説明

回転清掃体及び固定部材

【課題】芯棒に起毛布を巻き付けた回転清掃体を構成する清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部と芯棒とを確実に固定する固定部材を提供する。
【解決手段】固定部材10は、芯棒が挿通可能な挿通孔10aと、清掃体1の端部の外周を覆うキャップ部10bと、挿通孔10aと一体的に連なった窓部10cとを有しており、挿通孔10aと一体的に連なった窓部10cとによって、4つの嵌合片10dが形成されている。このように構成した固定部材10のキャップ部10bで、清掃体1の巻き始めと巻き終わりの端部を覆うように固定することで清掃体1の端部が芯棒から剥がれてくるのを防ぐことができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の回転清掃体と、空気調和機に取り付けられたエアフィルターの清掃を行う回転清掃体と、これらの回転清掃体を構成する清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部と芯棒とを固定する固定部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転清掃体は、図10に示すように、所定の形状に切断された起毛布70aを芯棒70bに接着剤等で螺旋状に巻きつけたものが知られている(特許文献1の図3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−329598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の回転清掃体70では、起毛布の端部Aが浮くことがあり、品質が安定していなかった。また、使用回数が増えるにつれて、起毛布70aが両端部から剥がれてくる場合があるため、起毛布70aの両端部と芯棒70bとの間には確実に接着剤を塗布した後、芯棒70bに押さえ付ける必要があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、芯棒に起毛布を巻き付けた回転清掃体を構成する清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部と芯棒とを確実に固定する固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、基部にブラシ毛が形成された清掃体を芯棒に螺旋状に巻き付けてなる回転清掃体の、前記清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部と前記芯棒とを固定する固定部材であって、該固定部材は、前記芯棒が挿通可能な挿通孔と、前記清掃体の端部の外周を覆うキャップ部とを有することに特徴を有する。したがって、挿通孔によって芯棒を挿通させることができるので、芯棒の中間部に清掃体の端部が位置する場合でも対応できる。また、キャップ部によって清掃体の端部の外周を覆うことによって、清掃体の端部が芯棒から剥がれるのを防止することができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、固定部材の挿通孔が設けられた面の外側に、該挿通孔と一体的に連なった窓部を複数設け、隣接する該窓部間に嵌合片を形成し、キャップ部の内径を芯棒の外径よりも大きくしたことに特徴を有する。したがって、窓部から、芯棒に挿通された固定部材が清掃体の端部に位置しているかを確認することができる。また、窓部から清掃体と芯棒との間に接着剤を塗布することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、キャップ部の内周に清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部を芯棒の軸芯方向へ押さえ付けるリブを設けたことに特徴を有する。したがって、清掃体を芯棒に対して螺旋状に巻き付けた場合に、固定部材を挿入する時に清掃体の巻き付け方向に捩りながら挿入すればリブが清掃体に接触して確実に清掃体を芯棒に密着させることができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、固定部材は、可撓性を有する合成樹脂材からなることに特徴を有する。したがって、芯棒を挿通する時に一時的に変形し易いことから、芯棒への固定部材の作業が容易となる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2〜4の発明において、挿通孔の仮想円の直径は、芯棒の直径よりも小さいことに特徴を有する。したがって、固定部材は、芯棒の挿通時に、挿通孔と一体的に連なった窓部方向に拡張するように変形して芯棒に固定されることから、固定部材の芯棒への固定が確実なものとなる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5に記載の固定部材を備えた回転清掃体に特徴を有する。したがって、固定部材により清掃体の端部が固定された回転清掃体は、空気清浄機や、掃除機や、洗濯乾燥機や、瓶、缶等の洗浄用の回転清掃体として使用する場合に、使用回数が増えても清掃体の端部が芯棒から剥がれてくるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、清掃体の両端部を芯棒に確実に固定することができる。また、請求項2の発明では、窓部によって、清掃体の端部の位置の確認と、接着剤の塗布とを行うことができる。