説明

回転玩具

【課題】回転部が回転中心から周面までの距離が一定でない場合も、回転部と操作部が干渉せず、かつ、デザイン上も有利な回転玩具を提供する。
【解決手段】側面を有する操作部が近接位置から離間位置へ移動することで、回転中心からの距離がL2の回転部周面上の点Bが初期位置から回転終了位置に移動するよう、回転部を所定角度回転させる駆動手段とからなり、点Bは、初期位置では操作部の側面と対向しておらず、初期位置から回転終了位置へと移動する際に操作部の側面と対向する位置を通過可能であり、回転部が所定角度回転する間に操作部の側面と対向する点のうちで最も回転中心からの距離が離れており、操作部が近接位置にあるとき、操作部の側面の回転部の回転中心からの距離はL2よりも小さく、駆動手段は、操作部の側面と回転部の回転中心からの距離がL3(ただし、L3>L2)となったとき、回転部の回転を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の操作に応じて回転部が回転する回転玩具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部である握り部を、回転部である独楽に近接している状態から、離間させる方向に引っ張ることにより、独楽を回転させる玩具が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−329480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の玩具は、回転部が楕円や矩形等、回転中心から回転部の周面上の点までの距離が一定でない場合については考慮されていない。すなわち、回転部が楕円や矩形である場合や真円であっても回転中心が偏心している場合、回転部の周面上の点が回転により描く軌跡は、点ごとに異なる。そのため、操作部である握り部を周面上のある一点に近接する位置から離間する方向に引くこととした場合、回転し始めた回転部と握り部とが接触するおそれがある。そのようなおそれは、操作部が回転部に最も近接したとしても、回転部の周面上の、回転中心からの距離が最大であるような特定の点が描く回転軌跡の外にあるようにすることで解消できるが、そのことにより、操作部と回転部との回転前の位置関係に制約が生じる(回転中心からの距離が最大であるような特定の点が描く回転軌跡の外にあるようにしなくてはならない)ことになり、デザイン上不利である。
【0004】
そこで、本発明では、回転部が楕円や矩形等、回転中心から回転部の周面上の距離が一定でない場合であっても、回転部と操作部が干渉することなく、かつ、デザイン上も有利な回転玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の回転玩具は、表面を有する基部と、周面を有し、基部表面上を回転可能に取り付けられた回転部と、側面を有し、回転部の周面に対して前記側面が近接する近接位置、離間する離間位置を取り得る操作部と、からなり、前記回転部は、周面上に回転中心からの距離がL1である点AとL2(ただしL2>L1)である点Bとを有し、前記操作部が近接位置から離間位置へ移動することにより、前記回転部を、前記点Aおよび点Bが初期位置から回転終了位置へと移動するように、一方向に所定角度回転させる駆動手段と、からなり、前記点Aは、前記操作部が近接位置にあるとき、前記操作部の側面と対向し、前記点Bは、初期位置においては前記操作部の側面と対向しておらず、初期位置から回転終了位置へと移動する際に前記操作部の側面と対向する位置を通過可能であり、かつ、前記回転部が所定角度回転する間に前記操作部の側面と対向可能な点のうちで最も回転中心からの距離が離れており、前記操作部が近接位置にあるとき、前記操作部の側面の前記回転部の回転中心からの距離はL2よりも小さく、前記駆動手段は、前記操作部が前記回転部に対する近接位置から離間して、前記操作部の側面の前記回転部の回転中心からの距離がL3(ただし、L3>L2)となったときに、前記回転部の一方向への回転を開始させることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の回転玩具において、前記駆動手段は、前記操作部が離間位置から前記回転中心からの距離L3の位置まで移動することにより、前記回転部を、前記点Aおよび点Bが回転終了位置から初期位置へと移動するように、他方向へ所定角度回転させる方が好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、回転部が楕円や矩形等、回転中心から回転部の周面上の距離が一定でない場合であっても、回転部と操作部が干渉することなく、かつ、デザイン上も有利な回転玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本実施形態に対応する回転玩具1000の外観を示す図である。