説明

回転装置

【課題】本発明は磁気粘性流体によって回転トルクを伝達・制動する回転装置において入力部材を分離構造とすることで基底トルクを低減し得る構造を提供する。
【解決手段】本回転装置は、軸線周りに回転する回転軸と、回転軸の周りで回転軸と一体に回転する入力ロータと、入力ロータと軸線方向に対して対向し軸線周りに回転する出力ロータと、通電により磁力を発生する磁場発生手段とを備える。この入力ロータと出力ロータとの隙間には磁気粘性流体が充填され、入力側ロータは、シャフトと連結する第一部材と磁気粘性流体が充填される隙間と接する第二部材とを有している。本回転装置は、通電時には磁力により入力ロータの第一部材と第二部材とは係合するとともに磁気粘性流体の粘度を発現してシャフトの回転トルクを前記出力ロータに伝達し、非通電時には入力ロータの第一部材と第二部材とが分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気粘性流体に磁場を与えることで回転トルクを伝達する回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に軸線周りに回転する回転体の回転伝達・制動を実行するクラッチ装置やブレーキ装置が知られている。例えば、特許文献1の回転装置(ロータリーダンパ)では、ケーシングと回転体である円板との隙間に磁気粘性流体を封入し、磁気粘性流体に磁場を与えて粘度を発現させ、ケーシングと円板との隙間のずり応力によって回転トルクを伝達・制動する。
【0003】
一般に磁気粘性流体をトルク制動に使用する回転装置の場合、エネルギー損失の観点からは制動の必要がなく磁場を与えないときの回転トルク(基底トルク)は、可能な限り小さいことが望ましい。また、基底トルクを低減すると回転装置としてのON/OFF比も大きくなる。
【0004】
しかしながら、従来の構成の回転装置の場合、基底トルクは磁場を与えないときの磁気粘性流体自体の粘度や磁気粘性流体を封入する隙間の構造によって決定されるものであり、低減にも限度がある。また、回転装置として所望のON/OFF比を決定することが困難となる。さらに、基底トルクが大きくなると回転装置としての大きな最大トルクを定格出力とすることもできない。
【0005】
その他、従来の回転装置では、コイルに通電する電流を増加することで、入力側から出力側への伝達トルク(トルク伝達率)を大きくできるが、トルク伝達率を大きくすることには限度があり、いくらコイルに通電する電流を増大しても入力側から出力側へほぼ100%トルク伝達させることは困難である。
【0006】
その他、従来の回転装置では、コイルに通電しないときに入力側と出力側を相対回転不能に締結したいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−202744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、磁気粘性流体の粘度を発現させて回転を伝達・制動する回転装置において磁路を形成する部材を分離構造とすることで基底トルクを低減し得る構造を提供することを目的とする。また、本発明は、磁気粘性流体の粘度を発現させて回転を伝達・制動する回転装置において磁路を形成する部材を分離構造とすることでコイルに所定以上の電流を通電したときに入力側から出力側へほぼ100%トルク伝達させることができる回転装置を提供することをも目的とする。また、本発明は、磁気粘性流体の粘度を発現させて回転を伝達・制動する回転装置において磁路を形成する部材を分離構造とすることでコイルに通電しないときに入力側と出力側を相対回転不能に締結できる回転装置を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回転制動装置は、軸線周りに回転する回転軸と、該回転軸の周りで回転軸と一体に回転する入力ロータと、該入力ロータに対して軸線方向に対向し、該軸線周りに回転する出力ロータと、通電により磁力を発生する磁場発生手段と、を備える回転装置を提供する。前記入力ロータと前記出力ロータとの隙間には磁気粘性流体が充填され、前記入力ロータは、回転軸と連結する第一部材と前記磁気粘性流体が充填される隙間と接する第二部材とを有する。また本回転装置において、通電時には前記磁場発生手段から発生する磁力により前記入力ロータの第一部材と第二部材とは係合するとともに、前記磁気粘性流体の粘度を発現して前記回転軸の回転トルクを前記出力ロータに伝達し、非通電時には前記入力ロータの前記第一部材と第二部材とが分離する。
【0010】
本回転装置は、回転軸と入力ロータと出力ロータとを有しており、回転軸と入力ロータとはともに回転する。入力ロータと出力ロータとの隙間には磁気粘性流体が充填されている。したがって、コイル等の磁場発生装置が通電し、磁場が発生したときには磁路が磁気粘性流体を通過する。これによりその粘度が増大して「ずり応力」を発生させることで回転軸の回転トルクを伝達する。この回転装置において入力ロータを回転軸側の第一部材と出力ロータ側の第二部材との2部材で構成し、通電時には上記同様に回転トルクを伝達するが非通電時には第一部材と第二部材とを分離することで回転軸の回転トルクを第二部材まで伝達させない又は大幅に減少させることとしている。したがって、本回転装置によれば基底トルクを減少させ非通電時のエネルギー損失を大幅に減少させることができる。その結果、本回転装置では回転トルクのON/OFF比も大きくすることができる。
【0011】
また、前記第一部材と前記第二部材とは互いに対向する位置に同極の永久磁石を配設し、非通電時には該永久磁石の反発力により該第一部材と第二部材とを分離することが好ましい。
【0012】
上述するように本回転装置では非通電時に入力ロータの第一部材と第二部材とが分離するが、この分離を確実に行うために第一部材と第二部材とのそれぞれに同極の永久磁石が対向するように配置し、その反発力で両部材を分離することができる。これにより基底トルクをより確実に削除することができる。一方、通電時には永久磁石の反発力よりも磁場発生装置からの磁力で第一部材と第二部材とが吸着する力が強いため特に問題とはならない。
【0013】
また、本発明の回転装置において、前記入力ロータは前記回転軸周りに配設され、前記入力ロータと前記出力ロータとは互いに軸線方向に対向する位置で、前記入力ロータよりも出力ロータが半径方向内側に入れ子状に配設され、前記入力ロータの第一部材は前記回転軸の周りで回転軸に対して軸線方向に進退自在に連結される環状の略平面部材であり、前記磁気粘性流体が充填される隙間は、前記入力ロータの第二部材の内壁近傍と前記出力ロータの外壁近傍に配設される、構成を有することが好ましい。
【0014】
この回転装置では、入力ロータと出力ロータとが軸線方向に互いに入れ子状になって対向する位置関係を有している。この構成の回転装置では入力ロータの第一部材は回転軸の軸周りに位置する平面形状(プレート形状)の環状部材であり、この第一部材が回転軸に対して軸線方向に進退(代表的にはスライド)することにより第二部材との分離・吸着を行う構成にしている。
【0015】
この構成の入力ロータと出力ロータとは互いに逆の入れ子状の配置であっても良い。
