説明

回転式充填装置

【課題】回転式充填装置で充填する際に、遠心力で回転体10の外方へ向けて振られた充填液が、PETボトル4の底部中央に当たるように、PETボトルを傾けて充填を行う。
【解決手段】充填手段12の吐出口44の周囲にびん口パッキン52を昇降可能に配置し、下方のグリッパ14によって保持しているPETボトル内に充填を行う。びん口パッキンは、PETボトルの口部上端4cに密着する下面52aが、回転体の中心方向が低くなるように傾斜している。グリッパによってPETボトルを把持した際にフランジ4bの下面を支持するフランジ受けガイド68に、水平面68bと回転体の内方側が低くなる傾斜面68aを設ける。ガス詰め充填を行う際には、びん口パッキンを下降させてPETボトルの口部上端に押し付ける。びん口パッキンの下面の傾斜とフランジ受けガイドの傾斜面とによりPETボトルが傾斜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転式充填装置に係り、特に、PETボトルの口部をシールしつつ傾斜させて充填を行う回転式充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転式の充填装置では、ノズルの先端を容器の口部の上方に位置させて、容器の中央から内部に液体を充填すると、遠心力によって液柱が回転体の外方へ振れて容器底部の外側に着液する。容器の底部が、中央部が凸状に形成され外周側が凹部になっている形状の場合には、充填された液体が外側の凹部に直接当たると大きく跳ね上がり泡立ち量が多くなってしまうという問題があった。このような場合に泡立ち量を抑えるためには充填装置の回転速度を落とす必要があり、能力が低下してしまう。回転速度を低速にした状態で能力を維持するためには、充填バルブの数を多く配置しなければならず、装置が大型化しコストアップに繋がるという問題がある。
【0003】
そこで、回転式の充填装置において、充填時の泡立ちを抑制するための構成が提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。特許文献1に記載された発明は、容器の口部に密着して容器内を密封するパッキンを、その下面が回転体の中心側が高くなるように傾斜させて取り付けるとともに、容器のネック部に形成されているフランジの下面を支持する容器支持手段を、水平軸を中心に回転可能に設置し、かつ、この容器支持手段を上方へ向けて付勢する付勢手段と、付勢された容器支持手段を水平位置で停止させるストッパとを設け、前記容器支持手段に支持されている容器の口部とパッキンとを当接させることにより、容器支持手段と容器とを、容器の底部が回転体の中心を向くように傾斜させて充填を行うようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載された発明では、容器グリッパは、軸を支点として揺動可能になっており、上昇に伴って揺動し容器の底部を回転体の半径方向外方側へ向けて傾斜する。この容器グリッパは、容器のネック部に形成されているフランジを上下から挟み込んで保持するようになっている。一方、容器の口部をシールするシール部パッキンは、球面によって回転自在になっており、容器が上昇して傾斜した状態で容器の開口部天面がシール部パッキンに接触すると、球面により容器の傾斜に対応して傾斜し、傾斜した状態で容器の開口部にシール係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−265851号公報
【特許文献2】特開2009−269660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明の構成では、充填ノズルから吐出される充填液は回転による遠心力で回転体の半径方向外方側へ向かうのに対し、容器は底部が半径方向内方側へ向けて傾斜するので、充填液は容器の内壁面に沿って充填されることになり、容器の形状や液種によっては泡立ちが押さえにくいという問題があった。
【0007】
