説明

回転装置、検査装置、および加工装置

【課題】 ワークを、軸ズレさせることなく回転させる回転装置等を提供する。
【解決手段】 回転装置59は、ワーク71の表面に接触しつつワーク71を回転させるローラ13を有する回転ユニット11と、ワーク71に対して回転ユニット11を押しつけるスプリング31と、スプリング31の押圧によるワーク71の軸ズレを防止する軸ズレ防止部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置、検査装置、および加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、筒状の製品また部品は、ワークと呼ばれ、それらワークに対する表面検査装置または表面加工装置等(例えば、ワークに対してコーティングまたはラベリングする装置)には、ワークを回転させる回転装置が搭載される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の検査装置に搭載される回転装置では、ワークの表面に接触する2つのローラ[回転体]が搭載されている。そして、このような回転装置が、例えば、横断面形状を楕円形状にしたワークを回転させようとする場合、図18に示されるようになる。
【0004】
この回転装置159にて、ローラ113が回転することで、ワーク171を回転させようとする場合、図19における右図および左図に示すように、ワーク171の中心軸171Cは、ワーク171の回転に応じてぶれる(変位量dt参照)。すると、検査装置に搭載されたラインセンサ161のワーク171の表面に対するピントは、中心軸171Cのぶれに起因して、ズレてしまう。そのため、このような検査装置169の検査精度は低くならざるを得ない。
【0005】
このような軸ズレを防止するために、図20の右図および左図に示すように、ワーク171を軸ズレさせずに回転させる補助具181の装着が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−247955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような補助具181を必要とすることは、回転装置159のコスト増大の原因になるばかりではなく、補助具181の脱着工程も必要になる。そのため、この回転装置159は、高価になるだけでなく使いづらい。また、補助具181のサイズによっては、回転装置159が大型化してしまうこともある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。そして、その目的は、使い勝手のよい上に、ワーク[長尺体]を、軸ズレさせることなく回転させる回転装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
長尺体を回転させる回転装置は、長尺体の表面に接触しつつ長尺体を回転させる回転体を有する回転部と、長尺体に対して回転部を押しつける押圧部と、押圧部の押圧を緩和させることで、その押圧による長尺体の軸ズレを防止軸ズレ防止部と、を含む。
【0010】
このような回転装置であると、長尺体が回転部によって押さえつけられたとしても、軸ズレ防止部は、長尺体の軸ズレを防止する。そのため、長尺体の表面を検査するような検査装置に、この回転装置が搭載されていれば、長尺体の軸ズレに起因して長尺体の表面が変位しないので、その検査装置は、精度よく、長尺体の表面を検査する。また、この回転装置は、長尺体に対して何らの補助具を装着させることなく、軸ズレを防止させて長尺体を回転させられるので、使い勝手がよい。
【0011】
また、複数の回転部が、長尺体を挟んでおり、押圧部が、長尺体に対する回転部の各々の押圧を同一にすることで、軸ズレ防止部を兼ねていると好ましい。
【0012】
このようになっていると、回転部間における長尺体に対する一方の回転部の押圧は他方の回転部の押圧によって緩和され、他方の回転部の押圧は一方の回転部の押圧によって緩和されるため、その長尺体に対して均等な押圧がかけられる。そのため、長尺体が軸ズレを起こすことなく回転する。すると、この回転装置は、同一部品の回転部を複数搭載するだけで、特別な軸ズレ防止部は不要になるので、回転装置のコスト削減につながる。
【0013】
また、複数の回転部の並び方向は水平面に沿っていると好ましい。
【0014】
このようになっていると、長尺体が鉛直方向に沿って回転部同士の間に差し込めるので、回転装置への長尺体の挿入が容易になる。
【0015】
なお、押圧部の種類は、特に限定されるわけではなく、例えば、弾性部材、または、弾性部材、気体、あるいは液体を用いたダンパーであると好ましい。
【0016】
また、回転体は、長尺体の長手方向に対して交差する方向に、少なくとも2個配置されると好ましい。
