回転刃、および回転刃を有する小型電気機器
【課題】ひげを効果的に導入して効率よく切断でき、しかも、毛屑の清掃が容易な回転刃を提供する。
【解決手段】刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21を含んで回転刃11を構成する。刃本体20には、ステンレス板材にエッチング加工を施して、リブ状の小刃24・25の一群と刃穴26の一群を形成する。複数個の刃本体20を刃ホルダー21の周面に固定して回転刃11を筒状に構成する。小刃24・25は、外面の切断面44と、内面の非切断面45と、両者44・45を繋ぐ側辺部46・47と、切断面44の回転方向上手側に形成される切刃48と、切断面44の回転方向下手側に形成される逃げ縁49を備えている。非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃48の切刃角度θ1を逃げ縁49のエッジ角度より小さく形成する。
【解決手段】刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21を含んで回転刃11を構成する。刃本体20には、ステンレス板材にエッチング加工を施して、リブ状の小刃24・25の一群と刃穴26の一群を形成する。複数個の刃本体20を刃ホルダー21の周面に固定して回転刃11を筒状に構成する。小刃24・25は、外面の切断面44と、内面の非切断面45と、両者44・45を繋ぐ側辺部46・47と、切断面44の回転方向上手側に形成される切刃48と、切断面44の回転方向下手側に形成される逃げ縁49を備えている。非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃48の切刃角度θ1を逃げ縁49のエッジ角度より小さく形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー式の電気かみそりや毛玉取り器などに適用される回転刃、および回転刃を備えている小型電気機器に関する。内刃を構成する刃本体はエッチング法、電鋳法、プレス加工によって形成してある。
【背景技術】
【0002】
一般的なロータリー式の電気かみそりにおける内刃(回転刃)は、10数個のスパイラル刃と、プラスチック成形された丸軸状の内刃支持体と、内刃支持体に埋設される金属性の内刃軸とで構成してある(特許文献1)。スパイラル刃は内刃支持体の成形時にインサート固定されて、内刃支持体と一体化してある。成形後のスパイラル刃は研削加工を施して、刃の先端に切刃を形成する。切刃は螺旋状に連続しているので、外刃の刃穴に入り込んだひげを引き切りしてシャープな切れ味を発揮できる。
【0003】
この種の内刃(回転刃)の構造に関して、エッチング法でシート状の内刃体を形成し、得られた内刃体を丸棒状の内刃支持体の周面に巻き付けて固定することが公知である(特許文献2)。内刃体の表面には、内刃支持体の中心軸に対して斜めに傾くリブが一定間隔おきに形成してあり、隣接するリブの間の薄肉部に小穴が一定間隔おきに形成してある。
【0004】
特許文献3には、母材シートの表面に電鋳法で1次電着層を形成し、得られた1次電鋳シートを円筒の内面に装填して丸め、1次電鋳シートの内面に2次電着層を形成したのち、1次電鋳シートを剥離して内刃体を構成することが開示してある。得られた内刃体は継ぎ目の無い円筒状に形成されており、筒周面には網刃状の刃穴と切刃の一群が形成してある。円筒状の内刃体は、かご状の内刃枠の周面に固定してある。
【0005】
本発明の回転刃の加工技術に関して、エッチング法でシート状の内刃ブランクを形成し、内刃ブランクに塑性加工を施して内刃体を形成することが公知である(特許文献4)。ただし、特許文献4の内刃の適用対象はレシプロ式の電気かみそりに限られており、その断面形状が逆U字状に形成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2903056号公報(第2頁左欄第38〜48行、第1図)
【特許文献2】実用新案登録第2502183号公報(第2頁左欄第30〜45行、第1図)
【特許文献3】特開昭59−28586号公報(第2頁左上欄第15行〜同左下欄第9行、第3図)
【特許文献4】特開2006−314835号公報(段落番号0027、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の内刃によれば、ひげを効果的に導入して効率よく切断できる。また、内刃の回転中心軸に対して斜めに傾斜する切刃でひげを引き切りして、シャープな切れ味を発揮できる。しかし、中実の内刃支持体でスパイラル刃を支持するので、毛屑がスパイラル刃の基端部分に溜まりやすい。また、スパイラル刃に付着した毛屑を除去する際に、個々のスパイラル刃ごとに毛屑をブラシで掃き出す必要があり、毛屑の清掃に少なからず手間が掛かる。多くの場合は、電気かみそりを水洗い可能として清掃の手間を軽減している。
【0008】
特許文献2の内刃(回転刃)では、薄い1枚の電鋳シートで内刃体を構成し、内刃体を内刃支持体の周面に巻き付け固定して内刃とするので、内刃体の弾性復元力で内刃の真円度を確保するのが難しい。また、ステンレス板材の片面にマスキングパターンを形成し、非マスキング部をエッチング液で蝕刻することにより刃部を形成し、刃部の突端に研削加工を施して切刃を形成するので、切刃の角度が大きくなるのを避けられない。
【0009】
その点、特許文献3の内刃体によれば、電鋳法で形成した継ぎ目のない円筒形の内刃体が得られるので、弾性復元力や残留応力の問題を考慮する必要がない。しかし、電鋳母型を円筒状に曲げる過程で、電気絶縁膜に亀裂を生じるおそれがあり、内刃を製造するときの歩留まりが悪くなる。また、特許文献2の内刃と同様に、切刃の角度が大きく、シャープな切れ味を発揮しにくい点に問題がある。
【0010】
上記のように、エッチング法あるいは電鋳法で形成した内刃体を切断要素とする従来の内刃は、スパイラル刃を切断要素とする内刃に比べて構造が簡単であるものの、歩留まりが悪い点、および切刃をシャープに形成するのが困難な点に改善の余地があった。
【0011】
本発明の目的は、ひげや毛玉などの切断対象を効果的に導入しながらシャープな切れ味を発揮して、効率よく切断処理を行なえる回転刃を提供することにある。本発明の目的は、切れ味がシャープな回転刃の歩留まりを向上して、その製造コストを削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る回転刃は、刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21とを含んで筒状に形成する。刃本体20には、リブ状の小刃24・25の一群と刃穴26の一群とが設けてある。小刃24・25は、外面の切断面44と、内面の非切断面45と、これら両者44・45の間に形成される一対の側辺部46・47と、切断面44の回転方向上手側に形成される切刃48と、切断面44の回転方向下手側に形成される逃げ縁49とを備えている。非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃48の切刃角度θ1を、逃げ縁49のエッジ角度θ2より小さく形成する。
【0013】
リブ状の小刃24は、回転中心軸線に対して斜めに傾斜する状態で形成する。
【0014】
刃本体20に、互いに交差するリブ状の第1小刃24の一群と、第2小刃25の一群とを設ける。第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とは、回転中心軸線に対して互いに逆向きに傾斜する状態で形成する。つまり、刃本体20を、両小刃24・25でエキスパンドメタル状に構成する。
【0015】
第1小刃24と第2小刃25の交差部分における切刃48の切刃角度θ3を、両小刃24・25の他の部分の切刃48の切刃角度θ1より小さく設定する。
【0016】
刃本体20は四辺形状に形成する。刃本体20の各辺部に沿って小刃24・25に連続する周枠27を無端状に形成する。
【0017】
刃本体20の周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで構成する。長辺周枠27aの切断面44の回転方向上手側に切刃48を形成する。
【0018】
刃本体20の周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで構成する。長辺周枠27aを回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成する。
【0019】
長辺周枠27aの断面幅b1を、小刃24・25の断面幅b2と同じに設定する。
【0020】
本発明の回転刃を有する小型電気機器においては、回転刃をモーター動力で回転駆動する。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、小刃24・25の非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃48の切刃角度θ1を逃げ縁49のエッジ角度θ2より小さく形成するので、切刃48の切れ味をシャープにできる。したがって、刃穴26に捕捉されたひげを両小刃24・25で効果的に切断して、能率よく切断対象を切断できる回転刃が得られる。
【0022】
リブ状の小刃24を回転中心軸線に対して斜めに傾斜させると、刃穴26に捕捉されたひげを切刃48で斜めに引き切りできるので、切刃48の切れ味をさらにシャープなものとして、スパイラル刃を切断要素とする内刃と同様に、切断対象の切断を効果的に行なって、さらに能率よく切断作業を行なうことができる。この場合の小刃は、図5に示す第1小刃24と第2小刃25のいずれか一方で構成でき、その場合には、例えば図27に示すように、隣接する小刃を補強リブで接続して小刃の構造強度を確保するとよい。
【0023】
互いに交差する第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とを、回転中心軸線に対して互いに逆向きに傾斜させて、刃本体20をエキスパンドメタル状に構成すると、切刃48の合計長さを格段に増加できる。また、回転刃を使用してひげ切断を行なう場合には、傾斜方向が異なる両小刃24・25でくせ毛を起こしながら交互に切断できるので、全体としてひげ切断をさらに効率よく行なえる。回転刃の内面に入り込んだ毛屑は簡便に水洗いして除去できるので、常に衛生的な状態を維持できる。
【0024】
交差部分における切刃48の切刃角度θ3を、他の部分の切刃の切刃角度θ1より小さくすると、交差部分における切刃48の切れ味を他の切刃部位に比べてさらにシャープなものとすることができる。刃穴26内に入り込んだひげ等の切断対象は、傾斜する両小刃24・25で斜めに引き切りされるが、切断対象の一部は斜めの両小刃24・25に沿って交差部分へ案内される傾向がある。したがって、交差部分に集まった切断対象を、切刃角度θ3が最も小さな切刃48で確実に切断できる。
【0025】
四辺形状に形成した刃本体20の周縁に無端状の周枠27を設け、互いに交差する小刃24・25の端部を周枠27に連続させると、両小刃24・25の構造強度を向上して刃本体20の強度を高めることができる。また、周枠27で囲まれる領域の全てに小刃24・25を無駄なく形成して、切刃48による切断機会を増加できる。
【0026】
刃本体20を平行四辺形状に形成すると、切断時の切断抵抗を長辺周枠27aの長手方向に分散する状態で刃本体20に作用させることができる。詳しくは、刃本体20が外刃10と摺接し始める位置が、刃本体20の長辺周枠27aの一端側から他端側へと変化するので、各小刃24・25に作用する切断抵抗を分散させることができ、リブ状の両小刃24・25に作用する切断抵抗を軽減できる。また、長辺周枠27aに切刃48が形成してある場合には、切刃48を傾斜させて両小刃24・25と同様にひげを引き切りできる。
【0027】
長辺周枠27aと小刃24・25の断面幅b1・b2を同じに設定すると、小刃24・25、および刃穴26が形成された刃ブランク43を曲げ加工するときの、長辺周枠27aおよび小刃24・25の変形応力を同じにすることができる。したがって、刃ブランク43を均一な部分円弧状に曲げ加工して、刃本体20の形状精度を向上できる。
【0028】
本発明に係る回転刃を有する小型電気機器によれば、回転刃をモーター動力で回転駆動することにより、ひげや毛玉などの切断対象を回転刃内へ効果的に導入して効率よく切断でき、したがって、髭剃りや毛玉除去などの切断処理を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】メイン刃の縦断側面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】内刃(回転刃)の正面図である。
【図4】内刃(回転刃)の分解斜視図である。
【図5】刃ブランクの平面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図7におけるa−a線、b−b線、c−c線に沿う断面図である。
【図7】内刃ブランクの底面図である。
【図8】(a)〜(c)は、エッチング時のレジスト膜構造を示す断面図である。
【図9】内刃(回転刃)の加工過程を示す断面図である。
【図10】刃本体の溶接構造を示す展開図である。
【図11】内刃(回転刃)の加工過程を示す断面図である。
【図12】刃本体の別の実施例を示す平面図である。
【図13】図12の刃本体の溶接構造を示す展開図である。
【図14】刃ホルダーの別の実施例を示す斜視図である。
【図15】回転刃のさらに別の実施例を示す断面図である。
【図16】小刃の別の実施例を断面図である。
【図17】回転刃の別の適用例を示す正面図である。
【図18】小刃の交差部の別の実施例を示す要部底面図である。
【図19】回転刃の別の適用例を示す正面図である。
【図20】回転刃のさらに別の適用例を示す正面図である。
【図21】回転刃のさらに別の適用例を示す正面図である。
【図22】回転刃の別の実施例を示す断面図である。
【図23】刃本体の別の加工形態を示す断面図である。
【図24】別の加工形態で形成した刃本体の平面図である。
【図25】刃本体のさらに別の加工形態を示す断面図である。
【図26】さらに別の加工形態で形成した刃本体の平面図である。
【図27】刃本体のさらに別の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