また、前記特許文献2に記載された発明の構成では、容器グリッパが容器のフランジの両側を上下から挟持しており、容器の開口部をシール部パッキンに密着させて充填を行う場合には容器を安定して保持することができるので問題はないが、ネック搬送をしつつ容器の開口部を開放したままでノンシール充填を行う場合には、容器の姿勢が安定しないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、回転体に複数設けられ、容器の口部上端に当接するパッキンを有する充填手段と、容器に形成されたフランジの下方を保持する保持手段と、前記保持手段とパッキンとを相対的に昇降させる昇降手段とを備え、前記保持手段が保持している容器の口部上端を前記パッキンに密着させながら充填を行う回転式充填装置において、前記保持手段に供給される容器のフランジの下面側を支持するフランジ受けガイドを設け、このフランジ受けガイドに、水平面と回転体の半径方向内方側へ向かって、次第に低くなるように傾斜する傾斜面とを形成するとともに、前記パッキンを、容器に当接する面が回転体の半径方向内方側へ向かって次第に低くなるように傾斜させて配置し、容器をパッキンに密着させた際に、容器の底部を回転体の半径方向外方側に向けて傾斜させた状態で容器を保持することを特徴とするものである。
【0009】
また、第2の発明は、前記フランジ受けガイドの上方に配置されて容器のフランジの上部に当接する支持プレートを設けたことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、第3の発明は、前記フランジ受けガイドの上方に配置されて容器の口部の側面に当接する口部ガイドを設け、この口部ガイドを回転体の半径方向に向かって移動可能に構成するとともに、この口部ガイドを半径方向外方側へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回転式充填装置は、フランジの下面を支持するフランジ受けガイドに、水平面と回転体の内方側へ向かって傾斜する傾斜面を形成するとともに、容器の口部上端に当接するパッキンを、回転体の内方側へ向かって次第に低くなるように傾斜させているので、容器をパッキンに密着させることにより、容器の底部を回転体の半径方向外方側へ傾斜させた状態で容器を保持して充填をすることが可能であり、遠心力によって半径方向外方側へ振られた充填液を容器底部の中央付近に着液させることができ、充填液の泡立ちを抑制することができるという効果がある。その結果、充填装置の能力を向上させることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は回転式充填装置を備えた充填ラインの構成を簡略化して示す平面図である。(実施例1)
【図2】図2は回転式充填装置の要部の縦断面図である。
【図3】図3はグリッパを備えた容器保持手段の平面図である。
【図4】図4は容器保持手段を構成するメインブロックの斜視図である。
【図5】図5は容器保持手段が保持している容器を傾斜させた状態を示す側面図である。
【図6】図6は容器保持手段の要部を示す側面図である。
【図7】図7はパッキンによって容器内を密封するとともに、容器を傾斜させた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
回転体の外周部に円周方向等間隔で設けられた複数の充填手段と、各充填手段に設けられ、容器の口部上端に当接するパッキンと、各充填手段の下方に配置され、容器に形成されたフランジの下方を保持する容器保持手段と、前記パッキンと容器保持手段とを相対的に昇降させる昇降手段とを備えており、ガス詰め充填を行う際には、前記パッキンを容器保持手段に保持されている容器の口部上端に密着させた状態で充填を行う。さらに、前記容器保持手段に供給される容器のフランジの下面側を支持するフランジ受けガイドを設ける。このフランジ受けガイドは、水平面と回転体の中心方向(半径方向内方側)に向かって下方へ傾斜する傾斜面とを有している。前記パッキンの下面は、回転体の中心方向が低く、半径方向外方側が高くなるように傾斜させている。この構成により、容器保持手段によって保持している容器の口部上端にパッキンを密着させると、容器の底部側が回転体の半径方向外方側を向いた状態で傾斜するので、回転体の回転による遠心力で回転体の半径方向外方側へ振られた充填液を、容器の底部内面の中央部に当てて泡立ちを低減するという目的を達成する。
【実施例1】
【0014】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る回転式充填装置の全体の配置を簡略化して示す平面図であり、図2はこの回転式充填装置に設けられた充填手段の1つを示す縦断面図である。この実施例に係る回転式充填装置2は、上流側に図示しないリンサが設置されており、このリンサにおいて洗浄された容器4が、中間ホイール6を介してこの充填装置2の供給ホイール8に引き渡され、この供給ホイール8から充填装置2内に供給される。なお、この実施例で使用される容器4はPETボトルであり、ネック部4aにフランジ4bが形成され、このフランジ4bの上部側または下部側を、容器支持手段または容器保持手段によって支持または保持されてネック搬送される。
【0015】
