説明

回転力発生装置の固定構造および画像形成装置

【課題】画像形成装置にモータを内蔵させる構造において、複数のモータそれぞれを個別に固定しないモータの固定構造を提供する。
【解決手段】画像形成装置の筐体に固定され、一体化されるフレーム201にモータユニット123、133、143、153を固定する構造において、各モータユニットを組み付けた状態で、フレーム201に各モータを押え付ける押え付け部材によって押え付けて固定する。各モータユニットは、出力軸を保持する突起部を備え、この突起部をフレーム201に設けられた位置決め用の凹部に嵌め込むことで、フレーム201に対して位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転力発生装置の固定構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、側板フレームの外側に、樹脂材料を用いて一体成形で作った駆動系支持フレームを取り付け、この駆動系支持フレームにギアを回転自在に支持させた構造において、ギア支持軸の先端を側板フレームに取り付け、ギアのスラスト方向の動きを規制する構造が記載されている。
【0003】
特許文献2には、複数の感光体ドラムに対して個別に連結されたステッピングモータをモータ台上に直列に固定し、円柱形防振部材を介してこのモータ台をフレームに固定する構造が記載されている。
【0004】
特許文献3には、重量物のモータをブラケットに片持ち支持させる構成の駆動ユニットを本体フレームに組み付ける構造において、本体フレームにモータを装着させる通孔を設け、この通孔の周辺部にモータ装着時のガイドを設けた構成が記載されている。
【0005】
特許文献4には、磁気ヘッドの位置制御用のステッピングモータをステッピングモータの中心から見て略180度の角度範囲にわたる領域で少なくとも3点で固定できるクランプを用いてケーシングに固定するようにした構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−337929号公報
【特許文献2】特開平11−30895号公報
【特許文献3】特開2002―156887号公報
【特許文献4】特開2002−288950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の回転力発生手段のそれぞれを個別に固定しない固定構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、回転軸を含む突起部を備えた複数の回転力発生装置と、前記突起部が嵌まる凹部を備えた構造体と、前記構造体に固定され、前記複数の回転力発生装置それぞれに接触することで、前記複数の回転力発生装置それぞれの前記突起部を軸とした回転を防止する回転防止部材と、前記複数の回転力発生装置を前記構造体に向けて押し付ける押し付け部材とを備え、前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、前記突起部が前記凹部に嵌まり込んだ状態で、前記押し付け部材により、前記構造体に対して押し付けられて固定されていることを特徴とする回転力発生装置の固定構造である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押し付け部材は、前記複数の回転力発生装置のそれぞれに接触する3つの凸部を備え、前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、ロータ軸と、このロータ軸から歯車を介して駆動される出力軸とを備え、前記3つの凸部は、前記ロータ軸と前記出力軸を結ぶ直線を1辺とした三角形の頂点に位置していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押し付け部材は、前記複数の回転力発生装置のそれぞれに接触する3つの凸部を備え、前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、ロータ軸と、このロータ軸から歯車を介して駆動される出力軸とを備え、前記3つの凸部は、前記ロータ軸、前記出力軸、前記回転力発生装置の重心位置から選ばれた少なくとも1点を頂点とする三角形の頂点に位置していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押し付け部材は、前記複数の回転力発生装置のそれぞれに接触する3つの凸部を備え、前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、ロータ軸と、このロータ軸から歯車を介して駆動される出力軸とを備え、前記3つの凸部は、前記出力軸または前記モータの重心位置を中心とする三角形の各頂点に位置していることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記押し付け部材は、電子基板の電磁シールドを行う部材により構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