回転電機
【課題】生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質の回転電機を提供することにある。
【解決手段】固定子巻線7は、複数のスロットを跨ぎ複数回周回するコイル74,75と、周回するコイル同士とをつなぐ渡り線73により連続的に構成される。固定子巻線7は、複数組、固定子鉄心6の全周にわたり配置されている。固定子鉄心の軸方向に配置されるコイルエンドの頂点部で折り返されるコイルタ−ン部74ctは、U字形状に形成され、側面が中心に向かうように放射状に配置される。コイルターン部74ctと隣接するコイルエンドの頂点のコイルターン部との間には、内周側から外周側に貫通される空間を設けられている。
【解決手段】固定子巻線7は、複数のスロットを跨ぎ複数回周回するコイル74,75と、周回するコイル同士とをつなぐ渡り線73により連続的に構成される。固定子巻線7は、複数組、固定子鉄心6の全周にわたり配置されている。固定子鉄心の軸方向に配置されるコイルエンドの頂点部で折り返されるコイルタ−ン部74ctは、U字形状に形成され、側面が中心に向かうように放射状に配置される。コイルターン部74ctと隣接するコイルエンドの頂点のコイルターン部との間には、内周側から外周側に貫通される空間を設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機やモータ等の回転電機に係り、特に固定子巻線の冷却に好適な構成を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境規制やエンドユーザー側の省エネルギ−指向が進み車両用の回転電機では、高出力で高効率な回転電機を安価に提供することが求められており、特に効果が大きい固定子による改善案が提案されている。
【0003】
発電機やモータ等に用いられている一般的な固定子は、周方向に複数のスロットが内周面に開口した固定子鉄心と、夫々のスロットに挿入され、各スロット間のティース部に巻回された複数の固定子巻線によって構成されている。このため、幅の狭いスロット内に巻回のための固定子巻線を挿入する作業が煩雑となり、作業性が悪いばかりでなく、コイルエンド部でのコイルの干渉により固定子巻線の占積率を向上させることができないといった問題があった。
【0004】
それに対して、第1に、固定子巻線の占積率向上のため断面が略四角形の平角線をU字形状に成形し、前記スロット内に前記固定子鉄心の軸方向から挿入し端部を所定の角度で周方向に捻り、端部を所定のコイルと溶接し、固定子を構成する回転電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、第2に、断面が略四角形の平角線を重ね巻きにより連続的に巻線し、固定子巻線の占積率の向上が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−211810号公報
【特許文献2】特開2008−167567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のものは、セグメントコイルの一端側を多数箇所溶接しなければならないため、生産性及び溶接部の絶縁性等の品質面での問題が懸念され、特に高電圧の回転電機で問題となる。
【0008】
また、特許文献2記載のものは、連続巻線におけるコイルエンド部の形状が重要であり、コイルエンド部で異なる相のコイル同士が接触すると固定子鉄心に挿入できなくなる等の製造面での問題がある。
【0009】
また、近年では回転電機の高出力化に伴う固定子巻線の発熱量の増大により、コイルの冷却性向上も図らなければならない。例えば、回転電機が発電機(オルタネータ)の場合、従来は、14Vで120A程度の出力であったのに対して、14Vで220A程度まで出力が大電流化してきている。その結果、固定子巻線の発熱量が増大してきている。
【0010】
本発明の目的は、生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質の回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、固定子と、該固定子の内周側に隙間を介して回転可能に支持された回転子を有し、前記固定子は、内周面に向かって開口された複数のスロットを有する環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に複数のスロットを介して装着された固定子巻線とを有し、前記固定子巻線は、前記複数のスロットを跨ぎ複数回周回するコイルと前記周回するコイル同士とをつなぐ渡り線により連続的に構成され、前記固定子巻線は、複数組、固定子鉄心の全周にわたり配置されている、回転電機であって、前記固定子鉄心の軸方向に配置されるコイルエンドの頂点部で折り返されるコイルタ−ン部はU字形状に形成され、前記コイルエンドの頂点のコイルターン部は、側面が中心に向かうように放射状に配置され、前記コイルエンドの頂点のコイルターン部と隣接するコイルエンドの頂点のコイルターン部との間には、内周側から外周側に貫通される空間を設けられているものである。
