回転型高圧水噴射式洗浄方法と同装置
【課題】洗浄能力が高く、噴射ノズル数の増加に伴う洗浄水流量の確保が容易であり、装置の構造を簡略化して小型・軽量化を図れ、洗浄時に装置の振動が生じにくく、均一で効率的な洗浄ができる回転型高圧水噴射式洗浄装置を提供する。
【解決手段】高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズル21を備え、複数の噴射ノズルを円周方向に沿って等間隔にかつ長手方向に沿って複数列設けたノズルホルダー2と、このノズルホルダーと一体回転可能に接続され各噴射ノズル21の高圧水供給路41に連通可能な複数の高圧水導入路45を円周方向に等間隔にかつ長手方向に沿って設けた回転型分配弁4と、ノズルホルダー2および回転型分配弁4の一方向連続回転手段7とを備え、回転型分配弁4から高圧水を複数の高圧水導入路45に順次・間欠的に供給し、ノズルホルダ2ーの複数の噴射ノズル21から高圧水を順番にかつ間欠的に噴射させる。
【解決手段】高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズル21を備え、複数の噴射ノズルを円周方向に沿って等間隔にかつ長手方向に沿って複数列設けたノズルホルダー2と、このノズルホルダーと一体回転可能に接続され各噴射ノズル21の高圧水供給路41に連通可能な複数の高圧水導入路45を円周方向に等間隔にかつ長手方向に沿って設けた回転型分配弁4と、ノズルホルダー2および回転型分配弁4の一方向連続回転手段7とを備え、回転型分配弁4から高圧水を複数の高圧水導入路45に順次・間欠的に供給し、ノズルホルダ2ーの複数の噴射ノズル21から高圧水を順番にかつ間欠的に噴射させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、液晶パネル、プラズマパネル、太陽電池パネル、有機EL(エレクトリックルミナンス)パネルなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)や大型板状
ガラスや半導体ウエハーなどの平坦な板状物を高圧洗浄液を噴射して洗浄する回転型高圧洗浄液噴射洗浄方法と同装置(ウォータジェット洗浄機ともいう)に関する。詳しくは、たとえば、液晶ディスプレイや半導体ウエハーなどの製造工程で、ガラス基板表面の微小な粒子や有機物や金属不純物といった歩留り低下の原因となる汚濁物質を高圧水(高圧洗
浄液を含む)を噴射して除去するのに使用でき、駆動機構が簡単で低振動化が可能な回転型高圧水噴射式洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高圧水噴射式洗浄装置として、複数の高圧液噴射ノズルを並べて装着したノズルホルダーをその支持軸回りに旋回(円運動)させながら若しくは円錐状に揺動させながら、洗浄装置から噴射する高圧洗浄液を洗浄対象物に対し垂直に当てながら直交方向に移動させることで、噴射ノズルから噴射する高圧洗浄液にて洗浄対象物の一面を緻密に洗浄する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は1本の直線状に高圧洗浄液が噴射する収束型ノズルを備えている。
【0003】
従来の一般的な洗浄装置で使用されているノズルは、噴射される洗浄液が円錐状に広がるコーン型、若しくは扇状に広がるファン型が多い。これらのノズルであれば、洗浄液の噴流が拡散し、その拡散する幅が広いために、上記特許文献1の洗浄装置のように円運動させたり、揺動させたりする必要がない。
【0004】
一方、特許文献1の洗浄装置では、洗浄液が拡散しない1本の直線状になって噴射される収束型噴射ノズルを使用しているため、噴射される洗浄液のエネルギー密度がコーン型やファン型に比べて数十倍〜数百倍と非常に高い。したがって、洗浄面での剥離・洗浄効果は非常に優れている。しかし、洗浄対象物に対し洗浄液が当たる領域(面積)が極めて狭く、局所部分しか洗浄できない。いいかえれば、洗浄液が当たっていない箇所が多く、それらの箇所は洗浄されない。
【0005】
前記洗浄装置の他の先行技術として、管内部に高圧水を導入し外周面にこの高圧水の吐出口を有して固定状態に支持される管軸と、前記吐出口を穴内周面で覆って管軸外周面に回転自在に装着されると共に、回転時に前記吐出口と連通する流路が外周面まで貫通して設けられたリング状ボディと、前記リング状ボディの流路に連通し該リング状ボディの外周面側に固定されたノズルと、前記リング状ボディの回転手段とを備えた回転ノズルユニットが提案されている(例えば特許文献2参照)。この回転ノズルユニットでは、リング状ボディは管軸の軸心まわりを回転する。その管軸は固定されているから、外周面に開設された高圧水の吐出口は一定位置に停止状態となっている。リング状ボディの回転により流路が常に一定位置で吐出口に接続され高圧水がノズルまで供給される。したがって、ノズルは、リング状ボディの流路が吐出口に接続されている範囲だけ高圧水を噴射することになる。この場合、ノズルは軸心回りに回転しているので、噴出先を平面上で見ると、噴射は一定の範囲内で直線状の軌跡を示すように行なわれることになる。ノズルがリング状ボディの同一円周上に複数配置されていると、リング状ボディの連続回転により、各流路が順に一定位置の吐出口に接続されるから、噴射は同一範囲において同一方向に向け繰り返し行なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2705719号公報
【特許文献2】特開2002−346437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
・上記したように、ホルダーをその支持軸回りで旋回円運動させる際の回転速度を上げれば上げるほど、洗浄の緻密性(洗浄対象物に対し噴射洗浄液が当たる単位体積当たりの割合)が高まるが、一方でホルダーまたはホルダーを含む装置全体の振動が増大する。すなわち、この振動加速度は回転速度の2乗で増大するから、特許文献1に記載のような手持ち式洗浄装置にあっては、作業者が手で持った状態で洗浄作業を継続するのが困難になる。また、ホルダーに装着されるノズルの数を2倍〜3倍に増やすと、ホルダーの全長が延びるだけでなく、ホルダーの外径が大幅に大きくなるから、手持ち式洗浄装置としては適当とはいえない。
【0008】
・特許文献2に記載の洗浄装置には、つぎのような複数の課題が残されている。
【0009】
1) 噴射ノズルから高圧水が扇形状や円錐状に拡散するように噴射されるから、噴射力が弱く、洗浄能力が低い。
【0010】
2) 円周上に等間隔に配置され中心軸周りに一方向に回転する複数の噴射ノズルに対して洗浄水を半径方向の中心部を通る洗浄水供給路より分配し、円周方向の一定角度の範囲で各噴射ノズルより順番に洗浄水を噴射させるが、分配する洗浄水供給路側のポート口径r2と分配される噴射ノズル流路側のポート口径r1との比(ポート比:k= r2/r1)につ
いては一切言及されていない。
【0011】
3) 回転型分配弁(リング状ボディ)に複数の噴射ノズルを円周方向に配置し、かつ長手方向に沿って一定ピッチで複数列を配置した構造からなる。このため、噴射ノズル数が増えた際に必要な流量の確保が困難で、洗浄能力に限りがある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、上記の特許文献2に記載の洗浄装置に比べて洗浄能力が大幅に高く、噴射ノズル数の増加に伴う洗浄水流量の確保が容易であり、装置の構造を簡略化して小型・軽量化を図れ、洗浄時に装置の振動が生じにくく、均一で効率的な洗浄ができる回転型高圧水噴射式洗浄方法および同装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明の回転型高圧水噴射洗浄方法は、高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射洗浄方法であって、ノズルピッチよりも狭いノズル径の複数の高圧水噴射ノズルを洗浄対象物の幅方向および搬送方向に対し傾斜させて軸方向に配列するとともに、円周方向に等間隔に配置した複数の高圧水噴射ノズル列を前記洗浄対象物の幅方向の両端に跨って一定ピッチで軸方向に配列し、前記高圧水噴射ノズル列は一方向に回転させながら円周方向に配置した複数の高圧水噴射ノズルから一回転中の所定回転角度の範囲内で高圧水を噴射させて洗浄し、かつ前記洗浄対象物の搬送速度に対応して前記高圧水噴射ノズルの回転速度、軸方向のノズルピッチ、前記高圧水噴射ノズルの円周方向の数および前記洗浄対象物と前記高圧水噴射ノズルとの距離を設定することを特徴としている。
【0014】
このようにすることにより、洗浄対象物のほぼ全面に対し高エネルギー密度の洗浄を均一に施すことができる。なお、前記高圧水噴射ノズルの回転速度、軸方向のノズルピッチ
、前記高圧水噴射ノズルの円周方向の数および前記洗浄対象物と前記高圧水噴射ノズルとの距離については限定されるものでなく、洗浄条件により、適宜設定される。
【0015】
上記の課題を解決するために本発明の回転型高圧水噴射式洗浄装置は、高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射式洗浄装置であって、円周方向に沿って等間隔に配列した複数の前記噴射ノズルを、一定の間隔をあけて長手方向に沿って複数列設けたノズルホルダーと、前記ノズルホルダーと一体回転可能に接続され前記各噴射ノズルの流路に連通可能で長手方向に沿った複数の流路(高圧水供給路)を円周方向に等間隔に設けたロータ部および前記ロータ部が相対回転可能に支持されるハウジングとを有する回転型分配弁と、前記ノズルホルダーおよび前記ロータ部の回転装置とを備え、前記ハウジングから高圧水を前記ロータ部の複数の噴射ノズル流路に順次・間欠的に供給し、前記ノズルホルダーの複数の噴射ノズルから高圧水を順番にかつ間欠的に一方向に噴射させることを特徴としている。
【0016】
上記の構成を有する本発明の回転型高圧水噴射式洗浄装置によれば、高圧水供給源から高圧水が回転型分配弁に導入され、同回転型分配弁で円周方向に複数等分に分配されてノズルホルダーの各噴射ノズル流路へ順次供給される。ロータ部は回転装置により一方向に回転するが、前記ロータ部の半径方向の外方あるいは中心部から高圧水が前記ロータ部へ供給される。そして、ロータ部において高圧水が複数の各噴射ノズルに分配される際、円周方向に均等に配列した各噴射ノズルに所定の回転角度位置で流量の変動が起きないように分配することが重要である。このためには、回転型分配弁の分配部において高圧水導入部/噴射ノズル流路(供給路)のポート口径の比であるポート比を規定するのが望ましい