記押し付け部材は、前記モータの駆動力を伝達する歯車を保持する部材により構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の回転力発生装置の固定構造により前記筐体に固定された複数の回転力発生装置と、前記複数の回転力発生装置のそれぞれ毎に配置され、前記複数の回転力発生装置のそれぞれからの駆動力により回転する円筒形状を有する複数の像保持体とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、複数の回転力発生手段のそれぞれを個別に固定しない固定構造が提供される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明を利用しない場合に比較して回転力発生手段の固定状態が安定する。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明を利用しない場合に比較して回転力発生手段の固定状態が安定する。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明を利用しない場合に比較して回転力発生手段の固定状態が安定する。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明を利用しない場合に比較してモータから電子基板に漏洩するノイズが抑えられる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明を利用しない場合に比較して部品の利用効率が高くなる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明の優位性を有する画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態の画像形成装置の概念図である。
【図2】図1の画像形成装置に組みつけられるフレームを示す斜視図である。
【図3】図2のフレームにモータユニットを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図4】モータユニットの斜視図である。
【図5】モータユニットの斜視図である。
【図6】フレームに押し付けられるシールド板金を示す斜視図である。
【図7】モータユニットを筐体に固定した状態を示す斜視図である。
【図8】モータユニットを筐体に固定した状態を示す斜視図である。
【図9】シールド板金の背面に電子基板を固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(画像形成装置の概要)
図1には、実施形態の画像形成装置100が示されている。画像形成装置100は、用紙収納装置101を備えている。用紙収納装置101には、画像を形成するための用紙102が複数枚収納されている。用紙収納装置101に収納された用紙は、搬送ロール機構103、104の機能により、搬送経路105を2次転写部106に向けて搬送される。
【0024】
2次転写部106では、転写ベルト107上に形成されたトナー像が用紙上に2次転写される。2次転写部106において、トナー像が転写された用紙は、画像定着部108に送られ、そこで熱と圧力とを加えられる。これにより、用紙上のトナー像は、画像として用紙上に定着する。画像の定着が行われた用紙は、排出ロール機構109から用紙排出面110に排出される。
【0025】
定着ベルト107には、1次転写ユニット120、130、140および150からYMCK各色のトナー像が1次転写される。1次転写ユニット120、130、140、150は、形成するトナー像の色が異なるだけで構造は同じである。
【0026】
例えば、1次転写ユニット120は、感光体ドラム121、感光ドラム121上に形成された静電潜像を現像する現像ロール122を備えている。また感光体ドラム121上には、図の時計回り方向に沿って、静電潜像を形成する露光装置(図示省略)、帯電装置(図示省略)、クリーニング装置(図示省略)が配置されている。感光体ドラム121上に現像された画像(トナー像)(例えば、Y色のトナー像)は、転写ベルト107上に1次転写される。
【0027】
この1次転写は、1次転写ユニット130、140、150においても行われ、YMCKの各基本色のトナー像が重ねられる。こうして、転写ベルト107上への画像の一次転写が行われる。
【0028】
この画像形成の動作において、各1次転写ユニットの感光体ドラムと現像ロールとは回転する。この回転の駆動力は、1次転写ユニット毎に用意されている回転力発生装置として機能するモータユニット、およびこのモータユニットからの駆動力を伝達する伝達ギア装置により行われる。
【0029】
すなわち、1次転写ユニット120の感光体ドラム121と現像ロール122を駆動する駆動力は、モータユニット123から供給される。モータユニット123は、アウターロータ型(外側が回転する形式)のモータと、ギア機構を内蔵している。モータユニット123から出力された駆動力は、伝達ギア装置124に伝えられ、そこから感光体ドラム121と現像ロール122とに分岐して伝えられる。
