説明

回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器

本発明は、回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器に関するものである。本発明は、下端は水洗式座便器の排出口と接続され、上端は男性小便器を左側または右側のどちらかを選択して組み付けられるように座便器本体後方両側の上面に座便器と一体形成されたU字トラップの尿排出管と、回転可能で高さの調節が行える小便器コネクタと、ふたを有し洗浄水を分散排出する給水管及び給水弁を備えた男性小便器本体と、を含むことを特徴とする。本発明は、男性用小便器を別途に組立設置して使用することにより、尿時に座便器使用時に比べて更に水を節約することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器に関するものであり、更に詳細には、水を節約するために、回転可能な男性用小便器を水洗式座便器に別途に設置することができる洋式便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類が使うことのできる水は地球上に存在する水の0.3%に過ぎず、現在、人類の40%は水が不足した状況に直面している。気候変動と人口増加により、水不足は深刻化しており、韓国の場合、水貧困指数(WPI)は経済協力開発機構(OECD)加盟29ヶ国中20位であるとともに、1人当りの年間利用可能淡水量も153ヶ国中129位にとどまっており、世界的な水不足国家に分類されている。
【0003】
このような水不足を解消するための方策として、水供給を増大させる水資源の開発に加え、使用量と漏水量を減らし、供給と消費が適正に循環される構造を作らなければならない。
【0004】
人類が使う水の量のうち5%程度が小便器を通じて消費される。一般的なオフィスビルや公共施設には別途の男性用小便器が設置されているが、住宅、アパート及びオフィステルに見られるような住居用トイレの場合、空間が狭小であるため、また美観上の問題から、男性用小便器が別途に設置されていない。
【0005】
このような従来の住居用トイレにおいて、男性が放尿後に洗浄水を利用して処理を行う際に、大便を処理する場合に等しい水を使うことに因り、莫大な量の水が浪費されているのが実情である。
【0006】
また、従来の座便器に対して男性が直立状態で用便する際に尿が飛散し、周辺を汚す事がたびたび発生することから、次の使用者にとって非衛生的であり、また不快感を与えるのみならず、男性の尿が洗浄水に落下する際に発生する騷音は、不快感に加え、気恥ずかしさを感じさせるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題点を解決すべく、本発明は、男性が放尿時に使用する洗浄水の量を大幅に削減できるよう、水洗式座便器に男性用小便器を別途に組立設置して使用できる洋式便器の提供を図るものである。
【0008】
また、尿の飛散に因る汚れと騷音を防止するため、適切な位置からの放尿が行えるよう、回転と高さの調節が可能な洋式便器の提供を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決のため、本発明による回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器の構成は、下端は水洗式座便器の排出口に接続され、上端は男性小便器を左側または右側のどちらかを選択して組み付けられるように座便器本体後方両側の上面に座便器と一体形成されたU字トラップの尿排出管と、回転可能で高さの調節が行える小便器コネクタと、ふたを有し洗浄水を分散排出する給水管及び給水弁を備えた男性小便器本体を含む。
【0010】
一実施例として、小便器のふたの内側に人体感知センサを設置し、ふたが開いた時、感知信号を発信して、給水弁を作動させることを特徴とする。
【0011】
一実施例として、小便器ふたと小便器本体にそれぞれ接触端子を有する接触センサを設置し、ふたを開けて回路が開放された時に給水弁を作動させることを特徴とする。
【0012】
一実施例として、小便器コネクタはスライド管で構成され、小便器本体の高さを調節することを特徴とする。
【0013】
一実施例として、小便器コネクタはフレキシブル管で構成され、小便器本体の高さ及び角度を調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、男性用小便器を別途に組立設置して使用することにより、男性の尿を処理する際に座便器使用時に比べて約1/40程度、水の使用量を少なくすることができ、飛躍的に水を節約できる効果がある。
【0015】
また、座便器の両側に小便器の排出口が形成されており、トイレまたは浴室の空間構造に応じて座便器の左側または右側のどちらか一方を選択し、男性小便器を組み合わせて使用できることから、設置空間の制約を解消できる効果がある。
【0016】
また、男性小便器の回転と高さを調節でき、尿の飛散や騷音を防げるので衛生的であり、不快感または気恥ずかしさを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明による回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器である。
【図2】図2は、本発明による回転可能な小便器の断面図及びセンサ装着図面である。
【図3】図3は、本発明による回転可能な小便器の一使用例である。
【図4】図4は、本発明による回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器の他の実施例である。
【図5】図5は、長さ調節のための組立式小便器コネクタである。
【図6】図6は、長さ調節のためのスライド管の分解断面図である。
【図7】図7は、角度調節のための回転器具である。