さらに、請求項3の発明では、清掃体を芯棒に確実に密着させることができる。また、請求項4の発明では、固定部材を変形させることができる。さらに、請求項5の発明では、固定部材の芯棒への固定を確実なものとすることができる。また、請求項6の発明では、空気清浄機や、掃除機や、洗濯乾燥機や、瓶、缶等の洗浄用として使用する回転清掃体は、使用回数が増えても清掃体の端部が芯棒から剥がれてくるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る固定部材の正面図、背面図及び斜視図である。これらの図に示すように、固定部材10は、芯棒が挿通可能な挿通孔10aと、清掃体の端部の外周を覆うキャップ部10bと、挿通孔10aと一体的に連なった窓部10cとを有している。したがって、挿通孔10aと一体的に連なった窓部10cとによって、4つの嵌合片10dが形成される。
【0014】
ここで、固定部材10は、可撓性を有する合成樹脂材によって成形されている。また、挿通孔10aの仮想円の直径は、芯棒の外径よりも小さくなっている。また、キャップ部10bの内径を芯棒の外径よりも大きくしているので、キャップ部10bは、芯棒との間に清掃体の端部が挿入できる隙間を有しつつ、芯棒の外周を覆う構成としている。
【0015】
図2は、本発明の固定部材を取り付けた回転清掃体の正面図と右側面図であり、図3は図2のA−A断面図である。図2に示すように、回転清掃体30の清掃体1は、芯棒2に対して螺旋状に巻き付けられており、芯棒2に巻き付けられた清掃体1の両端部に固定部材10が固定されている。ここで、図3の断面図を見るとわかるように、清掃体1は基部1aとブラシ毛1bとから構成されており、芯棒2に螺旋状に巻き付けられた清掃体1の端部のブラシ毛1bは、固定部材10に巻き込まれている。この基部1aの外周を固定部材10のキャップ部10bで覆うことによって、清掃体1の端部が芯棒2から浮いたり、剥がれたりするのを防止することができるのである。尚、芯棒2に螺旋状に巻き付けられた清掃体1の両端部のブラシ毛1bが無い状態として、基部1aのみの外周を覆うように固定部材10を固定することも可能である。
【0016】
そして、固定部材10の芯棒2への挿入時に、清掃体1の端部が固定部材10のキャップ部10bに覆われているか否かを固定部材10の窓部10cから視認することができる。
【0017】
また、固定部材10を芯棒2に挿入し、清掃体1の基部1aが覆われたのを窓部10cから視認した後、窓部10cから接着剤を塗布することによって、清掃体1の基部1aと芯棒2との間、及び清掃体1の基部1aと固定部材10との間に接着剤を浸透させ、固着させるのである。
【0018】
さらに、図4に示すように、固定部材10の挿通孔10aの仮想円の直径D0は、芯棒2の外径D1よりも小さくなっており、挿通孔10aと窓部10cとが一体的に連なって形成されているので、芯棒2に固定部材10を挿入した時に挿通孔10aが拡大する方向(矢印Bの方向)嵌合片10dが変形し、円弧ラインC0は、撓んで直線に近いC1の状態に伸びようとするので、固定部材10の嵌合片10dの先端は、芯棒2を押さえ付ける方向に力が作用するので、固定部材10の芯棒2への固定が確実なものとなる。また、前述したように、固定部材10は可撓性を有する合成樹脂材によって成形されているので、芯棒2への挿入時に変形し易くなっている。尚、図4で示す場合は、芯棒2の外径D1が固定部材10の挿通孔10aの仮想円の直径D0よりも大きくした場合であり、芯棒2の外径D1が固定部材10の挿通孔10aの仮想円の直径D0と同一又は小さい場合には、上記変形は起こらないが、その場合の固定部材10も本発明に含まれる。
【0019】
図5は、本発明の他の実施形態の固定部材20を示す斜視図である。この固定部材20は、芯棒が挿通可能な挿通孔20aと、清掃体の端部の外周を覆うキャップ部20bと、挿通孔20aと一体的に連なった窓部20cとを有し、4つの嵌合片20dが形成されているのは上述した固定部材10と同様である。そして、キャップ部20bの内周に清掃体1の基部1aと接触するリブ20eを設けている。このリブ20eは芯棒2の軸心に対して傾斜させた方向に形成しているので、固定部材20を芯棒2へねじ込みながら挿入すると、リブ20eが清掃体1の基部1aを外側から押圧するので、確実に清掃体を芯棒に密着させることができるのである。尚、この固定部材20が取り付けられる回転清掃体が一方向のみに回転する場合には、清掃体がめくれ易い側の端部、即ち、清掃体の先端が先行して回転する側のみに、この固定部材20を取り付けて、反対側の端部には取り付けないことも可能である。これは、上述した固定部材10でも同様である。
【0020】
図6(a)は、固定部材20を回転清掃体30に固定する場合の説明図であり、図6(b)は固定部材20の一部断面図である。固定部材20を矢印E方向に回転させながら回転清掃体30に挿入すると、清掃体1の基部1aのめくれを防止しながら、且つ複数のリブ20eが基部1aの端から順番に連続的に押さえ込むことができる。また、図6(b)に示すように、固定部材20のリブ20eの入り口側Fが低く、奥側Gが高くなるように傾斜を付ければ挿入がスムースで、徐々に清掃体1の基部1aを強く押さえ付けることができる。
【0021】
