説明

回転型電気部品

【課題】 ばね部材を使用せずに、簡単な構造で、操作軸のガタを抑えることのできる回転型電気部品を提供する。
【解決手段】 一端側に筒状の軸受け部1bを有し他端側に収納部1c、10aを有するハウジング1、10と、先端側が軸受け部1bから突出すると共に軸受け部1bに回転可能に保持された回転軸2と、収納部1c、10a内に設けられ回転軸2の回転を検出する回転検出手段とを備え、回転軸2は、軸受け部1bに挿通される主軸部3と、軸受け部1bの先端側の外周面を覆うように主軸部3と一体的に形成され、外装つまみ5を装着可能なつまみ取付け部4からなるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型電気部品の構造に係り、特に回転軸の先端に別体の外装つまみを取付けて電子機器などの操作パネルに使用される回転型電気部品の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転型電気部品の構造としては、操作軸のがたつきを抑えるために、枠体の外方に、挿通孔から突出される操作軸の一端部を押圧し、常時、操作軸の操作部をケ−スから突出する方向へ付勢するばね部材を取付けるようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来の回転型電気部品の構造を図に基づいて説明する。
図12は従来の回転型電気部品を示す断面図、図13は板ばねを示す正面図である。
【0004】
図において、ケース31は、合成樹脂などの絶縁材、あるいは金属材のダイキャストなどにより下面が開口された箱状に形成されている。このケース31の上面側には、後述する操作軸32が挿通される軸孔31aを有し、操作部32aの先端が外方へ突出される円筒状の軸受け部31bが一体的に突出されて形成されている。また、前記軸受け部31bに連設して下面側の開口内に後述する回転板33等を収納する収納部31cが形成されたものとなっている。
【0005】
操作軸32は、合成樹脂などの絶縁材、あるいは金属材のダイキャストなどで略円柱状に形成されており、この操作軸32の先端側は、前記軸受け部31bの軸孔31aから突出されて図示しない操作つまみが取り付けられる操作部32aとなっている。また、前記操作軸32の中間部には、前記操作部32aより太径でかつ小判状からなる回転駆動部32bが設けられ、この回転駆動部32bが後述する回転板33と係合されることで、前記操作軸32の回転に伴って回転板33が回転動作されるものとなっている。また、前記操作部32aの他端側には、回転板33の軸挿入部33bに挿入される第1の支軸部32cが設けられ、この第1の支軸部32cの先端には、後述する枠体39の挿通孔39aに挿通される第2の支軸部32dが設けられている。
【0006】
回転板33は、合成樹脂などの絶縁材で略円盤状に形成されており、この回転板33の中央には、前記操作軸32の回転駆動部32bが挿入され係合される軸係止部33aが形成されている。また、この軸係止部33aに連続して軸挿入部33bが形成され、この軸挿入部33bに前記操作軸32の第1の支軸部32cが挿入されるものとなっている。また、前記回転板33の上面側には、複数の凹凸部からなる環状のカム山部33cが設けられており、また、前記ケース31の前記収納部31cの天井面側にはこのカム山部33cに対向してばね性を有するクリック板34が設けられている。
【0007】
また、前記回転板33の下面側には、導電性の金属材で回路パターン(図示せず)が形成された導体板35が取り付けられており、また、前記ケース31の前記収納部31cの開口側にはこの導体板35に対向した位置に、回路パターンと接離される摺動片36が配設されたウエハー37が配設されたものとなっており、このウエハー37には接続端子38が設けられている。
【0008】
枠体39は、略矩形状に形成されており、この枠体39の中央には、挿通孔39aが設けられ、この挿通孔39aに前記操作軸32の他端側に設けられた第2の支軸部32dが挿通され突出するように配設されている。また、前記枠体39の四角部には、折曲片39bが設けられており、この折曲片39bを屈曲することにより、枠体39の下側に後述する板ばね40を重ね合わせて取り付けるものとなっている。
【0009】