本実施の形態における回転玩具は、基部1100と、基部1100に対して回転可能に取り付けられた回転部1200と、回転部1200に対して近接位置、離間位置を取り得る操作部1300とを有する。なお、図1において操作部1300は、回転部1200に対して近接位置にある状態である。以下、基部1100、回転部1200、操作部1300について個別に構成を説明する。なお、以後説明を容易にするため、基部1100に対して回転部1200が存在する方向を「前」とし、その反対を「後」として説明する。また、回転部1200のボタン1206が存在する方向を「上」、その反対を「下」、またボタン1206が存在する方向を「上」として、回転玩具1000の後方から前方を見たときの右方向を「右」とし、その反対を「左」として説明する。なお、これはあくまで説明の便宜上、そう呼称するだけでありこの方向の定義が本発明の技術的範囲とは何ら関係が無いことは言うまでもない。
【0009】
<基部1100および操作部1300の構成>
図2は、回転玩具1000を右前方斜め上より見た分解図である。図3は、回転玩具1000を右後方斜め上より見た分解図である。基部1100は、左右方向(横方向)に長く上下方向(縦方向)に短い箱状の後方部材1101を有しており、後方部材1101の前部1102は開放されている。後方部材1101の開放された前部1102には、前部1102の右側約3分の1を塞ぐ右前面板1103と、前部1102の左側約3分の1を塞ぐ左前面板1104が取り付けられている。右前面板1103には左右方向に長い右長孔1105が設けられている。また、左前面板1104にも、左右方向に長い左長孔1106が設けられている。右長孔1105と左長孔1106は、左右方向の一直線上に並ぶように設けられている。また、右前面板1103上の、後方部材1101の上下方向中心線に対して右長孔1105と線対称な位置に、右長孔1105と平行で、かつ、左右方向に同じ長さの右長孔1107が設けられている。また、左前面板1104上の、後方部材1101の上下方向中心線に対して左長孔1106と線対称な位置に、左長孔1106と平行で、かつ、同じ長さの左長孔1108が設けられている。
【0010】
後方部材1101の開放された前部1102のうち、右前面板1103、左前面板1104によって覆われていない中央部分1108を覆うように前方部材1109が取り付けられている。前方部材1109の前面が、基部1100の表面を構成する。前方部材1109の表面中央には、一対の円弧状透孔1110、1111が形成されている。円弧状透孔1110と円弧状透孔1111とは、同一の円上の円弧であり、また、当該円の中心点に対して互いに点対称の関係にある。
【0011】
前方部材1109の後方には、後面部1610、中央部1620、前面部1630からなる駆動手段1600が位置している。駆動手段1600は、後面部1610、中央部1620、前面部1630を、各々の中心孔1611、1621、1631を一致させるように重ね合わせることにより構成されている。また、後面部1610、中央部1620、前面部1630の各々の中心孔1611、1621、1631が連なることにより、中心孔1601が形成されている。前方部材1109の後面より後方に突出して設けられた軸1115が、中心孔1601に挿通されることにより、駆動手段1600は前方部材1109に回転可能に取り付けられる。また、駆動手段1600の前面1632には円筒状に前方に突出した一対のボス1633、1634が設けられている。ボス1633、1634は、互いに駆動手段1600の中心に対して対称な位置に設けられている。ボス1633、1634は、駆動手段1600を前方部材1109に取り付けたときに、前方部材1109の一対の円弧状透孔1110、1111に後方より挿通され、前方部材1109の前面(基部1100の表面)から若干突出している。また、ボス1633、1634は、駆動手段1600が前方部材1109に対して回転するに伴って、円弧状透孔1110、1111に沿って移動可能とされている。逆に言えば、ボス1633、1634は、円弧状透孔1110、1111によってその移動可能な範囲を規制されている。なお、本実施形態においては、ボス1633、1634が、それぞれ円弧状透孔1110の上端1110a、円弧状透孔1111の下端1111aにあるときを0°とすると、それぞれが円弧状透孔1110の下端1110b、円弧状透孔1111の上端1111aまで移動したときには、ボス1633、1634は、90°回転したことになる。すなわち、円弧状透孔1110、1111の長さは、ボス1633、ボス1634が0°から90°の範囲で回転可能となるような長さとされている。
