説明

回転器具

【課題】指先だけで容易に被回転体を回転せしめることができる回転器具を提供する。
【解決手段】回転器具1は、第1の長手部材2と、被回転体として棒状ブラシ6が配置される領域を挟んで第1の長手部材2と対向する第2の長手部材3と、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間に配置されると共に、第1の長手部材2の回動及び第2の長手部材3の回動に伴って棒状ブラシ6を回転せしめる第1のゴム4と、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間に配置されると共に、第1の長手部材2及び第2の長手部材3に取付けられた第2のゴム5とを備える。第1のゴム4は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして一方側に位置し、第2のゴム5は、第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして他方側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転器具に関する。詳しくは、例えば棒状のブラシを回転させて、瓶内部の洗浄を行なうことができる回転器具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば瓶の内部を洗浄する場合、ブラシなどを回転させて瓶の内壁に付着した汚れを擦り落とすことが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8に示すような洗浄ブラシが記載されている。即ち、特許文献1には、主ブラシ110及び副ブラシ116とを哺乳瓶150に挿入し、握り手114を主動軸として回転させ、この回転が従動軸である連結部材113に伝動されることにより、握り手114の回転につれて主ブラシ110及び副ブラシ116が回転して哺乳瓶150の内側を洗浄することができる旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3023663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄ブラシは、握り手を握って回転させるものであり、もっと簡単に指先だけでブラシなどを回転させることができる器具が望まれていた。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、指先だけで容易に被回転体を回転せしめることができる回転器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の回転器具は、被回転体が配置される平面に対して略垂直な第1の軸線を中心として正逆方向に回動可能な第1の長手部材と、前記第1の長手部材の回動の第1の軸線と略平行若しくは略同一の第2の軸線を中心として正逆方向に回動可能であると共に、被回転体が配置される領域を挟んで前記第1の長手部材と対向する第2の長手部材と、前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間に配置されると共に、前記第1の長手部材の回動及び前記第2の長手部材の回動に伴って被回転体を回転せしめる回転手段と、前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間に配置されると共に、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材に取付けられた弾性部材とを備える回転器具であって、前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間の領域のうち前記第1の軸線若しくは前記第2の軸線を境にして一方側に前記回転手段が位置し、前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間の領域のうち前記第1の軸線若しくは前記第2の軸線を境にして他方側に前記弾性部材が位置し、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材は、前記第1の軸線若しくは前記第2の軸線を境にして同じ側にある互いの端部間の距離が変動するよう回動する。
【0008】
ここで、第1の長手部材の回動の第1の軸線と第2の長手部材の回動の第2の軸線は略平行若しくは略同一であり、第2の長手部材は、被回転体が配置される領域を挟んで第1の長手部材と対向し、第1の長手部材と第2の長手部材との間に配置されると共に、第1の長手部材の回動及び第2の長手部材の回動に伴って被回転体を回転せしめる回転手段によって、指で第1の長手部材と第2の長手部材を挟むだけで被回転体を回転せしめることができる。
【0009】
また、本発明の回転器具は、回転手段で回転せしめられると共に、少なくとも一端に複数の突起部を有する棒状の被回転体を備えるものとすることができる。
【0010】
また、本発明の回転器具において、回転手段は、第1の長手部材及び第2の長手部材に取付けられると共に、被回転体に巻き付けられた第1のゴムであり、弾性部材は、第1の長手部材及び第2の長手部材に取付けられると共に、被回転体に巻き付けられた第2のゴムであるものとすることができる。
