回転電機
【課題】無駄なスペースを極力無くして、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避すること。
【解決手段】第3界磁コイル45の一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。第2界磁コイル44が一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第6界磁コイル55の一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。第5界磁コイル54が他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。
【解決手段】第3界磁コイル45の一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。第2界磁コイル44が一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第6界磁コイル55の一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。第5界磁コイル54が他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、永久磁石をロータに配設した永久磁石同期モータは、電気自動車やハイブリッド自動車などの様々な分野で駆動源として利用されている。このような永久磁石同期モータにおいて、強め界磁制御を行うことによって大きなトルクを得る一方で、弱め界磁制御を行うことによってステータとロータとの間に生じる磁束量を低減して、最大回転数を向上させることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の回転電動機は、ロータと、界磁ヨーク(界磁極)と、界磁コイルとを備えている。そして、界磁コイルに電流を供給することで、ロータ、ステータ及び界磁ヨークにより環状の磁路が形成される。そして、界磁コイルに供給される電流量を調整して、ロータを通過する磁束量を調整することで、強め界磁制御及び弱め界磁制御を可能とし、大きなトルクを得られるとともに最大回転数を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−43099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回転電動機においては、ステータティースに巻回されたステータコイルのコイルエンドよりも径方向外側や内側、さらには、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側などに無駄なスペースが生じている。特に、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に無駄なスペースが生じていると、回転電動機において、シャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、無駄なスペースを極力無くして、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シャフトに回転可能に支持されるとともに磁気的な凸極部を有するロータと、前記ロータの凸極部の径方向外側に配置され、前記シャフトに向かって突出する複数のステータティースを有するステータコアと、前記ステータティースに巻回され、前記シャフトの軸方向において前記ステータティースの端面からコイルエンドが突出するステータコイルと、界磁コイルの通電に伴い少なくとも前記ロータと前記ステータコアと共に界磁磁路を形成する磁路形成部材と、を備えた回転電機であって、前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側のうちの少なくとも一方に配置されていることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、例えば、界磁コイルがコイルエンドよりも径方向内側に配置されることで、回転電機において、コイルエンドよりも径方向内側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、界磁コイルを配置しても回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が大型化することがない。
【0009】
また、例えば、界磁コイルがコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置されることで、回転電機において、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる。
【0010】
また、例えば、界磁コイルがコイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置されることで、コイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができる。そして、コイルエンドよりも径方向内側に界磁コイルが配置されている分、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルのシャフトの軸方向への体格を小型化することができ、回転電機全体として、シャフトの軸方向への体格を小型化することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置されていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1における界磁コイルがコイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置されている場合の効果と同様な効果を得ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向外側にさらに配置されていることを要旨とする。
この発明によれば、界磁コイルがコイルエンドよりも径方向外側に配置されることで、回転電機において、コイルエンドよりも径方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができる。特に、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に界磁コイルが配置されている場合、コイルエンドよりも径方向外側に界磁コイルが配置されている分、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルのシャフトの軸方向への体格を小型化することができ、回転電機全体として、シャフトの軸方向への体格を小型化することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記コイルエンドよりも径方向内側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向内側巻装部と、前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、例えば、コイルエンドよりも径方向内側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビンを配置するだけで、コイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に界磁コイルを配置することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部と、前記コイルエンドよりも径方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、例えば、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンドよりも径方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビンを配置するだけで、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側、及びコイルエンドよりも径方向外側に界磁コイルを配置することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、無駄なスペースを極力無くして、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態におけるモータの側断面図。
【図2】コアバック、ステータ及びロータの縦断面図。
【図3】第2の実施形態におけるモータの側断面図。
【図4】別の実施形態におけるモータの側断面図。
【図5】別の実施形態におけるモータの側断面図。
【図6】別の実施形態におけるモータの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を回転電機としてのモータ(回転電動機)に具体化した第1の実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0021】
図1に示すように、モータ10のハウジング11は、円筒状のコアバック12と、コアバック12の一端(図1の左端)に連結された有底円筒状の第1ハウジング13と、コアバック12の他端(図1の右端)に連結された有底円筒状の第2ハウジング14とからなる。第1ハウジング13及び第2ハウジング14は非磁性材料からなる。コアバック12は磁性材料からなるとともに、本実施形態では粉末成形磁性体(SMC:Soft Magnetic Composites)から形成されている。第1ハウジング13の底壁には貫通孔13aが形成されている。ハウジング11内には、主電動機部Mが収容されている。
【0022】
コアバック12内には主電動機部Mの一部を構成するシャフト15が収容されている。シャフト15は、軟磁性材料(例えば鉄やケイ素鋼等)から形成されるとともに略円柱状をなしている。シャフト15は、第1ハウジング13及び第2ハウジング14にベアリング16,17を介して回転可能に支持されている。シャフト15の一端(図1の左端)は貫通孔13aを介してハウジング11外へ突出している。
【0023】
コアバック12の内周面には主電動機部Mの一部を構成するステータ20(固定子)が固定されている。ステータ20は、コアバック12の内周面に固定された円環状のステータコア21と、ステータコイル22とから構成されている。コアバック12は、ステータコア21の外周面を全周に亘って覆うとともに、ステータコア21の外周面とコアバック12の内周面とは密着されている。このため、ステータコア21とコアバック12とは磁気的に接続されている。ステータコア21は、複数枚の鋼板をシャフト15の軸線Lに沿った方向(シャフト15の軸方向)に積層して構成されている。
【0024】
ステータコア21には、シャフト15に向けて突出する複数のステータティース21aがステータコア21の周方向に等間隔おきで設けられている。各ステータティース21aの先端面はいずれも同一周面上に位置している。各ステータティース21aには、絶縁性樹脂材料よりなるステータコイル用ボビン22bが装着されている。そして、ステータコイル22は、導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がステータコイル用ボビン22bに巻回されて形成されている。なお、ステータコイル22は、U相、V相及びW相のいずれかとされており、それぞれ位相の異なる電流が供給されることにより、回転磁界を発生させるようになっている。
【0025】
ステータ20の内側には主電動機部Mの一部を構成するロータ30(回転子)が設けられている。ロータ30は、シャフト15に止着されたロータコア31を有している。ロータコア31は、シャフト15の軸線L周りでシャフト15と一体的に回転可能になっている。シャフト15の外周面とロータコア31の内周面とは密着されている。このため、シャフト15とロータコア31とは磁気的に接続されている。ロータコア31は、軟磁性材料からなる複数枚の鋼板をシャフト15の軸方向に積層して構成されている。よって、ロータコア31内において、磁束がシャフト15の軸方向よりも軸線Lに直交するロータコア31の径方向及び周方向へ流れ易くなっている。
【0026】