が、これについては後述する。また、前記回転型分配弁を経由して複数の各噴射ノズルに分配された高圧水は所定の回転角度の範囲内において一方向に回転しながら噴射される。複数の噴射ノズルは所定の速度で連続回転するため、振動がなくスムーズな回転の下に高圧水の噴射が遂行される。
【0017】
請求項3に記載のように、前記ノズルホルダーは、洗浄対象物の搬送方向および幅方向に対して傾斜させかつ前記洗浄対象物の幅より長くすることが好ましい。
【0018】
このようにすれば、各噴射ノズル径とほぼ同一の大きさで一直線状の噴流からなる高圧水を洗浄対象物に当てて洗浄でき、扇形噴流に比べて極めて大きなエネルギー密度の洗浄力が得られる。しかも、図10のように直線状の噴流で洗浄されるにも拘わらず、図11に示すように洗浄対象物のほぼ全面を均等に洗浄することができる。
【0019】
請求項4に記載のように、前記ロータ部は、前記ハウジングの中心孔部または外周に相対回転可能に備えることができる。
【0020】
このようにすれば、高圧水導入路より外部の高圧水源から高圧水を導入し、相対回転するロータ部の円周方向に等間隔に配置された複数の噴射ノズル流路(高圧水供給路)に順次高圧水を分配することができる。
【0021】
請求項5に記載のように、高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポートの形状と分配される前記噴射ノズル流路のポートの形状が円形または矩形にすることができる。
【0022】
前記各ポートの形状を円形にすれば加工が容易になる一方、各ポートの形状を矩形にすれば過渡領域の流量線図は直線的になり、隣接ポート間の流量和は100%になって流量変動がなくなる。
【0023】
請求項6に記載のように、高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口径(d2=r2)と分配される前記噴射ノズル流路のポート口径(d1=r1)とのポート比が3以上(r2/r1≧3)としたり、請求項7に記載のように、高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口と、分配される前記噴射ノズル流路のポート口が、略矩形となるようにすることが好ましい。
【0024】
本発明の洗浄装置における洗浄に100%寄与しているのは高圧水の流量が100%の領域であるから、ポート比が3の場合には、図12に示すように全体の2/3(67%)が流量100%で正常に洗浄されることになる。したがって、ポート比を3以上の、できるだけ大きな値にすることにより、洗浄力が増大しかつ一回転中の流量の変動幅も図13に示すように緩和される。
【0025】
請求項8に記載のように、前記ノズルホルダーの一端を軸受により回転可能に支持し、前記ノズルホルダーの他端を前記ロータ部の一端に一体回転可能に接続し、前記ロータ部の他端に回転装置を接続して洗浄対象物の搬送方向に回転させるようにするとともに、前記回転型分配弁の構造を軸芯の半径方向の外方から高圧水を供給することができる。
【0026】
このようにすれば、回転装置、回転型分配弁のロータ部、ノズルホルダーおよび軸受の各構成部材の接続が容易になる。また、定期交換が必要なシール類は回転型分配弁に設ければよいので、交換が容易でメンテナンス性に優れる。
【0027】
請求項9に記載のように、前記ハウジングを複数のポート(高圧水導入路)を備えた構造としたり、請求項10に記載のように、前記ロータ部を前記ノズルホルダーの両端に接続したりすることができる。
【0028】
例えばポート比=5とした場合に2r1=5とすると、2r2=25となる。ここで、円周方向の噴射ノズル数を例えば6とすると、ロータ部4aの直径D=50mmとなる。高圧水供給路41の最小径は通常5mmであり、圧損を抑えるために最小径の流速を10m/sとすると、最大流量は12リットル/分となる。洗浄対象物xの幅方向の長さ1mにつき24リットル/分の高圧水流量が必要になると仮定すると、通常の1ポート式回転型分配弁では流量不足になるので、請求項9のようにノズルホルダーの両端に回転型分配弁のロータ部をそれぞれ接続するか、あるいは請求項8のように複数ポート式回転型分配弁をノズルホルダーの一端に接続するかすることで、流量不足を解消できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る回転型高圧水噴射式洗浄装置は上記の構成を有するから、次のような優れた効果を奏する。すなわち、
ノズルホルダーの一方向への回転時に多数の噴射ノズルから一直線状の高圧水が洗浄対象物に対して高圧下で噴射され、洗浄作業が行われる。ノズルホルダーを洗浄対象物の幅方向および搬送方向に対して傾斜させた状態で一方向に回転する場合に、図11に示すように一方向に傾斜する多数の直線状の洗浄軌跡がノズルピッチの間隔で相互に平行に形成されるから、洗浄対象物の幅方向(搬送方向に直交する方向)にわたって一定幅の洗浄領域が形成される。したがって、洗浄対象物をその洗浄領域を横切るように一定速度で搬送することにより、洗浄対象物の全面に対して高圧下で一直線状の高圧水を均一にかつ洗浄密度を高く保って噴射させられるので、高い洗浄力が得られ、洗浄ムラが生じにくい。しかも、先願(特願2008−311337)の揺動型高圧水噴射式洗浄装置に比べて装置の構造が簡
単で、運転時に振動が発生しにくく、ノズルホルダーの回転速度を高くでき、ノズルホルダーの小型軽量化が図れ、コストダウンも図れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)は本発明の回転型高圧水噴射式洗浄装置の実施形態を示す正面視断面図で、図1(b)は図1(a)に示す高圧洗浄液噴射式洗浄装置のb−b断面図、図1(c)は図1(a)に示す高圧洗浄液噴射式洗浄装置のc−c断面図である。
【図2】図2(a)は図1の高圧洗浄液噴射式洗浄装置の全体を概略的に示す正面図、図2(b)は図1の高圧洗浄液噴射式洗浄装置の変形例を示す一部を省略した断面図である。
【図3】図3(a)は回転型分配弁のロータ部4aの高圧水供給路41としての円形状ポートとハウジング4bの高圧水導入路45としての円形状ポートとの相対変位を示す概要平面図、図3(b)はロータ部4aの高圧水供給路41としての円形状ポートとハウジング4bの高圧水導入路45としての円形状ポートとの相対変位を示す概要断面図、図3(c)は回転型分配弁全体を示す断面図である。
【図4】図4(a)は回転型分配弁のロータ部のポートのピッチとこれに隣接するハウジングのポートとの流量の関係を示すグラフ、図4(b)(c)はロータ部のポートとこれに隣接するハウジングのポートとの過渡領域の流量の和を計算するための説明図である。
【図5】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態2を示す、図1に対応する断面図である。
【図6】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態3を示す、図1に対応する断面図である。
【図7】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態4を示す、図1に対応する断面図である。
【図8】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態5を示す、図1に対応する断面図である。
【図9】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態6を示す、図1に対応する断面図である。
【図10】図10(a)は噴射ノズル21から直線状高圧水を噴射する状態を示すノズルホルダー2の正面図、図10(b)は同右側面図、図10(c)は同平面図である。
【図11】図1の高圧水噴射式洗浄装置による洗浄態様を示す平面図である。
【図12】ポート比kが3の場合のロータ部のポートのピッチとこれに隣接するハウジングのポートとの流量の関係を示すグラフで、図12(a)は円周上の噴射ノズル21が5つの時、図12(b)は同6つの時、図12(c)は同8つの時を表している。
【図13】ポート比kを3以上の、できるだけ大きな値にすることにより、洗浄力が増大しかつ一回転中の流量の変動幅が緩和されることを表すための説明図としてのグラフである。
【図14】ポート比kを横軸に、過渡域の流量(ポート(1)とポート(2)の合計)を縦軸にとったグラフである。
【図15】ポート比kを横軸に、流量100%領域の比率εを縦軸にとったグラフである。
【図16】ロータ部の円周上に均等に配列された6本の高圧水供給路41にハウジング4bの高圧水導入路45から高圧水が順に分配される状態を表すグラフである。
【図17】回転型分配弁4の隣接するポートの過渡領域を10°とすると、流量100%の領域は50°になることを表すグラフである。
【図18】図18(a)は隣接する各ポートの形状を矩形にした場合の図3(a)に対応する概要平面図、図18(b)は図18(a)のx−x断面図、図18(c)は隣接する各ポートの形状を矩形にした場合に過渡領域の流量線図は直線的になり、隣接ポート間の流量和は100%になって流量変動がなくなることを表す説明図としてのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る回転型高圧水噴射式洗浄装置の実施の形態について説明する。
【実施形態1】
【0032】
図1・図2に示すように、本実施形態の回転型高圧水噴射式洗浄装置1は、円周方向に6つの高圧水液噴射ノズル21を等間隔に設けた噴射ノズル列3を、長手方向(軸方向)に沿って一定ピッチで配列したノズルホルダー2を備えている。円周方向の高圧水液噴射ノズル21の個数は6つに限るものでなく、4つ、5つあるいは7つ以上であってもよい。ノズルホルダー2の一端には、ノズルホルダー2とは分離された回転型分配弁4のロータ部4aがノズルホルダー2の一端に対し一体回転可能に接続されている。回転型分配弁4は直方体状のハウジング4bの中央孔部に円柱体状のロータ部4aを回転可能に備えている。ハウジング4bにの周状の一部には、半径方向外方に向けて、導入口46を開口した高圧水導入路45が軸方向または軸方向に直交して設けられ、この導入路45の導入口46に外部の高圧水供給路(図示せず)が接続されている。なお、回転型分配弁4において、回転部分をロータ部4a、固定配管がされている部分をハウジング4bとしている。
