説明

回転角検出装置およびその組み付け方法

【課題】吸気弁11の回転角の検出精度を向上する。
【解決手段】電子スロットル1を製造する工程において、信号処理回路22aは、磁気検出素子31の検出信号を補正するための補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを算出するとともに、この算出された補正値関数α、β、ゲイン補正値Gをメモリに記憶する。信号処理回路22aは、電子制御装置40から指令を受けたときに、メモリに記憶された補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを用いて磁気検出素子31の検出信号を補正して補正後の検出信号を算出して電子制御装置40に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角検出装置およびその組み付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン制御用の電子スロットルにおいて、吸気路を備えるスロットルボディと、吸気路の開度を回転により調節する空気量調節弁と、吸気路の開度として空気量調節弁の回転角を検出する回転角センサや吸気路内の空気温度を検出する温度センサを有するセンサアッセンブリとから構成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、空気量調節弁の回転角の検出精度の高精度化が求められている。空気量調節弁の回転角を検出する回転角センサには、接触式(摺動抵抗式)と非接触式(磁気検出方式、電磁誘導方式)等があるが、最近では非接触式がよく用いられており、なかでも磁気検出方式が主流になっている。磁気検出方式の回転角センサは主に磁気検出ICと磁石で構成される。
【0004】
磁気検出方式の検出精度の高精度化には、磁気検出IC自体の精度の他に、磁石と磁気検出ICの位置関係が重要である。このため、上記特許文献1のセンサアッセンブリでは温度センサを収納する収納室を有する突起部を設け、この突起部をスロットルボディの穴に挿入することで磁石に対する回転角センサの位置決めをしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−239560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、センサアッセンブリの突起部をスロットルボディの穴に挿入したときに、突起部とスロットルボディの穴の内壁との間に隙間が生じ、スロットルボディに対してセンサアッセンブリをネジ止めした際に微妙な位置誤差(数十um〜数百um)が生じる可能性がある。ここで、大きな位置誤差(数mm)は調整可能ではあるが、近年の高精度化に対応できるだけの組み付け誤差にまでは低減することは困難である。このため、微妙な位置誤差が原因で磁気検出ICによる回転角の検出精度の低下を招く場合がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、回転角の検出精度を向上するようにした回転角検出装置およびその組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回転体の回転に伴って回転する磁石によって形成される磁界に基づいて前記回転体の回転角度を示す検出信号を出力する主素子を備え、前記主素子は、その中心位置が前記磁石の回転軸と一致するように組み付けられている回転角検出装置であって、
前記主素子の周りに、前記磁石によって形成される磁界に基づいて検出信号をそれぞれ出力する複数の補素子が配置されており、
前記複数の補素子から出力される検出信号に基づいて、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのズレ量を求め、このズレ量に基づいて前記主素子から出力される検出信号を補正する信号処理手段を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、回転角検出用磁気検出素子の中心位置と磁石の回転軸とのズレ量を求め、それにより回転角検出用磁気検出素子から出力される検出信号を補正しているから、回転角検出用磁気検出素子の組み付け誤差による影響を低減し、回転角の検出精度を向上することができる。
【0010】
具体的には、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の回転角検出装置において、前記主素子は、前記複数の補素子のそれぞれの位置を頂点とする多角形における重心に配置してもよい。頂点とは、多角形において2つの辺が交わって角をなす点のことである。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の回転角検出装置において、前記磁石の回転軸をZ軸とし、それに直交しかつ互いに直交する軸をX軸、Y軸とするXYZ座標系において、前記複数の補素子は、前記X軸方向において前記主素子のX座標位置に対し対称となる位置に配置されるとともに、前記Y軸方向において前記主素子のY座標位置に対し対称となる位置に配置されており、