具体的には、前記入力ロータは前記回転軸周りに配設され、前記入力ロータと前記出力ロータとは互いに軸線方向に対向する位置で、前記出力ロータよりも入力ロータが半径方向内側に入れ子状に配設され、前記入力ロータの第一部材は前記回転軸の周りで回転軸に対して軸線方向に進退自在に連結される環状の略平面部材であり、前記磁気粘性流体が充填される隙間は、前記入力ロータの第二部材の外壁近傍と前記出力ロータの内壁近傍に配設される。
【0016】
なお、前記磁場発生手段が前記入力ロータ側に配設されても良く、逆に前記磁場発生手段が前記出力ロータ側に配設されても良い。
【0017】
また、前記入力ロータの第一部材と第二部材との軸線方向に対向する端面は互いに嵌合して回転方向に当接する凹凸形状を有しても良い。
【0018】
この構成によれば、入力ロータの第一部材と第二部材とは通電時において互に機械的係合することができ、通電時に確実に回転トルクを伝達することができる。
【0019】
さらに本回転装置では、前記入力ロータの第一部材の一部と、前記磁場発生手段の近傍の前記出力ロータの一部とが磁性体であり、該磁場発生手段による磁路は該出力ロータの一部と前記隙間に充填する磁気粘性流体と該入力ロータの第一部材とを通過して再び出力ロータの一部に到達する経路を形成する、ことが好ましい。
【0020】
このような材質選択、磁路形成を採用するとコイル等の磁場発生手段の周りの部材(入力ロータや出力ロータ)がヨークとしても機能することとなり磁路が分散せず、第一部材と第二部材との吸着力が増大し、磁気粘性流体の粘度が大きく発現する。その結果、入力ロータと出力ロータと間の「ずり応力」も増大し、回転トルクを十分に伝達することができる。
【0021】
本発明の他の回転制動装置は、同じ軸線周りに相対回転可能であり、磁気粘性流体を介して互いにトルク伝達可能に設けられた入力側部材および出力側部材を備え、前記磁気粘性流体に付与する磁場を発生する磁場発生手段が前記入力側部材および出力側部材に含まれたものを前提とするものである。前記磁場発生手段は、前記軸線周りに配設されたコイルと、該コイルの軸線方向片側に配設された側部ヨークと、前記コイルの外周側に配設された周部ヨークとを有する。前記入力側部材は、前記軸線周りに回転し、前記コイルの通電時に前記側部ヨークおよび前記周部ヨークとともに磁路を形成する回転軸と、前記側部ヨークと、を有する。前記出力側部材は、前記コイルおよび前記周部ヨークを有する。前記側部ヨークは、前記回転軸の周囲に回転一体にかつ前記軸線方向に所定範囲でスライド可能に外嵌されている。前記側部ヨークを前記周部ヨークから離反する側へ前記軸線方向へ付勢する付勢手段が設けられている。そして、前記コイルに所定以上の電流が通電されると、前記側部ヨークと前記周部ヨークとの間に発生する磁力によって、前記側部ヨークが前記付勢手段の付勢力に抗して前記周部ヨーク側にスライドして当該周部ヨークに吸着する。
【0022】
かかる構成を備える回転装置によれば、コイルに所定以上の電流が通電されると、側部ヨークが付勢手段の付勢力に抗して周部ヨーク側にスライドして当該周部ヨークに吸着するので、その吸着力が十分にあれば、側部ヨークおよび周部ヨークは互いの摩擦力により、回転一体に結合され、入力側部材から出力側部材へほぼ100%トルクを伝達させることができる。
【0023】
また、上記構成を備える他の回転装置において、前記入力側部材および前記出力側部材には、前記側部ヨークが前記周部ヨークに吸着するときに、互いに回転一体に摩擦係合する、入力側摩擦係合部および出力側摩擦係合部がそれぞれ設けられているものとすることが望ましい。
【0024】
かかる構成を備える回転装置によれば、側部ヨークと周部ヨークとの摩擦力に左右されることなく、より確実に入力側部材と出力側部材とがほぼ相対回転不能に固定される。
【0025】
また、本発明のさらに他の回転制動装置は、同じ軸線周りに相対回転可能であり、磁気粘性流体を介して互いにトルク伝達可能に設けられた入力側部材および出力側部材を備え、前記磁気粘性流体に付与する磁場を発生する磁場発生手段が前記出力側部材に含まれたものを前提とするものである。前記入力側部材は、前記軸線周りに回転する回転軸と、該回転軸の周囲に固設された摩擦係合板と、を有する。前記出力側部材に含まれる前記磁場発生手段は、前記軸線周りに配設されたコイルと、該コイルの軸線方向片側に配設された側部ヨークと、前記コイルの外周側および内周側に配設された周部ヨークとを有する。前記側部ヨークは、前記周部ヨークと前記摩擦係合板との間において前記回転軸の周囲に相対回転可能にかつ前記軸線方向にスライド可能に設けられている。前記側部ヨークを前記摩擦係合板側へ前記軸線方向へ付勢する付勢手段が設けられている。前記コイルに電流が通電されていないとき、前記側部ヨークは前記付勢手段によって前記摩擦係合板に押し付けられて、当該側部ヨークおよび摩擦係合板が互いに回転一体に摩擦係合し前記コイルに所定以上の電流が通電されると、前記側部ヨークと前記周部ヨークとの間に発生する磁力によって、前記側部ヨークが前記付勢手段の付勢力に抗して前記周部ヨーク側にスライドして当該周部ヨークに吸着する。
【0026】
かかる構成を備える回転装置によれば、コイルに電流が通電されていないとき、側部ヨークは付勢手段によって摩擦係合板に押し付けられて、当該側部ヨークおよび摩擦係合板が互いに回転一体に摩擦係合し、入力側部材と出力側部材とが相対回転不能に締結される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、磁気粘性流体によって回転トルクを伝達・制動する回転装置において非通電時に入力ロータが分離することで回転軸の回転トルクを伝達させないようにしている。これにより本回転装置では基底トルクを減少させ非通電時のエネルギー損失を大幅に減少させることができる。
【0028】
また、本発明によれば、磁気粘性流体の粘度を発現させて回転を伝達・制動する回転装置において磁路を形成する部材(ヨーク)を分離構造とすることでコイルに所定以上の電流を通電したときに入力側から出力側へほぼ100%トルク伝達させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、磁気粘性流体の粘度を発現させて回転を伝達・制動する回転装置において磁路を形成する部材(ヨーク)を分離構造とすることでコイルに通電しないときに入力側と出力側を相対回転不能に締結できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の回転装置の概念例の1つである励磁内コイルタイプの回転装置の励磁前後の断面図を模式化しており、(a)は励磁前(非通電時)の回転装置10を、(b)は励磁後(通電時)の回転装置10を示している。
【図2】本発明の回転装置の概念例の1つである励磁外コイルタイプの回転装置の励磁前後の断面図を模式化しており、(a)は励磁前(非通電時)の回転装置10を、(b)は励磁後(通電時)の回転装置10を示している。
【図3】本発明の回転装置の詳細な実施形態が示されており、この励磁前(非通電時)の回転装置の回転軸線に沿った断面図を示している。
【図4】本発明の回転装置の詳細な実施形態が示されており、この励磁後(通電時)の回転装置の回転軸線に沿った断面図を示している。
【図5】図3〜図4に示す入力ロータの第一部材と第二部材とを入力側から見た平面図であり、(a)が第一部材、(b)が第二部材を示している。
