説明

回転式竪型射出成形機

【課題】回転式竪型射出成形機でターンテーブルを90°間欠回転して成形と完成品の取出しとを行う場合であっても、射出成形時間中の完成品の取出しと待機中の下型の保温とを可能となす。
【解決手段】固定盤に載置したターンテーブルの上方に可動盤を昇降自在に設ける。ターンテーブルの四方に4つの下型を等間隔に設置する。下型の停止位置を順に一次成形操作部、待機部、二次成形操作部、取出操作部とする。両成形操作部の下型と型閉する複数の上型と、待機部の下型と型閉する保温型とを上記可動盤に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーブル上に複数の下型を等間隔に備えたターンテーブルを間欠回転移動して、一次成形と二次成形とを同時に行えるようにした回転式竪型射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリ式射出成形機として、固定盤に一対の固定型を円周方向等間隔に設置し、その固定型とそれぞれ型閉する可動型を、固定盤の上方に昇降自在に設けた可動盤の下側面の回転盤に下向きに取付け、両方の固定型に射出装置を側方から配設して、回転盤の間欠移動と金型の組み換えとにより一次成形と二次成形とを連続して行えるようにしたものが知られている。
【0003】
また複合射成形機として、タイバーにより連結した一対の固定盤の間に、回転盤を盤面に設けた可動盤を配設し、一方の固定盤の対向位置に一次キャビティ型と二次キャビティ型を固定型として設置し、その固定型と型閉する複数のコア型を可動型として回転盤に設置し、固定型の両方に配設した射出装置と、回転盤の間欠移動による金型の組み換えとにより、一次成形と二次成形とを連続して行えるようにしたものが知られている。
【特許文献1】実開平7−15318号公報
【特許文献2】特開2003−191281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のロータリ式射出成形機や複合射出成形機では、対設した一対の下型を回転盤により180°回転して一次成形と二次成形とを同時に行えるようにし、二次成形操作部で完成品を自動機により取出す場合と、対設した一対の下型を回転盤により90°ごとに停止して、対向位置する一次成形操作部と二次成形操作部との間で完成品の取出しを行う場合とがある。
【0005】
一次成形操作部と二次成形操作部との間に完成品の取出操作部を設定すると、一対の下型は成形操作部から90°回転して取出操作部とその対向位置に停止する。このため成形サイクル時間としては成形時間と取出時間の両方を要することになる。また取出操作部の対向位置は一次成形後の下型の待機位置となり、完成品の取出しが済むまで下型は一次成形品と共に放置される。このため下型が冷えて一次成形品が収縮し、次の二次成形に影響を与えるという課題をも有する。
【0006】
この発明は上記課題を解決するために考えられたものであって、その目的は、ターンテーブルを90°間欠回転して成形と完成品の取出しとを行う場合であっても、射出成形時間中に完成品の取出しができ、また待機中の下型の保温も可能な新たな回転式竪型射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的によるこの発明は、固定盤に載置したターンテーブルの上方に可動盤を昇降自在に設け、そのターンテーブルの四方に4つの下型を等間隔に設置し、その下型の停止位置を順に一次成形操作部、待機部、二次成形操作部、取出操作部として、両成形操作部の下型と型閉する複数の上型と、待機部の下型と型閉する保温型とを上記可動盤に設けてなる、というものである。
【0008】
また上記保温型は、ヒータを内蔵した加熱ブロックと、加熱ブロック上面に断熱材を介して止着したシャフトホルダーとからなり、その加熱ブロックを可動盤に縦に挿通して上端を支持したシャフトの下端に連結するとともに、可動盤との間にばね部材を介在させて、上記可動盤に上下動自在に吊設してなる、というものである。
【0009】