板ばね40は、ばね性を有する金属材で形成され、この板ばね40の中央が湾曲されて湾曲部40aが形成されている。この板ばね40は、前記枠体39の下面側に、前記枠体39に設けられた前記挿通孔39aを塞ぐとともに、前記枠体39に重ね合わされて固着されており、前記枠体39とともに前記ケース31の開口した前記収納部31cの下面側に一体的に取り付けられるものとなっている。また、前記湾曲部40aが、前記挿通孔39aから突出される前記操作軸32の第2の支軸部32dの先端を押圧し、常時、前記操作軸32の操作部32aを前記ケース31の軸受け部31bから突出する方向へ付勢している。
そして、前記操作軸32にがたつきが発生してしまう場合においても、前記板ばね40の付勢力によって操作軸32のがたつきを防止できるものとなっている。
【0010】
【特許文献1】特開2002−15641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の回転型電気部品においては、枠体の外方に、常時、操作軸の操作部をケースから突出する方向へ付勢するばね部材を必要とするため、構造が複雑となり、生産性が良くないという問題があった。
【0012】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、ばね部材を使用せずに、簡単な構造で、操作軸のガタを抑えることのできる回転型電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、一端側に筒状の軸受け部を有し他端側に収納部を有するハウジングと、先端側が前記軸受け部から突出すると共に前記軸受け部に回転可能に保持された回転軸と、前記収納部内に設けられ前記回転軸の回転を検出する回転検出手段とを備え、前記回転軸は、前記軸受け部に挿通される主軸部と、前記軸受け部の先端側の外周面を覆うように前記主軸部と一体的に形成され、外装つまみを装着可能なつまみ取付け部からなる構成とした。
【0014】
また、第2の解決手段として、前記回転軸は、前記主軸部を金属材で形成すると共に、前記つまみ取付け部を前記主軸部とは異なる材料で形成し、前記金属材からなる前記主軸部先端を前記つまみ取付け部から露出させた状態で一体的に形成した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記主軸部の一端側には、非円形部を設け、この非円形部により前記主軸部と前記つまみ取付け部を一体的に係合させた構成とした。
また、第4の解決手段として、前記つまみ取付け部を合成樹脂材により形成した構成とした。
また、第5の解決手段として、前記つまみ取付け部を金属材のダイキャストにより形成した構成とした。
【0015】
また、第6の解決手段として、前記つまみ取付け部の外周に、前記外装つまみと嵌合する凹凸部あるいは切り欠き部を形成した構成とした。
また、第7の解決手段として、前記回転軸は、前記軸受け部に回転軸線方向にスライド移動可能とされ、前記ハウジングの収納部には、前記回転軸を押圧操作した時に動作する押圧スイッチを設けた構成とした。
また、第8の解決手段として、前記回転検出手段は、導電パターンと該導電パターンと摺接する摺動子からなる構成とした。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明の回転型電気部品は、一端側に筒状の軸受け部を有し他端側に収納部を有するハウジングと、先端側が軸受け部から突出すると共に軸受け部に回転可能に保持された回転軸と、収納部内に設けられ回転軸の回転を検出する回転検出手段とを備え、回転軸は、軸受け部に挿通される主軸部と、軸受け部の先端側の外周面を覆うように主軸部と一体的に形成され、外装つまみを装着可能なつまみ取付け部からなることから、外装つまみは軸受け部の外周に位置するつまみ取付け部に取付けられるので、外装つまみを軸受け部に当接することなく取付けることができ、軸受け部を長く形成することにより回転軸の主軸部の先端近くまでガイドできるため、回転軸の形状により軸ガタを小さくすることができ、簡単な構造で回転軸の軸ガタを抑えることができる。
【0017】
また、回転軸は、主軸部を金属材で形成すると共に、つまみ取付け部を主軸部とは異なる材料で形成し、金属材からなる主軸部先端をつまみ取付け部から露出させた状態で一体的に形成したことから、主軸部とつまみ取付け部との係合位置を精度良く合わせることができ、主軸部とつまみ取付け部の偏心を抑えることができる。
また、主軸部の一端側には、非円形部を設け、非円形部により主軸部とつまみ取付け部を一体的に係合させたことから、主軸部とつまみ取付け部とを確実に係合できるので、外装つまみの回転操作をつまみ取付け部を介して確実に回転軸に伝えることができる。
【0018】