前記信号処理手段は、前記磁石のN極とS極が並ぶ方向と前記X軸とのなす角度が0度のとき、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのX軸方向のズレ量を求め、前記角度が90度のとき、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのY軸方向のズレ量を求めることを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、回転角検出用磁気検出素子の中心位置と磁石の回転軸とのX軸方向およびY軸方向のズレ量を求め、その補正を行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の回転角検出装置において、前記信号処理手段は、前記角度が0度から90度に変化したときに前記主素子から出力される検出信号の最大振幅値に基づいて前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのZ軸方向のズレ量を求めることを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、回転角検出用磁気検出素子の中心位置と磁石の回転軸とのX軸方向およびY軸方向のズレ量に加え、Z軸方向のズレ量を求め、その補正を行うことができる。
【0015】
具体的には、請求項5に記載の発明のように、前記磁石をそのN極とS極とを結ぶ方向が前記回転軸の軸方向に対して直交するように配置してもよい。請求項6に記載の発明のように、前記主素子および前記複数の補素子を、基板に搭載してもよい。請求項7に記載の発明のように、前記基板を正方形に形成し、前記複数の補素子としての4つの補素子を前記基板の四隅に分散して配置してもよい。
請求項8に記載の発明のように、前記基板に、前記信号処理手段を構成する信号処理回路を搭載してもよい。請求項9に記載の発明のように、前記信号処理回路を、前記基板のうち前記主素子および前記複数の補素子が搭載されている一面に配置してもよい。
【0016】
請求項10に記載の発明では、回転体の回転に伴って回転する磁石を有するボディに対し、前記磁石によって形成される磁界に基づいて前記回転体の回転角度を示す検出信号を出力する主素子を備えた回転角検出装置を、前記主素子の中心位置が前記磁石の回転軸と一致するように組み付ける回転角検出装置の組み付け方法であって、
前記回転角検出装置には、前記主素子の周りに、前記磁石によって形成される磁界に基づいて検出信号をそれぞれ出力する複数の補素子が配置されており、
前記回転角検出装置の前記ボディに対する組み付け位置を調整する調整工程を有し、
この調整工程では、前記複数の補素子から出力される検出信号に基づいて、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのズレ量を求め、このズレ量を前記組み付け位置の調整のために出力することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、回転角検出用磁気検出素子の中心位置と磁石の回転軸とのズレ量を求め、このズレ量を組み付け位置の調整のために出力しているから、手動もしくは自動で、回転角検出装置の組み付け位置を調整することができる。
【0018】
なお、この請求項10に記載の発明に対しても、上記した請求項2〜9に記載の発明を同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における電子スロットルの断面構成を示す図である。
【図2】図1中A−A断面図である。
【図3】図1の磁気検出ICの上面図である。
【図4】図1の電子スロットルの電気的構成を示す図である。
【図5】図1のセンサアッセンブリに対する磁石の角度を示す図である。
【図6】図1の電子スロットルの製造工程の順序を示すフローチャートである。
【図7】図3の信号処理回路の信号処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態における磁気検出素子と磁石との配置関係を模式的に示した図である。
【図9】第1実施形態における磁気検出素子と磁石との配置関係を模式的に示した図である。
【図10】本発明の第2実施形態において電気的構成を示す図である。
【図11】第2実施形態において磁気検出IC出力演算装置の信号処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の変形例である電子スロットルの断面構成を示す図である。
【図13】本発明の第1の変形例である磁気検出ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
図1、図2に本発明に係る電子スロットル1の第1実施形態を示す。図1は電子スロットル1の断面図、図2は図1中のA−A断面図である。
【0022】
電子スロットル1は、内燃機関に吸気される空気量を制御するもので、図1および図2に示すように、センサアッセンブリ2およびスロットルボディアッセンブリ3から構成される。
【0023】
スロットルボディアッセンブリ3は、スロットルボディ10、吸気弁(回転体)11、ギア13、13a、13e、保護ケース14、支持部材15、および電動モータ16、磁石17を備える。
【0024】
スロットルボディ10は、図1に示すように、吸気路10A、および軸受け10a、10bを備える。吸気路10Aは、内燃機関に空気を導く通路である。
【0025】
軸受け10aは、スロットルボディ10からその凹部10d内に図示上側に突出するように形成されている。凹部10dは、軸受け10aを中心とする環状に形成されたもので、後述するようにセンサアッセンブリ2に対するスロットルボディ10の位置決めを行うために用いられる。軸受け10bは、スロットルボディ10から図示下側に突出するように形成されている。
【0026】
吸気弁11は、弁本体11cに回転軸11a、11bが取り付けられて構成されている空気量調節弁である。回転軸11a、11bは互いに軸方向が一致するように配置されている。吸気弁11は、その回転軸11a、11bを中心とする回転により、吸気路10A内の開度を調整して内燃機関に吸気される空気量を調整するものである。回転軸11aは、スロットルボディ10の軸受け10aにより回転自在に支持されている。回転軸11bは、スロットルボディ10の軸受け10bにより回転自在に支持されている。
【0027】