また上記可動盤は、上記固定盤の四隅部に摺動自在に挿通した複数本のタイバーと連結して昇降自在に設けられ、その可動盤の一次成形操作部と二次成形操作部の上に一次射出装置と二次射出装置とを下向きに並行に備える、というものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明では、一次成形操作部と二次成形操作部における上下金型の型閉と、待機部の下型と保温型の型閉とが同時に行え、射出成形後の可動盤の上昇による型開まで待機部の下型が保温されることから、待機中の下型の冷えによる一次成形品の収縮が防止される。また二次成形材料が熱硬化性樹脂の場合には、二次成形操作部に移送した後の金型昇温時間が短く済むようになり、取出操作部での作業も成形時間中に済むので成形サイクルの短縮ともなる。
【0011】
また可動盤によりばね部材を圧縮して保温型を下型に当接しているので、一対の上型と共に可動盤に設けられていても、上型より先に型閉するように高さ位置を適当に調整しておけば、両成形操作部における上型と下型の型閉及び型締に不具合が生ずることもなく、待機部での下型の保温を確実に行い得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図中1は機台上に載置した平面形状が長方形の固定盤、2は固定盤上に設けた円形のターンテーブル、3は固定盤1と同形の可動盤で、該固定盤1の四隅部に摺動自在に挿通したタイバー4,4の上端に連結して、ターンテーブル2の上方に昇降自在に設けてある。タイバー4,4の機台内の下端には、図では省略するが牽引盤が連結してあり、その牽引盤と固定盤とにわたり型締機構が設けてある。
【0013】
上記ターンテーブル2のテーブル上には4個の下型5a,5b,5c,5dが四方に等間隔に設置してあり、それらの下型の停止位置を正面左側から順に時計回りに一次成形操作部A、待機部B、二次成形操作部C、取出操作部Dとして、ターンテーブル2が間欠回転(90°回転)するようにしてある。
【0014】
上記可動盤3の下側には、一次成形操作部Aの下型5aと二次成形操作部Cの下型5cと型閉する一対の上型6,7と、待機部Bの下型5bと型閉する保温型8とが設けてあり、それらはタイバー4,4の牽引による可動盤3の降下により、下型5a,5c,5bと個々に同時に型閉するように高さ位置を調整して設けてある。また可動盤3の一次成形操作部Aと二次成形操作部Cの上には一次射出装置9と二次射出装置10とが下向きに並行に設置してある。
【0015】
上記保温型8は、図5に示すように、ヒータ81を内蔵した加熱ブロック82と、ブロック上面に板状の断熱材83を介して止着した座板上の複数のシャフトホルダー84とからなる。このシャフトホルダー84には、可動盤3に並行に穿設した複数の縦孔3aのそれぞれに上下動自在に挿通して、上端をセットカラー11により可動盤3に支持した複数本のシャフト12の下端が、可動盤3とブロック間に介在させたコイルばね部材13を通してそれぞれ連結してある。
【0016】
このシャフト12とコイルばね部材13とによって保温型8は、可動盤3の下側に上型6,7と並べて弾撥的に上下動自在に吊設され、吊設位置の高さもセットカラー11の締着位置替えにより、可動盤3からのシャフト12の突出長さを調整して行えるようにしてある。また保温型8は、下型5a,5cに対して同一高さに設定されている上型6,7よりも下型5bに近く高さを低く設定して可動盤3に吊設してあり、上型6,7に先行して下型5bとの型閉が行えるようにしてある。
【0017】
上記構成では、ターンテーブル2が90°回転して停止した後に、可動盤3がタイバー4,4に牽引されて図4に示すように降下する。この降下により待機部Bの下型5bと保温型8とが先に接してコイルばね部材13が可動盤3により圧縮される。可動盤3は圧縮代分をさらに降下して上型6,7と下型5a,5cの型閉と型締とを行う。しかし保温型8と下型5bは可動盤3による型締力を受けず、図5に示すように、圧縮されたコイルばね部材13の弾撥力により、可動盤3が上昇するまで加熱ブロック82が下型5aの開口を押さえ付けて閉鎖する。したがって下型5bと保温型8とが先に接しても、可動盤3による型締の障害となるようなことはない。
【0018】
また型締後に一次成形操作部Aでは、上型6と下型5aとにより形成されたキャビティに、上記一次射出装置9から溶融樹脂が射出充填されて半部成形品20′の一次成形が行われる。同時に二次成形操作部Cでは、下型5cと共に移送されてきた半部成形品20′と上型7との間に形成されたキャビティに、上記二次射出装置10から他の溶融樹脂が射出充填されて補完成形品20″の二次成形が行われて、両成形品の一体化による複合成形品20の完成となる。二次成形材料がシリコン等の熱硬化性樹脂では二次成形操作部Cで金型温度が昇温される。