図1ないし図11は本発明に係る回転刃をロータリー式の電気かみそりの内刃に適用した実施例を示す。図2において電気かみそりは、本体部1と、本体部1で支持されるヘッド部2と、本体部1に装着される外枠3と、本体部1の後面側に配置されるきわ剃りユニット(図示していない)などで構成する。外枠3は装飾枠を兼ねており、本体部1と協同して電気かみそりのグリップを構成している。外枠3の一側上端には、モーター12の通電状態をオン・オフするスイッチボタン4が設けてある。
【0031】
本体部1の内部には、2次電池5や回路基板6が組み込んであり、回路基板6には、先のスイッチボタン4で切り換え操作されるスイッチや、表示灯7用のLED、および制御回路や電源回路を構成する電子部品などが実装してある。
【0032】
ヘッド部2には、外刃10と内刃(回転刃)11とからなるメイン刃が設けてあり、さらに内刃11を駆動するモーター12と、モーター12の回転動力を内刃11に伝動する駆動構造などが設けてある。駆動構造は、一群のギヤトレイン13で構成してある。外刃10は、エッチング法あるいは電鋳法で形成されるシート状の網刃からなり、その前後縁を外刃ホルダー14で支持して、逆U字状に保形してある。ヘッド部2は本体ケース1で上下方向へ浮動可能に支持されており、ヘッド部2と本体ケース1との間は防水パッキンでシールしてある。
【0033】
外刃ホルダー14は、ヘッド部2のヘッドフレーム15に着脱自在に装着されて、ヘッドフレーム15に組み込んだ左右一対のロックボタン16で分離不能にロック保持してある。左右のロックボタン16を同時に押し込み操作すると、ロックボタン16による係合を解除して、外刃ホルダー14をヘッドフレーム15から取り外すことができる。これにより、内刃11を露出させて、ヘッドフレーム15の上面や、内刃11に付着した毛屑を水洗い清掃できる。
【0034】
図3および図4において内刃11は、3個の刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21と、刃ホルダー21に固定される内刃軸(刃支持軸)22などで構成する。内刃軸22が内刃11の回転軸となる。刃本体20は、左右に長い長方形(四辺形)シート状の刃ブランク43に塑性加工を施して周方向の曲率が同じ断面円弧状に形成してあり、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに固定してある。刃本体20の内面の半径寸法は、後述する刃ホルダー21の円弧周面37・39の半径寸法と一致させてあり、円弧幅は円弧周面37・39の周方向幅より僅かに小さく設定する。
【0035】
図5に示すように、刃本体20のシート面には、直線リブ状の第1小刃(小刃)24の一群と、直線リブ状の第2小刃(小刃)25の一群と、これら両小刃24・25で囲まれる菱形の刃穴26の一群と、刃本体20の周囲を囲む周枠27が設けてある。第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とは、それぞれ内刃11の回転中心軸線に対して、互いに逆向きに15度ずつ傾斜するように形成してあり、刃本体20の切断領域Rの全体がエキスパンドメタル状に形成してある。各小刃24・25の隣接ピッチは約2.7mmである。両小刃24・25を構成する直線リブは、刃本体20の周方向へ7個ずつ形成してある。
【0036】
上記のように、刃本体20のシート面に第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とをエキスパンドメタル状に設けると、スパイラル刃を切断要素とする従来の内刃に比べて、切刃の合計長さを増強でき、しかも傾斜方向が異なる両小刃24・25でくせ毛を起こしながら交互に切断できる。さらに、網刃構造の従来の内刃に比べて、刃穴26の開口面積が格段に大きくなるので、スパイラル刃を切断要素とする内刃と同様にひげを効果的に導入して、ひげ切断を効率よく行なえる。
【0037】
周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで無端枠状に形成してある。先の第1小刃24および第2小刃25の端部は、それぞれ長辺周枠27a、あるいは短辺周枠27bに連続している。長辺周枠27aの断面幅b1と、各小刃24・25の断面幅b2とは同じ寸法(0.45mm)に設定してある。左右の短辺周枠27bの幅寸法は2mmと、長辺周枠27aの断面幅b1に比べて広幅に形成してあり、その周縁に沿って、刃本体20を刃ホルダー21に固定するための固定部28が形成され、さらに、短辺周枠27bの前後端に固定爪29が突設してある。上記のように、周枠27を無端枠状に形成し、互いに交差する両小刃24・25の端部を周枠27に連続させることにより、両小刃24・25のの構造強度を向上して刃本体20の強度を高めることができる。
【0038】
固定部28と固定爪29は、ハーフエッチング加工によって、刃本体20の外周面より凹む凹部として形成してある。ハーフエッチング加工による凹み深さは、ステンレス板材42の厚みの概ね半分となる。固定部28の前後中央には四角形状の位置決め穴30が形成してあり、この位置決め穴30は、後述するようにステンレス板材42をエッチング加工する過程で同時に形成される。周枠27で囲まれる切断領域Rにも、固定部28と同様の切刃固定部31を設ける。
【0039】
具体的には、両小刃24・25の交差部分において、内刃11の回転方向下手側に切刃固定部31を形成している。切刃固定部31は、固定部28と同様にハーフエッチング加工で凹部として形成してあり、これらのハーフエッチング部分を図5に点描で示している。この実施例においては、切断領域Rの左右幅方向の中央に位置する両小刃24・25の交差部分(5個所)と、この中央位置から切断領域Rの左右幅の3分の1だけ離れた位置にある両小刃24・25の交差部分(各5個所)とに切刃固定部31を設けるようにした。なお、3個の刃本体20は同一形状で、同一寸法の部品からなる。
【0040】
図4において刃ホルダー21は、2個の刃受体(刃受部)34と、3個の切刃支持体(切刃支持部)35をそれぞれ内刃軸22に溶接して一体化してある。刃受体34は、刃ホルダー21の両側端に配置され、3個の切刃支持体35は、両刃受体34の間に等間隔おきに配置されて、刃本体20の切断領域Rを内面側から支持する。3個の切刃支持体35のうち中央の切刃支持体35は、内刃11の左右方向の中央に位置している。刃受体34は基本形状が円形のステンレス製の円板で構成してあり、円板の周囲3個所に、円板周面で開口する台形状の爪受部36が等間隔おきに切リ欠き形成してある。爪受部36に挟まれる円弧周面37の周方向中央部には、それぞれ位置決めピン(位置決め突起)38が突設してある。
【0041】
切刃支持体35は、刃受体34と同様に形成するが、その円弧周面39における位置決めピン38を省略する点が刃受体34と異なる。切刃支持体35は、先の切刃固定部28と対応する位置に固定してある。内刃軸22はステンレス製の丸軸からなり、仕上げ研削加工が終了した後に、その一方の軸端に終段ギヤ40(図2参照)を固定する。
【0042】
刃ブランク43は、厚みが0.254mmのステンレス板材(金属シート)42にエッチング処理を施して形成してある。図6に示すように、第1小刃24、および第2小刃25の基本的な断面形状は、外面の切断面44と、内面の非切断面45と、これら両者44・45の端縁間を湾曲する状態で抉る一対の側辺部46・47とで斜めに歪んだ盃形に形成する。一方の側辺部46と切断面44とで、切断面44の回転方向上手側に切刃48が形成され、他方の側辺部47と切断面44とで、切断面44の回転方向下手側に逃げ縁49が形成される。切断面44の中央には、各小刃24・25の長手方向に沿って溝50が形成してある。このように溝50を設けることによって、切断面44の外刃10に対する接触摩擦を軽減することができる。各図に内刃11の回転方向を矢印Mで示している。なお、図6(a)〜(c)は、図7におけるa−a線、b−b線、c−c線に沿う断面図であり、切刃48の角度θ1は25度、θ2は60度、θ3は20度である。
【0043】
刃ブランク43を形成する過程では、図8に示すように、ステンレス板材(金属シート)42の表裏両面にそれぞれレジスト膜55・56を形成したのち露光したのち、露光部を除去して、非露光部のレジスト膜55・56に囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻する。このとき、表側のレジスト膜55の幅を裏側のレジスト膜56の幅より大きくし、さらに、裏側のレジスト膜56の幅中心を表側のレジスト膜55の幅中心から、内刃11の回転方向下手側へずらしておく。なお、図8(a)〜(c)の小刃24・25の断面は、図6(a)〜(c)の小刃24・25の断面に対応している。
【0044】
上記のように、表側のレジスト膜55の幅を裏側のレジスト膜56の幅より大きくすると、ステンレス板材54の裏側の露出面積が、表側の露出面積に比べて大きくなり、その分だけ裏面側の蝕刻の度合が大きくなる。また、表裏両面から成長した湾曲面は、最終的にひとつの湾曲面になって側辺部46・47を形成するが、裏側のレジスト膜56の幅中心が表側のレジスト膜55の幅中心から回転方向下手側へずらしてあるため、切断面44側の湾曲面の抉り深さは、非切断面45側の湾曲面の抉り深さに比べて大きくなる。その結果、非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側に寸法T(図6参照)の分だけずらして、切刃48の切刃角度θ1を逃げ縁49のエッジ角度θ2より小さくし、鋭く尖らせることができる。なお、切刃48は、長辺周枠27aの切断面44側の回転方向上手側にも形成してある。
【0045】
同様に、第1小刃24と第2小刃25の交差部分において、裏側の露光部の幅中心を表側の露光部の幅中心から大きくずらすことにより、交差部分における切刃48の切刃角度θ3を20度として、両小刃24・25の他の部分の切刃の切刃角度θ1(25度)より小さくすることができる。したがって、交差部分における切刃48の切れ味は、他の切刃部位に比べてさらにシャープにすることができる。両小刃24・25は、内刃11の回転中心軸に対して互いに逆向きに傾斜している。そのため、外刃10の刃穴で捕捉されて刃穴26内に入り込んだひげを、斜めに引き切りしてシャープな切れ味を発揮できる。また、刃穴26内に入り込んだひげは、斜めの切刃48に沿って両小刃24・25の交差部分へ案内される傾向があり、したがって、切刃角度θ3が最も小さな交差部分における切刃48でひげをさらにシャープに切断できることとなる。
【0046】
エッチング加工で得られた刃ブランク43を、金型を用いてプレス加工することにより、図9(b)に示すように周方向の曲率が同じ断面円弧状に折り曲げられた刃本体20が得られる。このとき、各小刃24・25の長手方向に沿って溝50が形成してあるので、刃ブランク43を容易にしかも内部歪の発生を抑止しながら曲げ加工できる。刃ブランク43を断面円弧状に折り曲げたのち、固定爪29を対向する向きに折り曲げておく。以上のように、刃ブランク43に塑性加工を施して刃本体20を周方向の曲率が同じ断面円弧状に形成すると、刃本体20は自己の保形力で適正な折り曲げ形状を維持できる。なお、周方向の曲率が同じ断面円弧状とは、周方向の曲率が厳密に同じである場合はもちろん、刃本体20の周方向の曲率が部分的に異なっている場合、例えば、周方向両端(長辺周枠27a部分)の曲率半径が他の部位より僅かに小さい(あるいは僅かに大きい)場合を含むこととする。その理由は後述する。
【0047】
得られた刃本体20は、次のようにして刃ホルダー21に組み付ける。まず、ひとつの刃本体20を拡開状に弾性変形させて固定爪29の間隔を拡げ、その状態で位置決め穴30を位置決めピン38に係合したのち、左右の固定爪29を爪受部36にパチンと係合して、固定部28の内面を刃受体34の円弧周面37に密着させる。これにより、刃本体20が左右の位置決めピン38と爪受部36とで位置決めされる。
【0048】
上記の状態で、刃本体20の幅方向の3個所に設けられた切刃固定部31を切刃支持体35の円弧周面39にスポット溶接し、さらに、左右の固定部28を刃受体34の円弧周面37にスポット溶接する。このとき、固定部28および切刃固定部31がハーフエッチング加工によって他の部位より薄く形成してあるので、より確実にスポット溶接を行なうことができる。スポット跡が刃本体20の表面に露出することもない。同様にして、残る2個の刃本体20の切刃固定部31および固定部28を、切刃支持体35および刃受体34にスポット溶接する。
【0049】
各刃本体20をスポット溶接する場合には、図10に示すように、切刃固定部31では符号60で示すように周方向の5個所を等間隔おきに溶接し、固定部28では符号59で示すように周方向の8個所を等間隔おきに溶接する。このように、切刃固定部31における固定個所数を、刃本体20の固定部28における固定個所数より小さく設定すると、切断領域Rの歪を可及的に防止しながら、切断領域Rが切刃支持体35から浮き離れるのを確実に防止できる。これにより、全体として刃本体20の左右両端の16個所と、切断領域の15個所を刃ホルダー21に強固に固定している。なお、切刃支持体35を内刃軸22の軸芯に沿って4列設け、その溶接個所数が周方向へ5個所ある場合には、切断領域Rの全溶接個所数が20個所となって、切刃固定部31における固定個所(16個所)より大きくなるが、本発明における固定個所数の大小は、周方向の固定個所列ごとの比較であり、先のように切断領域Rの全溶接個所数が大きくなる場合も含むこととする。刃本体20の左右両端、および切断領域の15個所を刃ホルダー21に強固に固定できる。また、切刃固定部31を、構造強度が大きな両小刃24・25の交差部分の逃げ縁49の側に凹み形成するので、スポット溶接に伴なう熱歪を最小限化して、刃本体20の変形を防止できる。
【0050】
スポット溶接を経て得られた内刃前段体は、図11(a)に示すように刃本体20の外面に位置決めピン38が突出しているので、図11(b)に示すように粗研削加工を施して位置決めピン38を刃本体20の表面と面一になるまで研削する。さらに仕上げ研削加工を施して、各刃本体20の周面を整形し、内刃11の外周面の直径寸法、および真円度を所定の状態に仕上げる。このように、刃本体20に研削加工を施すことによって回転刃(切断面44)の真円度を充分に確保できるので、先に説明したように刃本体20の周方向の曲率が部分的に多少異なっていても問題はない。また、研削仕上げを行なわない場合であっても、曲率半径が他の部位より小さい場合には問題なく使用でき、本発明でいう真円度の概念は、このように周方向の曲率が部分的に多少異なっている場合を含むこととする。
【0051】
