説明

回転玩具

【課題】この発明の回転玩具は、乳児の注意を強く惹くことができ、乳児の視覚的な発達を促進させることのできる外観を備えていて、製造が簡単で分解時点では条材を直線状にすることができるためコンパクトに梱包することができ、また輸送中にリング状の条材が変形したり、破損しにくい回転玩具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】この発明の回転玩具は、可撓性を備えた条材と、該条材をその軸線方向に伸びる回転軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段と、前記条材のそれぞれ異なる部位に対して前記条材の延長方向周りに回転自在に取り付けられた複数の飾り部品とを有する回転玩具であって
前記可撓性を備えた条材条材は、両端部を前記回転軸線に沿って配設された回転軸の長さ方向に所定の間隔で、かつ前記回転軸の周方向に位相をずらして螺旋状に接続されており、
該回転軸を中心にして回転駆動されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転玩具に係り、特に、飾り部品を回転させることによって乳児をあやすように構成された玩具の形状に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の飾り部品を吊り下げた状態とし、これらを垂直な回転軸線の周りに回転駆動するように構成された種々の回転玩具(乳児用のメリーゴーランド玩具)が知られている。これらの回転玩具は乳児をあやすために用いられる。このような回転玩具のほとんどは、飾り部品の回転とともに音楽が流れるように構成されている。
しかしながら、前記従来の回転玩具は、垂直な回転軸線を中心にして回転するだけであるので、動きが単調であり、乳児から見た外観も定常的に視認されるので、乳児の注意力が途切れ易いという問題点がある。
【0003】
特に、乳児は、最初はぼんやりとした視界しか持たず、その後、明暗を判別できるようになり、徐々に色や形を識別できるようになるものと考えられている。
この視覚の発達過程において、前記のような回転玩具は大きな役割を果たすものと思われるが、従来の回転玩具ではその外観変化がきわめて乏しいので、乳児の視覚が未発達の初期の段階では判別そのものが困難であり、色や形を識別できるようになった段階では視認対象として魅力的なものではなくなるものと考えられる。
【0004】
そこで前記問題点を解決する目的で、飾り部品が自転するように見えて乳児の注意を強く惹くことができ、乳児の視覚的な発達を促進させることのできる外観を備えた回転玩具が実用新案登録第3084465号公報(特許文献1参照)において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3084465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記実用新案登録第3084465号公報(特許文献1参照)における回転玩具は、飾り部品が自転するように見えて乳児の注意を強く惹くことができ、乳児の視覚的な発達を促進させることのできる外観を備えたものであって、螺旋形状の条材がリング状の条材の一部を切断して、その両切断端部を相互に回転軸に沿って引き離し、それぞれの切断端部を回転軸の両端部に接続した形状を備えている。
ところが、前記リング状の条材は金属チューブを素材としているため、その製造に手間がかかるばかりか、立体的な形状を有していて梱包がかさばってしまい、また輸送中にリング状の条材が変形したり、破損しやすいという問題があった。
【0007】
そこで本発明の回転玩具は従来例の前記問題点を解決するものであり、その目的は、乳児の注意を強く惹くことができ、乳児の視覚的な発達を促進させることのできる外観を備えているばかりでなく、製造が簡単で分解時点では条材を直線状にすることができるためコンパクトに梱包することができ、また輸送中にリング状の条材が変形したり、破損しにくい回転玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の回転玩具は、可撓性を備えた条材と、該条材をその軸線方向に伸びる回転軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段と、前記条材のそれぞれ異なる部位に対して前記条材の延長方向周りに回転自在に取り付けられた複数の飾り部品とを有する回転玩具であって