【0011】
この場合、第1の軸線若しくは第2の軸線を境にして、弾性部材である第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材及び第2の長手部材を指で挟んで第1の長手部材と第2の長手部材との間の距離を小さくすると、第1の軸線若しくは第2の軸線を境にして、回転手段である第1のゴムが取付けられた側の第1の長手部材と第2の長手部材との間の距離が大きくなり、それによって棒状の被回転体に巻き付けられた第1のゴムが引っ張られて被回転体を回転せしめる。
【0012】
この被回転体の回転によって、棒状の被回転体に巻き付けられた第2のゴムが被回転体にさらに巻き付き、付勢力がさらに第2のゴムに与えられる。そして、第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材及び第2の長手部材を挟んでいた指の挟む力を緩めると、第2のゴムが付勢力によって元に戻ろうとし、被回転体に巻き付いた第2のゴムが被回転体を回転せしめる。
【0013】
また、本発明の回転器具において、回転手段は、第1の長手部材及び第2の長手部材に取付けられると共に、被回転体に巻き付けられた第1のゴムであり、弾性部材は、第1の長手部材及び第2の長手部材に取付けられると共に、被回転体に巻き付き可能に取付けられた第2のゴムであり、第1の軸線を境にして第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材には、指を通すための第1の指用孔が設けられ、第2の軸線を境にして第2のゴムが取付けられた側の第2の長手部材には、指を通すための第2の指用孔が設けられたものとすることができる。
【0014】
この場合、第1の指用孔及び第2の指用孔に指を入れることができるので、指を開くことで、第1の長手部材の端部と第2の長手部材の端部が互いに離れる方向へも力を加えることができる。
【0015】
また、本発明の回転器具は、第1の長手部材及び第2の長手部材が回動可能に取付けられると共に貫通孔が設けられた回動支持体を備え、被回転体は貫通孔に挿通されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る回転器具は、指先だけで容易に被回転体を回転せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の回転器具の第1の実施態様を示す概略図である。
【図2】図1に示した回転器具が棒状ブラシを正方向に回転させる様子を示す概略図である。
【図3】図1に示した回転器具が棒状ブラシを逆方向に回転させる様子を示す概略図である。
【図4】本発明の回転器具の第2の実施態様を示す概略図である。
【図5】図4に示した回転器具が棒状ブラシを正方向に回転させる様子を示す概略図である。
【図6】本発明の回転器具の第3の実施態様を示す概略平面図である。
【図7】本発明の回転器具の第3の実施態様を示す概略正面図である。
【図8】従来の洗浄ブラシを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の回転器具の第1の実施態様を示す概略図である。
【0019】
図1において、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2と、被回転体が配置される領域を挟んで第1の長手部材2と対向する第2の長手部材3とを備える。
【0020】
また、第1の長手部材2及び第2の長手部材3それぞれの両端部は、被回転体が配置される領域とは反対側に向かって湾曲している。その結果、第1の長手部材2及び第2の長手部材3それぞれの略中央部は湾曲部となっている。
【0021】
また、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2及び第2の長手部材3が回動可能に取付けられると共に貫通孔が設けられた回動支持体11を備える。
【0022】
ここで、第1の長手部材2は、湾曲した略中央部において、被回転体が配置される平面に対して略垂直な第1の軸線9を中心として正逆方向に回動可能に回動支持体11に取付けられる。
また、第2の長手部材3は、湾曲した略中央部において、第1の長手部材2の回動の第1の軸線9と略平行な第2の軸線10を中心として正逆方向に回動可能に回動支持体11に取付けられる。
【0023】
また、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2と第2の長手部材3とに挟まれる領域に、被回転体である棒状ブラシ6を備える。また、棒状ブラシ6は、一端に複数のブラシ毛(突起部の一例である。)7を有する。
また、棒状ブラシ6は、回動支持体11の貫通孔に挿通されている。
【0024】
また、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして一方側に位置する棒状ブラシ6の棒状部の外周面には、第1のフック部6A及び第2のフック部6Bが取付けられている。
【0025】
ここで、第1のフック部6A及び第2のフック部6Bはそれぞれ、互いに180°異なる方向に位置する2つの端部が回動支持体11に向けて湾曲した構成となっている。
