説明

回転板駆動装置

【課題】異物の侵入を防止した場合でも、不具合によって回転板が停止した際に回転板の位置を調整することのできる回転板駆動装置を提供すること。
【解決手段】回転板駆動装置1では、ハウジング120の第1回転軸96の先端面961と対向する位置に開口部125bが設けられているが、開口部125bは封止部材124によって封止されている。第1回転軸96の先端面961には、マイナス(−)形状の溝(凹部)からなる被係合部962が形成されている。このため、第1モータ90等に不具合が発生して第1シャッタ板20が不適切な位置で停止した場合、封止部材124を除去あるいは破壊して開口部125bからマイナスドライバ等の工具を差し込んで被係合部962と係合させれば、第1回転軸96を回転させることができ、第1シャッタ板20を適正な位置に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸および回転駆動機構の周りにハウジングが設けられた回転板駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転板を駆動する回転板駆動装置としては、例えば、透光部を備えたシャッタ板からなる回転板をモータ等の駆動源によって回転させる装置が提案されており、かかる回転板駆動装置では、動画を通常通り撮影する方法で、動画をコマ撮りのように連続した静止画として撮影することができる。また、回転板(シャッタ板)を2枚備えているため、露光時間の調節を行うこともできる(特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1には、モータの回転を回転板に伝達する回転軸等が露出した構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−33178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、回転軸等が露出していると、埃等の異物が可動部に侵入し、不具合が発生しやすいという問題点がある。一方、ハウジングによって回転軸等を完全に覆うと、回転板駆動装置を使用中に駆動源が故障した場合、回転板が不適切な位置で停止した場合、撮影が一切できなくなって甚大な被害が発生することがある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、異物の侵入を防止した場合でも、不具合によって回転板が停止した際に回転板の位置を調整することが可能な回転板駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、第1回転板と、該第1回転板を駆動するための第1駆動源と、該第1駆動源の回転を前記第1回転板に伝達する第1回転軸と、前記第1回転軸および前記第1駆動源の周りを覆うハウジングと、を有する回転板駆動装置であって、前記ハウジングにおいて前記第1回転軸の端面と対向する位置に設けられた開口部と、該開口部を封止する封止部材と、前記第1回転軸の前記端面に形成された凸部または凹部からなる被係合部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、ハウジングが第1回転軸および第1駆動源の周りを覆っており、第1回転軸および第1駆動源が配置されている空間に埃等の異物が侵入しにくい。また、ハウジングにおいて第1回転軸の端面と対向する位置に開口部が設けられているが、開口部は封止部材によって封止されているので、開口部を設けた場合でも、第1回転軸および第1駆動源が配置されている空間に埃等の異物が侵入しにくい。ここで、第1回転軸の端面には、凸部または凹部からなる被係合部が形成されているので、駆動源等に不具合が発生して第1回転板が不適切な位置で停止した場合、封止部材を除去あるいは破壊して開口部からドライバー等の工具を差し込んで被係合部と係合させれば、第1回転軸を外力によって回転させることができる。それ故、第1回転板を適正な位置に移動させることができる。
【0009】
本発明において、前記被係合部は、−形状の溝または+形状の溝からなることが好ましい。かかる構成によれば、マイナスドライバやプラスドライバによって第1回転軸を回転させることができる。
【0010】
本発明において、前記封止部材は、シート状であることが好ましい。かかる構成によれば、封止部材を取り外さなくても、シート状の封止部材をドライバー等の工具で突き破ることができ、第1回転軸を回転させることができる。
【0011】
本発明において、前記第1回転板は、第1透光部を備えた第1シャッタ板であることが好ましい。かかる構成によれば、駆動源等に不具合が発生して第1回転板(第1シャッタ板)が不適切な位置で停止した場合、工具を用いて第1回転軸を回転させることによって第1回転板の第1透光部を適正な位置に移動させることができる。
