説明

回転軸用測定器

【課題】回転軸に対する脱着を容易に行い得ると共にひずみゲージセンサを、回転軸の回転時にも適切な圧力で回転軸の外周面に圧接させることができ回転軸用測定器を提供する。
【解決手段】回転軸Xの被測定部位Xaを間に介在させて互いに締結される一対の半体2a,2bのそれぞれには被測定部位Xaの外周面に接触する円弧面10aを有する弧状部材10が設けられる。ひずみゲージセンサ4を薄肉板状の弾性部材18を介して固着したセンサ保持部5が、回転軸Xの回転時に発生する遠心力によらずに、ひずみゲージセンサ10が所定の圧力で被測定部位Xaの外周面に圧接されるように、係止機構6により半体2a,2bに係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する回転軸に発生するトルク、ひずみ、あるいは応力を測定する回転軸用測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば駆動軸から被動軸に伝達されるトルクを測定しようとする場合には、これらの駆動軸と被動軸との間に、特許文献1に見られる如きトルク変化器(起歪体を有するトルク変換器)を介装することで、該トルクを測定することが可能である。
【0003】
しかるに、製品車両の車輪に連結されている車軸などのように、トルク変換器を装着し得る構造となっていない回転軸に発生するトルクや、ひずみ、応力(以下、これらのトルク、ひずみ、応力を総称的に測定対象ということがある)を、性能検査を目的として測定しようとする場合には、前記特許文献1に見られる如きトルク変換器を使用して上記測定対象を測定することはできない。このため、このような場合には、例えば、測定対象に応じた検出信号を生成するひずみゲージセンサを回転軸の外周面に貼着し、このひずみゲージセンサの検出信号に基づいて、測定対象を計測することが、一般に行われる。
【0004】
しかしながら、前記ひずみゲージセンサは、性能検査の目的以外では、製品としての車軸などの回転軸にとって本来不要なものであるため、該ひずみゲージセンサを該回転軸に貼着することは好ましくない。また、測定後に、該ひずみゲージセンサを回転軸から取り剥がす作業に手間がかかると共に、その作業時に回転軸を傷つけてしまう恐れもある。
【0005】
一方、軸状部材に発生する前記測定対象を測定し得る測定器としては、例えば特許文献2に見られる如き測定器(着脱式センサ)が知られている。
【0006】
この測定器は、2つの半円弧状の半リング部材と、これらの半リング部材の内周部にゴムブロックを介して取り付けられたひずみゲージセンサとを備え、上記2つの半リング部材の間に軸状部材を介在させた状態で、これらの半リング部材を締結することによって、該半リング部材が軸状部材に固定されると共に、ひずみゲージが軸状部材の外周面に圧接されるようになっている。そして、上記のように軸状部材の外周面に圧接させたひずみゲージセンサにより生成される検出信号によって、測定対象を測定することが可能となっている。
【0007】
このような構造の測定器は、半リング部材の締結を解除することで、該半リング部材と共に、ひずみゲージセンサを軸状部材から容易に取り外すことが可能である。
【0008】
従って、車軸などの回転軸に発生する前記測定対象を測定する場合に、特許文献2に見られる如き測定器を使用することが考えられる。
【特許文献1】特開2007−327890号公報
【特許文献2】特許第413325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に見られる如き測定器は、比較的高速で回転するような回転軸に発生する測定対象を測定するために使用すると、次のような不都合を生じるものとなっていた。
【0010】
すなわち、特許文献2に見られる測定器では、ひずみゲージセンサは、比較的厚いゴムブロックを介して半リング部材に固定されている。このため、該測定器を回転軸に装着した状態で、該回転軸が比較的高速で回転すると、ひずみゲージセンサやゴムブロックに作用する遠心力によって、ゴムブロックが回転軸の径方向に圧縮される。また、回転軸の振動などによっても、ゴムブロックの弾性変形が生じやすい。そのため、回転軸の外周面に対するひずみゲージセンサの圧接力が、該回転軸の回転中に変動しやすい。ひいては、ひずみゲージセンサの感度変化が生じて、回転軸の回転速度によらずに測定対象を精度よく測定することが困難となっていた。
【0011】
また、特許文献2に見られる測定器では、前記半リング部材の内周面の径(内径)は軸部材の外径よりも若干大きい径とされ、2つの半リング部材の各端部同士の間に、スペーサを介在させることによって、これらの半リング部材の間隔が、軸部材の外径に適した所定の間隔になるようにしている。このため、このような測定器を回転軸に装着した場合、半リング部材の内周面と回転軸の外周面との間に隙間を有する箇所が多くなる。その結果、回転軸が高速回転している時に、回転軸に対する半リング部材の、径方向への微小な位置ずれが発生しやすく、このことにも起因して、ひずみゲージセンサの回転軸の外周面への圧接力が変動しやすいという不都合があった。