また、第1のフック部6Aの端部と第2のフック部6Bの端部は、互いに90°異なる方向に位置する(即ち、直交する2つの平面内に位置する)。
【0026】
また、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして他方側に位置する棒状ブラシ6の棒状部の外周面にも、第3のフック部6C及び第4のフック部6Dが取付けられている。
【0027】
ここで、第3のフック部6Cと第4のフック部6Dはそれぞれ、互いに180°異なる方向に位置する2つの端部が回動支持体11に向けて湾曲した構成となっている。
また、第3のフック部6Cの端部と第4のフック部6Dの端部は、互いに90°異なる方向に位置する。
【0028】
また、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間に配置されると共に、第1の長手部材2の回動及び第2の長手部材3の回動に伴って棒状ブラシ6を回転せしめる第1のゴム(回転手段の一例である。)4を備える。
【0029】
また、第1のゴム4は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして一方側に位置する。
【0030】
ここで、第1のゴム4は、第1の長手部材2の一端及び第2の長手部材3の一端に取付けられると共に第1のフック部6Aに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられた第1の輪ゴム4Aと、第1の長手部材2の一端に取付けられると共に第2のフック部6Bに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられた第2の輪ゴム4Bと、第2の長手部材3の一端に取付けられると共に第2のフック部6Bに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられた第3の輪ゴム4Cからなる。
【0031】
また、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間に配置されると共に、第1の長手部材2及び第2の長手部材3に取付けられた第2のゴム(弾性部材の一例である。)5を備える。
【0032】
また、第2のゴム5は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして他方側に位置する。
【0033】
ここで、第2のゴム5は、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端に取付けられると共に第4のフック部6Dに引っ掛けられて棒状ブラシ6の端部に巻き付けられた第4の輪ゴム5Aと、第1の長手部材2の他端に取付けられると共に第3のフック部6Cに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられた第5の輪ゴム5Bと、第2の長手部材3の他端に取付けられると共に第3のフック部6Cに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられた第6の輪ゴム5Cからなる。
【0034】
また、図1において、第1のゴム4と第2のゴム5は、互いに巻回方向は異なるが、巻回数は同じである。
【0035】
図2は、図1に示した回転器具が棒状ブラシを正方向に回転させる様子を示す概略図である。
また、図3は、図1に示した回転器具が棒状ブラシを逆方向に回転させる様子を示す概略図である。
【0036】
図2に示すように、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を指で挟むと、第1の長手部材2が第1の軸線9を中心として回動し、また、第2の長手部材3が第2の軸線10を中心として回動し、第1の長手部材2の他端と第2の長手部材3の他端との間の距離が小さくなる。
【0037】
それと同時に、第1の長手部材2の一端と第2の長手部材3の一端との間の距離が大きくなり、それによって棒状ブラシ6に巻き付けられた第1のゴム4(第1の輪ゴム4Aと、第2の輪ゴム4Bと、第3の輪ゴム4C)が引っ張られて、棒状ブラシ6を正方向12に回転せしめる。
【0038】
このとき、棒状ブラシ6の正方向12への回転によって、棒状ブラシ6に巻き付けられた第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5Bと、第6の輪ゴム5C)が棒状ブラシ6にさらに巻き付き、付勢力がさらに第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5Bと、第6の輪ゴム5C)に付与される。
【0039】
そして、図3に示すように、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を挟んでいた指の挟む力を緩めると、棒状ブラシ6に巻き付いた第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5Bと、第6の輪ゴム5C)が付勢力によって元に戻ろうとし、棒状ブラシ6に巻き付いた第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5Bと、第6の輪ゴム5C)が、棒状ブラシ6を逆方向13に回転せしめる。
