説明

回転式のシート状物押え杭

【課題】硬い地盤に対しても、ねじ込みにより地中に容易且つ確実にねじ込むことができ、ねじ込まれた状態で、シート状物を地面に安定的に押えて固定できる回転式のシート状物押え杭を提供する。
【解決手段】円板状を呈してシート状物2を押える押え板3の下面中央部は、下方に向けて小径となる円錐部22とされており、該円錐部22の下端で、支持杭6が下方向に突設されている。支持杭6の外周面の少なくとも下側の部分には、螺旋状突部10が設けられている。押え板3の上面の中央部分には、支持杭6の軸線と同心に、ドライバーの先端係合部を挿入させるためのドライバー係合孔部15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防草シートや遮光シート、マルチ等の地面を覆う各種のシート状物を地面に押えて固定するために用いられる回転式のシート状物押え杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マルチ等の農業用シートや緑化用のシート、植物が栽培される植生マット等のシート状物を地面に押えて固定するために用いられる従来のシート状物押え杭の一例としては、実開平6−86442号公報の図2、図3に示すような、円板状や十字状板等の形態を呈してシート状物を押える押え板の下面に、周面が平滑な支持杭を下方向に突設した構成を有するものが提案されており、該シート状物押え杭は、その支持杭を地中に押し込むことによって該押え板がシート状物を押えて地面に固定するものであった。しかしながらこの種のシート状物押え杭は、支持杭の周面が平滑であったために抜けやすく、その結果、風によってシート状物が剥がれてしまう欠点があった。
【0003】
そこで、同公報の図5や実開昭63−187840号公報が開示するような螺旋部付の支持杭を有するシート状物押え杭が提案されている。該シート状物押え杭は、シート状物を押える押え板の下面に支持杭が下方向に突設された構成を有し、該支持杭の外周面に螺旋状突部が設けられると共に前記押え板の上部に把持部が設けられた構成を有していた。そして該シート状物押え杭は、前記把持部を手で把持して、ネジを締める要領で前記支持杭の軸線回りに一方向にのみ回転させることによって支持杭を地中に進入させることができ、最終的に、前記押え板でシート状物を押えてこれを地面に固定するものであった。そして、該螺旋状突部間の凹部に土が入り込んだ状態となることにより、該螺旋状突部が支持杭の抜け出しに対して抵抗となるために、支持杭が地中から抜け出し難くなる利点があった。
【0004】
しかしながら、かかる螺旋状突部を有する押え杭は、その把持部を手で把持して回転させることによって支持杭を地中に押し込むものであったため、地盤が硬い場合は、支持杭の軸線が振れ易いために該支持杭を安定的に回転させて地中に進入させるのが難しかった。又、このように軸線が振れ易いために該支持杭と土との密着が不良となって、地中に押し込んだ状態の支持杭がふらつき易く抜け易い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−86442号公報
【特許文献2】実開昭63−187840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、硬い地盤に対しても支持杭を、木ネジのねじ込みの要領で回転させつつ地中に容易に且つ確実に押し込むことができ、このように押し込まれた状態で、抜け止め防止効果を有効に発揮できてシート状物を地面に安定的に押えて固定させ得るシート状物押え杭の提供を課題とするものである。又、シート状物を撤去したりシート状物を張り替える際には、押え杭を逆方向に回転させれば地中から容易に引き抜くことができる回転式のシート状物押え杭の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る回転式のシート状物押え杭(以下シート状物押え杭という)は、全体が合成樹脂製で一体に形成されており、(円板状を呈して)シート状物を押える押え板の下面中央部に、横断面が円形の支持杭が下方向に突設され、該支持杭の外周面の少なくとも下側の部分には、螺旋状突部が該支持杭の軸線回りに設けられ、該螺旋状突部は、下端に向けて先細りに形成されており、又、前記押え板の上面の中央部分には、前記支持杭の軸線と同心に、上端開放で且つドライバーの先端係合部を挿入させるためのドライバー係合孔部が設けられており、前記押え板の中心部の厚さが前記押え板の外周部の厚さよりも厚く構成され、前記ドライバー係合孔部の深さが、前記押え板の外周部の厚さよりも深く、且つ、前記押え板の中心部の厚さよりも浅く構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
