説明

回転電機

【課題】ロータコアの磁気的突極に磁極を発生させるための磁気回路を短くできる回転電機を提供すること。
【解決手段】回転電動機10は、磁性材からなる回転シャフト15に固定され、磁気的突極18が形成されたロータコア16と、ステータ巻線21が巻き付けられたティース19を有するステータ12と、ステータ12及び回転シャフト15を磁気的に接続する界磁ヨーク13と、回転シャフト15の軸線方向におけるステータ巻線21の巻線端m側に配置され、通電によりロータコア16の磁気的突極18に磁極(N極)を発生させる界磁巻線14と、備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロータから永久磁石を省略するとともに、永久磁石に代えて界磁巻線によりロータを界磁する回転電動機が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1の回転電動機では、回転シャフトの軸線方向におけるステータ巻線の巻線端(コイルエンド)側に界磁巻線を配設するとともに、この界磁巻線に通電することで回転シャフト、ロータ(凸極部)、ステータ、界磁ヨークを通過する磁気回路を形成し、ロータの凸極部にN極(磁極)を発生させる。このため、特許文献1の回転電動機では、ロータから永久磁石を省略した構成であっても、一般的な永久磁石同期モータと同様に動作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−43099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の回転電動機において、ステータ巻線を分布巻により形成した場合には、回転シャフトの軸線方向におけるステータ巻線の巻線端の張り出しが大きくなる。この場合には、ステータ巻線の巻線端の張り出しに伴って、界磁巻線をステータから回転シャフトの軸線方向に離間させる必要がある。このため、前記磁気回路(磁束の経路)が長くなることで、磁気回路における磁気抵抗が大きくなる虞がある。
【0005】
この発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、ロータコアの磁気的突極に磁極を発生させるための磁気回路を短くできる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、磁路を形成するための磁性体を有する回転シャフトに固定され、磁気的凸極が形成されたロータコアと、ステータ巻線が集中巻で巻き付けられたティースを有するステータと、前記ステータ及び前記磁性体を磁気的に接続する界磁ヨークと、前記回転シャフトの軸線方向における前記ステータ巻線の巻線端側に配置され、通電により前記ロータコアの磁気的突極に磁極を発生させる界磁巻線と、を備えたことを要旨とする。ここで、「磁気的突極」とは、ロータの内側から外面に向かって磁束が流れ易い部分を意味し、ロータとして突部を有する形状に限らず、磁性材で形成された突部の間が非磁性材で埋められて全体として平坦な形状のロータであってもよい。また、「巻線端側」とは、回転シャフトの軸線方向におけるティースの端部よりも回転シャフトの軸線方向の外側を意味する。
【0007】
この発明によれば、ステータ巻線が集中巻でティースに巻き付けられており、回転シャフトの軸線方向にステータ巻線の巻線端が張り出すことを抑制できる。このため、ステータ巻線を分布巻で巻き付けた場合と比較して、界磁巻線をステータ側に近接して配設することができる。このため、回転シャフトの磁性体、ロータ、ステータ、界磁ヨークにより形成される磁気回路を短くできる。したがって、ロータコアの磁気的突極に磁極を発生させるための磁気回路を短くできる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転電機において、前記界磁巻線は、前記回転シャフトの軸線方向における前記ステータ巻線の両方の巻線端側に配設されたことを要旨とする。この発明によれば、界磁巻線をステータ巻線の両方の巻線端側に配置することで、一方の巻線端側に配設する場合と比較して、回転電機の出力を向上できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の回転電機において、前記回転シャフトが前記磁性体とされたことを要旨とする。この発明によれば、回転シャフトが磁性体とされることで、部品点数を削減し、回転電機を簡便に製作できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータコアの磁気的突極に磁極を発生させるための磁気回路を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】回転電動機の模式断面図