【0012】
本発明において、さらに、前記第1回転板と同一の軸線周りに回転する第2回転板と、該第2回転板を駆動するための第2駆動源と、該第2駆動源の回転を前記第2回転板に伝達する第2回転軸と、を有し、前記第2回転板は、前記第1回転板と対向する第2シャッタ部材であって、前記第1透光部と重なる位置に第2透光部を備え、前記第1駆動源および前記第2駆動源が停止した状態で前記第1回転軸を外力により回転させた際、前記第2回転板が従動することが好ましい。かかる構成によれば、駆動源等に不具合が発生して第1回転板(第1シャッタ板)および第2回転板(第2シャッタ板)が不適切な位置で停止した場合、工具を用いて第1回転軸を回転させることによって第1回転板の第1透光部および第2回転板の第2透光部を適正な位置に移動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ハウジングが第1回転軸および第1駆動源の周りを覆っており、回転軸および第1駆動源が配置されている空間に埃等の異物が侵入しにくい。また、ハウジングにおいて第1回転軸の端面と対向する位置に開口部が設けられているが、開口部は封止部材によって封止されているので、開口部を設けた場合でも、回転軸および第1駆動源が配置されている空間に埃等の異物が侵入しにくい。ここで、第1回転軸の端面には、凸部または凹部からなる被係合部が形成されているので、駆動源等に不具合が発生して回転板が不適切な位置で停止した場合、封止部材を除去あるいは破壊して開口部からドライバー等の工具を差し込んで被係合部と係合させれば、第1回転板を回転させることができる。従って、不具合によって回転板が停止した際に、第1回転板を最適な位置に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した回転板駆動装置の外観等を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した回転板駆動装置の縦断面図である。
【図3】本発明を適用した回転板駆動装置を光軸方向の前側からみたときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、回転板の回転中心軸線にLを付し、回転中心軸線Lの一方側にLaを付し、他方側にLbを付して説明する。
【0016】
[回転板駆動装置(ロータリシャッタ装置)の構成例]
図1は、本発明を適用した回転板駆動装置の外観等を示す説明図であり、図1(a)、(b)は、回転板駆動装置を前方から見た斜視図、および回転板駆動装置を後方から見た斜視図である。
【0017】
(全体構成)
図1に示すように、回転板駆動装置1は、回転中心軸線L上に第1シャッタ板20(第1回転板)、第2シャッタ板30(第2回転板)、および回転駆動機構40が同軸状に配置された構造を備えている。以下の説明では、便宜上、回転中心軸線L方向において、第1シャッタ板20が配置されている側を前側とし、回転駆動機構40が配置されている側を後側として説明する。第1シャッタ板20および第2シャッタ板30は、回転駆動機構40よりも大径の円板である。第1シャッタ板20は、透光部と遮光部とを備えており、半径方向L1の所定位置には、所定の角度範囲に渡って周方向に延在する扇形の第1透光部20aが形成されている。第2シャッタ板30も透光部と遮光部とを備えており、第1シャッタ板20と同一形状をしている。すなわち、第2シャッタ板30の半径方向L1の所定の位置には、所定の角度範囲に渡って周方向に延在する扇形の第2透光部30aが形成されている。第1シャッタ板20と第2シャッタ板30とは狭い間隔で対向しており、図1では、第1透光部20aと第2透光部30aの位相は90度ずれている。また、第1透光部20aと第2透光部30aの重なり部分によって所定の角度範囲にわたって扇形のシャッタ開口50が形成されている。シャッタ開口50は、回転駆動機構40の外周面よりも外周側に位置している。
【0018】
かかる回転板駆動装置1が撮影カメラに組み込まれる場合には、図1に想像線(二点鎖線)で示すように、第1シャッタ板20の前方に撮影レンズ60が配置され、第2シャッタ板30の後方にCCD等の撮像部70が配置される。第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が回転駆動機構40によって回転駆動されると、撮影レンズ60と撮像部70の間をシャッタ開口50が通過する。回転駆動機構40は、例えば、撮影カメラの駆動制御部80によって駆動制御される。
【0019】