【0012】
円弧状透孔1110、1111に挿通されているボス1633、1634に、前方部材1109の前方から取り付けられるようにして、回転部取付部材1112が設けられている。回転部取付部材1112には、回転部取付部材1112の両端より突出する方向に、図示しない弾性部材で付勢された爪部材1113、1114が設けられている。前述の通り、本実施形態においては、ボス1633、1634が0°から90°の範囲で回転可能であるため、回転部取付部材1112も0°から90°の範囲で回転可能である。
【0013】
また、基部1100には、右操作部1301および左操作部1302が設けられている。右操作部1301は、右前面板1103に設けられた右長孔1105、1107の各々に後方から挿通されたビスによって、その背板が右前面板1103上に固定される。このことにより、ビスが右長孔1105、1107に沿って移動することにより右操作部1301も右前面板1103上を移動可能である。また、左操作部1302は、左前面板1104に設けられた左長孔1106、1108の各々に後方から挿通されたビスによって、その背板が左前面板1104上に固定される。このことにより、ビスが左長孔1106、1108に沿って移動することにより左操作部1302も移動可能である。
【0014】
右操作部1301は、その左側面(側面1307)下部から左方に突出する右アーム1303が設けられている。右アーム1303の端部には、前後方向に突出した右軸部1305が設けられている。また、左操作部1302は、その右側面上部から右方に突出する左アーム1304が設けられている。左アーム1304の端部には、前後方向に突出した左軸部1306が設けられている。右軸部1305と左軸部1306はそれぞれ駆動手段1600に回動可能に支持されており、駆動手段1600は、右操作部1301、左操作部1302を移動させることにより、右軸部1305、左軸部1306を介して回転させられるようになっている。
【0015】
<駆動手段1600の構成>
駆動手段1600について、さらに詳細に説明する。駆動手段1600は、円盤状の前面部1630と、前面部1630の後方に位置し、前面部1630と同じ半径を有する円盤状の中央部1620と、中央部1620の後方に位置し、前面部1630、中央部1620と同じ半径を有する円盤状の後面部1610とからなる。前面部1630、中央部1620、後面部1610は中心を同じくするように重ね合わされ、駆動手段1600を構成している。
【0016】
まず、後面部1610について説明する。円盤状の後面部1610の中心には中心孔1611が形成されている。また、中心孔1611を挟むようにして半径方向一直線上に並んで、長孔1612、1613が形成されている。長孔1612、1613は所定の長さを有している。また、中心孔1611に対して対称となる位置に一対の孔1614、1615が形成されている。
【0017】
次に、後面部1610と右操作部1301と左操作部1302との関係について説明する。右操作部1301の右軸部1305の後方突出部分、左操作部1302の左軸部1306の後方突出部分が、それぞれ後面部1610の長孔1612、1613に回動可能、かつ、長孔1612、1613に沿って移動可能に支持される。
【0018】
中央部1620について説明する。円盤状の後面部1610の中心には、中心孔1621が形成されている。また、中心孔1621を挟むように半径方向一直線状に並んで、長孔1622、1623が設けられている。また、中央部1620の周面の一部が中心孔1621に向かって穿たれるようにして、凹部1624が形成されている。また、凹部1624と中心孔1621に対して対称となる位置に、凹部1624と同様の形状の、凹部1625が形成されている。後面部1610の後面より後方に突出するようにして掛止部1626が形成されている。また、掛止部1626から円周方向に約120°離れた位置に透孔1627が形成されている。また、中央部1620の後面の周縁近傍に、後方に突出するボス1628が形成されており、ボス1628と中心孔1621に対して対称となる位置に、ボス1628と同形状のボス1629が形成されている。なお、後面部1610の中心孔1611を中央部1620の中心孔1621と一致させ、中央部1620の長孔1622と後面部1610の長孔1612の位置を一致させ、かつ、中央部1620の長孔1623と後面部1610の長孔1613の位置を一致させたときに、ボス1628、1629は、それぞれ後面部1610の孔1615、1614と一致する位置に形成されている。
【0019】