【0040】
このとき、棒状ブラシ6の逆方向13への回転によって、第1のゴム4(第1の輪ゴム4Aと、第2の輪ゴム4Bと、第3の輪ゴム4C)が再度、棒状ブラシ6に巻き付き、図1に示すような状態に戻る。
【0041】
以後、同じように図2に示すように再度、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を指で挟んだり、図3に示すように第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を挟んでいた指の挟む力を緩めたりして、繰り返し棒状ブラシ6を正逆方向に回転させることができる。
【0042】
図4は、本発明の回転器具の第2の実施態様を示す概略図である。
また、図5は、図4に示した回転器具が棒状ブラシを正方向に回転させる様子を示す概略図である。
【0043】
図4に示すように、本発明の第2の実施態様の回転器具1において、第1の軸線9を境にして第2のゴム5が取付けられた側の第1の長手部材2には、指を通すための第1の指用孔2Bが設けられており、第2の軸線10を境にして第2のゴム5が取付けられた側の第2の長手部材3には、指を通すための第2の指用孔3Bが設けられている。
【0044】
また、第1の長手部材2の第1の指用孔2Bの近くには、第2の長手部材3に向けて突出した第1の突起部2Cが設けられている。
また、第2の長手部材3の第2の指用孔3Bの近くには、第1の長手部材2に向けて突出した第2の突起部3Cが設けられている。
【0045】
また、第1の実施態様と同様に棒状ブラシ6の棒状部の外周面には、第1のフック部6A、第2のフック部6B、第3のフック部6C、及び、第4のフック部6Dが取付けられているが、第2の実施態様では、これらフック部の端部は全て同じ方向(同一平面内)に位置している。
【0046】
また、第1のゴム4は、第1の輪ゴム4Aと、第2の輪ゴム4Bからなる。
第1の輪ゴム4Aは、第1の長手部材2の一端及び第2の長手部材3の一端に取付けられると共に、第1のフック部6Aに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられている。
第2の輪ゴム4Bは、第1の長手部材2の一端と第1の軸線9との間の略中間地点及び第2の長手部材3の一端と第2の軸線10との間の略中間地点に取付けられると共に、第2のフック部6Bに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付けられている。
【0047】
また、第2のゴム5は、第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5Bからなる。
ここで、第4の輪ゴム5Aは、第1の長手部材2の内側即ち棒状ブラシ6に近い側に取付けられた第7のフック部6G及び第2の長手部材3の内側即ち棒状ブラシ6に近い側に取付けられた第8のフック部6Hに取付けられると共に、第4のフック部6Dに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付き可能に取付けられている。
【0048】
また、第5の輪ゴム5Bは、第1の長手部材2の内側に取付けられた第5のフック部6E及び第2の長手部材3の内側に取付けられた第6のフック部6Fに取付けられると共に、第3のフック部6Cに引っ掛けられて棒状ブラシ6に巻き付き可能に取付けられている。
【0049】
その他の点は、第1の実施態様と同じである。
【0050】
図5に示すように、第1の指用孔2Bと第2の指用孔3Bに指を通して、第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5B)が取付けられた側の第1の長手部材2と第2の長手部材3を互いに近づけるように動かすと、第1の長手部材2が第1の軸線9を中心として回動し、また、第2の長手部材3が第2の軸線10を中心として回動し、第1の長手部材2の他端(第2のゴム5が取付けられた側)と第2の長手部材3の他端(第2のゴム5が取付けられた側)との間の距離が小さくなる。
【0051】
また、第1の突起部2Cと第2の突起部3Cが設けられているので、第1の長手部材2の他端と第2の長手部材3の他端との間の距離が最小になっても一定の距離が保たれる。
【0052】
それと同時に、第1の長手部材2の一端と第2の長手部材3の一端との間の距離が大きくなり、それによって棒状ブラシ6に巻き付けられた第1のゴム4(第1の輪ゴム4Aと、第2の輪ゴム4B)が引っ張られて、棒状ブラシ6を正方向12に回転せしめる。
【0053】
このとき、棒状ブラシ6の正方向12への回転によって、棒状ブラシ6に巻き付き可能に取付けられた第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5B)が棒状ブラシ6に巻き付き、付勢力が第2のゴム5に付与される。
即ち、第2のゴム5は、第1のゴム4とは異なる巻回方向で棒状ブラシ6に巻き付けられる。
【0054】