また、つまみ取付け部を合成樹脂材により形成したことから、外装つまみは一般に合成樹脂材で形成されており、つまみ取付け部を外装つまみと同じ合成樹脂材(例えばABS樹脂)にすることができるので、つまみ取付け部と外装つまみとの熱膨張係数が近くなり、外装つまみあるいはつまみ取付け部に熱によるストレスが加わりにくく、クラックや割れの発生を抑制できる。
また、つまみ取付け部を金属材のダイキャストにより形成したことから、つまみ取付け部が金属材からなるので、薄肉部や切り欠き部が設けられていても、強度を保つことができる。
【0019】
また、つまみ取付け部の外周に、外装つまみと嵌合する凹凸部あるいは切り欠き部を形成したことから、外装つまみのつまみ取付け部への嵌合を確実なものとすることができる。
また、回転軸は、軸受け部に回転軸線方向にスライド移動可能とされ、ハウジングの収納部には、回転軸を押圧操作した時に動作する押圧スイッチを設けたことから、回転軸の下方に押圧スイッチを設けることにより回転軸の回転軸線方向の押圧操作を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の回転型電気部品の実施形態を図1乃至図11に示す。図1は本発明の回転型電気部品の平面図、図2は本発明の回転型電気部品の正面図、図3は本発明の回転型電気部品に外装つまみを取付けた状態の断面図、図4は回転軸の正面図、図5は回転軸の断面図、図6は回転軸の主軸部の平面図、図7は回転軸の主軸部の正面図、図8は本発明の回転型電気部品の他の実施例を示す平面図、図9は本発明の回転型電気部品の他の実施例を示す正面図、図10は同じく回転軸の正面図、図11は同じく回転軸の断面図である。
【0021】
図1〜図7において、上ケース1は、合成樹脂等の絶縁材、あるいは金属材のダイキャストなどにより下端側が開口された箱状に形成されている。この上ケース1の上端側には、後述する回転軸2が挿通される軸孔1aを有し、主軸部3の先端が外方へ突出される円筒状の軸受け部1bが一体的に突出されて形成されている。また、前記軸受け部1bに連設して下端側の開口内に後述する回転部材7等を収納する収納部1cが形成されている。
【0022】
回転軸2は、アルミニューム等の金属材を略円柱状に切削加工により形成した主軸部3と、合成樹脂製の絶縁材からなり、この主軸部3の先端に一体的に取付けられたつまみ取付け部4とで形成されている。尚、本実施例では、つまみ取付け部4は中空部4aを有する筒状に形成されている。また、前記主軸部3とつまみ取付け部4とは、インサート成形等の方法で一体成形されて形成されている。前記回転軸2は、主軸部3が前記上ケース1の軸受け部1bに回転可能に軸支され、その先端側が前記軸孔1aから突出されてつまみ取付け部4と係合されており、このつまみ取付け部4に電子機器などの操作パネルから露出する外装つまみ5が装着されるものとなっている。尚、軸受け部1bによる主軸部3の軸支部は、軸受け部1bの先端側に設定されており、この軸支部は外装つまみ5の内側に位置している。
【0023】
この場合、前記つまみ取付け部4を前記外装つまみ5と同種の合成樹脂材、例えばABS樹脂材等で形成するようにすれば、つまみ取付け部4と外装つまみ5との熱膨張係数が同等になるので、外装つまみ5あるいはつまみ取付け部4に熱による変形時のストレスが加わりにくく、クラックや割れの発生を防止できるものとなる。
【0024】
また、前記主軸部3の一端側(先端側)には、平面視D字形状の非円形部となるDカット部3aが形成されている。このDカット部3aで前記つまみ取付け部4とインサート成形等の成形加工により一体的に係合されている。このため、前記主軸部3とつまみ取付け部4とを確実に係合できるので、前記外装つまみ5の回転操作をつまみ取付け部4を介して確実に回転軸2(主軸部3)に伝えることができるものとなっている。
【0025】
また、この時、前記回転軸2は、金属製の主軸部3の先端3bを前記つまみ取付け部4の軸心部中央の孔4bに露出させた状態で一体的に形成するようにしており、このため、つまみ取付け部4を主軸部3に成形加工(インサート成形)する場合、前記孔4bを介して主軸部3を成形金型内で確実に位置決めできるので、主軸部3とつまみ取付け部4との係合位置を精度良く合わせることができ、主軸部3とつまみ取付け部4の偏心を抑えることができるものとなっている。
【0026】