また、ロータコア31におけるシャフト15の軸方向の長さは、ステータコア21におけるシャフト15の軸方向の長さと同じになっている。ステータコイル22は、シャフト15の軸方向においてステータティース21aの端面からコイルエンド22eが突出している。よって、シャフト15の軸方向におけるステータコイル22のコイルエンド22eの両端は、ロータコア31の両端よりも外側に突出している。また、ハウジング11内において、一端側(第1ハウジング13側)のコイルエンド22eよりも第1ハウジング13側には、各相のステータコイル22の渡り線(図示せず)が通過する渡り線領域W(図1において二点鎖線で示す)が設けられている。
【0027】
図2に示すように、ロータコア31は、径方向外側へ向けて突出する凸極部としての複数のロータティース31aが、ロータコア31の周方向に等間隔おきで設けられている。各ロータティース31aの先端面はいずれも同一周面上に位置している。各ロータティース31aの先端面とステータティース21aの先端面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、ロータティース31aとステータティース21aとはこの隙間を介して磁気的に接続されている。
【0028】
したがって、本実施形態では、シャフト15、ステータ20及びロータ30により主電動機部Mが構成されている。
図1に示すように、コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも一端側には、界磁磁束を発生させるための第1界磁極41が配設されている。第1界磁極41は、円環状の界磁コアとしての第1界磁コア42と界磁コイルとしての第1界磁コイル43、第2界磁コイル44及び第3界磁コイル45とから構成されている。第1界磁コア42は、磁性材料からなる複数枚の鋼板をシャフト15の軸方向に積層して構成されている。
【0029】
第1界磁コア42は、第1界磁コア42の外周部42bがコアバック12の一端開口部に凹設された圧入凹部12aに圧入されることで、コアバック12に固定されている。第1界磁コア42がコアバック12に固定された状態において、第1界磁コア42の外周部42bはコアバック12に対して密着されている。このため、第1界磁コア42とコアバック12とは磁気的に接続されている。また、第1界磁コア42の内側にはシャフト15が挿通されており、第1界磁コア42の内周面とシャフト15の外周面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、第1界磁コア42とシャフト15とはこの隙間を介して磁気的に接続されている。
【0030】
コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも他端側には、界磁磁束を発生させるための第2界磁極51が配設されている。第2界磁極51は、円環状の界磁コアとしての第2界磁コア52と界磁コイルとしての第4界磁コイル53,第5界磁コイル54及び第6界磁コイル55とから構成されている。第2界磁コア52は、磁性材料からなる複数枚の鋼板を軸線Lに沿った方向に積層して構成されている。
【0031】
第2界磁コア52は、第2界磁コア52の外周部52bがコアバック12の他端開口部に凹設された圧入凹部12bに圧入されることで、コアバック12に固定されている。第2界磁コア52がコアバック12に固定された状態において、第2界磁コア52の外周部52bはコアバック12に対して密着されている。このため、第2界磁コア52とコアバック12とは磁気的に接続されている。また、第2界磁コア52の内側にはシャフト15が挿通されており、第2界磁コア52の内周面とシャフト15の外周面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、第2界磁コア52とシャフト15とはこの隙間を介して磁気的に接続されている。
【0032】
コアバック12内において、第1界磁コア42における第1ハウジング13とは反対側の端面42aからステータコア21の一端部までの距離H1は、第2界磁コア52における第2ハウジング14とは反対側の端面52aからステータコア21の他端部までの距離H2に比べて、渡り線領域Wが存在する分だけ長くなっている。
【0033】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第1界磁コイル用ボビン46が固着されている。第1界磁コイル用ボビン46は、第1界磁コア42の端面42aからステータコア21の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第1胴部46aと、第1胴部46aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部46b,46cとから構成されている。そして、第1胴部46a及び一対の鍔部46b,46cにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部46Aが形成されている。
【0034】
第1界磁コイル43は、径方向外側巻装部46Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第1界磁コイル43は、径方向外側巻装部46Aに巻装された状態において、その一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0035】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第2界磁コイル用ボビン47が固着されている。第2界磁コイル用ボビン47は、第1界磁コア42の端面42aからロータコア31の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第2胴部47aを有している。また、第2界磁コイル用ボビン47は、第2胴部47aの一端開口部から径方向外側に向けて第1胴部46aの内周面の手前まで延びる円環状の一端側鍔部47bと、第2胴部47aの他端開口部から径方向外側に向けてステータコイル用ボビン22bにおけるシャフト15側の面の手前まで延びる円環状の他端側鍔部47cとを有している。さらに、第2界磁コイル用ボビン47は、一端側鍔部47bと他端側鍔部47cとの間に位置し、且つ第2胴部47aの外周面から径方向外側に向けて第1胴部46aの内周面の手前まで延びる円環状の仕切鍔部47dを有している。一端側鍔部47bの径方向に沿った長さと、仕切鍔部47dの径方向に沿った長さは同じになっている。
【0036】
そして、第2胴部47aの一部、一端側鍔部47b及び仕切鍔部47dにより、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部47Aが形成されている。また、第2胴部47aの一部、他端側鍔部47c及び仕切鍔部47dにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部47Bが形成されている。すなわち、第2界磁コイル用ボビン47は、軸方向外側巻装部47Aと径方向内側巻装部47Bとが一体化された構成になっている。
【0037】
第2界磁コイル44は、軸方向外側巻装部47Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第2界磁コイル44は、軸方向外側巻装部47Aに巻装された状態において、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第3界磁コイル45は、径方向内側巻装部47Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第3界磁コイル45は、径方向内側巻装部47Bに巻装された状態において、その一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0038】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第3界磁コイル用ボビン56が固着されている。第3界磁コイル用ボビン56は、第2界磁コア52の端面52aからステータコア21の他端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第3胴部56aと、第3胴部56aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部56b,56cとから構成されている。第3胴部56aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さは、第1胴部46aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さよりも短くなっている。そして、第3胴部56a及び一対の鍔部56b,56cにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部56Aが形成されている。
【0039】
第4界磁コイル53は、径方向外側巻装部56Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第4界磁コイル53は、径方向外側巻装部56Aに巻装された状態において、その一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0040】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第4界磁コイル用ボビン57が固着されている。第4界磁コイル用ボビン57は、第2界磁コア52の端面52aからロータコア31の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第4胴部57aを有している。第4胴部57aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さは、第2胴部47aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さよりも短くなっている。
【0041】
また、第4界磁コイル用ボビン57は、第4胴部57aの一端開口部から径方向外側に向けて第3胴部56aの内周面の手前まで延びる円環状の一端側鍔部57bと、第4胴部57aの他端開口部から径方向外側に向けてステータコイル用ボビン22bにおけるシャフト15側の面の手前まで延びる円環状の他端側鍔部57cとを有している。さらに、第4界磁コイル用ボビン57は、一端側鍔部57bと他端側鍔部57cとの間に位置し、且つ第4胴部57aの外周面から径方向外側に向けて第3胴部56aの内周面の手前まで延びる円環状の仕切鍔部57dを有している。一端側鍔部57bの径方向に沿った長さと、仕切鍔部57dの径方向に沿った長さは同じになっている。
【0042】
そして、第4胴部57aの一部、一端側鍔部57b及び仕切鍔部57dにより、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部57Aが形成されている。また、第4胴部57aの一部、他端側鍔部57c及び仕切鍔部57dにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部57Bが形成されている。すなわち、第4界磁コイル用ボビン57は、軸方向外側巻装部57Aと径方向内側巻装部57Bとが一体化された構成になっている。
【0043】
第5界磁コイル54は、軸方向外側巻装部57Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第5界磁コイル54は、軸方向外側巻装部57Aに巻装された状態において、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第6界磁コイル55は、径方向内側巻装部57Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第6界磁コイル55は、径方向内側巻装部57Bに巻装された状態において、その一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0044】
次に、本実施形態のモータ10の作用について、各界磁コイル43,44,45,53,54,55に電流が供給された際に形成される磁路(界磁磁束の流れ)を中心に説明する。尚、ハウジング11の外周面には、各界磁コイル43,44,45,53,54,55に電流を供給するための端子台(図示せず)が設けられており、各界磁コイル43,44,45,53,54,55の導線の始端はハウジング11外部へ引き出されて端子台に電気的に接続されている。
【0045】