支持部材15は、回転軸11aの軸方向一方側(図示上側)に配置されたもので、円形の開口部15aを有する筒状に形成されている。支持部材15は、回転軸11aによりネジ15aにより締結されている。磁石17は、円板状の永久磁石を構成するもので、支持部材15の開口部15aに嵌められている。磁石17は、その中心が回転軸11aの軸心と一致し、かつ回転軸11aの軸方向に対して直交するように配置されている。磁石17を2分割する2つの半円部のうち一方がN極で他方がS極となっている。このことにより、磁石17においてN極とS極とを結ぶ方向が回転軸11aの軸方向に対して直交することになる。磁石17は、後述するように、回転軸11aの回転に伴って回転して吸気弁11の回転角を検出するために用いられる。
【0028】
ギア13は、平歯車を構成するもので、スロットルボディ10の図示下側に配置されている。ギア13は、回転軸11bの軸方向一端側(図示下側)に支持されている。ギア13a、13eは、図2に示すように、平歯車を構成するもので、スロットルボディ10の図示下側に配置されている。ギア13aは、軸13bにより回転自在に支持されている。軸13bは、スロットルボディ10の図示下側に配置されている。ギア13eは、電動モータ16の出力軸13dに支持されている。電動モータ16は、スロットルボディ10の凹部10c内に収納されている。電動モータ16はその回転力をギア13e、13a、13を介して吸気弁11に出力する軸回転用モータである。保護ケース14は、電動モータ16およびギア13、13a、13eを図示下側から覆うように形成されている。保護ケース14は、スロットルボディ10に対してネジ12a、12bにより締結されている。
【0029】
センサアッセンブリ2は、回転角検出装置を構成するもので、図1に示すように、センサケース20、基板21、および磁気検出IC22から構成されている。
【0030】
センサケース20は、スロットルボディ10に対して回転軸11aの軸方向一方側(図示上側)に配置されたものである。
【0031】
センサケース20のうち回転軸11aの軸方向他方側(図示下側)には凸部20aが設けられている。凸部20aは、回転軸11aを中心とする環状に形成されている。凸部20aは、スロットルボディ10の凹部10dのうち支持部材15の外周側に嵌合されている。凸部20aは、スロットルボディ10に対するセンサアッセンブリ2の位置を決める。センサケース20には、回転軸11aの軸方向一方側(図示上側)に開口する凹部23が設けられている。センサケース20のうち回転軸11aの軸方向他方側(図示下側)には、凹部24が設けられている。凹部24には、支持部材15および磁石17が入り込んでいる。このため、磁石17は、凹部24の天井面24aに対向することになる。
【0032】
基板21は、プリント基板であって、センサケース20の凹部23内に配置されて、回転軸11a、11bの軸方向に対して直交するように配置されている。基板21は開口部23内の底部に対してネジ21a、21bにより締結されている。基板21上には、磁気検出IC22以外に、吸気路10A内の空気温度を検出する温度センサ(図示省略)などが搭載されている。磁気検出IC22は、板状に形成されたもので、基板21上に配置されている。磁気検出IC22はそのリード22bにより基板21に対して接続されている。
【0033】
図3は、図1中の磁気検出IC22を図示上側から視た上面図である。
【0034】
磁気検出IC22は、基板30、および磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dを備える。基板30は、正方形に形成されているシリコン基板である。基板30はその上面を回転軸11aの軸方向一方側(図1中上側)に向けて配置されている。基板30はその上面の中心が回転軸11aの軸方向に重なるように配置されている。
【0035】
磁気検出素子31は、基板30の上面のうち中心に搭載されている。すなわち、磁気検出素子31は、吸気弁11の回転中心と重なる位置に配置され、その中心位置と磁石17の回転軸とが一致している。本実施形態の磁気検出素子31は、主素子を構成するもので、後述するように、吸気弁11の回転角検出用の磁気検出素子を構成するもので、磁石17から発生する磁界を検出するホール素子である。
【0036】
磁気検出素子32a、32b、32c、32dは、基板30の上面にて、分散して配置されている。磁気検出素子32a、32b、32c、32dは、重心位置が上面の中心(すなわち、磁気検出素子31の位置)に一致するように配置されている。重心位置は、磁気検出素子32a、32b、32c、32dのそれぞれの位置を頂点(角部)とする四角形の重心の位置である。頂点とは、当該四角形においてその2つの辺が交わって角をなす点である。本実施形態では、磁気検出素子32a、32b、32c、32dは、基板30の上面のうち四隅にそれぞれ分散して配置されている。磁気検出素子32a、32b、32c、32dは、補素子を構成するもので、後述するように、センサアッセンブリ2の組み付け誤差検出用の磁気検出素子を構成するもので、磁石17から発生する磁界を検出するホール素子である。
【0037】
信号処理回路22aは、基板30の上面のうち磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dを除いた領域に実装されている。当該領域は、上面の4辺に向けてそれぞれ突出する略十の字の形状である。
【0038】
また、図1のセンサケース20の凹部15aには樹脂材料50が充填されている。樹脂材料50は、基板21および磁気検出IC22を覆うように配置されている。樹脂材料50は、基板21および磁気検出IC22を水、油、および塵から保護するために設けられている。
【0039】