回転式充填装置2には、回転体10の外周部に円周方向等間隔で複数の充填手段12が設けられており(図1では図示を省略)、また、各充填手段12に対応して、その下方にそれぞれ容器保持手段13(ネックグリッパ14を含む容器4を保持するための全体の構成を容器保持手段と呼ぶ)が配置されている(図2では図示を省略しているので、後に説明する図3および図5参照)。これら容器保持手段13に保持されたPETボトル4は、充填手段12によって液体の充填が行われた後、受け渡しホイール16にによって取り出され、次のキャッパ18に送られてキャッピングが行われる。その後、排出ホイール20によって搬送コンベヤ22上に排出されて次の工程に送られる。
【0016】
次に、充填手段12の構成について、図2により説明する。この充填手段12のバルブハウジング24は、内部に充填液通路26が形成されており、充填液タンク(図示せず)から給液管28を介して送られた充填液が、この充填液通路26を通ってPETボトル4内に充填される。なお、この実施例に係る回転式充填装置2は、炭酸ガス等のガス入り飲料の充填を行うガス詰め充填と、ガスを含まない無ガス飲料の充填を行うノンガス充填に兼用可能であり、ガス詰め充填を行う場合には、充填液タンク内にガス入り飲料が貯留され、そのヘッドスペース(液体の上部の空間)には加圧ガスが導入される。一方、ノンガス充填を行う場合には、ガスを含まない液体を貯留した充填液タンクの上部が大気に開放される。
【0017】
前記バルブハウジング24内に、充填液通路26を開閉する液バルブ30が設けられている。この液バルブ30は、充填液通路26内に昇降可能に挿通されたロッド32の下端に形成されている弁体34と、前記充填液通路26の下端部内面に設けられた弁座36とによって構成されている。この弁体34が弁座36に着座する部分の外周面には、シール部材38が嵌着されて液密を保持するようになっている。弁体34が形成されているロッド32は、バルブハウジング24の上部に設けられた液バルブ開閉用のエアシリンダ(図示せず)によって昇降する。
【0018】
充填液タンクから前記充填液通路26に充填液を供給する給液管28には流量計40が設けられており、この流量計40が、所定量の充填液の通過を計測するとその検出信号を制御装置(図示せず)に送り、この制御装置からの指令により前記液バルブ開閉用エアシリンダを作動させて、ロッド32および弁体34を下降させ、液バルブ30を閉じて充填が終了する。
【0019】
弁座36と弁体34とからなる前記液バルブ30の下流側の充填液の吐出口44の周囲に、環状のパッキンユニット46が配置されている。このパッキンユニット46は、前記バルブハウジング24の外面に固定されたパッキンユニット昇降シリンダ48のピストンロッド48aに連結されており、この昇降シリンダ48の作動により昇降するようになっている。パッキンユニット46の外周部の上面側とバルブハウジング24の外周面の下面側との間にダイアフラム50が装着されている。環状のパッキンユニット46の内周部の下面側に、びん口(容器の口部上端4c)に密着して容器4内を密封するびん口パッキン52が取り付けられている。このびん口パッキン52は、下面52a(PETボトル4の口部上端4cに密着する面)が傾斜しており、前記回転体10の中心部側が半径方向外方側よりも低くなるように傾斜している(図2の左側に回転体10の中心が位置している)。
【0020】
バルブハウジング24の内部には、2本の気体通路(図示を省略)が設けられている。これら気体通路は、びん口パッキン52によってPETボトル4内を密封したときに、PETボトル4内に連通する位置に開口している。一方の気体通路にはカウンター通路54が接続されている。このカウンター通路54は、開閉弁56を介して充填液タンクのヘッドスペース(貯留された充填液の上部空間)に連通している。カウンター通路54は、充填を開始する前に、密封したPETボトル4内にカウンターガスを導入してPETボトル4内を加圧し、一方、液体を充填している間はPETボトル4内に導入されたカウンターガスを排出する排気通路として機能する。また、他方の気体通路にはスニフト通路58が接続されている。このスニフト通路58は、開閉弁60を介してスニフトチャンバー(図示せず)に連通している。スニフト通路58は、充填終了後に、PETボトル4のヘッドスペース内に密封された圧力を放出するために開放される。
【0021】