得られた内刃11は、図3に示すように全体が中空筒状ないし円筒籠状に構成され、刃本体20の自己保形力と刃ホルダー21の支持作用とによって中空筒構造を維持できる。このように、中空筒状に構成した内刃11によれば、切断された毛屑を内刃11内に落下させ、さらに内刃11の下方の毛屑収容室に落下できるので、刃本体20における毛屑の滞留を防止して効果的にひげを導入できる。また、水洗い清掃時には、刃本体20の内面に入り込んだ毛屑の排出を促進して、常に衛生的な状態を維持できる。なお、内刃11の内部空間に落ち込んだ毛屑は、爪受部36に臨む状態で隣接する刃本体20の隙間から排出でき、さらに、開口面積が大きな刃穴26からも併行して排出して、毛屑や皮脂などを速やかに洗い流すことができる。内刃11を構成する3個の刃本体20の構造を、小刃24・25を含めて同一形状、同一寸法とし、さらに各刃本体20を刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化できる。したがって、内刃11を常に安定した状態で回転駆動でき、振動の発生を防止できる。
【0052】
図12および図13は、刃本体20の別実施例を示す。そこでは、長辺周枠27aを内刃11の回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成した。長辺周枠27aは第1小刃24と同じ向きに同じ角度だけ傾斜してある。このように、刃本体20を平行四辺形状に形成すると、ひげ切断時の切断抵抗を長辺周枠27aの長手方向に分散する状態で刃本体20に作用させることができる。詳しくは、刃本体20の外刃10と摺接し始める位置が、刃本体20の長辺周枠27aの一端側から他端側へと変化するので、各小刃24・25に作用する切断抵抗を分散させることができ、両小刃24・25に作用する切断抵抗を小さくできる。また、長辺周枠27aに形成される切刃48も傾斜させて、両小刃24・25と同様にひげを引き切りできる。
【0053】
刃本体20は、図13に示すように刃ホルダー21に組み付けたのち、固定部28および切刃固定部31のそれぞれを、刃受体34および切刃支持体35に溶接して固定する。この場合には、周方向へ隣接する刃本体20の間に斜めの隙間が開口されるので、外刃10に、その刃面を内刃11へ押し付ける向きの外力が作用する場合であっても、外刃10が先の隙間から垂れ込むのを防止できる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0054】
図14は刃ホルダー21の別実施例を示す。そこでは、刃受体34と、切刃支持体35と、ボス部63とを一体に射出成形し、内刃軸22をインサート固定した。図示していないが、円弧周面37・39にはそれぞれ溶着用の突起が形成してある。また、刃本体20の固定部28および切刃固定部31には、溶着用の突起と係合する穴が形成してある。この場合の刃本体20は、刃ホルダー21に対して溶着固定する。必要があれば、刃受体34、切刃支持体35、ボス部63と、内刃軸22を一体に構成して刃ホルダー21とすることができる。
【0055】
刃ホルダー21の刃受体34と切刃支持体35は、図15(a)に示すように三角形状に形成することができ、その場合には、刃受体34および切刃支持体35の頂部に限って円弧周面37・39を設けて、各刃本体20の長辺周枠27aのみを刃受体34および切刃支持体35で支持することができる。この場合には、固定爪29は省略してある。刃本体20は、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに配置する。このように刃本体20の周方向端部のみを刃受体34および切刃支持体35で支持する場合でも、塑性加工された刃本体20は部分円弧形状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)を自己保持できるので、小刃24・25が外力を受けて内面側へ凹むことはない。この実施例における内刃11においては、3個の刃本体20を周方向へ等間隔おきに配置するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化して、振動の発生を防止できる。
【0056】
刃受体34と切刃支持体35は、図15(b)に示すように六角形状に形成することができる。この場合の内刃11は、半円状に折り曲げられた2個の刃本体20を、刃ホルダー21に固定して構成してある。刃本体20は周枠27と、切断領域Rの中途部2個所とが刃受体34と切刃支持体35とで支持される。刃本体20は、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに配置してあり、先の実施例と同様に、固定爪29は省略してある。この実施例における内刃11は、2個の刃本体20を周方向へ等間隔おきに配置するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化して、振動の発生を防止できる。
【0057】
刃受体34と切刃支持体35は、図15(c)に示すように糸巻きボビン形状に形成することができる。また、2個の刃本体20は、図15(b)の刃本体20に比べて周方向長さを小さくして、大きな隙間を間にして隣接するように固定することができる。刃本体20は、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに配置してあり、先の実施例と同様に、固定爪29は省略してある。この実施例における内刃11は、2個の刃本体20を周方向へ等間隔おきに配置するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化して、振動の発生を防止できる。
【0058】
図16は、各小刃24・25の断面形状の別実施例を示す。そこでは、図6で説明した小刃24・25と同様に、非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側に寸法Tだけずらして、切刃48の切刃角度θ1を鋭く尖らせる。異なるのは、非切断面45の回転下手側の蝕刻縁51を、切断面44の逃げ縁49よりも回転下手側へ突出する点である。これにより、小刃24・25の回転方向の小刃幅を大きくできるので、切断された毛屑が回転刃の内方から外方へ飛び出るのをよく防止できる。また、切断面44の回転方向の幅に変化はないので、ひげ導入を効果的に行なえる。
【0059】
図17は電気かみそりの別の実施例を示す。そこでは、回転刃11の周囲に、回転刃11の食い込み量を規制するガード体65を設けて、これら両者11・65をモーター動力で回転駆動する。ガード体65はコイルばね状に形成してあり、コイル部を回転刃11の周面に巻き付けて、その両端が回転刃11に固定してある。本発明の回転刃11は、この種の外刃を備えていない電気かみそりにも適用できる。
【0060】
図6に示す小刃24・25においては、裏側の露光部の幅中心を表側の露光部の幅中心から大きくずらして側辺部26・27の抉り深さを調整したが、図18に示すように交差分における非切断面45の幅寸法b3を小さくすることによっても抉り深さを調整することができる。詳しくは、交差部に近づくに従って非切断面45の回転上手側の蝕刻縁52を回転下手側へ凹ませて抉り深さを調整した。
【0061】
図19ないし図21は、回転刃11を電気かみそり以外の小型電気機器に適用した実施例を示す。
図19は、回転刃11を爪切りに適用した実施例である。爪切りは、グリップを兼ねる本体部68の一端に円筒状のヘッド部69を設け、その内部にヘッド部69の筒軸心の回りに回転する回転刃11を配置して、本体部68に収容したモーター70で回転刃11を回転駆動するようにした。符号72は2次電池、符号73はモーター70を起動し、あるいは停止するためのスイッチボタンである。ヘッド部69の筒周壁には半円状の切断窓71が開口してあり、この窓71を介して回転刃11がヘッド部69の外面に露出させてある。爪を切断する場合には、回転駆動した状態の回転刃11を爪の先端に押し付けて、爪を少しずつ削りとる。
【0062】
図20は、回転刃11を毛玉取り器に適用した実施例である。毛玉取り器は、グリップを兼ねる本体部68の一端に円筒状のヘッド部69を設け、その内部にヘッド部69の筒軸心の回りに回転する回転刃11を配置して、本体部68に収容したモーター70で回転刃11を回転駆動するようにした。符号72は2次電池、符号73はモーター70を起動し、あるいは停止するためのスイッチボタンである。ヘッド部69の筒周壁には部分円弧状の切断窓71が開口してあり、この窓71を介して外刃10がヘッド部69の外面に露出させてある。毛玉は外刃10の刃穴から導入されて、外刃10の内面に摺接する内刃(回転刃)11で切断される。この場合の外刃10および回転刃11は、爪切りの回転刃11に比べて軸心方向の長さが充分に大きくしてあり、したがって、回転刃11のニット生地に対する接触面積をより大きくして、毛玉を効果的に除去できる。
【0063】
図21は、回転刃11を角質除去器に適用した実施例である。角質除去器は、グリップを兼ねる本体部68の一端にアーチ状のヘッド部69を設け、その内部に本体部68の中心軸線と直交する軸回りに回転する回転刃11を配置して、本体部68に収容したモーター70で回転刃11を回転駆動するようにした。符号72は2次電池、符号73はモーター70を起動し、あるいは停止するためのスイッチボタンである。ヘッド部69の周壁には切断窓71が切り欠き形成してあり、この窓71を介して回転刃11がヘッド部69の外面に露出させてある。角質を除去する場合には、回転駆動した状態の回転刃11を、かかとなどの角質部分に押し付けて角質を少しずつ削りとる。
【0064】
図22は回転刃11のさらに別の実施例を示す。そこでは、部分円弧状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)の2個の刃本体20と、断面が半円状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)の1個の刃本体20を、刃ホルダー21の刃受体34および切刃支持体35に固定して回転刃11とした。このように、周方向の長さが異なる複数の刃本体20を刃ホルダー21に固定する回転刃11によれば、回転時の重量バランスが不均一となり、振動を生じやすくなる。また、先の振動によりヘッド部2を縦方向に振動させることができるので、外刃10を肌面に対して直行する向きに振動させながらひげ切断を行なえる。その場合には、網刃からなる外刃10の刃穴に皮膚を垂れ込ませて、ひげを深剃りすることができる。
【0065】
刃ブランク43は、先に説明した過程を経て形成する必要はない。例えば、所定形状に切断されたステンレス板材42に塑性加工を施して、断面が部分円弧状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)の刃ブランク43を形成する。次に刃ブランク43の表裏両面にそれぞれレジスト膜55・56を形成したのち露光し、露光部を除去して、非露光部のレジスト膜55・56に囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻して、リブ状の小刃24・25の一群と、刃穴26の一群とを形成する。以後の処理は既に説明したとおりである。
【0066】
上記のように、予めステンレス板材42に塑性加工を施して部分円弧状の刃ブランク43を形成すると、均質な状態のステンレス板材42を曲げ加工することになるので、刃ブランク43をより正確に曲げることができる。また、部分円弧状に曲げられた刃ブランク43にエッチングを施して小刃24・25および刃穴26を形成するので、両小刃24・25の切断面44を円弧面に形成でき、したがって、最小限の研削加工を施すだけで内刃11の真円度を確保でき、さらに研削加工を施すことによって切刃48の角度が僅かに大きくなるのを防止できる。
【0067】
刃本体20は、電鋳法で形成したシート状の刃ブランク43に、プレス加工を施して形成することができる。詳しくは、図23(a)に示すように、母型75の上面にフォトレジスト膜を形成し、その表面にパターンフィルムを載置して露光し現像したのち、電鋳パターンに合致するフォトレジスト層76を形成し、1次電鋳層77を形成する。次に、図23(b)に示すように、電鋳液を矢印に示す向きに流しながら、1次電鋳層77の外面に2次電鋳層78を形成する。2次電鋳層78を剥離することにより、断面が不等脚台形状の小刃24を備えた刃ブランク43が得られる。詳しくは、電鋳液の流れ方向上手側の斜面79の傾斜角度が小さく、流れ方向下手側の斜面80の傾斜角度が大きな、不等脚台形状の小刃24を形成できる。
【0068】
次に、2次電鋳層78を剥離することにより、図23(c)に示すように、切断面44の側に溝(カウンターシンク)50を備えた刃ブランク43が得られる。最後に、図23(d)に示すように、刃ブランク43にプレス加工を施して、全体を外突湾曲状に塑性変形させることにより、小刃24の外面に溝50を備えた刃本体20を形成できる。非切断面45の中心は切断面44の幅中心より寸法Tの分だけ斜面80の側へ偏っている。
【0069】
図24は図23(c)の平面図であり、小刃24は長辺周枠27aと平行な直線刃からなり、溝50、および溝50どうしを繋ぐ固定部28の凹み(カウンターシンク)を点描で示している。この場合の両側端の小刃24は、刃本体20の長辺周枠27aを兼ねている。小刃24の切刃48および切断面44は、最終的に研削加工を施して仕上げられる。
【0070】
刃本体20は、図25(a)〜(d)に示すように、プレス加工で形成することができる。その場合には、金属シート82に打ち抜き加工を施して、図25(b)に示す1次ブランク83を形成する。1次ブランク83には、刃穴26と四角形断面状の小刃24の前段体84とが形成してある。次に、1次ブランク83に塑性加工を施して、図25(c)に示すように、前段体84を断面盃状に形成して、鋭角の切刃48と逃げ縁49を備えた小刃24を形成する。これにより複数の小刃24を備えた刃ブランク43が得られる。次に、図25(d)に示すように刃ブランク43にプレス加工を施して、全体が外突湾曲状(周方向の曲率が同じ断面円弧状)に塑性変形された刃本体20を形成する。非切断面45の幅中心は切断面44の幅中心より側辺部47の側へ偏っている。
【0071】
図26は図26(c)の刃ブランク43の平面図であり、小刃24は長辺周枠27aと平行な直線刃で形成してある。固定部28はプレス加工で形成してあり、短辺周枠27bに沿って凹ませてある。この凹みを点描で示している。この場合の両側端の小刃24は、刃本体20の長辺周枠27aを兼ねている。小刃24の切刃48および切断面44は、最終的に研削加工を施して仕上げられる。