【0033】
図2(a)に示すように、ノズルホルダー2の一端は軸受装置6の軸受61によって回転可能に支持されている。一方、回転型分配弁4のロータ部4aの一端は回転装置7の接続部7aに接続され、ロータ部4aとノズルホルダー2とが回転装置7により一方向に一体的に回転する。
【0034】
ノズルホルダー2は、図1(c)に示すように正六角形の断面からなり、高圧水噴射ノズル21が各平面2aに2つずつ周方向に等間隔に配列されている。ノズルホルダー2内には、各平面2a上の2つの高圧水噴射ノズル21に対し共通の高圧水供給路22が、円周方向に等間隔にかつ軸方向に沿って平行に合計6本穿設されている。
【0035】
また、ロータ部4aには、図1(a)に示すように高圧水供給路41が、円周方向に等間隔にかつ軸方向に沿って平行に合計6本穿設されている。各高圧水供給路41はノズルホルダー2の高圧水供給路22と同一形状・同一口径で、両供給路41・22は一連に連通される。
【0036】
さらに、図2(b)に示すようにハウジング4bの高圧水導入路45に導入された高圧水は、ロータ部4a内の6本の高圧水供給路41に均等に分配されるが、高圧水導入路45のポート(2)の口径d2(2r2)と高圧水供給路41のポート(1)の口径d1(2r1)の関係であるポート比は、つぎのように規定されている。
【0037】
すなわち、d2/d1=2r2/2r1≧3
1.各ポートの関係式
図3(a)〜(c)に示すように、r1円の円周角をλ、r2円の円周角をμ、ロータ部4aの半径をRとすると、
sinλ=r1/R、 sinμ=r2/R ∴r2/r1=sinμ/sinλ
逆にR=r2/sinμ又はR=r1/sinλ
ポートの円周方向の角度ピッチΘ=360°/n (nは円周方向のポート数)
また、図4(a)からΘ=2μ
過渡領域:a〜bのr1円の中心の移動角度は2λ、流量100%の範囲(b〜c)の移動角度は2(μーλ)、同様に過渡領域(c〜d)の移動角度は2λ、これらの関係を図4(a)に示す。
2.r2/r1=k≧3に限定する理由もしくは根拠
1)過渡領域の流量(隣接するポートに流れている流量の和)
流量はホ゜ートの開口面積に概ね比例するから、以下に過渡領域の開口面積を導く。
【0038】
過渡領域の開口面積Aは、図4(b)(c)において割円(1)と割円(2)の和になる。
【0039】
過渡領域はロータ部の回転角度θが0から2λの範囲、つまり0≦θ≦2λである。但しr1=r2の場合は、
0≦θ≦2λ=2μ
図4(b)(c)の角度αとβの関係式は
r1sinα=r2sinβ (1)
r1cosα+r2cosβ=2Rsin(θ/2) (2)
円r1の面積:A1=πr12
円r2の面積:A2=πr22
割円(1)の面積:a1=A1×α/180−r12cosαsinα=r12(πα/180−cosαsinα)
割円(2)の面積:a2=A2×β/180−r22cosβsinβ=r22(πβ/180−cosβsinβ)
開口面積:A=a1+a2
開口率:η=A/A1=(a1+a2)/A1
={r12(πα/180−cosαsinα)+r22(πβ/180−cosβsinβ)}/πr2
={(πα/180−cosαsinα)+(r2/r1)2(πβ/180−cosβsinβ)}/π
r2/r1=kとおくと、上式は
η={(πα/180−cosαsinα)+k2(πβ/180−cosβsinβ)}/π (3)
上式の(1)、(2)からα、βを求め、(3)式に代入すると、開口率ηがkの変数として求
まる。
【0040】
k=r2/r1を1〜10まで変えた場合の開口率(流量)のグラフを図14に示す。
【0041】
図14はk=r2/r1を横軸に、過渡域の流量(ポート(1)とポート(2)の合計)を縦軸に
とったグラフである。
【0042】
k=r2/r1=1の場合は約82%、
k=r2/r1=2の場合は約90%、
k=r2/r1=3の場合は約93.5%、
k=r2/r1=4の場合は約95%
図14に示すように、k=r2/r1=2以上あれば、開口率(流量)は90%、流量の変動は10%以内に収まる。
2)分配された水の流量の内100%の流量の比率
一つのポートに水が流れている角度は2(μ+λ)、開口率100%の範囲は2(μ−λ)
、
両者の比ε=(μ−λ)/(μ+λ)は一つのポートに流量100%で流れている比率を示
す。
【0043】
このεの値が大きいほど流量100%の範囲が広くなり、それだけ能率の良いことを示す。
【0044】
逆にεが小さいと他のポートに流れている水が多いことになり、分配弁4の機能が発揮できていないことになる。
【0045】
次にこのεをr2/r1で表す。
【0046】
μおよびλをラジアンで表すと、μ=円弧2r2/R,λ=円弧2r1/Rとなり、
円弧の長さを弦の長さで近似すると、μ≒2r2/R,λ≒2r1/R
したがって、μ/λ≒r2/r1=kとなり、
ε= (μ−λ)/(μ+λ)=[(μ/λ)−1]/[(μ/λ)+1]≒k−1/k+1
図15はk=r2/r1に対する流量100%の比率εを示すグラフである。
【0047】
k=r2/r1=1の場合 ε=0% つまり100%の流量範囲は無しということ。
【0048】
k=r2/r1=2の場合 ε≒33%
k=r2/r1=3の場合 ε≒50%
k=r2/r1=4の場合 ε≒60%
kの値が大きいほどεは大きくなる。
【0049】
図15に示すように、k を3以上にすると流量100%の比率εは50%が確保でき
る。
【0050】
以上、過渡域の総流量(変動幅)と水(流体)の分配開始から分配終了までで100%分配されている比率の2点から、k=r2/r1の値は、3以上が望ましい。
【0051】
ところで、本発明の洗浄装置1における最重要ポイントは、ロータ部4aの円周上に均等に配列された6本の高圧水供給路41にハウジング4bの高圧水導入路45から高圧水が流量変動を起こさないように、図16のように分配されるようにすることである。6本の高圧水供給路41を通って高圧水は、6つの各噴射ノズル21から順に所定回転角度の範囲内で噴射される。図17に示すように、過渡領域を10°とすると、流量100%の領域は50°になり、この50°の角度範囲では正常に洗浄作業が行われる。ここで、図16のように高圧水を均等に分配するには、回転型分配弁4の分配部におけるポート形状を決定する必要がある。
【0052】
例えば、図3(a)に示すように、円形状のd1ポートが円形状のd2ポートに対しa〜dのように一定速度で移動してd2ポートに重なった後、通過したとすると、d2−d1=2(r2−r1)=50°で、2r1=10°であるから、2r2=60°になり、ポート比kは6にな
る。したがって、例えばr1=15mmとすると、r2=90mmとなる。
【0053】
ポート比k=3で100%の流量効率は略67%、ポート比=5で略80%に上昇し、ポート比k=6で略83%となり、ポート比は3以上で大きくなればなるほど、流量効率いいかえれば洗浄能力が高くなる。また、図13に示すように1回転中の流量の変動幅もポート比を大きくすることにより緩和される。
【0054】
さらに、図18(a)(b)のようにポートの開口形状を略矩形となるように面取り加工もしくは座ぐり加工等すれば、図18(c)に示すように過渡領域の流量線図は連続的になり、隣接ポート間の流量和は100%近くになって流量変動がなくなる。一方、加工上からポートを図3(a)に示すように円形状にする場合は、隣接ポート間で流量変動が発生するから、ポンプの負荷を回避するためにアキュムレータなどを挿入することが望ましい。
【0055】
多数の高圧水噴射ノズル列3が、ノズルホルダー2の軸方向に沿って一定ピッチで配列されている。ノズルホルダー2は洗浄対象物xの幅方向に対し30°(同搬送方向に対し60°)傾斜して設けられている。ノズルホルダー2の長さは洗浄対象物xの幅より長く、また傾斜状態において洗浄対象物xの幅方向の端から端までを十分にカバーできるように洗浄対象物xの両端間に跨って伸びている。なお、ノズルホルダー2の傾斜角度は洗浄対象物xの搬送方向に対し、45°〜80°の範囲で調整される。
【0056】
高圧水噴射ノズル21のノズル穴径dはノズルホルダー2の軸方向におけるノズルピッチよりも狭く、各噴射ノズル21からは高圧水が一直線状に噴射されるが、ノズルホルダー2を洗浄対象物xの搬送方向(および幅方向)に対し傾斜させて配列しており、ノズル
ホルダー2に一定ピッチで配列された各列の6つの高圧水噴射ノズル21は回転装置7により一方向に回転しながら円周方向の6つのうち1つ又は2つの高圧水噴射ノズル21から回転角度で略60°の範囲で高圧水が噴射される。できれば、洗浄対象物xの搬送速度Vに対応して高圧水噴射ノズル21の回転速度、洗浄対象物xと高圧水噴射ノズル21との距離を調整することが望ましい。
3.高圧水噴射ノズルとノズルホルダーの説明
1)高圧水噴射ノズル21
噴流が扇形に広がるものではなく、ノズル穴径とほぼ同じ太さの1本の細い直進形の噴
流を出すノズルである。このため噴流のエネルギー密度が扇形ノズルに比べて2桁以上高
い、そのため洗浄能力が大きい。すなわち、エネルギー密度比(概算):38×d/(πd2/4)≒48/d
一例としてd=0.2mmとすると、240倍になる。
2)ノズルホルダー2の取付角度
しかし、上記の直進ノズル21では幅広く洗浄できない(僅かdmmの幅)。
【0057】
そこで、ノズルホルダー2の取付角度を洗浄対象物xの搬送方向に対して90°から60°ぐらいに傾ける。
【0058】
そのようにすることで、図11のような線状の模様が被洗浄物xの全域にできる。
【0059】
被洗浄物xの送り速度V、回転ノズルホルダー2の回転数、円周方向のノズル数(ピッ
チ)、軸方向のノズルピッチ、洗浄ノズル21の取り付け角度、回転ノズルホルダー2の回転中心と被洗浄物との間隔などに依って洗浄品質に影響を与える模様密度は調整が可能である。
【0060】
洗浄は1本の線状しかできない。図11のような線状の模様ができる。噴流が当ってい
