説明

回転塗布具

【課題】簡単に塗布具を持ち手部から取り外すことができる、回転塗布具を提供する。
【解決手段】軸を有する塗布具2、および、前記塗布具2の軸5を回転可能に保持する2つの保持部7が設けられた持ち手部3からなり、前記持ち手部3は、上下に配置された第1の持ち手部6と第2の持ち手部6´、および前記第1,2の持ち手部を互いに接続する弾性部材9からなり、前記2つの保持部7は、前記第1の持ち手部6から延伸された第1の保持部8と、前記第2の持ち手部6´から延伸された第2の保持部8´からなり、前記弾性部材9は、前記第1の保持部8の前方と前記第2の保持部8´の前方が互いに近付く方向に弾性力を加えており、前記弾性部材9の弾性力によって、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8´が前記塗布具2の両端で前記軸5を上下に挟んで回転可能に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を塗布する回転塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧を行う際に利用する化粧用具の一つとして、ファンデーション等の化粧料を肌に塗布するパフ等の塗布具が用いられている。このような塗布具は、円形や略矩形の平面形状で、所定の厚みにスポンジを形成したものが一般的であった。このような塗布具では十分に均一の厚さで化粧料を塗布することができないとして、持ち手の部分に塗布具を回転可能に取り付けたローラー式の塗布具を用いたものもいくつか存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなファンデーション等を塗布する塗布具は一般的に洗浄して繰り返し使用するものであるが、特許文献1に開示されているローラー式の塗布具は、使い勝手は良いが、持ち手の部分からスポンジ部分を取り外すことができないので、簡単にそして綺麗に洗浄することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は前記問題を解決するために、簡単に塗布具を取り外すことができる回転塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転塗布具は、塗布具を回転させて化粧料を塗布する回転塗布具であって、中心に軸を有する略円柱形状の塗布具、および、前記塗布具の前記軸を回転可能に保持する2つの保持部が設けられた持ち手部からなり、前記持ち手部は、上下に配置された第1の持ち手部と第2の持ち手部、および前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部を接続する弾性部材からなり、前記2つの保持部は、それぞれ、前記第1の持ち手部の前方から延伸された第1の保持部と、前記第2の持ち手部の前方から延伸された第2の保持部からなり、前記弾性部材は、前記持ち手部の前方に配置されて、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部の後方が互いに離れる方向に、そして、前記第1の保持部の前方と前記第2の保持部の前方が互いに近付く方向に弾性力を加えており、前記弾性部材の弾性力によって、前記第1の保持部と前記第2の保持部が前記塗布具の両端で前記軸を上下に挟んで回転可能に保持し、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部に力を加えて、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部の後方が互いに近付く方向に、前記弾性部材を変形させることにより、前記第1の保持部と前記第2の保持部の前方を互いに離れさせて前記軸の保持を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回転塗布具は、塗布具を回転させて化粧料を塗布する回転塗布具であって、中心に軸を有する略円柱形状の塗布具、および、前記塗布具の前記軸を回転可能に保持する2つの保持部が設けられた持ち手部からなり、前記持ち手部は、上下に配置された第1の持ち手部と第2の持ち手部、および前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部を接続する弾性部材からなり、前記2つの保持部は、それぞれ、前記第1の持ち手部の前方から延伸された第1の保持部と、前記第2の持ち手部の前方から延伸された第2の保持部からなり、前記弾性部材は、前記持ち手部の前方に配置されて、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部の後方が互いに離れる方向に、そして、前記第1の保持部の前方と前記第2の保持部の前方が互いに近付く方向に弾性力を加えており、前記弾性部材の弾性力によって、前記第1の保持部と前記第2の保持部が前記塗布具の両端で前記軸を上下に挟んで回転可能に保持し、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部に力を加えて、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部の後方が互いに近付く方向に、前記弾性部材を変形させることにより、前記第1の保持部と前記第2の保持部の前方を互いに離れさせて前記軸の保持を解除することにより、前記塗布具を簡単に前記持ち手部から取り外すことができるので、前記塗布具を取り外して綺麗に洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の回転塗布具の斜視図である。