【0072】
図27は、刃本体20のさらに別の実施例を示す。そこでは、内刃11の回転中心軸線に対して斜めに傾斜する小刃24を設け、隣接する小刃24を補強リブ91で接続して小刃24の構造強度を確保した。補強リブ91は小刃24と直交する状態で、小刃24の長手方向に一定間隔おきに設けた。また、一対の短辺周枠27bのそれぞれに固定部28を凹み形成し、一対の長辺周枠27aの対向部の中央に切刃固定部31を台形状に凹み形成した。この刃本体20は、エッチング加工、電鋳加工、プレス加工のいずれの加工法であっても形成できる。
【0073】
小刃24・25および刃穴26は、さらに別の加工法によって形成することができる。上記と同様に、ステンレス板材42に精密プレス加工(塑性加工)を施して断面が部分円弧状の刃ブランク43を形成するが、曲げ加工する過程でリブ状の小刃24・25の一群と、刃穴26の一群とを同時に打ち抜き形成する。こののち、小刃24・25にエッジ加工を行なって切刃48を形成する。以後の処理は既に説明したとおりである。このように、塑性加工のみで刃ブランク43を形成すると、その加工コストを大幅に削減して内刃11の製造に要するコストを減少できる。
【0074】
本発明は以下の形態で実施することができる。
本発明に係る回転刃は、刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21とを含む。刃本体20は、リブ状の小刃24・25の一群と、リブ状の小刃24・25で区画される刃穴26の一群とを備えている。刃本体20は、塑性加工を施して断面円弧状に形成する。断面円弧状の刃本体20を刃ホルダー21の周面に複数固定して、回転刃11を筒状に構成する。
【0075】
上記の回転刃によれば、スパイラル刃を切断要素とする回転刃と同様に、ひげや毛玉などを回転刃内へ効果的に導入して効率よく切断でき、したがって、能率よく髭剃りや毛玉除去などの切断処理を行なうことができる。また、複数の刃本体20を刃ホルダー21の周面に固定して回転刃とするので、塑性加工後の残留応力が少なく、真円度を確保して切れ味の低下を防止できる。
【0076】
金属シート42にエッチング加工を施して、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを備えた刃ブランク43を形成する。刃ブランク43に塑性加工を施して、刃本体20を断面円弧状に形成する。
【0077】
上記のように、金属シート42にエッチング加工を施して、小刃24・25や刃穴26を備えた刃ブランク43を形成し、刃ブランク43に塑性加工を施して断面円弧状の刃本体20を形成すると、エッチング加工および塑性加工をより少ない手間で簡便に行なえる。平板状の金属シート42にエッチング加工を施し、さらに平板状の刃ブランク43に塑性加工を施せばよいからである。したがって、断面円弧状の刃本体20の加工に要するコストを削減して、回転刃の製造コストを減少できる。また、エッチング加工で鋭い切刃48を形成することができるので、シャープな切れ味を発揮できる回転刃とすることができる。
【0078】
上記の内刃11とは逆に、金属シート42に塑性加工を施して、刃ブランク43を断面円弧状に形成する。得られた刃ブランク43にエッチング加工を施して、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを形成する。
【0079】
このように、金属シート42に塑性加工を施して断面円弧状の刃ブランク43を形成し、これにエッチング加工を施して小刃24・25および刃穴26を形成すると、刃ブランク43の曲げ形状をより正確なものとすることができる。均質な状態の金属シート板材42を曲げ加工するからである。また、部分円弧状の刃ブランク43にエッチングを施して小刃24・25および刃穴26を形成するので、曲面部分に切刃48を形成でき、したがって最小限の研削加工を施すだけで回転刃11の真円度を確保でき、研削加工の手間を軽減できる。また、この場合にもエッチング加工で鋭い切刃48を形成することができるので、シャープな切れ味を発揮できる回転刃とすることができる。
【0080】
金属シート42に塑性加工を施して、刃ブランク43を断面円弧状に形成する。金属シート42に塑性加工を施す過程で、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを同時に打ち抜き形成する。
【0081】
金属シート42に塑性加工を施して刃ブランク43を形成する過程で、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを同時に打ち抜き形成すると、刃本体20をより少ない工数で加工できるので、刃本体20の加工コストを大幅に削減して回転刃の製造に要するコストを減少できる。
【0082】
刃本体20は刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定する。このように、複数個の刃本体20を刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定して構成する内刃11によれば、複数個の同一構造の刃本体20で回転刃を構成できるので、1種類の刃本体20を用意するだけでよく、数種の刃本体を用意する場合に比べて、回転刃をより低コストで製造できる。また、同一構造の刃本体20を刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定するので、回転刃の重量バランスを均一化でき、したがって回転刃を常に安定した状態で回転駆動できる。個々の刃本体20における切れ味を均等化できる利点もある。
【0083】
切断領域Rを間に挟む刃本体20の幅方向両側端に固定部28を設ける。固定部28は、刃ホルダー21の幅方向両側端に設けた刃受部34に、溶接加工ないしかしめ加工で分離不能に固定する。
【0084】
上記のように、切断領域Rの外の刃本体20の両側端に固定部28を設け、これを刃ホルダー21の両側端の刃受部34に溶接加工ないしかしめ加工で分離不能に固定すると、切断領域Rに悪影響を及ぼすこともなく、刃本体20を刃ホルダー21に固定できる。例えば、固定部28を溶接する場合には、溶接に伴なう熱ひずみが切断領域Rに及ぶのを防止できる。また、固定部28をかしめる場合には、かしめに伴なう変形ひずみが切断領域Rに及ぶのを防止できる。したがって、常に適正に切断作用を発揮できる回転刃11が得られる。
【0085】
刃本体20の切断領域Rの幅方向の少なくとも1個所に、切刃固定部31を設ける。切刃固定部31は、刃ホルダー21に設けた切刃支持部35に固定する。切刃固定部31における固定個所の数を、固定部28における固定個所数より少なく設定する。
【0086】
このように、切断領域Rの少なくとも1個所に切刃固定部31を設け、これを刃ホルダー21の切刃支持部35に固定すると、刃本体20の切断領域Rが刃ホルダー21から浮き離れるのを確実に防止して、回転刃による切断作用を常に安定した状態で発揮できる。また、切刃固定部31における固定個所の数を、固定部28における固定個所数より少なく設定すると、切断領域Rが切刃支持部35から浮き離れるのを確実に防止しながら、刃本体20の左右両端を刃ホルダー21に強固に固定できる。
【0087】
刃本体20は金属シート54にエッチングを施して形成する。刃本体20の固定部28および切刃固定部31のそれぞれを、ハーフエッチング加工によって、刃本体20の外周面より凹む凹部で形成する。
【0088】
上記のように、固定部28および切刃固定部31のそれぞれを、ハーフエッチング加工によって刃本体20の外周面より凹む凹部で形成すると、スポット跡や溶着跡が刃本体20の外周面より外へ突出するのを防ぎながら、固定部28および切刃固定部31を固定できる。したがって、刃本体20を刃ホルダー21に固定したのちに、スポット跡や溶着跡を除去する手間を省きことができる。また、他より薄い固定部28および切刃固定部31を溶接することにより、より確実にしかも短時間でスポット溶接を行なうことができるので、切刃固定部31を溶接する場合の熱ひずみが切断領域Rに及ぶのをよく防止できる。
【0089】
刃ホルダー21の刃受部34に位置決め突起38を設ける。刃本体20の固定部28に設けた位置決め穴30を、前記位置決め突起38に係合した状態で、固定部28および切刃固定部31を、刃受部34および切刃支持部35にスポット溶接する。
【0090】
上記のように、固定部28に設けた位置決め穴30を、刃受部34に設けた位置決め突起38に係合すると、刃本体20を刃ホルダー21に正確に位置決めできる。また、位置決めした状態で固定部28および切刃固定部31をスポット溶接し、あるいは熱溶着することにより、別途位置決め治具を使用する必要もなく、刃本体20を刃ホルダー21に対して精度よく組み付けることができるので、溶接や溶着に要する手間を軽減できる。なお、位置決め突起38は、回転刃11を研削する過程で除去される。
【0091】
刃本体20を構成する周枠27の前後端から固定爪29を前後に突設する。刃受部34の周囲複数個所に、その周面で開口する爪受部36を等間隔おきに切り欠き形成する。固定爪29を爪受部36に係合して、刃本体20を刃ホルダー21に固定する。
【0092】
上記のように、周枠27の前後端に設けた固定爪29を、爪受部36に形成した爪受部36に係合して刃本体20を刃ホルダー21に固定すると、刃本体20の隅部が刃ホルダー21から浮き離れるのを確実に防止できる。また、固定爪29を爪受部36に係合した状態で、固定部28や切刃固定部31を溶接ないし溶着すると、溶接時や溶着時に刃本体20が周方向へ動くのをさらに確実に規制して、刃本体20の刃ホルダー21に対する組み付け精度をさらに向上できる。固定構造は刃本体20の内面側に位置するので、固定構造が回転刃の切断作用の邪魔になることもない。
【0093】
刃本体20を構成する周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで構成する。長辺周枠27aを内刃11の回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成する。
【0094】
上記のように、本体20の周枠27の長辺周枠27aを内刃11の回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成すると、ひげ切断時の切断抵抗を長辺周枠27aの長手方向に分散する状態で刃本体20に作用させることができる。詳しくは、切断時の切断抵抗を、刃本体20の長辺周枠27aの一端側から他端側へと徐々に作用させることができ、したがって、高負荷切断時にも、リブ状の小刃24・25に作用する切断抵抗を軽減できる。また、長辺周枠27aを利用して切刃48を形成する場合には、傾斜する切刃48で切断対象を引き切りできる。
【0095】
刃本体20の小刃24・25の切断面44と非切断面45の少なくともいずれか一方に、小刃24・25の長手方向に沿う溝50を形成する。
【0096】
上記のように、刃本体20の小刃24・25の切断面44と非切断面45の少なくともいずれか一方に、小刃24・25の長手方向に沿う溝50を形成すると、例えば内刃ブランク42に塑性加工を施して断面円弧状に曲げる際に、刃ブランク43を容易にしかも内部歪の発生を抑止しながら加工できる。また、小刃24・25の長手方向に沿ってに溝50を形成して曲げ抵抗を小さくするので、塑性加工時に幅狭の小刃24・25がねじれ変形するのをよく防止できる。
【0097】
刃本体20の小刃24・25の切断面45に、溝50を形成する。このように、刃本体20の小刃24・25の切断面45に溝50を形成すると、切断面44の外刃10に対する接触摩擦を軽減でき、その分だけ回転刃を駆動するときの動力ロスを減少できる。
【0098】
本発明に係る回転刃を有する小型電気機器によれば、回転刃をモーター動力で回転駆動することにより、ひげや毛玉などの切断対象を回転刃内へ効果的に導入して効率よく切断でき、したがって、髭剃りや毛玉除去などの切断処理を能率よく行なうことができる。
【0099】
上記の実施例以外に、内刃11は断面C字状の1個の刃本体20を備える形態や、周方向長さが大小に異なる2種以上の刃本体20を備える形態で構成することができる。小刃24・25は直線リブ状に形成する必要はなく、蛇行状あるいは稲妻状に折れ曲がるリブで形成することができる。なお、回転刃は2個または3個の刃本体20を刃ホルダー21に配置して構成する以外に、4個、5個、あるいはさらに多数個の刃本体20を刃ホルダー21に配置して構成することができる。
【符号の説明】
【0100】
11 回転刃(内刃)
20 刃本体
21 刃ホルダー
24 第1小刃(小刃)
25 第2小刃(小刃)
26 刃穴
27 周枠
44 切断面
45 非切断面
46・47 側辺部
48 切刃
49 逃げ縁
θ1 切刃の切刃角度
θ3 交差部における切刃の切刃角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー式の電気かみそりや毛玉取り器などに適用される回転刃、および回転刃を備えている小型電気機器に関する。内刃を構成する刃本体はエッチング法、電鋳法、プレス加工によって形成してある。
【背景技術】
【0002】
一般的なロータリー式の電気かみそりにおける内刃(回転刃)は、10数個のスパイラル刃と、プラスチック成形された丸軸状の内刃支持体と、内刃支持体に埋設される金属性の内刃軸とで構成してある(特許文献1)。スパイラル刃は内刃支持体の成形時にインサート固定されて、内刃支持体と一体化してある。成形後のスパイラル刃は研削加工を施して、刃の先端に切刃を形成する。切刃は螺旋状に連続しているので、外刃の刃穴に入り込んだひげを引き切りしてシャープな切れ味を発揮できる。
【0003】
この種の内刃(回転刃)の構造に関して、エッチング法でシート状の内刃体を形成し、得られた内刃体を丸棒状の内刃支持体の周面に巻き付けて固定することが公知である(特許文献2)。内刃体の表面には、内刃支持体の中心軸に対して斜めに傾くリブが一定間隔おきに形成してあり、隣接するリブの間の薄肉部に小穴が一定間隔おきに形成してある。
【0004】
特許文献3には、母材シートの表面に電鋳法で1次電着層を形成し、得られた1次電鋳シートを円筒の内面に装填して丸め、1次電鋳シートの内面に2次電着層を形成したのち、1次電鋳シートを剥離して内刃体を構成することが開示してある。得られた内刃体は継ぎ目の無い円筒状に形成されており、筒周面には網刃状の刃穴と切刃の一群が形成してある。円筒状の内刃体は、かご状の内刃枠の周面に固定してある。
【0005】