ないところもあるが一応全域を洗浄することができる。
【0061】
さて、図2(b)に示すように、ロータ部4aはハウジング4bの中心孔部内に軸受44を介して回転可能に配設され、高圧水導入路45を挟んで円周方向にリング状のシール装置43がそれぞれ装着されている。シール装置43の寿命は周速度に反比例するから、同一回転数の場合にロータ部4aの外径Dは小さいほど寿命が長くなる。また、本発明のノズルホルダー2は一方向に連続回転する回転型であるため、性能上から回転型は正逆に往復回転する先願の揺動型に比べて振動が少ないため回転数が比較的高くできる。結果として回転型は例えば1000rpmのところ揺動型は500rpmと約半分の揺動速度となり、同じ洗
浄密度とすると被洗浄物の送り速度は半分になる(生産性半分)。
【実施形態2】
【0062】
図5は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態2を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態2の高圧水噴射式洗浄装置1−1は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−1では、ロータ部4aとハウジング4bとの位置関係が逆になり、ハウジング4bが軸芯部に位置し、その周囲に直方体状のロータ部4aが設けられている。ハウジング4bが軸受装置6に支持され、ノズルホルダー2の一端に回転装置7が接続される。ノズルホルダー2とロータ部4aとが接続され、両者は回転装置7により一方向に回転する。本実施形態の洗浄装置1−1の場合にも、高圧水導入路45のポート口径d2と高圧水供給路41のポート口径d1とのポート比kを3以上に規定する必要があることに変わりはない。
【0063】
その他の構成および作用については上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と共通するので、説明を省略し、共通の構成部材は同一の符号を用いて図示する。
【別の実施形態3〜6】
【0064】
図6は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態3を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態3の高圧水噴射式洗浄装置1−2は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−2では実施形態1の洗浄装置1に用いた1ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の両端に接続されて高圧水の供給量を増大している。
【0065】
図7は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態4を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態4の高圧水噴射式洗浄装置1−3は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−3では実施形態1の洗浄装置1とは異なり、高圧水導入路45を2つに増やした2ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の一端に接続されて高圧水の供給量を増大している。
【0066】
図8は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態5を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態5の高圧水噴射式洗浄装置1−4は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−4では高圧水導入路45を3つに増やした3ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の両端にそれぞれ接続されて高圧水の供給量を増大している。
【0067】
図9は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態6を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態6の高圧水噴射式洗浄装置1−5は、下記の点が上記実施形態2の高圧水噴射式洗浄装置1−1と相違する。洗浄装置1−5では実施形態2の洗浄装置1−1に用いた1ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の両端にそれぞれ接続されて高圧水の供給量を増大している。また、本実施形態では、洗浄装置1−5の両端に軸受装置6を備え、ノズルホルダー2の後方の回転装置7でノズルホルダー2とロータ部4aを回転する。
【0068】
ところで、繰り返しになるが、上記したように各高圧水噴射ノズル21から噴射される洗浄液(洗浄水を含む)は、図11に示すように高圧下で1本の直線状になって噴射されるようになっている。各高圧水噴射ノズル21から噴射される洗浄液は1本の直線状で洗浄能力(洗浄力)が大きい。また、各高圧水噴射ノズル21から噴射される洗浄液は1本の直線状であるが、洗浄対象物xの幅方向および搬送方向に対しノズルホルダー2を傾斜させて配置しており、洗浄対象物xをローラコンベヤ(図示せず)などの搬送機構によって所定の速度で搬送するので、両者の速度を調整することにより、洗浄対象物xの全面をほぼ隙間なく洗浄することができる。
【0069】
矢印方向yに搬送される洗浄対象物xは、多数の高圧水噴射ノズル21から噴射される高圧洗浄液の直線状の傾斜した軌跡が平行に等間隔に並んで構成される洗浄領域を図11のように横切るように移動することになるから、洗浄対象物x上の全面がほぼ隙間なく洗浄液にて洗浄されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、主に、FPD(フラットパネルディスプレイ)や大型板状ガラスや半導体ウエハーなどの平坦な板状物を高圧洗浄液を噴射して洗浄する高圧洗浄液噴射洗浄装置として利用される。
【符号の説明】
【0071】
1・1−1〜1−5 回転型高圧水噴射式洗浄装置
2 ノズルホルダー
3 噴射ノズル列
4 回転型分配弁
4a ロータ部
4b ハウジング
6 軸受装置
7 回転装置
7a 接続部
21 高圧水液噴射ノズル
22,41 高圧水供給路
43 シール
45 高圧水導入路
46 導入口
61 軸受
x 洗浄対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、液晶パネル、プラズマパネル、太陽電池パネル、有機EL(エレクトリックルミナンス)パネルなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)や大型板状
ガラスや半導体ウエハーなどの平坦な板状物を高圧洗浄液を噴射して洗浄する回転型高圧洗浄液噴射洗浄方法と同装置(ウォータジェット洗浄機ともいう)に関する。詳しくは、たとえば、液晶ディスプレイや半導体ウエハーなどの製造工程で、ガラス基板表面の微小な粒子や有機物や金属不純物といった歩留り低下の原因となる汚濁物質を高圧水(高圧洗
浄液を含む)を噴射して除去するのに使用でき、駆動機構が簡単で低振動化が可能な回転型高圧水噴射式洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高圧水噴射式洗浄装置として、複数の高圧液噴射ノズルを並べて装着したノズルホルダーをその支持軸回りに旋回(円運動)させながら若しくは円錐状に揺動させながら、洗浄装置から噴射する高圧洗浄液を洗浄対象物に対し垂直に当てながら直交方向に移動させることで、噴射ノズルから噴射する高圧洗浄液にて洗浄対象物の一面を緻密に洗浄する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は1本の直線状に高圧洗浄液が噴射する収束型ノズルを備えている。
【0003】
従来の一般的な洗浄装置で使用されているノズルは、噴射される洗浄液が円錐状に広がるコーン型、若しくは扇状に広がるファン型が多い。これらのノズルであれば、洗浄液の噴流が拡散し、その拡散する幅が広いために、上記特許文献1の洗浄装置のように円運動させたり、揺動させたりする必要がない。
【0004】
一方、特許文献1の洗浄装置では、洗浄液が拡散しない1本の直線状になって噴射される収束型噴射ノズルを使用しているため、噴射される洗浄液のエネルギー密度がコーン型やファン型に比べて数十倍〜数百倍と非常に高い。したがって、洗浄面での剥離・洗浄効果は非常に優れている。しかし、洗浄対象物に対し洗浄液が当たる領域(面積)が極めて狭く、局所部分しか洗浄できない。いいかえれば、洗浄液が当たっていない箇所が多く、それらの箇所は洗浄されない。
【0005】
前記洗浄装置の他の先行技術として、管内部に高圧水を導入し外周面にこの高圧水の吐出口を有して固定状態に支持される管軸と、前記吐出口を穴内周面で覆って管軸外周面に回転自在に装着されると共に、回転時に前記吐出口と連通する流路が外周面まで貫通して設けられたリング状ボディと、前記リング状ボディの流路に連通し該リング状ボディの外周面側に固定されたノズルと、前記リング状ボディの回転手段とを備えた回転ノズルユニットが提案されている(例えば特許文献2参照)。この回転ノズルユニットでは、リング状ボディは管軸の軸心まわりを回転する。その管軸は固定されているから、外周面に開設された高圧水の吐出口は一定位置に停止状態となっている。リング状ボディの回転により流路が常に一定位置で吐出口に接続され高圧水がノズルまで供給される。したがって、ノズルは、リング状ボディの流路が吐出口に接続されている範囲だけ高圧水を噴射することになる。この場合、ノズルは軸心回りに回転しているので、噴出先を平面上で見ると、噴射は一定の範囲内で直線状の軌跡を示すように行なわれることになる。ノズルがリング状ボディの同一円周上に複数配置されていると、リング状ボディの連続回転により、各流路が順に一定位置の吐出口に接続されるから、噴射は同一範囲において同一方向に向け繰り返し行なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2705719号公報