次に、回転板駆動装置1の動作について説明する。本形態の回転板駆動装置1において、初期状態では、シャッタ開口50の開口角度は、例えば、90度に設定されている。回転板駆動装置1を動作させる場合には、駆動制御部80は、第1シャッタ板20と第2シャッタ板30とを同一の速度で一体に回転させる。その際、シャッタ速度を高速にする場合、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30の回転速度は5000〜10000回転/秒に設定され、シャッタ速度を低速にする場合には、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30の回転速度は200〜500回転/秒に設定される。
【0020】
次に、露光時間を変更する場合には、駆動制御部80は、第1シャッタ板20の第1透光部20aと第2シャッタ板30の第2透光部30aの位相を変えて、シャッタ開口50の開口角度を変える。より具体的には、駆動制御部80は、第1モータ90と第2モータ10とを異なる回転速度で回転駆動し、シャッタ開口50の開口角度を所定の条件に設定する。このようにして、シャッタ開口50の開口角度が所望の角度に設定された後は、駆動制御部80は、再び、第1シャッタ板20と第2シャッタ板30とを所定の回転速度で一体に回転させる。従って、動画を通常通り撮影する方法で、動画をコマ撮りのように連続した静止画として撮影することができるとともに、露光時間の調節を行うこともできる。
【0021】
(回転板駆動装置(ロータリシャッタ装置)の内部構造)
図2は、本発明を適用した回転板駆動装置1の縦断面図である。図2に示すように、本形態の回転板駆動装置1において、回転駆動機構40は、第1回転軸96、第1モータ90(第1駆動源)、第2回転軸100、第2モータ10(第2駆動源)、波動歯車機構110、およびこれらの周りを全体にわたって覆うハウジング120を備えており、ハウジング120は、複数のハウジング部材125、126、127、128、129からなる。ハウジング部材125の内側には、第1モータ90および第1回転軸96が配置され、ハウジング部材128、129の内側には、波動歯車機構110、第2モータ10および第2回転軸100が配置されている。また、第1回転軸96、第2回転軸100、波動歯車機構110、第1モータ90および第2モータ10は回転中心軸線L上で同軸に配置されている。
【0022】
かかる回転板駆動装置1において、第1モータ90は、第1回転軸96に円筒状の連結部材95を介してマグネット93が固定されたロータ91を備えており、かかるロータ91において、マグネット93の背後(前側)にはバックヨーク97が設けられている。また、マグネット93に対して後側で対向する位置には、ステータコイル94aを備えたステータ基板94が2枚、重ねて配置されている。ステータ基板94において、ステータコイル94aは絶縁膜(図示せず)で覆われており、ステータ基板94を重ねて配置しても短絡が発生することはない。第1モータ90において、ステータ基板94の外周側端部は、回転中心軸線L方向で隣り合うハウジング部材125、126との間に挟持されている。本形態では、第1回転軸96に第1環状ハブ180が固定され、かかる第1環状ハブ180には、第1シャッタ板20が連結されている。
【0023】
第2モータ10は、第2回転軸100に円筒状の連結部材106を介してマグネット102が固定されたロータ101を備えており、かかるロータ101において、マグネット102の背後(後側)にはバックヨーク104が設けられている。また、マグネット102に対して前側で対向する位置には、ステータコイル103aを備えたステータ基板103が2枚、重ねて配置されている。ステータ基板103において、ステータコイル103aは絶縁膜(図示せず)で覆われており、ステータ基板103を重ねて配置しても短絡が発生することはない。第2モータ10において、ステータ基板103の外周側端部は、回転中心軸線L方向で隣り合うハウジング部材128、129の間に挟持されている。
【0024】
波動歯車機構110は、撓み噛み合い式波動歯車機構であり、筒状のサーキュラスプライン111と、サーキュラスプライン111の内側に配置されたカップ状のフレックススプライン112と、このフレックススプライン112を撓ませて噛合位置を円周方向に移動させるウエーブジェネレータ113とを備えている。
【0025】