【0012】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、回転軸に対する脱着を容易に行い得ると共に、ひずみゲージセンサを、回転軸の回転時にも適切な圧力で回転軸の外周面に圧接させることができ、回転軸に発生するトルクや、ひずみ、応力を精度よく行うことができる回転軸用測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の回転軸用測定器は、かかる目的を達成するために、回転軸に発生するトルク、ひずみ及び応力のうちのいずれかを測定対象とする回転軸用測定器であって、
一対の半体を有し、該一対の半体の間に前記回転軸の被測定部位を介在させて該一対の半体を互いに締結することにより前記回転軸と一体に回転し得るように前記被測定部位に装着され、且つ該一対の半体の締結を解除して該一対の半体を分離させることにより前記被測定部位から取り外し可能な外装部材と、前記外装部材を前記被測定部位に装着した状態で該被測定部位の外周面に接触し、且つその接触箇所が該被測定部位の周方向に延在する円弧面を有し、その接触により該被測定部位に対する前記外装部材の径方向への相対移動を不能とするように前記外装部材の一対の半体にそれぞれ設けられた弧状部材と、前記測定対象に応じた検出出力を生成するひずみゲージセンサが薄肉板状の弾性部材を介して固着されており、前記外装部材を前記被測定部位に装着した状態で該被測定部位の外周面に前記ひずみゲージセンサが対面し、且つ、該ひずみゲージセンサと共に該被測定部位の径方向に移動し得るように前記一対の半体のうちの少なくとも一方に組み付けられたセンサ保持部材と、前記被測定部位の径方向での前記センサ保持部材の位置を、前記回転軸の回転時に発生する遠心力によらずに、前記ひずみゲージセンサが所定の圧力で該被測定部位の外周面に圧接される所定の位置に保つように該センサ保持部材を前記外装部材に対して係止する係止機構とを備えたことを特徴とするものである(第1発明)。
【0014】
かかる第1発明によれば、前記一対の半体の間に前記回転軸の被測定部位を介在させて該一対の半体を互いに締結し、該一対の半体から成る外装部材を該被測定部位に装着したとき、前記各半体に設けられた弧状部材の円弧面が該被測定部位の外周面に接触し、且つその接触箇所が該被測定部位の周方向に延在するので、被測定部位に対する前記外装部材の径方向への相対移動が不能となる。従って、被測定部位に対する前記外装部材の径方向の位置が固定的に定まる。
【0015】
そして、第1発明では、回転軸の被測定部位に対する外装部材の装着とは別に、前記係止機構により、前記センサ保持部材を外装部材に係止することによって、前記ひずみゲージセンサを固着した前記センサ保持部材の位置(被測定部位の径方向での位置)が、前記回転軸の回転時に発生する遠心力によらずに、前記ひずみゲージセンサを所定の圧力で該被測定部位の外周面に圧接させる所定の位置に保たれる。なお、この場合、前記ひずみゲージセンサは、前記弾性部材を介してセンサ保持部材に固着されているものの、該弾性部材は、薄肉板状のものであるため、前記回転軸の回転中においてひずみゲージセンサや該弾性部材に作用する遠心力に起因する弾性部材の変形は十分に微小なものとする(前記被測定部位の外周面に対するひずみゲージセンサの圧接力を実質的に変化させるような弾性部材の変形が生じないようにする)ことができる。
【0016】
従って、第1発明の回転軸用測定器によれば、回転軸の回転中においても、該回転軸の被測定部位に対する外装部材の位置を強固に一定に保ちつつ、前記ひずみゲージセンサを被測定部位の外周面に適切な所定の圧力を保って圧接させることがことが可能となる。ひいては、該ひずみゲージセンサにより生成される検出信号に基づいて、回転軸に発生するトルクや、ひずみ、応力を精度よく行うことができる。
【0017】
また、第1発明の回転軸用測定器によれば、前記一対の半体同士の締結を解除することによって、前記外装部材を前記センサ保持部材等と合わせて、回転軸の被測定部位から取り外すことができるので、第1発明の回転軸用測定器の、回転軸に対する脱着を容易に行うことができる。
【0018】
かかる第1発明では、前記弧状部材は、前記円弧面の径が互いに相違する複数種類の弧状部材に交換し得るように、前記一対の半体のそれぞれに着脱自在に取り付けられており、前記係止機構は、前記弧状部材の円弧面の各種類の径にそれぞれ対応する複数種類の前記所定の位置で前記センサ保持部材を前記外装部材に対して係止可能に構成されていることが好ましい(第2発明)。
【0019】
この第2発明によれば、前記複数種類の弧状部材の中から、回転軸の被測定部位の外径と同一径の円弧面を有する弧状部材を選択して、該弧状部材を前記一対の半体のそれぞれに取り付けるようにすることができる。これにより、被測定部位の外径が異なる複数種類の回転軸のそれぞれに対して、前記第1発明に関して説明した如く、前記外装部材を装着することが可能となる。そして、前記係止機構は、前記弧状部材の円弧面の各種類の径にそれぞれ対応する複数種類の前記所定の位置で前記センサ保持部材を前記外装部材に対して係止可能に構成されているので、各種類の回転軸の被測定部位に対して、前記ひずみゲージセンサを好適な圧力で、該被測定部位の外周面に圧接させることができる。
【0020】
従って、第2発明によれば、種々様々な外径の被測定部位を有する回転軸について、該回転軸に発生するトルクや、ひずみ、応力を精度よく測定することが可能となる。