そして、第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5B)が取付けられた側の第1の長手部材2と第2の長手部材3を互いに近づける指の力を緩めると同時に、第1の指用孔2Bと第2の指用孔3Bに通した指を開くことによって第1の長手部材2と第2の長手部材3に対して力を加えると、棒状ブラシ6に巻き付いた第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5B)が、付勢力と指の開く方向の力とによって元に戻ろうとし、棒状ブラシ6に巻き付いた第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5B)が、棒状ブラシ6を逆方向に回転せしめる。
【0055】
そして、棒状ブラシ6の逆方向への回転によって、第1のゴム4(第1の輪ゴム4Aと、第2の輪ゴム4B)が再度、棒状ブラシ6に巻き付き、図4に示すような状態に戻る。
【0056】
このとき、第1の長手部材2の他端と第2の長手部材3の他端との間の距離が大きくなる。また、第1の指用孔2Bと第2の指用孔3Bに指を通しているので、指を開くことで、第2のゴム5(第4の輪ゴム5Aと、第5の輪ゴム5B)が取付けられた側の第1の長手部材2と第2の長手部材3を互いに遠ざける力も加えることができる。
【0057】
図6は、本発明の回転器具の第3の実施態様を示す概略平面図である。
また、図7は、本発明の回転器具の第3の実施態様を示す概略正面図である。
図6において、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2と、被回転体である棒状ブラシ6が配置される領域を挟んで第1の長手部材2と対向する第2の長手部材3とを備える。
【0058】
また、第1の長手部材2と第2の長手部材3は立体交差しており、その交点において交差結合部14によって回動可能に結合している。
そして、この交点が、第1の長手部材2の第1の軸線9であり、第2の長手部材3の第2の軸線10でもある。
【0059】
また、図6に示すように、第1の長手部材2の一端と第2の長手部材3の一端は互いに対向していると共に、平板状の扇形状を有している。
また、本発明の回転器具1は、扇形状の第1の長手部材2の一端及び扇形状の第2の長手部材3の一端を囲むように配置された外側枠体19を備える。
【0060】
また、図7に示すように、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2の扇形状の一端と第2の長手部材3の扇形状の一端との間に配置された歯車(回転手段の一例である。)16を備えており、また、図6からも明らかなように、歯車16は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9(若しくは第2の軸線10)を境にして一方側に位置する。
【0061】
また、歯車16の略中心部には、棒状ブラシ6が挿通される貫通孔16Aが設けられている。また、貫通孔16Aの内径は、棒状ブラシ6の棒状部の外径と略同じであるため、歯車16の回転に伴い棒状ブラシ6も回転する。
【0062】
また、第3の実施態様において、棒状ブラシ6の棒状部の外周面には、第1の実施態様や第2の実施態様のようなフック部は設けられていない。
なお、図7において、棒状ブラシは省略する。
【0063】
また、図6に示すように、第1の長手部材2の扇形状の一端と第2の長手部材3の扇形状の一端は、交差結合部14の第1の軸線9(若しくは第2の軸線10)を境にして一方側に位置し、第1の長手部材2の他端と第2の長手部材3の他端は、交差結合部14の第1の軸線9(若しくは第2の軸線10)を境にして他方側に位置する。
【0064】
また、外側枠体19で囲まれた空間を横方向(幅方向)に貫く横方向支持バー20と、外側枠体19で囲まれた空間を縦方向(高さ方向)に貫く縦方向支持バー21が、それぞれその両端において外側枠体19に固着されている。
なお、図6において、縦方向支持バー21の端部が固着された外側枠体は省略する。
【0065】
また、横方向支持バー20と縦方向支持バー21の交点には、棒状ブラシ6が挿通される貫通孔(図示せず。)が設けられており、この貫通孔は、歯車16の貫通孔16Aと略同じ軸線上に位置し、貫通孔16Aの内径よりも少し大きい内径を有する。
【0066】
また、図6に示すように、第1の長手部材2の扇形状の一端と、第2の長手部材3の扇形状の一端にはそれぞれ、縦方向支持バー21が通される第1の貫通孔2A及び第2の貫通孔3Aが設けられている。
【0067】
また、図7に示すように、第1の長手部材2の扇形状の一端の歯車16と接する面には、歯車16の歯と噛み合う第1の凹凸部17が設けられ、第2の長手部材3の扇形状の一端の歯車16と接する面には、歯車16の歯と噛み合う第2の凹凸部18が設けられている。
【0068】
また、本発明の回転器具1は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間に配置されると共に、第1の長手部材2及び第2の長手部材3に取付けられた板バネ(弾性部材の一例である。)15を備える。
【0069】
また、板バネ15は、第1の長手部材2と第2の長手部材3との間の領域のうち第1の軸線9若しくは第2の軸線10を境にして他方側に位置する。
【0070】