【0017】
このようになっていると、回転体が長尺体を挟めるようになるので、その長尺体が安定的に回転体に接触し、効率よく長尺体が回転する。
【0018】
また、回転体は、長尺体の長手方向に沿って、複数配置されると好ましい。
【0019】
このようになっていると、回転部は、長尺体の全長に合わせた比較的長い回転体でなくても、比較的短い回転体を搭載できる。そのため、回転部の設計の自由度が増す。
【0020】
また、長尺体の長手方向に沿う複数の回転体は、距離を空けて配置されると好ましい。
【0021】
このようになっていると、長尺体の表面に突起があったとしても、その突起を避けるように回転体が配置され、回転装置は突起付きの長尺体を回転させられる。
【0022】
また、支持部に対して回転部を揺動させる揺動部が含まれると好ましい。
【0023】
このようになっていると、回転部の回転体が長尺体の表面に密着しやすくなるので、その長尺体は確実に回転する。
【0024】
なお、軸ズレ防止部は、以上のように、押圧部が兼ねている場合に限らず、例えば、長尺体を支えつつ、その長尺体を、長尺体の軸を中心にして回転させる回転台であっても構わない。
【0025】
また、長尺体を境に対向する一方の支持部と他方の支持部とは、一方の支持部と他方の支持部とを離すまたは近づける離近部を介して連なると好ましい。
【0026】
このようになっていると、連結された支持部は、回転装置に取り付けられる場合に、支持部毎に個別に取り付けが不要になるので回転装置の製造が容易になる。
【0027】
また、押圧部は、一方の支持部と他方の支持部との間に架け渡り、一方の支持部と他方の支持部との乖離距離を調整すると好ましい。
【0028】
このようになっていると、押圧部の個数が、支持部に応じた個数よりも少なくてもよいので、回転装置のコストが抑えられる。
【0029】
なお、以上のような回転装置と、その回転装置にて回転される長尺体を撮影する撮像部と、を含む検査装置も本発明といえる。
【0030】
また、以上のような回転装置と、その回転装置にて回転される長尺体の表面を加工する加工部と、を含む加工装置も本発明といえる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、回転装置は、回転対象物を、軸ズレを生じさせることなく、回転させられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】は、回転装置を搭載した検査装置の斜視図である。
【図2】は、検査装置における一部の部品を抽出した斜視図である。
【図3】は、回転装置の側面図である。
【図4】は、回転装置の側面図である。
【図5】は、回転装置の側面図である。
【図6】は、回転装置の側面図である。
【図7】は、回転装置の側面図である。
【図8】は、回転装置の側面図である。
【図9】は、回転装置の側面図である。
【図10】は、回転装置の側面図である。
【図11】は、回転装置の側面図である。
【図12】は、検査装置における一部の部品を抽出した斜視図である。
【図13】は、回転装置の側面図である。
【図14】は、検査装置における一部の部品を抽出した斜視図である。
【図15】は、回転装置の側面図である。
【図16】は、回転装置の側面図である。
【図17】は、検査装置における一部の部品を抽出した斜視図である。
【図18】は、従来の検査装置の斜視図である。
【図19】は、従来の回転装置を示した側面図である。
【図20】は、従来の回転装置を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[実施の形態1]
実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0034】
図1は、検査装置69の概略斜視図であり、図2は、図1の検査装置69における一部の部品を抽出した斜視図である{なお、図2には、検査装置69にて検査される対象物(ワーク71)も図示する}。また、図3は、この検査装置69における回転装置59を示す側面図である。
【0035】
図1に示すように検査装置69は、例えば、棒状体または筒状体のような長尺状の部品であるワーク71(図2参照)の表面を検査する。この検査装置69は、ワーク[長尺体]71を回転させる回転装置59と、ワーク71の表面を撮影するラインセンサ[撮像部]61と、ラインセンサ61の画像からワーク71の表面を解析するCPU[解析部]62と、を含む。
【0036】
回転装置59は、回転ユニット[回転部]11、アーム[支持部]21、スプリング[押圧部、軸ズレ防止部]31を含む。
【0037】
回転ユニット11は、ローラシャフト12と、このローラシャフト12を取り付けたローラ[回転体]13と、このローラ13を収容するハウジング14と、を含む。
【0038】