【0019】
待機部Bでは、型内の半部成形品20′と共に一次成形操作部Aから移送されてきた下型5bの放熱による冷えが、当接された加熱ブロック82からの伝熱により保温されて防止される。これにより射出成形時間により決められる待機時間が長くとも、下型5bの冷えによる半部成形品20′の収縮が防止され、一次成形された半部成形品20′の寸法精度が保たれる。
【0020】
また取出操作部Dでは下型5dからの完成品20の取出しが行われる。取出操作部Dには上型がないので可動盤3が降下した型締状態でも取出作業が行え、二次成形材料が熱硬化性樹脂でバリ取りを済ませてから完成品20の取出しを行う場合でも、その作業は射出成形時間よりも短いので型開前に済ませることができるので、これまで成形時間とは別に設定されていた取出作業時間が省略され、その時間分が成形サイクル時間の短縮となる。
【0021】
成形が済むと、可動盤3がタイバー4,4に押し上げられて、上型6,7と保温型8が一緒に上昇して型開となる。この際、保温型8は可動盤3の上昇に伴い元に伸長するコイルばね部材13により、シャフト12がセットカラー11により可動盤3に支持されて引き上げられるまで下型5bと接触を保っている。
【0022】
可動盤3の上昇が停止すると、型開後にターンテーブル2が時計回りに90°回転して停止する。これにより下型5aは上型6から離型した半部成形品20′と共に待機部Bに、下型5bは先に成形した半部成形品20′と共に二次成形操作部Cに、下型5cは上型7から離型した複合成形品20と共に取出操作部Dに、下型5dは一次成形操作部Aにそれぞれ位置替えする。そして再び可動盤3の降下による型閉及び型締が行われて、次回の射出成形操作に移行する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係わる回転式射出成形機の正面図である。
【図2】ターンテーブルの平面図である。
【図3】一次成形操作部側の一部を切除した側面図である。
【図4】可動盤降下時の回転式射出成形機の正面図である。
【図5】保温型と下型及び上型と下型の型閉状態を示す一次成形操作部側の一部を切除した側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 固定盤
2 ターンテーブル
3 可動盤
4 タイバー
5a,5b,5c,5d 下型
6,7 上型
8 保温型
11 セットカラー
12 シャフト
13 コイルばね部材
20 複合成形品
81 ヒータ
82 加熱ブロック
83 断熱材
84 シャフトホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤に載置したターンテーブルの上方に可動盤を昇降自在に設け、そのターンテーブルの四方に4つの下型を等間隔に設置し、その下型の停止位置を順に一次成形操作部、待機部、二次成形操作部、取出操作部として、両成形操作部の下型と型閉する複数の上型と、待機部の下型と型閉する保温型とを上記可動盤に設けてなることを特徴とする回転式竪型射出成形機。
【請求項2】
上記保温型は、ヒータを内蔵した加熱ブロックと、加熱ブロック上面に断熱材を介して止着したシャフトホルダーとからなり、その加熱ブロックを可動盤に縦に挿通して上端を支持したシャフトの下端に連結するとともに、可動盤との間にばね部材を介在させて、上記可動盤に上下動自在に吊設してなることを特徴とする請求項1記載の回転式竪型射出成形機。
【請求項3】
上記可動盤は、上記固定盤の四隅部に摺動自在に挿通した複数本のタイバーと連結して昇降自在に設けられ、その可動盤の一次成形操作部と二次成形操作部の上に一次射出装置と二次射出装置とを下向きに並行に備えることを特徴とする請求項1記載の回転式竪型射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−56716(P2009−56716A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226305(P2007−226305)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000227054)日精樹脂工業株式会社 (293)
【Fターム(参考)】