前記可撓性を備えた条材は、両端部を前記回転軸線に沿って配設された回転軸の長さ方向に所定の間隔で、かつ前記回転軸の周方向に位相をずらして螺旋状に接続されており、
該回転軸を中心にして回転駆動されるように構成されている回転玩具。
ここで、前記回転軸線は垂直方向と交差した方向に伸びていることが好ましく、より具体的には前記回転軸線はほぼ水平に伸びていることが好ましい。
【0009】
本発明の回転玩具は、前記可撓性を備えた条材条材が、ほぼ1周期の螺旋形状に構成されていることをも特徴とするものである。
【0010】
本発明の回転玩具は、前記複数の飾り部品が、その両側を前記条材上にはめ込んだ環状弾性ストッパによって位置決めされていることをも特徴とするものである。
【0011】
本発明の回転玩具は、前記環状弾性ストッパが、前記条材上の位置をずらすことができ、その両側の環状弾性ストッパの間隔を空けることにより、前記複数の飾り部品がその間を横移動できるようにしたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1ないし3の発明によれば、製造が簡単で分解時点では条材を直線状にすることができるためコンパクトに梱包することができ、また輸送中にリング状の条材が変形したり、破損しにくい回転玩具を提供することができる。
また請求項4の発明によれば、複数の飾り部品が所定の間隔で横移動することができるため、複数の飾り部品の自転のように見える動きのみならず、左右方向へのスライドというより変化のある動きを表現することができるため、乳児に飽きられ難い回転玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る回転玩具の1実施例を示す正面図である。
【図2】その側面図である。
【図3】飾り部品の取付け状態を示す要部拡大斜視図である。
【図4】その側面図である。
【図5】飾り部品の横移動可能な取付け状態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】その側面図である。
【図7】本体部11の上部内に内蔵された回転駆動手段の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図面を参照して本発明に係る回転玩具の実施の形態について詳細に説明する。
図1および図2において回転玩具10は、本体部11と、回転部12とを有している。
本体部11においては、ケース本体21に電池蓋22及び取付固定部23が取り付けられ、ケース本体21の下部正面に切換スイッチ24、スタートスイッチ25、ストップスイッチ26、録音スイッチ27が設けられ、その内部には、マイクロフォン28及びスピーカ29が内蔵されている。
本体部11は、ケース本体21と取付固定部23との間に乳児ベッドの柵などを挟み込み、操作部23aを回転させることによって締め付け固定することができる。
【0015】
また、本体部11の上部には回転部12が回転可能に設けられている。回転部12は、本体部11の上部に対してほぼ水平に取り付けられた回転軸31と、この回転軸31の両端部に対して接続された可撓性を備えた一対の螺旋状の条材32,33とを備えている。
前記可撓性を備えた条材32,33は、両端部を前記回転軸線に沿って配設された回転軸31の長さ方向に所定の間隔で、かつ前記回転軸31の周方向に位相をずらして螺旋状に接続されており、前記回転軸31を中心にして回転駆動されるように構成されている。
ここで、前記回転軸線は垂直方向と交差した方向に伸びていることが好ましく、より具体的には前記回転軸線はほぼ水平に伸びていることが好ましい。
【0016】
これらの条材32,33は、それぞれ回転軸31の延長方向と平行な軸線を有する螺旋のほぼ1周期分に相当する形状を備えている。より具体的には、一対の直線状の条材32,33のそれぞれ両端部を回転軸31の両端部に設けた取付部材40に螺旋形状の位相を1/2周期ずらした状態で差し込んで接続している。
このように螺旋形状の位相を1/2周期ずらした状態で差し込んで接続した回転玩具は、結果的にほぼ1周期の螺旋形状に構成されている。
【0017】
条材32,33には、それらの延長方向に沿ったほぼ等間隔の位置において、複数の回転部材34が回転自在に取り付けられている。これらの回転部材34の両端には飾り部品35,36,37が取り付けられている。ここで、第1の回転部材34の両端には球状の飾り部品35とそれよりやや重い立方体状の飾り部品37が取り付けられ、第2の回転部材34には球状の飾り部品36とそれよりやや重い三角柱状の飾り部品37が取り付けられている。第1の回転部材と第2の回転部材とは、条材32,33の延長方向に沿って交互に取り付けられている。