ローラシャフト12は、モータのような動力源(不図示)から供給される力によって、回転する軸であり、例えば、円筒状(円柱状と称してもよい)のローラ13における軸方向Sの両端から外部に向けて突き出ている。
【0039】
ローラ13は、例えば、図2に示すように円筒状であり、ローラシャフト12の回転に応じて回転する。なお、図1に示すように、回転ユニット11は複数のローラ13を収容しており、それらローラ13は平行に配置させられる{すなわち、ローラ13は、自身の軸方向Sに対する交差方向P(直交方向等)に並べられる}。
【0040】
詳説すると、図2に示すように、各回転ユニット11における2個のローラ13は、ワーク71を挟み込みつつ、ワーク71の表面に同時に接触するように離されて配置される。そのため、ローラ13同士の乖離距離は、回転させようとするワーク71の外径に応じて、適宜設定される。そして、このような回転ユニット11であれば、ワーク71が安定的にローラ13に接触し、そのローラ13の回転に応じて、効率よく回転する。
【0041】
なお、ローラ13のサイズ(外径・全長等)および強度は、ワーク71のサイズおよび強度に応じて、適宜設定されるし、ローラ13の表面の材質も、ワーク71を確実に回転させられるような材質に、適宜設定される。
【0042】
ハウジング14は、図3に示すように、ローラシャフト12を受けるローラ軸受15を含むことで、2つのローラ13を回転できるように把持しつつ、収容する。また、ハウジング14は、例えば、ローラシャフト12の軸方向Sと同方向に延びるハウジングシャフト16を含み、このハウジングシャフト16が、アーム21で、回転できるように把持される。
【0043】
アーム21は、回転ユニット11を支持するもので、例えば、図3に示すように、回転装置59内部の壁部59Wに取り付けられる。詳説すると、アーム21は、土台部22と可動部23とを含む。土台部22は、壁部59Wに対して固定されており、可動部23は、土台部22に対してスライドできるように取り付けられる(要は、アーム21は、土台部22に対して可動部23をスライドさせるスライド機構を含む)。
【0044】
そして、可動部23において土台部22から乖離する側には、ハウジングシャフト16を受けるハウジング軸受24が含まれる。このハウジング軸受24が、ハウジング14(ひいては回転ユニット11)を振り子のように正逆回転できるように把持することで、アーム21は、回転ユニット11を支持する。
【0045】
スプリング31は、伸縮する弾性部材で、アーム21の内部に収容される。詳説すると、スプリング31は、自身の伸縮方向を、可動部23のスライド方向に沿わせるようにして、土台部22の内部に収容される。
【0046】
そのため、このスプリング31は、土台部22の内部に可動部23が進入する場合、可動部23に押されることで圧縮されるものの反発しようとし、その反発力で可動部23(ひいては回転ユニット11)を土台部22から乖離させようとする。なお、図1では、スプリング31は、1個の土台部22の内部に、3個収容されているが、個数は特に限定されない。
【0047】
ラインセンサ61は、ワーク71の表面を撮像する撮像部である。ただし、撮像部は、ラインセンサ61に限定されるものではなく、カメラ等であっても構わない。
【0048】
CPU(Central Processing Unit)62は、ラインセンサ61の画像データからワーク71の表面の状態を解析するものである。
【0049】
ここで、回転装置59について詳説する。図1および図2に示すように、2個の回転ユニット11は、ワーク71を挟むように配置される(詳説すると、2つの回転ユニット11は、内蔵されるローラ13の露出面を向かい合わせて配置される)。
【0050】
その上、2つの回転ユニット11は、ワーク71の外径における最短外径{例えば、ワーク71の横断面(ワーク71の長手方向に対して、例えば直交のように交差する断面)が楕円状であれば、短軸の長さ}よりも短い距離で乖離する。
【0051】
このような乖離距離であれば、図4に示すように、向かい合う回転ユニット11同士の間にワーク71が配置された場合、そのワーク71によって回転ユニット11同士が押されて乖離するものの(矢印A参照)、回転ユニット11に連結されたアーム21がスプリング31の反発力によって、回転ユニット11同士を近づける。
【0052】
特に、ワーク71を挟み込む回転ユニット11の各々に対応するスプリング31が、ワーク71に対する回転ユニット11の各々の押圧を同一にさせていれば(例えば、同じ押圧力を発揮するスプリング31が搭載されていれば)、そのワーク71は、回転ユニット11に挟まれ、脱落しない。
【0053】
その上、図5に示すように、ワーク71が、回転ユニット11に挟まれた状態で回転させられようとする場合(矢印B参照)、回転ユニット11におけるローラ13が回転する{矢印C参照;図5に示すような、同一視点から4つのローラ13をみた場合に、それらローラ13は、ローラシャフト12を基準に同一方向(反時計回り)に回転する}。