前記シート状物押え杭において、前記押え板の下面中央部には、前記押え板の中心部の厚さを前記押え板の外周部の厚さよりも厚く構成するために、下方に向けて小径となり且つ前記押え板の軸線と同心の円錐部が設け、該円錐部の下端で前記支持杭を下方向に突設し、前記ドライバー係合孔部が該円錐部に達したものとして構成するのがよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係るシート状物押え杭によるときは、防草シートや遮光シート、マルチ等の農業用シートや緑化用のシート等のシート状物を地面に押えて固定する際、ドライバーによって押え杭を、木ネジのねじ込みの要領で、安定的に回転させてねじ込むことができ、支持杭を地中に容易に且つ確実に押し込むことができる。このように地中に押し込まれた状態のシート状物押え杭は、前記螺旋状突部が抵抗となって地中から抜け難く、従って、シート状物を地面に安定的に固定できることとなる。
そして、地中に押し込まれた状態のシート状物押え杭は、ドライバーで逆方向に回転させれば楽に引き抜くことができるため、シート状物の撤去や張り替え作業を容易に行うことができる。
【0010】
(2) 前記押え板の下面中央部を、下方に向けて小径となる円錐部とし、該円錐部の下端で前記支持杭を下方向に突設するときは、該押え板がシート状物を押えた状態において、該シート状物を該円錐部によって地面に食い込むように押し付けることができるため、該押え板によるシート状物の押えをより確実に行うことができる。
又、シート状物支持杭のねじ込みの最終段階においては、該押え板の下面が、該円錐部の下端側から順次外に向かって接触する状態となるため、該押え板の下面の全体が同時にシート状物に接触する場合に比し、押え板の回転に伴うシート状物と押え板の下面との間の摩擦力を軽減できる。これによって、該押え板の回転によってシート状物が捩じれて皺になるのを抑制でき、シート状物をより安定的に地面に固定できることとなる。
【0011】
(3) 前記押え板の上面の中央部分を、盛り上がった叩き用隆起部とするときは、地盤に砂利等を含んでいるためにドライバーで支持杭をねじ込みにくい場合であっても、該叩き用隆起部の平坦な上面を叩くことによって、押え板を損傷することなく支持杭を安全に打ち込むことができる。
【0012】
(4) 叩き用隆起部の上面にプラス状又はマイナス状を呈する逃がし溝部を設ける場合は、前記叩き用隆起部の平坦な上面をハンマーで叩いた際に樹脂が潰れたときも、樹脂の変形物を該逃がし溝部に逃がすことが可能となり、樹脂の変形物が前記ドライバー係合孔部に入り込むのを防止できる。
【0013】
(5) 前記逃がし溝部と前記ドライバー係合孔部とがプラス状を呈する場合、両者のプラスの方向を合致させるときは、該逃がし溝部のプラスの方向を見てドライバー係合孔部のプラスの方向を容易に判別できるため、ドライバーのプラスの先端係合部をプラスのドライバー係合孔部に挿入させ易い。
【0014】
(6) 前記支持軸の下端部分を突き刺し軸部とするときは、該突き刺し軸部の下端でシート状物を突き破って該突き刺し軸部を地面に突き刺すことにより、地中への支持杭の回転押し込みをより安定的に行うことができる。
【0015】
(7) 前記螺旋状突部を前記支持杭の下側の部分のみに設けるときは、シート状物押え杭を、抵抗を極力減じながらねじ込むことができ、又、打ち込むことができる。
【0016】
(8) 前記螺旋状突部を、その断面が、前記支持杭の外周面から外方に向けて先細となる三角形状に形成するときは、支持杭を地中にねじ込む際、該螺旋状突部による土のネジ切りが効果的に行われるため、支持杭を地中にねじ込み易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るシート状物押え杭を示す斜視図である。
【図2】その上端部分を示す断面図である。
【図3】ドライバー係合孔部にプラスドライバーの先端係合部を挿入した状態を示す断面図である。
【図4】シート状物押え杭で防草シートを地面に押えて固定した状態を示す断面図である。
【図5】シート状物押え杭の押え板を示す平面図である。
【図6】支持杭を示す部分断面図である。
【図7】ドライバーの先端係合部をドライバー係合孔部に挿入させ、突き刺し軸部を地面に突き刺した状態を示す断面図である。
【図8】シート状物押え杭のねじ込みの最終段階を示す断面図である。
【図9】多数本のシート状物押え杭を用いて防草シートを地面に固定した状態を示す平面図である。