次に中央部1620と、後面部1610との結合について説明する。まず、後面部1610の中心孔1611と中央部1620の中心孔1621を一致させる。このとき、後面部1610の長孔1612に支持されている右操作部1301の右軸部1305の前方突出部分が、中央部1620の長孔1622に挿通され、回動可能、かつ、長孔1622に沿って移動可能に支持されるようにする。すると、このとき、左操作部1302の左軸部1306の前方突出部分も、中央部1620の長孔1623に挿通され、回動可能、かつ、長孔1623に沿って移動可能に支持される。また、このとき、後面部1610の孔1614と中央部1620のボス1629の位置は一致しているので、孔1614の後方からネジを挿通して、中央部1620のボス1629を孔1614に固定する。同様にして、後面部1610の孔1614と中央部の1620のボス1628の位置も一致しているので、孔1615の後方からネジを挿通して中央部1620のボス1629を孔1615に固定する。このように、後面部1610と中央部1620は固定されているので、後面部1610と中央部1620は一体となっており、回転するときも一体となって回転する。
【0020】
次に、前面部1630について説明する。円盤状の前面部1630は、その中心に中心孔1631が形成されており、前面1632には円筒状に前方に突出した一対のボス1633、1634が設けられている。ボス1633、1634は、互いに中心孔1631に対して対称な位置に設けられている。また、前面部1630の周縁近傍には後面から後方に突出する凸部1635が設けられている。また、凸部1635の、前面部1630の中心に対して対称な位置には、凸部1636が形成されている。凸部1635、1636は、前面部1630と中央部1620を重ね合わせたときに、それぞれ中央部1620の凹部1624、1625に収容される。また、前面部1630の後面から後方に突出するようにして掛止部1637が形成されている。なお、掛止部1637は、前面部1630と中央部1620が、凸部1635、1636が凹部1624、1625にそれぞれ収容されるように重ね合わされたときに、中央部1620に設けられた透孔1627に挿通され、中央部1620の後方に突出できる位置に形成されている。掛止部1637は、前面部1630が中央部1620に対して回動するに伴い、透孔1627内にて移動可能である。
【0021】
前面部1630と中央部1620を重ね合わせて、前方部材1109の軸1115を前面部1630の中心孔1631、中央部1620の中心孔1621に挿通した状態で、中央部1620の透孔1627から中央部1620の後方に突出した、前面部1630の掛止部1637と、中央部1620の掛止部1626との間には、トーションバネ1638が設けられている。トーションバネ1638により、前面部1630は、中央部1620に対して常に他方向(前面部1630を前方から見たときの反時計回りの方向)に回転するように付勢されている。このことにより、前面部1630の凸部1635は、中央部1620の凹部1624の下端壁1624aに向かう方向に付勢されており、前面部1630の凸部1636は、中央部1620の凹部1625の上端壁1625aに向かう方向に付勢されている。
【0022】
以上のような構成であるから、前面部1630は、中央部1620に対して、凸部1635が中央部1620の凹部1624の下端壁1624aに当接する位置から上端壁1624bと当接する位置までの範囲(これは、凸部1636が、中央部1620の凹部1625の上端壁1625aに当接する位置から下端壁1625bと当接する位置までの範囲と同じである)にて、回転可能である。ただし、もし凸部1635が凹部1624の下端壁1624aに当接し、凸部1636が凹部1625の上端壁1625aに当接しているときに、中央部1620が一方向(中央部1620を前方から見たときの時計周りの方向)に回転すると、下端壁1624aによって凸部1635が、また、上端壁1625aによって凸部1636が押圧されることで、前面部1630も中央部1620とともに回転する。逆に、中央部1620が他方向(一方向の反対の方向、中央部1620を前方から見たときの反時計回りの方向)に回転するとき、下端壁1624aは凸部1635から、上端壁1625aは凸部1636から離間しようとするが、トーションバネ1638により凸部1635、1636は付勢されているため、前面部1630にそれを阻む力がかかっていない限り(具体的には、ボス1633が円弧状透孔1110の上端1110aに到達し、ボス1634が円弧状透孔1111の下端1111aに到達してそれ以上回転できない等)、凸部1635、1636はそれぞれ下端壁1624a、上端壁1625aに当接してこれを追うように移動する。このことにより、中央部1620が他方向に回転するとき、前面部1630も一体となって回転することになる。