【特許文献2】特開2002−346437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
・上記したように、ホルダーをその支持軸回りで旋回円運動させる際の回転速度を上げれば上げるほど、洗浄の緻密性(洗浄対象物に対し噴射洗浄液が当たる単位体積当たりの割合)が高まるが、一方でホルダーまたはホルダーを含む装置全体の振動が増大する。すなわち、この振動加速度は回転速度の2乗で増大するから、特許文献1に記載のような手持ち式洗浄装置にあっては、作業者が手で持った状態で洗浄作業を継続するのが困難になる。また、ホルダーに装着されるノズルの数を2倍〜3倍に増やすと、ホルダーの全長が延びるだけでなく、ホルダーの外径が大幅に大きくなるから、手持ち式洗浄装置としては適当とはいえない。
【0008】
・特許文献2に記載の洗浄装置には、つぎのような複数の課題が残されている。
【0009】
1) 噴射ノズルから高圧水が扇形状や円錐状に拡散するように噴射されるから、噴射力が弱く、洗浄能力が低い。
【0010】
2) 円周上に等間隔に配置され中心軸周りに一方向に回転する複数の噴射ノズルに対して洗浄水を半径方向の中心部を通る洗浄水供給路より分配し、円周方向の一定角度の範囲で各噴射ノズルより順番に洗浄水を噴射させるが、分配する洗浄水供給路側のポート口径r2と分配される噴射ノズル流路側のポート口径r1との比(ポート比:k= r2/r1)につ
いては一切言及されていない。
【0011】
3) 回転型分配弁(リング状ボディ)に複数の噴射ノズルを円周方向に配置し、かつ長手方向に沿って一定ピッチで複数列を配置した構造からなる。このため、噴射ノズル数が増えた際に必要な流量の確保が困難で、洗浄能力に限りがある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、上記の特許文献2に記載の洗浄装置に比べて洗浄能力が大幅に高く、噴射ノズル数の増加に伴う洗浄水流量の確保が容易であり、装置の構造を簡略化して小型・軽量化を図れ、洗浄時に装置の振動が生じにくく、均一で効率的な洗浄ができる回転型高圧水噴射式洗浄方法および同装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明の回転型高圧水噴射洗浄方法は、高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射洗浄方法であって、ノズルピッチよりも狭いノズル径の複数の高圧水噴射ノズルを洗浄対象物の幅方向および搬送方向に対し傾斜させて軸方向に配列するとともに、円周方向に等間隔に配置した複数の高圧水噴射ノズル列を前記洗浄対象物の幅方向の両端に跨って一定ピッチで軸方向に配列し、前記高圧水噴射ノズル列は一方向に回転させながら円周方向に配置した複数の高圧水噴射ノズルから一回転中の所定回転角度の範囲内で高圧水を噴射させて洗浄し、かつ前記洗浄対象物の搬送速度に対応して前記高圧水噴射ノズルの回転速度、軸方向のノズルピッチ、前記高圧水噴射ノズルの円周方向の数および前記洗浄対象物と前記高圧水噴射ノズルとの距離を設定することを特徴としている。
【0014】
このようにすることにより、洗浄対象物のほぼ全面に対し高エネルギー密度の洗浄を均一に施すことができる。なお、前記高圧水噴射ノズルの回転速度、軸方向のノズルピッチ
、前記高圧水噴射ノズルの円周方向の数および前記洗浄対象物と前記高圧水噴射ノズルとの距離については限定されるものでなく、洗浄条件により、適宜設定される。
【0015】
上記の課題を解決するために本発明の回転型高圧水噴射式洗浄装置は、高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射式洗浄装置であって、円周方向に沿って等間隔に配列した複数の前記噴射ノズルを、一定の間隔をあけて長手方向に沿って複数列設けたノズルホルダーと、前記ノズルホルダーと一体回転可能に接続され前記各噴射ノズルの流路に連通可能で長手方向に沿った複数の流路(高圧水供給路)を円周方向に等間隔に設けたロータ部および前記ロータ部が相対回転可能に支持されるハウジングとを有する回転型分配弁と、前記ノズルホルダーおよび前記ロータ部の回転装置とを備え、前記ハウジングから高圧水を前記ロータ部の複数の噴射ノズル流路に順次・間欠的に供給し、前記ノズルホルダーの複数の噴射ノズルから高圧水を順番にかつ間欠的に一方向に噴射させることを特徴としている。
【0016】
上記の構成を有する本発明の回転型高圧水噴射式洗浄装置によれば、高圧水供給源から高圧水が回転型分配弁に導入され、同回転型分配弁で円周方向に複数等分に分配されてノズルホルダーの各噴射ノズル流路へ順次供給される。ロータ部は回転装置により一方向に回転するが、前記ロータ部の半径方向の外方あるいは中心部から高圧水が前記ロータ部へ供給される。そして、ロータ部において高圧水が複数の各噴射ノズルに分配される際、円周方向に均等に配列した各噴射ノズルに所定の回転角度位置で流量の変動が起きないように分配することが重要である。このためには、回転型分配弁の分配部において高圧水導入部/噴射ノズル流路(供給路)のポート口径の比であるポート比を規定するのが望ましい
が、これについては後述する。また、前記回転型分配弁を経由して複数の各噴射ノズルに分配された高圧水は所定の回転角度の範囲内において一方向に回転しながら噴射される。複数の噴射ノズルは所定の速度で連続回転するため、振動がなくスムーズな回転の下に高圧水の噴射が遂行される。
【0017】
請求項3に記載のように、前記ノズルホルダーは、洗浄対象物の搬送方向および幅方向に対して傾斜させかつ前記洗浄対象物の幅より長くすることが好ましい。
【0018】
このようにすれば、各噴射ノズル径とほぼ同一の大きさで一直線状の噴流からなる高圧水を洗浄対象物に当てて洗浄でき、扇形噴流に比べて極めて大きなエネルギー密度の洗浄力が得られる。しかも、図10のように直線状の噴流で洗浄されるにも拘わらず、図11に示すように洗浄対象物のほぼ全面を均等に洗浄することができる。
【0019】
請求項4に記載のように、前記ロータ部は、前記ハウジングの中心孔部または外周に相対回転可能に備えることができる。
【0020】
このようにすれば、高圧水導入路より外部の高圧水源から高圧水を導入し、相対回転するロータ部の円周方向に等間隔に配置された複数の噴射ノズル流路(高圧水供給路)に順次高圧水を分配することができる。
【0021】
請求項5に記載のように、高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポートの形状と分配される前記噴射ノズル流路のポートの形状が円形または矩形にすることができる。
【0022】
前記各ポートの形状を円形にすれば加工が容易になる一方、各ポートの形状を矩形にすれば過渡領域の流量線図は直線的になり、隣接ポート間の流量和は100%になって流量変動がなくなる。
【0023】
請求項6に記載のように、高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口径(d2=r2)と分配される前記噴射ノズル流路のポート口径(d1=r1)とのポート比が3以上(r2/r1≧3)としたり、請求項7に記載のように、高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口と、分配される前記噴射ノズル流路のポート口が、略矩形となるようにすることが好ましい。
【0024】
本発明の洗浄装置における洗浄に100%寄与しているのは高圧水の流量が100%の領域であるから、ポート比が3の場合には、図12に示すように全体の2/3(67%)が流量100%で正常に洗浄されることになる。したがって、ポート比を3以上の、できるだけ大きな値にすることにより、洗浄力が増大しかつ一回転中の流量の変動幅も図13に示すように緩和される。
【0025】
請求項8に記載のように、前記ノズルホルダーの一端を軸受により回転可能に支持し、前記ノズルホルダーの他端を前記ロータ部の一端に一体回転可能に接続し、前記ロータ部の他端に回転装置を接続して洗浄対象物の搬送方向に回転させるようにするとともに、前記回転型分配弁の構造を軸芯の半径方向の外方から高圧水を供給することができる。
【0026】
このようにすれば、回転装置、回転型分配弁のロータ部、ノズルホルダーおよび軸受の各構成部材の接続が容易になる。また、定期交換が必要なシール類は回転型分配弁に設ければよいので、交換が容易でメンテナンス性に優れる。
【0027】
請求項9に記載のように、前記ハウジングを複数のポート(高圧水導入路)を備えた構造としたり、請求項10に記載のように、前記ロータ部を前記ノズルホルダーの両端に接続したりすることができる。
【0028】
例えばポート比=5とした場合に2r1=5とすると、2r2=25となる。ここで、円周方向の噴射ノズル数を例えば6とすると、ロータ部4aの直径D=50mmとなる。高圧水供給路41の最小径は通常5mmであり、圧損を抑えるために最小径の流速を10m/sとすると、最大流量は12リットル/分となる。洗浄対象物xの幅方向の長さ1mにつき24リットル/分の高圧水流量が必要になると仮定すると、通常の1ポート式回転型分配弁では流量不足になるので、請求項9のようにノズルホルダーの両端に回転型分配弁のロータ部をそれぞれ接続するか、あるいは請求項8のように複数ポート式回転型分配弁をノズルホルダーの一端に接続するかすることで、流量不足を解消できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る回転型高圧水噴射式洗浄装置は上記の構成を有するから、次のような優れた効果を奏する。すなわち、
ノズルホルダーの一方向への回転時に多数の噴射ノズルから一直線状の高圧水が洗浄対象物に対して高圧下で噴射され、洗浄作業が行われる。ノズルホルダーを洗浄対象物の幅方向および搬送方向に対して傾斜させた状態で一方向に回転する場合に、図11に示すように一方向に傾斜する多数の直線状の洗浄軌跡がノズルピッチの間隔で相互に平行に形成されるから、洗浄対象物の幅方向(搬送方向に直交する方向)にわたって一定幅の洗浄領域が形成される。したがって、洗浄対象物をその洗浄領域を横切るように一定速度で搬送することにより、洗浄対象物の全面に対して高圧下で一直線状の高圧水を均一にかつ洗浄密度を高く保って噴射させられるので、高い洗浄力が得られ、洗浄ムラが生じにくい。しかも、先願(特願2008−311337)の揺動型高圧水噴射式洗浄装置に比べて装置の構造が簡