かかる構成により、生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質の回転電機とし得るものとなる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配列は、スロット部では径方向に巻数分整列され、前記コイルエンドの頂点部のコイルターン部では軸方向に積層されるように、巻数分整列されるものである。
【0013】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記コイルエンドのコイルタ−ン部は、環状コイルの固定子鉄心のスロットに挿入される位置の中間部に配置されるものである。
【0014】
(4)上記(2)において、好ましくは、前記コイルエンド部頂点のコイルタ−ン部の配置角度が、リヤフレームの排気窓の角度に一致するようにしたものである。
【0015】
(5)上記(4)において、好ましくは、さらに、冷却ファンの羽根の出口角度が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の配置角度に一致するようにしたものである。
【0016】
(6)上記(2)において、好ましくは、冷却ファンの羽根によって生成された冷却風が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の側面に当たるように、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部が配置されているものである。
【0017】
(7)上記(1)において、好ましくは、前記コイルは断面が略矩角形状の平角線であり、前記固定子巻線の複数回周回するコイルは亀甲形状であり、前記固定子鉄心のスロットを径方向に2分割され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルのスロット部に挿入されるコイル部は一方が外周側に挿入され、もう一方はスロットの内周側に配置され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配置は、各相、磁極ピッチと同じ数の配置であり、前記固定子巻線の複数回周回するコイルを磁極ピッチより短い巻回ピッチで巻線され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルの巻回ピッチが、4/6〜5/6で巻回されるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態による回転電機の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による固定子のリヤ側から斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるU1相Aコイルの固定子巻線の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による環状コイルの斜視図である。
【図6】図5の環状コイルをP側から見た図である。
【図7】図5の環状コイルをF側から見た図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による固定子鉄心内の巻線配置図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による固定子のフロント側から斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による固定子鉄心スロット部の詳細図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による回転電機の断面図である。
【図12】本発明の第2実施例におけるフロントファン付近を断面した図である。
【図13】本発明の第2実施例におけるリヤファン付近を断面した図である。
【図14】本発明の第3実施例におけるフロントファン付近を部分的に断面した図である。
【図15】本発明の第3実施例におけるリヤファン付近を部分的に断面した図である。
【図16】本発明の第4実施例におけるフロントファン付近を部分的に断面した図である。
【図17】本発明の第4実施例におけるリヤファン付近を部分的に断面した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の第1の実施形態による回転電機の構成について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による回転電機の全体構成について説明する。ここでは、回転電機として、車両用交流発電機を例にして説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による回転電機の全体構成を示す断面図である。
【0021】