ウエーブジェネレータ113は第2モータ10の第2回転軸100に連結されている。サーキュラスプライン111は、サーキュラスプライン111の外周面とハウジング部材128の内周面との間において回転中心軸線L方向で離間する位置に設けられた2つのベアリング軸受150、160によって回転中心軸線Lを中心に回転自在に支持されている。ベアリング軸受150、160の内輪は、スリーブ157を間に挟んだ状態で、サーキュラスプライン111の外周面に形成された段部と、サーキュラスプライン111の後端面に固定された押さえ板116との間に保持されている。これに対して、ベアリング軸受150、160の外輪は、ハウジング部材128の内周面に形成された段部と、ハウジング部材128に螺着されたリング123との間に保持されている。また、フレックススプライン112のダイヤフラム部分112cの中央部分は、ベアリング軸受170を介して第2回転軸100に回転可能に支持され、サーキュラスプライン111も、ベアリング軸受170を介して第2回転軸100に回転可能に支持されている。
【0026】
サーキュラスプライン111には第2環状ハブ200が連結され、第2環状ハブ200には第2シャッタ板30が連結されている。このため、第1シャッタ板20は、第1モータ90によって直接駆動される一方、第2シャッタ板30は、波動歯車機構110を介して第2モータ10によって駆動される。
【0027】
本形態において、サーキュラスプライン111の前側端部には凹部111eが形成されている一方、第1回転軸96の後端部960は、サーキュラスプライン111の凹部111eに嵌って回転可能に支持されている。このようにして、第1回転軸96と第2回転軸100との同軸性が確保されている。
【0028】
第1モータ90において、ロータ91に補助ヨーク11bを設けるにあたって、補助ヨーク11bは、第1環状ハブ180を補助ヨーク取り付け部材9として利用して設けられている。すなわち、第1環状ハブ180は、第1回転軸96が嵌る筒部9aから拡径してステータ基板94に後側で対向する部分に設けられている。より具体的には、補助ヨーク取り付け部材9(第1環状ハブ180)は、第1回転軸96が嵌る筒部9aと、筒部9aの後側の端部で拡径する円環状の大径部9cとを備えた非磁性部材であり、かかる補助ヨーク取り付け部材9において、大径部9cの前側の面には、円環状の磁性板からなる補助ヨーク11bがスペーサ11cを介して接着剤等により固定されている。このように、補助ヨーク11bはロータ91に設けられており、ロータ91と一体に回転する。このため、マグネット93と補助ヨーク11bとの間に作用する磁気吸引力が第1回転軸96にスラスト力として作用しない。また、マグネット93と補助ヨーク11bとが一体に回転するため、補助ヨーク11bに渦電流が発生しないので、渦電流に起因するブレーキがロータ91に加わることもない。
【0029】
また、第2モータ10において、ロータ101に補助ヨーク11eを設けるにあたって、第2回転軸100が嵌る筒部7aを備えた補助ヨーク取り付け部材7が用いられ、補助ヨーク11eは、筒部7aから拡径してステータ基板103に前側で対向する部分に設けられている。より具体的には、補助ヨーク取り付け部材7は、第2回転軸100が嵌る筒部7aと、筒部7aの前側の端部で拡径する円環状の大径部7cとを備えた磁性部材であり、かかる大径部7cによって補助ヨーク11eが構成されている。このように、補助ヨーク11eはロータ101に設けられており、ロータ101と一体に回転する。このため、マグネット102と補助ヨーク11eとの間に作用する磁気吸引力が第2回転軸100にスラスト力として作用しない。また、マグネット102と補助ヨーク11eとが一体に回転するため、補助ヨーク11eに渦電流が発生しないので、渦電流に起因するブレーキがロータ101に加わることもない。
【0030】
(ハウジング120の構成)
図3は、本発明を適用した回転板駆動装置1を光軸方向の前側からみたときの説明図であり、図3(a)、(b)は、封止部材を取り付ける前の状態を示す説明図、および封止部材を取り付けた後の状態を示す説明図である。
【0031】
図2に示すように、本形態の回転板駆動装置1において、ハウジング120は、第1回転軸96、第1モータ90、第2回転軸100、第2モータ10および波動歯車機構110を全体にわたって覆っている。また、ハウジング120において、ハウジング部材125は、ハウジング部材129と同一の構成を有しており、共通の部品が用いられている。
【0032】
図2および図3に示すように、本形態において、ハウジング部材125は、ロータ91や第1回転軸96等を収容する円筒状胴部125sと、円筒状胴部125sの端部に形成された矩形のフランジ部125tとを備えており、円筒状胴部125sの外周面には、配線基板5を固定するための切り欠き125uが形成されている。
【0033】
ここで、ハウジング部材125は、第1回転軸96の先端面961(端面)と対向する部分が平板部125aになっており、かかる平板部125aにおいて、第1回転軸96の先端面961と対向する部分には開口部125bが形成されている。開口部125bは、第1回転軸96の先端面961の外径寸法よりわずかに大きな内径寸法の円形の孔からなる。