【0054】
すると、楕円状の横断面を有するワーク71は、その楕円状における中心軸71Cを基準にして、回転ユニット11の並び方向Pに沿っていた楕円状の短軸を傾けるように回転する。そして、このワーク71の回転の場合、スプリング31が、ワーク71に対する回転ユニット11の各々の押圧を、同一にさせていると、中心軸71Cはぶれない(軸ズレしない)。
【0055】
詳説すると、回転ユニット11の間のワーク71に対する一方の回転ユニット11の押圧は他方の回転ユニット11の押圧によって緩和され、他方の回転ユニット11の押圧は一方の回転ユニット11の押圧によって緩和されるため、そのワーク71に対して均等な押圧がかけられる。そのため、ワーク71がローラ13の回転に応じてワーク71が回転する場合、そのワーク71は軸ズレを起こすことなく回転する。
【0056】
したがって、このような回転装置59が検査装置69に搭載されていると、中心軸71Cのぶれに起因するラインセンサ61のピントズレは起きず(すなわち、中心軸71Cのぶれに起因するワーク71の表面の変位量は低減し)、検査装置69の撮像精度、ひいては検査精度が向上する。また、この回転装置59は、ワーク71に対して何らの補助具を装着させることなく、軸ズレさせずにワーク71を回転させられるので、使い勝手がよい。
【0057】
その上、回転装置59には、ハウジングシャフト16と、そのハウジングシャフト16を基準に正逆回転できるように受けるハウジング軸受24とが含まれる[ハウジングシャフト16とハウジング軸受24とを揺動部とする]。
【0058】
そのため、ワーク71が回転しようとする場合、図6に示すように、回転ユニット11は、ワーク71の表面にローラ13を密着させやすいように、ハウジングシャフト16を基準に一方向に傾く{矢印D参照;図6に示すような、同一視点から2つの回転ユニット11をみた場合に、それら回転ユニット11は、ハウジングシャフト16を基準に同一方向(時計回り)に正回転する}。
【0059】
続けて、図7に示すように、ローラ13がワークに密着した状態で回転すると、回転ユニット11の並び方向Pに、ワーク71の楕円状横断面における長軸が沿うようになり(別表現すると短軸が鉛直方向に沿うようになり)、回転ユニット11は、回転するワーク71の表面に密着するように、ハウジングシャフト16を基準に他方向に傾く{矢印D参照;図7に示すような、同一視点から2つの回転ユニット11をみた場合に、それら回転ユニット11は、ハウジングシャフト16を基準に同一方向(反時計回り)に逆回転する}。
【0060】
さらに、図8に示すように、ローラ13がワークに密着した状態で回転し、回転ユニット11の並び方向Pに、ワーク71の楕円状横断面における長軸が傾くようになると、回転ユニット11は、回転するワーク71の表面に密着するように、ハウジングシャフト16基準に他方向に傾く。
【0061】
続けて、図9に示すように、ローラ13がワークに密着した状態で継続して回転すると、回転ユニット11の並び方向Pに、ワーク71の楕円状横断面における短軸が沿うようになり、回転ユニット11は、回転するワーク71の表面に密着するように、ハウジングシャフト16を基準に一方向に傾く。
【0062】
つまり、アーム21のハウジング軸受24に支えられるハウジングシャフト16を有するハウジング14(ひいては回転ユニット11)は、アーム21に対して、振り子のように正逆方向に傾く(揺動する)。そして、各回転ユニット11が傾くことで、ローラ13がワーク71の表面に密着するので、そのワーク71が確実に回転する。
【0063】
その上、ワーク71は、ローラ13を介して、スプリング31の反発力を確実に受ける。そのため、ワーク71は、2つの回転ユニット11に確実に挟まれた状態になり、さらには、ワーク71の回転によって、中心軸71Cがぶれない。
【0064】
なお、ハウジング14には回転軸となるハウジングシャフト16が含まれ、アーム21には、ハウジングシャフト16を受けるハウジング軸受24が含まれている例を挙げたが、これに限定されない。例えば、ハウジング14に軸受が含まれ、その軸受に嵌るシャフトがアーム21に含まれていても構わない。つまり、シャフトとシャフトを回転できるように受ける軸受とは、ハウジング14およびアーム21に分かれて取り付けられていればよい。
【0065】
また、ハウジング14とアーム21とを互いに係り合わせ、アーム21に対して、ハウジング14を揺動させるような機構(例えば、軸受およびシャフト)であれば、その揺動部の種類は、特に限定されない。
【0066】