【0018】
前記各回転部材34は、図3および図4のようにその両側を前記条材32,33上にはめ込んだ環状の弾性ストッパ38によって回転可能に位置決めされ、複数の飾り部品35,36,37は前記条材32,33の回転とともに回転方向に動きつつ、やや重い立方体状の飾り部品37または三角柱状の飾り部品37の自重により垂直方向に戻ろうとして揺動し、複数の飾り部品37は前記条材32,33の回転とともにあたかも自転しているように挙動する。
【0019】
また、前記環状弾性ストッパ38を図5および図6のように前記条材32,33上の位置をずらすことができるよう、Oリングを用いて構成することができる。
このようにして前記各回転部材34の両側の環状弾性ストッパ38を所定の間隔を空けて前記条材32,33上に取り付ければ、前記複数の飾り部品37はその間を横にスライドするよう移動することができる。
【0020】
したがって、複数の飾り部品37は前記条材32,33の回転とともに回転方向に動きつつ、やや重い立方体状の飾り部品37または三角柱状の飾り部品37の自重により垂直方向に戻ろうとして揺動してあたかも自転しているように挙動し、さらに所定の間隔を空けて前記条材32,33上に取り付けたその両側の環状弾性ストッパ38間をスライドする。
すなわち、複数の飾り部品37は前記条材32,33の回転とともに自転しているように挙動し、かつ前記条材32,33の傾きの変化に応じて左右にスライドするのである。
【0021】
前記飾り部品35,36,37の外面には適宜の色彩が施される。例えば、それぞれの飾り部品の外面に、モザイク状の色彩パターンを形成する場合がある。このとき、飾り部品35の外面には青、紫などの青色系のモザイクを、飾り部品36の外面には赤、オレンジ、黄色などの赤色系のモザイクを、飾り部品37の外面には、緑、黄色などの緑系のモザイクを形成することができる。
【0022】
図7は、本体部11の上部内に内蔵された回転駆動手段の構造を示すものである。この回転駆動手段は、モータ41の出力軸に取り付けられたウォーム42に対して歯車43,44,45,46を有する輪列を介して前記回転軸31を駆動するように構成されている。
なお、図7に示すように、回転軸31と条材32,33とは、それぞれ取付部材40を介して相互に接続固定されている。なお、該取付部材40は回転軸31上をスライドすることができ、適宜位置において位置決めネジ40−1によって固定される。
したがって、該取付部材40は回転軸31上に条材32,33を装着した状態でワンタッチではめ込むことができ、かつ適宜位置において自由に固定することができ、
【0023】
次に、本体部11の下部の構造について説明する。前記各スイッチ類の配列されたケース体21の内部には回路基板(図示せず)が取り付けられ、この回路基板上に、前記切換スイッチ24、スタートスイッチ25、ストップスイッチ26、録音スイッチ27及びマイクロフォン28が実装され、また、回路基板とスピーカ29とは図示しない配線で相互に接続されている。回路基板上には、集積回路やその他の電気素子が実装されている。また、電池蓋22の内部には、前記回路基板および回転駆動手段のモータ41に電力を供給するための電池を収容する電池収容部(図示せず)が設けられている。
【0024】
本実施形態の回転玩具10は、スタートスイッチ25を押圧すると録音されている音楽や音声がスピーカ29から流れ、並行して回転軸31が回転するようになっている。この状態は、ストップスイッチ26を押圧することによって終了する。また、録音スイッチ27を押圧すると、再度録音スイッチ27が押圧されるまでマイクロフォン28にて録音された音声を記録するように構成されている。このようにして記録された音声は前記のようにスタートスイッチ25を押圧するとスピーカ29から流れ出すので、例えば、母親等の声を聞かせながら動作させることが可能になる。切換スイッチ24は、前記のように記録された音声を流すか否かを選択できるように構成されている。
【0025】
本実施形態では、螺旋状の条材32,33が回転することにより、飾り部品35,36,37が条材32,33に対する取付位置に応じて順次に回転する。すなわち、螺旋状の条材32,33の回転位置が変化することによって回転部材24の姿勢も変化するので、回転部材24がその取付位置において条材周りに回転するよう揺動し、したがって複数の飾り部品37は前記条材32,33の回転とともにあたかも自転しているように挙動する。