【0021】
上記第2発明では、前記センサ保持部材及び係止機構は、より具体的には、例えば次のように構成される。すなわち、前記センサ保持部材は、該センサ保持部材を組み付ける前記半体に、前記被測定部位の径方向に穿設された貫通穴に挿入され、該貫通穴から前記被測定部位側に突出する先端面に前記ひずみゲージセンサが前記弾性部材を介して固着された第1部材と、前記貫通穴から前記被測定部位と反対側に突出する該第1部材の端部に該第1部材と一体に設けられ、前記貫通穴の周縁で前記半体の外面に当接可能に形成された第2部材とを有し、前記係止機構は、前記センサ保持部材の第2部材と前記半体の外面との間に取り外し可能に介装されるスペーサ部材と、該第2部材を、前記スペーサ部材を介して前記半体の外面に押し当てるように該半体に締結し、その締結により前記センサ保持部材を前記半体に対して係止させるネジ部材とから構成される。そして、前記スペーサ部材は、前記弧状部材の円弧面の各種類の径にそれぞれ対応する互いに異なる厚さを有する複数種類のスペーサ部材に交換可能とされる(第3発明)。
【0022】
かかる第3発明によれば、前記センサ保持部材及び係止機構が上記の如く構成されているので、前記センサ保持部材の第2部材と前記半体の外面との間にスペーサ部材を介在させた状態で、該第2部材を、前記ネジ部材によって、該スペーサ部材を介して前記半体の外面に押し当てるように該半体に締結することによって、前記センサ保持部材が前記半体に対して係止される。このとき、回転軸の被測定部位に対するセンサ保持部材の第1部材の先端面の位置(被測定部位の径方向での位置)は、前記スペーサ部材の厚さに依存するものとなるので、該回転軸の被測定部位の外周面に対する前記ひずみゲージセンサの圧接力も前記スペーサ部材の厚さに依存するものとなる。従って、前記弧状部材の円弧面の径に対応する(ひいては、被測定部位の外径に対応する)厚さを有するスペーサ部材を使用することによって、被測定部位の外径によらずに、前記ひずみゲージセンサを、適切な圧力で被測定部位の外周面に圧接させることができることとなる。
【0023】
また、第3発明によれば、前記係止機構をネジ部材とスペーサ部材とを使用した極めて簡単な構造とすることができるので、簡素な構造の回転軸用測定器を安価に提供できる。
【0024】
前記第1〜第3発明では、前記一対の半体のいずれか一方には、前記ひずみゲージセンサの検出信号から生成されたデータをアンテナを介して外部に無線送信する送信機が搭載されていることが好ましい。このようにすることによって、回転軸にスリップリングを別途装着したりすることなく、上記データを回転軸用測定器から外部に転送することができる。
【0025】
そして、この場合には、前記一対の半体のそれぞれの一端部に、前記アンテナを巻回するための一対のアンテナ巻回用部材が装着され、前記一対のアンテナ巻回用部材のそれぞれの外周面に、前記外装部材を前記被測定部位に装着した状態で前記被測定部の周囲で環状に連なる凹状溝を形成されていることが好ましい(第4発明)。
【0026】
この第4発明によれば、前記凹状溝に線状のアンテナを収容するようにして、前記一対のアンテナ巻回用部材の全体の外周に該アンテナを巻回させることができるので、その巻回作業を容易に行うことが可能となる。
【0027】
また、前記第1〜第4発明では、前記ひずみゲージセンサは、一般に、抵抗値変化を生じる受感部と、該受感度の端部に導通させるリード線を半田付けにより結線するための結線部とを備えている。この場合、該結線部は、前記被測定部位の周方向における前記受感部の幅内の領域から該周方向で逸脱する位置に配置されていることが好ましい(第5発明)。
【0028】
この第5発明によれば、前記ひずみゲージセンサが回転軸の被測定部位の外周面に圧接される際に、前記ひずみゲージセンサの受感度部の箇所を、前記結線部に固着されている半田の影響を受けることなく、被測定部位の外周面に滑らかに沿わせるようにして、該外周面に均一的に圧接させることができる。この結果、回転軸の被測定部位に発生する前記測定対象に対するひずみゲージセンサの感度のばらつきを抑制し、該測定対象の測定精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の一実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は本実施形態の回転軸用測定器を回転軸に装着した状態で概略的に示す斜視図、図2は該回転軸用測定器の側面図、図3は該回転軸用測定器を図2の矢印Aの方向で見た図、図4は図3のB−B線断面図、図5は図2のC−C線断面図、図6は該回転軸用測定器に備えたひずみゲージセンサを図5の矢印Dの方向で見た図である。
【0030】
図1を参照して、本実施形態の回転軸用測定器1は、例えば、車両(図示省略)の走行中に該車両の車輪Wに連結された車軸Xに発生するトルクを測定対象とするものであり、図示の如く該車軸Xの被測定部位Xaの外周面を覆うようにして、該被測定部位Xaに装着される。本実施形態では、上記車軸Xが本発明における回転軸に相当する。
【0031】