前記充填手段12およびびん口パッキン52の下方には、前記ネックグリッパ14と、以下に説明するフランジ受けガイド、口部ガイドおよび支持プレート等を含む容器保持手段13が設けられている。前記ネックグリッパ14等のPETボトル4を保持する部材は、図4に示すメインブロック64に取り付けられている。ネックグリッパ14は、図3に示すように、一対のグリップ部材14A、14Bから構成されており、各グリップ部材14A、14Bは、メインブロック64の3方を囲むコ字状の板ばね66の両側部66a、66b(図3の上側と下側示す部分)の内面側にそれぞれ固定されている。両グリップ部材14A、14Bの前面(回転体10に取り付けた状態で半径方向外方を向いている側を前と呼ぶことにする)に内向きの係合部14Aa、14Baが設けられている。この係合部14Aa、14Baの前面14Ab、14Bbは、外側から中心側へ向けて次第に後退するように傾斜しており、この傾斜面14Ab、14Bbに対してPETボトル4のネック部4aが押し付けられると、両グリップ部材14A、14Bが板ばね66に抗して拡開し、その後、ネック部4bが両グリップ部材14A、14Bの係合部14Aa、14Ba間を通過して内部側に入ると、板ばね66のばね力で両グリップ部材14A、14Bが図3の状態に戻って、両係合部14Aa、14Baの互いに向かい合う先端部14Ac、14BcがPETボトル4のネック部4aの前面側を保持する。
【0022】
メインブロック64の前面側に、全体としてほぼ円弧状をしたフランジ受けガイド68が設けられている。このフランジ受けガイド68は、PETボトル4のネック部4aの外径よりも僅かに大きい内径を有する半周に亘る円弧状の部分68aと、その両先端部から前方へ伸びるほぼ直線状の水平部68bとを有している。このフランジ受けガイド68の上面がフランジの下面を支持するようになっている。前記先端部(水平部68b)は上面が水平であり、円弧状の部分68aは、この水平面の高さから回転体10の中心部側に向けて(回転体10の半径方向内方に向けて)次第に低くなる傾斜を有する傾斜面になっている。この傾斜面68aの傾斜は、前記びん口パッキン52の下面の傾斜にほぼ一致している。
【0023】
前記メインブロック64の前部側に設けられたフランジ受けガイド68のやや後方側に、上方へ突出した2本の平行な突条70A、70Bが形成されている。これら両突条70A、70Bの間に、口部ガイド72が配置されている(図3および図5参照)。口部ガイド72は、両突条70A、70Bの間の溝の幅よりも僅かに小さい幅を有しており、両突条70A、70Bの間の溝部内を前後(回転体10の半径方向の内方側と外方側)に進退動できるようになっている。この口部ガイド72は、先端に前記フランジ受けガイド68の円弧とほぼ同じ半径の円弧状ガイド面72aを有している。この口部ガイド72は後端側に、突条70A、70Bと平行なピン74が連結されており、このピン74の外周に形成された段部74aとメインブロック64の後面に固定されたばね受けプレート76との間にコイルスプリング78(図5参照)が介装され、口部ガイド72を前方側(回転体10の半径方向前方側)に付勢している。
【0024】
口部ガイド72の下面側は、前端側から後端側までの全長に亘って中央部が同じ幅で切り欠かれて前後に貫通する凹部が形成されている。この切り欠かれている凹部内に、支持プレート80の前方部分80aが配置されており、この支持プレート80の前方部分80aを跨いで口部ガイド72が進退動するようになっている。支持プレート80は、後方部分80b側がメインブロック64の幅とほぼ同じ幅を有し、前方部分80a側は前記口部ガイド72の下面に形成された凹部内に嵌合する細い幅を有しており、その後方部分80b側がメインブロック64の上面に固定されている。支持プレート80の先端面80cは、前記フランジ受けガイド68および口部ガイド72の先端面の円弧とほぼ同じ半径の円弧状に形成されている。
【0025】
前記口部ガイド72は、PETボトル4のネック部4aのフランジ4bよりも上部側の側面を押圧するようになっており、PETボトル4をフランジ受けガイド68に当接させることによりPETボトル4を垂直な姿勢にする。また、ノンガス充填時には、支持プレート80とともにPETボトル4のネック部4aを回転体10の半径方向内方側から押すことにより、PETボトル4の底部4d側が半径方向外方側へ振れることを抑制する。前記支持プレート80は、後に説明するようにPETボトル4の口部上端4cに押し付けていたパッキン52をPETボトル4から離すと、口部ガイド72のスプリング78によってPETボトル4が傾斜した状態から垂直に戻るが、その際にPETボトル4が振れることを抑制する機能を有している。
【0026】
