説明

回転式操作装置

【課題】大型化を抑制しつつ設計の自由度を向上させる回転式操作装置を提供する。
【解決手段】ダイヤルノブ12と共に回転する歯車14aに連動して回転する従ギヤ16の回転角を検出することで、歯車14aの回転角を検出する回転式操作装置において、歯車14a及び従ギヤ16の回転軸と直交するよう中間ギヤ15を配置し、歯車14a及び従ギヤ16の対向する歯と、中間ギヤ15の外周面とを噛み合わせ、歯車14aの回転を従ギヤ16に伝達する。このとき、従ギヤ16の回転軸16b、及び回転検出センサ21は、ダイヤルノブ12の回転面内においてダイヤルノブ12の外径より内側に設けられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作する回転式操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空調機器における温度又は風向等を調節するダイヤルスイッチは、回転可能なダイヤル部と、押圧可能なボタン部とが一体となって構成され、回転操作及び押圧操作等の複数の操作が可能なものがある。ダイヤルスイッチには、表面に光が透過可能に文字又は記号等が施されており、内側から光が照射されることで、これら文字等は、夜間でも視認可能となっている。このダイヤルスイッチでは、光源、ダイヤル部の回転を検出する回転センサ、ボタン部の押圧を検出するプッシュセンサ並びに、ダイヤル部及びボタン部を支持する部材等、複数の部品を必要とし、各部品が互いに干渉しないように設計する必要がある。
【0003】
特許文献1では、回転センサは、ダイヤル部の回転中心上に設けられ、ダイヤル部とアームにより連結されており、アームを介してダイヤル部の回転を検出するようになっている。回転センサは、回路基板上に設けられるため、プッシュセンサ等、回路基板上の他の素子とアームとが接触しないよう、アームがブリッジ状となっている。これにより、アームが他の素子を跨ぐように回転し、アームと回路基板上の他の素子とが接触することを回避している。また、アームの回転を補助するために、回路基板上にアームの回転軌道に沿った切欠を形成し、その切欠にアームの一部を貫通させている。
【0004】
また、特許文献2では、外周面に歯が形成されたダイヤル部と噛み合う歯車が設けられており、回転センサは、歯車の回転角を検出することで、ダイヤル部の回転を検出するようにしている。これにより、ダイヤル部の外側に回転センサ等を配置することができるため、ダイヤルスイッチの内側の空間を大きく確保でき、設計の自由度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−35303号公報
【特許文献2】特開2001−184969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の場合、回路基板に沿ってアームが回転するため、ダイヤル部の回転角度が制限され、またアームの動きを妨げないようにするため、設計が制限されるおそれがある。また、回路基板に切欠を形成することで、基板の強度が低下し、素子の実装面積及びパターン面積が減少する問題がある。特許文献2では、外側に配置することで、ダイヤルスイッチ自体が大型化するといった問題が発生する。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大型化を抑制しつつ設計の自由度を向上させる回転式操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転式操作装置は、回動操作体の回転角を検出する事により操作出力を得る回転式操作装置であって、回動操作体と同軸に設けられた第1歯車と、該第1歯車から1または複数の歯車を介して噛み合って回転する第2歯車と、該第2歯車の回転角を検出することで前記第1歯車の回転角を検出する検出手段とを備え、該第2歯車の回転軸、及び前記検出手段は、回動操作体の回転面内において回転操作部の外径より内側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、回転式操作装置は、回動操作体の回転角に応じて動作する。回動操作体と同軸に、第1歯車が設けられており、第1歯車から1または複数の歯車を介して噛み合って第2歯車が回転する。そして、第2歯車の回転角を検出することで、第1歯車の回転角を検出する。これにより、回動操作体の回転角を検出する。この第2歯車の回転軸、及び第2歯車の回転角を検出する検出手段は、回動操作体の回転面内において回転操作部の外径より内側に設けられている。