図2〜図6を参照して、この回転軸用測定器1は、一対の半体2a,2bから構成される外装部材3と、ひずみゲージセンサ4がそれぞれ固着されている2つのセンサ保持部材5,5と、これらのセンサ保持部材5,5をそれぞれ半体2a,2bに対して係止させる係止機構6,6とを備える。なお、係止機構6,6のうちの一方は、センサ保持部材5,5の一方を半体2aに対して係止させるものであり、係止機構6,6の他方は、センサ保持部材5,5の他方を半体2bに対して係止させるものである。
【0032】
外装部材3は、それを構成する一対の半体2a,2bの間に車軸Xの被測定部Xaを介在させた状態で、該被測定部位Xaの外周面をその周方向に2分割してなる2つの半円周面の一方を半体2aにより覆い、且つ他方を半体2bにより覆うようにして、該被測定部位Xaに装着されるものである。以降、半体2a,2bの間に車軸Xの被測定部Xaを介在させた状態を、「装着時状態」という。また、以降の説明では、特にことわらない限り、「周方向」は、上記装着時状態を想定した場合における被測定部位Xaの軸心周り方向を意味し、「径方向」は、上記装着時状態を想定した場合における被測定部位Xaの直径方向を意味し、「軸心方向」は、上記装着時状態を想定した場合における被測定部位Xaの軸心方向を意味するものとする。
【0033】
本実施形態では、半体2a,2bのそれぞれは、大略半円周面の形状の外周面形状を有し、上記装着時状態において、両半体2a,2bを合わせた外装部材3の全体の外周面形状が大略円柱外周面の形状となる。なお、半体2a,2bは、高剛性の金属部材(剛体状の部材)である。補足すると、半体2a,2bは金属部材に限らず、セラミックスや、複合材料(FRP等)により構成してもよい。
【0034】
これらの半体2a,2bは、それぞれの周方向の一端部(図3の左側端部)が、軸心方向と平行に延在する支軸7aを有するヒンジ機構7を介して互いに連結され、半体2a,2bのうちの一方が他方に対して前記支軸7aの周りに回転可能となっている。この回転によって、図3の実線で示す半体2a,2bにより表される前記装着時状態から、半体2a,2bの一方を他方に対して分離させることが可能となっている。図3の実線で示す半体2aと二点鎖線で示す半体2bとにより表される状態が、半体2a,2bのうちの一方を他方に対して前記支軸7aの周りに回転させて、両半体2a,2bを分離させた状態を示している。以降、この状態を、「分離状態」という。
【0035】
また、前記装着時状態では、半体2a,2bの周方向の他端部(ヒンジ機構7と反対側の端部)が互いに間隙を存して対向するようになっている。そして、これらの半体2a,2bの他端部寄りの部位には、該半体2a,2bの他端部同士を結合させるためのネジ部材9を締め付けるネジ締め部9が、図2に示す如く設けられている。本実施形態では、各半体2a,2b毎に、2つのネジ締め部9,9が軸心方向に間隔を存して設けられている。この場合、半体2aのネジ締め部9,9のそれぞれは、前記装着時状態にて半体2bのネジ締め部9,9のそれぞれに対向する。そして、互いに対向する各組のネジ締め部9,9(半体2a側のネジ締め部9及び半体2b側のネジ締め分9)において、ネジ部材9を半体2a,2bの他端部同士の間の間隔方向に締め付けることにより、該ネジ部材9を介して半体2a,2bの他端部同士が結合される(両半体2a,2bが互いに締結される)ようになっている。
【0036】
図4及び図5を参照して、半体2a,2bのそれぞれの内面部(前記装着時状態で被測定部位Xaの外周面に臨む面部)には、弧状部材10が取り付けられている。本実施形態では、各半体2a,2b毎に、2つの弧状部材10,10が軸心方向に間隔を存して各半体2a,2bに取り付けられている。この場合、半体2a側の弧状部材10,10のそれぞれと、半体2b側の弧状部材10,10のそれぞれとが前記装着時状態にて対向するようになっている。
【0037】
各弧状部材10は、前記装着時状態にて車軸Xの被測定部位Xaの外周面に接触させる一定径の円弧面10aが形成された高剛性の金属部材(剛体状の部材)であり、周方向に延在して各半体2a,2bの内面部に取り付けられている。この場合、各弧状部材10は、図示しないネジにより各半体2a,2bの内面部に着脱可能に固定されており、該ネジを外すことにより、各弧状部材10を各半体2a,2bから取り外すことが可能となっている。なお、各弧状部材10は、その円弧面10aが、各半体2aの内面部のうちの、各弧状部材10の取り付け箇所以外の箇所よりも径方向内方に突出するように各半体2a,2bに組み付けられている。また、弧状部材10は、半体2a,2bと同様に、金属部材に限らず、セラミックスや、複合材料(FRP等)により構成してもよい。
【0038】
そして、本実施形態では、円弧面10aの径が互いに異なる複数種類の弧状部材10があらかじめ用意されており、外装部材3を装着しようとする車軸Xの被測定部位Xaの外径と同一径の円弧面10aを有する弧状部材10が各半体2a,2bに取り付けられている。
【0039】