本発明の回転刃の加工技術に関して、エッチング法でシート状の内刃ブランクを形成し、内刃ブランクに塑性加工を施して内刃体を形成することが公知である(特許文献4)。ただし、特許文献4の内刃の適用対象はレシプロ式の電気かみそりに限られており、その断面形状が逆U字状に形成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2903056号公報(第2頁左欄第38〜48行、第1図)
【特許文献2】実用新案登録第2502183号公報(第2頁左欄第30〜45行、第1図)
【特許文献3】特開昭59−28586号公報(第2頁左上欄第15行〜同左下欄第9行、第3図)
【特許文献4】特開2006−314835号公報(段落番号0027、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の内刃によれば、ひげを効果的に導入して効率よく切断できる。また、内刃の回転中心軸に対して斜めに傾斜する切刃でひげを引き切りして、シャープな切れ味を発揮できる。しかし、中実の内刃支持体でスパイラル刃を支持するので、毛屑がスパイラル刃の基端部分に溜まりやすい。また、スパイラル刃に付着した毛屑を除去する際に、個々のスパイラル刃ごとに毛屑をブラシで掃き出す必要があり、毛屑の清掃に少なからず手間が掛かる。多くの場合は、電気かみそりを水洗い可能として清掃の手間を軽減している。
【0008】
特許文献2の内刃(回転刃)では、薄い1枚の電鋳シートで内刃体を構成し、内刃体を内刃支持体の周面に巻き付け固定して内刃とするので、内刃体の弾性復元力で内刃の真円度を確保するのが難しい。また、ステンレス板材の片面にマスキングパターンを形成し、非マスキング部をエッチング液で蝕刻することにより刃部を形成し、刃部の突端に研削加工を施して切刃を形成するので、切刃の角度が大きくなるのを避けられない。
【0009】
その点、特許文献3の内刃体によれば、電鋳法で形成した継ぎ目のない円筒形の内刃体が得られるので、弾性復元力や残留応力の問題を考慮する必要がない。しかし、電鋳母型を円筒状に曲げる過程で、電気絶縁膜に亀裂を生じるおそれがあり、内刃を製造するときの歩留まりが悪くなる。また、特許文献2の内刃と同様に、切刃の角度が大きく、シャープな切れ味を発揮しにくい点に問題がある。
【0010】
上記のように、エッチング法あるいは電鋳法で形成した内刃体を切断要素とする従来の内刃は、スパイラル刃を切断要素とする内刃に比べて構造が簡単であるものの、歩留まりが悪い点、および切刃をシャープに形成するのが困難な点に改善の余地があった。
【0011】
本発明の目的は、ひげや毛玉などの切断対象を効果的に導入しながらシャープな切れ味を発揮して、効率よく切断処理を行なえる回転刃を提供することにある。本発明の目的は、切れ味がシャープな回転刃の歩留まりを向上して、その製造コストを削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る回転刃は、刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21とを含んで筒状に形成する。刃本体20には、リブ状の小刃24・25の一群と刃穴26の一群とが設けてある。小刃24・25は、外面の切断面44と、内面の非切断面45と、これら両者44・45の間に形成される一対の側辺部46・47と、切断面44の回転方向上手側に形成される切刃48と、切断面44の回転方向下手側に形成される逃げ縁49とを備えている。非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃48の切刃角度θ1を、逃げ縁49のエッジ角度θ2より小さく形成する。
【0013】
リブ状の小刃24は、回転中心軸線に対して斜めに傾斜する状態で形成する。
【0014】
刃本体20に、互いに交差するリブ状の第1小刃24の一群と、第2小刃25の一群とを設ける。第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とは、回転中心軸線に対して互いに逆向きに傾斜する状態で形成する。つまり、刃本体20を、両小刃24・25でエキスパンドメタル状に構成する。
【0015】
第1小刃24と第2小刃25の交差部分における切刃48の切刃角度θ3を、両小刃24・25の他の部分の切刃48の切刃角度θ1より小さく設定する。
【0016】
刃本体20は四辺形状に形成する。刃本体20の各辺部に沿って小刃24・25に連続する周枠27を無端状に形成する。
【0017】
刃本体20の周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで構成する。長辺周枠27aの切断面44の回転方向上手側に切刃48を形成する。
【0018】
刃本体20の周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで構成する。長辺周枠27aを回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成する。
【0019】
長辺周枠27aの断面幅b1を、小刃24・25の断面幅b2と同じに設定する。
【0020】
本発明の回転刃を有する小型電気機器においては、回転刃をモーター動力で回転駆動する。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、小刃24・25の非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃48の切刃角度θ1を逃げ縁49のエッジ角度θ2より小さく形成するので、切刃48の切れ味をシャープにできる。したがって、刃穴26に捕捉されたひげを両小刃24・25で効果的に切断して、能率よく切断対象を切断できる回転刃が得られる。
【0022】
リブ状の小刃24を回転中心軸線に対して斜めに傾斜させると、刃穴26に捕捉されたひげを切刃48で斜めに引き切りできるので、切刃48の切れ味をさらにシャープなものとして、スパイラル刃を切断要素とする内刃と同様に、切断対象の切断を効果的に行なって、さらに能率よく切断作業を行なうことができる。この場合の小刃は、図5に示す第1小刃24と第2小刃25のいずれか一方で構成でき、その場合には、例えば図27に示すように、隣接する小刃を補強リブで接続して小刃の構造強度を確保するとよい。
【0023】
互いに交差する第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とを、回転中心軸線に対して互いに逆向きに傾斜させて、刃本体20をエキスパンドメタル状に構成すると、切刃48の合計長さを格段に増加できる。また、回転刃を使用してひげ切断を行なう場合には、傾斜方向が異なる両小刃24・25でくせ毛を起こしながら交互に切断できるので、全体としてひげ切断をさらに効率よく行なえる。回転刃の内面に入り込んだ毛屑は簡便に水洗いして除去できるので、常に衛生的な状態を維持できる。
【0024】
交差部分における切刃48の切刃角度θ3を、他の部分の切刃の切刃角度θ1より小さくすると、交差部分における切刃48の切れ味を他の切刃部位に比べてさらにシャープなものとすることができる。刃穴26内に入り込んだひげ等の切断対象は、傾斜する両小刃24・25で斜めに引き切りされるが、切断対象の一部は斜めの両小刃24・25に沿って交差部分へ案内される傾向がある。したがって、交差部分に集まった切断対象を、切刃角度θ3が最も小さな切刃48で確実に切断できる。
【0025】
四辺形状に形成した刃本体20の周縁に無端状の周枠27を設け、互いに交差する小刃24・25の端部を周枠27に連続させると、両小刃24・25の構造強度を向上して刃本体20の強度を高めることができる。また、周枠27で囲まれる領域の全てに小刃24・25を無駄なく形成して、切刃48による切断機会を増加できる。
【0026】
刃本体20を平行四辺形状に形成すると、切断時の切断抵抗を長辺周枠27aの長手方向に分散する状態で刃本体20に作用させることができる。詳しくは、刃本体20が外刃10と摺接し始める位置が、刃本体20の長辺周枠27aの一端側から他端側へと変化するので、各小刃24・25に作用する切断抵抗を分散させることができ、リブ状の両小刃24・25に作用する切断抵抗を軽減できる。また、長辺周枠27aに切刃48が形成してある場合には、切刃48を傾斜させて両小刃24・25と同様にひげを引き切りできる。
【0027】
長辺周枠27aと小刃24・25の断面幅b1・b2を同じに設定すると、小刃24・25、および刃穴26が形成された刃ブランク43を曲げ加工するときの、長辺周枠27aおよび小刃24・25の変形応力を同じにすることができる。したがって、刃ブランク43を均一な部分円弧状に曲げ加工して、刃本体20の形状精度を向上できる。
【0028】
本発明に係る回転刃を有する小型電気機器によれば、回転刃をモーター動力で回転駆動することにより、ひげや毛玉などの切断対象を回転刃内へ効果的に導入して効率よく切断でき、したがって、髭剃りや毛玉除去などの切断処理を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】メイン刃の縦断側面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】内刃(回転刃)の正面図である。
【図4】内刃(回転刃)の分解斜視図である。
【図5】刃ブランクの平面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図7におけるa−a線、b−b線、c−c線に沿う断面図である。
【図7】内刃ブランクの底面図である。
【図8】(a)〜(c)は、エッチング時のレジスト膜構造を示す断面図である。
【図9】内刃(回転刃)の加工過程を示す断面図である。
【図10】刃本体の溶接構造を示す展開図である。
【図11】内刃(回転刃)の加工過程を示す断面図である。
【図12】刃本体の別の実施例を示す平面図である。
【図13】図12の刃本体の溶接構造を示す展開図である。
【図14】刃ホルダーの別の実施例を示す斜視図である。
【図15】回転刃のさらに別の実施例を示す断面図である。
【図16】小刃の別の実施例を断面図である。
【図17】回転刃の別の適用例を示す正面図である。
【図18】小刃の交差部の別の実施例を示す要部底面図である。
【図19】回転刃の別の適用例を示す正面図である。
【図20】回転刃のさらに別の適用例を示す正面図である。
【図21】回転刃のさらに別の適用例を示す正面図である。
【図22】回転刃の別の実施例を示す断面図である。
【図23】刃本体の別の加工形態を示す断面図である。
【図24】別の加工形態で形成した刃本体の平面図である。
【図25】刃本体のさらに別の加工形態を示す断面図である。
【図26】さらに別の加工形態で形成した刃本体の平面図である。
【図27】刃本体のさらに別の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
図1ないし図11は本発明に係る回転刃をロータリー式の電気かみそりの内刃に適用した実施例を示す。図2において電気かみそりは、本体部1と、本体部1で支持されるヘッド部2と、本体部1に装着される外枠3と、本体部1の後面側に配置されるきわ剃りユニット(図示していない)などで構成する。外枠3は装飾枠を兼ねており、本体部1と協同して電気かみそりのグリップを構成している。外枠3の一側上端には、モーター12の通電状態をオン・オフするスイッチボタン4が設けてある。
【0031】
本体部1の内部には、2次電池5や回路基板6が組み込んであり、回路基板6には、先のスイッチボタン4で切り換え操作されるスイッチや、表示灯7用のLED、および制御回路や電源回路を構成する電子部品などが実装してある。
【0032】
ヘッド部2には、外刃10と内刃(回転刃)11とからなるメイン刃が設けてあり、さらに内刃11を駆動するモーター12と、モーター12の回転動力を内刃11に伝動する駆動構造などが設けてある。駆動構造は、一群のギヤトレイン13で構成してある。外刃10は、エッチング法あるいは電鋳法で形成されるシート状の網刃からなり、その前後縁を外刃ホルダー14で支持して、逆U字状に保形してある。ヘッド部2は本体ケース1で上下方向へ浮動可能に支持されており、ヘッド部2と本体ケース1との間は防水パッキンでシールしてある。
【0033】
外刃ホルダー14は、ヘッド部2のヘッドフレーム15に着脱自在に装着されて、ヘッドフレーム15に組み込んだ左右一対のロックボタン16で分離不能にロック保持してある。左右のロックボタン16を同時に押し込み操作すると、ロックボタン16による係合を解除して、外刃ホルダー14をヘッドフレーム15から取り外すことができる。これにより、内刃11を露出させて、ヘッドフレーム15の上面や、内刃11に付着した毛屑を水洗い清掃できる。
【0034】
図3および図4において内刃11は、3個の刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21と、刃ホルダー21に固定される内刃軸(刃支持軸)22などで構成する。内刃軸22が内刃11の回転軸となる。刃本体20は、左右に長い長方形(四辺形)シート状の刃ブランク43に塑性加工を施して周方向の曲率が同じ断面円弧状に形成してあり、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに固定してある。刃本体20の内面の半径寸法は、後述する刃ホルダー21の円弧周面37・39の半径寸法と一致させてあり、円弧幅は円弧周面37・39の周方向幅より僅かに小さく設定する。
【0035】
図5に示すように、刃本体20のシート面には、直線リブ状の第1小刃(小刃)24の一群と、直線リブ状の第2小刃(小刃)25の一群と、これら両小刃24・25で囲まれる菱形の刃穴26の一群と、刃本体20の周囲を囲む周枠27が設けてある。第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とは、それぞれ内刃11の回転中心軸線に対して、互いに逆向きに15度ずつ傾斜するように形成してあり、刃本体20の切断領域Rの全体がエキスパンドメタル状に形成してある。各小刃24・25の隣接ピッチは約2.7mmである。両小刃24・25を構成する直線リブは、刃本体20の周方向へ7個ずつ形成してある。
【0036】
上記のように、刃本体20のシート面に第1小刃24の一群と第2小刃25の一群とをエキスパンドメタル状に設けると、スパイラル刃を切断要素とする従来の内刃に比べて、切刃の合計長さを増強でき、しかも傾斜方向が異なる両小刃24・25でくせ毛を起こしながら交互に切断できる。さらに、網刃構造の従来の内刃に比べて、刃穴26の開口面積が格段に大きくなるので、スパイラル刃を切断要素とする内刃と同様にひげを効果的に導入して、ひげ切断を効率よく行なえる。