以上の構成に係る回転式充填装置2の作動について説明する。この実施例に係る回転式充填装置2で液体が充填される容器4はPETボトルであり、ネック部4aに形成されたフランジ4bの上方または下方を、容器支持手段または容器保持手段によって支持または保持されて搬送される。上流側のリンサ(図示せず)で内面側と外面側が洗浄されたPETボトル4は、中間ホイール6から供給ホイール8に受け渡され、この供給ホイール8を介して回転式充填装置2内に供給される。
【0027】
先ず、ガス詰め充填を行う場合について説明する。回転式充填装置2の回転体10の外周部には、円周方向等間隔で複数の充填手段12が設けられ、これら各充填手段12の下方に、それぞれ対応してネックグリッパ14、フランジ受けガイド68、口部ガイド72および支持プレート80等を有する容器保持手段13が配置されており、前記供給ホイール8から供給されたPETボトル4は、1本ずつ容器保持手段13に引き渡される。前記ネックグリッパ14を構成する両グリップ部材14A、14Bは、図3に示すように、前面14Ab、14Bbが傾斜面になっており、供給ホイール8の容器保持手段(図示せず)に保持されているPETボトル8が供給位置Aにおいて、このグリップ部材14A、14Bの傾斜面14Ab、14Bbに押し付けられると、板ばね66の両側部66a、66bに固定されている両グリップ部材14A、14Bが拡開し、PETボトル4が押し込まれる。
【0028】
PETボトル4のネック部4aの最も太い部分が両グリップ部材14A、14Bの係合部14Aa、14Baの先端14Ac、14Bcを通過すると、グリップ部材14A、14Bが板ばね66のばね力によって元の状態に戻り、PETボトル4のネック部4aの外面側を保持する。このPETボトル4のネック部4aは、フランジ4bの下面側が前記円弧状のフランジ受けガイド68によって支持され、また、フランジ4bよりも上部側の、回転体10の半径方向内方側には、支持プレート80および口部ガイド72が配置されており、これらグリッパ14、フランジ受けガイド68、支持プレート80および口部ガイド72が共同でPETボトル4をグリップする。口部ガイド72はスプリング78によって回転体10の半径方向外方側へ付勢されており、ネック部4aの上部を押圧することにより、フランジ4bをフランジ受けガイド68の水平部68bに押し付けてPETボトル4を垂直な姿勢に維持する。
【0029】
供給ホイール8から容器保持手段13にPETボトル4が受け渡されると、パッキンユニット昇降シリンダ48が作動してパッキンユニット46を下降させる。パッキンユニット46が下降すると、その中央部に設けられているびん口パッキン52が、容器保持手段13によって垂直状態に保持されているPETボトル4の口部上端4cに押し付けられる。びん口パッキン52の下面は、回転体10の中心側が低く外方側が高くなるように傾斜しているので、PETボトル4は回転体10の半径方向外方側に底部4dを向けて傾斜する。PETボトル4が容器保持手段13に保持されて垂直な姿勢でいる間は、PETボトル4のフランジ4bは、フランジ受けガイド68の先端側の水平部68b上に載っていたが、びん口パッキン14に上方から押されると、ほぼ半円状の傾斜面68aに押し付けられて、びん口パッキン52とフランジ受けガイド68との間で、傾斜した姿勢で安定して保持されるとともにPETボトル4の内部が密封される(図7に示す状態)。
【0030】
前記のようにびん口パッキン52を、容器保持手段13に保持されているPETボトル4の口部上端4cに押し付けることによりPETボトル4の内部をシールした後、カウンタ通路54の開閉バルブ56とスニフト通路58の開閉バルブ60を開放し、PETボトル4内に加圧したカウンタガスを導入するとともに、PETボトル4内のエアをスニフト通路58から排出する。所定時間経過した後、スニフト通路54の開閉バルブ56を閉じるとともに、液バルブ30を開放して充填を開始する。PETボトル4内に液体が充填されるとともに、このPETボトル4内に導入されていた加圧ガスはカウンタ通路58から排出される。給液管28に設けられている流量計40により所定量の液体が充填されたことを計測すると、図示しない制御装置からの指令により、液バルブ30を閉鎖して充填を終了する。
【0031】