【図2】塗布具を持ち手部に力を加えて、保持部の前方の隙間を広げた状態を示す斜視図である。
【図3】塗布具を取り外した状態の回転塗布具の斜視図である。
【図4】持ち手部の斜視図である。
【図5】本発明の回転塗布具の側面図でああり、(a)は塗布具を保持した状態を示し、(b)は塗布具の保持を解除した状態を示す。
【図6】持ち手部の断面図であり、(a)は塗布具を保持した状態を示し、(b)は塗布具の保持を解除した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の回転塗布具1を、図を用いて説明する。図1〜3,5に示すのが本発明の回転塗布具1である。本発明の回転塗布具1は、図1〜3,5に示すように、塗布具2と、前記塗布具2を回転可能に保持する2つの保持部7が形成された持ち手部3から構成され、前記塗布具2に化粧料を付着させて、前記塗布具2を回転させながら化粧料を肌に塗布する構造である。前記塗布具2は、スポンジからなる円筒形状の塗布部分4と、前記塗布部分4の中心を貫通し、前記塗布部分4の両端面から先端がそれぞれ突出した形状の軸5からなる。前記塗布部分4と前記軸5は接着剤等で固定する構造、あるいは前記塗布部分4から前記軸5を取り外し可能とする構造を用いることができる。
【0010】
前記持ち手部3は、図3,4に示すように、上下に配置された第1の持ち手部6と第2の持ち手部6’、および前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’を所定の間隔で接続する弾性部材9から構成される。前記弾性部材9は、図6に示すように、円弧状断面を有する部材であり、円弧状の断面の上下端部に前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’がそれぞれ配置されている。前記弾性部材9は前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の前方に配置され、前記弾性部材9の円弧状の断面が前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の前方に突出する形状であり、前記弾性部材9、前記第1の持ち手部6、および前記第2の持ち手部6’が樹脂で一体成形されていることから、前記弾性部材9は、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’に対してその後方が互いに離れる方向に弾性力を加えている。
【0011】
前記持ち手部3には、図1〜4に示すように、前記軸5の両端を回転可能に保持する2つの保持部7が設けられている。前記2つの保持部7は、それぞれが、前記第1の持ち手部6の前方から延伸された第1の保持部8と、前記第2の持ち手部6’の前方から延伸された第2の保持部8’から構成される。前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’は、クリップのように前記軸5の端部を上下に回転可能に挟み込む構造である。
【0012】
前記第1の保持部8の前方には、前記軸5の端部を挟むために、切り欠き10が形成され、前記第2の保持部8’の前方には、前記軸5の端部を保持するために、上方に湾曲した曲面部分11が形成されている。前記切り欠き10および曲面部分11はそれぞれ前記軸5の端部の側面に合わせた曲面を部分的に有しており、前記切り欠き10と前記曲面部分11の曲面によって形成されるスペースに前記軸5の端部が挿入されることで、前記軸5は回転可能に保持される。
【0013】
また、前記軸5の端部は、図4,6に示すように、段差を有する形状となっており、これに合わせて、前記切り欠き10および前記曲面部分11も、図6に示すように、段差を有する形状としている。前記軸5の端部は先端側が径が小さくなる段差であり、これに対応するように、前記切り欠き10は内側が大きくなるように段差が形成され、前記曲面部分11は内側の曲面が外側の曲面より曲率が大きくなるように段差が形成されている。このように、前記軸5の端部、前記切り欠き10および前記曲面部分11に段差を設けることにより、前記軸5の軸心方向への移動を制限している。
【0014】
前記弾性部材9によって、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’はその後方が互いに離れる方向に力が加えられているが、これによって、前記弾性部材9よりも前方に位置する前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’は、前方が互いに近付く方向に力が加えられている。このような前記弾性部材9による弾性力によって、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’は前記軸5を上下に挟み込むクリップの状態となる。
【0015】