回転電機である車両用交流発電機23は、回転子4と、固定子5とを備えている。回転子4は、シャフト2の中心部に界磁巻線13を備え、その両側に磁性材料にて成形されたフロント側爪形磁極11とリヤ側爪形磁極12からなる回転子鉄心が界磁巻線13を覆うように両側から挟むように配置される。フロント側爪形磁極11とリヤ側爪形磁極12とは、爪部が互いに対向し、かつ、一方の爪形磁極が他方の爪形磁極に噛み合うように配置される。
【0022】
回転子4は、固定子5の内周側に、僅かなギャップを介して対向配置されている。回転子4は、フロントベアリング3及びリヤベアリング10の内輪にシャフト2が挿通され、回転自在に支持されている。
【0023】
固定子5は、固定子鉄心6と固定子巻線7から構成される。固定子鉄心6は、環状に形成された薄板鋼板が複数枚積層され、内周側には突出した歯部(ティース)とからなり、各歯部の間にスロットが形成されている。各々のスロットに各相の固定子巻線7が複数のティースを跨いで夫々のスロットに挿入され、装着される。固定子5の両端は、フロントブラケット18とリヤブラケット19によって保持されている。
【0024】
シャフト2の一方の端部には、プーリ1が取り付けられている。シャフト2の他方の端部には、スリップリング14が設けられ、ブラシ15と接触し界磁巻線13に電力を供給している。更に、回転子4のフロント側爪形磁極11とリヤ側爪磁極12の両端面には、外周側に複数の羽根を有する冷却ファンであるフロントファン16とリヤファン17が設けられ、回転することによる遠心力によって、破線で示すように、外部からの空気を導入し、内部を冷却した空気を外部に排出するように、冷却風CWを流通させるようになっている。この冷却風により、固定子巻線7が冷却される。
【0025】
固定子巻線7は、本例では2組の3相巻線で構成されており、それぞれの巻線の口出し線は、整流回路20に接続されている。整流回路20は、ダイオード等の整流素子から構成され、全波整流回路を構成している。例えばダイオードの場合、カソード端子はダイオード接続端子21に接続されている。また、アノード側の端子は車両用交流発電機本体に電気的に接続されている。リヤカバー22は整流回路20の保護カバーの役割を果たしている。
【0026】
次に、発電動作について説明する。
【0027】
まず、エンジンの始動に伴ってクランクシャフトからベルトを介してプーリ1に回転が伝達されるため、シャフト2を介して回転子4を回転させる。ここで、回転子4に設けられた界磁巻線13にスリップリング14を介してブラシ15から直流電流を供給すると界磁巻線13の内外周を周回する磁束が生じるため、回転子4におけるフロント側爪形磁極11とリヤ側爪形磁極12にN極、又は、S極が周方向に交互に形成される。この界磁巻線13による磁束は、フロント側爪形磁極11のN極から固定子鉄心6をとおって固定子巻線7の周りを周回し、回転子4のリヤ側爪形磁極12のS極に到達することで回転子4と固定子5を周回する磁気回路が形成される。このように回転子にて生じた磁束が固定子巻線7と鎖交するため、U1相、U2相、V1相、V2相、W1相、W2相の固定子巻線7のそれぞれに交流誘起電圧が発生し、全体としては6相分の交流誘起電圧が生じる。
【0028】
このように発電された交流電圧は、ダイオード等の整流素子で構成された整流回路20によって、全波整流されて直流電圧に変換される。整流された直流電圧は一定電圧になるようにICレギュレータ(図示せず)で界磁巻線13に供給する電流を制御することで達成している。
【0029】
次に,図2〜図11を用いて、本実施形態による回転電機に用いる固定子の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子のリヤ側から斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子の回路図である。図4は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子のU1相Aコイルの固定子巻線の斜視図である。図5は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる環状コイルの斜視図である。図6は、図5のP矢視図である。図7は、図5のF矢視図である。図8は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子鉄心内の巻線配置図である。図9は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子のフロント側からの斜視図である。図10は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子鉄心スロット部の詳細図である。図11は、本発明の第1の実施形態による回転電機の断面図である。
【0030】
図2に示すように、固定子5は、内周面の周方向に複数のスロットを有する環状の固定子鉄心6と、その各々のスロットの内周面に装着されたU字状の絶縁紙8を介して、各相の固定子巻線7を装着し、固定子巻線7をスロット内に保持するためスロット最内周側にスロット楔9を有する。この例では、スロット数は72である。