ここで、以上説明した弧状部材10を各半体2a,2bに備えた外装部材3は、次のようにして車軸Xの被測定部位Xaに装着することができる。すなわち、前記分離状態にて、半体2a,2bのうちの一方側、例えば半体2b側の2つの弧状部材10,10の円弧面10a,10aを被測定部位Xaの外周面に沿わせるように接触させる。そして、この状態で、半体2a,2bのうちの他方の半体としての半体2aを前記ヒンジ機構7の支軸7aの周りに回転させることによって、半体2aを半体2bに対向させると共に、該半体2a側の2つの弧状部材10,10の円弧面10a,10aを被測定部位Xaの外周面に沿わせるように接触させる。この時、半体2a側の弧状部材10,10の一方とこれに対向する半体2b側の弧状部材10との間、並びに、半体2a側の弧状部材10,10の他方とこれに対向する半体2b側の弧状部材10との間に挟持されるようにして車軸Xの被測定部位Xaが両半体2a,2bの間に介在することとなり、これにより、前記装着時状態が実現される。この場合、各弧状部材10の円弧面10aは、被測定部位Xaの外径と同一であるので、該円弧面10aは、そのほぼ全面が被測定部位Xaとの接触面となる。なお、この装着時状態では、各弧状部材10の円弧面10aを除いて、半体2a,2bの内面部は、被測定部位Xaの外周面には接触しない。
【0040】
そして、この装着時状態において、前記ネジ締め部9での前記したネジ締めを行うことにより、各弧状部材10が被測定部位Xaの外周面に強固に圧接され、これにより、外装部材3が車軸Xと一体に回転し得るように被測定部位Xaに装着される。この場合、被測定部位Xaに接触する各弧状部材10は高剛性の金属部材であるので、被測定部位Xaに対する外装部材3の径方向への相対移動が不能となる。従って、被測定部位Xaに対する外装部材3の各部の位置が、該被測定部位Xaに対して固定的な一定の位置に規定されることとなる。
【0041】
なお、ネジ締め部9のネジ部材9を外して、半体2a,2bを分離させることにより、上記と逆に外装部材3を車軸Xの被測定部位Xaから取り外すことが可能となる。
【0042】
図4に示すように、各半体2a,2bの内面部には、軸心方向に間隔を存する2つの弧状部材10,10の間の箇所に、径方向外方に向かって凹んだ凹部11が形成されている。そして、半体2aの凹部11と半体2bの凹部11とのうちの一方、例えば半体2aの凹部11には、送信機12aや、種々の回路部品12bを搭載した回路ユニット12が収容されると共に該半体2aに固定されている。また、他方の凹部としての半体2bの凹部11には、上記送信機12aや回路部品12b等の電源としての電池13が収容されると共に該半体2bに固定されている。該電池13は、図示しない配線を介して回路ユニット12に接続される。この場合、その配線は、例えば各半体2a,2bに穿設された孔31等を介して行われる。
【0043】
なお、上記送信機12aは、詳細を後述するひずみゲージセンサ4により生成される検出信号(回転軸Xの被測定部位Xaに発生するトルクの検出信号)から生成されるデータ(例えば該検出信号の電圧レベルをデジタル化したデータや、該検出信号をトルク測定値に変換してなるデジタルデータ等)を、該送信機12aに接続された線状のアンテナ25を介して外部に無線送信するものである。また、回路部品12bは、ひずみゲージセンサ4より生成される検出信号を増幅する増幅器や、A/D変換器、演算回路等により構成され、上記送信機12aにより送信するデータを生成するものである。
【0044】
補足すると、凹部10の容積を比較的大きくとることができるような場合には、半体2a,2bのいずれか一方の凹部10に回路ユニット12と電池13とを収容するようにしてもよい。
【0045】
図4及び図5を参照して、半体2a,2bのそれぞれの一端部(図4の右側端部)の外周部には、軸心方向と平行な平坦面14が形成されている。この場合、半体2aの平坦面14と半体2bの平坦面14とは、前記装着時状態にて互いに平行になるように設けられている。そして、各半体2a,2bの平坦面14の箇所には、径方向に貫通する貫通穴15が穿設され、各半体2a,2bの貫通穴15の箇所に、前記センサ保持部材5及び係止機構6が一組ずつ配置されている。
【0046】
各センサ保持部材5は、各半体2a,2bの貫通穴15の両端(被測定部位Xa側の一端及び平坦面14側の他端)から突出するようにして該貫通穴15に挿入された第1部材16と平坦面14に沿って貫通穴15の径方向に延在する第2部材17とから構成されるものであり、第1部材16の、貫通穴15から平坦面14側に突出した端部に第2部材17が一体に設けられている。この場合、各センサ保持部材5を、詳細を後述する係止機構6により係止していない状態では、該センサ保持部材5は、径方向に移動可能である。また、第2部材17は、貫通穴15の径よりも長いものとされ、その両端部が平坦面14に当接可能となっている。そして、第1部材16の、貫通穴15から被測定部位Xa側に突出する先端面に薄肉板状の弾性部材18を介してひずみゲージセンサ4が固着されている。該弾性部材18は例えばゴム部材であり、その厚さは1mm程度である。
【0047】
各センサ保持部材5に固着されたひずみゲージセンサ4は、本実施形態では、図6に示すように、ひずみに応じた抵抗値変化を生じる2つの受感部4a,4aを有するものであり、それぞれの受感部4aの両端部にそれぞれ導通する結線部4b,4bに、それぞれリード線19,19が半田付けにより結線されている。この場合、ひずみゲージセンサ4は、図6の紙面での縦方向(上下方向)が軸心方向となり、且つ横方向(左右方向)が周方向になるようにして、各センサ保持部材5の第1部材16の先端面に弾性部材18を介して固着されている。そして、2つの受感部4a,4aの、周方向でのトータルの幅W内の領域から、該周方向で逸脱した位置で各結線部4bが配置されている。