ここで、複数の回転部材24は、その取付位置に応じてタイミングをずらして回転するので、装飾部材の動作は不規則でランダムになる。また、飾り部品35,36,37の位置が条材の螺旋形状によって回転とともに乳児に対して接近したり遠ざかったりするので、複雑な形状変化を見せることになり、乳児の注意を強く惹くことが可能になる。このようにすると、形状や動きに対する乳児の知覚能力を育成することができ、前記のように装飾部材の外面に色彩を付することによって色彩に対する知覚能力も育成できる。
【0026】
またその際、前記条材32,33上に環状弾性ストッパ38を所定の間隔を空けて取り付けておくと、複数の回転部材24はその両側の環状弾性ストッパ38間をスライドする。
すなわち、複数の飾り部品35,36,37は前記条材32,33の回転とともに自転しているように挙動し、しかも前記条材32,33の傾きの変化に応じて左右にスライドするのであって、非常にインパクトのある個性的な挙動をするのである。
【0027】
前記螺旋状の条材としては、中実や中空等の内部構造を採用することができ、また可撓性のある素材として、ポリプロピレンその他のポリオレフィン樹脂やエンジニアリング系樹脂を採用することができる。もちろん、前記螺旋状の条材は前記各素材を種々の色合いに着色したり、種々の色合いのコーティングあるいはカバーを取付けること等によって、所望の色合いのものとすることができる。
前記螺旋状の条材の本数も前記実施形態で例示した2本に限られるものではなく、また条材の形状も多彩なバリエーションを持たせることが可能である。
【0028】
この実施形態の回転玩具によれば、乳児の注意を強く惹くことができ、乳児の視覚的な発達を促進させることのできる外観を備えているばかりでなく、製造が簡単で分解時点では条材を直線状にすることができるためコンパクトに梱包することができ、また輸送中にリング状の条材が変形したり、破損しにくい回転玩具を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
なお、本発明の回転玩具は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
10 回転玩具
11 本体部
12 回転部
21 ケース本体
22 電池蓋
23 取付固定部
23a 操作部
24 切換スイッチ
25 スタートスイッチ
26 ストップスイッチ
27 録音スイッチ
28 マイクロフォン
29 スピーカ
31 回転軸
32,33 螺旋状の条材
34 回転部材
35,36,37 飾り部品
38 環状弾性ストッパ
40 取付部材
40−1 位置決めネジ
41 モータ
42 ウォーム
43,44,45,46 歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を備えた条材と、該条材をその軸線方向に伸びる回転軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段と、前記条材のそれぞれ異なる部位に対して前記条材の延長方向周りに回転自在に取り付けられた複数の飾り部品とを有する回転玩具であって
前記可撓性を備えた条材条材は、両端部を前記回転軸線に沿って配設された回転軸の長さ方向に所定の間隔で、かつ前記回転軸の周方向に位相をずらして螺旋状に接続されており、
該回転軸を中心にして回転駆動されるように構成されていることを特徴とする回転玩具。
【請求項2】
前記可撓性を備えた条材条材が、ほぼ1周期の螺旋形状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転玩具。
【請求項3】
前記複数の飾り部品が、その両側を前記条材上にはめ込んだ環状弾性ストッパによって位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の回転玩具。
【請求項4】
前記環状弾性ストッパが、前記条材上の位置をずらすことができ、その両側の環状弾性ストッパの間隔を空けることにより、前記複数の飾り部品がその間を横移動できるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の回転玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−15764(P2011−15764A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161283(P2009−161283)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(503253079)株式会社サニカ (20)
【Fターム(参考)】