回転可能ノブを含む外科手術開創器
【課題】可撓性スリーブに係合可能な回転可能ノブを有している外科手術アクセスポートを提供すること。
【解決手段】外科手術アクセスポートが患者の体壁に形成された切開を通した挿入のために提供される。外科手術アクセスポートは、スリーブアセンブリの近位端部に提供された折り畳みアセンブリを有するスリーブアセンブリを全体が含む。スリーブアセンブリは、可撓性スリーブおよび可撓性遠位リングを含む。可撓性遠位リングは、可撓性スリーブの遠位端部に提供される。スリーブアセンブリの近位端部は、スリーブ材料に形成されたポケットを含む。折り畳みアセンブリは、ポケットに配置され、近位リングおよび1つ以上のリングノブを全体が含む。1つ以上のリングノブは、回転可能に近位リングに搭載されている。ラチェットポール機構の形式であるロッキング構造は、リングノブを近位リングに対する位置に固定するために提供され得る。
【解決手段】外科手術アクセスポートが患者の体壁に形成された切開を通した挿入のために提供される。外科手術アクセスポートは、スリーブアセンブリの近位端部に提供された折り畳みアセンブリを有するスリーブアセンブリを全体が含む。スリーブアセンブリは、可撓性スリーブおよび可撓性遠位リングを含む。可撓性遠位リングは、可撓性スリーブの遠位端部に提供される。スリーブアセンブリの近位端部は、スリーブ材料に形成されたポケットを含む。折り畳みアセンブリは、ポケットに配置され、近位リングおよび1つ以上のリングノブを全体が含む。1つ以上のリングノブは、回転可能に近位リングに搭載されている。ラチェットポール機構の形式であるロッキング構造は、リングノブを近位リングに対する位置に固定するために提供され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年3月23日に出願された米国仮特許出願第61/466,569号の利益および優先権を主張する。その全内容は、本明細書において、参照することによって援用されている。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、外科手術開創器に関する。外科手術開創器は、外科手術アクセスポートが、患者の身体において形成された切開を通して挿入されるための回転可能ノブを含む。より具体的には、本開示は、可撓性スリーブと、可撓性スリーブに係合可能な回転可能ノブとを有している外科手術アクセスポートに関し、回転可能ノブは、可撓性スリーブの近位端部を患者の身体の外面に対して回転させる。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
さまざまな外科手術処置が低侵襲態様で実行される。このことは、患者の体壁を通して小さな切開を形成することと、切開を通してアクセスポートを挿入することとを含み、切開によって作られた創傷を保護し、外科手術器具の挿入のための経路を提供する。しかし、腹腔鏡のような低侵襲外科手術は、複数の限界を有している。特に、このタイプの外科手術は、長く細い内視鏡器具を、内視鏡の視覚化の下、遠隔部位まで操作するという多くの技術を必要とする。この目的のために、ハンドアシスト腹腔鏡技術および処置が開発されてきた。これら処置は、腹腔鏡と従来の外科手術との両方の方法を含む。ハンドアシスト技術は、ハンドアクセスポートに関連して実行される。ハンドアクセスポートは、例えば、吹き込まれた腹腔に切開を通して位置決め可能な広げられたデバイスである。
【0004】
アクセスポートを選ぶ場合に、アクセスポートが完全に患者の体壁を通過するのに十分な長さを有することを確実にするよう、注意しなければならない。加えて、アクセスポートが体腔の中に延び過ぎず、外科手術処置を妨害しないようにアクセスポートを選ばなければならない。体腔の広い範囲に最小数のアクセスポートによってアクセスすることがしばしば必要である。この状況において、外科医は、外科手術器具をアクセスポートを通して挿入し得る角度によって、しばしば制限される。さらに、外科手術処置中に、アクセスポートの動きを妨げるように注意しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、より広い範囲のアクセスを達成するために、患者の身体の外面に対して、ロープロファイルを外科手術アクセスポートを通して挿入された外科医の手および/または外科手術器具に提供するように調節可能な外科手術アクセスポートを提供することが望ましい。加えて、面する組織の厚さに関わらず貫通された組織の周りの位置に固定またはロックされ得る外科手術アクセスポートを提供することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
スリーブアセンブリおよび折り畳みアセンブリを有している外科手術アクセスポートが開示される。スリーブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有している可撓性スリーブを含む。折り畳みアセンブリは、スリーブを組織の方へ下に折り畳むために、スリーブの近位端部に位置決めされている。折り畳みアセンブリは、近位リングおよびリングノブを含む。リングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。折り畳みアセンブリは、スリーブアセンブリの近位端部において形成されたスリーブ材料のポケット内に配置される。ポケットは、スリーブの近位最端部をスリーブ自体の上に取り付け戻すことによって形成される。
【0007】
リングノブは、リング部分およびハンドルを含む。リング部分は、回転可能に近位リング上に搭載されている。ハンドルは、リング部分から延びる。ロッキング構造がリング部分を近位リングに対して固定するために提供される。特定の実施形態において、ロッキング構造は、ラチェットポール機構である。ラチェットポール機構は、ラチェット歯およびポール歯を含む。ラチェット歯は、近位リングの外面上に形成される。ポール歯は、リング部分において形成され、ラチェット歯と係合可能である。さらに特定の実施形態において、ラチェット歯は、近位リングの外面の約四分の一を覆う。
【0008】
スリーブアセンブリは、遠位リングをスリーブの遠位端部にさらに含む。遠位リングは可撓性であり、その結果、患者の切開を通して挿入可能である。
【0009】
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートも開示される。スリーブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有している可撓性スリーブを含む。ポケットは、可撓性スリーブの近位端部に形成される。折り畳みアセンブリは、ポケット内に位置決めされる。折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含む。少なくとも2つのリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。スリーブアセンブリは、可撓性遠位リングを可撓性スリーブの遠位端部に含む。
【0010】
代替実施形態において、折り畳みアセンブリは、少なくとも3つのリングノブを含む。少なくとも3つのリングノブは、回転可能に近位リングアセンブリ上に搭載されている。リングノブは、近位リングの周りに等しく一定の距離を置かれている。
【0011】
さらなる代替実施形態において、折り畳みアセンブリは、4つのリングノブを含む。4つのリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。
【0012】
外科手術アクセスポートを患者の身体に提供する方法も開示される。方法は、スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートを提供することを含む。スリーブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有している可撓性スリーブを含む。近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、遠位端部は、可撓性遠位リングを含む。折り畳みアセンブリは、スリーブの近位端部に提供される。折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含む。近位リングは、スリーブの近位端部に形成されたポケット内に位置決めされている。少なくとも2つのリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。
【0013】
可撓性スリーブの遠位端部および可撓性遠位リングは、患者の体壁に形成された切開を通して、可撓性遠位リングを圧縮することと、可撓性遠位リングが体腔内に通るまで、可撓性遠位リングを遠位方向に切開を通して挿入することとによって挿入される。外科手術アクセスポートは、近位方向に張られることによって、可撓性遠位リングを体壁の内面に係合させる。ポケットは、把持されることによって、少なくとも2つのリングノブを係合する。少なくとも2つのリングノブは、ポケットを体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転される。一方法において、少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される。代替方法において、少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、スリーブの一部をポケットの周りに引き付ける。さらに特定の実施形態において、少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転され、スリーブのより大きい部分をポケットの周りに引き付ける。
【0014】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有している、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部に位置決めされる折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングと、回転可能に該近位リング上に搭載されているリングノブとを含む、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
(項目2)
上記折り畳みアセンブリは、上記スリーブアセンブリの上記近位端部に形成されているスリーブ材料のポケット内に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目3)