【0048】
補足すると、半体2a側のひずみゲージセンサ4の2つの受感部4a,4aと、半体2b側のひずみゲージセンサ4の2つの受感部4a,4aとは、これらの4個の受感部4aをそれぞれ各辺に有するホイートストンブリッジ回路(図示省略)を構成するように上記リード線19を介して相互に接続される。本実施形態では、このように構成されるホイートストンブリッジ回路に前記電池13から電源電圧を印加した状態で、該ホイートストンブリッジ回路から、被測定部位Xaに発生するトルクに応じた検出信号が前記回路ユニット12に出力されるようになっている。なお、半体2a側のひずみゲージセンサ4の2つの受感部4a,4aと、半体2b側のひずみゲージセンサ4の2つの受感部4a,4aとの相互接続や、回路ユニット12との接続の配線は、例えば各半体2a,2bに穿設された前記孔31等を介して行われる。
【0049】
各係止機構6は、本実施形態では、センサ保持部材5の第2部材17を半体2a,2bのそれぞれの平坦面14の箇所にネジ締めするための2つのネジ部材20,20と、第2部材17と平坦面14との間に介装される2つのスペーサ部材21,21とを備える。各スペーサ部材21は、本実施形態では、一定の厚みを有するワッシャであり、各ネジ部材20を挿通可能である。なお、2つのスペーサ部材21,21を一体化してもよい。また、スペーサ部材21は、各ネジ部材20を挿通可能なものでなくてもよい。
【0050】
かかる係止機構6によって、各センサ保持部材5は次のようにして、各半体2a,2bに係止される。
【0051】
すなわち、半体2a側について代表的に説明すると、半体2aの貫通穴15に第1部材16を挿入したセンサ保持部材5の第2部材17と、該半体2aの平坦面14との間の、第2部材17の両端部寄りの箇所にスペーサ部材21,21を介装する。そして、この状態で、図5に示す如く、第2部材17のスペーサ部材21,21と反対側の面から、2つのネジ部材20,20を、それぞれ第2部材17のネジ穴とスペーサ部材21とを通して半体2aのネジ穴にネジ締めする。これにより、センサ保持部材5の第2部材17がスペーサ部材21,21を介して半体2aの平坦面14に押し当てられるように、該半体2aに締結される(センサ保持部材5が半体2aに組みつけられる)。この締結状態では、センサ保持部材5は、第2部材17と平坦面14との間にスペーサ部材21の厚み分の間隔を存する位置で係止される。これにより、半体2aに対するセンサ保持部材5の径方向の位置が定まるようになっている。半体2b側の係止機構6によってセンサ保持部材5を半体2に係止させる場合も同様である。
【0052】
ここで、本実施形態では、前記各半体2a,2bに取り付け可能な各種類の弧状部材10のそれぞれに対応する、互いに異なる厚さを有する複数種類のスペーサ部材21があらかじめ用意されている。そして、各係止機構6によりセンサ保持部材5を各半体2a,2bに係止する時、各半体2a,2bに組み付けた弧状部材10に対応する厚さを有するスペーサ部材21を使用するようにしている。
【0053】
この場合、例えば半体2a側にあっては、前記装着時状態、すなわち、各弧状部材10の円弧面10aが車軸Xの被測定部位Xaの外周面に接触した状態で、上記の如く係止機構6によって、センサ保持部材5を半体2aに係止させた時、該センサ保持部材5の第1部材16とひずみゲージセンサ4との間の弾性部材18が弾性変形しつつ、該ひずみゲージセンサ4が被測定部位Xaの外周面に沿うようにして該外周面に所定の圧力で圧接された状態になるように、係止機構6のスペーサ部材21(半体2aに取り付けられている弧状部材10に対応するスペーサ部材21)の厚さがあらかじめ設定されている。半体2b側についても同様である。
【0054】
この場合、上記所定の圧力は、各ひずみゲージセンサ4の各受感部4aが、被測定部位Xaに発生するトルクに対して最適な感度を有するような圧力に設定されている。そして、前記弾性部材18は、1mm程度の薄肉なものであるため、ひずみゲージセンサ4が被測定部位Xaの外周面に、上記所定の圧力で圧接された状態では、該弾性部材18は、車軸Xの回転時に遠心力などが作用しても、さらなる弾性変形がほとんど生じないものとなっている。
【0055】
図2及び図4を参照して、前記半体2a,2bの前記平坦面14と反対側の端部のそれぞれには前記送信機12から導出された線状のアンテナ25を巻回するための一対のアンテナ巻回用部材26a,26bが各々装着されている。これらのアンテナ巻回用部材26a,26bは半円環状の部材であり、前記装着時状態において、両アンテナ巻回用部材26a,26bを合わせて概ね円環状になるように、半体2a,2bのそれぞれに固定されている。なお、前記装着時状態において、アンテナ巻回用部材26aの周方向の各端部と、アンテナ巻回用部材26bの周方向の各端部との間には、間隙が形成されるようになっている。
【0056】
そして、半体2a,2bが互いに締結されていない状態では、半体2aに装着されたアンテナ巻回用部材26aは、半体2b及びこれに装着されたアンテナ巻回用部材26bに対して、前記ヒンジ機構7の支軸7aの周りに半体2aと一体に回転可能である。
【0057】