単で、運転時に振動が発生しにくく、ノズルホルダーの回転速度を高くでき、ノズルホルダーの小型軽量化が図れ、コストダウンも図れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)は本発明の回転型高圧水噴射式洗浄装置の実施形態を示す正面視断面図で、図1(b)は図1(a)に示す高圧洗浄液噴射式洗浄装置のb−b断面図、図1(c)は図1(a)に示す高圧洗浄液噴射式洗浄装置のc−c断面図である。
【図2】図2(a)は図1の高圧洗浄液噴射式洗浄装置の全体を概略的に示す正面図、図2(b)は図1の高圧洗浄液噴射式洗浄装置の変形例を示す一部を省略した断面図である。
【図3】図3(a)は回転型分配弁のロータ部4aの高圧水供給路41としての円形状ポートとハウジング4bの高圧水導入路45としての円形状ポートとの相対変位を示す概要平面図、図3(b)はロータ部4aの高圧水供給路41としての円形状ポートとハウジング4bの高圧水導入路45としての円形状ポートとの相対変位を示す概要断面図、図3(c)は回転型分配弁全体を示す断面図である。
【図4】図4(a)は回転型分配弁のロータ部のポートのピッチとこれに隣接するハウジングのポートとの流量の関係を示すグラフ、図4(b)(c)はロータ部のポートとこれに隣接するハウジングのポートとの過渡領域の流量の和を計算するための説明図である。
【図5】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態2を示す、図1に対応する断面図である。
【図6】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態3を示す、図1に対応する断面図である。
【図7】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態4を示す、図1に対応する断面図である。
【図8】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態5を示す、図1に対応する断面図である。
【図9】本発明の高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態6を示す、図1に対応する断面図である。
【図10】図10(a)は噴射ノズル21から直線状高圧水を噴射する状態を示すノズルホルダー2の正面図、図10(b)は同右側面図、図10(c)は同平面図である。
【図11】図1の高圧水噴射式洗浄装置による洗浄態様を示す平面図である。
【図12】ポート比kが3の場合のロータ部のポートのピッチとこれに隣接するハウジングのポートとの流量の関係を示すグラフで、図12(a)は円周上の噴射ノズル21が5つの時、図12(b)は同6つの時、図12(c)は同8つの時を表している。
【図13】ポート比kを3以上の、できるだけ大きな値にすることにより、洗浄力が増大しかつ一回転中の流量の変動幅が緩和されることを表すための説明図としてのグラフである。
【図14】ポート比kを横軸に、過渡域の流量(ポート(1)とポート(2)の合計)を縦軸にとったグラフである。
【図15】ポート比kを横軸に、流量100%領域の比率εを縦軸にとったグラフである。
【図16】ロータ部の円周上に均等に配列された6本の高圧水供給路41にハウジング4bの高圧水導入路45から高圧水が順に分配される状態を表すグラフである。
【図17】回転型分配弁4の隣接するポートの過渡領域を10°とすると、流量100%の領域は50°になることを表すグラフである。
【図18】図18(a)は隣接する各ポートの形状を矩形にした場合の図3(a)に対応する概要平面図、図18(b)は図18(a)のx−x断面図、図18(c)は隣接する各ポートの形状を矩形にした場合に過渡領域の流量線図は直線的になり、隣接ポート間の流量和は100%になって流量変動がなくなることを表す説明図としてのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る回転型高圧水噴射式洗浄装置の実施の形態について説明する。
【実施形態1】
【0032】
図1・図2に示すように、本実施形態の回転型高圧水噴射式洗浄装置1は、円周方向に6つの高圧水液噴射ノズル21を等間隔に設けた噴射ノズル列3を、長手方向(軸方向)に沿って一定ピッチで配列したノズルホルダー2を備えている。円周方向の高圧水液噴射ノズル21の個数は6つに限るものでなく、4つ、5つあるいは7つ以上であってもよい。ノズルホルダー2の一端には、ノズルホルダー2とは分離された回転型分配弁4のロータ部4aがノズルホルダー2の一端に対し一体回転可能に接続されている。回転型分配弁4は直方体状のハウジング4bの中央孔部に円柱体状のロータ部4aを回転可能に備えている。ハウジング4bにの周状の一部には、半径方向外方に向けて、導入口46を開口した高圧水導入路45が軸方向または軸方向に直交して設けられ、この導入路45の導入口46に外部の高圧水供給路(図示せず)が接続されている。なお、回転型分配弁4において、回転部分をロータ部4a、固定配管がされている部分をハウジング4bとしている。
【0033】
図2(a)に示すように、ノズルホルダー2の一端は軸受装置6の軸受61によって回転可能に支持されている。一方、回転型分配弁4のロータ部4aの一端は回転装置7の接続部7aに接続され、ロータ部4aとノズルホルダー2とが回転装置7により一方向に一体的に回転する。
【0034】
ノズルホルダー2は、図1(c)に示すように正六角形の断面からなり、高圧水噴射ノズル21が各平面2aに2つずつ周方向に等間隔に配列されている。ノズルホルダー2内には、各平面2a上の2つの高圧水噴射ノズル21に対し共通の高圧水供給路22が、円周方向に等間隔にかつ軸方向に沿って平行に合計6本穿設されている。
【0035】
また、ロータ部4aには、図1(a)に示すように高圧水供給路41が、円周方向に等間隔にかつ軸方向に沿って平行に合計6本穿設されている。各高圧水供給路41はノズルホルダー2の高圧水供給路22と同一形状・同一口径で、両供給路41・22は一連に連通される。
【0036】
さらに、図2(b)に示すようにハウジング4bの高圧水導入路45に導入された高圧水は、ロータ部4a内の6本の高圧水供給路41に均等に分配されるが、高圧水導入路45のポート(2)の口径d2(2r2)と高圧水供給路41のポート(1)の口径d1(2r1)の関係であるポート比は、つぎのように規定されている。
【0037】
すなわち、d2/d1=2r2/2r1≧3
1.各ポートの関係式
図3(a)〜(c)に示すように、r1円の円周角をλ、r2円の円周角をμ、ロータ部4aの半径をRとすると、
sinλ=r1/R、 sinμ=r2/R ∴r2/r1=sinμ/sinλ
逆にR=r2/sinμ又はR=r1/sinλ
ポートの円周方向の角度ピッチΘ=360°/n (nは円周方向のポート数)
また、図4(a)からΘ=2μ
過渡領域:a〜bのr1円の中心の移動角度は2λ、流量100%の範囲(b〜c)の移動角度は2(μーλ)、同様に過渡領域(c〜d)の移動角度は2λ、これらの関係を図4(a)に示す。
2.r2/r1=k≧3に限定する理由もしくは根拠
1)過渡領域の流量(隣接するポートに流れている流量の和)
流量はホ゜ートの開口面積に概ね比例するから、以下に過渡領域の開口面積を導く。
【0038】
過渡領域の開口面積Aは、図4(b)(c)において割円(1)と割円(2)の和になる。
【0039】
過渡領域はロータ部の回転角度θが0から2λの範囲、つまり0≦θ≦2λである。但しr1=r2の場合は、
0≦θ≦2λ=2μ
図4(b)(c)の角度αとβの関係式は
r1sinα=r2sinβ (1)
r1cosα+r2cosβ=2Rsin(θ/2) (2)
円r1の面積:A1=πr12
円r2の面積:A2=πr22
割円(1)の面積:a1=A1×α/180−r12cosαsinα=r12(πα/180−cosαsinα)
割円(2)の面積:a2=A2×β/180−r22cosβsinβ=r22(πβ/180−cosβsinβ)
開口面積:A=a1+a2
開口率:η=A/A1=(a1+a2)/A1
={r12(πα/180−cosαsinα)+r22(πβ/180−cosβsinβ)}/πr2
={(πα/180−cosαsinα)+(r2/r1)2(πβ/180−cosβsinβ)}/π
r2/r1=kとおくと、上式は
η={(πα/180−cosαsinα)+k2(πβ/180−cosβsinβ)}/π (3)
上式の(1)、(2)からα、βを求め、(3)式に代入すると、開口率ηがkの変数として求
まる。
【0040】
k=r2/r1を1〜10まで変えた場合の開口率(流量)のグラフを図14に示す。
【0041】
図14はk=r2/r1を横軸に、過渡域の流量(ポート(1)とポート(2)の合計)を縦軸に
とったグラフである。
【0042】
k=r2/r1=1の場合は約82%、
k=r2/r1=2の場合は約90%、
k=r2/r1=3の場合は約93.5%、
k=r2/r1=4の場合は約95%
図14に示すように、k=r2/r1=2以上あれば、開口率(流量)は90%、流量の変動は10%以内に収まる。
2)分配された水の流量の内100%の流量の比率
一つのポートに水が流れている角度は2(μ+λ)、開口率100%の範囲は2(μ−λ)
、
両者の比ε=(μ−λ)/(μ+λ)は一つのポートに流量100%で流れている比率を示
す。
【0043】
このεの値が大きいほど流量100%の範囲が広くなり、それだけ能率の良いことを示す。
【0044】
逆にεが小さいと他のポートに流れている水が多いことになり、分配弁4の機能が発揮できていないことになる。
【0045】
次にこのεをr2/r1で表す。
【0046】
μおよびλをラジアンで表すと、μ=円弧2r2/R,λ=円弧2r1/Rとなり、
円弧の長さを弦の長さで近似すると、μ≒2r2/R,λ≒2r1/R
したがって、μ/λ≒r2/r1=kとなり、
ε= (μ−λ)/(μ+λ)=[(μ/λ)−1]/[(μ/λ)+1]≒k−1/k+1
図15はk=r2/r1に対する流量100%の比率εを示すグラフである。