また、ワーク71に対して回転ユニット11を押しつける部材は、スプリング31に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、弾性力を有する樹脂部材[押圧部]32が、アーム21を兼ねて、回転ユニット11を支えるとともに、その回転ユニット11をワーク71に押し当ててもよい(要は、弾性力を有する部材であれば、スプリング31、樹脂部材32、または板バネ等、特に限定されない)。
【0067】
すなわち、図11に示すように、向かい合う回転ユニット11同士の間にワーク71が配置された場合、そのワーク71によって回転ユニット11同士が押されて乖離するものの(矢印A参照)、回転ユニット11に連結された樹脂部材32が圧縮されることで反発力を発揮し、回転ユニット11同士を近づけてもよい。
【0068】
また、スプリング31および樹脂部材32のような弾性部材に限らず、例えば、スプリング、空気のような気体、または油のような液体を用いたダンパー[押圧部]が、回転ユニット11をワーク71に押し当てるようにしてもよい。
【0069】
なお、ダンパーは、適宜、反発力(ワーク71への押圧力)を調整できるようになっていると好ましい。また、スプリング31、樹脂部材32、およびダンパーは、交換できるように、回転装置59に搭載されていると好ましい。
【0070】
また、回転装置59では、図1に示すように、ローラ13の軸方向Sおよび複数の回転ユニット11の並び方向Pともに、水平面に沿っていてもよいし、図12に示すように、ローラ13の軸方向Sは水平面に対する垂直方向(鉛直方向)に沿い、複数の回転ユニット11の並び方向Pは水平面に沿っていてもよい。要は、回転ユニット11の並び方向Pが、水平面に沿っていれば、ワーク71が鉛直方向に沿って回転ユニット11同士の間に差し込めるので、回転装置59へのワーク71の挿入が容易になる。
【0071】
また、以上では、回転ユニット11では、ローラ13が、ワーク71の長手方向に対して交差する方向に2個配置されていたが、個数は、2個に限定されない。例えば、単数でも、3個のローラでも、それ以上の個数のローラ13が、回転ユニット11に搭載されていても構わない(なお、回転ユニット11におけるローラ13が、少なくとも2個以上の複数であれば、ワーク71を挟めるので好ましい)。
【0072】
また、図13のように、4個のローラ13が回転ユニット11に搭載される場合、ローラ13は、ワーク71の長手方向に対して交差する方向に配置されつつ、ローラ13の表面を、ワーク71の表面の形状(曲面)に沿うように、配置されていると好ましい。このように複数のローラ13が湾曲配置になっていれば、ローラ13の表面がワーク71の表面に密着しやすくなり、ワーク71が回転しやすくなる。
【0073】
なお、図13に示すように、回転ユニット11は、ローラ13がワーク71に密着した場合に、ハウジング14がワーク71に接触しないように、適切な形状に設計される。
【0074】
また、回転ユニット11に4個のローラ13が含まれている場合、ローラ13は、ワーク71の長手方向に対して交差する方向に、2個配置されるとともに、ワーク71の長手方向に沿って、2個配置されてもよい。すなわち、4個のローラ13が、図14に示すように、マトリックス配置されていてもよい。
【0075】
このようになっていれば、回転ユニット11は、ワーク71の全長に合わせた比較的長いローラ13でなくても、比較的短いローラ13を搭載できる。そのため、回転ユニット11の設計の自由度が増す。
【0076】
なお、回転ユニット11におけるローラ13の個数は、偶数に限定されるものではなく、奇数であっても構わない。また、例えば、3個のローラ13が配置されている場合、2本のローラ13が、ワーク71の長手方向に沿って2個配置され、残りの1個のローラ13が、2本のローラ13とともに、ワーク71の長手方向に対して交差する方向に配置されてもよい。
【0077】
また、図14に示すように、マトリックス配置のローラ13において、ワーク71の長手方向に沿う複数のローラ13が、距離を空けて配置されると、表面に突起(凸)71tを有するようなワーク71であっても回転させられる。なお、ワーク71の長手方向に沿う複数のローラ13における乖離距離は、回転対象物のワーク71の表面に形成される突起71Tを回避するように、適宜設計される。
【0078】
ところで、回転ユニット11を支えるアーム21は、図3に示すように、分かれて配置されている場合に限らない。例えば、図15に示すように、ワーク71を境に対向する一方のアーム21と他方のアーム21とは、一方のアーム21と他方のアーム21とを離すまたは近づけるような機構であるピン26とピン孔27とで連結されていてもよい(なお、ピン26とピン孔27とを離近部と称する)。
【0079】