これにより、第1歯車の周囲にスペースを確保することができる。例えば第1歯車がユーザにより回転操作され、第1歯車の回転角を直接的に検出する場合、第1歯車の回転軸にセンサを設置する必要がある。この場合、第1歯車の周辺はセンサによりスペースが占領され、他の部品等を配置することができなくなる。このため、第1歯車の回転角を直接的に検出せず、第2歯車を歯車に連動して回転させ、他の歯車の回転角を検出する構成とすることで、歯車の周囲にセンサを設けるスペースを確保する必要がなくなる。その結果、他の部品を自由に配置しやすくなり、装置内の設計の自由度が向上する。また、回転角を検出する第2歯車を小さくする、又は他の部品の配置に応じて第2歯車の設置場所を決定することで、装置の大型化を抑制することができる。
【0010】
本発明に係る回転式操作装置は、前記第2歯車は、円盤状をなし、一の平面の周方向に沿って、歯筋が径方向となる複数の歯が形成されており、少なくとも一部の歯が前記第1歯車の歯と対向するように、回転軸を同方向にして前記第1歯車と平行配置されており、回転軸が前記第1及び第2歯車の回転軸と直交し、前記第1及び第2歯車の歯と外周面で噛合する平歯車をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、第2歯車が第1歯車と同様の形状を有しており、第1及び第2歯車は平歯車を挟んで配置されている。これにより、第1歯車が回転することで、平歯車が回転し、平歯車の回転に連動して第2歯車が回転する。第1歯車の回転を、平歯車を介して第2歯車に伝達し、第2歯車の回転角を検出することで、第1歯車の回転角を検出する。これにより、第1歯車の周囲にスペースを確保することができる。また、第1歯車を回転軸方向に設置し、その間に平歯車を設置することで、小型化が可能となる。
【0012】
本発明に係る回転式操作装置は、前記第2歯車は、回転軸が前記第1歯車の回転軸と直交し、前記第1歯車と外周面で噛合する平歯車であることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、第2歯車を略直角に設置することができる。その結果、歯車の上下方向にスペースを確保することができる。また、2つの歯車を直角に設置することで、縦横の両方向に大きくなることを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る回転式操作装置は、前記第1歯車、第2歯車、及び該二つの歯車と直交する回転軸を有する第3の歯車からなり、すべての歯車が、傘歯車からなることを特徴とする。
【0015】
本発明では、全歯車を傘歯車とすることで、平歯車との対比において、噛み合わせをずれにくくすることができる。
【0016】
本発明に係る回転式操作装置は、前記第1歯車と同軸に配され、前記第1歯車と一体に回動し、軸方向に沿って往復動可能としてある回動操作体と、前記軸方向の一方向側に設けられ、該一方向側に移動された前記回動操作体の一部により押圧されるプッシュスイッチと、前記回動操作体を前記軸方向の他方向側に弾性付勢する付勢手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、回転式及び押圧式の2つのスイッチとして機能させることができる。
【0018】
本発明に係る回転式操作装置は、前記回動操作体は筒状をなし、発光体と、前記発光体が発する光を前記回動操作体内へ導く導光部材と、該導光部材に導かれた光を前記回動操作体の外部へ透過させる透光部とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、操作装置内に発光体を設けて透光部から発光体の光を外部へ照射する。これにより、操作装置の一部が発光する視覚的効果をユーザに与えることができる。また、回動操作体を筒状とし、軸体を回動可能に保持する基板などに発光体を設け、軸体内を挿通する導光部材により発光体から回動操作体内へ光を導く構成とする。これにより、回動操作体と発光体とが離れている場合であっても、発光体の光を確実に回動操作体内へ導くことができる。回動操作体又はこの近傍に透光部を設けることで導光部材を介して得られる光を外部へ照射することができる。操作装置が発光する視覚的効果をユーザに与えることができるため、操作装置の美観を高めることができると共に、夜間などにおける操作装置の操作性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、回転式操作装置は、第1歯車の回転角に応じて動作し、第1歯車は、円盤状をなし、一の平面の周方向に沿って、歯筋が径方向となる複数の歯が形成されている。