また、前記回転軸2は、主軸部3が前記上ケース1の軸受け部1bに軸支された際には、筒状のつまみ取付け部4が前記軸受け部1bの前記軸支部を含む先端側の外周面を覆うように形成されており、この時、つまみ取付け部4の中空部4aに前記軸受け部1bの先端側が挿入された状態で軸支されるものとなっている。したがって、前記軸受け部1bを長く形成することができ、また、前記外装つまみ5が軸受け部1bに当接することなく、軸受け部1bとオーバーラップしており、回転軸2の主軸部3の先端近くまで軸受け部1bで回転軸2をガイドすることができるものとなる。
【0027】
また、前記つまみ取付け部4の外周面には、前記外装つまみ5と嵌合する凹凸部4cが形成されている。この凹凸部4cを設けることにより前記回転軸2と前記外装つまみ5との嵌合を確実に行なうことができるものとなっている。
【0028】
また、前記主軸部3の他端側(下端側)には、主軸部3よりも細径でかつ小判状からなる回転駆動部3cが設けられている。この回転駆動部3cが、後述する駆動部材6と係合されるものとなっており、前記回転軸2の回転に伴って駆動部材6を介して後述する回転部材7が回転動作されるものとなっている。
【0029】
駆動部材6は、合成樹脂等の絶縁材からなり、基部6aと一対のガイド突部6bを有している。この駆動部材6は、前記上ケース1の下端側に形成された収納部1c内に収納されると共に、前記基部6aが軸受け部1bの軸孔1aに挿通された前記主軸部3の下端側に形成された前記回転駆動部3cに係合され、前記回転軸2の回転動作に伴って回転するものとなっている。また、この時、前記一対のガイド突部6bが後述する回転部材7に係合されており、回転部材7が駆動部材6の回転に伴って回転するものとなっている。
【0030】
回転部材7は、合成樹脂等の絶縁材からなり、中央に上下に貫通する貫通孔を有し、円盤状の基盤部7aと、この基盤部7aの上方へ突出した筒状部7bとを有している。また、筒状部7bの内壁には、上下方向に沿って一対のガイド溝7cが設けられており、このガイド溝7cに前記駆動部材6の一対のガイド突部6bが係合されるものとなっている。この回転部材7は、前記上ケース1の下端側に形成された収納部1c内に回転可能に収納されている。
【0031】
この場合、前記駆動部材6と回転部材7とは、前記ガイド突部6bとガイド溝7cとによりスプライン結合されており、前記駆動部材6は回転部材7に対して上下方向(回転軸2の軸方向)には独自に移動可能とされ、回転軸2が回転する際には、回転軸2の回転に伴って共回りして回転部材7を回転させるものとなっている。すなわち、前記回転軸2は、前記軸受け部1bに上下動可能、かつ、回転可能に軸支されたものとなっている。
【0032】
また、前記回転部材7の基盤部7aの上面側には、複数の凹凸部からなる環状のカム山部(図示せず)が設けられており、また、前記上ケース1の収納部1cの天井面側にはこのカム山部に対向してばね性を有するクリック板8が設けられている。前記カム山部とクリック板8を設けることにより、前記回転軸2の回転動作時に良好な操作感触(クリック感触)が得られるものとなる。
【0033】
また、前記回転部材7の基盤部7aの下面側には、導電性の金属板からなる導電パターン9がインサート成形等の方法で一体的に埋設されて配設されている。この導電パターン9に、後述する下ケース10に配設された図示しない摺動子が摺接されることで前記回転軸2の回転を検出するものとなっている。
【0034】
下ケース10は、合成樹脂等の絶縁材からなり、上面が開口された箱状に形成され凹状の収納部10aを有している。また、この収納部10aの中央には、更に凹状の窪み部10bが設けられている。この窪み部10bを挟んで前記収納部10aの対向する位置には、導電性の薄板金属板からなる一対の摺動子(図示せず)が設けられており、この摺動子が前記回転部材7の下面側に形成された導電パターン9と摺接されるものとなっている。この摺動子と導電パターン9とで回転検出手段を構成しており、前記回転軸2が回転操作された際には、摺動子が導電パターン上を摺接することにより回転時の所定の信号を出力するものとなっている。
【0035】
また、前記窪み部10bには、同じく導電性の金属板からなる中央固定接点11及び周辺固定接点12が一定の間隔を保って対向して配設されている。この中央固定接点11及び周辺固定接点12の上面側には、導電性の薄板金属板からなる可動接点13が載置されており、この可動接点13の周縁部が周辺固定接点12に接触すると共に、中央の接点板(可動接点13)が中央固定接点11とは離間した状態で対向されている。
【0036】
また、前記可動接点13の上面側には、弾性を有するゴム材等からなり、反転可能なドーム状の膨出部を有するクリック部材14が載置されている。このクリック部材14のドーム状の膨出部の頂部には押圧部14aが設けられており、この押圧部14aの下面側には押圧突起14bが設けられ、この押圧突起14bが前記可動接点13の中央の接点板に対向して配設されている。