上記ポケットは、上記スリーブの近位最端部を該スリーブ自体の上に戻すように取り付けることによって形成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目4)
上記リングノブは、回転可能に上記近位リング上に搭載されているリング部分と、該リング部分から延びているハンドルとを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目5)
上記折り畳みアセンブリは、上記リング部分を上記近位リングに対して固定するためにロッキング構造を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目6)
上記ロッキング構造は、ラチェットポール機構である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目7)
上記ラチェットポール機構は、ラチェット歯およびポール歯を含み、該ラチェット歯は、上記近位リングの外面上に形成されており、該ポール歯は、上記リング部分において形成されており、該ポール歯は、該ラチェット歯と係合可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目8)
上記ラチェット歯は、上記近位リングの上記外面の約四分の一を覆う、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目9)
上記スリーブアセンブリは、上記スリーブの上記遠位端部において遠位リングを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目10)
上記遠位リングは、可撓性である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目11)
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成する、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部において形成された該ポケット内に位置決めされている折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該少なくとも2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
(項目12)
上記折り畳みアセンブリは、少なくとも3つのリングノブを含み、該少なくとも3つのリングノブは、回転可能に上記近位リングアセンブリ上に搭載されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目13)
上記折り畳みアセンブリは、4つのリングノブを含み、該4つのリングノブは、回転可能に上記近位リング上に搭載されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目14)
上記少なくとも3つのリングノブは、上記近位リングの周りに均等に間隔を空けられている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目15)
上記スリーブアセンブリは、上記可撓性スリーブの上記遠位端部において遠位リングを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目16)
上記遠位リングは、可撓性である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目17)
患者の身体に提供されるように構成された外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートであって、該スリーブアセンブリは、可撓性スリーブを含み、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、該遠位端部は、可撓性遠位リングを含む、外科手術アクセスポートと、
該スリーブの該近位端部にある折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該近位リングは、該スリーブの該近位端部において形成されたポケット内に位置決めされており、該2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含み、
該可撓性スリーブの該遠位端部および該可撓性遠位リングは、患者の体壁に形成される切開を通して構成され、該可撓性遠位リングは、該可撓性遠位リングが圧縮され、体腔内に通るまで切開を通して該可撓性遠位リングを遠位方向に挿入されるように構成され、
該外科手術アクセスポートは、該可撓性遠位リングを該体壁の内面に係合するように近位方向に引っ張られるように構成され、
該ポケットが把持されるように構成され、該少なくとも2つのリングノブは、該ポケットを該体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転されるように構成される、外科手術アクセスポート。
(項目18)
上記少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目19)
上記少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、上記スリーブの一部を上記ポケットの周りに引き付ける、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目20)
上記少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目17A)
外科手術アクセスポートを患者の身体に提供する方法であって、
該方法は、
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートを提供することであって、該スリーブアセンブリは、可撓性スリーブを含み、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、該遠位端部は、可撓性遠位リングを含む、ことと、
折り畳みアセンブリを該スリーブの該近位端部に提供することであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該近位リングは、該スリーブの該近位端部において形成されたポケット内に位置決めされており、該2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、ことと、
該可撓性スリーブの該遠位端部および該可撓性遠位リングを切開を通して挿入することであって、該切開は、患者の体壁において形成され、該挿入することは、該可撓性遠位リングを圧縮することと、該可撓性遠位リングが体腔内に通るまで該可撓性遠位リングを遠位方向に該切開を通して挿入することとによって行われる、ことと、
該外科手術アクセスポートを該可撓性遠位リングを該体壁の内面に係合させるように近位方向に引っ張ることと、
該ポケットを把持することと、該少なくとも2つのリングノブを、該ポケットを該体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転させることと
を含む、方法。
(項目18A)
上記少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19A)
上記少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、上記スリーブの一部を上記ポケットの周りに引き付ける、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20A)
上記少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0015】
(摘要)
外科手術アクセスポートが患者の体壁に形成された切開を通した挿入のために提供される。外科手術アクセスポートは、スリーブアセンブリの近位端部に提供された折り畳みアセンブリを有しているスリーブアセンブリを全体が含む。スリーブアセンブリは、可撓性スリーブおよび可撓性遠位リングを含む。可撓性遠位リングは、可撓性スリーブの遠位端部に提供される。スリーブアセンブリの近位端部は、スリーブ材料において形成されたポケットを含む。折り畳みアセンブリは、ポケットに配置され、近位リングおよび1つ以上のリングノブを全体が含む。1つ以上のリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。ラチェットポール機構の形式であるロッキング構造は、リングノブを近位リングに対する位置に固定するために提供され得る。
【0016】
本開示の外科手術アクセスポートのさまざまな実施形態が本明細書において図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、患者の体壁を通して位置決めされた外科手術アクセスポートの拡大透視図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿って取られたセクションにおいて部分的に示された透視図である。
【図3】図3は、パーツを分離した、図1の外科手術アクセスポートの透視図である。
【図4】図4は、図1の外科手術アクセスポートの包装または折り畳みアセンブリの上部平面図である。
【図5】図5は、図4の線5−5に沿って取られた断面図である。
【図6】図6は、図5の線6−6に沿って取られた断面図である。
【図7】図7は、セクションにおいて部分的に示された透視図であり、患者の体壁を通して形成された切開の中への外科手術アクセスポートの最初の挿入を例示する。
【図8】図8は、患者の体壁を通して形成された切開の中への外科手術アクセスポートの遠位端部の挿入を例示する断面図である。
【図9】図9は、切開の中への外科手術アクセスポートの完全な挿入を例示する断面図である。
【図10】図10は、折り畳みアセンブリの作動を例示する断面図であり、折り畳みアセンブリは、外科手術アクセスポートの近位端部を体壁の外面に接触させる。
【図11】図11は、図10の拡大範囲の詳細図である。
【図12】図12は、患者の体壁における切開を通して挿入された外科手術アクセスポートの代替実施形態の断面図である。
【図13】図13は、折り畳みアセンブリの最初の作動中の図12の外科手術アクセスポートの断面図である。
【図14】図14は、図12の外科手術アクセスポートの断面図であり、外科手術アクセスポートの近位端部は、体壁の外面に係合される。