【0047】
k=r2/r1=1の場合 ε=0% つまり100%の流量範囲は無しということ。
【0048】
k=r2/r1=2の場合 ε≒33%
k=r2/r1=3の場合 ε≒50%
k=r2/r1=4の場合 ε≒60%
kの値が大きいほどεは大きくなる。
【0049】
図15に示すように、k を3以上にすると流量100%の比率εは50%が確保でき
る。
【0050】
以上、過渡域の総流量(変動幅)と水(流体)の分配開始から分配終了までで100%分配されている比率の2点から、k=r2/r1の値は、3以上が望ましい。
【0051】
ところで、本発明の洗浄装置1における最重要ポイントは、ロータ部4aの円周上に均等に配列された6本の高圧水供給路41にハウジング4bの高圧水導入路45から高圧水が流量変動を起こさないように、図16のように分配されるようにすることである。6本の高圧水供給路41を通って高圧水は、6つの各噴射ノズル21から順に所定回転角度の範囲内で噴射される。図17に示すように、過渡領域を10°とすると、流量100%の領域は50°になり、この50°の角度範囲では正常に洗浄作業が行われる。ここで、図16のように高圧水を均等に分配するには、回転型分配弁4の分配部におけるポート形状を決定する必要がある。
【0052】
例えば、図3(a)に示すように、円形状のd1ポートが円形状のd2ポートに対しa〜dのように一定速度で移動してd2ポートに重なった後、通過したとすると、d2−d1=2(r2−r1)=50°で、2r1=10°であるから、2r2=60°になり、ポート比kは6にな
る。したがって、例えばr1=15mmとすると、r2=90mmとなる。
【0053】
ポート比k=3で100%の流量効率は略67%、ポート比=5で略80%に上昇し、ポート比k=6で略83%となり、ポート比は3以上で大きくなればなるほど、流量効率いいかえれば洗浄能力が高くなる。また、図13に示すように1回転中の流量の変動幅もポート比を大きくすることにより緩和される。
【0054】
さらに、図18(a)(b)のようにポートの開口形状を略矩形となるように面取り加工もしくは座ぐり加工等すれば、図18(c)に示すように過渡領域の流量線図は連続的になり、隣接ポート間の流量和は100%近くになって流量変動がなくなる。一方、加工上からポートを図3(a)に示すように円形状にする場合は、隣接ポート間で流量変動が発生するから、ポンプの負荷を回避するためにアキュムレータなどを挿入することが望ましい。
【0055】
多数の高圧水噴射ノズル列3が、ノズルホルダー2の軸方向に沿って一定ピッチで配列されている。ノズルホルダー2は洗浄対象物xの幅方向に対し30°(同搬送方向に対し60°)傾斜して設けられている。ノズルホルダー2の長さは洗浄対象物xの幅より長く、また傾斜状態において洗浄対象物xの幅方向の端から端までを十分にカバーできるように洗浄対象物xの両端間に跨って伸びている。なお、ノズルホルダー2の傾斜角度は洗浄対象物xの搬送方向に対し、45°〜80°の範囲で調整される。
【0056】
高圧水噴射ノズル21のノズル穴径dはノズルホルダー2の軸方向におけるノズルピッチよりも狭く、各噴射ノズル21からは高圧水が一直線状に噴射されるが、ノズルホルダー2を洗浄対象物xの搬送方向(および幅方向)に対し傾斜させて配列しており、ノズル
ホルダー2に一定ピッチで配列された各列の6つの高圧水噴射ノズル21は回転装置7により一方向に回転しながら円周方向の6つのうち1つ又は2つの高圧水噴射ノズル21から回転角度で略60°の範囲で高圧水が噴射される。できれば、洗浄対象物xの搬送速度Vに対応して高圧水噴射ノズル21の回転速度、洗浄対象物xと高圧水噴射ノズル21との距離を調整することが望ましい。
3.高圧水噴射ノズルとノズルホルダーの説明
1)高圧水噴射ノズル21
噴流が扇形に広がるものではなく、ノズル穴径とほぼ同じ太さの1本の細い直進形の噴
流を出すノズルである。このため噴流のエネルギー密度が扇形ノズルに比べて2桁以上高
い、そのため洗浄能力が大きい。すなわち、エネルギー密度比(概算):38×d/(πd2/4)≒48/d
一例としてd=0.2mmとすると、240倍になる。
2)ノズルホルダー2の取付角度
しかし、上記の直進ノズル21では幅広く洗浄できない(僅かdmmの幅)。
【0057】
そこで、ノズルホルダー2の取付角度を洗浄対象物xの搬送方向に対して90°から60°ぐらいに傾ける。
【0058】
そのようにすることで、図11のような線状の模様が被洗浄物xの全域にできる。
【0059】
被洗浄物xの送り速度V、回転ノズルホルダー2の回転数、円周方向のノズル数(ピッ
チ)、軸方向のノズルピッチ、洗浄ノズル21の取り付け角度、回転ノズルホルダー2の回転中心と被洗浄物との間隔などに依って洗浄品質に影響を与える模様密度は調整が可能である。
【0060】
洗浄は1本の線状しかできない。図11のような線状の模様ができる。噴流が当ってい
ないところもあるが一応全域を洗浄することができる。
【0061】
さて、図2(b)に示すように、ロータ部4aはハウジング4bの中心孔部内に軸受44を介して回転可能に配設され、高圧水導入路45を挟んで円周方向にリング状のシール装置43がそれぞれ装着されている。シール装置43の寿命は周速度に反比例するから、同一回転数の場合にロータ部4aの外径Dは小さいほど寿命が長くなる。また、本発明のノズルホルダー2は一方向に連続回転する回転型であるため、性能上から回転型は正逆に往復回転する先願の揺動型に比べて振動が少ないため回転数が比較的高くできる。結果として回転型は例えば1000rpmのところ揺動型は500rpmと約半分の揺動速度となり、同じ洗
浄密度とすると被洗浄物の送り速度は半分になる(生産性半分)。
【実施形態2】
【0062】
図5は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態2を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態2の高圧水噴射式洗浄装置1−1は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−1では、ロータ部4aとハウジング4bとの位置関係が逆になり、ハウジング4bが軸芯部に位置し、その周囲に直方体状のロータ部4aが設けられている。ハウジング4bが軸受装置6に支持され、ノズルホルダー2の一端に回転装置7が接続される。ノズルホルダー2とロータ部4aとが接続され、両者は回転装置7により一方向に回転する。本実施形態の洗浄装置1−1の場合にも、高圧水導入路45のポート口径d2と高圧水供給路41のポート口径d1とのポート比kを3以上に規定する必要があることに変わりはない。
【0063】
その他の構成および作用については上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と共通するので、説明を省略し、共通の構成部材は同一の符号を用いて図示する。
【別の実施形態3〜6】
【0064】
図6は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態3を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態3の高圧水噴射式洗浄装置1−2は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−2では実施形態1の洗浄装置1に用いた1ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の両端に接続されて高圧水の供給量を増大している。
【0065】
図7は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態4を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態4の高圧水噴射式洗浄装置1−3は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−3では実施形態1の洗浄装置1とは異なり、高圧水導入路45を2つに増やした2ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の一端に接続されて高圧水の供給量を増大している。
【0066】
図8は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態5を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態5の高圧水噴射式洗浄装置1−4は、下記の点が上記実施形態の高圧水噴射式洗浄装置1と相違する。洗浄装置1−4では高圧水導入路45を3つに増やした3ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の両端にそれぞれ接続されて高圧水の供給量を増大している。
【0067】
図9は高圧水噴射式洗浄装置の別の実施形態6を示す、図1に対応する断面図である。本実施形態6の高圧水噴射式洗浄装置1−5は、下記の点が上記実施形態2の高圧水噴射式洗浄装置1−1と相違する。洗浄装置1−5では実施形態2の洗浄装置1−1に用いた1ポート式回転型分配弁4が、ノズルホルダー2の両端にそれぞれ接続されて高圧水の供給量を増大している。また、本実施形態では、洗浄装置1−5の両端に軸受装置6を備え、ノズルホルダー2の後方の回転装置7でノズルホルダー2とロータ部4aを回転する。
【0068】
ところで、繰り返しになるが、上記したように各高圧水噴射ノズル21から噴射される洗浄液(洗浄水を含む)は、図11に示すように高圧下で1本の直線状になって噴射されるようになっている。各高圧水噴射ノズル21から噴射される洗浄液は1本の直線状で洗浄能力(洗浄力)が大きい。また、各高圧水噴射ノズル21から噴射される洗浄液は1本の直線状であるが、洗浄対象物xの幅方向および搬送方向に対しノズルホルダー2を傾斜させて配置しており、洗浄対象物xをローラコンベヤ(図示せず)などの搬送機構によって所定の速度で搬送するので、両者の速度を調整することにより、洗浄対象物xの全面をほぼ隙間なく洗浄することができる。
【0069】