【図6】従来型の回転装置110の軸線を含む平面で見た断面図を示している。
【図7】図6の点線Bで囲んだ部分を拡大した図である。
【図8】本発明の他の実施形態1に係る回転装置を軸線を含む平面で切断して表した断面図である。軸線Nより上に、第1ヨークと第2ヨークが分離した状態を示し、軸線Nより下に第1ヨークと第2ヨークが吸着した状態を示している。
【図9】コイルに通電する電流とトルク伝達率との関係を表すグラフである。
【図10】本発明の他の実施形態2に係る回転装置を軸線を含む平面で切断して表した断面図である。軸線Nより上に、第1ヨークと第2・第4ヨークが分離した状態を示し、軸線Nより下に第1ヨークと第2・第4ヨークが吸着した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
≪従来の回転装置の具体例≫
本発明の回転装置を説明をする前提として従来型の回転装置について具体例を示しつつ説明する。図6は従来型の回転装置110の軸線を含む平面で見た断面図を示しており、図7は図6の点線Aで囲んだ部分を拡大した図である。また、図6では理解しやすさを考慮して回転軸であるシャフト112の軸線Xより下方には説明に必要な部分にハッチングを施し上方にはハッチングを省略している。また、図7ではハッチングを省略している。
【0032】
従来型の回転装置110について、まず入力側を説明する。シャフト112は外部から回転トルクが入力され、X軸周り回転する。シャフト112は強度を有するものが好ましく、また後述する磁路がシャフト112まで分散しないように非磁性体である方が良い。例えば、非磁性体金属としてオーステナイト系ステンレス(SUS304)等が使用されている。
【0033】
また、シャフト112はその中間位置から半径方向同心円状にツバ部材114が配設されている。ツバ部材114は実際には図示するように複数部材をネジ結合等で一体連結しており、全体としてもシャフト112と一体回転する。このツバ部材114はシャフト112の回転トルクを伝達する部材であるため強度を要求される。したがって、金属材料であり、磁性体でもある純鉄等であることが好ましい。
【0034】
また、ツバ部材114は出力ロータ118(後述)の半径方向外側周囲を覆うように形成される入力ロータ116に一体固定される。具体的には、軸線X方向で互いに対向するツバ部材114と入力ロータ116との端面においてネジ等で固定される。例えばツバ部材114の図6の紙面右面と入力ロータ116の紙面左面とを連結する。これにより入力ロータ116はツバ部材114を介してシャフト112と一体に回転する。例えば、磁性体としては純鉄やパーマロイ、非磁性体としてはSUS304等が挙げられる。なお、図6ではシャフト112と一体に回転する部分について同一ハッチングを施している。
【0035】
次に、出力側を説明する。出力側には、磁場を発生させるための環状のコイル120と、コイル120の半径方向内側及び外側を覆う出力ロータ118と、が設けられている。また、出力ロータ118の外側壁と入力ロータ116の内側壁との隙間には磁気粘性流体が充填されている。詳細例は後述するが磁気粘性流体は磁力により粘度を発現(増加)する特性を有し、コイル120を通電すると磁路L´は図6の矢印に示すとおりコイル120の周囲の磁性体部材を通過するように閉環状に形成される。
【0036】
ここで出力ロータ118の外側壁と入力ロータ116の内側壁との隙間について説明する。上述した通り図7は図6の点線A部分の拡大図である。出力ロータ118の外側壁と入力ロータ116の内側壁とは、それぞれ複数枚の入力ロータ側ディスク122と出力ロータ側ディスク側124を軸線方向に挟んでいる。入力ロータ側ディスク122と出力ロータ側ディスク側124とはそれぞれ1枚づつ互い違いに積層するように配列され、これらのディスク122、124と両ロータ116、118との隙間に磁気粘性流体が充填される。したがって、コイル120が通電し、上述の磁路L´が形成されると磁気粘性流体内を磁路L´が通過するためその粘度が大きく増加する。これにより、各ディスク122、124の平面には大きな「ずり応力」が発生し、入力ロータ116の回転トルクが出力ロータ118に伝達する。
【0037】
一方、コイル120の非通電時は磁気粘性流体128の粘度が低いため回転トルクの伝達もあまりなされない。しかしながら、非通電時であっても磁気粘性流体の粘度が0(ゼロ)ではないため少々は回転トルクが伝達される、すなわち回転装置110では所定の基底トルクが発生している。
【0038】
≪使用する磁気粘性流体について≫
ここで本発明の回転装置について使用する磁気粘性流体について言及する。
ここで使用する磁気粘性流体は磁性粒子を分散媒に分散させてなる液体であり、特にその磁性粒子がナノサイズの金属粒子(金属ナノ粒子)からなる。磁性粒子は磁化可能な金属材料からなり、金属材料に特に制限はないが軟磁性材料が好ましい。軟磁性材料としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル及びパーマロイ等の合金が挙げられる。
【0039】
金属ナノ粒子は、その平均粒子径が、20〜500nmであることが望ましく、より好ましくは、70〜200nmである。また、磁性粒子には、金属ナノ粒子が凝集した凝集体を含んでいても良く、特に金属ナノ粒子が塊状に凝集した凝集体を含んでいても良い。塊状の凝集体は、例えば棒状又は鎖状の凝集体が磁気粘性流体に含まれる場合と比較して、基底粘度を低下させることになる。凝集体の大きさは、レーザー回折散乱法による平均粒子径が、10μm以下であることが望ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0040】
分散媒は、特に限定されるものではないが、一例として疎水性のシリコーンオイルを挙げることができる。採用する分散媒の種類に応じて、磁性粒子に対し、その分散媒と親和性の高い表面改質を施すようにすればよい。こうすることで、磁性粒子の分散安定性が高まる。例えば疎水性のシリコーンオイルを分散媒として採用する場合、磁性粒子にはカップリング剤による表面改質を施すことが好ましい。
【0041】
磁気粘性流体における磁性粒子の配合量は、例えば3〜40vol%とすればよい。磁気粘性流体にはまた、所望の各種特性を得るために、各種の添加剤を添加することも可能である。
【0042】
≪本発明の概念≫
次に、本発明の回転装置の詳細な実施形態例を説明する前に2つの模式例を示して本発明の回転装置の主構成を説明する。
図1〜図2には本発明の回転装置の模式図が2つ示されており、具体的には図1は後述の詳細な実施形態で参照する図3〜図4の回転装置10と同様の「励磁内コイルタイプ」の回転装置を模式化しており、(a)が励磁前(非通電時)の構成、(b)が励磁後(通電後)の構成を示している。また、図2は「励磁外コイルタイプ」の回転装置を示しており、(a)が励磁前(非通電時)の構成、(b)が励磁後(通電後)の構成を示している。なお、ここで示す参照番号の部材は、図3〜図4に同参照番号で示す部材と同一部材であり、この参照番号数の下2ケタが同一の図6〜図7の参照番号部材は同機能の部材である。
【0043】
<励磁内コイルタイプ>
