説明

回転部材支持構造及びこの構造を有する回転検出装置

【課題】安価かつ小型にして高分解能の回転検出装置を提供する。
【解決手段】第1コードホイール3の支持部である円筒形のガイド部23の周方向に3個の弾性部材保持部25,26,27を設け、これらの各弾性部材保持部25,26,27にてステンレスなどの帯状体をもって略リング状に成形された金属弾性部材5を保持し、ガイド部23の内周に金属弾性部材5を延出させる。そして、このガイド部23の内周に延出された金属弾性部材5にて回転部材である第1コードホイール3の軸部を弾性支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材支持構造及びこの構造を有する回転検出装置に係り、特に、ガイド部に対する回転部材の偏心を抑制する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の舵角センサなどに適用される回転検出装置として、回転部材の貫通孔が開設されたケース状の固定部材と、前記貫通孔に貫通保持される回転部材と、当該回転部材に取り付けられ、前記固定部材内に回転可能に収納されたコード板と、前記固定部材内に設置され、前記コード板と共働して前記回転部材の回転状態に応じた信号を検出する信号検出素子とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種の回転検出装置においては、固定部材に開設された貫通孔が回転部材のガイド部として機能するので、回転部材の偏心を抑制し、高分解能の信号検出を可能にするため、ガイド部と回転部材との間のクリアランスを可能な限り小さくする必要がある。
【特許文献1】特開平2000−241144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、固定部材及び回転部材の形成材料としては、耐摩耗性に優れることから、例えばポリオレフィンメタクリレート、ポリアクリレート又はポリブチレンテレフタレートなどの非強化のプラスチック材料が従来より一般的に用いられている。
【0005】
自動車の舵角センサには−40℃〜+85℃の動作保証が要求されるので、この種のプラスチック材料を用いた場合、固定部材と回転部材との熱膨張差及び固定部材の熱歪みによる固定部材の上面板に開設されたガイド部と固定部材の下面板に開設されたガイド部との位置ずれを考慮して、ガイド部と回転部材との間に0.3mm〜0.5mmのクリアランスを見込む必要がある。
【0006】
しかしながら、近年、この種の回転検出装置については、1度又はそれ以上の高分解能が要求されるに至っているので、ガイド部と回転部材との間に0.3mm〜0.5mmのクリアランスを設けると、回転部材の偏心が大きくなって、到底要求される分解能を実現することができない。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであり、その目的は、ガイド部に対する回転部材の偏心をより高精度に抑制できる回転部材支持構造及びこの構造を有する回転検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記の課題を解決するため、回転部材支持構造に関しては、回転部材と当該回転部材を回転可能に支持する円筒形のガイド部とを有する回転部材支持構造であって、前記ガイド部に回転不能に取り付けられ、周方向の少なくとも3箇所が前記回転部材と前記ガイド部との間のクリアランス内に延出して前記回転部材を回転可能に弾性支持する金属弾性部材を有するという構成にした。
【0009】
このように、回転部材とガイド部との間に金属弾性部材を介在させると、回転部材とガイド部との間のクリアランスの大小に関わらず、回転部材の中心軸をガイド部の中心位置に安定に保持することができる。また、回転部材の周方向の少なくとも3箇所を金属弾性部材にて弾性支持すると、ガイド部に対する回転部材の偏心をより高精度に抑制できる。また、弾性部材として金属弾性部材を用いると、弾性部材を小型、薄形かつ安価に作製することができる。
【0010】
また、前記構成の回転部材支持構造において、前記ガイド部の周方向の少なくとも3箇所に、前記金属弾性部材を回転不能に保持するための弾性部材保持部を設けるという構成にした。