【0023】
なお、後面部1610、中央部1620、前面部1630を重ね合わすことにより、それぞれの中心孔1611、1621、1631が一致し、これらによって駆動手段1600の中心孔1601が構成されることになる。
【0024】
<回転部1200の構成>回転部1200は、本実施例においては、例えば左右方向に長く上下方向に短い箱状のものとして形成されている。回転部1200の後面中央には円形の凹部1201が設けられており、凹部1201の上部周縁には上係止部1202が設けられており、下部周縁には下係止部1203が設けられている。上係止部1202と下係止部1203は凹部1201の中心を挟んで向かい合う位置に設けられている。凹部1201は、基部1100の回転部取付部材1112を収容可能な大きさとされており、また、凹部1201の上係止部1202、下係止部1203は、回転部取付部材1112が凹部1201に収容されたとき、回転部取付部材1112の爪部材1113、1114を係止する。このことにより、回転部取付部材1112の回転に伴い、爪部材1113、1114、上係止部1202、下係止部1203を介して、回転部1200も回転することになる。回転部取付部材1112は、前方部材1109の前面、すなわち、基部1100の表面上を回転するので、これに取り付けられている回転部1200も、基部1100の表面上を回転することになる。なお、回転部取付部材1112が収容される凹部1201が、回転部1200の後面の中央に設けられていることから、回転部1200の回転中心軸は、回転部1200の中心点1204を通過し、回転部に対して略垂直な軸1205となり、回転部1200は、軸1205回りにて回転する。
【0025】
なお、回転部1200の上部に設けられたボタン1206を押圧することにより、爪部材1113が押圧されて上係止部1201から脱し、回転部取付部材1112から回転部1200を取り外すことができるようになっている。また、回転部1200の右側面には、カードスロット1207が設けられている。回転部1200は、当該カードスロット1207を介して挿入されるカード(不図示)を内部に収納可能となっている。また、回転部1200にはバーコード読取装置を内蔵しており、カードスロット1207より挿入されたカードに記載されているバーコードを読み取り可能とされている。バーコード読取装置によって読み取られたバーコードは、回転部1200に内蔵された制御装置に送られ、制御装置は当該送られたバーコードに対応して様々な制御を行う。例えば、回転部1200内に音声データ記憶手段と音声出力手段を設け、前述のバーコード毎に対応付けられた複数の音声データを記憶しておけば、制御装置は、バーコード読取手段から送られたバーコードに対応する音声データを音声データ記憶手段から検索し、音声出力手段から当該検索された音声データに応じた音声を出力することができる。さらに、回転部1200の後面に音声出力スイッチを設け、基部1100の前方部材1109に、回転部1200の回転に応じて当該音声出力スイッチを押圧可能な位置に突起を設けておけば、回転部1200の回転に応じて当該音声出力スイッチが突起により押圧され、前述の検索された音声データに応じた音声が音声出力手段から出力されるようにすることもでき、このことにより興趣性の高い回転玩具1000を提供することができる。
【0026】
図4は回転部1200を正面から見た図である。回転部1200の周面1208上の点は回転中心である軸1205からの距離が一定ではない。例えば、周面1208上の点Aと軸1205までの距離をL1とし、点Bと軸1205までの距離をL2とすると、L2>L1となるようになっている。
【0027】
<回転玩具1000の動作>
以上のように構成された基部1100、回転部1200、操作部1300からなる回転玩具1000の動作について説明する。まずは、回転玩具1000を初期状態とするための動作について説明する。図5は右操作部1301、左操作部1302が回転部1200から若干離間した状態を示す図である。このとき、回転部1200は若干回転した状態(本実施形態では前方から見て初期状態から若干時計回りに回転した状態)となっている。
【0028】
右操作部1301、左操作部1302を回転部1200に近接する方向に移動させていくと、右軸部1305、左軸部1306も移動し、駆動手段1600の後面部1610の長孔1612、1613、中央部1620の長孔1622、1623を押圧するので、後面部1610、中央部1620は前方部材1109の軸1115を中心に、正面視で反時計回りに回転していく。なお、以下、回転玩具1000を正面から見た場合に、時計回りに回転する方向を「一方向」、反時計回りの方向を「他方向」と呼ぶ。また、このとき、前面部1630もトーションバネ1638により後面部1610、中央部1620とともに他方向に回転していく。また、このとき、前面部1610に設けられた凸部1635、1636も、中央部1620の凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aと当接しつつ、それを追うように移動していく。以上のとおりであるから、前面部1630にボス1633、1634を介して取り付けられた回転部取付部材1112、回転部取付部材1112に取り付けられた回転部1200も他方向に回転していくことになる。