【図2】図1のII−II線模式断面図。
【図3】別の実施形態における回転電動機の模式断面図。
【図4】別の実施形態における回転電動機の模式断面図。
【図5】別の実施形態における界磁極コアの模式斜視図。
【図6】別の実施形態における回転電動機の模式断面図。
【図7】別の実施形態における回転電動機の模式断面図。
【図8】別の実施形態におけるロータの模式断面図。
【図9】別の実施形態における回転電動機の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を三相の回転電動機に具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、回転電機としての回転電動機10は、ロータ(回転子)11と、ロータ11の外側に配置された筒状のステータ(固定子)12と、ステータ12の外側に設けられた界磁ヨーク13と、ロータ11を界磁する界磁巻線14とを備えている。界磁ヨーク13は、回転電動機10のケースとしても機能し、ステータ12の外周と対向する円筒部13aと、円筒部13aの両端に固定された一対の円板部13bとを有する。
【0013】
ロータ11は、回転シャフト15に一体回転可能に固定されたロータコア16を有するとともに、回転シャフト15は、円板部13bを貫通する状態でベアリング17を介して円板部13bに回転可能に支持されている。回転シャフト15は磁性材で形成されており、軸線方向に沿って磁路を形成するための磁性体とされている。以下の説明において「径方向」は、回転シャフト15の軸線方向と直交する方向を示し、「軸方向」は、回転シャフト15の軸線方向を示す。
【0014】
図2に示すように、ロータコア16は、径方向に突出する突部が周方向に一定間隔で形成されており、突部が磁気的突極18を構成する。本実施形態では、磁気的突極18は8個設けられ、各磁気的突極18はロータコア16の軸方向全長に亘って延設されている。なお、本実施形態において、周方向における各磁気的突極18の間には、それぞれ空間が形成されている。図1に示すように、ロータコア16は、電磁鋼板を複数枚(例えば数十枚)積層して構成されており、軸方向の磁気抵抗が、径方向及び周方向の磁気抵抗より大きくなっている。このため、ロータコア16内において、磁束は、軸方向に流れ難く、径方向及び周方向に流れ易くなる。
【0015】
また、ステータ12は、電磁鋼板を複数枚、積層して略円筒状に形成されており、ステータ12の径方向及び周方向の磁気抵抗は、軸方向の磁気抵抗より小さくなっている。このため、ステータ12内において、磁束は、ステータ12の周方向及び径方向に流れ易く、軸方向に流れ難くなる。
【0016】
図2に示すように、ステータ12の内側には、複数のティース19が周方向に一定間隔で形成されるようにスロット20が等間隔で設けられている。本実施形態では、ティース19及びスロット20がそれぞれ18個設けられている。
【0017】
各ティース19には、ステータ巻線(固定子巻線)21として、U相巻線21u、V相巻線21v、W相巻線21wがそれぞれ集中巻で巻き付けられている。ここで、集中巻は、各ティース19に巻線を集中的に巻き付ける構造であり、各ティース19に対して巻線を直接的に巻き付けることができる。このため、図1に示すように、本実施形態のステータ巻線21は、各巻線同士が重なり合うことがなく、軸方向におけるティース19からの巻線端(コイルエンド)mの張り出し量tが小さい。一方、分布巻は、巻線が複数のティース19をまたがって配置される構造であり、渡り線同士が重なりあうことで、軸方向におけるティース19からの巻線端(コイルエンド)mの張り出し量tが大きくなる。本実施形態のステータ巻線21における巻線端mの張り出し量tは、分布巻で巻き付けた場合と比較して約20%〜50%、小さい。
【0018】
界磁ヨーク13の両円板部13bには、円環状の突条13cがロータコア16に向かって突出するように形成され、突条13cには外周部に界磁巻線14が巻き付けられたボビン23が嵌合固定されている。すなわち、界磁巻線14は、ステータ巻線21の両方の巻線端m側に配設されている。突条13c及びボビン23は、通電によりロータ11の磁気的突極18に磁極(N極又はS極)を発生させるための界磁巻線14が巻き付けられた界磁巻線巻回部を構成する。本実施形態では、ステータ巻線21の軸方向に対応する位置に界磁巻線14が配置されている。
【0019】