【0034】
ハウジング部材125の平板部125aには前側(外側)から封止部材124が取り付けられており、開口部125bは、封止部材124によって塞がれている。本形態において、封止部材124は、シート状であり、粘着材等によりハウジング部材125に貼付されている。
【0035】
また、第1回転軸96の先端面961には、凸部または凹部からなる被係合部962が形成されている。本形態において、被係合部962は、マイナス(−)形状の溝(凹部)からなる。
【0036】
上述した構成により、回転板駆動装置1は、例えば、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が同一の速度で回転しているとき、第1モータ90および第2モータ10等の不具合が原因で第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が不適切な位置で停止した場合、開口部125bからマイナスドライバ等の工具を差し込んで被係合部962と係合させれば、第1回転軸96を回転させることができるようになっている。ここで、第1回転軸96の後端部960は、サーキュラスプライン111の凹部111eに嵌って回転可能に支持されている。このため、マイナスドライバ等の工具を差し込んで被係合部962と係合させ、第1回転軸96を外力で回転させると、第1回転軸96の後端部960とサーキュラスプライン111の凹部111eとの間の摩擦力によって、サーキュラスプライン111が追従して回転し、第2シャッタ板30が回転する。従って、第1シャッタ板20と第2シャッタ板30とを同時に移動させることができるようになっている。このため、故障等で駆動中の第1モータ90および第2モータ10が停止した場合、図1を参照して説明したシャッタ開口50の位置を撮像部70が配置された位置に移動させることができるようになっている。かかる状態にあれば、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が回転しないので、動画をコマ撮りのように撮像することは困難であるが、通常の動画として撮影する等の緊急措置は可能である。それ故、第1モータ90および第2モータ10に不具合が発生しても、画像を完全に撮り損ねるという事態を回避することができるようになっている。
【0037】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の回転板駆動装置1において、ハウジング120は、第1回転軸96、ロータ91、第2回転軸101、およびロータ101の周りを全体にわたって覆っているため、埃等の異物が内部に侵入することを防止することができる。また、ハウジング120において第1回転軸96の先端面961と対向するハウジング部材125には開口部125bが設けられているが、開口部125bは封止部材124によって封止されているので、開口部125bを設けた場合でも、ハウジング120の内部に埃等の異物が侵入しにくい。
【0038】
ここで、第1回転軸96の先端面961には、マイナス(−)形状の溝(凹部)からなる被係合部962が形成されている。このため、第1モータ90等に不具合が発生して第1シャッタ板20が不適切な位置で停止した場合、封止部材124を除去あるいは破壊して開口部125bからマイナスドライバ等の工具を差し込んで被係合部962と係合させれば、第1回転軸96を外力で回転させることができる。従って、第1シャッタ板20を適正な位置に移動させることができる。
【0039】
例えば、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が同一の速度で回転しているとき、第1モータ90および第2モータ10等の不具合が原因で第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が不適切な位置で停止してしまった場合、開口部125bからマイナスドライバ等の工具を差し込んで被係合部962と係合させれば、第1回転軸96を回転させることができる。ここで、第1回転軸96の後端部960は、サーキュラスプライン111の凹部111eに嵌って回転可能に支持されている。このため、第1回転軸96を外力で回転させると、第1回転軸96の後端部960とサーキュラスプライン111の凹部111eとの間の摩擦力によって、サーキュラスプライン111が追従して回転し、第2シャッタ板30が回転する。従って、第1シャッタ板20と第2シャッタ板30とを同時に移動させることができる。このため、第1モータ90および第2モータ10が停止しても、図1を参照して説明したシャッタ開口50の位置を撮像部70が配置された位置に移動させることができる。かかる状態にあれば、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30が回転しないので、動画をコマ撮りのように撮像することは困難であるが、通常の動画として撮影する等の緊急措置は可能である。それ故、第1モータ90および第2モータ10に不具合が発生しても、画像を完全に撮り損ねるという事態を回避することができる。
