっていることを特徴とする請求項2に記載の回転体の作動機構。
【請求項4】
保持機構は、
連係ギヤに連動されると共に、所定位置への回転体の回動操作によって付勢部材に蓄勢させながら往動される移動体と、
基準位置から展開位置と反対の所定位置への回転体の回動操作によって蓄勢される補助付勢部材とを備えており、
前記所定位置への回動操作により回転体に備えられたギヤと連係ギヤとの噛み合いが解かれると共に、この所定位置において回転体の回動操作を止めると補助付勢部材の付勢により展開位置に向けて回転体が回動され、
かつ、回転体が展開位置に至った後一定時間経過後に付勢部材の付勢により移動体が復動して回転体に備えられたギヤに連係ギヤが噛み合い回転体が基準位置に復帰回動されるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の回転体の作動機構。
【請求項5】
移動体の移動に制動力を作用させる制動手段によって、回転体が展開位置に至った後一定時間経過後に回転体に備えられたギヤに連係ギヤが噛み合うようになっていることを特徴とする請求項4に記載の回転体の作動機構。
【請求項6】
移動体の移動に作用される制動力が、移動体の復動の過程で変化するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の回転体の作動機構。
【請求項7】
回転体の基準位置への復帰回動における展開位置から所定中間位置までの回動速度と、この所定中間位置から基準位置までの回動速度とを異ならせる速度切り替え手段を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の回転体の作動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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