このタイプの本回転装置の例は、コイル20が半径方向内側にあるロータ側に配設されるケースを示している。回転軸であるシャフト12の回転は入力ロータ16に伝達される。入力ロータ16は第一部材(ツバ部材)14と第二部材15とで構成される。まずシャフト12の回転は、同心円状にシャフト周りに配設される略環状平面部材である第一部材14に伝達される。図1では第一部材14が複数の部材で形成され軸線方向に凹凸である部材として示されているが、これらは一体の部材である。また、この第一部材14の磁路が通過する部分(後述する外側部14bに相当)は、純鉄、パーマロイ等の磁性体で形成される。
【0044】
入力ロータ16の第二部材15は、第一部材14と同様にシャフト12周りに同心円状に配設される略環状部材であるが、その形状が軸線方向前方(紙面右方)に延びており第一部材15より軸線方向前方(紙面右方)に位置し、前方に開放される。この第二部材15も図1では複数部材で構成されるがシャフト12周りで全て一体に回転する部材として形成される。なお、第二部材15の磁路(後述)が通過する部材は純鉄やパーマロイ等の磁性体で形成され、それ以外はSUS304等の非磁性体で形成されている。
【0045】
さらに、入力ロータ16よりも前方(紙面右方)にはシャフト12周りに回転する出力ロータ18が配設される。出力ロータ18は後方(紙面左方)に開放されて入力ロータ16よりも半径方向外側を覆うように入力ロータ16と対向して入れ子状に配設され、さらに入力ロータ16はその前方の開放部分に内挿するように磁場発生手段であるコイル20が形成される。図7に示すように入力ロータ16の外側表面と出力ロータ18の内側表面とにはそれぞれディスク22、24(入力ロータ側ディスク出力22と出力ロータ側ディスク24)とが積層して磁気粘性流体28が充填される隙間をラビリンス構造にし、後述するような磁気粘性流体の粘度をさらに増大させ「ずり応力」を発生させている。なお、ディスク22、24の説明については図7での説明を参照する。なお、出力ロータ18の材質はSUS等の非磁性体であるが、コイル20と出力ロータ16との中間部材、及びディスク22、24はパーマロイ(Fe-Ni合金)等の磁性金属である。
【0046】
ここでコイル20への通電前後(励磁前後)について言及する。励磁前は磁力が発生していないため入力ロータ16の第一部材14は第二部材15に対して後方に分離して位置決めされている(図1(a)参照)。したがって、シャフト12の回転トルクは第一部材14までで分断され、第二部材15には伝達しない。
【0047】
これに対して励磁後は図1(b)に示すようにコイル20の周囲に閉環状に磁路L−1が形成されるため入力ロータ16の第二部材15が軸線方向前後に進退して第一部材14が第二部材15に引き寄せられ、互いに接触する(図1(b)参照)。また、磁路L−1はディスク22、24に接する磁気粘性流体26を通過するためその粘度が大きく発現する。したがって、シャフト12の回転トルクが第一部材14から第二部材15に伝達され、磁気粘性流体26の粘度の発現で発生する「ずり応力」により出力ロータ18まで伝達される。このとき上述するように入力ロータ16の第一部材14及び出力ロータ18の一部が磁性体であるためこれらがコイル20に対するヨークとしての機能をも有し、磁路の集中に大きく寄与する(回転トルクの伝達効率を向上させる)。
【0048】
このように入力ロータ16を第一部材14と第二部材15とに分離する構成にすることで励磁前(非通電時)の出力トルクと励磁後(通電時)の出力トルクとの差が大きい、すなわちON/OFF比の大きい回転伝達装置を提供することができる。なお、励磁前における第一部材14と第二部材15との分離を促進するためには永久磁石の反発力を使用するが、この点については図3〜図4を参照しつつ後述する。
【0049】
<励磁外コイルタイプ>
このタイプの本回転装置10´の例では、コイル20が半径方向外側にあるロータ側に配設されるケースを示している。図1と同様にシャフト12の回転は入力ロータ16に伝達され、入力ロータ16が第一部材14と第二部材15とで構成される。また、入力ロータ16より前方に出力ロータ18が配設される点でも図1の回転装置10と同様である。ただし、この回転装置10´では、入力ロータ16が出力ロータ18よりも半径方向外側を覆って互いに対向して入れ子状に配設される点が図1の回転装置10と大きく異なる。したがって、磁気粘性流体28は入力ロータ16の内側表面と出力ロータ18の外側表面との隙間に充填される。ディスク22、24については図1と同様に図7で説明したとおりである。この励磁外コイルタイプの回転装置10´では磁場発生手段であるコイル20がディスク22、24の半径方向外側に配設される。なお、図1の回転装置10と同様に各部材の磁路が通過する部分は磁性体、それ以外は非磁性体である点も同様である。
【0050】
励磁前後の構成変化も図1と同様であり、コイル20への通電前(励磁前)は入力ロータ16の第一部材14が第二部材15に対して後方に分離して位置決めされ(図2(a)参照)、シャフト12の回転トルクは第一部材14までで分断され、第二部材15には伝達されない。一方、励磁後は図2(b)に示すような磁路L−2が形成され第一部材14と第二部材15とは互いに吸着する(図2(b)参照)。磁気粘性流体26は磁路L−2が通過することでその粘度が大きく発現する。したがって、シャフト12の回転トルクは出力ロータ18まで伝達される。励磁前における第一部材14と第二部材15との分離を促進するための永久磁石についてはここでも省略する。
【0051】
≪本回転装置の詳細な構成の例示≫
次に、図3〜図4は本発明の回転装置10の具体的実施形態の詳細な構成例を示しており、軸線Xを含む平面で見た断面図である。具体的には、図3は回転装置10の励磁前(非通電時)の断面図を示しており、図4は回転装置10の励磁後(通電時)の断面図を示している。回転装置10は図6〜図7の従来型の回転装置110で示した構成と大半の構成は同一であり、図3〜図4に示す部材の参照番号の下2ケタと同一である図6〜図7での部材は同一部材である。ここでは図3〜図4の部材のうち図6〜図7と異なる部材について説明し、同一の部材については説明を割愛する。
【0052】
図3〜図4の回転装置10は、図6〜図7で説明したように入力ロータ16と出力ロータ18とが互いに軸線方向に開放側を対向し、入力ロータ16が出力ロータ18よりも半径方向外側に覆うように入れ子状に配設されている。この点では図2の回転装置10´と類似するがコイル20は内側の出力ロータ18内に配設されており図1〜図2のようにコイル20の位置で区分した場合は図1の励磁内コイルタイプの回転装置10に該当する。この第二部材15の第一部材と対向する側(紙面左方)は、磁路Lが通過するように磁性体で形成されているが、その途中に非磁性体部15eを配置している。通電時(励磁後)に発生する磁路Lは、この非磁性体部15eを避け、第二部材15の磁性体部分と当接した第一部材14の外側部14bへ通過して、その端部付近で第二部材15の磁性体部分に回帰する。このように、非磁性体部15eは第二部材15から第一部材14へ磁路Lが通過することを促すものであるので、第一部材14と第二部材15とが当接したときに、非磁性体部15eは第二部材15の磁性体部分と第一部材14の外側部14bとが非磁性体部15eの半径方向両側で当接するような位置、大きさが好ましい。なお、図3〜図4では入力ロータ16と出力ロータ18との境界を理解しやすいようにシャフト12の軸線Xより下方について両ロータ16、18に異なるハッチングを施している。