次に、本実施形態の電子スロットル1の電気的構成について図4を参照して説明する。図4は電子スロットル1の電気的構成を示す図である。以下、磁気検出素子31における位置誤差の無い正規の位置を原点として、回転軸11aの軸方向に対してそれぞれ直交するX軸、Y軸とし、回転軸11aの軸方向をZ軸とするXYZ座標を設定した例にとり説明する。
【0040】
磁気検出素子31は、磁石17から発生する磁界に基づいて磁石17の回転角θを示す検出信号を出力する。回転角θは、センサアッセンブリ2に対する磁石17(すなわち、吸気弁11)の角度を示すもので、X軸を磁石17の初期位置としたときに、図5に示すように、磁石17においてN極とS極とを結ぶ方向Y1とX軸とが成す角度である。本実施形態では回転角θの範囲は、0度から90度の間に設定されている。磁気検出素子31は検出信号としての出力電圧を出力するものであり、磁気検出素子31は、角度θが0度から90度まで変化すると出力電圧が正弦波を描くように設定されている。
【0041】
磁気検出素子32aは、磁石17から発生される磁界に基づいて磁石17からの磁界強度を示す検出信号を出力する。磁気検出素子32b、32c、32dは、磁気検出素子32aと同様、磁石17から発生される磁界に基づいて磁石17からの磁界強度を示す検出信号をそれぞれ出力する。
【0042】
信号処理回路22aは、信号処理手段を構成しており、CPU、メモリ等から構成されている。信号処理回路22aは、電子制御装置40からの指令にしたがって、磁気検出素子32a、32b、32c、32dの検出信号に基づいて、磁気検出素子31の検出信号のうちセンサアッセンブリ2の組み付け誤差分をキャンセルするための補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを算出する。信号処理回路22aは、電子制御装置40からの指令にしたがって、補正値関数α、β、ゲイン補正値Gに基づいて磁気検出素子31の検出信号を補正して補正後の検出信号を出力する。メモリには、補正値関数α、β、およびゲイン補正値Gを算出する為に用いる数式およびグラフ等が記憶されている。なお、数式およびグラフなどの詳細は、後述する。
【0043】
電子制御装置40は、信号処理回路22aに対して、補正値関数α、β、ゲイン補正値Gの算出、磁気検出素子31の検出信号の補正等を指令する以外に、電動モータ16を制御する制御処理を実行する。
【0044】
次に、本実施形態の電子スロットル1の製造工程について図6を参照して説明する。図6は電子スロットル1の製造工程の順序を示すフローチャートである。
【0045】
まず、ステップS50の工程では、スロットルボディ10をダイキャスト等の成型により準備する。これに加えて、吸気弁11として、弁本体11c、および回転軸11a、11bを別々に用意する。次のステップS51の工程では、スロットルボディ10に回転軸11a、11bを取り付け、次のステップS52の工程では、電動モータ(図中軸回転用モータと記す)16、およびギア13、13a、13eをスロットルボディ10に取り付け、その後、次のステップS53の工程では、吸気弁11をスロットルボディ10に取り付ける。次のステップS54の工程では、支持部材15をスロットルボディ10に取り付ける。次のステップS55の工程では、磁石17を支持部材15に取り付ける。その後、ステップS56の工程では、スロットルボディ10にセンサアッセンブリ(図中センサASSYと記す)2を取り付ける。このとき、センサアッセンブリ2のセンサケース20の凸部20aをスロットルボディ10の凹部10dに嵌合することにより、位置決めを行う。その後、ネジ(図示省略)によりセンサケース20をスロットルボディ10に対して締結する。
【0046】
このとき、センサケース20の凸部20aとスロットルボディ10の凹部10dの内壁との間に隙間が生じ、スロットルボディ10に対してセンサアッセンブリ2をネジ止めした際に微妙な位置誤差が生じる。このため、磁石17に対するセンサアッセンブリ2の磁気検出IC22の磁気検出素子31の微妙な位置誤差が生じることになる。当該位置誤差が原因で磁気検出素子31の検出信号に誤差が生じることになる。そこで、次のステップS57の調整工程では、信号処理回路22aは、磁気検出素子31の検出信号を補正するための、補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを求めてメモリに記憶させる。補正値関数α、β、ゲイン補正値Gの算出の詳細について後述する。次のステップS58の工程では、各種の検査を行う。その後、ステップS59の工程で、電子スロットル1を出荷する。
【0047】
次に、本実施形態の補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを求める処理について図7を参照して説明する。図7は、信号処理回路22aにおいて補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを求めるための処理を示すフローチャートである。
【0048】
まず、治具用電子制御装置を電子スロットル1の信号処理回路22aおよび電動モータ16を接続する。
【0049】
まず、ステップS100では、回転角θ=0度のとき、信号処理回路22aが磁気検出素子32a、32b、32c、32dの検出信号を測定する。磁気検出素子32aの検出信号に基づいて磁石17からの磁界強度(以下、磁界強度Kaという)と、磁気検出素子32bの検出信号に基づいて磁石17からの磁界強度(以下、磁界強度Kbという)とを求める。
【0050】
ここで、センサアッセンブリ2の磁気検出IC22の磁気検出素子31が位置誤差のない正規の位置(すなわち、XYZ座標の原点)に配置されているときには、図8に示すように、磁気検出素子32aと磁石17の中心との間の距離と、磁気検出素子32bと磁石17の中心との間の距離とが同じになる。図8は磁気検出素子32a、32bと磁石17との配置関係を模式的に示した図である。この場合、磁界強度Kaと磁界強度Kbとは、同じになる。図8中矢印は磁界を示す