【0037】
周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで無端枠状に形成してある。先の第1小刃24および第2小刃25の端部は、それぞれ長辺周枠27a、あるいは短辺周枠27bに連続している。長辺周枠27aの断面幅b1と、各小刃24・25の断面幅b2とは同じ寸法(0.45mm)に設定してある。左右の短辺周枠27bの幅寸法は2mmと、長辺周枠27aの断面幅b1に比べて広幅に形成してあり、その周縁に沿って、刃本体20を刃ホルダー21に固定するための固定部28が形成され、さらに、短辺周枠27bの前後端に固定爪29が突設してある。上記のように、周枠27を無端枠状に形成し、互いに交差する両小刃24・25の端部を周枠27に連続させることにより、両小刃24・25のの構造強度を向上して刃本体20の強度を高めることができる。
【0038】
固定部28と固定爪29は、ハーフエッチング加工によって、刃本体20の外周面より凹む凹部として形成してある。ハーフエッチング加工による凹み深さは、ステンレス板材42の厚みの概ね半分となる。固定部28の前後中央には四角形状の位置決め穴30が形成してあり、この位置決め穴30は、後述するようにステンレス板材42をエッチング加工する過程で同時に形成される。周枠27で囲まれる切断領域Rにも、固定部28と同様の切刃固定部31を設ける。
【0039】
具体的には、両小刃24・25の交差部分において、内刃11の回転方向下手側に切刃固定部31を形成している。切刃固定部31は、固定部28と同様にハーフエッチング加工で凹部として形成してあり、これらのハーフエッチング部分を図5に点描で示している。この実施例においては、切断領域Rの左右幅方向の中央に位置する両小刃24・25の交差部分(5個所)と、この中央位置から切断領域Rの左右幅の3分の1だけ離れた位置にある両小刃24・25の交差部分(各5個所)とに切刃固定部31を設けるようにした。なお、3個の刃本体20は同一形状で、同一寸法の部品からなる。
【0040】
図4において刃ホルダー21は、2個の刃受体(刃受部)34と、3個の切刃支持体(切刃支持部)35をそれぞれ内刃軸22に溶接して一体化してある。刃受体34は、刃ホルダー21の両側端に配置され、3個の切刃支持体35は、両刃受体34の間に等間隔おきに配置されて、刃本体20の切断領域Rを内面側から支持する。3個の切刃支持体35のうち中央の切刃支持体35は、内刃11の左右方向の中央に位置している。刃受体34は基本形状が円形のステンレス製の円板で構成してあり、円板の周囲3個所に、円板周面で開口する台形状の爪受部36が等間隔おきに切リ欠き形成してある。爪受部36に挟まれる円弧周面37の周方向中央部には、それぞれ位置決めピン(位置決め突起)38が突設してある。
【0041】
切刃支持体35は、刃受体34と同様に形成するが、その円弧周面39における位置決めピン38を省略する点が刃受体34と異なる。切刃支持体35は、先の切刃固定部28と対応する位置に固定してある。内刃軸22はステンレス製の丸軸からなり、仕上げ研削加工が終了した後に、その一方の軸端に終段ギヤ40(図2参照)を固定する。
【0042】
刃ブランク43は、厚みが0.254mmのステンレス板材(金属シート)42にエッチング処理を施して形成してある。図6に示すように、第1小刃24、および第2小刃25の基本的な断面形状は、外面の切断面44と、内面の非切断面45と、これら両者44・45の端縁間を湾曲する状態で抉る一対の側辺部46・47とで斜めに歪んだ盃形に形成する。一方の側辺部46と切断面44とで、切断面44の回転方向上手側に切刃48が形成され、他方の側辺部47と切断面44とで、切断面44の回転方向下手側に逃げ縁49が形成される。切断面44の中央には、各小刃24・25の長手方向に沿って溝50が形成してある。このように溝50を設けることによって、切断面44の外刃10に対する接触摩擦を軽減することができる。各図に内刃11の回転方向を矢印Mで示している。なお、図6(a)〜(c)は、図7におけるa−a線、b−b線、c−c線に沿う断面図であり、切刃48の角度θ1は25度、θ2は60度、θ3は20度である。
【0043】
刃ブランク43を形成する過程では、図8に示すように、ステンレス板材(金属シート)42の表裏両面にそれぞれレジスト膜55・56を形成したのち露光したのち、露光部を除去して、非露光部のレジスト膜55・56に囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻する。このとき、表側のレジスト膜55の幅を裏側のレジスト膜56の幅より大きくし、さらに、裏側のレジスト膜56の幅中心を表側のレジスト膜55の幅中心から、内刃11の回転方向下手側へずらしておく。なお、図8(a)〜(c)の小刃24・25の断面は、図6(a)〜(c)の小刃24・25の断面に対応している。
【0044】
上記のように、表側のレジスト膜55の幅を裏側のレジスト膜56の幅より大きくすると、ステンレス板材54の裏側の露出面積が、表側の露出面積に比べて大きくなり、その分だけ裏面側の蝕刻の度合が大きくなる。また、表裏両面から成長した湾曲面は、最終的にひとつの湾曲面になって側辺部46・47を形成するが、裏側のレジスト膜56の幅中心が表側のレジスト膜55の幅中心から回転方向下手側へずらしてあるため、切断面44側の湾曲面の抉り深さは、非切断面45側の湾曲面の抉り深さに比べて大きくなる。その結果、非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側に寸法T(図6参照)の分だけずらして、切刃48の切刃角度θ1を逃げ縁49のエッジ角度θ2より小さくし、鋭く尖らせることができる。なお、切刃48は、長辺周枠27aの切断面44側の回転方向上手側にも形成してある。
【0045】
同様に、第1小刃24と第2小刃25の交差部分において、裏側の露光部の幅中心を表側の露光部の幅中心から大きくずらすことにより、交差部分における切刃48の切刃角度θ3を20度として、両小刃24・25の他の部分の切刃の切刃角度θ1(25度)より小さくすることができる。したがって、交差部分における切刃48の切れ味は、他の切刃部位に比べてさらにシャープにすることができる。両小刃24・25は、内刃11の回転中心軸に対して互いに逆向きに傾斜している。そのため、外刃10の刃穴で捕捉されて刃穴26内に入り込んだひげを、斜めに引き切りしてシャープな切れ味を発揮できる。また、刃穴26内に入り込んだひげは、斜めの切刃48に沿って両小刃24・25の交差部分へ案内される傾向があり、したがって、切刃角度θ3が最も小さな交差部分における切刃48でひげをさらにシャープに切断できることとなる。
【0046】
エッチング加工で得られた刃ブランク43を、金型を用いてプレス加工することにより、図9(b)に示すように周方向の曲率が同じ断面円弧状に折り曲げられた刃本体20が得られる。このとき、各小刃24・25の長手方向に沿って溝50が形成してあるので、刃ブランク43を容易にしかも内部歪の発生を抑止しながら曲げ加工できる。刃ブランク43を断面円弧状に折り曲げたのち、固定爪29を対向する向きに折り曲げておく。以上のように、刃ブランク43に塑性加工を施して刃本体20を周方向の曲率が同じ断面円弧状に形成すると、刃本体20は自己の保形力で適正な折り曲げ形状を維持できる。なお、周方向の曲率が同じ断面円弧状とは、周方向の曲率が厳密に同じである場合はもちろん、刃本体20の周方向の曲率が部分的に異なっている場合、例えば、周方向両端(長辺周枠27a部分)の曲率半径が他の部位より僅かに小さい(あるいは僅かに大きい)場合を含むこととする。その理由は後述する。
【0047】
得られた刃本体20は、次のようにして刃ホルダー21に組み付ける。まず、ひとつの刃本体20を拡開状に弾性変形させて固定爪29の間隔を拡げ、その状態で位置決め穴30を位置決めピン38に係合したのち、左右の固定爪29を爪受部36にパチンと係合して、固定部28の内面を刃受体34の円弧周面37に密着させる。これにより、刃本体20が左右の位置決めピン38と爪受部36とで位置決めされる。
【0048】
上記の状態で、刃本体20の幅方向の3個所に設けられた切刃固定部31を切刃支持体35の円弧周面39にスポット溶接し、さらに、左右の固定部28を刃受体34の円弧周面37にスポット溶接する。このとき、固定部28および切刃固定部31がハーフエッチング加工によって他の部位より薄く形成してあるので、より確実にスポット溶接を行なうことができる。スポット跡が刃本体20の表面に露出することもない。同様にして、残る2個の刃本体20の切刃固定部31および固定部28を、切刃支持体35および刃受体34にスポット溶接する。
【0049】
各刃本体20をスポット溶接する場合には、図10に示すように、切刃固定部31では符号60で示すように周方向の5個所を等間隔おきに溶接し、固定部28では符号59で示すように周方向の8個所を等間隔おきに溶接する。このように、切刃固定部31における固定個所数を、刃本体20の固定部28における固定個所数より小さく設定すると、切断領域Rの歪を可及的に防止しながら、切断領域Rが切刃支持体35から浮き離れるのを確実に防止できる。これにより、全体として刃本体20の左右両端の16個所と、切断領域の15個所を刃ホルダー21に強固に固定している。なお、切刃支持体35を内刃軸22の軸芯に沿って4列設け、その溶接個所数が周方向へ5個所ある場合には、切断領域Rの全溶接個所数が20個所となって、切刃固定部31における固定個所(16個所)より大きくなるが、本発明における固定個所数の大小は、周方向の固定個所列ごとの比較であり、先のように切断領域Rの全溶接個所数が大きくなる場合も含むこととする。刃本体20の左右両端、および切断領域の15個所を刃ホルダー21に強固に固定できる。また、切刃固定部31を、構造強度が大きな両小刃24・25の交差部分の逃げ縁49の側に凹み形成するので、スポット溶接に伴なう熱歪を最小限化して、刃本体20の変形を防止できる。
【0050】
スポット溶接を経て得られた内刃前段体は、図11(a)に示すように刃本体20の外面に位置決めピン38が突出しているので、図11(b)に示すように粗研削加工を施して位置決めピン38を刃本体20の表面と面一になるまで研削する。さらに仕上げ研削加工を施して、各刃本体20の周面を整形し、内刃11の外周面の直径寸法、および真円度を所定の状態に仕上げる。このように、刃本体20に研削加工を施すことによって回転刃(切断面44)の真円度を充分に確保できるので、先に説明したように刃本体20の周方向の曲率が部分的に多少異なっていても問題はない。また、研削仕上げを行なわない場合であっても、曲率半径が他の部位より小さい場合には問題なく使用でき、本発明でいう真円度の概念は、このように周方向の曲率が部分的に多少異なっている場合を含むこととする。
【0051】
得られた内刃11は、図3に示すように全体が中空筒状ないし円筒籠状に構成され、刃本体20の自己保形力と刃ホルダー21の支持作用とによって中空筒構造を維持できる。このように、中空筒状に構成した内刃11によれば、切断された毛屑を内刃11内に落下させ、さらに内刃11の下方の毛屑収容室に落下できるので、刃本体20における毛屑の滞留を防止して効果的にひげを導入できる。また、水洗い清掃時には、刃本体20の内面に入り込んだ毛屑の排出を促進して、常に衛生的な状態を維持できる。なお、内刃11の内部空間に落ち込んだ毛屑は、爪受部36に臨む状態で隣接する刃本体20の隙間から排出でき、さらに、開口面積が大きな刃穴26からも併行して排出して、毛屑や皮脂などを速やかに洗い流すことができる。内刃11を構成する3個の刃本体20の構造を、小刃24・25を含めて同一形状、同一寸法とし、さらに各刃本体20を刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化できる。したがって、内刃11を常に安定した状態で回転駆動でき、振動の発生を防止できる。
【0052】
図12および図13は、刃本体20の別実施例を示す。そこでは、長辺周枠27aを内刃11の回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成した。長辺周枠27aは第1小刃24と同じ向きに同じ角度だけ傾斜してある。このように、刃本体20を平行四辺形状に形成すると、ひげ切断時の切断抵抗を長辺周枠27aの長手方向に分散する状態で刃本体20に作用させることができる。詳しくは、刃本体20の外刃10と摺接し始める位置が、刃本体20の長辺周枠27aの一端側から他端側へと変化するので、各小刃24・25に作用する切断抵抗を分散させることができ、両小刃24・25に作用する切断抵抗を小さくできる。また、長辺周枠27aに形成される切刃48も傾斜させて、両小刃24・25と同様にひげを引き切りできる。
【0053】
刃本体20は、図13に示すように刃ホルダー21に組み付けたのち、固定部28および切刃固定部31のそれぞれを、刃受体34および切刃支持体35に溶接して固定する。この場合には、周方向へ隣接する刃本体20の間に斜めの隙間が開口されるので、外刃10に、その刃面を内刃11へ押し付ける向きの外力が作用する場合であっても、外刃10が先の隙間から垂れ込むのを防止できる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0054】
図14は刃ホルダー21の別実施例を示す。そこでは、刃受体34と、切刃支持体35と、ボス部63とを一体に射出成形し、内刃軸22をインサート固定した。図示していないが、円弧周面37・39にはそれぞれ溶着用の突起が形成してある。また、刃本体20の固定部28および切刃固定部31には、溶着用の突起と係合する穴が形成してある。この場合の刃本体20は、刃ホルダー21に対して溶着固定する。必要があれば、刃受体34、切刃支持体35、ボス部63と、内刃軸22を一体に構成して刃ホルダー21とすることができる。
【0055】
刃ホルダー21の刃受体34と切刃支持体35は、図15(a)に示すように三角形状に形成することができ、その場合には、刃受体34および切刃支持体35の頂部に限って円弧周面37・39を設けて、各刃本体20の長辺周枠27aのみを刃受体34および切刃支持体35で支持することができる。この場合には、固定爪29は省略してある。刃本体20は、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに配置する。このように刃本体20の周方向端部のみを刃受体34および切刃支持体35で支持する場合でも、塑性加工された刃本体20は部分円弧形状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)を自己保持できるので、小刃24・25が外力を受けて内面側へ凹むことはない。この実施例における内刃11においては、3個の刃本体20を周方向へ等間隔おきに配置するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化して、振動の発生を防止できる。