【0053】
次に入力ロータ16について説明すると非磁性金属であるシャフト12の中間位置から半径方向同心円状に第一部材(ツバ部材)14が延びており、第一部材14は、全体としてシャフト12と一体回転し、シャフト12の回転トルクを直接伝達する。また第一部材14は図示しないがスライド機構等により前後に進退する。また、入力ロータ16はこの第一部材14と出力ロータ18の半径方向外側周囲を覆うように形成される第二部材15とで構成される。第二部材15の出力側端面は、励磁前(非通電時)には図3に示すように第二部材15の入力側端面から浮いた状態で分離している。このとき第一部材14が第二部材15に対して距離を有するためには永久磁石の反発力を利用する。具体的には第一部材14の内側部14aとこれと対向する位置にある第二部材15の内側部15aとにそれぞれ同極(N極とN極またはS極とS極)を向くように永久磁石28を埋入する。なお、基底トルクがある程度必要になるケースも想定されるが、その場合には第一部材14の内側部14aとこれと対向する位置にある第二部材15の内側部15aとに埋入される永久磁石28は互いに対極(N極とS極またはS極とN極)を向くように配設され、第一部材14と第二部材15とが引き付け合うような構成であっても良い。
【0054】
コイル20への通電後(励磁後)には出力ロータ18と第一部材14の外側部14bとが磁性金属であることにより磁路Lが形成され、第一部材14と第二部材15とが係合(吸着)する(図4参照)。このとき両部材14、15がしっかりと係合するために図3〜図4の回転装置10では第一部材14と第二部材15とが嵌合して結合する。この嵌合について説明する。
【0055】
まず、図3〜図4では第一部材14と第二部材15とを側部から見た断面図であるが、この図からも明白なように第一部材14は内側部14aが外側部14bより入力側(紙面左側)に突出している。これに対して第二部材15は第一部材14と嵌合するようにその内側部15aが外側部15bよりも入力側に突出している。
【0056】
これに対して図5は第一部材14と第二部材15とを図3〜図4の入力側から見た平面図であり、(a)が第一部材14、(b)が第二部材15を示している。図5(a)に示すように第一部材14は、内側部14aはシャフト12が貫通する穴14cの同心円状周囲に形成され、所定ピッチごとに永久磁石28が埋入している。この永久磁石28は全周にわたって配設される環状のものであっても良い。また、第一部材14の外側部14bは所定ピッチごとに間欠された形状を有する。
【0057】
これに対して第二部材15は図5(b)に示すように内側部15がシャフト12が貫通する穴15cの同心円状周囲に形成され、所定ピッチごと又は全周にわたって永久磁石28(第一部材14の永久磁石と対極)が埋入されており、外側部15bが所定ピッチごとに間欠された形状を有する点で第一部材14と同様である。コイル20の通電時(励磁時)には第一部材の内側部14aと外側部14bとがそれぞれ第二部材15の内側部15aと外側部15bとに当接することで係合し、さらに回転して第一部材の外側部14bが第二部材15の間欠部15dに嵌合することで両部部材14、15とが機械的にしっかりと係合することとなる。
【0058】
その他、出力ロータ18の部材、磁気粘性流体26やディスク22、24については図6〜図7で説明したとおりである。
【0059】
以下、さらに本発明の他の実施形態(1),(2)について説明する。
【0060】
≪本発明の他の実施形態(1)≫
以下、本発明の他の実施の形態(1)に係る回転装置について図8を参照しながら説明する。本実施形態に係る回転装置210は、軸線N周りに相対回転可能な入力側部材210Aおよび出力側部材201Bで構成されている。入力側部材210Aおよび出力側部材210Bは、互いに磁気粘性流体26(図8において塗り潰した部分)を介してトルク伝達がなされる。磁気粘性流体26には、電磁石等からなる磁場発生手段211によって磁場が付与されるようになっており、磁場発生手段211のコイル212に通電する電流の大きさを調整することで、入力側部材210Aおよび出力側部材210B間での伝達トルクが調整可能である。磁場発生手段211は、コイル212、ボビン231、第1〜第4ヨーク215,217,224,225などで構成されている。
【0061】
入力側部材210Aは、軸線N周りに回転する回転軸213、回転軸213の外周側に軸線N方向に所定間隔をおいて設けられた複数の環状の円板214、磁場発生手段211の第1ヨーク(側部ヨーク)215などで構成されている。
【0062】
図8に示すように、回転軸213の一端(図中左側)には、円板状のばね支持板216が固設され、回転軸213の他端(図中右側)には、半径方向外側にフランジ213aが形成されている。ばね支持板216と後述する第1ヨーク215との間には、第1ヨーク215をばね支持板216側(第2ヨーク217から離反する側)へ付勢する付勢手段であるコイルスプリング218が介設されている。コイルスプリング218は、ばね支持板216および第1ヨーク215の外周近傍に沿って周方向に一定間隔をおいて複数設けられている。なお、上記付勢手段は、コイルスプリング218などのバネに限定されない。例えば、コイルスプリング218に代えて、異なる磁極を対向させた一対の永久磁石をばね支持板216および第1ヨーク215にそれぞれ設け、異なる磁極同士の吸着力を付勢力として利用することも可能である。
【0063】
第1ヨーク(側部ヨーク)215は、コイル212の軸線方向片側に配設されており、回転軸213の周囲に回転一体にかつ軸線N方向に所定範囲でスライド可能に外嵌されている。第1ヨーク215の回転軸213に対する上記外嵌は、例えばキー嵌合、スプライン嵌合等によりなされる。第1ヨーク215は、中心に軸穴を有する円板状とされ、片面に摩擦係合部215aが形成されている。この摩擦係合部215aは、第1ヨーク215が第2ヨーク217に吸着するときに(この吸着については後述する。)、コイル212の軸線N方向片側に設けられた摩擦係合部222に回転一体に摩擦係合し、出力側部材210Bと回転一体に接続される。
【0064】
回転軸213には、円板支持部材219が外嵌されている。この円板支持部材219は、異径部を有する筒体からなり、小径部219a側の端部がフランジ213aの側面に当接されている。また、小径部219aの外周に、複数の円板214および薄板スペーサ221が外嵌されている。薄板スペーサ221は、各円板214間の内径側に介設されている。一方、円板214同士の外径側には、それぞれ後述するプレート223が隙間を介して配設されており、それら隙間には磁気粘性流体26が充填されている。円板214および薄板スペーサ221は、円板支持部材219の小径部219aおよび大径部219bからなる段差面と、前記フランジ213aとに軸線N方向に挟まれ、これらを貫通する図示しないボルトにて互いに締結されている。これにより、円板214等は回転軸213と一体に回転するようになっている。
【0065】
なお、上記の入力側部材210Aにおいて、回転軸213、円板214、第1ヨーク215は磁性体からなり、ばね支持板216、摩擦係合部222、薄板スペーサ221は非磁性体からなる。