【0031】
固定子鉄心6のスロットから軸方向にはみ出た部分は、2つのスロット間を口出し線側のコイルエンド72−a,口出し線側と反対側のコイルエンド72−bである。また、図示のように、24本の口出し線71が取り出される。口出し線71の数が24本であるので、コイルの数は12個である。12個のコイルは、図3にて説明するように、6個のAコイルと、6個のBコイルとからなる。
【0032】
ここで、固定子巻線の各周回コイルの間には、1mm以上の空隙が存在するようにしている。これは、回転電機が電動機である場合、印加される電圧は300Vや600Vのように高圧であるため、相間の絶縁を確保するため、所定の空隙(1mm以上)が存在するようにする。
【0033】
一方、回転電機が発電機の場合、その出力電圧は14Vと低いため、線間の耐圧はそれほど要求されない。そのため、固定子巻線の各周回コイルの間の空隙には、絶縁材(絶縁ワニス)を介在させる。
、図3に示す結線図に示すように、本実施例での構成は、固定子巻線は三角形状に結線されたデルタ結線の構成で、第1巻線7−1及び第2巻線7−2と2種類のコイルを並列に結線し構成されている。第1巻線7−1は、整流器20−1に接続され、第2巻線7−2は、整流器20−2に接続される。
【0034】
デルタ結線された第1巻線7−1は、6個のコイル(2個の並列接続されたU相コイル7U1−A,7U1−Bと、2個の並列接続されたV相コイル7V1−A,7V1−Bと、2個の並列接続されたW相コイル7W1−A,7W1−B)から構成されている。第2巻線7−2も、同様に6個コイルがデルタ結線されている。
【0035】
なお、以上の巻線はデルタ結線されているが、直列接続及びスター結線(Y結線)で構成しても回転電機として成立する。
【0036】
図4に示すように、U1相の固定子巻線は、環状に巻回され成形されたコイルを渡り線73で複数連結した形態で構成されている。本例である毎極毎相のスロット数が「2」であり、12極6相分の巻線の場合、環状コイル76の数は12個である、各コイル間は渡り線73で接続され、連続的に形成される。環状コイル76の巻数は、例えば、5Tである。図示の例は、U1相の第1の固定子巻線7U1−Aを示しており、6個の環状コイル76と、それらの環状コイル76の間を接続する5個の渡り線73と、両端に位置する環状コイル76を外部に接続するための2個の口出し線71とからなる。
【0037】
図3に示すように、U1相の固定子巻線7U1は、7U1−A巻線と7U1−B巻線で構成されている。図4において、7U1−A巻線は渡り線73−aが口出し線71側に配置される構成で7U1−B巻線も同様に渡り線73−bが口出し線71側に配置される構成の固定子巻線であり、渡り線の配置を口出し線側に集約する。
【0038】
図5は、一つの環状コイル76の形態を示している。環状コイル76は、略六角形であり、口出し線71と、固定子鉄心の軸方向に飛び出したコイルエンド部74−a,74−bと、固定子鉄心のスロット部に装着されるコイルスロット部75−a,75−bと、環状コイル間を繋ぐ渡り線73とにより構成される。コイルエンド部74−a、74−bには、コイルエンド部の三角形状の頂点でU字形状に折り返しされるコイルターン部74ct−a,74ct−bがある。
【0039】
図5に示すように、環状コイル76の巻順は、口出し線71からコイルエンド部74−aにθ1の角度で固定子鉄心のスロット部に入る環状コイルスロット部75−aに入り、口出し線と反対側のコイルエンド部74−bにθ2の角度を保ちながら移る。
【0040】
コイルエンド部の頂点である折り返し点であるコイルエンドターン部74ct−bでコイルエンド部の頂点部付近で軸方向に屈曲し、軸方向にコイルが向いたのちU字形状にスロットの内層から外層に向けてUターンする。
【0041】
コイルターン部74ct−bのU字形状は、軸方向に積層されるように、巻数分整列される。
【0042】
コイルターン部74ct−bのU字形にターン後、口出し線と反対側のコイルエンド72−bはθ3の角度に屈曲し、口出し線と反対側コイルエンド72−baから固定子鉄心の外層側のスロット部に入るコイルスロット部75−bに入る。
【0043】
コイルスロット部75−bに入ったコイルは口出し線側に排出され、θ4の角度を向けて口出し線71側のコイルエンド部74−aを通過する。
【0044】
コイルエンド部の頂点であるコイルエンドターン部74ct−bでコイルエンド部の頂点部付近で一度軸方向に屈曲し、軸方向にコイルが向いたのちU字形状にスロットの外層から内層に向けてUターンする。
【0045】
コイルターン部74ct−aのU字形状は、軸方向に積層されるように、巻数分整列
コイルターン部74ct−aでU字形状にターン後、θ1の角度でコイルエンド部74−aから固定子鉄心のスロット部に入る環状コイルスロット部75−aに入り、六角形状を一周し、環状コイル76の1T(ターン)となる。
【0046】