【0011】
このように、ガイド部の周方向に3箇所以上の弾性部材保持部を設けると、ガイド部に対する金属弾性部材の位置ずれや脱落を確実に防止することができ、回転部材支持構造の静粛性及び動作安定性を高めることができる。
【0012】
また、前記構成の回転部材支持構造において、前記弾性部材保持部が前記ガイド部の周方向に等間隔に設けられ、これら各弾性部材保持部の中間部において前記回転部材が前記金属弾性部材により回転可能に弾性支持されているという構成にした。
【0013】
このように、弾性部材保持部をガイド部の周方向に等間隔に設け、これら各弾性部材保持部の中間部において回転部材を金属弾性部材によって弾性支持すると、回転部材をガイド部に対して均等に弾性支持することができるので、回転部材の中心軸をガイド部の中心部に保持することができ、ガイド部に対する回転部材の偏心をより高精度に抑制することができる。
【0014】
また、前記構成の回転部材支持構造において、前記回転部材及び前記ガイド部が樹脂材料にて形成され、前記金属弾性部材がステンレスの帯状体にて形成されているという構成にした。
【0015】
このように、金属弾性部材をステンレスの帯状体にて形成すると、ステンレスの帯状体は弾性が高く、薄形かつ細幅に形成することができて、しかも安定な弾性特性を有するので、回転部材とガイド部との間のスペース効率を高めることができ、回転部材支持構造のより一層の小型化及び薄形化を図ることができると共に、温度変化による回転部材の回転トルク変動をより一層小さくすることができる。また、ステンレスの帯状体を曲げ加工するだけで所要の金属弾性部材を作製することができるので、金属弾性部材ひいては回転部材支持構造を低コスト化することができる。
【0016】
一方、回転検出装置に関しては、ハウジングと、当該ハウジング内に回転可能に収納されたコードホイールと、当該コードホイールに取り付けられたコード板と、当該コード板と共働して前記コードホイールの回転状態に応じた信号を検出する信号検出素子とを備えた回転検出装置であって、前記ハウジングに前記コードホイールを回転可能に支持する円筒形のガイド部を形成すると共に、当該ガイド部に回転不能に取り付けられ、周方向の少なくとも3箇所が前記コードホイールと前記ガイド部との間のクリアランス内に延出して前記コードホイールを回転可能に弾性支持する金属弾性部材を備えるという構成にした。
【0017】
このように、回転部材であるコードホイールと固定部材であるハウジングのガイド部との間に金属弾性部材を介在させると、コードホイールとガイド部との間のクリアランスの大小に関わらずコードホイールの中心軸をガイド部の中心位置に安定に保持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の回転部材支持構造は、回転部材とガイド部との間に金属弾性部材を介在させたので、回転部材とガイド部との間のクリアランスの大小に関わらず、回転部材の中心軸をガイド部の中心位置に安定に保持することができ、ガイド部に対する回転部材の偏心を抑制することができる。また、弾性部材として金属弾性部材を用いたので、弾性部材を小型、薄形かつ安価に作製することができ、回転部材支持構造の小型化、薄形化及び低コスト化を図ることができる。
【0019】
本発明の回転検出装置は、回転部材であるコードホイールと固定部材であるハウジングのガイド部との間に金属弾性部材を介在させたので、コードホイールとガイド部との間のクリアランスの大小に関わらず、コードホイールの中心軸をガイド部の中心位置に安定に保持することができ、ガイド部に対するコードホイールの偏心を抑制することができて、コード板と信号検出素子とによって検出される信号の分解能を高めることができる。また、弾性部材として金属弾性部材を用いたので、弾性部材を小型、薄形かつ安価に作製することができ、回転検出装置の小型化、薄形化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る回転部材支持構造の一例を、回転検出装置におけるコードホイールの支持構造を例にとり、図1乃至図7に基づいて説明する。図1は実施形態例に係る回転検出装置の分解斜視図、図2は実施形態例に係るカバーの内面図、図3は図2のA部拡大図、図4は図2のB部拡大図、図5は実施形態例に係る第1コードホイールの背面図、図6は実施形態例に係る金属弾性部材の平面図、図7は実施形態例に係る遊星歯車と内歯車と第2コードホイールとの連結状態を示すケースの内面図である。