【0066】
出力側部材210Bは、上記複数の円板214間にそれぞれ隙間(磁気粘性流体26)を介して配設された複数の環状のプレート223、磁場発生手段211のコイル212、第2〜第4ヨーク217,224,225などで構成されている。
【0067】
複数のプレート223間の外径側には、それぞれ、環状の薄板スペーサ226(前記薄板スペーサ221よりも内外径サイズが大きいもの)が介設されている。プレート223および薄板スペーサ226は、環状の挟持部材228,229によって軸線N方向に挟まれた状態で図示しないボルトにて締結されている。さらに、挟持部材228,229は、第3ヨーク224および第4ヨーク225にも回転一体に結合している。
【0068】
コイル212は、回転軸213の周囲に、ベアリング230を介して軸線N周りに相対回転自在に設けられたボビン231に巻き付けられている。
【0069】
第2ヨーク217は、軸線Nを中心とした円筒状のものとされ、コイル212の外周側に配設されている。
【0070】
第3ヨーク224は、第2ヨーク217の軸線N方向円板214側に回転一体に接続されている。この第3ヨーク224は、図8に示すように、断面がL字状をした円環状部材からなり、軸線N方向の一方が第2ヨーク217の端部に接続され、他方が円板214、プレート223等の片面に隙間(磁気粘性流体26)を介して対向している。
【0071】
第4ヨーク225は、図8に示すように、断面が矩形状をした円環状部材からなり、前記フランジ213aの外周に相対回転可能に連なっている。この第4ヨーク225は、端位置にある円板214又はプレート223の片側面に隙間(磁気粘性流体26)を介して対向する対向面を有する。
【0072】
なお、上記の出力側部材210Bにおいて、プレート223および第2〜第4ヨーク217,224,225は磁性体からなり、薄板スペーサ226および挟持部材228,229は、非磁性体からなる。
【0073】
コイル212に電流を通電すると、図8中の矢印Pで示すように、第1ヨーク215、第2ヨーク217、第3ヨーク224、円板214の外径側、プレート223の内径側、第4ヨーク225および回転軸213(フランジ213aを含む)に磁路が形成され、磁路を横切る円板214およびプレート223間の隙間に介在する磁気粘性流体26が所定の粘度(ずり応力)を発現する。なお、図8において、軸線Nより上には、第1ヨーク215と第2ヨーク217とが離れた状態を示し、軸線Nより下には、第1ヨーク215と第2ヨーク217とが吸着した状態を示している。いずれの状態でも第1ヨーク215および第2ヨーク217には、連続した磁路が形成される。
【0074】
このように構成された回転装置210では、円板214およびプレート223は、それらの隙間に磁気粘性流体26を介在させながら相対回転するため、上記コイル212に通電する電流を調整し、磁気粘性流体の粘度を調整することにより、円板214(入力側部材210A)とプレート223(出力側部材210B)との相対回転を制動し、伝達トルクを制御することができる。
【0075】
次に、回転装置210において、入力側部材210Aと出力側部材210Bとの間で伝達されるトルクについて図9(a)のグラフを参照しながら説明する。このグラフは、コイル212に通電する電流を横軸とし、入力側部材210Aと出力側部材210Bとの間で伝達されるトルクの伝達率を縦軸としている。
【0076】
コイル212に電流が通電されていないときは、第1ヨーク215は、コイルスプリング218の付勢力によって第2ヨーク217の端部から離れており(図8の軸線Nより上を参照)、第1ヨーク215の摩擦係合部215aも出力側部材210Bに設けられた摩擦係合部222から離れている。このため、入力側部材210Aと出力側部材210Bとの間で伝達されるトルクは基底トルクとなる。
【0077】
この状態からコイル212に電流を通電し、その電流値を次第に上げていくと、電流値が0〜A1の範囲では、引き続き、第1ヨーク215は、コイルスプリング218の付勢力によって第2ヨーク217の端部から離れているものの、一定の磁路が形成され、電流値の増加に伴って入力側部材210Aと出力側部材210Bとの間で伝達されるトルクが増加する。
【0078】
さらにコイル212に通電する電流を大きくし、その値がA1になると、第1ヨーク215と第2ヨーク217との間に発生する磁力によって第1ヨーク215がコイルスプリング218の付勢力に抗して第2ヨーク217側へスライドし、第2ヨークに吸着する(図8の軸線Nより下を参照)。このとき、第1ヨーク215の摩擦係合部215aも出力側部材210Bに設けられた摩擦係合部222に上記吸着力によって押し付けられる。これにより、入力側部材210Aおよび出力側部材210Bは、ほぼ相対回転不能となり、電流値がA1以上の範囲では、トルク伝達率がほぼ1となる。つまり、入力側部材210Aのトルクは高効率で出力側部材210Bに伝達されるようになる。
【0079】
以上のように本発明の他の実施形態(1)に係る回転装置210よれば、コイル212に所定以上の電流を通電することで、入力側部材210Aと出力側部材210Bとをほぼ相対回転不能に固定することができる。これにより、例えば、この回転装置210を所定の軸線周りに回転するアームの回転中心部に採用すれば、コイル212に所定以上の電流を通電することで、入力側のトルクをほぼ100%アームに伝達することができる。
【0080】
≪本発明の他の実施形態(2)≫
以下、本発明の他の実施の形態(2)に係る回転装置について図10を参照しながら説明する。本実施形態に係る回転装置310は、軸線N周りに相対回転可能な入力側部材310Aおよび出力側部材310Bで構成されている。入力側部材310Aおよび出力側部材310Bは、互いに磁気粘性流体26(図10において塗り潰した部分)を介してトルク伝達がなされる。磁気粘性流体26には、電磁石等からなる磁場発生手段311にて磁場が付与されるようになっており、磁場発生手段311のコイル312に通電する電流の大きさを調整することで、入力側部材310Aおよび出力側部材310B間での伝達トルクが調整可能である。磁場発生手段311は、コイル312、第1〜第4ヨーク315〜318などで構成されている。
【0081】
入力側部材310Aは、軸線N周りに回転する回転軸313、回転軸313の一端部に回転一体に設けられたロータ314、回転軸313の他端部側に回転一体に設けられた摩擦係合板319などで構成されている。
【0082】
ロータ314は、円板状の部材であって、半径方向の中間部314aと外周部314bが磁性体からなり、その他の部分が非磁性体からなる。外周部314bは、軸線N方向に間隔をおいて設けられた2枚の円環板からなり、これらの円環板の間に隙間(磁気粘性流体26)を介して後述するプレート322が配設されている。
【0083】
摩擦係合板319は、円板状部材からなり、回転軸313の周囲にハブ321を介して軸線N周りに相対回転不能に、かつ、軸線N方向に相対移動不能に設けられている。この摩擦係合板319および、後述する第1ヨーク315は互いの対向面(または一方の対向面)に摩擦係合加工が施されており、互いに対向面が押し合うことで、回転一体に摩擦係合する。
【0084】