また、図9に示すように、センサアッセンブリ2がX軸方向(図示左右方向)の位置ずれが生じて磁石17のS極に対してセンサアッセンブリ2が近づいた場合には、磁気検出素子32aと磁石17の中心との間の距離は、磁気検出素子32bと磁石17のS極との間の距離よりも短くなる。このため、磁界強度Kaよりも磁界強度Kbの方が大きくなる。このため、磁界強度Kbに対する磁界強度Kaの差分量(=Ka−Kb)がX軸ズレ量を示していることになる。X軸ズレ量は、センサアッセンブリ2の位置誤差におけるX軸方向の成分を示す。
【0051】
信号処理回路22a内のメモリには、差分量(=Ka−Kb)とX軸ズレ量との関係を示すグラフG1(図7参照)が予め記憶されている。すなわち、差分量(=Ka−Kb)とX軸ズレ量との関係が予めマトリックスで規定されている。グラフG1は、差分量(=Ka−Kb)とX軸ズレ量とは1対1で特定されるものであって、差分量(=Ka−Kb)が大きくなるほどX軸ズレ量が大きくなっている。
【0052】
ステップS110では、グラフG1に基づいて差分量(=Ka−Kb)からX軸ズレ量を求める。X軸ズレ量xとして数式1に代入して補正値関数αの算出を行う。補正値関数αは、磁気検出素子31の検出信号においてX軸ズレ量に基づく誤差を補正するための関数である。
【0053】
α=ax2+bx+c・・・数式(1)
このようにして求められた補正値関数αをメモリに記憶させる。
【0054】
ここで、数式1中のa、b、cは、予め決められた数値である。補正値関数αを求めるためには、磁気検出素子32a、32bの検出信号に代えて、磁気検出素子32c、32dの検出信号を用いてもよい。
【0055】
次に、ステップS120では、治具用電子制御装置が電動モータ16を制御する。このとき、電動モータ16はギア13、13a、13eを介して吸気弁11を回転角θが90度になるまで回転させる。このとき、磁石17のN極とS極とが並ぶ方向において磁気検出素子32a、32cがY軸を挟んで並ぶことになる。
【0056】
このため、上記ステップS110と同様、磁気検出素子32aで検出される磁石17からの磁界強度を磁界強度Kaとし、磁気検出素子32cで検出される磁石17からの磁界強度を磁界強度Kcとしたとき、磁界強度Kcに対する磁界強度Kaの差分量(=Ka−Kc)がY軸ズレ量を示すことになる。磁界強度Kaは、磁気検出素子32aの検出信号に基づいて求められるものである。磁界強度Kcは、磁気検出素子32cの検出信号に基づいて求められるものである。
【0057】
信号処理回路22a内のメモリには、差分量(=Ka−Kc)とY軸ズレ量との関係を示すグラフG2(図7参照)が予め記憶されている。すなわち、差分量(=Ka−Kc)とY軸ズレ量との関係がマトリックスで規定されていることになる。グラフG2は、差分量(=Ka−Kc)とY軸ズレ量とは1対1で特定されるものであって、差分量(=Ka−Kc)が大きくなるほどY軸ズレ量が大きくなっている。
【0058】
ステップS130では、グラフG2に基づいて差分量(=Ka−Kc)からY軸ズレ量を求める。Y軸ズレ量をyとして数式2に代入して補正値関数βの算出を行う。補正値関数βは、磁気検出素子31の検出信号においてY軸ズレ量に基づく誤差を補正するための関数である。
【0059】
β=a’y2+b’y+c’・・・数式(2)
このようにして求められた補正値関数βをメモリに記憶させる。ここで、数式2中のa’、b’、c’は、予め決められた数値である。なお、補正値関数βを求めるためには、磁気検出素子32a、32cの検出信号に代えて、磁気検出素子32b、32dの検出信号を用いてもよい。
【0060】
また、上述の如く、電動モータ16を駆動して回転角θが0度から90度になるまで吸気弁11を回転させた際に、信号処理回路22aが磁気検出素子31の検出信号を測定し、この測定した検出信号の最大振幅値を求める。最大振幅値は、Z軸ズレを示す情報である。
【0061】
信号処理回路22a内のメモリには、最大振幅値とZ軸ズレとの関係を示すグラフ(図示省略)が予め記憶されている。すなわち、最大振幅値とZ軸ズレとの関係が予めマトリックスで規定されていることになる。最大振幅値とZ軸ズレとは、1対1で特定されるものであって、最大振幅値が大きくなるほどZ軸ズレが大きくなる関係にある。
【0062】
ステップS140では、最大振幅値とZ軸ズレとの関係を示すグラフと、上述の如く測定した検出信号の最大振幅値とに基づいてZ軸ズレを求める。この求められたZ軸ズレに基づいて、ゲイン補正値Gの算出を行う。ゲイン補正値Gは、磁気検出素子31の検出信号においてZ軸ズレ量に基づく誤差を補正するためのゲインである。Z軸ズレとゲイン補正値Gとは、1対1で特定されるものであって、Z軸ズレが大きくなるほどゲイン補正値Gが小さくなる関係にある。このようにして求められたゲイン補正値Gをメモリに記憶させる。
【0063】
次に、本実施形態の電子スロットル1の作動について説明する。
【0064】
まず、電子制御装置40は、電動モータ16を駆動して吸気弁11の回転角を制御する際、信号処理回路22aに対して磁気検出素子31の補正後の検出信号を出力させるように指令する。すると、信号処理回路22aは、メモリから補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを読み出す。磁気検出素子31の検出信号をAとし、X軸ズレ分を補正した補正後の検出信号をA’とすると、検出信号をAに補正値関数αを加算することにより補正後の検出信号A’を求める(A’=A+α)。
【0065】