その後、スニフト通路58を所定時間開放して、PETボトル4のヘッドスペース内の加圧ガスを排出した後、パッキンユニット昇降シリンダ48によってびん口パッキン52を上昇させる。上方からの押圧力が除かれると、液体が充填されたPETボトル4は、フランジ4bよりも上部側を半径方向内方側から口部ガイド72によって押され、直立状態に戻って搬送される。回転体10の回転に伴って排出位置Bに到達すると、受け渡しホイール16のグリッパ(図示せず)に引き渡され、次のキャッパ18に送られる。このキャッパ18でキャッピングが行われたPETボトル4は、排出ホイール20を介して搬送コンベヤ22に排出され、次の工程に送られる。この実施例では、PETボトル4が底部4dを回転体10の半径方向外方側に向けて保持された状態で充填を行うので、充填手段12から吐出された充填液が回転体10の回転により生ずる遠心力によって回転体10の半径方向外方側に振られても、PETボトル4の底部4dのほぼ中央に当てることができ、充填時の泡立ちを抑制することができる。また、泡立ちを抑制できるので、充填能力のアップを図ることができる。その結果、必要な充填手段の数を減らすことができ、装置のサイズを小さくすることもできる。
【0032】
次に、ガスを含まない液体の充填を行うノンガス充填の場合について説明する。前記供給ホイール8から供給されたPETボトル4は、1本ずつ容器保持手段13に引き渡される。PETボトル4のフランジ4bは、フランジ受けガイド68の水平部68b上に載っており、PETボトル4は直立した姿勢で支持されている(図2に示す状態)。ノンガス充填の場合には、びん口パッキン52を上昇させた位置のまま充填を行う。この状態では、PETボトル4の口部の上端面4cと上方のびん口パッキン52の下面52aとの間に間隙が形成されており、PETボトル4内が開放した状態で充填が行われる。なお、ノンガス充填時には、口部ガイド72によってフランジ4bの下面を水平部68bに押し付けることで、PETボトル4を安定して支持することができる。
【0033】
ノンガス充填の場合には、カウンタ通路54およびスニフト通路58に設けられている開閉バルブ56、60は常時閉鎖した状態にしておく。容器保持手段13にPETボトル4が供給され、このPETボトル4と上方の充填手段12とが上下の位置が一致した状態で回転し、回転体10の回転によるPETボトル4の搬送経路の所定位置で、図示しない液バルブ開閉用のエアシリンダを作動させて前記ロッド32を上昇させ、液バルブ30を開放する。充填液タンクから給液管28を介してこのバルブハウジング24内の充填液通路26に供給されてきた充填液が、液バルブ30およびその下方の吐出口44を通過してPETボトル4内に充填される(図2に示す状態)。前記給液管28を通過する充填液は、流量計40によって計測されており、所定の液量が測定されると液バルブ30が閉鎖される。なお、前記実施例では、パッキンユニット46を昇降させてびん口パッキン52とPETボトル4の口部上端4cとを密着させたが、逆にネックグリッパ14側を昇降させるようにしてもよい。また、前記実施例では、フランジ受けガイド68をネックグリッパ14とは独立して設けたが、フランジ4bを支持する面をネックグリッパ14に設けることもできる。
【符号の説明】
【0034】
4 容器(PETボトル)
4b フランジ
4c 容器の口部上端
10 回転体
48 昇降手段
52 パッキン
68 フランジ受けガイド
68a 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に複数設けられ、容器の口部上端に当接するパッキンを有する充填手段と、容器に形成されたフランジの下方を保持する保持手段と、前記保持手段とパッキンとを相対的に昇降させる昇降手段とを備え、前記保持手段が保持している容器の口部上端を前記パッキンに密着させながら充填を行う回転式充填装置において、
前記保持手段に供給される容器のフランジの下面側を支持するフランジ受けガイドを設け、このフランジ受けガイドに、水平面と回転体の半径方向内方側へ向かって、次第に低くなるように傾斜する傾斜面とを形成するとともに、前記パッキンを、容器に当接する面が回転体の半径方向内方側へ向かって次第に低くなるように傾斜させて配置し、
容器をパッキンに密着させた際に、容器の底部を回転体の半径方向外方側に向けて傾斜させた状態で容器を保持することを特徴とする回転式充填装置。
【請求項2】
前記フランジ受けガイドの上方に配置されて容器のフランジの上部に当接する支持プレートを設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転式充填装置。
【請求項3】
前記フランジ受けガイドの上方に配置されて容器の口部の側面に当接する口部ガイドを設け、この口部ガイドを回転体の半径方向に向かって移動可能に構成するとともに、この口部ガイドを半径方向外方側へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転式充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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