これを所定の巻数分を繰り返すことで、回転電機の特性に必要とする所定の巻数分を巻回する。
【0047】
なお、コイルターン部74ctでは軸方向に重なるような形態となる。
【0048】
コイルエンド部の角度θ1〜θ4は、30度〜50度が望ましい。
【0049】
図6は、図5の環状コイルを軸方向のP方向から見た図を示している。コイルターン部74ct−aの位置は、スロットコイル部75−aとスロットコイル部75−bとの角度βの半分のβ/2の位置となっている。
【0050】
図7は、図5の環状コイルを軸方向のF方向から見た図を示している。コイルターン部74ct−bの位置はスロットコイル部75−aとスロットコイル部75−bとの角度βの半分のβ/2の位置となっている。
【0051】
図8は、固定子鉄心に装着される固定子巻線のスロットの配置図を示している。
【0052】
環状コイル76の配置ピッチは、磁極ピッチと等しい電気角360°間隔で配置され、環状コイルの巻回ピッチは、磁極ピッチより小さい電気角180°未満の150°で巻回される短節ピッチとなる。
【0053】
このように、固定子巻線に用いる環状コイルの巻回ピッチが、磁極ピッチと等しい全節ピッチの間隔よりも狭い間隔(短節ピッチ=電気角で180°未満)で複数のティースをまたいで夫々のスロットに挿入されるものを短節巻きと称する。なお、固定子巻線に用いる環状コイルの巻回ピッチが、磁極ピッチと等しい全節ピッチの間隔(全節ピッチ=電気角で180°)で複数のティースをまたいで夫々のスロットに挿入されるものを全節巻きと称する。
【0054】
また、V1相からW2相の固定子巻線についても同様の構成である。
【0055】
図5で示す環状コイル76は、固定子鉄心に装着されるが、固定子巻線7の配置は、図8に示すようにスロットの半径方向に2分割され、スロット開口部側を内層、固定子鉄心6の外周側を外層となる2層巻線の配置となる。
【0056】
各相の固定子巻線7は、Aコイル及びBコイルの2種類に分割され、図8において、例えば、2つのU1相の固定子巻線7は、AコイルはU1A、BコイルはU1Bとし、環状コイルU1Aは、第1スロットS1の内層側と第5スロットS5の外層側に配置され、コイルエンド部で結ばれ環状コイル76を形成する。
【0057】
すなわち、U1相の環状コイル巻回ピッチは磁極ピッチより小さい電気角180°未満の150°で巻回される。
【0058】
一方、環状コイルU1Bは、第7スロットのS7の内層側と第11スロットであるS11の外層側に配置され、コイルエンド部で結ばれ環状コイル76を形成する。
【0059】
すなわち、U2相の環状コイル巻回ピッチは磁極ピッチより小さい電気角180°未満の150°で巻回される。
V1相からW2相の環状コイルについても同様の構成である。
【0060】
図8に示すスロット配置図で装着された環状コイルを図4に示すように渡り線73で繋ぐ形態とし、図3に示すような結線図で各相の固定子巻線7を結線し、整流器に接続することで、固定子は2組の3相結線を備えた本第一実施例である車両用交流発電機となる。
【0061】
図9は、図5の環状コイル76で構成された固定子5を、フロント側から見た場合を示している。
【0062】
図9に示されるように、コイルエンドの頂点であるコイルターン部74ct−bは、U字形状が固定子の半径方向になるように、放射状に整列され、コイルターン部74ct−b同士が一定の間隔が設けられている。
【0063】
コイルターン部74ct−bのU字方向をスロットの長手方向に径方向に整列することで、図10に示すようにスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下となった場合においても、コイルターン部での間隔を一定に保つことができ、コイルエンド部で干渉することが無く固定子を構成できる。
【0064】
また、モータ等の高電圧化にも一定のギャップを保つことが可能となり、相間絶縁紙無しで固定子を構成することができ、高品質で安価の固定子を提供できる。
【0065】
図11は、図1の車両用交流発電機の断面図を示している。固定子5の内周側には回転子4が配置され、回転子4のフロント側爪磁極には、フロントファン16が配置され、回転子が矢印R1方向に回転することで中心部から外周側に放射状に冷却風が発生し、固定子巻線7の冷却をしている。
【0066】
本実施形態の場合、コイルエンド部74−bのコイルターン部74ct−bは図9に示すように放射状に配置しており、コイルターン部74ct−b間には一定の空間が空いている。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、この空間は径方向に冷却風が通り抜けやすい形態にコイルエンド部74−bが形成されているため、流路抵抗が少なく効率よく固定子巻線7の冷却性が向上され、冷却性に優れた固定子巻線を有する高品質で高出力で高効率化の固定子が実現できる。
【0068】
次に、図12及び図13を用いて、本発明の第2の実施形態による回転電機の構成について説明する。本実施形態による回転電機の全体構成は、図1に示したものと同様である。