各界磁コイル43,44,45に電流が供給されることにより第1界磁コア42に発生された界磁磁束は、矢印Y1に示すようにシャフト15に向かって流れる。そして、界磁磁束は、磁気的空隙(ギャップ)を通してシャフト15に流れる。さらに、界磁磁束は、矢印Y2に示すようにシャフト15内をシャフト15の軸方向に流れ、矢印Y3に示すようにシャフト15の軸線Lに直交する方向へ流れてロータコア31(ロータティース31a)を外径側に流れてステータコア21(ステータティース21a)を通過する。さらに、界磁磁束は、矢印Y4に示すようにコアバック12を第1界磁極41へ向かって誘導される。
【0046】
このようにして、第1界磁コア42、シャフト15、ロータ30、ステータ20及びコアバック12による界磁磁路が形成される。よって、本実施形態では、コアバック12、シャフト15及び第1界磁コア42は、ロータ30及びステータ20と共に界磁磁路を形成する磁路形成部材として機能する。
【0047】
同様に、各界磁コイル53,54,55に電流が供給されることにより第2界磁コア52に発生された界磁磁束は、矢印Y11に示すようにシャフト15に向かって流れる。そして、界磁磁束は、磁気的空隙(ギャップ)を通してシャフト15に流れる。さらに、界磁磁束は、矢印Y12に示すようにシャフト15内をシャフト15の軸方向に流れ、矢印Y13に示すようにシャフト15の軸線Lに直交する方向へ流れてロータコア31(ロータティース31a)を外径側に流れてステータコア21(ステータティース21a)を通過する。さらに、界磁磁束は、矢印Y14に示すようにコアバック12を第2界磁極51へ向かって誘導される。
【0048】
このようにして、第2界磁コア52、シャフト15、ロータ30、ステータ20及びコアバック12による界磁磁路が形成される。よって、本実施形態では、コアバック12、シャフト15及び第2界磁コア52は、ロータ30及びステータ20と共に界磁磁路を形成する磁路形成部材として機能する。
【0049】
このように、本実施形態のモータ10では、環状(ループ状)の磁路(界磁磁束の流れ)が形成され、ロータ30のロータティース31aは、界磁磁束によってN極の極性を持つことになり、ロータティース31a(界磁磁束)が、永久磁石同期モータにおけるロータに配設された永久磁石と同様の働きを持つことになる。
【0050】
また、本実施形態のモータ10では、各界磁コイル43,44,45,53,54,55に流す電流量を増加させることで界磁磁束を増加させ、より大きなトルクを得ることができる。その一方で、本実施形態のモータ10では、高速回転時において各界磁コイル43,44,45,53,54,55に流す電流量を減少させることで界磁磁束を減少させ、最大回転数を向上させることができる。すなわち、本実施形態のモータ10では、強め界磁制御のみによって最大トルク及び最大回転数を向上させることができる。したがって、本実施形態のモータ10では、ロータ30に永久磁石を配設した場合に必要な弱め界磁制御が不要となり、その構成を簡略化できる。
【0051】
また、第1界磁コア42及び第2界磁コア52に界磁磁束を発生させるために必要な各界磁コイル43,44,45,53,54,55が、ハウジング11内において、コイルエンド22eよりも径方向内側、外側、及びシャフト15の軸方向外側を利用してそれぞれ配置されている。すなわち、ハウジング11内に生じる無駄なスペースを有効利用して各界磁コイル43,44,45,53,54,55が配置されているため、モータ10におけるシャフト15の軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことが回避されている。
【0052】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第3界磁コイル45の一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されるとともに、第6界磁コイル55の一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。よって、モータ10において、コイルエンド22eよりも径方向内側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、各界磁コイル45,55を配置してもモータ10におけるシャフト15の軸方向への体格が大型化することがない。また、第2界磁コイル44が一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されるとともに、第5界磁コイル54が他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。よって、モータ10において、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、モータ10におけるシャフト15の軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる。
【0053】
(2)コイルエンド22eよりも径方向内側に各界磁コイル45,55が配置されている分、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される各界磁コイル44,54のシャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。よって、モータ10全体として、シャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。
【0054】
(3)第1界磁コイル43の一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されるとともに、第4界磁コイル53の一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。よって、コイルエンド22eよりも径方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができるとともに、コイルエンド22eよりも径方向外側に各界磁コイル43,53が配置されている分、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される各界磁コイル44,54のシャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。その結果、モータ10全体として、シャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。
【0055】
(4)第2界磁コイル用ボビン47は、軸方向外側巻装部47Aと径方向内側巻装部47Bとが一体化された構成になっているとともに、第4界磁コイル用ボビン57は、軸方向外側巻装部57Aと径方向内側巻装部57Bとが一体化された構成になっている。よって、例えば、コイルエンド22eよりも径方向内側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビン47,57を配置するだけで、コイルエンド22eよりも径方向内側、及びコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に各界磁コイル44,45,54,55を配置することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
以下、本発明を回転電機としてのモータ(回転電動機)に具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0057】
図3に示すように、コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも一端側には、界磁磁束を発生させるための第3界磁極61が配設されている。第3界磁極61は、第1界磁コア42と界磁コイルとしての第7界磁コイル63、第8界磁コイル64及び第9界磁コイル65とから構成されている。
【0058】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第5界磁コイル用ボビン66が固着されている。第5界磁コイル用ボビン66は、第1界磁コア42の端面42aから渡り線領域Wにおける最も第1ハウジング13側の位置までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第5胴部66aを有している。また、第5界磁コイル用ボビン66は、第5胴部66aの一端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一端側鍔部66bと、第5胴部66aの他端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の他端側鍔部66cとを有している。さらに、第5界磁コイル用ボビン66は、他端側鍔部66cからステータコア21の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第6胴部66dを有している。また、第5界磁コイル用ボビン66は、第6胴部66dの先端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の先端側鍔部66eを有している。
【0059】
そして、第5胴部66a、一端側鍔部66b及び他端側鍔部66cにより、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部66Aが形成されている。また、第6胴部66d、他端側鍔部66cの一部及び先端側鍔部66eにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部66Bが形成されている。すなわち、第5界磁コイル用ボビン66は、軸方向外側巻装部66Aと径方向外側巻装部66Bとが一体化された構成になっている。
【0060】
第7界磁コイル63は、軸方向外側巻装部66Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第7界磁コイル63は、軸方向外側巻装部66Aに巻装された状態において、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第8界磁コイル64は、径方向外側巻装部66Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第8界磁コイル64は、径方向外側巻装部66Bに巻装された状態において、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0061】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第6界磁コイル用ボビン67が固着されている。第6界磁コイル用ボビン67は、第1界磁コア42の端面42aからロータコア31の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第7胴部67aと、第7胴部67aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部67b,67cとから構成されている。そして、第7胴部67a及び一対の鍔部67b,67cにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部67Aが形成されている。
【0062】
第9界磁コイル65は、径方向内側巻装部67Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第9界磁コイル65は、径方向内側巻装部67Aに巻装された状態において、その一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0063】
コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも他端側には、界磁磁束を発生させるための第4界磁極71が配設されている。第4界磁極71は、第2界磁コア52と界磁コイルとしての第10界磁コイル73、第11界磁コイル74及び第12界磁コイル75とから構成されている。
【0064】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第7界磁コイル用ボビン76が固着されている。第7界磁コイル用ボビン76は、第2界磁コア52の端面52aからコイルエンド22eに向けてシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第8胴部76aを有している。また、第7界磁コイル用ボビン76は、第8胴部76aの一端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一端側鍔部76bと、第8胴部76aの他端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の他端側鍔部76cとを有している。さらに、第7界磁コイル用ボビン76は、他端側鍔部76cからステータコア21の他端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第9胴部76dを有している。また、第7界磁コイル用ボビン76は、第9胴部76dの先端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の先端側鍔部76eを有している。