次に、信号処理回路22aは、補正後の検出信号A’に対して補正値関数βを加算することによりY軸ズレ分を補正した補正後の検出信号B(=A’+β)を求めることができる。これに加えて、ゲイン補正値Gに補正後の検出信号Bを乗算してZ軸ズレ分を補正した補正後の検出信号C(=G×B)を求めることができる。
【0066】
以上説明した本実施形態によれば、電子スロットル1の製造時の調整工程において、信号処理回路22aは、磁気検出素子31の検出信号を補正するための補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを算出するとともに、この算出された補正値関数α、β、ゲイン補正値Gをメモリに記憶する。信号処理回路22aは、電子制御装置40から指令を受けたときに、メモリに記憶された補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを用いて磁気検出素子31の検出信号を補正して補正後の検出信号を算出して電子制御装置40に出力する。このため、回転角の検出精度を向上することができる。
【0067】
本実施形態では、基板21の上面に回転角検出用の磁気検出素子31を有する磁気検出IC22を搭載している。
【0068】
上記特許文献1では、基板21に対して直交する方向に伸びる支持部材を配置し、その先端部に回転角検出用の磁気検出素子を設けていた。このため、基板21に対する回転角検出用の磁気検出素子の組み付け工程が煩雑になっていた。これに加えて、電子スロットル1の基板21に対する直交方向の体格の大型化を招いていた。
【0069】
これに対して、回転角検出用の磁気検出素子31を有する磁気検出IC22は、上述の如く、基板21の上面に対して搭載されている。このため、磁気検出素子31の組み付けを容易に行うことができる。さらに、基板21に対して直交するように配置された支持部材を用いなくなったので、電子スロットル1の基板21に対する直交方向の体格の大型化を抑制できる。
【0070】
上記特許文献1では、センサアッセンブリにおいて温度センサを収納する収納室を有する突起部を設け、この突起部をスロットルボディの穴に挿入することで磁石に対する回転角センサの位置決めをしている。
【0071】
これに対して、本実施形態では、信号処理回路22aは、上述の如く、補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを用いて磁気検出素子31の検出信号を補正して補正後の検出信号を算出している。このため、センサアッセンブリの突起部とスロットルボディの穴とによる位置決めの精度に関係なく、回転角の検出精度を向上することができる。このため、センサアッセンブリ2において温度センサを収納する収納室を有する突起部を設ける必要がなくなる。
【0072】
本実施形態では、センサケース20の凹部23内に磁気検出IC22が収納されている。センサケース20の凹部24には、磁石17が入り込んで、凹部24の天井面24aに対向する。このため、磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dと磁石17との間の距離を短くすることができる。このため、磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dは、磁石17から発生する磁界を精度良く検出することができる。このため、吸気弁11の回転角θおよび補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを精度良く求めることができる。
【0073】
上記の第1実施形態では、磁気検出素子31の検出信号に対してX軸ズレ分およびY軸ズレ分を補正した後にZ軸ズレ分を補正した例について説明したが、これに代えて、磁気検出素子31の検出信号に対してZ軸ズレ分を補正した後にX軸ズレ分およびY軸ズレ分を補正してもよい。
【0074】
上記の第1実施形態では、信号処理回路22aのメモリに、補正値関数α、β、およびゲイン補正値Gを算出する為に用いる数式およびグラフを記憶した例について説明したが、これに限らず、当該数式およびグラフを電子制御装置のメモリに記憶させるようにしてもよい。当該数式およびグラフを記憶させる電子制御装置として、電子制御装置40を用いてもよく、或いは電子制御装置40以外の他の電子制御装置を用いてよい。
【0075】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、電子スロットル1の製造時の調整工程において、信号処理回路22aは、補正値関数α、β、ゲイン補正値Gを算出してメモリに記憶した例を示したが、本実施形態では、これに代えて、電子スロットル1の製造時の調整工程において、組み付け誤差を表示する。
【0076】
本実施形態の磁気検出IC22の基板30上には、信号処理回路22aが除かれて、磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dが搭載されている。
【0077】
本実施形態では、電子スロットル1の製造時の調整工程が上記第1実施形態の調整工程と異なる。このため、以下、本実施形態の調整工程について説明する。
【0078】
まず、治具として、磁気検出IC出力演算装置42、治具用電子制御装置43、および治具用パソコン41を用意する。その後、図10に示すように、磁気検出IC出力演算装置42と治具用パソコン41とを接続し、磁気検出IC22、磁気検出IC出力演算装置42および治具用電子制御装置43を接続し、治具用電子制御装置43に電動モータ16を接続する。このとき、磁気検出IC出力演算装置42は、磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dから出力されるアナログ信号としての検出信号に基づいて組み付け誤差を求める処理を実施する。以下、当該処理について図11を参照して説明する。