【0030】
同様に、1次転写ユニット130の感光体ドラム131と現像ロール132には、モータユニット133から伝達ギア装置134を介して、駆動力が伝達される。また、1次転写ユニット140の感光体ドラム141と現像ロール142には、モータユニット143から伝達ギア装置144を介して、駆動力が伝達される。また、1次転写ユニット150の感光体ドラム151と現像ロール152には、モータユニット153から伝達ギア装置154を介して、駆動力が伝達される。
【0031】
(モータユニットの固定構造)
以下、図1のモータユニット123、133、143および153を画像形成装置100に固定する構造について説明する。図2には、4つのモータユニットが固定されるフレーム201が示されている。フレーム201は、4つのモータユニットが固定される部材であり、鋼板をプレス成形した構造を有している。フレーム201は、画像形成装置100の筐体に螺子止めされ、そこに一体化される。この構造により、フレーム201は、画像形成装置100の筐体の一部として機能する。また、フレーム201は、画像形成装置100の筐体との間で導通が確保されており、電気的なアース(筐体アース)として使用できる状態とされている。
【0032】
図3には、図2に示すフレーム201にモータユニット123、133、143および153を仮固定した状態(固定位置に位置させ、固定手段による固定を行っていない状態)が示されている。
【0033】
以下、モータユニットについて説明する。4つのモータユニット123、133、143および153は、同じ構造を有している。ここでは、代表してモータユニット123について説明する。図4、図5には、モータユニット123が示されている。モータユニット123は、一対の支持板301、302の間にモータとギア機構が保持された構造とされている。
【0034】
一対の支持板301と302との間には、アウターロータ型のモータ303が保持されている。モータ303は、回転するロータ304を備え、このロータ302の外周には、図示省略したギアの歯が形成されている。ロータ304は、ロータ軸304aが支持板301と302に回転自在な状態で保持された構造とされている。ロータ304の回転は、複数のギアを伝達される過程で減速され、最終的にギア305の回転軸(出力軸)306に伝達される。すなわち、モータ301を稼動させると、ロータ304が回転し、その回転がギア305に伝わる。そして、この回転は、出力軸306から出力される。なお、符号308は、間隔を有した状態で支持板301と302を対向した状態で保持するスペーサである。
【0035】
図4に示されるように、支持板301には、突起部307が設けられている。突起部307は、中心に出力軸306を回転自在な状態で保持する貫通孔を有した円盤形状(ドーナツ型の形状)を有している。図4では、出力軸306が、突起部307の端面と同じ位置で切り落とされた形状とされているが、実際には、Y軸方向に延長し、延びている。
【0036】
以下、モータユニット123をフレーム201に固定する構造について説明する。図2に示すように、フレーム201側には、モータユニット123と接触する接触部202、203、204が設けられている。接触部202、203、204の先端部分には、緩衝材となるゴムが取り付けられ、モータユニット123に緩衝作用を持った状態で接触する構成とされている。なお、緩衝材としては、各種の高分子材料、繊維質材料、皿バネといったものを用いることができる。
【0037】
また、フレーム201のモータユニット123が固定される部分には、モータユニット123の位置決めを行うための位置決め用円筒部205が設けられている。位置決め用円筒部205は、その内側に図4の突起部307を嵌め込むことが可能な構造とされている。図3には、モータユニット123の突起部307(図4参照)を図2の位置決め用円筒部205の内側に嵌め込み、支持板301に接触部202、203、204を接触させた状態が示されている。
【0038】
図3に示す状態において、モータユニット123の支持板302(図2、図3参照)の斜辺302aは、駆動伝達ギア保持板金210に接触している。駆動伝達ギア保持板金210は、フレーム201に螺子止めされた板金であり、モータユニット123からの駆動力を1次転写ユニット120(図1参照)の感光体ドラム121と現像ロール122とに伝達する伝達ギア装置124(詳細は図示省略)を保持する。また、この構造では、支持板302の斜辺302aが接触することで、モータユニット123がY軸周りに回転しないようにする回転防止部材として、駆動伝達ギア保持板金210が機能している。
【0039】