【0021】
図1に示すように、本例の回転角検出装置は、ケース1と、カバー2と、これらを組み合わせることによって構成されるハウジング内に回転可能に収納される第1コードホイール3及び第2コードホイール4と、前記カバー2に取り付けられ、前記第1コードホイール3を回転可能に弾性支持する金属弾性部材5と、前記ケース1の内面に設定される回路基板6と、当該回路基板6に取り付けられる信号検出素子受け7と、当該信号検出素子受け7内に所定の配列で収納され、端子部が前記回路基板6に形成された端子部と電気的に接続された所要数の信号検出素子8と、前記第1コードホイール3によって回転駆動され、前記第2コードホイール4を所定の減速比で減速駆動する遊星歯車9と、一端が前記回路基板5に取り付けられ、他端が前記カバー2に開口されたコネクタ挿入孔に臨まされたコネクタピン10とから主に構成されている。
【0022】
ケース1は、中央開口11を有する底板12と、底板12の外周縁より起立された一定高さの周壁13と、円形のコードホイール収納部14と方形の回路基板収納部15との間に起立された円弧状の隔壁16とからなり、コードホイール収納部14の内面には、遊星歯車9が噛み合わされる内歯車17が中央開口11と同心に形成されている。また、底板12の内面には、回路基板6をねじ止めするための回路基板取付ボス12aとケース1に対するカバー2の位置決めを行うための位置決め突起12bとが形成されており、周壁13の外面には、ケース1を所要のステータ部、例えば自動車の車体にねじ止めするためのケース取付ボス13aとカバー2をケース1にスナップ結合するための係止爪13bとが形成されている。
【0023】
カバー2は、中央開口21を有する天板22と、天板22の内周縁より外向きに起立された円筒形のガイド部23と、天板22の外周縁より内向きに起立された周壁24とをもって、平面形状がケース1とほぼ同形同大に形成されており、ガイド部23の内面には、図2に示すように、3個の弾性部材保持部25,26,27がガイド部23の周方向に等間隔に設けられている。天板22には、その一隅部に図示しない外部コネクタを挿入するためのコネクタ挿入孔22aが開口されると共に、前記ケース1に形成された位置決め突起12bを嵌合するための位置決め孔22bが開口されている。また、周壁24の外面には、前記ケース1に形成された係止爪13bを係合するための係合孔24aを有する係合突起24bが形成されている。
【0024】
弾性部材保持部25は、金属弾性部材5の端部を挿入して保持するための凹溝25aを有する。凹溝25aは、ガイド部23の内面に形成された円弧形状の溝とその両端部から中央開口21まで延びて傾斜する溝とを連設してなる。傾斜する溝は、図3に示すように、中央開口21に臨む箇所において中央開口21に引いた接線aに対して鋭角θをなすように形成される。したがって、金属弾性部材5の端部を凹溝25aの傾斜する溝から円弧形状の溝にかけて挿入すると、金属弾性部材5がそれらの各溝の内壁に圧接されるようになり、保持部25に強固に保持される。
【0025】
一方、弾性部材保持部26(27)は、金属弾性部材5の中間部の一部を挿入して保持するための凹溝26a(27a)を有する。凹溝26a(27a)は、ガイド部23の内面に形成された円弧形状の溝とその両端部から中央開口21まで延びて傾斜する溝とを連設してなる。また、円弧形状の溝の対向する壁面のいずれか一方には、係合部26c(27c)が設けられる。係合部26c(27c)は、図6に示す折曲部5aと係合するものであり、凹状又は凸状に形成される。本実施形態例においては、係合部26c(27c)が、図4に示すように凹状に形成されており、図2に示すように金属弾性部材5の折曲部5aを係合させることによって、金属弾性部材5のガイド部23の周方向への移動やガイド部23からの脱落を防止できる。
【0026】