【図8】図8は、回転及び角度調節のためのフレキシブル管である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
小便器は、尿を受ける容器である本体と、本体下端に装着して回転可能なコネクタ及びコネクタに接続されて水洗式座便器の排出口に接続された排出管を含んで構成される。
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の好ましい実施例による回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器について説明する事にする。なお、例示図面は発明の明確性を期すべく核心的な内容のみを拡大図示し、付随的な事項については省略したものであることから、図面に限定して解釈してはならない。
【実施例】
【0020】
図1に図示したように、本発明は、一般的な水洗式座便器(10)に、座便器本体の後方両側に一体形成されたU字形トラップの尿排出管(20)と、回転可能で高さの調節が行える小便器コネクタ(30)と、ふた(41)を有し、洗浄水を分散排出する給水管(50)及び給水弁(42)を備えた男性小便器本体(40)から構成されている。
【0021】
尿排出管(20)は座便器の後方両側に座便器と一体形成されているが、これはトイレや浴室の構造に応じて、男性が立って用を楽に足せる適切な空間を左側または右側に選択して、小便器を組立てられるようにしたものである。使用しない側の排出口はキャップで栓をしておく。
【0022】
尿排出管(20)は、臭気が上方へと逆流して来ないようにU字トラップにより形成されており、下端(21)は座便器排出管に接続され、上端(22)は座便器の座台上面に形成されて小便器コネクタ(30)に接続される。
【0023】
小便器コネクタ(30)は尿排出管(20)と小便器本体(40)を接続する管で、セラミック、ステンレススチール、またはFRPなどの材質から形成されており、回転と高さ調節機能を持つ。
【0024】
小便器の回転は、尿排出管(20)内に小便器コネクタ(30)をスライド挿入することで起立軸を維持したままでの回転を可能とする結合手段を使用する。例えば、摩擦を減少させるために尿排出管内にすべり軸受などを用いるほか、水密性及び気密性確保のために水密リングまたはパッキンリングなどを使用し、かつナットで締結する構造を持つ。
【0025】
図5は、小便器コネクタ(30)の高さを調節する実施例を示したものであり、直管(62)と90度エルボ(61)を利用した組立式コネクタを用いて、高さ方向の直管(62)の長さを使用者の身長に合わせて選択し、組立てたものである。この場合、一度組立てれば一定の高さとなるが、後に高さ調節が必要となる場合には適正な長さの直管(62)と組み替えることで対処できる。
【0026】
図6は、高さ調節に関する他の実施例を示すものである。小便器コネクタ(30)の下端をスライド管として用いる方法であり、使用者の身長に応じて出し入れ可能な構造を使用する。すなわち、固定された外部スライド管(70)の内周面に長さ方向に沿って直線に形成された案内溝(71)と、その案内溝(71)に対して直角になるように円周に沿って形成された掛溝(74)とを組み合わせた溝を設け、挿入されたスライドする内部管(73)の外周面には掛突起(72)を設けた構造であり、内部スライド管の掛突起(72)を外部管の案内溝(71)に沿って出し入れし、固定させる時には掛溝(74)に沿って回転させて固定する方式により高さを調節する。
【0027】
図7は、角度調節のための回転器具の実施例として、回転器具を小便器本体(40)の下端と接続する位置に設置し、使用者に合わせて角度を自由に変更するものである。回転器具の球形胴体(84)には貫通孔(85)が設けられており、一方に小便器本体(40)と接続するコネクタ(83)を設け、他方に開口を設けることで漏斗管(83)に尿が排出されるようにする。支持体(81)は、球形胴体(84)が支持された状態で回転が可能となるように支持する固定部であり、支持体の中央部は胴体(84)の直径より少し大きく、両端は球形胴体の直径より小さく空いた空間を形成し、球形胴体が離脱しないように包み込んで支持する。回転器具のコネクタ(83)に接続された小便器本体(40)を好みの角度に動かすと球形胴体が(84)が回転して角度が調節される。このとき気密性と水密性を確保するため、水密リングまたはパッキンリングなどを支持体(81)と胴体(84)の間に用いることができる。
【0028】
図8は、高さ調節のもう1つの実施例に用いられるフレキシブル(flexible)管(90)を示したものであり、フレキシブル管(90)は水栓管に使用される蛇腹状のものであることから、これを小便器コネクタ(30)に替えて使用した場合、蛇腹の柔軟性と固定性を用いて小便器本体(40)の回転、高さ及び角度を調節できる。
【0029】
小便器本体(40)は、その上部には男性が用便の際に全開するふた(41)が取り付けられており、その後方には小便器の洗浄が行えるよう、柔軟性の有る給水管(50)、分散配管(43)、給水弁(42)が設けられている。また、給水弁(42)を作動させるためのセンサが、ふた(41)または小便器本体(40)の一定部分に設けられている。
【0030】
小便器のふた(41)は使用者が手動で開閉でき、バルブは足踏みボタンまたはタッチセンサなどの信号により、空圧または油圧を用いて機械的に開閉することができる。
【0031】
給水弁(42)はボタン式の手動開閉弁を使用することができ、ソレノイドのようなアクチュエータを用いてセンサの信号に従い作動させることができる。
【0032】
給水弁のアクチュエータを動作させるためのセンサには、人体感知センサまたは接触センサが使用できる。
【0033】
図2は、センサを装着した実施例を示している。人体感知センサ(44c)は、赤外線センサなどをふたの内側に装着し、ふたを全開すると人体を感知して信号を出し、バルブを動作させるものとする。電気配線は美観に配慮し、ふたの内部に埋め込む形とすることができ、バルブと制御PCBのサイズが大きい場合には、給水管(50)が分岐する水道管や壁面に給水弁(42)を設けることができる。