【図10】支持杭の突き刺し軸部の他の態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1〜4において本発明に係る回転式のシート状物押え杭1は、全体が、例えばポリカーボネート等の合成樹脂を用いて一体に形成されており、円板状を呈してシート状物2を押える押え板3の下面5の中央部に、横断面が円形の支持杭6が下方向に突設され、該支持杭6の外周面7の少なくとも下側の部分9には螺旋状突部10が設けられ、又、前記押え板3の上面11の中央部分には、前記支持杭6の軸線と同心に、上端開放で且つドライバー12の先端係合部13を挿入させるためのドライバー係合孔部15が設けられている。これをより具体的に説明すれば以下の如くである。
【0019】
前記シート状物2は、例えば田や畑の土手などに張り付けられる防草シートや、遮光シート、マルチ等の農業用シート、又、緑化用のシートを含むものである。
【0020】
前記押え板3は、本実施例においては図1(A)、図2〜3に示すように、円板部16の上面17に叩き用隆起部19が設けられてなり、図2に示すように、該叩き用隆起部19の中心20は前記支持杭6の軸線21上に存し、且つ、該叩き用隆起部19の上面18は平坦に形成されている。そして該円板部16の下面中央部には、図1(B)、図2に示すように、下方に向けて小径となり且つ前記押え板3の軸線と同心の円錐部22が設けられており、該円錐部22の下端で、前記支持杭6が下方向に突設されている。そして図1〜3に示すように、前記叩き用隆起部19の上面18の中央部分には前記ドライバー係合孔部15が設けられている。該ドライバー係合孔部15は、例えばプラスドライバー12aの先端係合部13を挿入させるための、平面視でプラス状を呈するドライバー係合孔部15として構成されており、前記ドライバー係合孔部15が、前記支持杭6の軸線21と同心に設けられている。
【0021】
前記ドライバー係合孔部15の周囲部分の肉厚は、前記円板部16の下面中央部分に前記円錐部22が設けられていることから、図2〜3に示すように比較的厚肉に形成されている。その結果、ドライバー係合孔部15の強度アップが図られ、ドライバーによるシート状物押え杭1のねじ込みを安定的に行うことができる。該ドライバー係合孔部15の深さは、本実施例においては例えば10mm程度に設定されているが、要は、先端係合部13をドライバー係合孔部15に挿入した状態で、ドライバー係合孔部15の変形を防止してシート状物押え杭1を確実に回転させることができる程度であればよい。
【0022】
そして本実施例においては図1、図5に示すように、前記叩き用隆起部19の上面18に、平面視でプラス状を呈する前記ドライバー係合孔部15の上端の中心部23を通る、平面視でプラス状を呈する上端開放の逃がし溝部25が設けられており、該ドライバー係合孔部15と該逃がし溝部25のプラスの方向は、図5に示すように合致している。
【0023】
又図1に示すように、前記支持杭6の下側の部分(本実施例においては下側の3分の1強の部分)9は先細りに形成され、該先細りを呈する下側の部分の外周面7には、前記螺旋状突部10が、該支持杭6の下端に向けて先細りに形成されると共に、該支持杭6の下端部分は、前記螺旋状突部10の下端26の下方に突出し且つ下端部27が丸みを帯びた突き刺し軸部29とされている。該螺旋状突部10は、図6に示すように、その断面が、前記支持杭6の外周面7から外方に向けて先細となる三角形状に形成されており、その根元部30の上下幅は2mm程度で、螺旋状突部10のピッチは10mm程度に設定されている。
【0024】
かかる構成を有するシート状物押え杭1の主要部の寸法を例示すれば、前記押え板3の直径は50mm程度、その外周部31の厚さは3mm程度、その中心部32の厚さは11mm程度に設定され、前記叩き用隆起部19の直径は18mm程度に、前記ドライバー係合孔部15の上端33の直径は7mm程度に、前記逃がし溝部25の溝幅は1.2mm程度、その深さは1.5mm程度に、その長さは9mm程度に設定されている。又、前記叩き用隆起部19の直径は18mm程度に、厚さは1.5mm程度に設定されている。又、前記支持杭6の長さは150mm程度に、その上端35の直径は8mm程度に設定されている。そして、前記螺旋状突部10の上端部分37の直径は11mm程度に、その下端部分39の直径は8mm程度に設定されている。又、前記突き刺し軸部29の長さは10mm程度に、その上端34の直径は5.6mm程度に設定されている。
【0025】