一方、出力側部材310Bは、磁場発生手段311、プレート322、プレート支持部323、第1ヨークスライド支持部324等で構成されている。
【0085】
磁場発生手段311は、コイル312、第1〜第4ヨーク315〜318で構成され、回転軸313の周囲にベアリング325を介して相対回転可能に設けられている。
【0086】
第1ヨーク(側部ヨーク)315は、軸穴を有する円板状部材からなり、コイル312の軸線N方向片側に配設されている。この第1ヨーク315は、第2ヨーク316および第3ヨーク317と摩擦係合板319との間で軸線N方向にスライド可能に後述する第1ヨークスライド支持部324に支持されている。
【0087】
また、第1ヨーク315は、付勢手段であるコイルスプリング328により摩擦係合板319側に付勢されており、コイル212に電流が通電されていないときには、コイルスプリング328の付勢力により摩擦係合板319に押し付けられ、回転一体に摩擦係合する。なお、コイルスプリング328は、第2ヨーク316の外周に沿って設けられた円環状部材326に、周方向に一定間隔をおいて形成されたスプリングリテーナ327にそれぞれ嵌め付けられている。上記付勢手段は、コイルスプリング328などのバネに限定されない。
【0088】
第2ヨーク(周部ヨーク)316は、軸線Nを中心とした円筒状のものとされ、コイル312の外周側に配設されている。
【0089】
第3ヨーク317は、軸線Nを中心とする円板状部材からなる。第3ヨーク317の片面と、第2ヨーク316および第4ヨーク318の端部との間には隙間を介してロータ314が配置されており、その隙間に磁気粘性流体が充填されている。図10の矢印Pに示すように第2〜第4ヨーク316〜318に形成される磁路は、ロータ314の中間部314aおよび外周部314bを板厚方向に貫通する。磁路が効率よく形成されるように、第3ヨーク317のロータ314側の側面には、ロータ314の中間部314aおよび外周部314bに対向する部分がその他の部分よりロータ314側に接近してロータ314との隙間が比較的狭くなっている。
【0090】
第4ヨーク(周部ヨーク)318は、コイル312の内周側に配設されており、回転軸313の外周にベアリング325を介して相対回転自在に設けられている。この第4ヨーク318も、軸線Nを中心とした円筒状のものとされ、その外周にコイル312が巻きつけられている。なお、第4ヨーク318の一端面にビスにより取り付けられた部材は、第4ヨーク318と回転軸313の外周との間をシールする環状シール材329を保持するシール保持板330である。
【0091】
ロータ314の外周部314bに磁気粘性流体26を介して挟まれたプレート322は、円環板状部材からなり、その内径側がロータ314の外周部314bに挟まれている。一方、プレート322の外径側は、プレート支持部323a,323bに挟まれてボルト331にて締結されている。プレート支持部323の一方323aは、第3ヨーク317の外周に固設されており、プレート支持部323の他方323bは、第2ヨーク316の端部外周に固設されている。
【0092】
第1ヨークスライド支持部324は、第1ヨーク319を軸線N方向にスライド自在に支持するものであり、前記円環状部材326から軸線N方向第1ヨーク315側に延出し、第1ヨーク319を摺動自在に貫通した複数のガイド軸324aと、複数のガイド軸324aの先端部に固定された板材324bと、で構成されている。
【0093】
なお、上記の出力側部材310Bにおいて、第1〜第4ヨーク315〜318は磁性体からなり、プレート支持部323、第1ヨークスライド支持部324およびベアリング325は非磁性体からなる。
【0094】
コイル312に電流を通電すると、図10中の矢印Pで示すように、第1〜第4ヨーク315〜318並びにロータ314の中間部314aおよび外周部314bに磁路が形成され、ロータ314と、第2〜第4ヨーク316〜318およびプレート223と、の隙間に介在する磁気粘性流体のうち上記磁路を横切る部分にある磁気粘性流体が所定の粘度(ずり応力)を発現する。なお、図10において、軸線Nより上には、第1ヨーク315と第2ヨーク316とが離れた状態を示し、軸線Nより下には、第1ヨーク315と第2ヨーク316とが吸着した状態を示している。いずれの状態でも第1ヨーク315および第2ヨーク316には、連続した磁路が形成される。
【0095】
このように構成された回転装置310では、ロータ314と、第2〜第4ヨーク316〜318およびプレート223との隙間に磁場の強さに応じた粘度を発現する磁気粘性流体26を介在させながら相対回転するため、上記コイル312に通電する電流を調整し、磁気粘性流体の粘度を調整することにより、ロータ314(入力側部材310A)とプレート332等(出力側部材310B)との相対回転を制動し、伝達トルクを制御することができる。
【0096】
次に、回転装置310において、入力側部材310Aと出力側部材310Bとの間で伝達されるトルクについて図9(b)のグラフを参照しながら説明する。このグラフは、コイル312に通電する電流を横軸とし、入力側部材310Aと出力側部材310Bとの間で伝達されるトルクの伝達率を縦軸としている。
【0097】
コイル312に電流が通電されていないときは、第1ヨーク315は、コイルスプリング327の付勢力によって第2ヨーク316および第4ヨーク318の端部から離れて、摩擦係合板319に押し付けられ、摩擦係合板319に対して回転一体に摩擦係合される(図10の軸線Nより上を参照)。摩擦係合板319は、回転軸213に対して回転一体に設けられているため、入力側部材310Aと出力側部材310Bとの間で伝達されるトルクは最大となる。つまりトルク伝達率が1となる。
【0098】
この状態からコイル312に電流を通電し、その電流値を次第に上げていくと、電流値がA2未満の範囲では、引き続き、第1ヨーク315は、コイルスプリング327の付勢力によって第2ヨーク316および第4ヨーク318の端部から離れて、摩擦係合板319に押し付けられ、摩擦係合板319に対して回転一体に摩擦係合されている。このため、トルク伝達率は引き続き1のままである。
【0099】
さらにコイル212に通電する電流を大きくし、その値がA2になると、第1ヨーク315と第2ヨーク316および第4ヨーク318との間に発生する磁力によって第1ヨーク215はコイルスプリング328の付勢力に抗して第2ヨーク316および第4ヨーク318側へスライドし、摩擦係合板319から離れて、第2ヨーク316および第4ヨーク318に吸着する。その結果、摩擦係合板319および回転軸313が出力側部材310Bに対して相対回転可能となり、電流値がA2以上の範囲では、入力側部材310Aと出力側部材310Bとの間で伝達されるトルクは、電流値の増加に伴って大きくなる。
【0100】
以上のように本発明の他の実施形態(2)に係る回転装置310よれば、コイル312に電流を供給していないときに、入力側部材310Aと出力側部材310Bとを相対回転不能に固定することができる。これにより、例えば、この回転装置310を所定の軸線周りに回転するアームの回転中心部に採用すれば、電力の供給を停止してもそのアームの回転角度位置を維持することができる。
【0101】