図12は、本発明の第2の実施形態による回転電機のフロントファン付近の断面図である。図13は、本発明の第2の実施形態による回転電機のリアファン付近の断面図である。
【0069】
上記した第1実施形態は、コイルエンド部での干渉回避と冷却性向上のため、コイルターン部74ct−bを中心に対し垂直に傾けた構造をとっている。
【0070】
それに対して、本実施形態である車両用交流発電機冷却風の効果を最大限に高める構造を目的とし、冷却風の排出側の流路抵抗を低減させ、風量を増加することで冷却性を向上することである。
【0071】
図12に示すように、フロントファン16と固定子巻線7の位置関係を示した図であるが、フロントファン16の羽根の出口角度θbと、コイルターン部74ct−bの配置角度θcが同等の角度となることで、冷却ファンの出口角度とコイルターン部74ct−bが直線状となり、流路抵抗が少なく冷却風を外部に排出でき、風量を増加させることができる。
【0072】
コイルターン部の角度θcが大きくなると、コイルエンド部に入る冷却風の入り口が狭くなり、流路抵抗の原因となるため、40°以下が望ましい。
【0073】
また、図12に示すようにフロントブラケットの排気窓18−aの角度θfも冷却ファンの羽根の出口角度θbとコイルターン部74ct−bの配置角度θcと角度を一致させることで、ファンの羽根の出口角度からコイルターン部、カバーから外部への排出まで冷却風が一直線上に抜けるため、流路抵抗を大幅に低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0074】
フロントファン16側のコイルエンド部74−bについて述べてきたが、リヤファン17側のコイルエンド部74−aについても同様である。図13に示すようにリヤファン17と固定子巻線7の位置関係を示した図であるが、リヤファン17の羽根の出口角度θbrと、コイルターン部74ct−aの配置角度θcrが同等の角度となることで、冷却ファンの出口角度とコイルターン部74ct−bが直線状となり、流路抵抗が少なく冷却風を外部に排出でき、風量を増加させることができる。
【0075】
さらにリヤブラケット19の排気窓19−aの角度θrもリヤファン17の羽根の出口角度θbrとコイルターン部74ct−aの配置角度θcrと角度を一致させることで、ファンの羽根の出口角度からコイルターン部、カバーから外部への排出まで冷却風が一直線上に抜けるため、流路抵抗を大幅に低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0076】
コイルターン部の角度θcが大きくなると、コイルエンド部に入る冷却風の入り口が狭くなり、流路抵抗の原因となるため、40°以下が望ましい。
【0077】
フロントファン16びリヤファン17に合わせ、コイルターン部の配置角度を各々設定するため効果的に固定子巻線の冷却を効果的に冷却が可能である。
【0078】
したがって、口出し線側のコイルターン部の配置角度と口出し線と反対側(フロントファン側)のコイルターン部の配置角度は、変更しても成立し、最大限に風量を効果的に増加させることが可能である。
【0079】
以上の本実施形態により、ファンの出口側の流路抵抗を低減することで風量が増加しコイルの冷却性及び各部の冷却性も向上し、冷却性に優れた固定子巻線を有する高品質で高出力で高効率化の固定子を有する回転電機が実現できる。
【0080】
次に、図14及び図15を用いて、本発明の第3の実施形態による回転電機の構成について説明する。本実施形態による回転電機の全体構成は、図1に示したものと同様である。
図14は、本発明の第3の実施形態による回転電機のフロントファン付近の断面図である。図15は、本発明の第3の実施形態による回転電機のリアファン付近の断面図である。
【0081】
上記した第1及び第2実施形態は、ファンの出口側の流路抵抗を低減することで風量が増加しコイルの冷却性及び各部の冷却性も向上させた、
それに対して、本実施形態では、コイルターン部の側面に冷却風を当てることで、固定子巻線7の冷却性を向上させることを目的とする。
【0082】
図14に示すようにフロントファン16と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、フロントファン16の羽根の出口角度θbは回転方向に対し反対方向に角度が設定され、それに対し、コイルターン部74ct−bの配置角度γcは羽根の角度と反対方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−bの側面に当てつつ、フロントブラケット18の外部に排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0083】
コイルターン部74ct−bの配置角度γcが大きすぎると流路抵抗の増加およびコイルターン部74ct−b間の流路への入り口幅が狭くなることにより風量低下となるため、フロントファン16の羽根の出口角度θbとコイルターン部74ct−bの配置角度γcの合計が60°以下の範囲に設定することで、流路抵抗を抑えつつ固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0084】