【0029】
なお、右操作部1301の右アーム1303、左操作部1302の左アーム1304の長さを調整することにより、右操作部1301、左操作部1302を回転部1200に向けて移動させていくと、回転部1200に最も近接する近接位置に到達する前に、前面部1630のボス1633が前方部材1109の円弧状透孔1110の上端1110aに到達し、ボス1634は円弧状透孔1111aの下端1111aに到達するように調整されている。すなわち、右操作部1301、左操作部1302を回転部1200に向けて移動させていくと、回転部1200に最も近接する近接位置に到達する前に、前面部1630のボス1633が前方部材1109の円弧状透孔1110の上端1110aに到達し、ボス1634は円弧状透孔1111の下端1111aに到達し、前面部1630はそれ以上他方向に回転できなくなる。図6は、ボス1633、ボス1634がそれぞれ円弧状透孔1110の上端1110a、円弧状透孔1111の下端1111aに到達した状態を示す図である。したがって、ここからさらに右操作部1301、左操作部1302を回転部1200に向けて移動させ、回転部1200に近接する近接位置まで到達させる間は、トーションバネ1638の弾性に抗して、前面部1630は回転せず、後面部1610、中央部1620のみが他方向に回転する。このとき、前面部1610に設けられた凸部1635、1636と、中央部1620の凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aとは、それぞれ離間することになる。
【0030】
以上のような動作をもって初期状態となった回転玩具1000を図7に示す。右操作部1301、左操作部1302は、ともに回転部1200に対して最も近接した近接位置にある。このとき右操作部1301の側面1307は、回転部1200の周面1208上の点Aと対向している。点Aと回転部1200の回転中心軸である軸1205との距離はL1である。回転玩具1000が初期状態にあるときの点Aの位置を、点Aの初期位置と呼ぶ。なお、右操作部1301が近接位置にあるときの軸1205との距離はL1と略等しい。
【0031】
ところで、前述の通り、駆動手段1600のボス1633、ボス1634は、前方部材1109の円弧状透孔1110、1111により、0°から90°の範囲で回転可能な範囲が規制されているので、回転部取付部材1112、回転部取付部材1112に取り付けられた回転部1200も、0°から90°の範囲に回転可能な範囲が規制されている。回転部1200の周面1208上の点で、回転部1200が0°から90°の範囲で回転する間に、右操作部1301の側面1307と対向可能な点のうち、回転中心である軸1205から最も距離が離れている点を点Bとする。点Bと軸1205の間の距離をL2とすると、L2>L1である。すなわち、回転部1200の回転による点Bの軌跡は、半径L2の円弧となる。前述の通り、右操作部1301が近接位置にあるときの軸1205との距離はL1と略等しく、また、L2>L1であるため、右操作部1301の側面1307の軸1205からの距離はL2よりも小さいことになる。言い換えれば、右操作部1301は近接位置にあるとき、右操作部1301は点Bの軌跡上にあることになる。また、回転玩具1000が初期状態にあるときの点Bの位置を、点Bの初期位置と呼ぶ。この初期位置にあるとき、点Bは右操作部1301の側面1307と対向していない。
【0032】
さて、回転玩具1000の初期状態においては、駆動手段1600の後面部1610および中央部1620は、前面部1630に対して他方向に回動した状態となっている。このことにより、前面部1630の凸部1635、1636は、トーションバネ1638の弾性に抗して、中央部1620の凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aから離間している。したがって、右操作部1301、左操作部1302を回転部1200に近接する近接位置から離間させ始め、駆動手段1600の後面部1610および中央部1620が一方向に回転し始めたとしても、凸部1635、1636がそれぞれ凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aと当接するまでは、前面部1630は回転しない。したがって、前面部1630に取り付けられた回転部取付手段1112、回転部取付手段1112に取り付けられた回転部1200も回転しない。