そして、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を指で挟むと、第1の長手部材2及び第2の長手部材3が交差結合部14の第1の軸線9(若しくは第2の軸線10)を中心として回動し、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端は、他端の第1の移動方向22Aに移動し、第1の長手部材2の他端と第2の長手部材3の他端との間の距離は小さくなる。
このとき、板バネ15は圧縮され、元に戻ろうとする力(付勢力)が板バネ15に付与される。
【0071】
それと同時に、第1の長手部材2の一端及び第2の長手部材3の一端が、一端の第1の移動方向22に移動する。
すると、歯車16の歯と、第1の長手部材2の一端に設けられた第1の凹凸部17及び第2の長手部材3の一端に設けられた第2の凹凸部18が噛み合って、歯車16が第1の回転方向24に回転し、棒状ブラシ6を同じく第1の回転方向24に回転させる。
【0072】
また、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を挟んでいた指の挟む力を緩めると、圧縮されていた板バネ15の付勢力によって、第1の長手部材2及び第2の長手部材3が交差結合部14の第1の軸線9(若しくは第2の軸線10)を中心として回動し、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端は、他端の第2の移動方向23Aに移動し、第1の長手部材2の他端と第2の長手部材3の他端との間の距離は大きくなる。
【0073】
それと同時に、第1の長手部材2の一端及び第2の長手部材3の一端が、一端の第2の移動方向23に移動する。
すると、歯車16の歯と、第1の長手部材2の一端に設けられた第1の凹凸部17及び第2の長手部材3の一端に設けられた第2の凹凸部18が噛み合って、歯車16が第2の回転方向(第1の回転方向とは逆の方向)25に回転し、棒状ブラシ6を同じく第2の回転方向25に回転させる。
【0074】
以後、同じように、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を指で挟んだり、第1の長手部材2の他端及び第2の長手部材3の他端付近を挟んでいた指の挟む力を緩めたりして、棒状ブラシ6を第1の回転方向及び第2の回転方向に回転させることができる。
【0075】
以上の例では、被回転体として棒状ブラシを例に挙げて説明したが、必ずしも棒状ブラシでなくてもよく、例えば、被回転体として竹とんぼを用い、本発明の回転器具を玩具として利用することもできる。
【0076】
以上のように、本発明の回転器具は、第1の長手部材の回動の第1の軸線と第2の長手部材の回動の第2の軸線は略平行若しくは略同一であり、第2の長手部材は、被回転体が配置される領域を挟んで第1の長手部材と対向し、第1の長手部材と第2の長手部材との間に配置されると共に、第1の長手部材の回動及び第2の長手部材の回動に伴って被回転体(棒状ブラシなど)を回転せしめる回転手段(歯車や第1のゴムなど)によって、指で第1の長手部材と第2の長手部材を挟むだけで被回転体を回転せしめることができる。
【0077】
従って、本発明の回転器具は、指先だけで容易に被回転体を回転せしめることができる。
【0078】
また、回転手段である第1のゴムは、第1の長手部材と第2の長手部材との間の領域のうち第1の軸線若しくは第2の軸線を境にして一方側に位置し、弾性部材である第2のゴムは、第1の長手部材と第2の長手部材との間の領域のうち第1の軸線若しくは第2の軸線を境にして他方側に位置しているので、第1の軸線若しくは第2の軸線を境にして、第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材及び第2の長手部材を指で挟んで第1の長手部材と第2の長手部材との間の距離を小さくすると、第1の軸線若しくは第2の軸線を境にして、第1のゴムが取付けられた側の第1の長手部材と第2の長手部材との間の距離が大きくなり、それによって棒状ブラシに巻き付けられた第1のゴムが引っ張られて棒状ブラシを回転せしめる。
【0079】
この棒状ブラシの回転によって、棒状ブラシに巻き付けられた第2のゴムが棒状ブラシにさらに巻き付き、付勢力がさらに第2のゴムに与えられる。そして、第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材及び第2の長手部材を挟んでいた指の挟む力を緩めると、第2のゴムが付勢力によって元に戻ろうとし、棒状ブラシに巻き付いた第2のゴムが棒状ブラシを回転せしめる。
【0080】
後は、繰り返し、第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材及び第2の長手部材を指で挟んだり緩めたりするだけで、棒状ブラシを回転させ続けることができる。
【0081】
また、第1の指用孔や第2の指用孔が設けられた本発明の第2の実施態様の回転器具は、第1の指用孔及び第2の指用孔に指を入れることができるので、指を開くことで、さらに、第1の長手部材の端部と第2の長手部材の端部が互いに離れる方向へも力を加えることができる。
【0082】