そして、第1歯車の複数の歯と噛み合って回転する第2歯車の回転角を検出することで、第1歯車の回転角を検出する。これにより、第1歯車の周囲にスペースを確保することができる。例えば第1歯車がユーザにより回転操作され、第1歯車の回転角を直接的に検出する場合、第1歯車の回転軸にセンサを設置する必要がある。この場合、第1歯車の周辺はセンサによりスペースが占領され、他の部品等を配置することができなくなる。このため、第1歯車の回転角を直接的に検出せず、第2歯車を歯車に連動して回転させ、他の歯車の回転角を検出する構成とすることで、歯車の周囲にセンサを設けるスペースを確保する必要がなくなる。その結果、他の部品を自由に配置しやすくなり、装置内の設計の自由度が向上する。また、回転角を検出する第2歯車を小さくする、又は他の部品の配置に応じて第2歯車の設置場所を決定することで、装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1に係る回転式操作装置の構造を示す側面断面図である。
【図2】実施形態1に係る回転式操作装置の構造を示す側面断面図である。
【図3】回転式操作装置が有するギヤのみを示す斜視図である。
【図4】回転式操作装置が有するギヤが傘歯車の場合を示す斜視図である
【図5】正面視した場合における回転式操作装置の一例を図であり、(a)は風向調節用、(b)は風量調節用、(c)は温度調節用の回転式操作装置を示す。
【図6】実施形態2に係る回転式操作装置の構造を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る回転式操作装置について図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態では、車両に搭載された空調機器を操作する回転式操作装置について説明する。
【0023】
(実施形態1)
実施形態1に係る回転式操作装置は、車両に搭載された空調機器を操作するためのダイヤル式の回転式操作装置である。図5は、正面視した場合における回転式操作装置の一例を図であり、(a)は風向調節用、(b)は風量調節用、(c)は温度調節用の回転式操作装置を示す。
【0024】
回転式操作装置は、表示板11及びダイヤルノブ(回動操作体)12を備えている。表示板11は、円形状で、表面には周縁に沿って複数のアイコンが記されている。例えば、風向調節用の場合、温風又は冷風の吹き出し口を選択するためのアイコンが表示される(図5(a)参照)。ダイヤルノブ12は、表示板11と中心が一致した円筒状であり、周方向に回転する。ダイヤルノブ12の表面の一部にはマーク12aが記されており、マーク12aを表示板11のアイコンに合わせることで、各アイコンを選択するようになっている。なお、表示板11のアイコン及びマーク12aは、内側から照射される光を透過可能に表示板11及びダイヤルノブ12の表面に形成されている。これにより、夜間であっても各アイコン及びマーク12aが視認できるようになっている。
【0025】
図1及び図2は、実施形態1に係る回転式操作装置の構造を示す側面断面図である。図3は、回転式操作装置が有するギヤのみを示す斜視図である。なお、図1及び図2は、略90度ずれた方向から見た側面断面図となっている。回転式操作装置は、表示板11及びダイヤルノブ12の他に、ベース10、内筒13、主ギヤ部14、中間ギヤ(平歯車)15、及び従ギヤ(第2歯車)16等を備えている。
【0026】
ベース10は、一部が円筒状に突出して形成された第1支持部10aを有している。以下の説明において、突出した方向を上方と言う。第1支持部10aは、図2に示すように、側面の一部が他より厚くなっており、その部分に、上方が開口した筒状の穴10cが形成されている。穴10cには、コイルバネ10d及びプランジャー10eが挿入されている。コイルバネ10dは、外力が加えられたときに収縮し、外力がなくなったときに自然長に戻る。コイルバネ10dは、プランジャー10eが穴10cから一部が突出するようにプランジャー10eを下方から支持している。
【0027】
第1支持部10aには、内筒13が保持されている。内筒13は、第1支持部10aの内径と略同じ外径を有した円筒であって、一端が開口し、他端が閉塞されている。そして、内筒13は、閉塞された面(以下、閉塞面と言う)が上方となるように第1支持部10aの内周面により保持されている。このとき、内筒13は、少なくとも穴10cが形成された第1支持部10aの側面に接する部分が上下に滑り動くようになっている。