詳説すると、図15に示すように、2つのアーム21は、V字状の部分を含んでおり、V字状の根本部分にて、ピン26とピン孔27とを用いて連結されている(なお、例えば、ピン孔27は、アーム21におけるV字状の根本部分に形成されており、ピン26は、アーム21に対して別体、またはアーム21におけるV字状の根本部分に形成されている)。
【0080】
このようになっていても、図16に示すように、回転ユニット11は、ワーク71を挟むために乖離する。そして、連結されたアーム21が、回転装置59に取り付けられる場合、アーム21毎に個別に取り付けが不要になるので回転装置59の製造が容易になる。
【0081】
その上、このような連結されたアーム21において、図15および図16に示すように、スプリング31が、一方のアーム21と他方のアーム21との間に架け渡っていると、一方のアーム21と他方のアーム21との乖離距離がスプリング31によって調整される。
【0082】
詳説すると、両方のアーム21における自由端(ピン26またはピン孔27を境に、回転ユニット11を取り付けられている側とは反対側の両アーム21の一端)に、スプリング31が、架け渡るように取り付けられていると、回転ユニット11が乖離することで、スプリング31が圧縮されるものの反発しようとし、その反発力によって、回転ユニット11同士を近づける。その結果、ワーク71は、回転ユニット11に挟まれ、脱落しない。
【0083】
つまり、このような連結したアーム21であっても、1個のスプリング31が、両アーム21間に架け渡っていれば、ワーク71を回転ユニット11で挟める。その上、スプリング31の個数が、アーム21に応じた個数よりも少ない1個でもよいので、回転装置59のコストが抑えられる。
【0084】
また、以上では、回転ユニット11は、2つ搭載されていたが、図17に示すように、1つであっても構わない。詳説すると、このような回転装置59では、回転台[軸ズレ防止部]41が搭載される。
【0085】
回転台41は、例えば、ワーク71の両端の一端を不動にしつつ収容することで、ワーク71の中心軸71Cをズレないようにして支える。また、この回転台41は、ワーク71の中心軸71Cを基準に回転するようになっている上、この回転台41は自力で回らなくても、回転ユニット11のワーク71を回転させようとする力で、回る(なお、回転台41がワーク71を不動にする仕組みは、特に限定されず、また、回転台41の回転する仕組みも特に限定されない)。
【0086】
そして、この回転装置59では、スプリング31が、ワーク71に対して回転ユニット11を押しつけるものの、その押圧力を、回転台41がいなすことで、ワーク71にズレを生じさせることなく、その回転台41はワーク71を支える。そのため、この回転装置59では、回転ユニット11は、スプリング31の反発力によって、ワーク71の表面に接触した状態を維持しつつ、回転台41に載ったワーク71を軸ズレさせることなく回転させる。
【0087】
つまり、この回転装置59では、回転台41が、ワーク71に対するスプリング31の押圧を緩和させることで、その押圧によるワーク71の軸ズレを防止する。
【0088】
なお、例えば、図1のように、回転ユニット11が複数搭載されている場合、スプリング31が、ワーク71に対する回転ユニット11の各々の押圧を同一にすることで、回転ユニット41間におけるワーク71に対する押圧を緩和させ、回転台41同様に、ワーク71の軸ズレを防止させる(すなわち、スプリング31は、ワーク71に対する回転ユニット11の各々の押圧を同一にすることで、そのワーク71に対して均等な押圧をかけ、回転台41同様の軸ズレ防止の役割を兼ねている)。
【0089】
そして、このような回転装置59は、同一部品である回転ユニット11を複数搭載するだけで、特別な回転台41は不要になるので、コストを抑えられる。
【0090】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0091】
例えば、以上では、横断面を楕円形状にしたワーク71を例に挙げて説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、横断面を正多角形状にしている軸対称のワーク71であってもよいし、その他の横断面形状を有するワーク71であっても構わない(もちろん、横断面が真円状のワーク71であっても構わない)。
【0092】
また、ローラ13は、円筒状のものに限らず、例えば、球状のローラ13であっても構わない。また、ローラ13は、図2に示すように、ワーク71の全長に亘るように、ワーク71の表面に接触している場合に限らず、例えば、ワーク71の両端付近のみの表面に接触するようになっていても構わない。
【0093】
また、図3では、アーム21は、回転装置59の壁部59Wに取り付けられているが、取り付け位置は、壁部59Wに限定されるものではなく、例えば、回転装置59の底部または天部に取り付けられても構わない。
【0094】