また、歯車や板バネを備えた本発明の第3の実施態様の回転器具も同様に、板バネが取付けられた側の第1の長手部材及び第2の長手部材を指で挟んだり緩めたりするだけで、歯車が第1の回転方向や第2の回転方向に回転し、棒状ブラシを回転させ続けることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 回転器具
2 第1の長手部材
2A 第1の貫通孔
2B 第1の指用孔
2C 第1の突起部
3 第2の長手部材
3A 第2の貫通孔
3B 第2の指用孔
3C 第2の突起部
4 第1のゴム
4A 第1の輪ゴム
4B 第2の輪ゴム
4C 第3の輪ゴム
5 第2のゴム
5A 第4の輪ゴム
5B 第5の輪ゴム
5C 第6の輪ゴム
6 棒状ブラシ
6A 第1のフック部
6B 第2のフック部
6C 第3のフック部
6D 第4のフック部
6E 第5のフック部
6F 第6のフック部
6G 第7のフック部
6H 第8のフック部
7 ブラシ毛
9 第1の軸線
10 第2の軸線
11 回動支持体
12 正方向
13 逆方向
14 交差結合部
15 板バネ
16 歯車
16A 貫通孔
17 第1の凹凸部
18 第2の凹凸部
19 外側枠体
20 横方向支持バー
21 縦方向支持バー
22 一端の第1の移動方向
22A 他端の第1の移動方向
23 一端の第2の移動方向
23A 他端の第2の移動方向
24 第1の回転方向
25 第2の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被回転体が配置される平面に対して略垂直な第1の軸線を中心として正逆方向に回動可能な第1の長手部材と、
前記第1の長手部材の回動の第1の軸線と略平行若しくは略同一の第2の軸線を中心として正逆方向に回動可能であると共に、被回転体が配置される領域を挟んで前記第1の長手部材と対向する第2の長手部材と、
前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間に配置されると共に、前記第1の長手部材の回動及び前記第2の長手部材の回動に伴って被回転体を回転せしめる回転手段と、
前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間に配置されると共に、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材に取付けられた弾性部材とを備える回転器具であって、
前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間の領域のうち前記第1の軸線若しくは前記第2の軸線を境にして一方側に前記回転手段が位置し、
前記第1の長手部材と前記第2の長手部材との間の領域のうち前記第1の軸線若しくは前記第2の軸線を境にして他方側に前記弾性部材が位置し、
前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材は、前記第1の軸線若しくは前記第2の軸線を境にして同じ側にある互いの端部間の距離が変動するよう回動する
回転器具。
【請求項2】
前記回転手段で回転せしめられると共に、少なくとも一端に複数の突起部を有する棒状の被回転体を備える
請求項1に記載の回転器具。
【請求項3】
前記回転手段は、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材に取付けられると共に、前記被回転体に巻き付けられた第1のゴムであり、
前記弾性部材は、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材に取付けられると共に、前記被回転体に巻き付けられた第2のゴムである
請求項2に記載の回転器具。
【請求項4】
前記回転手段は、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材に取付けられると共に、前記被回転体に巻き付けられた第1のゴムであり、
前記弾性部材は、前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材に取付けられると共に、前記被回転体に巻き付き可能に取付けられた第2のゴムであり、
前記第1の軸線を境にして第2のゴムが取付けられた側の第1の長手部材には、指を通すための第1の指用孔が設けられ、
前記第2の軸線を境にして第2のゴムが取付けられた側の第2の長手部材には、指を通すための第2の指用孔が設けられた
請求項2に記載の回転器具。
【請求項5】
前記第1の長手部材及び前記第2の長手部材が回動可能に取付けられると共に貫通孔が設けられた回動支持体を備え、
前記被回転体は該貫通孔に挿通された
請求項2、請求項3、または請求項4に記載の回転器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200322(P2012−200322A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65544(P2011−65544)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【特許番号】特許第4920791号(P4920791)
【特許公報発行日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(503410786)