【0079】
図11中のステップ100、120と図7中のステップ100、120とはそれぞれ同一ステップである。
【0080】
まず、ステップS100では、回転角θ=0度のとき、磁気検出素子32a、32bの検出信号を測定する。磁気検出素子32a、32bの検出信号に基づいて磁界強度Ka、Kbを求める。次に、ステップS110aでは、図7のステップS110と同様、差分量(=Ka−Kb)からX軸ズレ量を求める。
【0081】
次のステップS120では、治具用電子制御装置43を介して電動モータ16を制御して、吸気弁11を回転角θが90度になるまで回転させる。このとき、磁気検出素子32a、32cの検出信号を測定する。磁気検出素子32a、32cの検出信号に基づいて磁界強度Ka、Kcを求める。これに伴い、差分量(=Ka−Kc)からY軸ズレ量を求める。これに加えて、上述の如く、治具用電子制御装置43を介して電動モータ16を駆動して回転角θが0度から90度になるまで吸気弁11を回転させた際に、磁気検出素子31の検出信号の最大振幅値を求める。ステップS140aにおいて、この測定した検出信号の最大振幅値に基づいてZ軸ズレ量を算出する。このようにして求められたX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量を治具用パソコン41に出力する。これに伴い、治具用パソコン41は、X軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量をディスプレイに同時に表示させる。このため、作業者は、ディスプレイにおけるX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量の表示を見ながら、センサアッセンブリ2の位置調整を実施することができる。すなわち、作業者は、X軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量のモニタしながら、センサアッセンブリ2の位置調整を実施することができる。
【0082】
以上説明した本実施形態によれば、電子スロットル1の製造時の調整工程において、磁気検出IC出力演算装置42は、磁気検出素子31、32a、32b、32c、32dの検出信号に基づいてX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量を算出してディスプレイに表示させる。このため、作業者に対して磁石17に対するセンサアッセンブリ2の位置調整を補助することができる。これにより、作業者は、センサアッセンブリ2の位置の微調整が可能になる。よって、磁石に対する回転角検出用磁気検出素子の位置を精度良く調整することが可能になる。したがって、上記第1実施形態と同様に、回転角の検出精度を向上することができる。
【0083】
また、本実施形態では、電子スロットル1の製造時の調整工程において、磁気検出IC出力演算装置42は、X軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量を算出する。このため、治具として磁気検出IC出力演算装置42を用いることにより、磁気検出IC出力演算装置42を磁気検出IC22内に設ける必要が無くなる。このため、磁気検出IC22の回路構成を簡素化することができる。
【0084】
上記第2実施形態では、治具用パソコン41は、X軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量をディスプレイに同時に表示させる例を示したが、これに代えて、治具用パソコン41においてX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量のうちいずれか1つを表示し、この表示するズレ量を切り替えるようにしてもよい。
【0085】
上記第2実施形態では、磁気検出IC出力演算装置42がX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量を算出して出力した治具用パソコン41に出力して作業員がセンサアッセンブリ2の位置調整した例を示したが、これに代えて、センサアッセンブリ2の位置調整する自動組み立て装置を用いて、磁気検出IC出力演算装置42がX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量を算出して自動組み立て装置に出力して、自動組み立て装置が磁気検出IC出力演算装置42から出力されるX軸ズレ量、Y軸ズレ量、Z軸ズレ量に基づいて、センサアッセンブリ2の位置調整の制御を実施する。この場合、磁気検出IC出力演算装置42がX軸ズレ量、Y軸ズレ量、およびZ軸ズレ量を自動組み立て装置に出力することにより、自動組み立て装置によるセンサアッセンブリ2の位置調整の制御を補助することができる。よって自動組み立て装置がセンサアッセンブリ2の位置の微調整が可能になる。
【0086】
上記第1、第2実施形態では、基板21上に温度センサを搭載した例を示したが、これに代えて、図12に示すように、センサアッセンブリ2では温度センサ25を収納する収納室を有する突起部24を設け、この突起部24をスロットルボディ10の穴に挿入することで磁石17に対するセンサアッセンブリ2の位置決めをしてもよい。
【0087】
上記第1、第2実施形態では、回転角検出装置として磁気検出IC22(図3参照)を用いた例を示したが、これに限らず、図13に示すように、回転角検出装置として、基板30上に 磁気検出素子32a、32b、32c、32dを搭載してなる磁気検出ユニット22を用いてもよい。
【0088】