【0065】
そして、第8胴部76a、一端側鍔部76b及び他端側鍔部76cにより、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部76Aが形成されている。また、第9胴部76d、他端側鍔部76cの一部及び先端側鍔部76eにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部76Bが形成されている。すなわち、第7界磁コイル用ボビン76は、軸方向外側巻装部76Aと径方向外側巻装部76Bとが一体化された構成になっている。
【0066】
第10界磁コイル73は、軸方向外側巻装部76Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第10界磁コイル73は、軸方向外側巻装部76Aに巻装された状態において、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第11界磁コイル74は、径方向外側巻装部76Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第11界磁コイル74は、径方向外側巻装部76Bに巻装された状態において、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0067】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第8界磁コイル用ボビン77が固着されている。第8界磁コイル用ボビン77は、第2界磁コア52の端面52aからロータコア31の他端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第10胴部77aと、第10胴部77aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部77b,77cとから構成されている。そして、第10胴部77a及び一対の鍔部77b,77cにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部77Aが形成されている。
【0068】
第12界磁コイル75は、径方向内側巻装部77Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第12界磁コイル75は、径方向内側巻装部77Aに巻装された状態において、その一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0069】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(5)第5界磁コイル用ボビン66は、軸方向外側巻装部66Aと径方向外側巻装部66Bとが一体化された構成になっているとともに、第7界磁コイル用ボビン76は、軸方向外側巻装部76Aと径方向外側巻装部76Bとが一体化された構成になっている。よって、例えば、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンド22eよりも径方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビン66,76を配置するだけで、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側、及びコイルエンド22eよりも径方向外側に各界磁コイル63,64,73,74を配置することができる。
【0070】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施形態において、図4に示すように、第2界磁コイル用ボビン47の一端側鍔部47bを第1界磁コイル用ボビン46の第1胴部46aの内周面に連結させて、第1界磁コイル用ボビン46と第2界磁コイル用ボビン47とを一体化させてもよい。同様に、第4界磁コイル用ボビン57の一端側鍔部57bを第3界磁コイル用ボビン56の第3胴部56aの内周面に連結させて、第3界磁コイル用ボビン56と第4界磁コイル用ボビン57とを一体化させてもよい。これによれば、一つの界磁コイル用ボビンを用いるだけで、コイルエンド22eよりも径方向内側、外側、及びコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側の全てのスペースに界磁コイル43,44,45,53,54,55を配置することができる。
【0071】
また、図5に示すように、第1胴部46a及び第2胴部47aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さが、第3胴部56a及び第4胴部57aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さと同じであってもよい。すなわち、コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも両端側に、同じ形状の界磁コイル用ボビンを配置してもよい。これによれば、一種類の界磁コイル用ボビンを用いるだけで、コイルエンド22eよりも径方向内側、外側、及びコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側の全てのスペースに界磁コイルを配置することができる。
【0072】
○ 第1の実施形態において、図6に示すように、第1界磁コイル用ボビン46及び第3界磁コイル用ボビン56を削除してもよい。つまり、コイルエンド22eよりも径方向外側に界磁コイルが配置されていなくてもよい。この場合、図6に示すように、第2界磁コイル用ボビン47の一端側鍔部47b及び仕切鍔部47dがコアバック12の内周面の手前まで径方向に沿って延びるように設けられているのが好ましい。同様に、第4界磁コイル用ボビン57の一端側鍔部57b及び仕切鍔部57dがコアバック12の内周面の手前まで径方向に沿って延びるように設けられているのが好ましい。このようにすることで、軸方向外側巻装部47A,57Aに巻回される導線の量を増やすことができる。
【0073】
○ 第1の実施形態において、第2界磁コイル用ボビン47は、軸方向外側巻装部47Aと径方向内側巻装部47Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部47Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向内側巻装部47Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。同様に、第4界磁コイル用ボビン57は、軸方向外側巻装部57Aと径方向内側巻装部57Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部57Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向内側巻装部57Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。
【0074】
○ 第2の実施形態において、第5界磁コイル用ボビン66は、軸方向外側巻装部66Aと径方向外側巻装部66Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部66Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向外側巻装部66Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。同様に、第7界磁コイル用ボビン76は、軸方向外側巻装部76Aと径方向外側巻装部76Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部76Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向外側巻装部76Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。
【0075】
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eの径方向内側のみに界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eのシャフト15の軸方向外側のみに界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
【0076】
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eの径方向内側、及びコイルエンド22eの径方向外側に界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eのシャフト15の軸方向外側、及びコイルエンド22eの径方向外側に界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
【0077】
○ 上記各実施形態において、ステータ20のステータティース21aの数は適宜変更してもよい。また、ロータ30のロータティース31aの数は適宜変更してもよい。
○ 上記各実施形態において、ロータコア31は、鋼板(電磁鋼板)を複数枚積層して構成が、これに限らず、ロータコア31をSMCや鉄塊などの磁性体で構成してもよい。同様に、各界磁コア42,52もSMCや鉄塊などの磁性体で構成してもよい。
【0078】
○ 上記各実施形態において、各界磁極41,61のみ、あるいは、各界磁極51,71のみ設けてもよい。すなわち、軸線L方向の片側のみに界磁極を設けてもよい。
○ 上記各実施形態において、シャフト15を介して界磁磁路を形成したが、これに限らず、シャフト15を介さずに界磁磁路を形成してもよい。シャフト15に、シャフト15よりも磁気抵抗の小さい磁性体を設けて界磁磁路としてもよい。磁性体としては例えばSMCなどでもよい。
【0079】
○ 上記各実施形態において、凸極部としてのロータティース31aは形状的に凸形状であったが、この構成に限らず、磁気的に凸極性があればよい。例えば、ロータティースの先端のみが隣接するロータティースと連結されていたり、ロータティース間の凹部が非磁性体で埋められたりして、全体としてロータが円筒状でもよい。
【0080】