このように、ガイド部23の周方向に3個の弾性部材保持部25,26,27を設けると、ガイド部23に対する金属弾性部材5の位置ずれや脱落を確実に防止することができ、回転部材支持構造の静粛性及び動作安定性を高めることができる。また、弾性部材保持部25,26,27をガイド部23の周方向に等間隔に設けると、これら各弾性部材保持部25,26,27の中間部において第1コードホイール3を金属弾性部材5により弾性支持することができるので、第1コードホイール3をガイド部23に対して均等に弾性支持することができ、ガイド部23に対する第1コードホイール3の偏心を高精度に抑制することができる。
【0027】
前記ケース1と前記カバー2とは、ケース1に形成された係止爪13bをカバー2に形成された係合孔24aに係合することによって一体化され、他の部材3〜10を収納するためのハウジングを構成する。
【0028】
第1コードホイール3は、中央開口31を有する第1コード板32と、中央開口31より起立された円筒状の回転体連結部33とからなり、第1コード板32の片面には、多数の信号検出用の遮光板34aを所要の配列で突設してなる第1信号検出トラック34と、多数の信号検出用の遮光板35aを所要の配列で突設してなる第2信号検出トラック35とが同心に形成されている。また、第1コード板32の背面には、図5に示すように、遊星歯車9を回転体連結部33の回りに公転させるための遊星歯車取付部36が、回転体連結部33に対して偏心状態で突出するように形成され、遊星歯車9の中央開口91に係合するように挿入される。この第1コードホイール3は、中央開口31に貫通されたステアリングシャフトなどの図示しない回転体に固着され、当該回転体と共に回転する。
【0029】
第2コードホイール4は、中央開口41を有する第2コード板42をもって構成されており、第2コード板42の片面には、多数の信号検出用の遮光板43aを所要の配列で突設してなる第3信号検出トラック43と、多数の信号検出用の遮光板44aを所要の配列で突設してなる第4信号検出トラック44とが同心に形成されている。また、第2コード板42の背面には、図7に示すように、遊星歯車9を連結するための複数個の係合突起部45が等間隔に突設されている。
【0030】
金属弾性部材5は、ステンレスやリン青銅などの弾性に優れた帯状の金属片をもって、図1、図2及び図6に示すように、ガイド部23よりもやや小径のリング状に成形されており、その中間部には、ガイド部23に形成された係合部26c(27c)に係合するための折曲部51が形成されている。このように、金属弾性部材5をステンレスなどの金属帯状体をもって形成すると、これらの金属帯状体は弾性が高く、薄形かつ細幅に形成することができて、しかも安定な弾性特性を有するので、ガイド部23に対して金属弾性部材5が位置ずれを起こしたり脱落するのを確実に防止することができ、また、ガイド部23の内周面と第1コードホイール3の回転体連結部33の外周面とのクリアランスを全周にわたって等しくなるように回転体連結部33を弾性支持するので、ガイド部23に対する第1コードホイール3の偏心を安定かつ高精度に抑制でき、絶対角検出装置の動作安定性を高めることができる。
【0031】
回路基板6は、ケース1及びカバー2の回路基板収納部15内に収納可能な形状に形成されており、所要の位置には、ケース1に形成された位置決め突起12bを貫通するための透孔61が開設されている。そして、その表面には信号検出素子8の端子部及びコネクタピン10を電気的に接続するための端子部を含む所要の回路パターンが形成されている。
【0032】
信号検出素子受け7は、複数個の信号検出素子8を所定の配列で配置するものであって、各信号検出素子8を個別に取り付けるための区画化された検出素子取付部71を有しており、回路基板6にねじ止めされる。
【0033】
信号検出素子8としては、発光素子と受光素子とが一体に組み立てられ、かつこれら発光素子と受光素子とが第1及び第2のコードホイール3,4に形成された遮光板34a,35a,43a,44aを挿通可能な間隔を隔てて対向に配置されたフォトインタラプタが用いられる。各信号検出素子8は、所要の遮光板34a,35a,43a,44aを介してその表裏両側に発光素子と受光素子とが配置されるようにして、信号検出素子受け7に取り付けられる。
【0034】
遊星歯車9は、中央開口91及び前記第2コードホイール4の背面に突設された係合突起部45を係合するための係合孔92を有するリング状に形成されており、その歯数は、内歯車17の歯数及び第1コードホイール3に対する第2コードホイール4の減速比を考慮して設定される。例えば、内歯車17の歯数を30とし、遊星歯車9の歯数を28とすれば、第1コードホイール3に対する第2コードホイール4の減速比を1/15とすることができる。