なお、各アンテナ巻回用部材26aは、比較的誘電率の低い樹脂材(例えばPPS、PEEK、PET、PEN等)により構成されている。
【0058】
これらのアンテナ巻回用部材26a,26bのそれぞれの外周面には、前記装着時状態において被測定部位Xaの周囲で周方向に延在する凹状溝27が形成されている。これらの凹状溝27は、前記装着時状態にて円環状に連なるようになっている。
【0059】
本実施形態では、前記送信機12aから導出されたアンテナ25は、例えば回路ユニット12が搭載されている半体2aとこれに装着されたアンテナ巻回用部材26bとに穿設されている孔32(図4に示す)を介して外装部材3の外部に導出されている。そして、このアンテナ25が、前記装着時状態において、アンテナ巻回用部材26a,26bの凹状溝27,27に収まるようにして、アンテナ巻回用部材26a,26bの全体の外周に巻回される。なお、該アンテナ25は、測定時には、例えばテープなどによりアンテナ巻回用部材26a,26bの一方に仮止めされる。
【0060】
なお、本実施形態では、アンテナ25を線状のものとしたが、パッチアンテナ等を使用してもよい。
【0061】
以上が本実施形態の回転軸用測定器1の構造の詳細である。
【0062】
かかる回転軸用測定器1にあっては、前記装着時状態において、各弧状部材10の円弧面10a(回転軸Xの被測定部位Xaの外径と同一系の円弧面10a)が車軸Xの被測定部位Xaの外周面に接触した状態で前記外装部材3が被測定部位Xaに前記した如く装着されているので、被測定部位Xaに対して外装部材3が相対移動不能に装着されることとなる。このため、被測定部位Xaに対する該外装部材3の半体2a,2bの各部の位置が強固に固定的な位置に保たれることとなる。
【0063】
そして、外装部材3の被測定部位Xaへの装着とは別に、弧状部材10の円弧面10aの径(回転軸Xの被測定部位Xaの外径)に対応した厚さを有するスペーサ部材21を含む前記各係止機構6によって、前記した通り各センサ保持部材5を各半体2a,2bに係止させることによって、各センサ保持部材5に弾性部材18を介して固着されているひずみゲージセンサ4を、被測定部位Xaの外径によらずに、適切な圧力で被測定部位Xaの外周面に圧接させることができると共に、その適切な圧力を、遠心力が発生する回転軸Xの回転中にも保つことができる。
【0064】
さらに、各ひずみゲージセンサ4にあっては、前記したように、該ひずみゲージセンサ4が有する2つの受感部4a,4aの、周方向でのトータルの幅W内の領域から、該周方向で逸脱した位置で各結線部4bが配置されているので、該結線部4bに固着されている半田の影響を受けることなく、各ひずみゲージセンサ4の受感部4a,4aの箇所を被測定部位Xaの外周面に均一的に沿わせるようにして、該ひずみゲージセンサ4を被測定部位Xaの外周面に均一的に圧接させることができる。
【0065】
この結果、各ひずみゲージセンサ4から(ひいては、前記ホイートストンブリッジ回路から)、被測定部位Xaに作用するトルクに対するばらつきの小さい検出信号を、回転軸4の回転速度に依存しない適切な感度で発生させることができる。従って、被測定部位Xaに発生するトルクを精度よく測定することができる。
【0066】
また、本実施形態の回転軸用測定器1では、ひずみゲージセンサ4による検出信号(詳しくは前記ホイートストンブリッジ回路の出力)から生成されるデータを送信機12aから外部に送信するためのアンテナ25を、アンテナ巻回用部材26a,26bの全体の外周に巻回する際に、その巻回箇所を前記凹状溝27によって制約することができるので、該アンテナ25の巻回作業を容易に行うことができる。
【0067】
なお、以上説明した実施形態では、車両の車軸Xに発生するトルクを測定する場合と例に採って説明したが、該車軸Xに発生するひずみもしくは応力を測定するようにしてもよい。この場合には、測定しようとするひずみもしくは応力に対して感度を有するひずみゲージセンサを前記ひずみゲージセンサ4の代わりに使用すればよい。また、この場合、例えば1つの受感部だけを有する単一のひずみゲージセンサだけを回転軸用測定器に備えるようにしてもよい。
【0068】
さらに、本発明における回転軸は、車軸Xに限られるものではなく、車軸X以外の回転軸であってもよいことはもちろんである。
【0069】
また、前記実施形態では、半体2a,2bをヒンジ機構7を介して連結するようにしたが、これらの半体2a,2bを連結せずに別体とし、回転軸に対する装着時に、半体2a,2bの一方側の端部同士と、他方側の端部同士とをそれぞれネジ等により締結するようにしてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、弧状部材10を、軸心方向に間隔を存する2箇所で各半体2a,2bに取り付けるようにしたが、各半体2a,2bに取り付ける弧状部材10の個数は、2個に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態の回転軸用測定器を回転軸に装着した状態で概略的に示す斜視図。
【図2】実施形態の回転軸用測定器の側面図。
【図3】実施形態の回転軸用測定器を図2の矢印Aの方向で見た図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】図2のC−C線断面図。