上記第1、第2実施形態では、組み付け誤差検出用磁気検出素子として4つの磁気検出素子32a、32b、32c、32dを設けた例を示したが、回転角検出用磁気検出素子31の周りに複数の誤差検出用磁気検出素子が配置されて組み付け誤差を示すズレ量を求めるようになっていればよく、その数も4つに限らず、3つ或いは5つ以上の磁気検出素子を設けてX軸、Y軸、Z軸方向のズレ量を求めるようになっていてもよい。
【0089】
上記第1、第2実施形態では、回転体として吸気弁11を用いた例を示したが、これに代えて、回転体として吸気弁11以外のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 電子スロットル
2 センサアッセンブリ
3 スロットルボディアッセンブリ
10 スロットルボディ
10A 吸気路
11 吸気弁(回転体)
11a、11b 回転軸
13、13a、13e ギア
14 保護ケース
15 支持部材
16 電動モータ
17 磁石
20 センサケース
21 基板(プリント基板)
30 基板(シリコン基板)
22 磁気検出IC
31 回転角検出用磁気検出素子
32a〜32d 誤差検出用磁気検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転に伴って回転する磁石によって形成される磁界に基づいて前記回転体の回転角度を示す検出信号を出力する主素子を備え、前記主素子は、その中心位置が前記磁石の回転軸と一致するように組み付けられている回転角検出装置であって、
前記主素子の周りに、前記磁石によって形成される磁界に基づいて検出信号をそれぞれ出力する複数の補素子が配置されており、
前記複数の補素子から出力される検出信号に基づいて、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのズレ量を求め、このズレ量に基づいて前記主素子から出力される検出信号を補正する信号処理手段を備えることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項2】
前記主素子は、前記複数の補素子のそれぞれの位置を頂点とする多角形における重心に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転角検出装置。
【請求項3】
前記磁石の回転軸をZ軸とし、それに直交しかつ互いに直交する軸をX軸、Y軸とするXYZ座標系において、前記複数の補素子は、前記X軸方向において前記主素子のX座標位置に対し対称となる位置に配置されるとともに、前記Y軸方向において前記主素子のY座標位置に対し対称となる位置に配置されており、
前記信号処理手段は、前記磁石のN極とS極が並ぶ方向と前記X軸とのなす角度が0度のとき、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのX軸方向のズレ量を求め、前記角度が90度のとき、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのY軸方向のズレ量を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の回転角検出装置。
【請求項4】
前記信号処理手段は、前記角度が0度から90度に変化したときに前記主素子から出力される検出信号の最大振幅値に基づいて前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのZ軸方向のズレ量を求めることを特徴とする請求項3に記載の回転角検出装置。
【請求項5】
前記磁石はそのN極とS極とを結ぶ方向が前記回転軸の軸方向に対して直交するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の回転角検出装置。
【請求項6】
前記主素子および前記複数の補素子は、基板に搭載されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の回転角検出装置。
【請求項7】
前記基板は、正方形に形成されており、
前記複数の補素子としての4つの補素子が前記基板の四隅に分散して配置されていることを特徴とする請求項6に記載の回転角検出装置。
【請求項8】
前記基板には、前記信号処理手段を構成する信号処理回路が搭載されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転角検出装置。
【請求項9】
前記信号処理回路は、前記基板のうち前記主素子および前記複数の補素子が搭載されている一面に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の回転角検出装置。
【請求項10】
回転体の回転に伴って回転する磁石を有するボディに対し、前記磁石によって形成される磁界に基づいて前記回転体の回転角度を示す検出信号を出力する主素子を備えた回転角検出装置を、前記主素子の中心位置が前記磁石の回転軸と一致するように組み付ける回転角検出装置の組み付け方法であって、
前記回転角検出装置には、前記主素子の周りに、前記磁石によって形成される磁界に基づいて検出信号をそれぞれ出力する複数の補素子が配置されており、
前記回転角検出装置の前記ボディに対する組み付け位置を調整する調整工程を有し、
この調整工程では、前記複数の補素子から出力される検出信号に基づいて、前記主素子の中心位置と前記磁石の回転軸とのズレ量を求め、このズレ量を前記組み付け位置の調整のために出力することを特徴とする回転角検出装置の組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−52960(P2012−52960A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196922(P2010−196922)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】