【0028】
また、内筒13は、閉塞面から下方に向かって突出した筒状の突出部13aが設けられている。突出部13aが設けられた閉塞面の部分は開口している。従って、突出部13aは、内筒13の上方及び下方の空間を繋ぐ通路となっている。
【0029】
内筒13の閉塞面の上方には、図5で説明したようにアイコンが記された表示板(透光部)11が設けられている。表示板11は、内筒13の突出部(導光部材)13aと重なる位置に貫通孔(図示せず)が形成されている。そして、この貫通孔及び突出部13aの内部には、レンズ(透光部)17が嵌め込まれている。レンズ17は、レンズ17の下方に設けられた後述するLED(Light-Emitting Diode)が発した光を透過する。レンズ17は、前述のマーク12aと同じ位置に形成することで、マーク12aは、LED17からの光により発光するようになる。また、表示板11の各アイコンに対応させて突出部13aを複数形成し、各アイコンがLED17からの光により発光するようにしてもよい。
【0030】
第1支持部10a、内筒13及び表示板11には、主ギヤ部14及びダイヤルノブ12が嵌め込まれている。主ギヤ部14は、略円筒状で、内周面が第1支持部10aの外周面に沿って摺り動き、周方向に回転し、上下方向に移動するようになっている。主ギヤ部14は、円筒の中心軸を回転軸とした歯車(第1歯車)14aを有している。歯車14aは、図3に示すように、円環状で、下面の周縁に沿って複数の歯14bが形成されている。複数の歯14bは、後述の中間ギヤ15と噛み合い、主ギヤ部14の回転を中間ギヤ15に伝達するようになっている。また、主ギヤ部14は、歯車14aの下面の形成された歯14bより内側部分で、穴10cから一部が突出したプランジャー10eと接触するようになっている。
【0031】
ダイヤルノブ12は、円筒状であって、一端が表示板11の周縁に、他端が主ギヤ部14にそれぞれ嵌め込まれており、表示板11の周縁に沿って、主ギヤ部14と共に周方向に回転するようになっている。ダイヤルノブ12は、ユーザにより側面が摘まれて回転操作される。このとき、表示板11及び内筒13は回転しない。
【0032】
表示板11は、内筒13の閉塞面の上方に設けられ、上述のように周縁にダイヤルノブ12が嵌め込まれている。そして、表示板11に下向きの力が加えられた場合、内筒13の一部が下方に滑り動くと共に、ダイヤルノブ12及び主ギヤ部14も下方に移動する。このとき、主ギヤ部14の歯車14aに接触するプランジャー10eは、主ギヤ部14によりコイルバネ10dを縮めながら押し下げられる。表示板11への下向きの力がなくなったとき、プランジャー10eは、収縮したコイルバネ(付勢手段)10dの復元力によりが押し上げられ、それに伴い、内筒13、主ギヤ部14及びダイヤルノブ12も押し上げられ、元の位置に戻るようになっている。このように、回転式操作装置は、プッシュ操作が可能に構成されている。
【0033】
ベース10は、第1支持部10aの側方で中間ギヤ15を回転自在に支持している。中間ギヤ15は、外周面に複数の歯が形成された円盤状の平歯車であって、回転軸が主ギヤ部14の回転軸と直交するように、ベース10の上面側で支持されている。なお、ベース10には、貫通する溝10bが形成されており、中間ギヤ15は、円盤の半円部分が形成された溝10bを介して下面側に突出するように支持されている。このように支持される中間ギヤ15は、図3に示すように、外周面で歯車14aの歯14bと噛み合い、歯車14aと連動して回転するようになっている。
【0034】
ベース10は、下方に回路基板20を支持している。回転基板20は、ベース10と反対側に従ギヤ16を回転可能に支持している。従ギヤ16は、回転軸16bを有し、円盤状の一面の周縁に沿って複数の歯16aが形成されている。回路基板20は、歯16aが形成された面が上方となるよう、回転軸16bを支持している。また、回路基板20の一部には、貫通する溝20aが形成されており、中間ギヤ15の一部が溝20aから下方に突出するようになっている。そして、図3に示すように、溝20aから突出した中間ギヤ15と、従ギヤ16の歯16aとが噛み合い、中間ギヤ15の回転に連動して従ギヤ16が回転するようになっている。
【0035】
回転基板20は、回転軸16bが接続された回転検出センサ(検出手段)21を有している。回転検出センサ21は、中心にD字又はT字状にカットされた穴(図示せず)を有しており、回転軸16bは、斯かる穴に差し込むようになっている。そして、回転軸16bが回転することで穴も回転し、それにより回転検出センサ21は、従ギヤ16の回転角を検出する。