【0037】
また、クリック部材14は、ドーム状の膨出部が前記回転部材7の貫通孔を通して筒状部7bの内側に配設されており、クリック部材14の上方には、筒状部7bの内壁のガイド溝7cに係合された前記駆動部材6が配置され、前記駆動部材6の下端部とクリック部材14の押圧部14aの上端部が当接した状態となっている。
【0038】
前記中央固定接点11、周辺固定接点12、可動接点13及びクリック部材14で押圧スイッチを構成しており、前記回転軸2が押圧操作された際には、回転軸2が下方へ移動して、主軸部3の下端側に係合された前記駆動部6を介してクリック部材14の押圧部14aが押圧され、反転することで押圧突起14bが下側に配設された可動接点13の接点板を押圧し、可動接点13を介して中央固定接点11と周辺固定接点12が導通され押圧時の信号を出力するものとなっている。
【0039】
このように、前記回転軸2は、軸受け部1bに回転軸線方向へスライド移動可能とされ、下ケース10の収納部10aには、前記回転軸2を押圧操作した時に動作する押圧スイッチを設けるようにしたので、軸ガタを抑えるために、前記回転軸2を従来のようにばね部材等で付勢する必要がなく、回転軸2を上下動可能に保持できるので、回転軸2の下方に押圧スイッチを設けることにより回転軸2の軸線方向の押圧操作を検出することができるものとなっている。
【0040】
また、前記下ケース10の対向する両側面には、前記摺動子(図示せず)及び前記中央固定接点11、周辺固定接点12から導出され、外方へ突出した接続端子15が形成されている。この接続端子15が電子機器等の回路パターン等に接続されて信号が伝送されるものとなる。また、前記上ケース1の下端側に前記下ケース10が係合されることにより、一端側(上端側)に筒状の軸受け部1bを有し、他端側(下端側)の内部に凹状の収納部1c及び収納部10aを有するハウジングが構成されるものとなっている。
【0041】
また、下ケース10の下面側には、合成樹脂等の絶縁材からなる蓋体16が取付けられている。この蓋体16は、下ケース10の収納部10aに設けられた摺動子(図示せず)、中央固定接点11、周辺固定接点12等の接点部内にゴミや埃などが侵入しないように、開口部を封止するためのものである。
【0042】
また、上ケース1の上面側には、金属板等からなる枠体17が取付けられている。この枠体17の四隅部には、屈曲片17aが設けられており、この屈曲片17aを折り曲げることにより、前記上ケース1、下ケース10、蓋体16を一体に重ね合わせて取付けるものとなっている。また、前記枠体17には一対の脚部17bが設けられており、この脚部17bで電子機器等の回路基板上に取付けられるものとなっている。
【0043】
上記構成の回転型電気部品の先端に外装つまみ5を装着して使用する場合、回転型電気部品は、電子機器等のハウジングや回路基板等に取付けられており、操作パネルに設けられた挿通孔等から前記回転軸2のつまみ取付け部4が突出して配設されている。この状態で、前記回転軸2のつまみ取付け部4の先端に外装つまみ5を圧入して装着するものとなっており、外装つまみ5はケース1の上端側に長く形成された軸受け部1bとは当接せずにオーバーラップした状態で回転軸2に確実に装着されるものとなる。
【0044】
図8〜図11は、本発明の回転型電気部品の他の実施例を示している。この場合、上記実施例と異なるのは、回転軸2の構成が一部相違している点である。すなわち、本実施例では、回転軸22の一部を構成するつまみ取付け部24の構成を合成樹脂材に代えて金属材で形成している。
尚、図1〜図7で説明した上記実施例の部品と同一部品については同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10、図11に示すように、本実施例では、回転軸22は、アルミニューム等の金属材を略円柱状に切削加工により形成した主軸部23と、亜鉛等の金属材のダイキャストからなり、この主軸部23の先端に一体的に成形加工によって取付けられたつまみ取付け部24とで形成されている。尚、本実施例では、つまみ取付け部24は略中空部24aを有するが、全体が完全な筒状には形成されておらず、外周の一側面に平面視略D字状で、断面視略C字状となるように切り欠き部24cが設けられている。また、これと直交する方向の両側面部には軸線方向に沿って延びる一対の平坦面24dが設けられており、さらに、外周面の一端側には周方向にV字状の切り溝24eが設けられ、これらによって中空部24aを構成する周壁部の断面が薄肉となる薄肉部が形成されている。