【図15】図15は、図14の拡大範囲の詳細図である。
【図16】図16は、本開示の折り畳みアセンブリの代替実施形態である。
【図17】図17は、本開示の折り畳みアセンブリのさらなる代替実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態の詳細な説明)
回転可能ノブを含む本開示の外科手術開創器、つまり外科手術アクセスポートの実施形態がここで図面を参照して詳細に記載される。図面において、類似の数字は、複数の図の各々において、同一または対応する要素を指定する。当分野において共通であるが、用語「近位」は、ユーザーまたはオペレーター(つまり、外科医または内科医)に対して、より近い部分または構成要素を指す。用語「遠位」は、ユーザーからより遠く離れた部分または構成要素を指す。
【0019】
まず、図1を参照すると、回転可能ノブを含む外科手術開創器、つまり外科手術アクセスポート10が開示される。外科手術アクセスポート10は、例えば、腹腔にアクセスするために、患者Pの体壁BWにおける切開を通して挿入されている。外科手術アクセスポート10は、さまざまな厚さの身体組織を収容するように調節可能であり、ロープロファイルなアクセスポートを提供することによって、体腔内への外科医の手および/または外科手術器具の挿入を容易にする。
【0020】
図2を参照すると、外科手術アクセスポート10は、スリーブアセンブリ12を全体が含む。スリーブアセンブリ12は、スリーブ包装または折り畳みアセンブリ14を有している。スリーブ包装または折り畳みアセンブリ14は、スリーブアセンブリ12の近位端部16内に位置決めされている。スリーブアセンブリ12は、体壁BWを通して形成された切開Iを通した挿入のための可撓性スリーブ18と、可撓性スリーブ18の遠位端部22の中へ組み込まれた可撓性遠位リング20とを全体が含む。可撓性遠位リング20は、切開Iを通した外科手術アクセスポート10の挿入を容易にし、外科手術アクセスポート10を、下記においてより詳細に記載される態様で体壁BWの内面ISに対して固定するのを助ける。
【0021】
ここで図3を参照すると、可撓性スリーブ18が(例えば、プラスチックのシート、製織材料またはいずれか他の可撓性生体親和性材料のような)さまざまな材料から形成され得る。同様に、可撓性遠位リング20が(例えば、プラスチック、ステンレス鋼、形状記憶合金などのような)さまざまな可撓性材料から形成され得る。加えて、可撓性遠位リング20は、組織の中への挿入中に可撓性遠位リング20の圧縮を容易にする裂け目(示されていない)を含み得る。遠位端部22を可撓性遠位リング20の周りに包装することと、(例えば、接着、溶接などのような)さまざまな方法を用いて遠位端部22をスリーブ18上に固定し戻すこととによって、可撓性遠位リング20は、スリーブ18の遠位端部22内へ組み込まれる。
【0022】
折り畳みアセンブリ14は、近位リング24と、近位リング24上に回転可能に搭載された、第一のリングノブ26および第二のリングノブ28のような1つ以上のリングノブとを全体が含む。外科手術アクセスポート10を体壁BW内に固定するために、スリーブアセンブリ12の近位端部16を放射状外側方向および遠位方向に体壁BW(図2)の外面OSに向かって折り畳む折り畳みアセンブリ14が提供される。
【0023】
一時、図2を参照すると、折り畳みアセンブリ14を外周ポケット30に引き付けることによって、折り畳みアセンブリ14がスリーブアセンブリ12の近位端部16の中に組み込まれている。外周ポケット30は、スリーブアセンブリ12の近位端部16において形成されている。特に、スリーブアセンブリ12の近位の最端部32は、近位リング24を通して挿入され、遠位の最端部32は、放射状外側方向にスリーブ18上へ包装し戻されて、外周ポケット30を形成する(図8も参照)。遠位の最端部32は、(例えば、溶接、接着などのような)さまざまな公知の方法を用いて可撓性スリーブ18に固定される。
【0024】
ここで図4を参照すると、第一のリングノブ26および第二のリングノブ28が第一のリング部分34および第二のリング部分36をそれぞれ含む。第一のリング部分34および第二のリング部分36は、第一のハンドル38および第二のハンドル40を有している。第一のハンドル38および第二のハンドル40は、第一のリング部分34および第二のリング部分36からそれぞれ延びる。可撓性スリーブ18を組織の方へ回転させ、折り畳む第一のリングノブ26および第二のリングノブ28が提供される。第一のリングノブ26および第二のリングノブ28を近位リング24の周りに回転させるために、第一のリング部分34および第二のリング部分36は、近位リング24に対して位置決めされた、それぞれのスルーボア42および44を含む。
【0025】
ここで図5および図6を参照すると、以下では第一のリングノブ26に関して述べられるが、第二のリングノブ28が同様に形成され、機能することを理解されたい。示されるように、この実施形態において、リングノブ26および特にリング部分34は、減少された範囲部分46に対して位置決めされている。減少された範囲部分46は、近位リング24において形成されている。第一のリングノブ26を近位リング24に対して、最終位置またはロックされた位置に固定するために、第一のリングノブ26および近位リング24にロッキングまたはラチェットポール機構48が提供される。ラチェットポール機構48は、第一のリング部分34のスルーボア42において形成されたポール50と、近位リング24の外面58上に形成された(例えば、ラチェット歯52、54および56のような)1つ以上のラチェット歯とを含む。
【0026】
示されるように、この実施形態において、ラチェットポール機構48は、外面58の四半分部分の周りにのみ提供される。このことは、近位リング24に対して、90°の範囲である第一のリングノブ26のロッキング回転を提供し、外科手術アクセスポート10を下記でより詳細に記載される態様で組織に固定する。代替実施形態において、ラチェット歯が近位リング24の外面58の口または部分の周りに提供され得る。
【0027】
ここで図7〜図11を参照すると、まず、図7および図8に関して、外科手術アクセスポート10の使用がここで記載される。まず、切開Iが患者Pの体壁BW(例えば、腹壁)を通して形成される(図1)。外科手術アクセスポート10が切開Iに隣接して位置決めされる。可撓性遠位リング20を含むスリーブ12の遠位端部22は、切開Iを通して適合するように圧縮される。
【0028】
ここで図8および図9を参照すると、スリーブ18の遠位端部22および可撓性遠位リング20が患者Pの体腔BCの中へ通るまで、外科手術アクセスポート10が切開Iを通して矢印A(図8)の方向に進められ続ける。可撓性遠位リング20が体腔BCに入ると、可撓性遠位リング20は、元の直径または状態に膨張し、スリーブ18の遠位端部22を体腔BCまで開く。その後に、外科手術アクセスポート10は近位方向矢印Cの方向に引かれ、スリーブ18の遠位端部22および可撓性遠位リング20を体壁BWの内面ISに対して張る(図9)。
【0029】
図9および図10を参照すると、第一のリングノブ26の第一のハンドル38および第二のリング28の第二のハンドル40が、ポケット30をピンチ締めすることによって把持され、第一のハンドル38の外面60および第二のハンドル40の外面62が体壁BWの外面OSに隣接するまで、約90°の弧を通して下に回転される(図10)。
【0030】
図11に最もよく示されるように、第一のハンドル38の外側端部60が90°の弧を通して回転させられるので、第一のリングノブ26の第一のリング部分34におけるポール50は、近位リング24上のラチェット歯52、54および56を係合し、それによって、回転されながら、第一のハンドル38を徐々に固定する。第一のリングノブ26の第一のリング部分34におけるポール50は、近位リング24上のラチェット56と係合されたものとして例示されるが、ポール50は、面する組織の厚さ(例えば、体壁BWの厚さt1)に応じて、先行するラチェット歯52および54のうちの一方と係合され得る。スリーブアセンブリ12のポケット30は、遠位方向に動くので、近位リング24も遠位方向に動くが、第一のリングノブ26の回転によっては回転しないことに注意されたい。さらに、第二のリングノブ28は、第一のリングノブ26と同時に動作され、同じ態様で機能することが認識される。
【0031】
この態様でスリーブアセンブリ12の近位端部16は体壁BWの外面OSに対して固定され、スリーブ18の遠位端部22は、体壁BWの内面ISに対して固定されることで、これによって、外科手術アクセスポート10を体壁BWにおける切開Iを通してしっかり固定する。図2に最もよく示されるように、完全に固定された状態において、外科手術アクセスポート10は、ロープロファイルであり、徐々に調節可能になるアクセスポートを提供し、アクセスポートを通した外科手術器具の挿入を容易にする。
【0032】
ここで図12〜図15を参照すると、まず、図12に関して、体壁BWの切開Iを通した挿入のための外科手術アクセスポート70の代替実施形態が開示される。体壁BWは、本明細書において、上に記載された組織厚さt1より薄い組織厚さt2を有している。外科手術アクセスポート70は、本明細書において、上に記載された外科手術アクセスポート10と実質的に同じである。外科手術アクセスポート70は、スリーブアセンブリ72を全体が含む。スリーブアセンブリ72は、包装または折り畳みアセンブリ74を有している。包装または折り畳みアセンブリ74は、スリーブアセンブリ72の近位端部76内に位置決めされている。スリーブアセンブリ72は、可撓性遠位リング80を有する可撓性スリーブ78を含む。可撓性遠位リング80は、可撓性スリーブ78の遠位端部82内に提供されている。
【0033】
折り畳みアセンブリ74は、近位リング84を全体が含む。近位リング84は、スリーブ78の外周ポケット86内に位置決めされる。第一のリングノブ88および第二のリングノブ90は、近位リング24ならびに第一のリングノブ26および第二のリングノブ28に関して、本明細書において、上に記載した態様で近位リング84上に回転可能に搭載される。第一のリングノブ88および第二のリングノブ90は、それぞれの第一のリング部分92および第二のリング部分94を含む。第一のリング部分92および第二のリング部分94は、近位リング84を囲んでいる。第一のリングノブ88および第二のリングノブ90は、それぞれの第一のハンドル96および第二のハンドル98を含む。
【0034】