【0035】
コネクタ10は、所要数のコネクタピン10aとこれらの各コネクタピン10aを所要の配列で保持する絶縁樹脂製の保持部10bとからなる。コネクタピン10aの一端は回路基板6に接続され、他端は前記カバー2に開口されたコネクタ挿入孔22aに臨んで配置される。
【0036】
以下、前述した各構成部品を用いた回転検出装置の組立方法について説明する。
【0037】
まず、カバー2のガイド部23の内面に金属弾性部材5を取り付ける。ガイド部23に対する金属弾性部材5の取り付けは、弾性部材保持部26,27に形成された係合部26c,27cに金属弾性部材5に形成された折曲部51を係合させて、金属弾性部材5の中間部を弾性部材保持部26,27の凹溝26a,27a内に挿入すると共に、金属弾性部材5の両端部を弾性部材保持部25の凹溝25a内に挿入することによって行われる。前述のように、金属弾性部材5はガイド部23よりもやや小径のリング状に成形されているので、ガイド部23に取り付けられたとき、金属弾性部材5の弾性部材保持部25,26,27に保持されていない部分は、図2に破線で示すように、ガイド部23の内面から離隔した位置に配置される。もちろん、ガイド部23の内面から延設された金属弾性部材5は、第1コードホイール3に形成された円筒状の回転体連結部33を、第1コードホイール3の円滑な回転を阻害しない程度で保持するように設定される。
【0038】
また、ケース1の内面に遊星歯車9、第2コードホイール4及び第1コードホイール3をこの順に収納する。このとき、遊星歯車9は、ケース1の内面に形成された内歯車17に噛み合わされると共に、係合孔92内に第2コードホイール4の背面に突設された係合突起部45が係合され、第2コードホイール4と連結される。この状態において、係合突起部45の外周面と係合孔92の内周面とは、図7に示すように、常時密着状態に保たれており、これにより遊星歯車9の自転が緩みなく第2コードホイール4に伝達される。また、第1コード板32の背面に形成された遊星歯車取付部36が遊星歯車9の中央開口91の内周部に密着した状態で接するように挿入される。これにより第1コードホイール3の回転が遊星歯車9に伝達され、遊星歯車9を内歯車17の回りに公転させる。
【0039】
さらに、信号検出素子受け7に形成された各検出素子取付部71に所要数の信号検出素子8を所定の配列で取り付け、信号検出素子8が取り付けられた信号検出素子受け7を回路基板6の所定位置にねじ止めする。また、回路基板6の所定位置にコネクタ10を接続する。そして、信号検出素子受け7、信号検出素子8及びコネクタ10を有する回路基板6をケース1の所定位置にねじ止めし、第1乃至第4の信号検出トラック34,35,43,44のそれぞれに所要の信号検出素子8を所要の配列で設定する。
【0040】
しかる後に、ケース1に形成された係止爪13bをカバー2に形成された係合孔24aに係合し、ケース1とカバー2とを一体化する。このとき、図2に示すように、カバー2のガイド部23内に第1コードホイール3の回転体連結部33が挿入され、第1コードホイール3が金属弾性部材5によって弾性保持される。
【0041】
このようにして組み立てられた回転検出装置は、自動車用の舵角センサとして利用される場合、回転体連結部33内にステアリングシャフトが挿通されて、回転体連結部33とステアリングシャフトとが一体に連結されると共に、ケース1に形成されたケース取付ボス13aを利用して、ハウジングが自動車の車体などのステータ部に固定される。
【0042】
本例の回転検出装置は、カバー2のガイド部23と第1コードホイール3の回転体連結部33との間に金属弾性部材5を介在させたので、これらガイド部23と回転体連結部33との間のクリアランスの大小に関わらず、第1コードホイール3の中心軸をガイド部23の中心位置に安定に保持することができる。また、第1コードホイール3の周方向の3箇所を金属弾性部材5にて弾性支持する構成にしたので、温度変化による回転部材の回転トルク変動を小さくすることができ、回転検出装置の動作安定性を高めることができる。さらに、弾性部材として金属弾性部材5を用いたので、弾性部材を小型、薄形かつ安価に作製することができ、回転検出装置の小型化、薄形化及び低コスト化を図ることができる。