【0046】
また、前記主軸部23とつまみ取付け部24とは、インサート成形等の方法で一体的に成形加工されて形成されている。そして、同じく前記回転軸22は、主軸部23が前記上ケース1の軸受け部1bに回転可能に軸支され、その先端側が前記軸孔1aから突出されてつまみ取付け部24と係合されており、このつまみ取付け部24に電子機器などの操作パネルから露出する外装つまみ5が装着されるものとなっている。また同じく、軸受け部1bによる主軸部23の軸支部は、軸受け部1bの先端側に設定されており、この軸支部は外装つまみ5の内側に位置している。
【0047】
この場合、前記つまみ取付け部24を金属材のダイキャストにより形成することにより、つまみ取付け部24が金属材から形成されるので、該つまみ取付け部24に前記切り欠き部24cや薄肉部が設けられていても、強度を保つことができるものとなっている。このため、このつまみ取付け部24に電子機器などの操作パネルから露出する外装つまみ5が装着される場合においても、外装つまみ5を強固に確実に保持することができるものとなっている。また、外装つまみ5が、つまみ取付け部24とは異なる材料である合成樹脂材で形成されており、両者の熱膨張係数が異なっている場合においても、つまみ取付け部24には切り欠き部24cが設けられていることから、つまみ取り付け部24は変形可能であり、前記熱膨張係数の違いを吸収して、外装つまみ5にクラックや割れが発生するのを防止できる。
【0048】
また、同様に前記主軸部23の一端側(先端側)には、平面視D字形状の非円形部となるDカット部23aが形成されており、このDカット部23aで前記つまみ取付け部24とインサート成形等の成形加工で一体的に係合されていることから、前記主軸部23とつまみ取付け部24とを確実に係合できるものとなっている。また、この時、前記回転軸22は、金属製の主軸部23の先端23bを前記つまみ取付け部24の軸心部中央の孔24bに露出させた状態で一体的に形成するようにしているので、つまみ取付け部24を主軸部23に成形加工(インサート成形)する場合に、前記孔24bを介して主軸部23を成形金型内で確実に精度良く位置決めできるものとなっている。
【0049】
前記回転軸22の主軸部23が、前記上ケース1の軸受け部1bに軸支された際には、同じように、つまみ取付け部24が前記軸受け部1bの前記軸支部を含む先端側の外周面を覆うように形成されており、つまみ取付け部24の中空部24aに前記軸受け部1bの先端側が挿入された状態で軸支されるものとなっているので、前記軸受け部1bを長く形成することができ、前記外装つまみ5が軸受け部1bに当接することなしに、回転軸22の主軸部23の先端近くまで軸受け部1bで回転軸22をガイドすることができるものとなる。
【0050】
また、前記つまみ取付け部24の外周面には、前記切り欠き部24c、平坦面24d及び切り溝24eが形成されており、これらを設けることにより前記回転軸22と前記外装つまみ5との嵌合を確実に行なうことができるものとなっている。また、前記主軸部23の他端側(下端側)には、主軸部23よりも細径でかつ小判状からなる回転駆動部23cが設けられており、この回転駆動部23cが、前記駆動部材6と係合されて、前記回転軸22の回転に伴って駆動部材6を介して前記回転部材7が回転動作されるものとなっている。
【0051】
上記した本発明の実施例によれば、前記上ケース1の軸受け部1bに軸支される前記回転軸2、22は、前記上ケース1の軸受け部1bに挿通される前記主軸部3、23と、前記軸受け部1bの先端側の外周面を覆うように前記主軸部3、23と一体的に形成された前記つまみ取付け部4、24からなり、このつまみ取付け部4、24に電子機器用の外装つまみ5を装着するようにしたことから、外装つまみ5は、前記軸受け部1bの外周に位置する前記つまみ取付け部4、24に取付けられるので、外装つまみ5を前記軸受け部1bに当接することなく軸受け部1bとオーバーラップさせて取付けることができ、前記軸受け部1bを長く形成することにより外装つまみ5内に位置する前記回転軸2、22の主軸部3、23の先端近くまで回転軸2、22をガイドできるため、上記実施例の回転軸2、22の形状により軸ガタを小さくすることができ、簡単な構造で回転軸2、22の軸ガタを抑えることができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の回転型電気部品を示す平面図である。