この実施形態では、各界磁巻線14に電流が供給されると、界磁ヨーク13とロータコア16との間にロータコア16の磁気的突極18が全て同じ磁極(N極)となる磁気回路が形成されるようになっている。詳述すると、図1において左側に位置する一方の界磁巻線14においては、磁束が環状の界磁巻線14の左側から内周側に進入して右側から界磁巻線14の外部へ出るように発生する。また、図1において右側に位置する他方の界磁巻線14においては、磁束が環状の界磁巻線14の右側から内周側に進入して左側から界磁巻線14の外部へ出るように発生する。その結果、両界磁巻線14から発生した磁束の経路は、回転シャフト15内を対向する方向に進んだ後、ロータコア16の内側から磁気的突極18内を通ってステータ12のティース19内へ進み、界磁ヨーク13の円筒部13a及び円板部13bを通って再び回転シャフト15内に進入する経路となる。このように、ステータ12及び回転シャフト15は、界磁ヨーク13によって磁気的に接続(連結)される。
【0020】
次に回転電動機10の作用を説明する。
回転電動機10は、U相巻線21u、V相巻線21v、W相巻線21wが三相インバータに接続され、界磁巻線14が直流電源に接続された状態で使用される。そして、制御装置により三相インバータから出力される制御電流量と、直流電源から界磁巻線14に供給される電流量が制御される。
【0021】
界磁巻線14に直流が供給されると、界磁巻線14から発生した磁束(磁力線)が、図1に破線の矢印で示すように、界磁ヨーク13の円板部13b→回転シャフト15→ロータコア16→磁気的突極18→ステータ12→界磁ヨーク13の円筒部13a→界磁ヨーク13の円板部13bの経路で通過する磁気回路が形成される。その結果、界磁巻線14に励磁電流が供給された状態では、図2に示すように、ロータコア16に複数形成された磁気的突極18のステータ12側端部が、全てN極になってステータ12が単極となる。
【0022】
一方、ステータ12のU相巻線21u、V相巻線21v、W相巻線21wには所定周波数の三相交流が順次供給されてステータ12に回転磁界が発生し、ロータ11に回転磁界が作用する。そして、回転磁界と磁気的突極18の磁束との間の磁気的な吸引力及び反発力によりロータ11が回転磁界と同期して回転する。また、界磁巻線14に供給する電流量を調整することにより、生成する磁束量を調整することができる。そのため、界磁巻線14に供給する電流量を調整することにより、所謂「弱め界磁制御」や「強め界磁制御」など、自在な界磁磁束制御を行うことができる。
【0023】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ステータ巻線21(U相巻線21u、V相巻線21v、W相巻線21w)が集中巻でティース19に巻き付けられており、軸方向にステータ巻線21の巻線端mが張り出すことを抑制できる。このため、ステータ巻線21を分布巻きで巻き付けた場合と比較して、界磁巻線14をステータ12に近接して配設することができる。このため、回転シャフト15→ロータコア16→磁気的突極18→ステータ12→界磁ヨーク13(円筒部13a、円板部13b)により形成される磁気回路を短くできる。
【0024】
(2)そして、界磁巻線14に直流が供給された際に形成され、各磁気的突極18に磁極を発生させるための磁気回路を短くできることで、磁気回路における磁気抵抗を低減できる。したがって、磁束のロスが発生することを抑制し、回転電動機10の効率(出力)を向上できる。すなわち、界磁電流量の低減、または界磁巻線14の体積低減ができる。
【0025】
(3)また、径方向に対してもステータ巻線21の巻線端mの張り出し量が大きくなることを抑制できる。このため、回転電動機10が径方向に大型化することを抑制できる。また、回転電動機10の径方向の大きさ(界磁ヨーク13の円筒部13aの外径)を一定に保つ場合には、界磁ヨーク13の径方向の断面積が減少し、界磁ヨーク13を通過できる磁束量が低下することを抑制できる。
【0026】
(4)界磁巻線14をステータ巻線21の両方の巻線端m側に配設した。このため、界磁巻線14を片方の巻線端m側に配設する場合と比較して、回転電動機10の出力を向上させることができる。
【0027】
(5)回転シャフトを磁性材で形成し、磁気回路を形成するための磁性体として回転シャフトを用いた。このため、部品点数を削減し、回転電動機10を簡便に製作できる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0028】