図12〜図14を参照すると、外科手術アクセスポート70の使用がここで記載される。まず、図12および図13に関して、可撓性遠位リング80およびスリーブ78の遠位端部82が体腔BCに入るまで、外科手術アクセスポート78が切開Iを通して挿入される。外科手術アクセスポート70は、スリーブ78の遠位端部82が体壁BWの内面ISとしっかり係合するように張られる。その後に、第一のハンドル96および第二のハンドル98がポケット86をピンチ締めすることによって把持され、90°より大きい弧を通して矢印Eの方向に回転される(図13)。このことは、ハンドル96および98を係合させ、ハンドル96および98にスリーブ78を放射状内側方向に回転を始めさせる。
【0035】
ここで図14を参照すると、第一のハンドル96および第二のハンドル98は、270°より大きい弧を通して回転させられ続け、それによって、スリーブ78の引き付けられた部分100を体壁BWの外面OSに対して圧迫させる。第一のハンドル96および第二のハンドル98は、270°より大きい弧を通して、図12に例示される最初の位置から回転させられ、スリーブ78の引き付けられた部分100と共に、第一のハンドル96および第二のハンドル98がスリーブ78に衝突し、それによって挿入されたいずれの器具を妨害するのを妨げる。この態様で外科手術アクセスポート70は、体壁BWにおける切開Iを通して固定される。
【0036】
特に図15を参照すると、本明細書において、上に記載された折り畳みアセンブリ14とは異なり、外科手術アクセスポート70の折り畳みアセンブリ74は、ラチェットポート機構を含まないことが分かる。このことは、第一のリングノブ88および第二のリングノブ90ならびにスリーブ78の引き付けられた部分100の回転数が分からないことに起因する。しかし、代替的に、ラチェットポールが近位リング84の外面102の一部または全てに対して含まれ得(may can is a may be)、面する組織t2の厚さに応じて、第一のリングノブ88を近位リング84に対して徐々にロックする(図14)。
【0037】
ここで図16を参照すると、代替折り畳みアセンブリ104が開示される。代替折り畳みアセンブリ104は、3つの近位リングノブを有している。3つの近位リングノブは、近位リング106ならびに第一のリングノブ108、第二のリングノブ110および第三のリングのブ112を含む。近位リング106と共に、第一のリングノブ108、第二のリングノブ110および第三のリングノブ112は、相互係合ラチェットポール機構によって形成される場合または相互係合ラチェットポール機構なしで形成される場合がある。
【0038】
同様に、図17を参照すると、代替折り畳みアセンブリ114が開示される。代替折り畳みアセンブリ114は、近位リング116ならびに4つのリングノブ118、120、122および124を有している。同じ様に、近位リング116と共に、リングノブ118、120、122および124は、ラチェットポール機構によって形成される場合またはラチェットポール機構なしで形成される場合がある。
【0039】
さまざまな改変が本明細書において開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、スリーブの近位端部を組織に対して包装または折り畳む1つ以上のリングノブが提供され得る。あるいは、折り畳みアセンブリのリングノブの一部は、ロッキング構造を含み得るが、残りのリングノブは含まない。さらに、(例えば、ボールもどり止め機構、進行性付着構造などのような)代替ロッキング構造がリングノブと近位リングとの間に提供され得る。加えて、開示された近位および遠位リングは、(例えば、長方形、多角形などのような)円形ではない形状を有し得る。本開示のアクセスポートは、腹壁における切開を通して腹腔にアクセスするとして記載されたが、本開示のアクセスデバイスは、(例えば、胸部処置のような)他の処置における使用に対して改変され得る。そのため、上の記載は、限定的と解釈されるべきではなく、特定の実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および精神内に他の改変を予想する。
【符号の説明】
【0040】
10 外科手術アクセスポート
BW 体壁
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年3月23日に出願された米国仮特許出願第61/466,569号の利益および優先権を主張する。その全内容は、本明細書において、参照することによって援用されている。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、外科手術開創器に関する。外科手術開創器は、外科手術アクセスポートが、患者の身体において形成された切開を通して挿入されるための回転可能ノブを含む。より具体的には、本開示は、可撓性スリーブと、可撓性スリーブに係合可能な回転可能ノブとを有している外科手術アクセスポートに関し、回転可能ノブは、可撓性スリーブの近位端部を患者の身体の外面に対して回転させる。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
さまざまな外科手術処置が低侵襲態様で実行される。このことは、患者の体壁を通して小さな切開を形成することと、切開を通してアクセスポートを挿入することとを含み、切開によって作られた創傷を保護し、外科手術器具の挿入のための経路を提供する。しかし、腹腔鏡のような低侵襲外科手術は、複数の限界を有している。特に、このタイプの外科手術は、長く細い内視鏡器具を、内視鏡の視覚化の下、遠隔部位まで操作するという多くの技術を必要とする。この目的のために、ハンドアシスト腹腔鏡技術および処置が開発されてきた。これら処置は、腹腔鏡と従来の外科手術との両方の方法を含む。ハンドアシスト技術は、ハンドアクセスポートに関連して実行される。ハンドアクセスポートは、例えば、吹き込まれた腹腔に切開を通して位置決め可能な広げられたデバイスである。
【0004】
アクセスポートを選ぶ場合に、アクセスポートが完全に患者の体壁を通過するのに十分な長さを有することを確実にするよう、注意しなければならない。加えて、アクセスポートが体腔の中に延び過ぎず、外科手術処置を妨害しないようにアクセスポートを選ばなければならない。体腔の広い範囲に最小数のアクセスポートによってアクセスすることがしばしば必要である。この状況において、外科医は、外科手術器具をアクセスポートを通して挿入し得る角度によって、しばしば制限される。さらに、外科手術処置中に、アクセスポートの動きを妨げるように注意しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、より広い範囲のアクセスを達成するために、患者の身体の外面に対して、ロープロファイルを外科手術アクセスポートを通して挿入された外科医の手および/または外科手術器具に提供するように調節可能な外科手術アクセスポートを提供することが望ましい。加えて、面する組織の厚さに関わらず貫通された組織の周りの位置に固定またはロックされ得る外科手術アクセスポートを提供することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
スリーブアセンブリおよび折り畳みアセンブリを有している外科手術アクセスポートが開示される。スリーブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有している可撓性スリーブを含む。折り畳みアセンブリは、スリーブを組織の方へ下に折り畳むために、スリーブの近位端部に位置決めされている。折り畳みアセンブリは、近位リングおよびリングノブを含む。リングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。折り畳みアセンブリは、スリーブアセンブリの近位端部において形成されたスリーブ材料のポケット内に配置される。ポケットは、スリーブの近位最端部をスリーブ自体の上に取り付け戻すことによって形成される。
【0007】
リングノブは、リング部分およびハンドルを含む。リング部分は、回転可能に近位リング上に搭載されている。ハンドルは、リング部分から延びる。ロッキング構造がリング部分を近位リングに対して固定するために提供される。特定の実施形態において、ロッキング構造は、ラチェットポール機構である。ラチェットポール機構は、ラチェット歯およびポール歯を含む。ラチェット歯は、近位リングの外面上に形成される。ポール歯は、リング部分において形成され、ラチェット歯と係合可能である。さらに特定の実施形態において、ラチェット歯は、近位リングの外面の約四分の一を覆う。
【0008】
スリーブアセンブリは、遠位リングをスリーブの遠位端部にさらに含む。遠位リングは可撓性であり、その結果、患者の切開を通して挿入可能である。
【0009】
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートも開示される。スリーブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有している可撓性スリーブを含む。ポケットは、可撓性スリーブの近位端部に形成される。折り畳みアセンブリは、ポケット内に位置決めされる。折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含む。少なくとも2つのリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。スリーブアセンブリは、可撓性遠位リングを可撓性スリーブの遠位端部に含む。
【0010】
代替実施形態において、折り畳みアセンブリは、少なくとも3つのリングノブを含む。少なくとも3つのリングノブは、回転可能に近位リングアセンブリ上に搭載されている。リングノブは、近位リングの周りに等しく一定の距離を置かれている。
【0011】
さらなる代替実施形態において、折り畳みアセンブリは、4つのリングノブを含む。4つのリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。
【0012】
外科手術アクセスポートを患者の身体に提供する方法も開示される。方法は、スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートを提供することを含む。スリーブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有している可撓性スリーブを含む。近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、遠位端部は、可撓性遠位リングを含む。折り畳みアセンブリは、スリーブの近位端部に提供される。折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含む。近位リングは、スリーブの近位端部に形成されたポケット内に位置決めされている。少なくとも2つのリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。