然して、かかる構成を有するシート状物押え杭1を用いて、地面40を覆う防草シート2aとしてのシート状物2を押さえて地面40に固定するに際しては、先ず図7に示すように、例えばインパクトドライバー工具のドライバー12の前記先端係合部13を、図3に示すように、前記ドライバー係合孔部15に挿入させる。その際、図5に示すように、該ドライバー係合孔部15と前記逃がし溝部25のプラスの方向が合致しているため、プラス状を呈する先端係合部13をプラス状を呈するドライバー係合孔部15に挿入させる際に、十字状の逃がし溝部25が該挿入の目印ともなり、該挿入を容易に行うことができる。
【0026】
このようにして先端係合部13をドライバー係合孔部15に挿入し且つ前記支持杭6を垂直状態として、前記突き刺し軸部29の下端部27を前記防草シート2aの表面41の所要部位に当てて該ドライバー12を下方向を押し付ける。これにより図7に示すように、該突き刺し軸部29が該防草シート2aを突き破り、該突き刺し軸部29が地面40に突き刺さることになる。この状態で前記インパクトドライバー工具を回転させると、前記支持杭6がその軸線回りに回転し、これにより、地盤が硬い場合であっても該支持杭6が土中にねじ込まれていく。
【0027】
このようなねじ込みは、前記押え板3の下面5が図4に示すように前記防草シート2aの表面41を押さえた状態で終了し、これにより、シート状物押え杭1によって防草シート2aを地面40に固定できることとなる。
【0028】
土中にねじ込まれた状態にあるシート状物押え杭1は、防草シート2aを浮き上げる力に対しては、前記螺旋状突部10間の凹部42に土が入り込んだ状態となって該螺旋状突部10が大きな抵抗となるため、シート状物押え杭1による防草シート2aの押え効果を安定的に発揮させることができ、従って防草シート2aが浮き上がる恐れがない。そして、前記押え板3の下面中央部分に円錐部22が設けられ、該円錐部22の下端で前記支持杭6が突設されていることから、該押え板3が防草シート2aを押えた状態においては、図4に示すように、該防草シート2aが、該円錐部22によって地面40に食い込むように押し付けられると共に該円錐部22よりも外側に存する部分43で地面40に面接触で押し付けられるため、該押え板3による防草シート2aの押えが確実に行われることとなる。
【0029】
そして、シート状物押え杭1のねじ込みの最終段階に近付いたときには図8に示すように、前記押え板3の下面5が、前記円錐部22の下端側から順次外に向かって接触する状態となるため、該押え板3の下面5の全体が同時に防草シート2aに接触する場合に比し、押え板3の回転に伴う防草シート2aと押え板3の下面5との間の摩擦力を軽減できる。加えて、該円錐部22が防草シート2aに接触したときの抵抗感で、インパクトドライバー工具の回転を落とす目安が付くため、このように接触した後はドライバーの回転を落せることとなり、該押え板3と防草シート2aとの間の摩擦力を軽減できることともなる。これらによって、押え板3の回転によって防草シート2aが捩じれて皺になるのを抑制でき、防草シート2aをより安定的に地面40に固定できることとなる。
【0030】
前記螺旋状突部10が、本実施例においては断面三角形状を呈するため、このように支持杭6を地中にねじ込む際、該螺旋状突部10による土のネジ切りが効果的に行われるため、支持杭6を地中にねじ込み易い。又、前記押え板3が円板状を呈するために、回転する押え板3によって怪我をする恐れがない。
【0031】
特に、地盤に砂利等を含んでいるためにドライバーで支持杭6をねじ込みにくい場合は、該押え板3の上面をハンマー等で叩くことによって支持杭6を地中に押し込むことができる。特に本実施例においては、該押え板3の上面の中央部分が、盛り上がった叩き用隆起部19とされているため、該叩き用隆起部19の平坦な上面18を叩くこととすれば、ハンマーで叩く場所を該叩き用隆起部19によって所要に特定できるため、叩き作用によって押え板3を損傷することなく支持杭6を安全に打ち込むことが可能となる。
【0032】
シート状物押え杭1は、前記のように、全体が合成樹脂で一体に形成されているため、該叩き用隆起部19の平坦な上面17をハンマーで叩いた際に、該叩き用隆起部19を構成する樹脂が変形して前記ドライバー係合孔部15に入り込む恐れがある。そこで本実施例においては、前記のように、叩き用隆起部19の上面19に、前記ドライバー係合孔部15の上端の中心部23を通るプラス状の逃がし溝部25を設けている。該叩き用隆起部19が叩き作用によって変形した場合、潰れた樹脂部分がドライバー係合孔部15を塞ぐ恐れがあるが、その樹脂の変形物を該逃がし溝部25に逃がすことが可能となる。これによって、樹脂の変形物が前記ドライバー係合孔部15に入り込むのを防止できドライバー係合孔部15の変形を極力防止できる。その結果、シート状物を撤去したり張り替えるに際して前記シート状物押え杭1をドライバーで逆方向に回転させて引き抜くときには、前記ドライバー係合孔部15へのドライバーの先端係合部13の挿入を障害なく行い得ることとなる。