【0056】
刃受体34と切刃支持体35は、図15(b)に示すように六角形状に形成することができる。この場合の内刃11は、半円状に折り曲げられた2個の刃本体20を、刃ホルダー21に固定して構成してある。刃本体20は周枠27と、切断領域Rの中途部2個所とが刃受体34と切刃支持体35とで支持される。刃本体20は、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに配置してあり、先の実施例と同様に、固定爪29は省略してある。この実施例における内刃11は、2個の刃本体20を周方向へ等間隔おきに配置するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化して、振動の発生を防止できる。
【0057】
刃受体34と切刃支持体35は、図15(c)に示すように糸巻きボビン形状に形成することができる。また、2個の刃本体20は、図15(b)の刃本体20に比べて周方向長さを小さくして、大きな隙間を間にして隣接するように固定することができる。刃本体20は、刃ホルダー21に対して周方向へ等間隔おきに配置してあり、先の実施例と同様に、固定爪29は省略してある。この実施例における内刃11は、2個の刃本体20を周方向へ等間隔おきに配置するので、回転時の内刃11の重量バランスを均一化して、振動の発生を防止できる。
【0058】
図16は、各小刃24・25の断面形状の別実施例を示す。そこでは、図6で説明した小刃24・25と同様に、非切断面45の幅中心を、切断面44の幅中心より回転方向下手側に寸法Tだけずらして、切刃48の切刃角度θ1を鋭く尖らせる。異なるのは、非切断面45の回転下手側の蝕刻縁51を、切断面44の逃げ縁49よりも回転下手側へ突出する点である。これにより、小刃24・25の回転方向の小刃幅を大きくできるので、切断された毛屑が回転刃の内方から外方へ飛び出るのをよく防止できる。また、切断面44の回転方向の幅に変化はないので、ひげ導入を効果的に行なえる。
【0059】
図17は電気かみそりの別の実施例を示す。そこでは、回転刃11の周囲に、回転刃11の食い込み量を規制するガード体65を設けて、これら両者11・65をモーター動力で回転駆動する。ガード体65はコイルばね状に形成してあり、コイル部を回転刃11の周面に巻き付けて、その両端が回転刃11に固定してある。本発明の回転刃11は、この種の外刃を備えていない電気かみそりにも適用できる。
【0060】
図6に示す小刃24・25においては、裏側の露光部の幅中心を表側の露光部の幅中心から大きくずらして側辺部26・27の抉り深さを調整したが、図18に示すように交差分における非切断面45の幅寸法b3を小さくすることによっても抉り深さを調整することができる。詳しくは、交差部に近づくに従って非切断面45の回転上手側の蝕刻縁52を回転下手側へ凹ませて抉り深さを調整した。
【0061】
図19ないし図21は、回転刃11を電気かみそり以外の小型電気機器に適用した実施例を示す。
図19は、回転刃11を爪切りに適用した実施例である。爪切りは、グリップを兼ねる本体部68の一端に円筒状のヘッド部69を設け、その内部にヘッド部69の筒軸心の回りに回転する回転刃11を配置して、本体部68に収容したモーター70で回転刃11を回転駆動するようにした。符号72は2次電池、符号73はモーター70を起動し、あるいは停止するためのスイッチボタンである。ヘッド部69の筒周壁には半円状の切断窓71が開口してあり、この窓71を介して回転刃11がヘッド部69の外面に露出させてある。爪を切断する場合には、回転駆動した状態の回転刃11を爪の先端に押し付けて、爪を少しずつ削りとる。
【0062】
図20は、回転刃11を毛玉取り器に適用した実施例である。毛玉取り器は、グリップを兼ねる本体部68の一端に円筒状のヘッド部69を設け、その内部にヘッド部69の筒軸心の回りに回転する回転刃11を配置して、本体部68に収容したモーター70で回転刃11を回転駆動するようにした。符号72は2次電池、符号73はモーター70を起動し、あるいは停止するためのスイッチボタンである。ヘッド部69の筒周壁には部分円弧状の切断窓71が開口してあり、この窓71を介して外刃10がヘッド部69の外面に露出させてある。毛玉は外刃10の刃穴から導入されて、外刃10の内面に摺接する内刃(回転刃)11で切断される。この場合の外刃10および回転刃11は、爪切りの回転刃11に比べて軸心方向の長さが充分に大きくしてあり、したがって、回転刃11のニット生地に対する接触面積をより大きくして、毛玉を効果的に除去できる。
【0063】
図21は、回転刃11を角質除去器に適用した実施例である。角質除去器は、グリップを兼ねる本体部68の一端にアーチ状のヘッド部69を設け、その内部に本体部68の中心軸線と直交する軸回りに回転する回転刃11を配置して、本体部68に収容したモーター70で回転刃11を回転駆動するようにした。符号72は2次電池、符号73はモーター70を起動し、あるいは停止するためのスイッチボタンである。ヘッド部69の周壁には切断窓71が切り欠き形成してあり、この窓71を介して回転刃11がヘッド部69の外面に露出させてある。角質を除去する場合には、回転駆動した状態の回転刃11を、かかとなどの角質部分に押し付けて角質を少しずつ削りとる。
【0064】
図22は回転刃11のさらに別の実施例を示す。そこでは、部分円弧状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)の2個の刃本体20と、断面が半円状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)の1個の刃本体20を、刃ホルダー21の刃受体34および切刃支持体35に固定して回転刃11とした。このように、周方向の長さが異なる複数の刃本体20を刃ホルダー21に固定する回転刃11によれば、回転時の重量バランスが不均一となり、振動を生じやすくなる。また、先の振動によりヘッド部2を縦方向に振動させることができるので、外刃10を肌面に対して直行する向きに振動させながらひげ切断を行なえる。その場合には、網刃からなる外刃10の刃穴に皮膚を垂れ込ませて、ひげを深剃りすることができる。
【0065】
刃ブランク43は、先に説明した過程を経て形成する必要はない。例えば、所定形状に切断されたステンレス板材42に塑性加工を施して、断面が部分円弧状(周方向の曲率が同じ断面円弧形状)の刃ブランク43を形成する。次に刃ブランク43の表裏両面にそれぞれレジスト膜55・56を形成したのち露光し、露光部を除去して、非露光部のレジスト膜55・56に囲まれる板材表面をエッチング液で蝕刻して、リブ状の小刃24・25の一群と、刃穴26の一群とを形成する。以後の処理は既に説明したとおりである。
【0066】
上記のように、予めステンレス板材42に塑性加工を施して部分円弧状の刃ブランク43を形成すると、均質な状態のステンレス板材42を曲げ加工することになるので、刃ブランク43をより正確に曲げることができる。また、部分円弧状に曲げられた刃ブランク43にエッチングを施して小刃24・25および刃穴26を形成するので、両小刃24・25の切断面44を円弧面に形成でき、したがって、最小限の研削加工を施すだけで内刃11の真円度を確保でき、さらに研削加工を施すことによって切刃48の角度が僅かに大きくなるのを防止できる。
【0067】
刃本体20は、電鋳法で形成したシート状の刃ブランク43に、プレス加工を施して形成することができる。詳しくは、図23(a)に示すように、母型75の上面にフォトレジスト膜を形成し、その表面にパターンフィルムを載置して露光し現像したのち、電鋳パターンに合致するフォトレジスト層76を形成し、1次電鋳層77を形成する。次に、図23(b)に示すように、電鋳液を矢印に示す向きに流しながら、1次電鋳層77の外面に2次電鋳層78を形成する。2次電鋳層78を剥離することにより、断面が不等脚台形状の小刃24を備えた刃ブランク43が得られる。詳しくは、電鋳液の流れ方向上手側の斜面79の傾斜角度が小さく、流れ方向下手側の斜面80の傾斜角度が大きな、不等脚台形状の小刃24を形成できる。
【0068】
次に、2次電鋳層78を剥離することにより、図23(c)に示すように、切断面44の側に溝(カウンターシンク)50を備えた刃ブランク43が得られる。最後に、図23(d)に示すように、刃ブランク43にプレス加工を施して、全体を外突湾曲状に塑性変形させることにより、小刃24の外面に溝50を備えた刃本体20を形成できる。非切断面45の中心は切断面44の幅中心より寸法Tの分だけ斜面80の側へ偏っている。
【0069】
図24は図23(c)の平面図であり、小刃24は長辺周枠27aと平行な直線刃からなり、溝50、および溝50どうしを繋ぐ固定部28の凹み(カウンターシンク)を点描で示している。この場合の両側端の小刃24は、刃本体20の長辺周枠27aを兼ねている。小刃24の切刃48および切断面44は、最終的に研削加工を施して仕上げられる。
【0070】
刃本体20は、図25(a)〜(d)に示すように、プレス加工で形成することができる。その場合には、金属シート82に打ち抜き加工を施して、図25(b)に示す1次ブランク83を形成する。1次ブランク83には、刃穴26と四角形断面状の小刃24の前段体84とが形成してある。次に、1次ブランク83に塑性加工を施して、図25(c)に示すように、前段体84を断面盃状に形成して、鋭角の切刃48と逃げ縁49を備えた小刃24を形成する。これにより複数の小刃24を備えた刃ブランク43が得られる。次に、図25(d)に示すように刃ブランク43にプレス加工を施して、全体が外突湾曲状(周方向の曲率が同じ断面円弧状)に塑性変形された刃本体20を形成する。非切断面45の幅中心は切断面44の幅中心より側辺部47の側へ偏っている。
【0071】
図26は図26(c)の刃ブランク43の平面図であり、小刃24は長辺周枠27aと平行な直線刃で形成してある。固定部28はプレス加工で形成してあり、短辺周枠27bに沿って凹ませてある。この凹みを点描で示している。この場合の両側端の小刃24は、刃本体20の長辺周枠27aを兼ねている。小刃24の切刃48および切断面44は、最終的に研削加工を施して仕上げられる。
【0072】
図27は、刃本体20のさらに別の実施例を示す。そこでは、内刃11の回転中心軸線に対して斜めに傾斜する小刃24を設け、隣接する小刃24を補強リブ91で接続して小刃24の構造強度を確保した。補強リブ91は小刃24と直交する状態で、小刃24の長手方向に一定間隔おきに設けた。また、一対の短辺周枠27bのそれぞれに固定部28を凹み形成し、一対の長辺周枠27aの対向部の中央に切刃固定部31を台形状に凹み形成した。この刃本体20は、エッチング加工、電鋳加工、プレス加工のいずれの加工法であっても形成できる。
【0073】
小刃24・25および刃穴26は、さらに別の加工法によって形成することができる。上記と同様に、ステンレス板材42に精密プレス加工(塑性加工)を施して断面が部分円弧状の刃ブランク43を形成するが、曲げ加工する過程でリブ状の小刃24・25の一群と、刃穴26の一群とを同時に打ち抜き形成する。こののち、小刃24・25にエッジ加工を行なって切刃48を形成する。以後の処理は既に説明したとおりである。このように、塑性加工のみで刃ブランク43を形成すると、その加工コストを大幅に削減して内刃11の製造に要するコストを減少できる。
【0074】
本発明は以下の形態で実施することができる。
本発明に係る回転刃は、刃本体20と、刃本体20を支持する刃ホルダー21とを含む。刃本体20は、リブ状の小刃24・25の一群と、リブ状の小刃24・25で区画される刃穴26の一群とを備えている。刃本体20は、塑性加工を施して断面円弧状に形成する。断面円弧状の刃本体20を刃ホルダー21の周面に複数固定して、回転刃11を筒状に構成する。
【0075】
上記の回転刃によれば、スパイラル刃を切断要素とする回転刃と同様に、ひげや毛玉などを回転刃内へ効果的に導入して効率よく切断でき、したがって、能率よく髭剃りや毛玉除去などの切断処理を行なうことができる。また、複数の刃本体20を刃ホルダー21の周面に固定して回転刃とするので、塑性加工後の残留応力が少なく、真円度を確保して切れ味の低下を防止できる。
【0076】
金属シート42にエッチング加工を施して、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを備えた刃ブランク43を形成する。刃ブランク43に塑性加工を施して、刃本体20を断面円弧状に形成する。
【0077】
上記のように、金属シート42にエッチング加工を施して、小刃24・25や刃穴26を備えた刃ブランク43を形成し、刃ブランク43に塑性加工を施して断面円弧状の刃本体20を形成すると、エッチング加工および塑性加工をより少ない手間で簡便に行なえる。平板状の金属シート42にエッチング加工を施し、さらに平板状の刃ブランク43に塑性加工を施せばよいからである。したがって、断面円弧状の刃本体20の加工に要するコストを削減して、回転刃の製造コストを減少できる。また、エッチング加工で鋭い切刃48を形成することができるので、シャープな切れ味を発揮できる回転刃とすることができる。
【0078】
上記の内刃11とは逆に、金属シート42に塑性加工を施して、刃ブランク43を断面円弧状に形成する。得られた刃ブランク43にエッチング加工を施して、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを形成する。
【0079】
このように、金属シート42に塑性加工を施して断面円弧状の刃ブランク43を形成し、これにエッチング加工を施して小刃24・25および刃穴26を形成すると、刃ブランク43の曲げ形状をより正確なものとすることができる。均質な状態の金属シート板材42を曲げ加工するからである。また、部分円弧状の刃ブランク43にエッチングを施して小刃24・25および刃穴26を形成するので、曲面部分に切刃48を形成でき、したがって最小限の研削加工を施すだけで回転刃11の真円度を確保でき、研削加工の手間を軽減できる。また、この場合にもエッチング加工で鋭い切刃48を形成することができるので、シャープな切れ味を発揮できる回転刃とすることができる。