すなわち、図3に示す状態において、モータユニット123は、支持板301から突出した突出部307(図4参照)がフレーム201の位置決め用円筒部205(図2参照)に嵌った状態とされている。この状態で、X−Z面(フレーム201の面)上におけるモータユニット123の位置が決められる。そして、斜辺302a(図4参照)が、駆動伝達ギア保持板金210に接触することで、突出部307を軸としたモータユニット123の回転が生じない構造とされている。こうして、モータユニット123は、フレーム201に位置決めされ、且つ、回転できない状態とされる。すなわち、モータユニット123のフレーム201に対するX−Z平面内における相対的な移動と回転ができない状態とされている。
【0040】
以上の構造は、モータユニット133、143、153においても同様とされている。図3に示す状態では、モータユニット123、133、143、153は、フレーム201に対して、X−Z面内で動かないようにされているが、Y軸方向において、フレーム201から引き離すことができる状態とされている。つまり、各モータユニットは、フレーム201に対して仮止めされた状態とされている。
【0041】
なお、図3の状態において、モータユニット133、143、153からの出力軸は、フレーム201に設けられた4つの位置決め用円筒部(その一つが図2の符号205)の内側を貫通し、図2、図3におけるフレーム201の向こう側(Y軸正方向側)に突出している。そしてこの突出した各モータユニットの出力軸に図示しない歯車が取り付けられ、それが駆動伝達ギア保持板金(その一つは符号210で示されている)によって保持されたギア機構に含まれる歯車に噛み合った状態とされている。
【0042】
図6は、モータユニット123、133、143、153をフレーム201の側に押し付ける際に利用されるシールド板金220が示されている。シールド板金220は、鋼板により構成されており、フレーム201との間で電気的な導通が確保されている。後述するように、シールド板金220は、モータユニット群と電子基板との間を電磁シールドする。
【0043】
シールド板金220のフレーム201(図2、図3参照)に対向する面には、押し付け板221が固定されている。押し付け板221は、鋼板により構成され、シールド板金220およびフレーム201との間で電気的な導通が確保されている。押し付け板221には、それぞれ3つの突起を備えた領域222、223、224、225が設けられている。例えば、領域222には、突起231、232、233が設けられている。また、領域223には、突起241、242、243が設けられている。これら突起は、押し付け板221をプレス成形により形成する際に形成されるもので、押し付け板221の一部とされている。
【0044】
上記領域222、223、224、225に設けられた各3つの突起は、正三角形の各頂点の位置する位置関係とされている。
【0045】
シールド板金220は、押し付け板221の側がフレーム201に対向する状態で、図2、図3のフレーム201に押し付けられ、螺子によりフレーム201に固定される。この際、押し付け板221の領域222の3つの突起(符号231、232、233)が、図3の状態のモータユニット123の支持板302(図4参照)に接触し、そこを押す。これにより、フレーム201と押し付け板220との間にモータユニット123が挟まれ、モータユニット123のフレーム201への固定が行われる。
【0046】
同様に、モータユニット133は、押し付け板221の領域223の3つの突起によってフレーム201側に向かって押され、フレーム201と押し付け板221との間に挟まれた状態で、フレーム201に固定される。同様に、モータユニット143は、押し付け板221の領域224の3つの突起によってフレーム201側に向かって押され、フレーム201と押し付け板221との間に挟まれた状態で、フレーム201に固定される。同様に、モータユニット153は、押し付け板221の領域225の3つの突起によってフレーム201側に向かって押され、フレーム201と押し付け板221との間に挟まれた状態で、フレーム201に固定される。
【0047】
押し付け板221側の各3つの突起が、各モータユニットに接触する位置について説明する。図7には、図6に示す押し付け板221の突起231、232、233のモータユニット133に対する位置関係が示されている。
【0048】
図8は、モータユニット123がフレーム201と押し付け板221との間に挟まれることで、フレーム201に固定されている状態を示す切り取り図である。図8には、図6にも示されている押し付け板221の半円形状の耳部244が示されている。耳部244には、突起232(図6参照)が設けられている。図7、図8に示されるように突起232は、モータユニット123の出力軸306の位置に接触し、そこを押している。
【0049】
この構造によれば、図6に示される領域222に配置された3つの突起231、232、233は、正三角形の頂点に配置され、その頂点の一つの部分の突起232が、モータユニット123の出力軸306の端の部分を押す構造とされている。
【0050】