○ 上記各実施形態では回転電機としてモータ10に具体化したが、これに限ることなく発電機として用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…回転電機としてのモータ、12…磁路形成部材としてのコアバック、15…シャフト、21…ステータコア、21a…ステータティース、22…ステータコイル、22e…コイルエンド、30…ロータ、31a…凸極部としてのロータティース、42…磁路形成部材としての第1界磁コア、43,44,45,53,54,55,63,64,65,73,74,75…界磁コイル、46,47,56,57,66,67,76,77…界磁コイル用ボビン、46A,56A,66B,76B…径方向外側巻装部、47A,57A,66A,76A…軸方向外側巻装部、47B,57B,67A,77A…径方向内側巻装部、52…磁路形成部材としての第2界磁コア。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、永久磁石をロータに配設した永久磁石同期モータは、電気自動車やハイブリッド自動車などの様々な分野で駆動源として利用されている。このような永久磁石同期モータにおいて、強め界磁制御を行うことによって大きなトルクを得る一方で、弱め界磁制御を行うことによってステータとロータとの間に生じる磁束量を低減して、最大回転数を向上させることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の回転電動機は、ロータと、界磁ヨーク(界磁極)と、界磁コイルとを備えている。そして、界磁コイルに電流を供給することで、ロータ、ステータ及び界磁ヨークにより環状の磁路が形成される。そして、界磁コイルに供給される電流量を調整して、ロータを通過する磁束量を調整することで、強め界磁制御及び弱め界磁制御を可能とし、大きなトルクを得られるとともに最大回転数を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−43099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回転電動機においては、ステータティースに巻回されたステータコイルのコイルエンドよりも径方向外側や内側、さらには、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側などに無駄なスペースが生じている。特に、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に無駄なスペースが生じていると、回転電動機において、シャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、無駄なスペースを極力無くして、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シャフトに回転可能に支持されるとともに磁気的な凸極部を有するロータと、前記ロータの凸極部の径方向外側に配置され、前記シャフトに向かって突出する複数のステータティースを有するステータコアと、前記ステータティースに巻回され、前記シャフトの軸方向において前記ステータティースの端面からコイルエンドが突出するステータコイルと、界磁コイルの通電に伴い少なくとも前記ロータと前記ステータコアと共に界磁磁路を形成する磁路形成部材と、を備えた回転電機であって、前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側のうちの少なくとも一方に配置されていることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、例えば、界磁コイルがコイルエンドよりも径方向内側に配置されることで、回転電機において、コイルエンドよりも径方向内側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、界磁コイルを配置しても回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が大型化することがない。
【0009】
また、例えば、界磁コイルがコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置されることで、回転電機において、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる。
【0010】
また、例えば、界磁コイルがコイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置されることで、コイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができる。そして、コイルエンドよりも径方向内側に界磁コイルが配置されている分、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルのシャフトの軸方向への体格を小型化することができ、回転電機全体として、シャフトの軸方向への体格を小型化することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置されていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1における界磁コイルがコイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置されている場合の効果と同様な効果を得ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向外側にさらに配置されていることを要旨とする。
この発明によれば、界磁コイルがコイルエンドよりも径方向外側に配置されることで、回転電機において、コイルエンドよりも径方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができる。特に、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に界磁コイルが配置されている場合、コイルエンドよりも径方向外側に界磁コイルが配置されている分、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルのシャフトの軸方向への体格を小型化することができ、回転電機全体として、シャフトの軸方向への体格を小型化することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記コイルエンドよりも径方向内側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向内側巻装部と、前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、例えば、コイルエンドよりも径方向内側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビンを配置するだけで、コイルエンドよりも径方向内側、及びコイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に界磁コイルを配置することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部と、前記コイルエンドよりも径方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、例えば、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンドよりも径方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビンを配置するだけで、コイルエンドよりもシャフトの軸方向外側、及びコイルエンドよりも径方向外側に界磁コイルを配置することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、無駄なスペースを極力無くして、回転電機におけるシャフトの軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態におけるモータの側断面図。
【図2】コアバック、ステータ及びロータの縦断面図。
【図3】第2の実施形態におけるモータの側断面図。
【図4】別の実施形態におけるモータの側断面図。
【図5】別の実施形態におけるモータの側断面図。
【図6】別の実施形態におけるモータの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を回転電機としてのモータ(回転電動機)に具体化した第1の実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0021】
図1に示すように、モータ10のハウジング11は、円筒状のコアバック12と、コアバック12の一端(図1の左端)に連結された有底円筒状の第1ハウジング13と、コアバック12の他端(図1の右端)に連結された有底円筒状の第2ハウジング14とからなる。第1ハウジング13及び第2ハウジング14は非磁性材料からなる。コアバック12は磁性材料からなるとともに、本実施形態では粉末成形磁性体(SMC:Soft Magnetic Composites)から形成されている。第1ハウジング13の底壁には貫通孔13aが形成されている。ハウジング11内には、主電動機部Mが収容されている。
【0022】
コアバック12内には主電動機部Mの一部を構成するシャフト15が収容されている。シャフト15は、軟磁性材料(例えば鉄やケイ素鋼等)から形成されるとともに略円柱状をなしている。シャフト15は、第1ハウジング13及び第2ハウジング14にベアリング16,17を介して回転可能に支持されている。シャフト15の一端(図1の左端)は貫通孔13aを介してハウジング11外へ突出している。
【0023】
コアバック12の内周面には主電動機部Mの一部を構成するステータ20(固定子)が固定されている。ステータ20は、コアバック12の内周面に固定された円環状のステータコア21と、ステータコイル22とから構成されている。コアバック12は、ステータコア21の外周面を全周に亘って覆うとともに、ステータコア21の外周面とコアバック12の内周面とは密着されている。このため、ステータコア21とコアバック12とは磁気的に接続されている。ステータコア21は、複数枚の鋼板をシャフト15の軸線Lに沿った方向(シャフト15の軸方向)に積層して構成されている。
【0024】
ステータコア21には、シャフト15に向けて突出する複数のステータティース21aがステータコア21の周方向に等間隔おきで設けられている。各ステータティース21aの先端面はいずれも同一周面上に位置している。各ステータティース21aには、絶縁性樹脂材料よりなるステータコイル用ボビン22bが装着されている。そして、ステータコイル22は、導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がステータコイル用ボビン22bに巻回されて形成されている。なお、ステータコイル22は、U相、V相及びW相のいずれかとされており、それぞれ位相の異なる電流が供給されることにより、回転磁界を発生させるようになっている。
【0025】
ステータ20の内側には主電動機部Mの一部を構成するロータ30(回転子)が設けられている。ロータ30は、シャフト15に止着されたロータコア31を有している。ロータコア31は、シャフト15の軸線L周りでシャフト15と一体的に回転可能になっている。シャフト15の外周面とロータコア31の内周面とは密着されている。このため、シャフト15とロータコア31とは磁気的に接続されている。ロータコア31は、軟磁性材料からなる複数枚の鋼板をシャフト15の軸方向に積層して構成されている。よって、ロータコア31内において、磁束がシャフト15の軸方向よりも軸線Lに直交するロータコア31の径方向及び周方向へ流れ易くなっている。
【0026】
また、ロータコア31におけるシャフト15の軸方向の長さは、ステータコア21におけるシャフト15の軸方向の長さと同じになっている。ステータコイル22は、シャフト15の軸方向においてステータティース21aの端面からコイルエンド22eが突出している。よって、シャフト15の軸方向におけるステータコイル22のコイルエンド22eの両端は、ロータコア31の両端よりも外側に突出している。また、ハウジング11内において、一端側(第1ハウジング13側)のコイルエンド22eよりも第1ハウジング13側には、各相のステータコイル22の渡り線(図示せず)が通過する渡り線領域W(図1において二点鎖線で示す)が設けられている。
【0027】
図2に示すように、ロータコア31は、径方向外側へ向けて突出する凸極部としての複数のロータティース31aが、ロータコア31の周方向に等間隔おきで設けられている。各ロータティース31aの先端面はいずれも同一周面上に位置している。各ロータティース31aの先端面とステータティース21aの先端面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、ロータティース31aとステータティース21aとはこの隙間を介して磁気的に接続されている。
【0028】
したがって、本実施形態では、シャフト15、ステータ20及びロータ30により主電動機部Mが構成されている。
図1に示すように、コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも一端側には、界磁磁束を発生させるための第1界磁極41が配設されている。第1界磁極41は、円環状の界磁コアとしての第1界磁コア42と界磁コイルとしての第1界磁コイル43、第2界磁コイル44及び第3界磁コイル45とから構成されている。第1界磁コア42は、磁性材料からなる複数枚の鋼板をシャフト15の軸方向に積層して構成されている。
【0029】
第1界磁コア42は、第1界磁コア42の外周部42bがコアバック12の一端開口部に凹設された圧入凹部12aに圧入されることで、コアバック12に固定されている。第1界磁コア42がコアバック12に固定された状態において、第1界磁コア42の外周部42bはコアバック12に対して密着されている。このため、第1界磁コア42とコアバック12とは磁気的に接続されている。また、第1界磁コア42の内側にはシャフト15が挿通されており、第1界磁コア42の内周面とシャフト15の外周面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、第1界磁コア42とシャフト15とはこの隙間を介して磁気的に接続されている。