【0080】
金属シート42に塑性加工を施して、刃ブランク43を断面円弧状に形成する。金属シート42に塑性加工を施す過程で、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを同時に打ち抜き形成する。
【0081】
金属シート42に塑性加工を施して刃ブランク43を形成する過程で、小刃24・25の一群と刃穴26の一群とを同時に打ち抜き形成すると、刃本体20をより少ない工数で加工できるので、刃本体20の加工コストを大幅に削減して回転刃の製造に要するコストを減少できる。
【0082】
刃本体20は刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定する。このように、複数個の刃本体20を刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定して構成する内刃11によれば、複数個の同一構造の刃本体20で回転刃を構成できるので、1種類の刃本体20を用意するだけでよく、数種の刃本体を用意する場合に比べて、回転刃をより低コストで製造できる。また、同一構造の刃本体20を刃ホルダー21の周面に等間隔おきに固定するので、回転刃の重量バランスを均一化でき、したがって回転刃を常に安定した状態で回転駆動できる。個々の刃本体20における切れ味を均等化できる利点もある。
【0083】
切断領域Rを間に挟む刃本体20の幅方向両側端に固定部28を設ける。固定部28は、刃ホルダー21の幅方向両側端に設けた刃受部34に、溶接加工ないしかしめ加工で分離不能に固定する。
【0084】
上記のように、切断領域Rの外の刃本体20の両側端に固定部28を設け、これを刃ホルダー21の両側端の刃受部34に溶接加工ないしかしめ加工で分離不能に固定すると、切断領域Rに悪影響を及ぼすこともなく、刃本体20を刃ホルダー21に固定できる。例えば、固定部28を溶接する場合には、溶接に伴なう熱ひずみが切断領域Rに及ぶのを防止できる。また、固定部28をかしめる場合には、かしめに伴なう変形ひずみが切断領域Rに及ぶのを防止できる。したがって、常に適正に切断作用を発揮できる回転刃11が得られる。
【0085】
刃本体20の切断領域Rの幅方向の少なくとも1個所に、切刃固定部31を設ける。切刃固定部31は、刃ホルダー21に設けた切刃支持部35に固定する。切刃固定部31における固定個所の数を、固定部28における固定個所数より少なく設定する。
【0086】
このように、切断領域Rの少なくとも1個所に切刃固定部31を設け、これを刃ホルダー21の切刃支持部35に固定すると、刃本体20の切断領域Rが刃ホルダー21から浮き離れるのを確実に防止して、回転刃による切断作用を常に安定した状態で発揮できる。また、切刃固定部31における固定個所の数を、固定部28における固定個所数より少なく設定すると、切断領域Rが切刃支持部35から浮き離れるのを確実に防止しながら、刃本体20の左右両端を刃ホルダー21に強固に固定できる。
【0087】
刃本体20は金属シート54にエッチングを施して形成する。刃本体20の固定部28および切刃固定部31のそれぞれを、ハーフエッチング加工によって、刃本体20の外周面より凹む凹部で形成する。
【0088】
上記のように、固定部28および切刃固定部31のそれぞれを、ハーフエッチング加工によって刃本体20の外周面より凹む凹部で形成すると、スポット跡や溶着跡が刃本体20の外周面より外へ突出するのを防ぎながら、固定部28および切刃固定部31を固定できる。したがって、刃本体20を刃ホルダー21に固定したのちに、スポット跡や溶着跡を除去する手間を省きことができる。また、他より薄い固定部28および切刃固定部31を溶接することにより、より確実にしかも短時間でスポット溶接を行なうことができるので、切刃固定部31を溶接する場合の熱ひずみが切断領域Rに及ぶのをよく防止できる。
【0089】
刃ホルダー21の刃受部34に位置決め突起38を設ける。刃本体20の固定部28に設けた位置決め穴30を、前記位置決め突起38に係合した状態で、固定部28および切刃固定部31を、刃受部34および切刃支持部35にスポット溶接する。
【0090】
上記のように、固定部28に設けた位置決め穴30を、刃受部34に設けた位置決め突起38に係合すると、刃本体20を刃ホルダー21に正確に位置決めできる。また、位置決めした状態で固定部28および切刃固定部31をスポット溶接し、あるいは熱溶着することにより、別途位置決め治具を使用する必要もなく、刃本体20を刃ホルダー21に対して精度よく組み付けることができるので、溶接や溶着に要する手間を軽減できる。なお、位置決め突起38は、回転刃11を研削する過程で除去される。
【0091】
刃本体20を構成する周枠27の前後端から固定爪29を前後に突設する。刃受部34の周囲複数個所に、その周面で開口する爪受部36を等間隔おきに切り欠き形成する。固定爪29を爪受部36に係合して、刃本体20を刃ホルダー21に固定する。
【0092】
上記のように、周枠27の前後端に設けた固定爪29を、爪受部36に形成した爪受部36に係合して刃本体20を刃ホルダー21に固定すると、刃本体20の隅部が刃ホルダー21から浮き離れるのを確実に防止できる。また、固定爪29を爪受部36に係合した状態で、固定部28や切刃固定部31を溶接ないし溶着すると、溶接時や溶着時に刃本体20が周方向へ動くのをさらに確実に規制して、刃本体20の刃ホルダー21に対する組み付け精度をさらに向上できる。固定構造は刃本体20の内面側に位置するので、固定構造が回転刃の切断作用の邪魔になることもない。
【0093】
刃本体20を構成する周枠27は、長辺部を構成する一対の長辺周枠27aと、短辺部を構成する一対の短辺周枠27bとで構成する。長辺周枠27aを内刃11の回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成する。
【0094】
上記のように、本体20の周枠27の長辺周枠27aを内刃11の回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体20を平行四辺形状に形成すると、ひげ切断時の切断抵抗を長辺周枠27aの長手方向に分散する状態で刃本体20に作用させることができる。詳しくは、切断時の切断抵抗を、刃本体20の長辺周枠27aの一端側から他端側へと徐々に作用させることができ、したがって、高負荷切断時にも、リブ状の小刃24・25に作用する切断抵抗を軽減できる。また、長辺周枠27aを利用して切刃48を形成する場合には、傾斜する切刃48で切断対象を引き切りできる。
【0095】
刃本体20の小刃24・25の切断面44と非切断面45の少なくともいずれか一方に、小刃24・25の長手方向に沿う溝50を形成する。
【0096】
上記のように、刃本体20の小刃24・25の切断面44と非切断面45の少なくともいずれか一方に、小刃24・25の長手方向に沿う溝50を形成すると、例えば内刃ブランク42に塑性加工を施して断面円弧状に曲げる際に、刃ブランク43を容易にしかも内部歪の発生を抑止しながら加工できる。また、小刃24・25の長手方向に沿ってに溝50を形成して曲げ抵抗を小さくするので、塑性加工時に幅狭の小刃24・25がねじれ変形するのをよく防止できる。
【0097】
刃本体20の小刃24・25の切断面45に、溝50を形成する。このように、刃本体20の小刃24・25の切断面45に溝50を形成すると、切断面44の外刃10に対する接触摩擦を軽減でき、その分だけ回転刃を駆動するときの動力ロスを減少できる。
【0098】
本発明に係る回転刃を有する小型電気機器によれば、回転刃をモーター動力で回転駆動することにより、ひげや毛玉などの切断対象を回転刃内へ効果的に導入して効率よく切断でき、したがって、髭剃りや毛玉除去などの切断処理を能率よく行なうことができる。
【0099】
上記の実施例以外に、内刃11は断面C字状の1個の刃本体20を備える形態や、周方向長さが大小に異なる2種以上の刃本体20を備える形態で構成することができる。小刃24・25は直線リブ状に形成する必要はなく、蛇行状あるいは稲妻状に折れ曲がるリブで形成することができる。なお、回転刃は2個または3個の刃本体20を刃ホルダー21に配置して構成する以外に、4個、5個、あるいはさらに多数個の刃本体20を刃ホルダー21に配置して構成することができる。
【符号の説明】
【0100】
11 回転刃(内刃)
20 刃本体
21 刃ホルダー
24 第1小刃(小刃)
25 第2小刃(小刃)
26 刃穴
27 周枠
44 切断面
45 非切断面
46・47 側辺部
48 切刃
49 逃げ縁
θ1 切刃の切刃角度
θ3 交差部における切刃の切刃角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃本体(20)と、刃本体(20)を支持する刃ホルダー(21)とを含んで筒状に形成される回転刃であって、
刃本体(20)には、リブ状の小刃(24・25)の一群と刃穴(26)の一群とが設けられており、
小刃(24・25)は、外面の切断面(44)と、内面の非切断面(45)と、これら両者(44・45)の間に形成される一対の側辺部(46・47)と、切断面(44)の回転方向上手側に形成される切刃(48)と、切断面(44)の回転方向下手側に形成される逃げ縁(49)とを備えており、
非切断面(45)の幅中心を、切断面(44)の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃(48)の切刃角度(θ1)が、逃げ縁(49)のエッジ角度(θ2)より小さく形成してある回転刃。
【請求項2】
リブ状の小刃(24)が、回転中心軸線に対して斜めに傾斜する状態で形成してある請求項1に記載の回転刃。
【請求項3】
刃本体(20)に、互いに交差するリブ状の第1小刃(24)の一群と、第2小刃(25)の一群とが設けられており、
第1小刃(24)の一群と第2小刃(25)の一群とが、回転中心軸線に対して互いに逆向きに傾斜する状態で形成してある請求項2に記載の回転刃。
【請求項4】
第1小刃(24)と第2小刃(25)の交差部分における切刃(48)の切刃角度(θ3)が、両小刃(24・25)の他の部分の切刃(48)の切刃角度(θ1)より小さく設定してある請求項3に記載の回転刃。
【請求項5】
刃本体(20)が四辺形状に形成されており、
刃本体(20)の各辺部に沿って小刃(24・25)に連続する周枠(27)が無端状に形成してある請求項2から4のいずれかひとつに記載の回転刃。
【請求項6】
刃本体(20)の周枠(27)が、長辺部を構成する一対の長辺周枠(27a)と、短辺部を構成する一対の短辺周枠(27b)とで構成されており、
長辺周枠(27a)の切断面(44)の回転方向上手側に切刃(48)が形成してある請求項5に記載の回転刃。
【請求項7】
刃本体(20)の周枠(27)が、長辺部を構成する一対の長辺周枠(27a)と、短辺部を構成する一対の短辺周枠(27b)とで構成されており、
長辺周枠(27a)を回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体(20)が平行四辺形状に形成してある請求項5または6に記載の回転刃。
【請求項8】
長辺周枠(27a)の断面幅(b1)が、小刃(24・25)の断面幅(b2)と同じに設定してある請求項6または7に記載の回転刃。
【請求項9】
回転刃がモーター動力で回転駆動される、請求項1から8のいずれかひとつに記載の回転刃を有する小型電気機器。
【請求項1】
刃本体(20)と、刃本体(20)を支持する刃ホルダー(21)とを含んで筒状に形成される回転刃であって、
刃本体(20)には、リブ状の小刃(24・25)の一群と刃穴(26)の一群とが設けられており、
小刃(24・25)は、外面の切断面(44)と、内面の非切断面(45)と、これら両者(44・45)の間に形成される一対の側辺部(46・47)と、切断面(44)の回転方向上手側に形成される切刃(48)と、切断面(44)の回転方向下手側に形成される逃げ縁(49)とを備えており、
非切断面(45)の幅中心を、切断面(44)の幅中心より回転方向下手側にずらして、切刃(48)の切刃角度(θ1)が、逃げ縁(49)のエッジ角度(θ2)より小さく形成してある回転刃。
【請求項2】
リブ状の小刃(24)が、回転中心軸線に対して斜めに傾斜する状態で形成してある請求項1に記載の回転刃。
【請求項3】
刃本体(20)に、互いに交差するリブ状の第1小刃(24)の一群と、第2小刃(25)の一群とが設けられており、
第1小刃(24)の一群と第2小刃(25)の一群とが、回転中心軸線に対して互いに逆向きに傾斜する状態で形成してある請求項2に記載の回転刃。
【請求項4】
第1小刃(24)と第2小刃(25)の交差部分における切刃(48)の切刃角度(θ3)が、両小刃(24・25)の他の部分の切刃(48)の切刃角度(θ1)より小さく設定してある請求項3に記載の回転刃。
【請求項5】
刃本体(20)が四辺形状に形成されており、
刃本体(20)の各辺部に沿って小刃(24・25)に連続する周枠(27)が無端状に形成してある請求項2から4のいずれかひとつに記載の回転刃。
【請求項6】
刃本体(20)の周枠(27)が、長辺部を構成する一対の長辺周枠(27a)と、短辺部を構成する一対の短辺周枠(27b)とで構成されており、
長辺周枠(27a)の切断面(44)の回転方向上手側に切刃(48)が形成してある請求項5に記載の回転刃。
【請求項7】
刃本体(20)の周枠(27)が、長辺部を構成する一対の長辺周枠(27a)と、短辺部を構成する一対の短辺周枠(27b)とで構成されており、
長辺周枠(27a)を回転中心軸線に対して傾斜させて、刃本体(20)が平行四辺形状に形成してある請求項5または6に記載の回転刃。
【請求項8】
長辺周枠(27a)の断面幅(b1)が、小刃(24・25)の断面幅(b2)と同じに設定してある請求項6または7に記載の回転刃。
【請求項9】
回転刃がモーター動力で回転駆動される、請求項1から8のいずれかひとつに記載の回転刃を有する小型電気機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−87719(P2011−87719A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242881(P2009−242881)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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