また、以上の回転装置59では、回転ユニット11がアーム21に対して揺れ動くようになっていたが、揺れ動かなくても構わない(すなわち、ハウジングシャフト16およびハウジング軸受24が無くても構わない)。そのような回転装置59であっても、回転ユニット11が、スプリング11等で、ワーク71に対して適切な押圧をかけられれば、そのワーク71は軸ズレすることなく回転するためである。
【0095】
なお、以上では、ワーク71の表面を検査する検査装置69に搭載する回転装置59を例に挙げて説明したが、回転装置59の搭載される装置は、検査装置69に限定されるものではない。例えば、ワーク71の表面にコーティングまたはラベリングを行う加工装置に、上述してきた回転装置59が搭載されても構わない。
【符号の説明】
【0096】
11 回転ユニット[回転部]
12 ローラシャフト
13 ローラ[回転体]
14 ハウジング
15 ローラ軸受
16 ハウジングシャフト[揺動部]
21 アーム[支持部]
22 土台部
23 可動部
24 ハウジング軸受[揺動部]
26 ピン[離近部]
27 ピン孔[離近部]
31 スプリング[押圧部、軸ズレ防止部]
32 樹脂部材[押圧部]
41 回転台[軸ズレ防止部]
59 回転装置
61 ラインセンサ[撮像部]
62 CPU[解析部]
69 検査装置
71 ワーク[長尺体]
71C 中心軸
S ローラの軸方向
P ローラの軸方向に対する交差方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を回転させる回転装置にあって、
上記長尺体の表面に接触しつつ上記長尺体を回転させる回転体を有する回転部と、
上記長尺体に対して上記回転部を押しつける押圧部と、
上記押圧部の押圧を緩和させることで、その押圧による上記長尺体の軸ズレを防止する軸ズレ防止部と、
を含む回転装置。
【請求項2】
複数の上記回転部が、上記長尺体を挟んでおり、
上記押圧部が、上記長尺体に対する上記回転部の各々の押圧を同一にすることで、上記軸ズレ防止部を兼ねている請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
複数の上記回転部の並び方向は水平面に沿っている請求項2に記載の回転装置。
【請求項4】
上記押圧部は、弾性部材、または、弾性部材、気体、あるいは液体を用いたダンパーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項5】
上記回転体は、上記長尺体の長手方向に対して交差する方向に、少なくとも2個配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項6】
上記回転体は、上記長尺体の長手方向に沿って、複数配置される請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項7】
上記長尺体の長手方向に沿う複数の上記回転体は、距離を空けて配置される請求項6に記載の回転装置。
【請求項8】
上記支持部に対して上記回転部を揺動させる揺動部が含まれる請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項9】
上記軸ズレ防止部は、上記長尺体を支えつつ、上記長尺体を、上記長尺体の軸を中心にして回転させる回転台である請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項10】
上記長尺体を境に対向する一方の上記支持部と他方の上記支持部とは、一方の上記支持部と他方の上記支持部とを離すまたは近づける離近部を介して連なる請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項11】
上記押圧部は、一方の上記支持部と他方の上記支持部との間に架け渡り、一方の上記支持部と他方の上記支持部との乖離距離を調整する請求項10に記載の回転装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の回転装置と、
上記回転装置にて回転される上記長尺体を撮影する撮像部と、
を含む検査装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の回転装置と、
上記回転装置にて回転される上記長尺体の表面を加工する加工部と、
を含む加工装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−88212(P2012−88212A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236116(P2010−236116)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】