【図2】本発明の回転型電気部品を示す正面図である。
【図3】本発明の回転型電気部品に外装つまみを取付けた状態を示す断面図である。
【図4】本発明の回転軸を示す正面図である。
【図5】本発明の回転軸を示す断面図である。
【図6】本発明の回転軸の主軸部を示す平面図である。
【図7】本発明の回転軸の主軸部を示す正面図である。
【図8】本発明の回転型電気部品の他の実施例を示す平面図である。
【図9】本発明の回転型電気部品の他の実施例を示す正面図である。
【図10】本発明の回転軸の他の実施例を示す正面図である。
【図11】本発明の回転軸の他の実施例を示す断面図である。
【図12】従来の回転型電気部品を示す断面図である。
【図13】従来の板ばねを示す正面図である。
【符号の説明】
【0053】
1:上ケース(ハウジング)
1a:軸孔
1b:軸受け部
1c:収納部
2:回転軸
3:主軸部
3a:Dカット部(非円形部)
3b:先端
3c:回転駆動部
4:つまみ取付け部
4a:中空部
4b:孔
4c:凹凸部
5:外装つまみ
6:駆動部材
6a:基部
6b:ガイド突部
7:回転部材
7a:基盤部
7b:筒状部
7c:ガイド溝
8:クリック板
9:導電パターン(回転検出手段)
10:下ケース(ハウジング)
10a:収納部
10b:窪み部
11:中央固定接点(押圧スイッチ)
12:周辺固定接点(押圧スイッチ)
13:可動接点(押圧スイッチ)
14:クリック部材(押圧スイッチ)
14a:押圧部
14b:押圧突起
15:接続端子
16:蓋体
17:枠体
17a:屈曲片
17b:脚部
22:回転軸
23:主軸部
23a:Dカット部(非円形部)
23b:先端
23c:回転駆動部
24:つまみ取付け部
24a:中空部
24b:孔
24c:切り欠き部
24d:平坦面
24e:切り溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に筒状の軸受け部を有し他端側に収納部を有するハウジングと、先端側が前記軸受け部から突出すると共に前記軸受け部に回転可能に保持された回転軸と、前記収納部内に設けられ前記回転軸の回転を検出する回転検出手段とを備え、前記回転軸は、前記軸受け部に挿通される主軸部と、前記軸受け部の先端側の外周面を覆うように前記主軸部と一体的に形成され、外装つまみを装着可能なつまみ取付け部からなることを特徴とする回転型電気部品。
【請求項2】
前記回転軸は、前記主軸部を金属材で形成すると共に、前記つまみ取付け部を前記主軸部とは異なる材料で形成し、前記金属材からなる前記主軸部先端を前記つまみ取付け部から露出させた状態で一体的に形成したことを特徴とする請求項1記載の回転型電気部品。
【請求項3】
前記主軸部の一端側には、非円形部を設け、この非円形部により前記主軸部と前記つまみ取付け部を一体的に係合させたことを特徴とする請求項1又は2記載の回転型電気部品。
【請求項4】
前記つまみ取付け部を合成樹脂材により形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の回転型電気部品。
【請求項5】
前記つまみ取付け部を金属材のダイキャストにより形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の回転型電気部品。
【請求項6】
前記つまみ取付け部の外周に、前記外装つまみと嵌合する凹凸部あるいは切り欠き部を形成したことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の回転型電気部品。
【請求項7】
前記回転軸は、前記軸受け部に回転軸線方向にスライド移動可能とされ、前記ハウジングの収納部には、前記回転軸を押圧操作した時に動作する押圧スイッチを設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の回転型電気部品。
【請求項8】
前記回転検出手段は、導電パターンと該導電パターンと摺接する摺動子からなることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の回転型電気部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−4914(P2006−4914A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112411(P2005−112411)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】