【0030】
コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも他端側には、界磁磁束を発生させるための第2界磁極51が配設されている。第2界磁極51は、円環状の界磁コアとしての第2界磁コア52と界磁コイルとしての第4界磁コイル53,第5界磁コイル54及び第6界磁コイル55とから構成されている。第2界磁コア52は、磁性材料からなる複数枚の鋼板を軸線Lに沿った方向に積層して構成されている。
【0031】
第2界磁コア52は、第2界磁コア52の外周部52bがコアバック12の他端開口部に凹設された圧入凹部12bに圧入されることで、コアバック12に固定されている。第2界磁コア52がコアバック12に固定された状態において、第2界磁コア52の外周部52bはコアバック12に対して密着されている。このため、第2界磁コア52とコアバック12とは磁気的に接続されている。また、第2界磁コア52の内側にはシャフト15が挿通されており、第2界磁コア52の内周面とシャフト15の外周面との間には僅かな隙間が形成されている。そして、第2界磁コア52とシャフト15とはこの隙間を介して磁気的に接続されている。
【0032】
コアバック12内において、第1界磁コア42における第1ハウジング13とは反対側の端面42aからステータコア21の一端部までの距離H1は、第2界磁コア52における第2ハウジング14とは反対側の端面52aからステータコア21の他端部までの距離H2に比べて、渡り線領域Wが存在する分だけ長くなっている。
【0033】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第1界磁コイル用ボビン46が固着されている。第1界磁コイル用ボビン46は、第1界磁コア42の端面42aからステータコア21の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第1胴部46aと、第1胴部46aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部46b,46cとから構成されている。そして、第1胴部46a及び一対の鍔部46b,46cにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部46Aが形成されている。
【0034】
第1界磁コイル43は、径方向外側巻装部46Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第1界磁コイル43は、径方向外側巻装部46Aに巻装された状態において、その一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0035】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第2界磁コイル用ボビン47が固着されている。第2界磁コイル用ボビン47は、第1界磁コア42の端面42aからロータコア31の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第2胴部47aを有している。また、第2界磁コイル用ボビン47は、第2胴部47aの一端開口部から径方向外側に向けて第1胴部46aの内周面の手前まで延びる円環状の一端側鍔部47bと、第2胴部47aの他端開口部から径方向外側に向けてステータコイル用ボビン22bにおけるシャフト15側の面の手前まで延びる円環状の他端側鍔部47cとを有している。さらに、第2界磁コイル用ボビン47は、一端側鍔部47bと他端側鍔部47cとの間に位置し、且つ第2胴部47aの外周面から径方向外側に向けて第1胴部46aの内周面の手前まで延びる円環状の仕切鍔部47dを有している。一端側鍔部47bの径方向に沿った長さと、仕切鍔部47dの径方向に沿った長さは同じになっている。
【0036】
そして、第2胴部47aの一部、一端側鍔部47b及び仕切鍔部47dにより、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部47Aが形成されている。また、第2胴部47aの一部、他端側鍔部47c及び仕切鍔部47dにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部47Bが形成されている。すなわち、第2界磁コイル用ボビン47は、軸方向外側巻装部47Aと径方向内側巻装部47Bとが一体化された構成になっている。
【0037】
第2界磁コイル44は、軸方向外側巻装部47Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第2界磁コイル44は、軸方向外側巻装部47Aに巻装された状態において、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第3界磁コイル45は、径方向内側巻装部47Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第3界磁コイル45は、径方向内側巻装部47Bに巻装された状態において、その一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0038】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第3界磁コイル用ボビン56が固着されている。第3界磁コイル用ボビン56は、第2界磁コア52の端面52aからステータコア21の他端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第3胴部56aと、第3胴部56aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部56b,56cとから構成されている。第3胴部56aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さは、第1胴部46aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さよりも短くなっている。そして、第3胴部56a及び一対の鍔部56b,56cにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部56Aが形成されている。
【0039】
第4界磁コイル53は、径方向外側巻装部56Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第4界磁コイル53は、径方向外側巻装部56Aに巻装された状態において、その一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0040】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第4界磁コイル用ボビン57が固着されている。第4界磁コイル用ボビン57は、第2界磁コア52の端面52aからロータコア31の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第4胴部57aを有している。第4胴部57aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さは、第2胴部47aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さよりも短くなっている。
【0041】
また、第4界磁コイル用ボビン57は、第4胴部57aの一端開口部から径方向外側に向けて第3胴部56aの内周面の手前まで延びる円環状の一端側鍔部57bと、第4胴部57aの他端開口部から径方向外側に向けてステータコイル用ボビン22bにおけるシャフト15側の面の手前まで延びる円環状の他端側鍔部57cとを有している。さらに、第4界磁コイル用ボビン57は、一端側鍔部57bと他端側鍔部57cとの間に位置し、且つ第4胴部57aの外周面から径方向外側に向けて第3胴部56aの内周面の手前まで延びる円環状の仕切鍔部57dを有している。一端側鍔部57bの径方向に沿った長さと、仕切鍔部57dの径方向に沿った長さは同じになっている。
【0042】
そして、第4胴部57aの一部、一端側鍔部57b及び仕切鍔部57dにより、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部57Aが形成されている。また、第4胴部57aの一部、他端側鍔部57c及び仕切鍔部57dにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部57Bが形成されている。すなわち、第4界磁コイル用ボビン57は、軸方向外側巻装部57Aと径方向内側巻装部57Bとが一体化された構成になっている。
【0043】
第5界磁コイル54は、軸方向外側巻装部57Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第5界磁コイル54は、軸方向外側巻装部57Aに巻装された状態において、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第6界磁コイル55は、径方向内側巻装部57Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第6界磁コイル55は、径方向内側巻装部57Bに巻装された状態において、その一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0044】
次に、本実施形態のモータ10の作用について、各界磁コイル43,44,45,53,54,55に電流が供給された際に形成される磁路(界磁磁束の流れ)を中心に説明する。尚、ハウジング11の外周面には、各界磁コイル43,44,45,53,54,55に電流を供給するための端子台(図示せず)が設けられており、各界磁コイル43,44,45,53,54,55の導線の始端はハウジング11外部へ引き出されて端子台に電気的に接続されている。
【0045】
各界磁コイル43,44,45に電流が供給されることにより第1界磁コア42に発生された界磁磁束は、矢印Y1に示すようにシャフト15に向かって流れる。そして、界磁磁束は、磁気的空隙(ギャップ)を通してシャフト15に流れる。さらに、界磁磁束は、矢印Y2に示すようにシャフト15内をシャフト15の軸方向に流れ、矢印Y3に示すようにシャフト15の軸線Lに直交する方向へ流れてロータコア31(ロータティース31a)を外径側に流れてステータコア21(ステータティース21a)を通過する。さらに、界磁磁束は、矢印Y4に示すようにコアバック12を第1界磁極41へ向かって誘導される。
【0046】
このようにして、第1界磁コア42、シャフト15、ロータ30、ステータ20及びコアバック12による界磁磁路が形成される。よって、本実施形態では、コアバック12、シャフト15及び第1界磁コア42は、ロータ30及びステータ20と共に界磁磁路を形成する磁路形成部材として機能する。
【0047】
同様に、各界磁コイル53,54,55に電流が供給されることにより第2界磁コア52に発生された界磁磁束は、矢印Y11に示すようにシャフト15に向かって流れる。そして、界磁磁束は、磁気的空隙(ギャップ)を通してシャフト15に流れる。さらに、界磁磁束は、矢印Y12に示すようにシャフト15内をシャフト15の軸方向に流れ、矢印Y13に示すようにシャフト15の軸線Lに直交する方向へ流れてロータコア31(ロータティース31a)を外径側に流れてステータコア21(ステータティース21a)を通過する。さらに、界磁磁束は、矢印Y14に示すようにコアバック12を第2界磁極51へ向かって誘導される。
【0048】
このようにして、第2界磁コア52、シャフト15、ロータ30、ステータ20及びコアバック12による界磁磁路が形成される。よって、本実施形態では、コアバック12、シャフト15及び第2界磁コア52は、ロータ30及びステータ20と共に界磁磁路を形成する磁路形成部材として機能する。
【0049】
このように、本実施形態のモータ10では、環状(ループ状)の磁路(界磁磁束の流れ)が形成され、ロータ30のロータティース31aは、界磁磁束によってN極の極性を持つことになり、ロータティース31a(界磁磁束)が、永久磁石同期モータにおけるロータに配設された永久磁石と同様の働きを持つことになる。
【0050】