前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’とで、前記軸5を上下に挟み込んだ時、図1,5(a),6(a)に示すように、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’との前方は、完全に閉じているのではなく、隙間12が生じているが、前記隙間12は前記軸5が前方に抜くことのできない大きさとなっている。また、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’とで、前記軸5を上下に挟み込んだ時、図5(a),6(a)前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’との後方の間にも隙間が生じているが、その隙間は切り欠き11の後方の曲面によって前記軸5が後方に移動しない大きさとされている。
【0016】
そして、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’とで、前記軸5を上下に挟み込んだ時、前記軸5は前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’によって押さえ付けられて回転が阻害されないように、前記切り欠き10と前記曲面部分11の曲面によって形成されるスペースは、前記軸5の端部が挿入された時に、前記軸5の周囲に隙間が生じる大きさに形成されている。これにより、前記軸5は、前記切り欠き10と前記曲面部分11の曲面によって形成されるスペース内で回転可能となり、前記保持部7によって前記軸5が回転可能に保持される。
【0017】
このようにして、図1に示すように、前記塗布具2の軸5は、前記2つの保持部7によって両端が保持され、そして、前記軸5の各端は、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’によって上下に回転可能に挟まれて保持されていることにより、前記軸5は前記持ち手部3に回転可能に保持されることとなり、前記塗布具2が前記持ち手部3に回転可能に保持される。
【0018】
本発明の回転塗布具1において、前記塗布具2を前記持ち手部3から取り外す方法について説明する。前記塗布具2を取り外すために、まず最初に、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の後方を手で挟むことで、後方が上下に互いに近付く方向に力を加える。すると、前記弾性部材9が変形して、図2,5(b),6(b)に示すように、前記前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の後方が互いに接近する。この時、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’の前方が互いに離れる方向に移動する。
【0019】
前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’の移動によって、図2,5(b),6(b)に示すように、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’の前方の隙間12が広がる。前記隙間12の大きさが前記軸5の直径よりも大きくなったら、前記軸5を前記保持部7の前方に抜くことができるので、前記塗布具2を持って、前記持ち手部3から離れる方に水平方向に移動させて、前記軸5を前記切り欠き10と前記曲面部分11の曲面によって形成されるスペースから移動させると、前記塗布具2が前記持ち手部3から取り外すことができる。
【0020】
このように、前記塗布具2が前記持ち手部3から取り外されて、図3の状態となると、使用者は前記塗布具2を簡単に洗浄することができる。前記塗布具2の構造が、前記塗布部分4と前記軸5を分解することができる場合には、前記塗布部分4を取り外し、スポンジからなる前記塗布部分4だけを洗浄することもできる。
【0021】
前記塗布具2の洗浄および乾燥が完了したら、前記塗布具2を前記持ち手部3に取り付ける。この時、前記塗布具2が取り外された状態の持ち手部3は、図4,6(a)に示すように、前記弾性部材9によって、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’がその後方が互いに離れる方向に移動し、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’は、前方が互いに近付く方向に移動している。このままでは、前記軸5を前記切り欠き10と前記曲面部分11の曲面によって形成されるスペースに入れることができないので、前記塗布具2の取り外す時と同じように、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の後方を手で挟むことで、その後方が上下に互いに近付く方向に力を加えて、図3,6(b)に示すように、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’の前方の隙間12を広げる。
【0022】
前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’の前方の隙間12が、前記軸5が通過できる間隔となったら、前記塗布具2を持って前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’の前方の隙間12から、図2,5(b)に示すように、前記軸5を前記切り欠き10と前記曲面部分11の曲面によって形成されるスペースに挿入する。そして、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の後方から手を離すと、前記弾性部材9によって、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’はその後方が互いに離れる方向に移動し、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’は、その前方が互いに近付く方向に移動する。