【0040】
また、本形態において、封止部材124はシート状である。従って、封止部材124を取り外さなくても、シート状の封止部材124をマイナスドライバで突き破れば第1回転軸96を回転させることができる。
【0041】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、第1回転軸96の先端面961に対して、マイナス(−)形状の溝(凹部)からなる被係合部962を形成したが、プラス(+)形状の溝(凹部)からなる被係合部962を形成してもよく、この場合、プラスドライバ等の工具によって、第1回転軸96を回転させることができる。また、被係合部962の形状としては、工具を係合可能な形状であれば、凸部であってもよい。
【0042】
上記実施の形態では、ハウジング120において第1回転軸96の先端面961に対向する位置に開口部125bを設け、第1回転軸96の先端面961に被係合部962を形成したが、さらに、ハウジング120において第2回転軸100の後端面に対向する位置にも開口部を設け、第2回転軸100の後端面にも被係合部を形成してもよい。かかる構成でも、第1シャッタ板20および第2シャッタ板30を各々、外力により移動させることできる。
【0043】
上記実施の形態では、封止部材124としてシールを貼付したが、オイルシール等を利用してもよい。
【0044】
上記実施の形態では、第1回転軸96に第1シャッタ板20が連結された回転板駆動装置1に本発明を適用したが、特開2011−33178号公報に記載の回転板駆動装置1のように、撓み噛み合い式波動歯車機構のウエーブジェネレータ113を第1モータによって駆動し、サーキュラスプライン111を第2モータによって駆動し、フレックススプライン112に第1シャッタ板を連結し、サーキュラスプライン111に第2シャッタ板を連結した回転板駆動装置1に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 回転板駆動装置
10 第2モータ
90 第1モータ
91、101 ロータ
96 第1回転軸
100 第2回転軸
120 モータハウジング
124 封止部材
125〜129 ハウジング部材
125b 先端面(端面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転板と、
該第1回転板を駆動するための第1駆動源と、
該第1駆動源の回転を前記第1回転板に伝達する第1回転軸と、
前記第1回転軸および前記第1駆動源の周りを覆うハウジングと、
を有する回転板駆動装置であって、
前記ハウジングにおいて前記第1回転軸の端面と対向する位置に設けられた開口部と、
該開口部を封止する封止部材と、
前記第1回転軸の前記端面に形成された凸部または凹部からなる被係合部と、
を有することを特徴とする回転板駆動装置。
【請求項2】
前記被係合部は、−形状の溝または+形状の溝からなることを特徴とする請求項1に記載の回転板駆動装置。
【請求項3】
前記封止部材は、シート状であることを特徴とする請求項1または2に記載の回転板駆動装置。
【請求項4】
前記第1回転板は、第1透光部を備えた第1シャッタ板であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の回転板駆動装置。
【請求項5】
さらに、
前記第1回転板と同一の軸線周りに回転する第2回転板と、
該第2回転板を駆動するための第2駆動源と、
該第2駆動源の回転を前記第2回転板に伝達する第2回転軸と、
を有し、
前記第2回転板は、前記第1回転板と対向する第2シャッタ部材であって、前記第1透光部と重なる位置に第2透光部を備え、
前記第1駆動源および前記第2駆動源が停止した状態で前記第1回転軸を外力により回転させた際、前記第2回転板が従動することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の回転板駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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