【0013】
可撓性スリーブの遠位端部および可撓性遠位リングは、患者の体壁に形成された切開を通して、可撓性遠位リングを圧縮することと、可撓性遠位リングが体腔内に通るまで、可撓性遠位リングを遠位方向に切開を通して挿入することとによって挿入される。外科手術アクセスポートは、近位方向に張られることによって、可撓性遠位リングを体壁の内面に係合させる。ポケットは、把持されることによって、少なくとも2つのリングノブを係合する。少なくとも2つのリングノブは、ポケットを体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転される。一方法において、少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される。代替方法において、少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、スリーブの一部をポケットの周りに引き付ける。さらに特定の実施形態において、少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転され、スリーブのより大きい部分をポケットの周りに引き付ける。
【0014】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有している、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部に位置決めされる折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングと、回転可能に該近位リング上に搭載されているリングノブとを含む、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
(項目2)
上記折り畳みアセンブリは、上記スリーブアセンブリの上記近位端部に形成されているスリーブ材料のポケット内に配置されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目3)
上記ポケットは、上記スリーブの近位最端部を該スリーブ自体の上に戻すように取り付けることによって形成されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目4)
上記リングノブは、回転可能に上記近位リング上に搭載されているリング部分と、該リング部分から延びているハンドルとを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目5)
上記折り畳みアセンブリは、上記リング部分を上記近位リングに対して固定するためにロッキング構造を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目6)
上記ロッキング構造は、ラチェットポール機構である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目7)
上記ラチェットポール機構は、ラチェット歯およびポール歯を含み、該ラチェット歯は、上記近位リングの外面上に形成されており、該ポール歯は、上記リング部分において形成されており、該ポール歯は、該ラチェット歯と係合可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目8)
上記ラチェット歯は、上記近位リングの上記外面の約四分の一を覆う、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目9)
上記スリーブアセンブリは、上記スリーブの上記遠位端部において遠位リングを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目10)
上記遠位リングは、可撓性である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目11)
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成する、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部において形成された該ポケット内に位置決めされている折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該少なくとも2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
(項目12)
上記折り畳みアセンブリは、少なくとも3つのリングノブを含み、該少なくとも3つのリングノブは、回転可能に上記近位リングアセンブリ上に搭載されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目13)
上記折り畳みアセンブリは、4つのリングノブを含み、該4つのリングノブは、回転可能に上記近位リング上に搭載されている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目14)
上記少なくとも3つのリングノブは、上記近位リングの周りに均等に間隔を空けられている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目15)
上記スリーブアセンブリは、上記可撓性スリーブの上記遠位端部において遠位リングを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目16)
上記遠位リングは、可撓性である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目17)
患者の身体に提供されるように構成された外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートであって、該スリーブアセンブリは、可撓性スリーブを含み、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、該遠位端部は、可撓性遠位リングを含む、外科手術アクセスポートと、
該スリーブの該近位端部にある折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該近位リングは、該スリーブの該近位端部において形成されたポケット内に位置決めされており、該2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含み、
該可撓性スリーブの該遠位端部および該可撓性遠位リングは、患者の体壁に形成される切開を通して構成され、該可撓性遠位リングは、該可撓性遠位リングが圧縮され、体腔内に通るまで切開を通して該可撓性遠位リングを遠位方向に挿入されるように構成され、
該外科手術アクセスポートは、該可撓性遠位リングを該体壁の内面に係合するように近位方向に引っ張られるように構成され、
該ポケットが把持されるように構成され、該少なくとも2つのリングノブは、該ポケットを該体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転されるように構成される、外科手術アクセスポート。
(項目18)
上記少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目19)
上記少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、上記スリーブの一部を上記ポケットの周りに引き付ける、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目20)
上記少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目17A)
外科手術アクセスポートを患者の身体に提供する方法であって、
該方法は、
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートを提供することであって、該スリーブアセンブリは、可撓性スリーブを含み、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、該遠位端部は、可撓性遠位リングを含む、ことと、
折り畳みアセンブリを該スリーブの該近位端部に提供することであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該近位リングは、該スリーブの該近位端部において形成されたポケット内に位置決めされており、該2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、ことと、
該可撓性スリーブの該遠位端部および該可撓性遠位リングを切開を通して挿入することであって、該切開は、患者の体壁において形成され、該挿入することは、該可撓性遠位リングを圧縮することと、該可撓性遠位リングが体腔内に通るまで該可撓性遠位リングを遠位方向に該切開を通して挿入することとによって行われる、ことと、
該外科手術アクセスポートを該可撓性遠位リングを該体壁の内面に係合させるように近位方向に引っ張ることと、
該ポケットを把持することと、該少なくとも2つのリングノブを、該ポケットを該体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転させることと
を含む、方法。
(項目18A)
上記少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19A)
上記少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、上記スリーブの一部を上記ポケットの周りに引き付ける、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20A)
上記少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0015】
(摘要)