矢印方向yに搬送される洗浄対象物xは、多数の高圧水噴射ノズル21から噴射される高圧洗浄液の直線状の傾斜した軌跡が平行に等間隔に並んで構成される洗浄領域を図11のように横切るように移動することになるから、洗浄対象物x上の全面がほぼ隙間なく洗浄液にて洗浄されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、主に、FPD(フラットパネルディスプレイ)や大型板状ガラスや半導体ウエハーなどの平坦な板状物を高圧洗浄液を噴射して洗浄する高圧洗浄液噴射洗浄装置として利用される。
【符号の説明】
【0071】
1・1−1〜1−5 回転型高圧水噴射式洗浄装置
2 ノズルホルダー
3 噴射ノズル列
4 回転型分配弁
4a ロータ部
4b ハウジング
6 軸受装置
7 回転装置
7a 接続部
21 高圧水液噴射ノズル
22,41 高圧水供給路
43 シール
45 高圧水導入路
46 導入口
61 軸受
x 洗浄対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射洗浄方法であって、
ノズルピッチよりも狭いノズル径の複数の高圧水噴射ノズルを洗浄対象物の幅方向および搬送方向に対し傾斜させて配列するとともに、
円周方向に等間隔に配置した複数の高圧水噴射ノズル列を前記洗浄対象物の幅方向の両端に跨って一定ピッチで軸方向に配列し、
前記高圧水噴射ノズル列は一方向に回転させながら円周方向に配置した複数の高圧水噴射ノズルから順次一回転中の所定回転角度の範囲内で高圧水を前記洗浄対象物に噴射させて洗浄し、
前記洗浄対象物の搬送速度に対応して前記高圧水噴射ノズルの回転速度、軸方向のノズルピッチ、前記高圧水噴射ノズルの円周方向の数および前記洗浄対象物と前記高圧水噴射ノズルとの距離を設定することを特徴とする回転型高圧水噴射洗浄方法。
【請求項2】
高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射式洗浄装置であって、
円周方向に沿って等間隔に配列した複数の前記噴射ノズルを、一定の間隔をあけて長手方向に沿って複数列設けたノズルホルダーと、
前記ノズルホルダーと一体回転可能に接続され前記各噴射ノズルの流路に連通可能で長手方向に沿った複数の流路(高圧水供給路)を円周方向に等間隔に設けたロータ部および前記ロータ部が相対回転可能に支持されるハウジングとを有する回転型分配弁と、
前記ノズルホルダーおよび前記ロータ部の回転装置とを備え、
前記ハウジングから高圧水を前記ロータ部の複数の噴射ノズル流路に順次・間欠的に供給し、前記ノズルホルダーの複数の噴射ノズルから高圧水を順番にかつ間欠的に一方向に噴射させることを特徴とする回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズルホルダーは、洗浄対象物の搬送方向および幅方向に対して傾斜させ、かつ前記洗浄対象物の幅より長くした請求項2に記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項4】
前記ロータ部は、前記ハウジングの中心孔部または外周に相対回転可能に備えている請求項2または3に記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項5】
高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポートの形状と分配される前記噴射ノズル流路のポートの形状が円形または矩形である請求項2〜4のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項6】
高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口径(2r2)と分配される前記噴射ノズル流路のポート口径(2r1)とのポート比が3以上(r2/r1≧3)である請求項5に記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項7】
高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口と、分配される前記噴射ノズル流路のポート口が、略矩形となるようにした請求項6記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項8】
前記ノズルホルダーの一端を軸受により回転可能に支持し、前記ノズルホルダーの他端を前記ロータ部の一端に一体回転可能に接続し、前記ロータ部の他端に回転装置を接続して洗浄対象物の搬送方向に回転させるようにするとともに、前記回転型分配弁の構造を軸芯の半径方向の外方から高圧水を供給する請求項2〜7のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項9】
前記ハウジングを複数のポート(高圧水導入路)を備えた構造とした請求項2〜8のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項10】
前記ロータ部を前記ノズルホルダーの両端に接続した請求項2〜9のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項1】
高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射洗浄方法であって、
ノズルピッチよりも狭いノズル径の複数の高圧水噴射ノズルを洗浄対象物の幅方向および搬送方向に対し傾斜させて配列するとともに、
円周方向に等間隔に配置した複数の高圧水噴射ノズル列を前記洗浄対象物の幅方向の両端に跨って一定ピッチで軸方向に配列し、
前記高圧水噴射ノズル列は一方向に回転させながら円周方向に配置した複数の高圧水噴射ノズルから順次一回転中の所定回転角度の範囲内で高圧水を前記洗浄対象物に噴射させて洗浄し、
前記洗浄対象物の搬送速度に対応して前記高圧水噴射ノズルの回転速度、軸方向のノズルピッチ、前記高圧水噴射ノズルの円周方向の数および前記洗浄対象物と前記高圧水噴射ノズルとの距離を設定することを特徴とする回転型高圧水噴射洗浄方法。
【請求項2】
高圧水を洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する複数の高圧水噴射ノズルを備えた回転型高圧水噴射式洗浄装置であって、
円周方向に沿って等間隔に配列した複数の前記噴射ノズルを、一定の間隔をあけて長手方向に沿って複数列設けたノズルホルダーと、
前記ノズルホルダーと一体回転可能に接続され前記各噴射ノズルの流路に連通可能で長手方向に沿った複数の流路(高圧水供給路)を円周方向に等間隔に設けたロータ部および前記ロータ部が相対回転可能に支持されるハウジングとを有する回転型分配弁と、
前記ノズルホルダーおよび前記ロータ部の回転装置とを備え、
前記ハウジングから高圧水を前記ロータ部の複数の噴射ノズル流路に順次・間欠的に供給し、前記ノズルホルダーの複数の噴射ノズルから高圧水を順番にかつ間欠的に一方向に噴射させることを特徴とする回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズルホルダーは、洗浄対象物の搬送方向および幅方向に対して傾斜させ、かつ前記洗浄対象物の幅より長くした請求項2に記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項4】
前記ロータ部は、前記ハウジングの中心孔部または外周に相対回転可能に備えている請求項2または3に記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項5】
高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポートの形状と分配される前記噴射ノズル流路のポートの形状が円形または矩形である請求項2〜4のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項6】
高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口径(2r2)と分配される前記噴射ノズル流路のポート口径(2r1)とのポート比が3以上(r2/r1≧3)である請求項5に記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項7】
高圧水の分配部において分配する前記高圧水供給路のポート口と、分配される前記噴射ノズル流路のポート口が、略矩形となるようにした請求項6記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項8】
前記ノズルホルダーの一端を軸受により回転可能に支持し、前記ノズルホルダーの他端を前記ロータ部の一端に一体回転可能に接続し、前記ロータ部の他端に回転装置を接続して洗浄対象物の搬送方向に回転させるようにするとともに、前記回転型分配弁の構造を軸芯の半径方向の外方から高圧水を供給する請求項2〜7のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項9】
前記ハウジングを複数のポート(高圧水導入路)を備えた構造とした請求項2〜8のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【請求項10】
前記ロータ部を前記ノズルホルダーの両端に接続した請求項2〜9のいずれかに記載の回転型高圧水噴射式洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図18】
【図3】
【図4】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図18】
【図3】
【図4】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−240263(P2011−240263A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115109(P2010−115109)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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