図7は、本発明の回転清掃体30を搭載した空気調和機の縦断面図である。図7において、空気調和機本体11は、熱交換器14と、室内の空気を取り入れる吸込口12と、熱交換器14と吸込口12との間に配され、吸込口12から流入する空気中に含まれる塵埃を捕集するエアフィルター15と、このエアフィルター15の上流側に配されると共に、エアフィルター15で捕集された塵埃を除去する清掃装置を有し、この清掃装置は、回転清掃体30と、この回転清掃体30を回転させるための回転駆動手段(図示せず)と、回転清掃体30をエアフィルター15の上流側の表面に沿って上下方向に移動させる上下移動手段(図示せず)にて形成されてあり、室内の空気を吸込口12から吸収し、エアフィルター15、熱交換器14を通して吹出口13から熱交換された空気を室内に吹き出す送風ファン16とを備えている。回転清掃体30により除去された塵埃は、集塵ケース23に捕集され、空気調和機の外部に排出される。尚、塵埃を一旦、集塵ケース23に溜めておいて、その後、集塵ケース23を取り外して塵埃を捨てる構成とすることもできる。
【0022】
図8は、本実施形態における掃除機用床吸込具60の上ケースの一部を切り欠いた斜視図、図9は、掃除機用床吸込具60を接続した電気掃除機の全体側面図である。
【0023】
図8における回転清掃体30の両端に、掃除機用床吸込具60に回転自在に保持するための軸受け33を取り付け、掃除機用床吸込具60を装着させる。48は底面に細長い横長の開口部37を有する掃除機用床吸込具60の下ケース、38は掃除機(図示せず)に接続される吸気パイプ、43はモータ42の回転を回転清掃体30に伝えるベルトである。
【0024】
また、上記構成による掃除機用床吸込具60を、図9の掃除機本体50の延長管57に接続して、掃除機本体50を運転し、ハンドルパイプ56を操作して掃除機用床吸込具60をフローリングやじゅうたん上で操作すると、床吸込具60に内蔵されたモータ42より回転清掃体30が回転し、塵埃が掻き上げられ、電動送風機52による吸引力で空気と共に塵埃が延長管57、ホース55を通って集塵室51に流れ込み、そこで塵埃が捕集される。
【0025】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば、本発明に係る回転清掃体は、上述したとおり、空気調和機や掃除機用床吸込具に設置することができるが、その他には、洗濯乾燥機、瓶・缶等の洗浄機にも設置することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の固定部材及び回転清掃体は主に室内の冷房、暖房、除湿等を行う空気調和機のエアフィルターの清掃のためと、掃除機による室内の清掃のために利用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る固定部材の正面図、背面図及び斜視図。
【図2】回転清掃体の正面図と右側面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】固定部材の変形を説明した正面図。
【図5】本発明の他の実施形態の固定部材を示す斜視図。
【図6】固定部材の挿入時を示した斜視図と固定部材の一部断面図。
【図7】本発明の回転清掃体を搭載した空気調和機の縦断面図。
【図8】掃除機用床吸込具の上ケースの一部を切り欠いた斜視図。
【図9】掃除機用床吸込具を接続した電気掃除機の全体側面図。
【図10】従来の回転清掃体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0028】
1 清掃体
1a 基部
1b ブラシ毛
2 芯棒
10、20 固定部材
10a、20a 挿通孔
10b、20b キャップ部
10c、20c 窓部
10d、20d 嵌合片
20e リブ
30 回転清掃体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部にブラシ毛が形成された清掃体を芯棒に螺旋状に巻き付けてなる回転清掃体の、前記清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部と前記芯棒とを固定する固定部材であって、該固定部材は、前記芯棒が挿通可能な挿通孔と、前記清掃体の端部の外周を覆うキャップ部とを有することを特徴とする固定部材。
【請求項2】
固定部材の挿通孔が設けられた面の外側に、該挿通孔と一体的に連なった窓部を複数設け、隣接する該窓部間に嵌合片を形成し、キャップ部の内径を芯棒の外径よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
キャップ部の内周に清掃体の巻き始めと巻き終わりの端部を芯棒の軸芯方向へ押さえ付けるリブを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の固定部材。
【請求項4】
固定部材は、可撓性を有する合成樹脂材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項5】
挿通孔の仮想円の直径は、芯棒の直径よりも小さいことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の固定部材を備えた回転清掃体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−34288(P2009−34288A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200199(P2007−200199)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】