外科手術アクセスポートが患者の体壁に形成された切開を通した挿入のために提供される。外科手術アクセスポートは、スリーブアセンブリの近位端部に提供された折り畳みアセンブリを有しているスリーブアセンブリを全体が含む。スリーブアセンブリは、可撓性スリーブおよび可撓性遠位リングを含む。可撓性遠位リングは、可撓性スリーブの遠位端部に提供される。スリーブアセンブリの近位端部は、スリーブ材料において形成されたポケットを含む。折り畳みアセンブリは、ポケットに配置され、近位リングおよび1つ以上のリングノブを全体が含む。1つ以上のリングノブは、回転可能に近位リング上に搭載されている。ラチェットポール機構の形式であるロッキング構造は、リングノブを近位リングに対する位置に固定するために提供され得る。
【0016】
本開示の外科手術アクセスポートのさまざまな実施形態が本明細書において図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、患者の体壁を通して位置決めされた外科手術アクセスポートの拡大透視図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿って取られたセクションにおいて部分的に示された透視図である。
【図3】図3は、パーツを分離した、図1の外科手術アクセスポートの透視図である。
【図4】図4は、図1の外科手術アクセスポートの包装または折り畳みアセンブリの上部平面図である。
【図5】図5は、図4の線5−5に沿って取られた断面図である。
【図6】図6は、図5の線6−6に沿って取られた断面図である。
【図7】図7は、セクションにおいて部分的に示された透視図であり、患者の体壁を通して形成された切開の中への外科手術アクセスポートの最初の挿入を例示する。
【図8】図8は、患者の体壁を通して形成された切開の中への外科手術アクセスポートの遠位端部の挿入を例示する断面図である。
【図9】図9は、切開の中への外科手術アクセスポートの完全な挿入を例示する断面図である。
【図10】図10は、折り畳みアセンブリの作動を例示する断面図であり、折り畳みアセンブリは、外科手術アクセスポートの近位端部を体壁の外面に接触させる。
【図11】図11は、図10の拡大範囲の詳細図である。
【図12】図12は、患者の体壁における切開を通して挿入された外科手術アクセスポートの代替実施形態の断面図である。
【図13】図13は、折り畳みアセンブリの最初の作動中の図12の外科手術アクセスポートの断面図である。
【図14】図14は、図12の外科手術アクセスポートの断面図であり、外科手術アクセスポートの近位端部は、体壁の外面に係合される。
【図15】図15は、図14の拡大範囲の詳細図である。
【図16】図16は、本開示の折り畳みアセンブリの代替実施形態である。
【図17】図17は、本開示の折り畳みアセンブリのさらなる代替実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態の詳細な説明)
回転可能ノブを含む本開示の外科手術開創器、つまり外科手術アクセスポートの実施形態がここで図面を参照して詳細に記載される。図面において、類似の数字は、複数の図の各々において、同一または対応する要素を指定する。当分野において共通であるが、用語「近位」は、ユーザーまたはオペレーター(つまり、外科医または内科医)に対して、より近い部分または構成要素を指す。用語「遠位」は、ユーザーからより遠く離れた部分または構成要素を指す。
【0019】
まず、図1を参照すると、回転可能ノブを含む外科手術開創器、つまり外科手術アクセスポート10が開示される。外科手術アクセスポート10は、例えば、腹腔にアクセスするために、患者Pの体壁BWにおける切開を通して挿入されている。外科手術アクセスポート10は、さまざまな厚さの身体組織を収容するように調節可能であり、ロープロファイルなアクセスポートを提供することによって、体腔内への外科医の手および/または外科手術器具の挿入を容易にする。
【0020】
図2を参照すると、外科手術アクセスポート10は、スリーブアセンブリ12を全体が含む。スリーブアセンブリ12は、スリーブ包装または折り畳みアセンブリ14を有している。スリーブ包装または折り畳みアセンブリ14は、スリーブアセンブリ12の近位端部16内に位置決めされている。スリーブアセンブリ12は、体壁BWを通して形成された切開Iを通した挿入のための可撓性スリーブ18と、可撓性スリーブ18の遠位端部22の中へ組み込まれた可撓性遠位リング20とを全体が含む。可撓性遠位リング20は、切開Iを通した外科手術アクセスポート10の挿入を容易にし、外科手術アクセスポート10を、下記においてより詳細に記載される態様で体壁BWの内面ISに対して固定するのを助ける。
【0021】
ここで図3を参照すると、可撓性スリーブ18が(例えば、プラスチックのシート、製織材料またはいずれか他の可撓性生体親和性材料のような)さまざまな材料から形成され得る。同様に、可撓性遠位リング20が(例えば、プラスチック、ステンレス鋼、形状記憶合金などのような)さまざまな可撓性材料から形成され得る。加えて、可撓性遠位リング20は、組織の中への挿入中に可撓性遠位リング20の圧縮を容易にする裂け目(示されていない)を含み得る。遠位端部22を可撓性遠位リング20の周りに包装することと、(例えば、接着、溶接などのような)さまざまな方法を用いて遠位端部22をスリーブ18上に固定し戻すこととによって、可撓性遠位リング20は、スリーブ18の遠位端部22内へ組み込まれる。
【0022】
折り畳みアセンブリ14は、近位リング24と、近位リング24上に回転可能に搭載された、第一のリングノブ26および第二のリングノブ28のような1つ以上のリングノブとを全体が含む。外科手術アクセスポート10を体壁BW内に固定するために、スリーブアセンブリ12の近位端部16を放射状外側方向および遠位方向に体壁BW(図2)の外面OSに向かって折り畳む折り畳みアセンブリ14が提供される。
【0023】
一時、図2を参照すると、折り畳みアセンブリ14を外周ポケット30に引き付けることによって、折り畳みアセンブリ14がスリーブアセンブリ12の近位端部16の中に組み込まれている。外周ポケット30は、スリーブアセンブリ12の近位端部16において形成されている。特に、スリーブアセンブリ12の近位の最端部32は、近位リング24を通して挿入され、遠位の最端部32は、放射状外側方向にスリーブ18上へ包装し戻されて、外周ポケット30を形成する(図8も参照)。遠位の最端部32は、(例えば、溶接、接着などのような)さまざまな公知の方法を用いて可撓性スリーブ18に固定される。
【0024】
ここで図4を参照すると、第一のリングノブ26および第二のリングノブ28が第一のリング部分34および第二のリング部分36をそれぞれ含む。第一のリング部分34および第二のリング部分36は、第一のハンドル38および第二のハンドル40を有している。第一のハンドル38および第二のハンドル40は、第一のリング部分34および第二のリング部分36からそれぞれ延びる。可撓性スリーブ18を組織の方へ回転させ、折り畳む第一のリングノブ26および第二のリングノブ28が提供される。第一のリングノブ26および第二のリングノブ28を近位リング24の周りに回転させるために、第一のリング部分34および第二のリング部分36は、近位リング24に対して位置決めされた、それぞれのスルーボア42および44を含む。
【0025】
ここで図5および図6を参照すると、以下では第一のリングノブ26に関して述べられるが、第二のリングノブ28が同様に形成され、機能することを理解されたい。示されるように、この実施形態において、リングノブ26および特にリング部分34は、減少された範囲部分46に対して位置決めされている。減少された範囲部分46は、近位リング24において形成されている。第一のリングノブ26を近位リング24に対して、最終位置またはロックされた位置に固定するために、第一のリングノブ26および近位リング24にロッキングまたはラチェットポール機構48が提供される。ラチェットポール機構48は、第一のリング部分34のスルーボア42において形成されたポール50と、近位リング24の外面58上に形成された(例えば、ラチェット歯52、54および56のような)1つ以上のラチェット歯とを含む。
【0026】
示されるように、この実施形態において、ラチェットポール機構48は、外面58の四半分部分の周りにのみ提供される。このことは、近位リング24に対して、90°の範囲である第一のリングノブ26のロッキング回転を提供し、外科手術アクセスポート10を下記でより詳細に記載される態様で組織に固定する。代替実施形態において、ラチェット歯が近位リング24の外面58の口または部分の周りに提供され得る。
【0027】
ここで図7〜図11を参照すると、まず、図7および図8に関して、外科手術アクセスポート10の使用がここで記載される。まず、切開Iが患者Pの体壁BW(例えば、腹壁)を通して形成される(図1)。外科手術アクセスポート10が切開Iに隣接して位置決めされる。可撓性遠位リング20を含むスリーブ12の遠位端部22は、切開Iを通して適合するように圧縮される。
【0028】
ここで図8および図9を参照すると、スリーブ18の遠位端部22および可撓性遠位リング20が患者Pの体腔BCの中へ通るまで、外科手術アクセスポート10が切開Iを通して矢印A(図8)の方向に進められ続ける。可撓性遠位リング20が体腔BCに入ると、可撓性遠位リング20は、元の直径または状態に膨張し、スリーブ18の遠位端部22を体腔BCまで開く。その後に、外科手術アクセスポート10は近位方向矢印Cの方向に引かれ、スリーブ18の遠位端部22および可撓性遠位リング20を体壁BWの内面ISに対して張る(図9)。
【0029】
図9および図10を参照すると、第一のリングノブ26の第一のハンドル38および第二のリング28の第二のハンドル40が、ポケット30をピンチ締めすることによって把持され、第一のハンドル38の外面60および第二のハンドル40の外面62が体壁BWの外面OSに隣接するまで、約90°の弧を通して下に回転される(図10)。
【0030】
図11に最もよく示されるように、第一のハンドル38の外側端部60が90°の弧を通して回転させられるので、第一のリングノブ26の第一のリング部分34におけるポール50は、近位リング24上のラチェット歯52、54および56を係合し、それによって、回転されながら、第一のハンドル38を徐々に固定する。第一のリングノブ26の第一のリング部分34におけるポール50は、近位リング24上のラチェット56と係合されたものとして例示されるが、ポール50は、面する組織の厚さ(例えば、体壁BWの厚さt1)に応じて、先行するラチェット歯52および54のうちの一方と係合され得る。スリーブアセンブリ12のポケット30は、遠位方向に動くので、近位リング24も遠位方向に動くが、第一のリングノブ26の回転によっては回転しないことに注意されたい。さらに、第二のリングノブ28は、第一のリングノブ26と同時に動作され、同じ態様で機能することが認識される。