また、突起233は、モータユニット143が備えたモータのロータ304の軸(図4のロータ軸304a)の位置(ロータ中心)に接触している。この構造によれば、図4、図5に示すモータユニット123の出力軸306の位置とロータ中心(ロータ軸304a)の位置とを2つの頂点とする三角形の各頂点(3点)において、モータユニット123が、押し付け板221によってフレーム201側に押え付けられている。この三角形は、正三角形であることが力を均等に分散する上で、最も望ましいが、二等辺三角形であってもよい。
【0051】
なお、図8の符号205は、フレーム201に設けられた位置決め用円筒部である(図2参照)。位置決め用円筒部205の内側をモータユニット123の出力軸が貫通している。図示省略されているが、位置決め用円筒部205の内側を貫通したモータユニット123の出力軸306(図4参照)は、フレーム210に設けられた開口部205aから図のY軸正方向に突出している。この出力軸306には、図示されない歯車が取り付けられ、この歯車を介して、図1の伝達ギア装置124に駆動力が伝達される。
【0052】
図7に示す状態において、更に電子基板が取り付けられる。図9は、フレーム201に電子基板250が螺子により取り付けられた状態が示されている。電子基板250のシールド板金220に対向する面側には、モータユニット123、133、143、153を駆動するための駆動回路(図示せず)が搭載されている。
【0053】
(優位性)
以上述べたように、画像形成装置100の筐体に固定され、一体化されるフレーム201にモータユニット123、133、143、153を固定する構造において、各モータユニットを組み付けた状態で、フレーム201に各モータを押え付ける押え付け板によって各モータユニットを押え付けて固定する。各モータユニットは、出力軸を保持する突起部(例えば符号307)を備え、この突起部をフレーム201に設けられた位置決め用の凹部(例えば、位置決め用円筒部205の内側)に嵌め込むことで、フレーム201に対して位置決めされる。
【0054】
この構成によれば、画像形成装置100は、4つの1次転写ユニット120、130、140、150毎に駆動が分割されている。言い換えると、4つの1次転写ユニット毎に駆動源が独立して用意されている。このため、駆動源を複数の1次転写ユニットで共有した場合に必要となるギア列が必要でなくなり、その分のスペースを削減できるので、小型化を追求できる。また、複雑なギア機構が省略できるので、シンプル化、低コスト化を図ることができる。
【0055】
4つのモータユニットは、3点でフレーム201に接触している。このため、ガタツキのない安定した接触状態が確保されている。また、モータユニットのフレーム201への接触は、緩衝材を介した接触とされている。このため、動作時におけるモータユニットからフレーム201への振動の伝達が抑えられ、騒音抑制効果や画質の向上効果が得られる。
【0056】
4つのモータユニットは、押し付け板221によって、フレーム201に押し付けられた状態で固定されている。この構造では、各モータユニットを個別にフレーム201に固定しないので、固定に必要な部品や作業の手間を削減できる。このため、部品コストを削減でき、組立性を高めることができる。
【0057】
押し付け板221は、モータユニットを3点で押し、しかもその3点の中の1点がモータユニットの出力軸の位置とされ、もう1点がモータのロータ軸の位置とされている。このため、モータユニットを安定して保持することができ、振動による位置のずれや回転等を効果的に抑えることができる。
【0058】
モータユニットの背面には、押し付け板221が接触し、その背後には、更にシールド板金220が位置している。また、押し付け板221とシールド板金220とは筐体のアース電位に保たれている。このため、モータユニットのアースが強化され、モータユニットからの漏洩ノイズを抑えることができる。また、モータユニットと回路基板250との間に電磁シールド部材が2重に配置された構造とされるので、モータユニットから回路基板250上の電子回路へのノイズの伝播が抑えられる。また、押し付け板221とシールド板金220が、ヒートシンクとしても機能するので、モータユニットからの放熱効果を高めることができる。
【0059】
(突起の位置の他の例)
上記において説明した構造では、押し付け板221に設けられたモータユニットを抑えるための3点の突起(例えば、符号231、232、233)の頂点の一つをモータユニットの出力軸の位置とした構成が示されている。モータユニットの安定した固定状態を得るデザインとして、この3点の突起を正三角形の各頂点の位置とし、この正三角形の重心の位置をモータユニットの出力軸の位置とする構成を挙げることができる。また、この3点の突起を正三角形の各頂点の位置とし、この正三角形の重心の位置をモータユニットの重心の位置とする構成を挙げることもできる。これらの構成では、モータユニットのフレームに対する固定状態におけるモータユニットに加わる圧力バランスが均等になるので、安定した固定の状態を得ることができる。
【0060】
(フレームの他の例)