また、本実施形態のモータ10では、各界磁コイル43,44,45,53,54,55に流す電流量を増加させることで界磁磁束を増加させ、より大きなトルクを得ることができる。その一方で、本実施形態のモータ10では、高速回転時において各界磁コイル43,44,45,53,54,55に流す電流量を減少させることで界磁磁束を減少させ、最大回転数を向上させることができる。すなわち、本実施形態のモータ10では、強め界磁制御のみによって最大トルク及び最大回転数を向上させることができる。したがって、本実施形態のモータ10では、ロータ30に永久磁石を配設した場合に必要な弱め界磁制御が不要となり、その構成を簡略化できる。
【0051】
また、第1界磁コア42及び第2界磁コア52に界磁磁束を発生させるために必要な各界磁コイル43,44,45,53,54,55が、ハウジング11内において、コイルエンド22eよりも径方向内側、外側、及びシャフト15の軸方向外側を利用してそれぞれ配置されている。すなわち、ハウジング11内に生じる無駄なスペースを有効利用して各界磁コイル43,44,45,53,54,55が配置されているため、モータ10におけるシャフト15の軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことが回避されている。
【0052】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第3界磁コイル45の一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されるとともに、第6界磁コイル55の一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。よって、モータ10において、コイルエンド22eよりも径方向内側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、各界磁コイル45,55を配置してもモータ10におけるシャフト15の軸方向への体格が大型化することがない。また、第2界磁コイル44が一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されるとともに、第5界磁コイル54が他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。よって、モータ10において、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができ、モータ10におけるシャフト15の軸方向への体格が無駄に大型化してしまうことを回避することができる。
【0053】
(2)コイルエンド22eよりも径方向内側に各界磁コイル45,55が配置されている分、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される各界磁コイル44,54のシャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。よって、モータ10全体として、シャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。
【0054】
(3)第1界磁コイル43の一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されるとともに、第4界磁コイル53の一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。よって、コイルエンド22eよりも径方向外側に生じる無駄なスペースを有効利用することができるとともに、コイルエンド22eよりも径方向外側に各界磁コイル43,53が配置されている分、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される各界磁コイル44,54のシャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。その結果、モータ10全体として、シャフト15の軸方向への体格を小型化することができる。
【0055】
(4)第2界磁コイル用ボビン47は、軸方向外側巻装部47Aと径方向内側巻装部47Bとが一体化された構成になっているとともに、第4界磁コイル用ボビン57は、軸方向外側巻装部57Aと径方向内側巻装部57Bとが一体化された構成になっている。よって、例えば、コイルエンド22eよりも径方向内側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビン47,57を配置するだけで、コイルエンド22eよりも径方向内側、及びコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に各界磁コイル44,45,54,55を配置することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
以下、本発明を回転電機としてのモータ(回転電動機)に具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0057】
図3に示すように、コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも一端側には、界磁磁束を発生させるための第3界磁極61が配設されている。第3界磁極61は、第1界磁コア42と界磁コイルとしての第7界磁コイル63、第8界磁コイル64及び第9界磁コイル65とから構成されている。
【0058】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第5界磁コイル用ボビン66が固着されている。第5界磁コイル用ボビン66は、第1界磁コア42の端面42aから渡り線領域Wにおける最も第1ハウジング13側の位置までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第5胴部66aを有している。また、第5界磁コイル用ボビン66は、第5胴部66aの一端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一端側鍔部66bと、第5胴部66aの他端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の他端側鍔部66cとを有している。さらに、第5界磁コイル用ボビン66は、他端側鍔部66cからステータコア21の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第6胴部66dを有している。また、第5界磁コイル用ボビン66は、第6胴部66dの先端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の先端側鍔部66eを有している。
【0059】
そして、第5胴部66a、一端側鍔部66b及び他端側鍔部66cにより、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部66Aが形成されている。また、第6胴部66d、他端側鍔部66cの一部及び先端側鍔部66eにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部66Bが形成されている。すなわち、第5界磁コイル用ボビン66は、軸方向外側巻装部66Aと径方向外側巻装部66Bとが一体化された構成になっている。
【0060】
第7界磁コイル63は、軸方向外側巻装部66Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第7界磁コイル63は、軸方向外側巻装部66Aに巻装された状態において、一端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第8界磁コイル64は、径方向外側巻装部66Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第8界磁コイル64は、径方向外側巻装部66Bに巻装された状態において、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0061】
第1界磁コア42の端面42aには、界磁コイル用ボビンとしての第6界磁コイル用ボビン67が固着されている。第6界磁コイル用ボビン67は、第1界磁コア42の端面42aからロータコア31の一端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第7胴部67aと、第7胴部67aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部67b,67cとから構成されている。そして、第7胴部67a及び一対の鍔部67b,67cにより、一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部67Aが形成されている。
【0062】
第9界磁コイル65は、径方向内側巻装部67Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第9界磁コイル65は、径方向内側巻装部67Aに巻装された状態において、その一部が一端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0063】
コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも他端側には、界磁磁束を発生させるための第4界磁極71が配設されている。第4界磁極71は、第2界磁コア52と界磁コイルとしての第10界磁コイル73、第11界磁コイル74及び第12界磁コイル75とから構成されている。
【0064】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第7界磁コイル用ボビン76が固着されている。第7界磁コイル用ボビン76は、第2界磁コア52の端面52aからコイルエンド22eに向けてシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第8胴部76aを有している。また、第7界磁コイル用ボビン76は、第8胴部76aの一端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一端側鍔部76bと、第8胴部76aの他端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の他端側鍔部76cとを有している。さらに、第7界磁コイル用ボビン76は、他端側鍔部76cからステータコア21の他端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第9胴部76dを有している。また、第7界磁コイル用ボビン76は、第9胴部76dの先端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の先端側鍔部76eを有している。
【0065】
そして、第8胴部76a、一端側鍔部76b及び他端側鍔部76cにより、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に位置する軸方向外側巻装部76Aが形成されている。また、第9胴部76d、他端側鍔部76cの一部及び先端側鍔部76eにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に位置する径方向外側巻装部76Bが形成されている。すなわち、第7界磁コイル用ボビン76は、軸方向外側巻装部76Aと径方向外側巻装部76Bとが一体化された構成になっている。
【0066】
第10界磁コイル73は、軸方向外側巻装部76Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第10界磁コイル73は、軸方向外側巻装部76Aに巻装された状態において、他端側のコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置されている。第11界磁コイル74は、径方向外側巻装部76Bに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第11界磁コイル74は、径方向外側巻装部76Bに巻装された状態において、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向外側に配置されている。
【0067】
第2界磁コア52の端面52aには、界磁コイル用ボビンとしての第8界磁コイル用ボビン77が固着されている。第8界磁コイル用ボビン77は、第2界磁コア52の端面52aからロータコア31の他端面の手前までシャフト15の軸方向に沿って延びる円筒状の第10胴部77aと、第10胴部77aの両端開口部から径方向外側に向けて延びる円環状の一対の鍔部77b,77cとから構成されている。そして、第10胴部77a及び一対の鍔部77b,77cにより、一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に位置する径方向内側巻装部77Aが形成されている。