【0031】
この態様でスリーブアセンブリ12の近位端部16は体壁BWの外面OSに対して固定され、スリーブ18の遠位端部22は、体壁BWの内面ISに対して固定されることで、これによって、外科手術アクセスポート10を体壁BWにおける切開Iを通してしっかり固定する。図2に最もよく示されるように、完全に固定された状態において、外科手術アクセスポート10は、ロープロファイルであり、徐々に調節可能になるアクセスポートを提供し、アクセスポートを通した外科手術器具の挿入を容易にする。
【0032】
ここで図12〜図15を参照すると、まず、図12に関して、体壁BWの切開Iを通した挿入のための外科手術アクセスポート70の代替実施形態が開示される。体壁BWは、本明細書において、上に記載された組織厚さt1より薄い組織厚さt2を有している。外科手術アクセスポート70は、本明細書において、上に記載された外科手術アクセスポート10と実質的に同じである。外科手術アクセスポート70は、スリーブアセンブリ72を全体が含む。スリーブアセンブリ72は、包装または折り畳みアセンブリ74を有している。包装または折り畳みアセンブリ74は、スリーブアセンブリ72の近位端部76内に位置決めされている。スリーブアセンブリ72は、可撓性遠位リング80を有する可撓性スリーブ78を含む。可撓性遠位リング80は、可撓性スリーブ78の遠位端部82内に提供されている。
【0033】
折り畳みアセンブリ74は、近位リング84を全体が含む。近位リング84は、スリーブ78の外周ポケット86内に位置決めされる。第一のリングノブ88および第二のリングノブ90は、近位リング24ならびに第一のリングノブ26および第二のリングノブ28に関して、本明細書において、上に記載した態様で近位リング84上に回転可能に搭載される。第一のリングノブ88および第二のリングノブ90は、それぞれの第一のリング部分92および第二のリング部分94を含む。第一のリング部分92および第二のリング部分94は、近位リング84を囲んでいる。第一のリングノブ88および第二のリングノブ90は、それぞれの第一のハンドル96および第二のハンドル98を含む。
【0034】
図12〜図14を参照すると、外科手術アクセスポート70の使用がここで記載される。まず、図12および図13に関して、可撓性遠位リング80およびスリーブ78の遠位端部82が体腔BCに入るまで、外科手術アクセスポート78が切開Iを通して挿入される。外科手術アクセスポート70は、スリーブ78の遠位端部82が体壁BWの内面ISとしっかり係合するように張られる。その後に、第一のハンドル96および第二のハンドル98がポケット86をピンチ締めすることによって把持され、90°より大きい弧を通して矢印Eの方向に回転される(図13)。このことは、ハンドル96および98を係合させ、ハンドル96および98にスリーブ78を放射状内側方向に回転を始めさせる。
【0035】
ここで図14を参照すると、第一のハンドル96および第二のハンドル98は、270°より大きい弧を通して回転させられ続け、それによって、スリーブ78の引き付けられた部分100を体壁BWの外面OSに対して圧迫させる。第一のハンドル96および第二のハンドル98は、270°より大きい弧を通して、図12に例示される最初の位置から回転させられ、スリーブ78の引き付けられた部分100と共に、第一のハンドル96および第二のハンドル98がスリーブ78に衝突し、それによって挿入されたいずれの器具を妨害するのを妨げる。この態様で外科手術アクセスポート70は、体壁BWにおける切開Iを通して固定される。
【0036】
特に図15を参照すると、本明細書において、上に記載された折り畳みアセンブリ14とは異なり、外科手術アクセスポート70の折り畳みアセンブリ74は、ラチェットポート機構を含まないことが分かる。このことは、第一のリングノブ88および第二のリングノブ90ならびにスリーブ78の引き付けられた部分100の回転数が分からないことに起因する。しかし、代替的に、ラチェットポールが近位リング84の外面102の一部または全てに対して含まれ得(may can is a may be)、面する組織t2の厚さに応じて、第一のリングノブ88を近位リング84に対して徐々にロックする(図14)。
【0037】
ここで図16を参照すると、代替折り畳みアセンブリ104が開示される。代替折り畳みアセンブリ104は、3つの近位リングノブを有している。3つの近位リングノブは、近位リング106ならびに第一のリングノブ108、第二のリングノブ110および第三のリングのブ112を含む。近位リング106と共に、第一のリングノブ108、第二のリングノブ110および第三のリングノブ112は、相互係合ラチェットポール機構によって形成される場合または相互係合ラチェットポール機構なしで形成される場合がある。
【0038】
同様に、図17を参照すると、代替折り畳みアセンブリ114が開示される。代替折り畳みアセンブリ114は、近位リング116ならびに4つのリングノブ118、120、122および124を有している。同じ様に、近位リング116と共に、リングノブ118、120、122および124は、ラチェットポール機構によって形成される場合またはラチェットポール機構なしで形成される場合がある。
【0039】
さまざまな改変が本明細書において開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、スリーブの近位端部を組織に対して包装または折り畳む1つ以上のリングノブが提供され得る。あるいは、折り畳みアセンブリのリングノブの一部は、ロッキング構造を含み得るが、残りのリングノブは含まない。さらに、(例えば、ボールもどり止め機構、進行性付着構造などのような)代替ロッキング構造がリングノブと近位リングとの間に提供され得る。加えて、開示された近位および遠位リングは、(例えば、長方形、多角形などのような)円形ではない形状を有し得る。本開示のアクセスポートは、腹壁における切開を通して腹腔にアクセスするとして記載されたが、本開示のアクセスデバイスは、(例えば、胸部処置のような)他の処置における使用に対して改変され得る。そのため、上の記載は、限定的と解釈されるべきではなく、特定の実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および精神内に他の改変を予想する。
【符号の説明】
【0040】
10 外科手術アクセスポート
BW 体壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有している、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部に位置決めされる折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングと、回転可能に該近位リング上に搭載されているリングノブとを含む、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
【請求項2】
前記折り畳みアセンブリは、前記スリーブアセンブリの前記近位端部に形成されているスリーブ材料のポケット内に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項3】
前記ポケットは、前記スリーブの近位最端部を該スリーブ自体の上に戻すように取り付けることによって形成されている、請求項2に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項4】
前記リングノブは、回転可能に前記近位リング上に搭載されているリング部分と、該リング部分から延びているハンドルとを含む、請求項2に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項5】
前記折り畳みアセンブリは、前記リング部分を前記近位リングに対して固定するためにロッキング構造を含む、請求項4に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項6】
前記ロッキング構造は、ラチェットポール機構である、請求項5に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項7】
前記ラチェットポール機構は、ラチェット歯およびポール歯を含み、該ラチェット歯は、前記近位リングの外面上に形成されており、該ポール歯は、前記リング部分において形成されており、該ポール歯は、該ラチェット歯と係合可能である、請求項6に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項8】
前記ラチェット歯は、前記近位リングの前記外面の約四分の一を覆う、請求項7に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項9】
前記スリーブアセンブリは、前記スリーブの前記遠位端部において遠位リングを含む、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項10】
前記遠位リングは、可撓性である、請求項9に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項11】
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成する、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部において形成された該ポケット内に位置決めされている折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該少なくとも2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
【請求項12】
前記折り畳みアセンブリは、少なくとも3つのリングノブを含み、該少なくとも3つのリングノブは、回転可能に前記近位リングアセンブリ上に搭載されている、請求項11に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項13】
前記折り畳みアセンブリは、4つのリングノブを含み、該4つのリングノブは、回転可能に前記近位リング上に搭載されている、請求項12に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項14】