【0033】
なお本実施例においては、前記螺旋状突部10が前記支持杭6の下側の部分9のみに設けられているため、シート状物押え杭1を、抵抗を極力減じながらねじ込むことができ、又は、打ち込むことができる。そして、このようにねじ込んだり打ち込んだ後は、前記のように、螺旋状突部10が大きな抵抗となって、シート状物押え杭が安定状態で保持される。
【0034】
図9は、多数本のシート状物押え杭1を用いて防草シート2aを地面40に固定した状態を示している。
【実施例2】
【0035】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0036】
(1) 本発明に係るシート状物押え杭1の前記支持杭6に設けられている螺旋状突部10は、地盤が比較的柔らかい場合は、支持杭6の下側の部分だけでなく、その上側の部分にも設けられることがある。
【0037】
(2) 前記ドライバー係合孔部15は、マイナスドライバーの先端係合部13を挿入させ得るように、平面視でマイナス状に設けられることもある。
【0038】
(3) 前記逃がし溝部25は、前記マイナス状を呈するドライバー係合孔部15の上端の中心部を通るマイナス状を呈する如く構成されることもある。この場合、該逃がし溝部25に挿入させ易くするために、該ドライバー係合孔部と該逃がし溝部とは平面視で、マイナスの方向を合致させるのがよい。
【0039】
(4) 前記のように逃がし溝部25を設ける場合、直線状の逃がし溝部にマイナスドライバーの先端係合部を嵌め入れてシート状物押え杭を回転させることも可能である。
【0040】
(5) 前記突き刺し軸部29は、図10に示すように先細に形成されることもある。
【0041】
(6) 本発明に係るシート状物押え杭1は、マルチを押える場合等、比較的柔らかい土に押し込まれる場合は、前記円錐部22や、前記叩き用隆起部19、前記逃がし溝部25、前記突き刺し軸部29が省略されることもある。
【0042】
(7) シート状物押え杭1は、手回し用のドライバー工具で回転させてもよいのであるが、インパクトドライバー工具を用いて回転させれば、多数本のシート状物押え杭1の押し込みを難なく行うことができる。
【0043】
(8) 本発明において、シート状物には、緑化用や蔓性植物栽培用等のネット状物も含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 シート状物押え杭
2 シート状物
3 押え板
5 押え板の下面
6 支持杭
7 外周面
9 支持杭の下側の部分
10 螺旋状突部
11 押え板の上面
12 ドライバー
13 先端係合部
15 ドライバー係合孔部
18 叩き用隆起部の上面
19 叩き用隆起部
22 円錐部
25 逃がし溝部
40 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が合成樹脂製で一体に形成されており、シート状物を押える押え板の下面中央部に、横断面が円形の支持杭が下方向に突設され、該支持杭の外周面の少なくとも下側の部分には、螺旋状突部が該支持杭の軸線回りに設けられ、該螺旋状突部は、下端に向けて先細りに形成されており、又、前記押え板の上面の中央部分には、前記支持杭の軸線と同心に、上端開放で且つドライバーの先端係合部を挿入させるためのドライバー係合孔部が設けられており、前記押え板の中心部の厚さが前記押え板の外周部の厚さよりも厚く構成され、前記ドライバー係合孔部の深さが、前記押え板の外周部の厚さよりも深く、且つ、前記押え板の中心部の厚さよりも浅く構成されていることを特徴とする回転式のシート状物押え杭。
【請求項2】
前記押え板の下面中央部には、前記押え板の中心部の厚さを前記押え板の外周部の厚さよりも厚く構成するために、下方に向けて小径となり且つ前記押え板の軸線と同心の円錐部が設けられており、該円錐部の下端で前記支持杭が下方向に突設されており、前記ドライバー係合孔部は該円錐部に達していることを特徴とする請求項1記載の回転式のシート状物押え杭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−13410(P2013−13410A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185615(P2012−185615)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2010−96118(P2010−96118)の分割
【原出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】