フレーム201が、ギアの軸や駆動軸を保持する機能を持っていてもよい。この構成によれば、フレーム201が複数の機能を併せ持つので、画像形成装置を構成する部品の利用効率が高まり、部品の点数を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、回転力発生装置の固定構造および画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
100…画像形成装置、101…用紙収納装置、102…用紙、103…搬送ロール機構、104…搬送ロール機構、105…搬送経路、106…2次転写部、107…転写ベルト、108…画像定着部、109…排出ロール機構、120…1次転写ユニット、130…1次転写ユニット、140…1次転写ユニット、150…1次転写ユニット、121…感光体ドラム、122…現像ロール、123…モータユニット、124…伝達ギア装置、131…感光体ドラム、132…現像ロール、133…モータユニット、134…伝達ギア装置、141…感光体ドラム、142…現像ロール、143…モータユニット、144…伝達ギア装置、151…感光体ドラム、152…現像ロール、153…モータユニット、154…伝達ギア装置、201…フレーム、202…接触部、203…接触部、204…接触部、205…位置決め用円筒部、210…駆動伝達ギア保持板金、220…シールド板金、221…押し付け板、222…3つの突起を備えた領域、223…3つの突起を備えた領域、224…3つの突起を備えた領域、225…3つの突起を備えた領域、231…突起、232…突起、233…突起、241…突起、242…突起、243…突起、244…耳部、250…回路基板、306…出力軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を含む突起部を備えた複数の回転力発生装置と、
前記突起部が嵌まる凹部を備えた構造体と、
前記構造体に固定され、前記複数の回転力発生装置それぞれに接触することで、前記複数の回転力発生装置それぞれの前記突起部を軸とした回転を防止する回転防止部材と、
前記複数の回転力発生装置を前記構造体に向けて押し付ける押し付け部材と
を備え、
前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、前記突起部が前記凹部に嵌まり込んだ状態で、前記押し付け部材により、前記構造体に対して押し付けられて固定されていることを特徴とする回転力発生装置の固定構造。
【請求項2】
前記押し付け部材は、前記複数の回転力発生装置のそれぞれに3箇所で接触する3つの凸部を備え、
前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、ロータ軸と、このロータ軸から歯車を介して駆動される出力軸とを備え、
前記3つの凸部は、前記ロータ軸と前記出力軸を結ぶ直線を1辺とした三角形の頂点に位置していることを特徴とする請求項1に記載の回転力発生装置の固定構造。
【請求項3】
前記押し付け部材は、前記複数の回転力発生装置のそれぞれに3箇所で接触する3つの凸部を備え、
前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、ロータ軸と、このロータ軸から歯車を介して駆動される出力軸とを備え、
前記3つの凸部は、前記ロータ軸、前記出力軸、前記回転力発生装置の重心位置から選ばれた少なくとも1点を頂点とする三角形の頂点に位置していることを特徴とする請求項1に記載の回転力発生装置の固定構造。
【請求項4】
前記押し付け部材は、前記複数の回転力発生装置のそれぞれに3箇所で接触する3つの凸部を備え、
前記複数の回転力発生装置のそれぞれは、ロータ軸と、このロータ軸から歯車を介して駆動される出力軸とを備え、
前記3つの凸部は、前記出力軸または前記モータの重心位置を中心とする三角形の各頂点に位置していることを特徴とする請求項1に記載の回転力発生装置の固定構造。
【請求項5】
前記押し付け部材は、電子基板の電磁シールドを行う部材により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転力発生装置の固定構造。
【請求項6】
前記押し付け部材は、前記モータの駆動力を伝達する歯車を保持する部材により構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転力発生装置の固定構造。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の回転力発生装置の固定構造により前記筐体に固定された複数の回転力発生装置と、
前記複数の回転力発生装置のそれぞれ毎に配置され、前記複数の回転力発生装置のそれぞれからの駆動力により回転する円筒形状を有する複数の像保持体と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−95654(P2011−95654A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251855(P2009−251855)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】