【0034】
給水弁(42)の作動は、男性がふたを開けると人体を感知して感知信号を発信し、用便前に洗浄水を分散排出した後、男性の用便時間を考慮して(1分後など)もう一度洗浄水を分散排出する。用便前に洗浄水を流せば小便器には既に水の膜が形成されていることから尿が付着せず、用便後に尿を効果的に洗浄することができ、臭気を未然に防ぐ効果がある。また更に水を節約するためにバルブの作動を1回とする場合は、人体感知信号発信後に所定の時間を置いてバルブが作動するように、マイコンなどのコントローラを用いて制御する。
【0035】
センサの他の実施例では、動きを感知するモーションセンサを取付け、男性がふたを開閉する際の動きを感知して信号を発信できる。
【0036】
接触センサを用いる場合には、小便器本体(40)とふた(41)のそれぞれに接触端子(44a、44b)を向い合わせに取付け、配線を小便器本体(40)とふた(41)に埋め込んで閉回路を構成する。すなわち、ふたが閉まっている状態においては短絡した閉回路が形成されるので動作せず、ふたを開けると開放回路が形成されて動作信号を発信するので給水弁が作動する。この場合にもマイコンなどのコントローラを用いて制御を行えば、開放回路の形成と同時に、または所定の時間を経過した後に給水弁が動作するよう設定でき、洗浄水が1回または2回排出されるように制御できる。
【0037】
図2は、小便器本体(40)を45度回転させ、小便器のふた(41)を開けた状態を示しており、A−A部分の拡大断面図は、尿が跳ねないように小便器本体(40)の入り口部分に唇形状が上向きに形成されており、その下に洗浄用水を分散排出する分散排出管(43)が設けられていることを示している。
【0038】
図3は、小便器本体(40)を90度回転させた状態を示したもので、使用後に空間を無理なく使えるように座便器上に回転させておいた状態で、小便器本体(40)の内側が見えるようになっている図である。
【0039】
図4は、本発明の他の実施例であり、給水管(50)と尿排出管(20)を共に小便器コネクタ(30)に収納した実施例で、トラップを円形に処理してすっきりとした外観に仕上げたところが特徴である。
【0040】
本発明は上述した特定の好ましい実施例に限定されるものではなく、請求の範囲に請求する本発明の要旨を外れることがなければ、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者なら誰でも多様な変形実施が可能なのは勿論であり、このような変更は請求範囲記載の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、男性が放尿する際、水洗式座便器に男性用小便器を別途に組立設置して使用できることから洗浄水の使用量を画期的に減らすことができる。
また、尿の飛散に因る汚れと騷音を防ぐため、適切な位置から放尿できるように回転と高さの調節を可能とした洋式便器として使用できる。
【符号の説明】
【0042】
10:座便器
20:尿排出管
30:小便器コネクタ
40:小便器本体
41:小便器のふた
42:給水弁
43:分散排出管
44a,44b:接触端子
44c:人体感知センサ
50:給水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器が装着された一体型水洗式洋式便器であって、前記小便器は、
尿を受ける容器である本体と、
前記本体下端に装着して回転可能なコネクタと、
前記コネクタに接続されて水洗式座便器の排出口に接続された排出管と、
を含んで構成され、
前記本体は、
ふたと、洗浄水が分散排出される給水管および給水弁と、を含み、
高さ及び角度が調節できるよう、前記本体下端に尿を排出する貫通孔が形成された球形胴体と、前記球形胴体を包み込んで支持する支持体とを備える回転器具が装着され、
前記コネクタの上部は前記回転器具に接続され、下部は前記排出管にスライド挿入されて左右回転が可能であり、
前記排出管はU字形または円形のトラップを備え、前記排出管の下端は前記座便器の排出口に接続されるとともに、前記排出管の上端は前記コネクタと前記本体を左側または右側のどちらかを選択して組み付けることができるように前記座便器本体後方両側の上面に形成される
ことを特徴とする、回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器
【請求項2】
前記小便器の前記ふたの内側に人体感知センサを設置し、前記ふたを開いた時に感知信号を発信して前記給水弁を作動させることを特徴とする、請求項1に記載の回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器
【請求項3】
前記小便器の前記ふたと前記本体とに、向い合う接触端子を持つ接触センサをそれぞれ設置し、前記ふたを開けて回路が開放された時に前記給水弁を作動させることを特徴とする、請求項1に記載の回転可能な小便器が装着された一体型洋式便器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−513049(P2013−513049A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547976(P2012−547976)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2011/007227
【国際公開番号】WO2012/077895
【国際公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(512128210)
【氏名又は名称原語表記】JUNG,Suk−Joon
【住所又は居所原語表記】104−502,Daejayeon Maeul Apt.,990 Gwanjeo−dong,Seo−gu Daejeon 302−812 Republic of Korea
【Fターム(参考)】