【図6】実施形態の回転軸用測定器に備えたひずみゲージセンサを図5の矢印Dの方向で見た図。
【符号の説明】
【0072】
1…回転軸用測定器、2a,2b…半体、3…外装部材、4…ひずみゲージセンサ、4a…受感部、4b…結線部、5…センサ保持部材、6…係止機構、10…弧状部材、10a…円弧面、12a…送信機、15…貫通穴、16…第1部材、17…第2部材、18…弾性部材、19…リード線、20…ネジ部材、21…スペーサ部材、25…アンテナ、26a,26b…アンテナ巻回用部材、27…凹状溝、X…車軸(回転軸)、Xa…被測定部位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に発生するトルク、ひずみ及び応力のうちのいずれかを測定対象とする回転軸用測定器であって、
一対の半体を有し、該一対の半体の間に前記回転軸の被測定部位を介在させて該一対の半体を互いに締結することにより前記回転軸と一体に回転し得るように前記被測定部位に装着され、且つ該一対の半体の締結を解除して該一対の半体を分離させることにより前記被測定部位から取り外し可能な外装部材と、
前記外装部材を前記被測定部位に装着した状態で該被測定部位の外周面に接触し、且つその接触箇所が該被測定部位の周方向に延在する円弧面を有し、その接触により該被測定部位に対する前記外装部材の径方向への相対移動を不能とするように前記外装部材の一対の半体にそれぞれ設けられた弧状部材と、
前記測定対象に応じた検出信号を生成するひずみゲージセンサが薄肉板状の弾性部材を介して固着されており、前記外装部材を前記被測定部位に装着した状態で該被測定部位の外周面に前記ひずみゲージセンサが対面し、且つ、該ひずみゲージセンサと共に該被測定部位の径方向に移動し得るように前記一対の半体のうちの少なくとも一方に組み付けられたセンサ保持部材と、
前記被測定部位の径方向での前記センサ保持部の位置を、前記回転軸の回転時に発生する遠心力によらずに、前記ひずみゲージセンサが所定の圧力で該被測定部位の外周面に圧接される所定の位置に保つように該センサ保持部材を前記外装部材に対して係止する係止機構とを備えたことを特徴とする回転軸用測定器。
【請求項2】
請求項1記載の回転軸用測定器において、
前記弧状部材は、前記円弧面の径が互いに相違する複数種類の弧状部材に交換し得るように、前記一対の半体のそれぞれに着脱自在に取り付けられており、
前記係止機構は、前記弧状部材の円弧面の各種類の径にそれぞれ対応する複数種類の前記所定の位置で前記センサ保持部材を前記外装部材に対して係止可能に構成されていることを特徴とする回転軸用測定器。
【請求項3】
請求項2記載の回転軸用測定器において、
前記センサ保持部材は、該センサ保持部材を組み付ける前記半体に、前記被測定部位の径方向に穿設された貫通穴に挿入され、該貫通穴から前記被測定部位側に突出する先端面に前記ひずみゲージセンサが前記弾性部材を介して固着された第1部材と、前記貫通穴から前記被測定部位と反対側に突出する該第1部材の端部に該第1部材と一体に設けられ、前記貫通穴の周縁で前記半体の外面に当接可能に形成された第2部材とを有し、
前記係止機構は、前記センサ保持部材の第2部材と前記半体の外面との間に取り外し可能に介装されるスペーサ部材と、該第2部材を、前記スペーサ部材を介して前記半体の外面に押し当てるように該半体に締結し、その締結により前記センサ保持部材を前記半体に対して係止させるネジ部材とから構成され、
前記スペーサ部材は、前記弧状部材の円弧面の各種類の径にそれぞれ対応する互いに異なる厚さを有する複数種類のスペーサ部材に交換可能であることを特徴とする回転軸用測定器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転軸用測定器において、
前記一対の半体のいずれか一方には、前記ひずみゲージセンサの検出信号から生成されたデータをアンテナを介して外部に無線送信する送信機が搭載されており、
前記一対の半体のそれぞれの一端部に、前記アンテナを巻回するための一対のアンテナ巻回用部材が装着され、前記一対のアンテナ巻回用部材のそれぞれの外周面に、前記外装部材を前記被測定部位に装着した状態で前記被測定部の周囲で環状に連なる凹状溝を形成されていることを特徴とする回転軸用測定器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転軸用測定器において、
前記ひずみゲージセンサは、抵抗値変化を生じる受感部と、該受感度の端部に導通させるリード線を半田付けにより結線するための結線部とを備えており、該結線部は、前記被測定部位の周方向における前記受感部の幅内の領域から該周方向で逸脱する位置に配置されていることを特徴とする回転軸用測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−71657(P2010−71657A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236011(P2008−236011)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000151520)株式会社東京測器研究所 (29)