【0023】
その結果、図1,5(a)に示すように、前記塗布具2の軸5は、前記2つの保持部7によって両端が保持され、そして、前記軸5の各端は、前記第1の保持部8と前記第2の保持部8’によって上下に回転可能に挟まれて保持されていることにより、前記軸5は前記持ち手部3に回転可能に保持され、前記塗布具2の前記持ち手部3への取り付けが完了する。
【0024】
前記第1の持ち手部6、前記第2の持ち手部6’、前記弾性部材9、前記第1の保持部8および前記第2の保持部8’は、樹脂によって一体成形されており、前記弾性部材9はその形状および材質を利用して弾性変形する構造としている。
【0025】
前記第1の保持部8の前方に形成された切り欠き10、そして、前記第2の保持部8’の前方に形成された曲面部分11の形状は、ここで説明したものに限定するものではなく、前記軸5を回転可能に保持し、また、前記弾性部材9による前記保持部8,8’の移動によって前記軸5を取り出すことが可能な形状であればよい。例えば、前記切り欠き10と前記曲面部分11を入れ替えることも可能であり、段差を無くすことも可能である。
【0026】
使用時に、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’に力が加わり前記軸5の保持が解除されるのを防ぐために、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の間にロック部材を設けることも可能である。前記ロック部材は、例えば、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’の一方に、折り曲げ可能な板状の部材を設けておき、使用時には、ロック部材を立てた状態にして前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’との間に挟んでおいて互いに近づくのを制限し、前記塗布具2を取り外す際には前記ロック部材を倒してロックを解除する。その他にも、前記持ち手部3とは別部材としておいて、前記第1の持ち手部6と前記第2の持ち手部6’に取り外し可能に配置することも考えられる。
【0027】
本発明の回転塗布具1は、クリップ式の持ち手部3を用いることにより、簡単に前記塗布具2を保持し、そして取り外す構造を用いることが特徴であり、各部材の形状等は適宜変更可能である。本発明の回転塗布具1はこのような構造によって、回転塗布具でも簡単に取り外して洗浄することができ、また、簡単に塗布具を交換することもできるので、塗布具2をいつまでも清潔な状態で使用することができる。
【0028】
本発明において、塗布具以外の全ての部材は樹脂を用いて成形することができる。特に、樹脂を用いて一体成形することにより、製造コストを低減することも可能となる。そして、弾性変形する部材は樹脂の性質および形状を利用して弾性変形可能な構造としている。しかしながら、他の材料を用いて、同じ機能を実現することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 回転塗布具
2 塗布具
3 持ち手部
4 塗布部分
5 軸
6 第1の持ち手部
6’ 第2の持ち手部
7 保持部
8 第1の保持部
8’ 第2の保持部
9 弾性部材
10 切り欠き
11 曲面部分
12 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布具を回転させて化粧料を塗布する回転塗布具であって、
中心に軸を有する略円柱形状の塗布具、および、前記塗布具の前記軸を回転可能に保持する2つの保持部が設けられた持ち手部からなり、
前記持ち手部は、上下に配置された第1の持ち手部と第2の持ち手部、および前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部を接続する弾性部材からなり、
前記2つの保持部は、それぞれ、前記第1の持ち手部の前方から延伸された第1の保持部と、前記第2の持ち手部の前方から延伸された第2の保持部からなり、
前記弾性部材は、前記持ち手部の前方に配置されて、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部の後方が互いに離れる方向に、そして、前記第1の保持部の前方と前記第2の保持部の前方が互いに近付く方向に弾性力を加えており、
前記弾性部材の弾性力によって、前記第1の保持部と前記第2の保持部が前記塗布具の両端で前記軸を上下に挟んで回転可能に保持し、
前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部に力を加えて、前記第1の持ち手部と前記第2の持ち手部の後方が互いに近付く方向に、前記弾性部材を変形させることにより、前記第1の保持部と前記第2の保持部の前方を互いに離れさせて前記軸の保持を解除することを特徴とする回転塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−78489(P2013−78489A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220455(P2011−220455)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)