【0036】
また、回路基板20は、LED(発光体)22及びプッシュスイッチ23等を有している。LED22は、レンズ17の下方となる位置に設けられている。そして、LED22が発した光は、レンズ17を通り表示板11の上方に照射されるようになっている。プッシュスイッチ23は、上下に滑り動く内筒13の縁部の下方となる位置に設けられている。そして、上述のように表示板11に下向きの力が加えられた場合、内筒13の一部が下方に滑り動き、その動いた内筒13の一部によりプッシュスイッチ23が押圧されるようになっている。
【0037】
このように、従ギヤ16を回路基板20の下方で支持し、中間ギヤ15により主ギヤ部14と従ギヤ16とが連動して回転するように構成することで、主ギヤ部14と従ギヤ16との間にスペースを設けることができる。主ギヤ部14の回転角を直接検出する場合、主ギヤ部14周辺に回転検出センサを設ける必要があるため、LED22及びプッシュスイッチ23等の配置が制限される場合がある。このため、主ギヤ部14の周囲にスペースを設けることで、LED22及びプッシュスイッチ23の自由な配置が可能となる。
【0038】
以上のように構成される回転式操作装置において、ユーザによりダイヤルノブ12が回転されることにより、主ギヤ部14も同時に回転する。主ギヤ部14が回転した場合、主ギヤ部14が有する歯車14aも回転し、それに伴い歯車14aに噛み合う中間ギヤ15も回転する。中間ギヤ15が回転することにより従ギヤ16も回転し、回転検出センサ21が従ギヤ16の回転軸16bの回転角を検出することで、回路基板20上の図示しないCPU等は、検出した回転角及びギヤ比等に基づいて、歯車14aの回転角、即ち、ダイヤルノブ12の回転角を取得する。これにより、CPU等は、取得したダイヤルノブ12の回転角から、ユーザがダイヤルノブ12により表示板11のどのアイコンを選択したかを判定することができ、選択されたアイコンに対応する処理を実行する。
【0039】
また、ユーザにより表示板11が押圧された場合、上述のように内筒13によりプッシュスイッチ23が押圧される。これにより、回転式操作装置を、例えば空調機器のオンオフ操作を行う押しボタンスイッチとして機能させることができる。
【0040】
なお、本実施形態1では、歯車14a、中間ギヤ15及び従ギヤ16は平歯車として説明しているが、傘歯車であってもよい。図4は、回転式操作装置が有するギヤが傘歯車の場合を示す斜視図である。図4の歯車31及び中間ギヤ32は、歯車14a及び中間ギヤ15に相当する。また、従ギヤ33は、従ギヤ16に相当し、回転軸33aを有しており、回転軸33aが回転検出センサ21(図1参照)に接続されている。歯車31、中間ギヤ32及び従ギヤ33は、それぞれ略円錐台の形状を有しており、テーパー面には複数の歯が形成されている。そして、各歯が噛み合うことで歯車31、中間ギヤ32及び従ギヤ33が回転する。このように、全歯車を傘歯車とすることで、噛み合わせのずれを防止でき、確実に回転を伝達することができる。
【0041】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態1では、回転角を検出する従ギヤ16を、中間ギヤ15を介して主ギヤ部14に接続しているが、実施形態2では、従ギヤ16を直接主ギヤ部14に接続している。以下の説明では、実施形態1と同じ部材については同じ符号を付し説明は省略する。
【0042】
図6は、実施形態2に係る回転式操作装置の構造を示す側面断面図である。
【0043】
実施形態2では、実施形態1の中間ギヤ15と同様に、外周面に複数の歯が形成された円盤状の歯車である従ギヤ18が第1支持部10aの側方で回転自在に支持されている。従ギヤ18は、ベース10に形成された溝10bを介して下面側に突出し、さらに一部が、回路基板20に形成された溝20aから回路基板20の下方にさらに突出するように支持されている。このように支持される従ギヤ18は、外周面で、歯車14aと噛み合い、歯車14aの回転に連動して回転するようになっている。
【0044】
ベース10には、溝10bと隣接する位置に貫通する溝10fがさらに形成されている。溝10fには、回転検出センサ24が挿入されている。回転検出センサ24は、D字又はT字状にカットされた穴(図示せず)を有しており、この穴がベース10から上方に突出するよう回路基板20に設けられている。そして、突出した穴に従ギヤ18が有する回転軸18aが差し込まれている。差し込まれた回転軸18aが回転することで穴も回転し、それにより回転検出センサ24は、従ギヤ18の回転角を検出する。