【0068】
第12界磁コイル75は、径方向内側巻装部77Aに導電性の金属材料(本実施形態では銅)よりなる導線がシャフト15の軸線L周りに複数回巻回されることで巻装されている。第12界磁コイル75は、径方向内側巻装部77Aに巻装された状態において、その一部が他端側のコイルエンド22eよりも径方向内側に配置されている。
【0069】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(5)第5界磁コイル用ボビン66は、軸方向外側巻装部66Aと径方向外側巻装部66Bとが一体化された構成になっているとともに、第7界磁コイル用ボビン76は、軸方向外側巻装部76Aと径方向外側巻装部76Bとが一体化された構成になっている。よって、例えば、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンと、コイルエンド22eよりも径方向外側に配置される界磁コイルを巻装するための界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置する必要が無い。つまり、一つの界磁コイル用ボビン66,76を配置するだけで、コイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側、及びコイルエンド22eよりも径方向外側に各界磁コイル63,64,73,74を配置することができる。
【0070】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施形態において、図4に示すように、第2界磁コイル用ボビン47の一端側鍔部47bを第1界磁コイル用ボビン46の第1胴部46aの内周面に連結させて、第1界磁コイル用ボビン46と第2界磁コイル用ボビン47とを一体化させてもよい。同様に、第4界磁コイル用ボビン57の一端側鍔部57bを第3界磁コイル用ボビン56の第3胴部56aの内周面に連結させて、第3界磁コイル用ボビン56と第4界磁コイル用ボビン57とを一体化させてもよい。これによれば、一つの界磁コイル用ボビンを用いるだけで、コイルエンド22eよりも径方向内側、外側、及びコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側の全てのスペースに界磁コイル43,44,45,53,54,55を配置することができる。
【0071】
また、図5に示すように、第1胴部46a及び第2胴部47aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さが、第3胴部56a及び第4胴部57aにおけるシャフト15の軸方向に沿った長さと同じであってもよい。すなわち、コアバック12内におけるステータ20及びロータ30よりも両端側に、同じ形状の界磁コイル用ボビンを配置してもよい。これによれば、一種類の界磁コイル用ボビンを用いるだけで、コイルエンド22eよりも径方向内側、外側、及びコイルエンド22eよりもシャフト15の軸方向外側の全てのスペースに界磁コイルを配置することができる。
【0072】
○ 第1の実施形態において、図6に示すように、第1界磁コイル用ボビン46及び第3界磁コイル用ボビン56を削除してもよい。つまり、コイルエンド22eよりも径方向外側に界磁コイルが配置されていなくてもよい。この場合、図6に示すように、第2界磁コイル用ボビン47の一端側鍔部47b及び仕切鍔部47dがコアバック12の内周面の手前まで径方向に沿って延びるように設けられているのが好ましい。同様に、第4界磁コイル用ボビン57の一端側鍔部57b及び仕切鍔部57dがコアバック12の内周面の手前まで径方向に沿って延びるように設けられているのが好ましい。このようにすることで、軸方向外側巻装部47A,57Aに巻回される導線の量を増やすことができる。
【0073】
○ 第1の実施形態において、第2界磁コイル用ボビン47は、軸方向外側巻装部47Aと径方向内側巻装部47Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部47Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向内側巻装部47Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。同様に、第4界磁コイル用ボビン57は、軸方向外側巻装部57Aと径方向内側巻装部57Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部57Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向内側巻装部57Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。
【0074】
○ 第2の実施形態において、第5界磁コイル用ボビン66は、軸方向外側巻装部66Aと径方向外側巻装部66Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部66Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向外側巻装部66Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。同様に、第7界磁コイル用ボビン76は、軸方向外側巻装部76Aと径方向外側巻装部76Bとが一体化された構成でなくてもよい。すなわち、軸方向外側巻装部76Aを有する界磁コイル用ボビンと、径方向外側巻装部76Bを有する界磁コイル用ボビンとをそれぞれ別に配置してもよい。
【0075】
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eの径方向内側のみに界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eのシャフト15の軸方向外側のみに界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
【0076】
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eの径方向内側、及びコイルエンド22eの径方向外側に界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
○ 上記各実施形態において、コイルエンド22eのシャフト15の軸方向外側、及びコイルエンド22eの径方向外側に界磁コイルが配置されている構成にしてもよい。
【0077】
○ 上記各実施形態において、ステータ20のステータティース21aの数は適宜変更してもよい。また、ロータ30のロータティース31aの数は適宜変更してもよい。
○ 上記各実施形態において、ロータコア31は、鋼板(電磁鋼板)を複数枚積層して構成が、これに限らず、ロータコア31をSMCや鉄塊などの磁性体で構成してもよい。同様に、各界磁コア42,52もSMCや鉄塊などの磁性体で構成してもよい。
【0078】
○ 上記各実施形態において、各界磁極41,61のみ、あるいは、各界磁極51,71のみ設けてもよい。すなわち、軸線L方向の片側のみに界磁極を設けてもよい。
○ 上記各実施形態において、シャフト15を介して界磁磁路を形成したが、これに限らず、シャフト15を介さずに界磁磁路を形成してもよい。シャフト15に、シャフト15よりも磁気抵抗の小さい磁性体を設けて界磁磁路としてもよい。磁性体としては例えばSMCなどでもよい。
【0079】
○ 上記各実施形態において、凸極部としてのロータティース31aは形状的に凸形状であったが、この構成に限らず、磁気的に凸極性があればよい。例えば、ロータティースの先端のみが隣接するロータティースと連結されていたり、ロータティース間の凹部が非磁性体で埋められたりして、全体としてロータが円筒状でもよい。
【0080】
○ 上記各実施形態では回転電機としてモータ10に具体化したが、これに限ることなく発電機として用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…回転電機としてのモータ、12…磁路形成部材としてのコアバック、15…シャフト、21…ステータコア、21a…ステータティース、22…ステータコイル、22e…コイルエンド、30…ロータ、31a…凸極部としてのロータティース、42…磁路形成部材としての第1界磁コア、43,44,45,53,54,55,63,64,65,73,74,75…界磁コイル、46,47,56,57,66,67,76,77…界磁コイル用ボビン、46A,56A,66B,76B…径方向外側巻装部、47A,57A,66A,76A…軸方向外側巻装部、47B,57B,67A,77A…径方向内側巻装部、52…磁路形成部材としての第2界磁コア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに回転可能に支持されるとともに磁気的な凸極部を有するロータと、
前記ロータの凸極部の径方向外側に配置され、前記シャフトに向かって突出する複数のステータティースを有するステータコアと、
前記ステータティースに巻回され、前記シャフトの軸方向において前記ステータティースの端面からコイルエンドが突出するステータコイルと、
界磁コイルの通電に伴い少なくとも前記ロータと前記ステータコアと共に界磁磁路を形成する磁路形成部材と、を備えた回転電機であって、
前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側のうちの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向外側にさらに配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記コイルエンドよりも径方向内側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向内側巻装部と、前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部と、前記コイルエンドよりも径方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
【請求項1】
シャフトに回転可能に支持されるとともに磁気的な凸極部を有するロータと、
前記ロータの凸極部の径方向外側に配置され、前記シャフトに向かって突出する複数のステータティースを有するステータコアと、
前記ステータティースに巻回され、前記シャフトの軸方向において前記ステータティースの端面からコイルエンドが突出するステータコイルと、
界磁コイルの通電に伴い少なくとも前記ロータと前記ステータコアと共に界磁磁路を形成する磁路形成部材と、を備えた回転電機であって、
前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側のうちの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向内側、及び前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記界磁コイルが前記コイルエンドよりも径方向外側にさらに配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記コイルエンドよりも径方向内側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向内側巻装部と、前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記コイルエンドよりも前記シャフトの軸方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための軸方向外側巻装部と、前記コイルエンドよりも径方向外側に配置される前記界磁コイルを巻装するための径方向外側巻装部とが一体化された界磁コイル用ボビンを備えていることを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−182946(P2012−182946A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45315(P2011−45315)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
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