【0033】
右操作部1301、左操作部1302を近接位置から回転部1200から離間する方向へ移動させていくと、やがて、中央部1620の凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aが、それぞれ前面部1630の凸部1635、1636と当接する。このときの状態を図8に示す。このときの右操作部1301の側面1307と軸1205との距離はL3がL3>L2となるように、右アーム1303の長さ、凹部1624、1625の大きさが調整されている。
【0034】
さらに右操作部1301、左操作部1302を回転部1200から離間させていくと、駆動手段1600の前面部1630の凸部1635、1636が、中央部1620の凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aによって押されることで、中央部1620、後面部1610とともに前面部1630も一方向に回転する。前面部1630に取り付けられた回転部取付手段1112、回転部取付手段1112に取り付けられた回転部1200も一方向に回転する。
【0035】
回転部1200が回転していくと、点Bも初期位置から一方向に回転し、やがて右操作部1301の側面1307と対向するが、この時点ですでに右操作部1301の側面1307と回転中心である軸1205との距離はL3以上となっている。前述したとおり、L3>L2であるため、回転部1200の周面1208上で、回転部1200が回転している間に右操作部1301の側面1307と対向可能な点のうち、最も軸1205から離れた距離にある点Bですら、右操作部1301の側面1307と接触することはない。
【0036】
さらに右操作部1301、左操作部1302を回転部1200から離間させ、離間位置に到達したとき、駆動手段1600のボス1633、1634はそれぞれ、前方部材1109の円弧状透孔1110の下端1110b、円弧状透孔1111の上端1111bに位置し、回転部1200の回転は終了する。このとき、点A、点Bは回転終了位置にある。右操作部1301、左操作部1302が離間位置にある状態を図9に示す。
【0037】
なお、このとき、回転部1200のカードスロット1207は上方を向いており、カードを挿入しやすくなっている。ここでカードを挿入すると、前述の通り、バーコード読取装置でカード上のバーコードが読み取られて制御装置に送られ、音声データ記憶手段から、読み取られたバーコードに対応する音声データを検索する。なお、音声データを1次音声データと2次音声データにより構成し、1次音声データについては、カードの挿入後、バーコードが読み取られた直後から、音声出力手段によってそれに基づく音声を出力し、2次音声データについては前述した音声出力スイッチが押圧されるまで出力されないようにしても良い。
【0038】
再び、右操作部1301、左操作部1302を回転部1200と近接する方向に移動させると、それに伴い、回転部1200は他方向に回転する。この動作は、前述したとおり、トーションバネ1638により前面部1630の凸部1635、1636が、中央部1620の凹部1624の上端壁1624a、凹部1625の下端壁1625aに当接しつつこれを追うように移動するため、前面部1630も後面部1610、中央部1620とともに他方向に回転するためである。
【0039】
右操作部1301、左操作部1302を回転部1200と近接する方向に移動させ、回転中心である軸1105と右操作部1301の側面1307との距離がL3となった段階で、駆動手段1600のボス1633、1634はそれぞれ、前方部材1109の円弧状透孔1110の上端1110a、円弧状透孔1111の下端1111aに位置し、回転部1200の他方向への回転は終了する(図6の状態)。
【0040】
回転部1200に音声出力スイッチが設けられているならば、この回転部1200の
他方向への回転が終了したときに、前方部材1109に設けられた突起で押圧されるようにすれば、回転終了と同時に、収容されているカードに記載されたバーコードに対応する音声データのうち、2次音声データに基づいて音声出力手段が音声を出力させることができ、興趣性の高い回転玩具1000を提供することができる。
【0041】