前記少なくとも3つのリングノブは、前記近位リングの周りに均等に間隔を空けられている、請求項12に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項15】
前記スリーブアセンブリは、前記可撓性スリーブの前記遠位端部において遠位リングを含む、請求項11に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項16】
前記遠位リングは、可撓性である、請求項15に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項17】
患者の身体に提供されるように構成された外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートであって、該スリーブアセンブリは、可撓性スリーブを含み、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、該遠位端部は、可撓性遠位リングを含む、外科手術アクセスポートと、
該スリーブの該近位端部にある折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該近位リングは、該スリーブの該近位端部において形成されたポケット内に位置決めされており、該2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含み、
該可撓性スリーブの該遠位端部および該可撓性遠位リングは、患者の体壁に形成される切開を通して構成され、該可撓性遠位リングは、該可撓性遠位リングが圧縮され、体腔内に通るまで切開を通して該可撓性遠位リングを遠位方向に挿入されるように構成され、
該外科手術アクセスポートは、該可撓性遠位リングを該体壁の内面に係合するように近位方向に引っ張られるように構成され、
該ポケットが把持されるように構成され、該少なくとも2つのリングノブは、該ポケットを該体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転されるように構成される、外科手術アクセスポート。
【請求項18】
前記少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される、請求項17に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項19】
前記少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、前記スリーブの一部を前記ポケットの周りに引き付ける、請求項17に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項20】
前記少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転される、請求項19に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項1】
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有している、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部に位置決めされる折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングと、回転可能に該近位リング上に搭載されているリングノブとを含む、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
【請求項2】
前記折り畳みアセンブリは、前記スリーブアセンブリの前記近位端部に形成されているスリーブ材料のポケット内に配置されている、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項3】
前記ポケットは、前記スリーブの近位最端部を該スリーブ自体の上に戻すように取り付けることによって形成されている、請求項2に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項4】
前記リングノブは、回転可能に前記近位リング上に搭載されているリング部分と、該リング部分から延びているハンドルとを含む、請求項2に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項5】
前記折り畳みアセンブリは、前記リング部分を前記近位リングに対して固定するためにロッキング構造を含む、請求項4に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項6】
前記ロッキング構造は、ラチェットポール機構である、請求項5に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項7】
前記ラチェットポール機構は、ラチェット歯およびポール歯を含み、該ラチェット歯は、前記近位リングの外面上に形成されており、該ポール歯は、前記リング部分において形成されており、該ポール歯は、該ラチェット歯と係合可能である、請求項6に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項8】
前記ラチェット歯は、前記近位リングの前記外面の約四分の一を覆う、請求項7に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項9】
前記スリーブアセンブリは、前記スリーブの前記遠位端部において遠位リングを含む、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項10】
前記遠位リングは、可撓性である、請求項9に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項11】
外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
可撓性スリーブを含むスリーブアセンブリであって、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成する、スリーブアセンブリと、
該スリーブの該近位端部において形成された該ポケット内に位置決めされている折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該少なくとも2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含む、外科手術アクセスポート。
【請求項12】
前記折り畳みアセンブリは、少なくとも3つのリングノブを含み、該少なくとも3つのリングノブは、回転可能に前記近位リングアセンブリ上に搭載されている、請求項11に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項13】
前記折り畳みアセンブリは、4つのリングノブを含み、該4つのリングノブは、回転可能に前記近位リング上に搭載されている、請求項12に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項14】
前記少なくとも3つのリングノブは、前記近位リングの周りに均等に間隔を空けられている、請求項12に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項15】
前記スリーブアセンブリは、前記可撓性スリーブの前記遠位端部において遠位リングを含む、請求項11に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項16】
前記遠位リングは、可撓性である、請求項15に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項17】
患者の身体に提供されるように構成された外科手術アクセスポートであって、
該外科手術アクセスポートは、
スリーブアセンブリを有している外科手術アクセスポートであって、該スリーブアセンブリは、可撓性スリーブを含み、該可撓性スリーブは、遠位端部および近位端部を有しており、該近位端部は、スリーブ材料のポケットを形成し、該遠位端部は、可撓性遠位リングを含む、外科手術アクセスポートと、
該スリーブの該近位端部にある折り畳みアセンブリであって、該折り畳みアセンブリは、近位リングおよび少なくとも2つのリングノブを含み、該近位リングは、該スリーブの該近位端部において形成されたポケット内に位置決めされており、該2つのリングノブは、回転可能に該近位リング上に搭載されている、折り畳みアセンブリと
を含み、
該可撓性スリーブの該遠位端部および該可撓性遠位リングは、患者の体壁に形成される切開を通して構成され、該可撓性遠位リングは、該可撓性遠位リングが圧縮され、体腔内に通るまで切開を通して該可撓性遠位リングを遠位方向に挿入されるように構成され、
該外科手術アクセスポートは、該可撓性遠位リングを該体壁の内面に係合するように近位方向に引っ張られるように構成され、
該ポケットが把持されるように構成され、該少なくとも2つのリングノブは、該ポケットを該体壁の外面に係合させるのに十分な弧を通して回転されるように構成される、外科手術アクセスポート。
【請求項18】
前記少なくとも2つのリングノブは、約90°の弧を通して回転される、請求項17に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項19】
前記少なくとも2つのリングノブは、90°より大きい弧を通して回転されることによって、前記スリーブの一部を前記ポケットの周りに引き付ける、請求項17に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項20】
前記少なくとも2つのリングノブは、約270°の弧を通して回転される、請求項19に記載の外科手術アクセスポート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−200600(P2012−200600A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62430(P2012−62430)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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