○ 回転電動機10は、界磁巻線14がステータ巻線21の巻線端mのうち片方側に設けられた構成でもよい。例えば、図3に示すように、界磁ヨーク13は円板部13bが円筒部13aの一端側にのみ設けられ、他端側には非磁性材で形成された支持円板24が設けられる。支持円板24は界磁ヨーク13と共に回転電動機10のケースを構成し、ベアリング17を介して回転シャフト15の他端を支持する。この実施形態では、界磁巻線14に電流が供給されると、磁束が界磁ヨーク13の円板部13b→回転シャフト15→ロータコア16→磁気的突極18→ステータ12→界磁ヨーク13の円筒部13a→界磁ヨーク13の円板部13bの経路で通過する磁気回路が形成され、各磁気的突極18がN極になる。
【0029】
○ 界磁巻線14は、その一部又は全部が、径方向においてステータ巻線21と回転シャフト15の間に形成される空間Sに対して挿入されるように配設してもよい。例えば、図4及び図5に示すように、界磁ヨーク13では、円板部13bに代えて、環状に形成され回転シャフト15が挿通される環状部25aと、環状部25a(回転シャフト15側)から径方向の外側へ放射状に延びる複数の腕部25bからなる界磁極コア25を設ける。腕部25bは、周方向に一定間隔で形成されている。界磁極コア25は、電磁鋼板を複数枚、積層して形成されており、界磁極コア25の径方向及び周方向の磁気抵抗は、軸方向の磁気抵抗より小さくなっている。このため、界磁極コア25内において、磁束は、界磁極コア25の周方向及び径方向に流れ易く、軸方向に流れ難くなる。界磁極コア25の各腕部25bの先端部は、それぞれ円筒部13aの端部に固定されるとともに、環状部25aの内周面が回転シャフト15の外周面と対向するように配置される。各腕部25bには、ステータ巻線21よりも径方向の内側に位置するように、それぞれ界磁巻線14を巻き付ける。すなわち、各腕部25bは、界磁巻線14が巻き付けられた界磁巻線巻回部を構成する。界磁ヨーク13の両端には、非磁性材で形成された支持円板26が設けられる。各支持円板26は界磁ヨーク13(円筒部13a)と共に回転電動機10のケースを構成し、ベアリング17を介して回転シャフト15の両端を支持する。この実施形態では、界磁巻線14に電流が供給されると、図4において破線の矢印で示すように、磁束が界磁極コア25の腕部25b→環状部25a→回転シャフト15→ロータコア16→磁気的突極18→ステータ12→界磁ヨーク13の円筒部13a→腕部25bの経路で通過する磁気回路が形成され、各磁気的突極18がN極になる。これによれば、各磁気的突極18に磁極(N極又はS極)を発生させるための磁気回路(磁束の経路)を短くし、磁気抵抗をさらに小さくできる。また、各界磁巻線14の巻回数を増加させる場合であっても、界磁巻線14を径方向へ延伸すればよい。このため、界磁巻線14の巻回数が増加することに伴って界磁巻線14が軸方向に大きくなり、各磁気的突極18に極性を発生させるための磁気回路が長くなることを抑制できる。
【0030】
○ 磁気的突極18の数Pnとスロット20の数Psとの組み合わせは適宜変更してもよい。例えば、Pn=10,Ps=24などとしてもよい。
○ 図6に示すように、ロータコア16を、円筒状に形成されて回転シャフト15に固設された筒状コア16aと、筒状コア16aの外周に設けられた積層ロータコア16bとで構成し、突条13cの先端を筒状コア16aの端面近傍まで延設するとともに、突条13cの厚さを厚くして、その分、回転シャフト15の直径を小さくしてもよい。磁気的突極18は、積層ロータコア16bに形成する。また、筒状コア16aは、一体の磁性材料で形成されており、例えば粉末成形磁性体(SMC : Soft magnetic Composites)で形成されている。粉末成形磁性体の磁気抵抗は、積層ロータコア16bや回転シャフト15の材質より小さい。この場合、界磁巻線14で発生した磁束が回転シャフト15より筒状コア16a内を流れ易くなり、磁束が回転シャフト15を流れる場合と比較して磁気回路(磁束の経路)が短くなる。その結果、界磁電流量の低減、又は界磁巻線14の体積低減ができる。また、積層ロータコア16b内においては、磁束は、軸方向に流れ難く、径方向及び周方向流れ易くなるのに対して、筒状コア16a内では積層ロータコア16b内より軸方向に磁束が流れ易くなる。このため、筒状コア16aが無い構成に比べて、磁束の経路が積層ロータコア16bを構成する全ての電磁鋼板に分散して流れ易くなる。
【0031】
○ 図7に示すように、回転シャフト15を、外周側の磁気抵抗が内周側の磁気抵抗より小さい2重構造に形成してもよい。この場合には、界磁巻線14に電流が供給されて界磁巻線14から発生した磁束がロータコア16に向かって流れる際、磁束は磁気抵抗の小さい回転シャフト15の外周側を流れるため、磁気回路(磁束の経路)が短くなる。その結果、界磁電流量の低減、又は界磁巻線14の体積低減ができる。この場合、回転シャフト15は、その外周側に磁性体を有する構成となる。この場合の磁性体は、例えば、粉末成形磁性体や鉄塊などが考えられる。