その後、さらに右操作部1301、左操作部1302を回転部1200に向けて移動させ、回転部1200に近接する近接位置まで到達させる間は、前述の通り、前面部1630は回転せず、トーションバネ1638の弾性に抗して、後面部1610、中央部1620のみが他方向に回転し、前面部1610に設けられた凸部1635、1636と、中央部1620の凹部1624の上端壁1624a、凹部1625の下端壁1625aとは、それぞれ離間する。そして右操作部1301、左操作部1302が近接位置に到達し、回転玩具1000は再び初期状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】回転玩具1000の外観を示す図。
【図2】回転玩具1000を右前方斜め上より見た分解図。
【図3】回転玩具1000を右後方斜め上より見た分解図。
【図4】回転部1200を正面から見た図。
【図5】右操作部1301、左操作部1302が回転部1200から若干離間した状態を示す図。
【図6】ボス1633、ボス1634がそれぞれ円弧上透孔1110の上端1110a、円弧状透孔1111の下端1111aに到達した状態を示す図。
【図7】初期状態の回転玩具1000の状態を示す図。
【図8】凹部1624の下端壁1624a、凹部1625の上端壁1625aが、それぞれ前面部1630の凸部1635、1636と当接した状態を示す図。
【図9】右操作部1301、左操作部1302が離間位置にある状態を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1000 回転玩具
1100 基部
1101 後方部材
1102 (後方部材の)前部
1103 右前面板
1104 左前面板
1105 右長孔
1106 左長孔
1107 右長孔
1108 (後方部材の)中央部分
1109 前方部材
1110 円弧状透孔
1111 円弧状透孔
1112 回転部取付部材
1113 爪部材
1114 爪部材
1115 軸
1200 回転部
1201 凹部
1202 上係止部
1203 下係止部
1204 中心点
1205 軸
1206 ボタン
1207 カードスロット
1208 周面
1300 操作部
1301 右操作部
1302 左操作部
1303 右アーム
1304 左アーム
1305 右軸部
1306 左軸部
1308 (右操作部の)側面
1600 駆動手段
1601 中心孔
1610 前面部
1611 中心孔
1612 長孔
1613 長孔
1614 孔
1615 孔
1620 中央部
1621 中心孔
1622 長孔
1623 長孔
1624 凹部
1625 凹部
1626 掛止部
1627 透孔
1628 ボス
1629 ボス
1630 後面部
1631 中心孔
1632 (駆動手段の)前面
1633 ボス
1634 ボス
1635 凸部
1636 凸部
1637 掛止部
1638 トーションバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転玩具であって、
表面を有する基部と、
周面を有し、基部表面上を回転可能に取り付けられた回転部と、
側面を有し、回転部の周面に対して前記側面が近接する近接位置、離間する離間位置を取り得る操作部と、
からなり、
前記回転部は、周面上に回転中心からの距離がL1である点AとL2(ただしL2>L1)である点Bとを有し、
前記操作部が近接位置から離間位置へ移動することにより、前記回転部を、前記点Aおよび点Bが初期位置から回転終了位置へと移動するように、一方向に所定角度回転させる駆動手段と、
からなり、
前記点Aは、前記操作部が近接位置にあるとき、前記操作部の側面と対向し、
前記点Bは、初期位置においては前記操作部の側面と対向しておらず、初期位置から回転終了位置へと移動する際に前記操作部の側面と対向する位置を通過可能であり、かつ、前記回転部が所定角度回転する間に前記操作部の側面と対向可能な点のうちで最も回転中心からの距離が離れており、
前記操作部が近接位置にあるとき、前記操作部の側面の前記回転部の回転中心からの距離はL2よりも小さく、
前記駆動手段は、前記操作部が前記回転部に対する近接位置から離間して、前記操作部の側面の前記回転部の回転中心からの距離がL3(ただし、L3>L2)となったときに、前記回転部の一方向への回転を開始させること
を特徴とする回転玩具。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記操作部が離間位置から前記回転中心からの距離L3の位置まで移動することにより、前記回転部を、前記点Aおよび点Bが回転終了位置から初期位置へと移動するように、他方向へ所定角度回転させることを特徴とする請求項1記載の回転玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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