【0043】
なお、前記実施形態例においては、本発明に係る回転部材支持構造として、回転検出装置におけるコードホイールの支持構造を例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、他の任意の回転体の支持構造にも応用することができる。
【0044】
また、前記実施形態例においては、信号の検出系を遮光板とフォトインタラプタの組合せをもって形成したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、透孔や切り欠きなどの光学パターンとフォトインタラプタとの組合せ、磁気パターンと磁気検出素子との組合せ、又は抵抗体パターンと集電ブラシとの組合せなどをもって構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態例に係る回転検出装置の分解斜視図である。
【図2】実施形態例に係るカバーの内面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図2のB部拡大図である。
【図5】実施形態例に係る第1コードホイールの背面図である。
【図6】実施形態例に係る金属弾性部材の平面図である。
【図7】実施形態例に係る遊星歯車と内歯車と第2コードホイールとの連結状態を示すケースの内面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ケース
2 カバー
3 第1コードホイール
4 第2コードホイール
5 金属弾性部材
6 回路基板
7 信号検出素子受け
8 信号検出素子
9 遊星歯車
10 コネクタピン
23 ガイド部
25,26,27 弾性部材保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と当該回転部材を回転可能に支持する円筒形のガイド部とを有する回転部材支持構造であって、前記ガイド部に回転不能に取り付けられ、周方向の少なくとも3箇所が前記回転部材と前記ガイド部との間のクリアランス内に延出して前記回転部材を回転可能に弾性支持する金属弾性部材を有することを特徴とする回転部材支持構造。
【請求項2】
前記ガイド部の周方向の少なくとも3箇所に、前記金属弾性部材を回転不能に保持するための弾性部材保持部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転部材支持構造。
【請求項3】
前記弾性部材保持部が前記ガイド部の周方向に等間隔に設けられ、これら各弾性部材保持部の中間部において前記回転部材が前記金属弾性部材により回転可能に弾性支持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転部材支持構造。
【請求項4】
前記回転部材及び前記ガイド部が樹脂材料にて形成され、前記金属弾性部材がステンレスの帯状体にて形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の回転部材支持構造。
【請求項5】
ハウジングと、当該ハウジング内に回転可能に収納されたコードホイールと、当該コードホイールに取り付けられたコード板と、当該コード板と共働して前記コードホイールの回転状態に応じた信号を検出する信号検出素子とを備えた回転検出装置であって、前記ハウジングに前記コードホイールを回転可能に支持する円筒形のガイド部を形成すると共に、当該ガイド部に回転不能に取り付けられ、周方向の少なくとも3箇所が前記コードホイールと前記ガイド部との間のクリアランス内に延出して前記コードホイールを回転可能に弾性支持する金属弾性部材を備えたことを特徴とする回転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−3275(P2006−3275A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181551(P2004−181551)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】