【0032】
○ 回転電動機10に専用のケースを設け、その専用のケースで回転シャフト15をベアリングを介して支持するようにしてもよい。この場合、界磁ヨーク13の円板部13bの形状が簡単になる。また、界磁ヨーク13がケースを兼用する場合に比べてケースの形状や材質の自由度が大きくなる。
【0033】
○ ロータコア16の形状は、磁気的突極18となるための突部を有する形状に限らない。例えば、ロータコア16として突部を一定間隔で有する形状の部分を磁性材で形成し、突部の間を非磁性材で埋めて全体として平坦な形状としたものであってもよい。また、図8に示すように、突部の先端のみを隣接する突部の先端とつなげても、実質的に磁気的突極18になればよい。
【0034】
○ ロータコア16は電磁鋼板を積層して形成したが、鉄塊や粉末成形磁性体で形成してもよい。
○ 図9に示すように、回転シャフト15の直径をそのベアリング17による支持部において細くするようにしてもよい。この場合、ベアリング17の小径化が可能になる。
【0035】
○ ボビン23を設けずに、突条13cの外周に界磁巻線14を直接巻き付けて、突条13cを界磁巻線巻回部としてもよい。
○ U相巻線21u、V相巻線21v及びW相巻線21wは、一つのスロット20に2本の巻線の一部がそれぞれ収容される状態ではなく、一つのスロット20に1本の固定子巻線の一部が収容される構成であってもよい。
【0036】
○ ロータ11が単極となる場合、各磁気的突極18のステータ12側端部が、全てN極になるのではなく、全てS極になる構成にしてもよい。
○ 磁気的突極18はロータコア16の全長に亘って延設されずに、全長より短く形成されていてもよい。
【0037】
○ 回転電動機10は三相交流で駆動されるものに限らず、単相交流や二相交流あるいは四相以上の多相交流で駆動されるものであってもよい。
○ 回転電動機10は、アウターロータ型の回転電動機に適用してもよい。
【0038】
○ 電動機ではなく発電機に適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(イ)前記界磁ヨークには、前記回転シャフトの磁性体側から放射状に延びる複数の腕部を含み、前記界磁巻線は、前記界磁ヨークの各腕部に巻き付けられた請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の回転電機。
【0039】
(ロ)前記界磁巻線は、その全体又は一部が前記ステータ巻線の巻線端と前記回転シャフトとの間に形成される空間に挿入されるように配置された請求項1〜請求項3、及び技術的思想イのうち何れか一項に記載の回転電機。
【0040】
(ハ)前記回転シャフトの磁性体は、前記回転シャフトの外周側に配設されるとともに、前記回転シャフトの内周側の磁気抵抗より小さい磁気抵抗を有する請求項1〜請求項3、技術的思想イ、及び技術的思想ロのうち何れか一項に記載の回転電機。
【符号の説明】
【0041】
10…回転電動機(回転電機)、11…ロータ、12…ステータ、13…界磁ヨーク、13a…円筒部、13b…円板部、14…界磁巻線、15…回転シャフト(磁性体)、16…ロータコア、18…磁気的突極、19…ティース、21…ステータ巻線、21u…U相巻線、21v…V相巻線、21w…W相巻線、25…界磁極コア、25a…環状部、25b…腕部、m…巻線端、S…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁路を形成するための磁性体を有する回転シャフトに固定され、磁気的凸極が形成されたロータコアと、
ステータ巻線が集中巻で巻き付けられたティースを有するステータと、
前記ステータ及び前記磁性体を磁気的に接続する界磁ヨークと、
前記回転シャフトの軸線方向における前記ステータ巻線の巻線端側に配置され、通電により前記ロータコアの磁気的突極に磁極を発生させる界磁巻線と、を備えた回転電機。
【請求項2】
前記界磁巻線は、前記回転シャフトの軸線方向における前記ステータ巻線の両方の巻線端側に配設された請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転シャフトが前記磁性体とされた請求項1又は請求項2に記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182942(P2012−182942A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45311(P2011−45311)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】