以上、本発明の4つの実施形態について説明してきたが、本発明の本回転装置はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神と教示との範囲を逸脱しない他の変形例と改良例とが存在することは当業者に明白であろう。
【符号の説明】
【0102】
10 回転装置
12 シャフト(回転軸)
14 第一部材(ツバ部材)
14a 内側部
14b 外側部
15 第二部材
15a 内側部
15b 外側部
16 入力ロータ
18 出力ロータ
20 コイル
22 入力ロータ側ディスク
24 出力ロータ側ディスク
26 磁気粘性流体(隙間)
28 永久磁石
210 回転装置
210A 入力側部材
210B 出力側部材
211 磁場発生手段
212 コイル
213 回転軸
215 第1ヨーク
217 第2ヨーク
218 コイルスプリング(付勢手段)
215a 摩擦係合部(入力側摩擦係合部)
222 摩擦係合部(出力側摩擦係合部)
310 回転装置
310A 入力側部材
310B 出力側部材
311 磁場発生手段
312 コイル
313 回転軸
315 第1ヨーク
316 第2ヨーク
319 摩擦係合板
328 コイルスプリング(付勢手段)
N 軸線
X 回転軸線
Y 回転平面
L、L−1、L−2 磁路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに回転する回転軸と、
該回転軸の周りで回転軸と一体に回転する入力ロータと、
該入力ロータに対して軸線方向に対向し、該軸線周りに回転する出力ロータと、
通電により磁力を発生する磁場発生手段と、を備える回転装置であって、
前記入力ロータと前記出力ロータとの隙間には磁気粘性流体が充填され、
前記入力ロータは、回転軸と連結する第一部材と前記磁気粘性流体が充填される隙間と接する第二部材とを有し、
通電時には前記磁場発生手段から発生する磁力により前記入力ロータの第一部材と第二部材とは係合するとともに、前記磁気粘性流体の粘度を発現して前記回転軸の回転トルクを前記出力ロータに伝達し、
非通電時には前記入力ロータの前記第一部材と第二部材とが分離する、ことを特徴とする回転装置。
【請求項2】
前記第一部材と前記第二部材とは互いに対向する位置に同極を向くように永久磁石を配設し、
非通電時には該永久磁石の反発力により該第一部材と第二部材とを分離する、ことを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記入力ロータは前記回転軸周りに配設され、
前記入力ロータと前記出力ロータとは互いに軸線方向に対向する位置で、前記入力ロータよりも出力ロータが半径方向内側に入れ子状に配設され、
前記入力ロータの第一部材は前記回転軸の周りで回転軸に対して軸線方向に進退自在に連結される環状の略平面部材であり、
前記磁気粘性流体が充填される隙間は、前記入力ロータの第二部材の内壁近傍と前記出力ロータの外壁近傍に配設される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記入力ロータは前記回転軸周りに配設され、
前記入力ロータと前記出力ロータとは互いに軸線方向に対向する位置で、前記出力ロータよりも入力ロータが半径方向内側に入れ子状に配設され、
前記入力ロータの第一部材は前記回転軸の周りで回転軸に対して軸線方向に進退自在に連結される環状の略平面部材であり、
前記磁気粘性流体が充填される隙間は、前記入力ロータの第二部材の外壁近傍と前記出力ロータの内壁近傍に配設される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転装置。
【請求項5】
前記入力ロータの第一部材と第二部材との軸線方向に対向する端面は互いに嵌合して回転方向に当接する凹凸形状を有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項6】
前記入力ロータの第一部材の一部と、前記磁場発生手段の近傍の前記出力ロータの一部とが磁性体であり、該磁場発生手段による磁路は該出力ロータの一部と前記隙間に充填する磁気粘性流体と該入力ロータの第一部材とを通過して再び出力ロータの一部に到達する経路を形成する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項7】
同じ軸線周りに相対回転可能であり、磁気粘性流体を介して互いにトルク伝達可能に設けられた入力側部材および出力側部材を備え、前記磁気粘性流体に付与する磁場を発生する磁場発生手段が前記入力側部材および出力側部材に含まれた回転装置であって、
前記磁場発生手段は、前記軸線周りに配設されたコイルと、該コイルの軸線方向片側に配設された側部ヨークと、前記コイルの外周側に配設された周部ヨークとを有し、
前記入力側部材は、前記軸線周りに回転し、前記コイルの通電時に前記側部ヨークおよび前記周部ヨークとともに磁路を形成する回転軸と、前記側部ヨークと、を有し、
前記出力側部材は、前記コイルおよび前記周部ヨークを有し、
前記側部ヨークは、前記回転軸の周囲に回転一体にかつ前記軸線方向に所定範囲でスライド可能に外嵌され、
前記側部ヨークを前記周部ヨークから離反する側へ前記軸線方向へ付勢する付勢手段が設けられ、
前記コイルに所定以上の電流が通電されると、前記側部ヨークと前記周部ヨークとの間に発生する磁力によって、前記側部ヨークが前記付勢手段の付勢力に抗して前記周部ヨーク側にスライドして当該周部ヨークに吸着する、ことを特徴とする回転装置。
【請求項8】
前記入力側部材および前記出力側部材には、前記側部ヨークが前記周部ヨークに吸着するときに、互いに回転一体に摩擦係合する、入力側摩擦係合部および出力側摩擦係合部がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の回転装置。
【請求項9】
同じ軸線周りに相対回転可能であり、磁気粘性流体を介して互いにトルク伝達可能に設けられた入力側部材および出力側部材を備え、前記磁気粘性流体に付与する磁場を発生する磁場発生手段が前記出力側部材に含まれた回転装置であって、
前記入力側部材は、前記軸線周りに回転する回転軸と、該回転軸の周囲に固設された摩擦係合板と、を有し、
前記出力側部材に含まれる前記磁場発生手段は、前記軸線周りに配設されたコイルと、該コイルの軸線方向片側に配設された側部ヨークと、前記コイルの外周側および内周側に配設された周部ヨークとを有し、
前記側部ヨークは、前記周部ヨークと前記摩擦係合板との間において前記回転軸の周囲に相対回転可能にかつ前記軸線方向にスライド可能に設けられ、
前記側部ヨークを前記摩擦係合板側へ前記軸線方向へ付勢する付勢手段が設けられ、
前記コイルに電流が通電されていないとき、前記側部ヨークは前記付勢手段によって前記摩擦係合板に押し付けられて、当該側部ヨークおよび摩擦係合板が互いに回転一体に摩擦係合し、
前記コイルに所定以上の電流が通電されると、前記側部ヨークと前記周部ヨークとの間に発生する磁力によって、前記側部ヨークが前記付勢手段の付勢力に抗して前記周部ヨーク側にスライドして当該周部ヨークに吸着する、ことを特徴とする回転装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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