【0045】
上述のように構成される回転式操作装置において、ユーザによりダイヤルノブ12が回転されることにより、主ギヤ部14も同時に回転する。主ギヤ部14が回転した場合、主ギヤ部14が有する歯車14aも回転し、それに伴い歯車14aに噛み合う従ギヤ18も回転し、回転検出センサ24が従ギヤ18の回転軸18aの回転角を検出することで、回路基板20上の図示しないCPU等は、検出した回転角及びギヤ比等に基づいて、歯車14aの回転角、即ち、ダイヤルノブ12の回転角を取得する。
【0046】
このように、実施形態2では、実施形態1と同様に主ギヤ部14の周囲にスペースを設けることができるため、回転操作装置の自由な設計が可能となる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について、具体的に説明したが、上述の実施形態に限定されることはない。例えば、実施形態1では、中間ギヤ15を平歯車として、円盤状の歯車14a及び従ギヤ16の一面に歯を形成しているが、歯車14a及び従ギヤ16を平歯車として、中間ギヤ15を一面に歯を形成した円盤状としてもよい。また、実施形態1では、主ギヤ部14の歯車14aと従ギヤ16とを、回転軸が一直線上となるように平行配置しているが、回転軸を同方向にして、歯車14aと従ギヤ16とを水平方向にずらして配置するようにしてもよい。その他、各構成及び動作等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
14 主ギヤ部
14a 歯車(第1歯車)
15 中間ギヤ(平歯車)
16 従ギヤ(第2歯車)
18 従ギヤ(第2歯車)
21,24 回転検出センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動操作体の回転角を検出する事により操作出力を得る回転式操作装置であって、
回動操作体と同軸に設けられた第1歯車と、
該第1歯車から1または複数の歯車を介して噛み合って回転する第2歯車と、
該第2歯車の回転角を検出することで前記第1歯車の回転角を検出する検出手段と
を備え、
該第2歯車の回転軸、及び前記検出手段は、
回動操作体の回転面内において回転操作部の外径より内側に設けられている
ことを特徴とする回転式操作装置。
【請求項2】
前記第2歯車は、
円盤状をなし、一の平面の周方向に沿って、歯筋が径方向となる複数の歯が形成されており、少なくとも一部の歯が前記第1歯車の歯と対向するように、回転軸を同方向にして前記第1歯車と平行配置されており、
回転軸が前記第1及び第2歯車の回転軸と直交し、前記第1及び第2歯車の歯と外周面で噛合する平歯車
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の回転式操作装置。
【請求項3】
前記第2歯車は、
回転軸が前記第1歯車の回転軸と直交し、前記第1歯車と外周面で噛合する平歯車である
ことを特徴とする請求項1に記載の回転式操作装置。
【請求項4】
前記第1歯車、第2歯車、及び該二つの歯車と直交する回転軸を有する第3の歯車からなり、すべての歯車が、傘歯車からなる
ことを特徴とする請求項1記載の回転式操作装置。
【請求項5】
前記第1歯車と同軸に配され、前記第1歯車と一体に回動し、軸方向に沿って往復動可能としてある回動操作体と、
前記軸方向の一方向側に設けられ、該一方向側に移動された前記回動操作体の一部により押圧されるプッシュスイッチと、
前記回動操作体を前記軸方向の他方向側に弾性付勢する付勢手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の回転式操作装置。
【請求項6】
前記回動操作体は筒状をなし、
発光体と、
前記発光体が発する光を前記回動操作体内へ導く導光部材と、
該導光部材に導かれた光を前記回動操作体の外部へ透過させる透光部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の回転式操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−257774(P2010−257774A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106828(P2009−106828)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】