また、図14に示すように、フロントブラケットの排気窓18−aの角度θfはコイルターン部74ct−bの配置角度γcと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0085】
コイルターン部74ct−bの配置角度γcについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上の場合、スロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−b同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0086】
フロントファン16側のコイルエンド部74−bについて述べてきたが、リヤファン17側のコイルエンド部74−aについても同様である。
【0087】
図15に示すように、リヤファン17と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、リヤファン17の羽根の出口角度θbrは回転方向に対し反対方向に角度が付けられ、それに対し、コイルターン部74ct−aの配置角度γcrは羽根の角度と反対方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−aの側面に当てつつ、リヤブラケット19の外部に排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0088】
コイルターン部74ct−aの配置角度γcrが大きすぎると流路抵抗の増加およびコイルターン部74ct−a間の流路への入り口幅が狭くなることにより風量低下となるため、リヤファン17の羽根の出口角度θbrとコイルターン部74ct−aの配置角度γcrの合計が60°以下の範囲に設定することで、流路抵抗を抑えつつ固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0089】
また、図15に示すように、リヤブラケットの排気窓19−aの角度θfrはコイルターン部74ct−aの配置角度γcrと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0090】
コイルターン部74ct−aの配置角度γcrについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上に設定するとスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−a同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0091】
フロントファン16及びリヤファン17に合わせ、コイルターン部の配置角度を各々設定するため効果的に固定子巻線の冷却を効果的に冷却が可能である。
【0092】
したがって、口出し線側のコイルターン部の配置角度と口出し線と反対側(フロントファン側)のコイルターン部の配置角度は、変更しても成立し、最大限に風量を効果的に増加させ、コイルターン部に直接冷却風を当てることで固定子巻線の冷却性向上を図ることが可能である。
【0093】
以上の本実施形態によりファンの出口側の角度とコイルターン部の角度を変更することでコイルターン部に冷却風を当て冷却性が向上し、固定子巻線の冷却性に優れた高品質で高出力で高効率化の固定子を有する回転電機が実現できる。
【0094】
次に、図16及び図17を用いて、本発明の第4の実施形態による回転電機の構成について説明する。本実施形態による回転電機の全体構成は、図1に示したものと同様である。
図16は、本発明の第4の実施形態による回転電機のフロントファン付近の断面図である。図17は、本発明の第4の実施形態による回転電機のリアファン付近の断面図である。
【0095】
上記した第3実施形態では、ファンの出口側の角度とコイルターン部の角度を変更することでコイルターン部に冷却風を当て冷却性が向上し、固定子巻線の冷却性を向上させたが、第流路抵抗が大きく第2実施形態に比べ、風量が低下する。
【0096】
そこで、本実施形態では、コイルターン部の側面に冷却風を当て固定子巻線の冷却性を向上させるとともに、風量低下量を抑えることで固定子巻線7の冷却性を向上させることを目的とする。
【0097】
図16に示すように、フロントファン16と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、フロントファン16の羽根の出口角度θbは回転方向に対し反対方向に角度が設定され、それに対し、コイルターン部74ct−bの配置角度γ’cは羽根の角度と同じ方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−bの側面に当てつつ、フロントブラケット18の外部に滑らかに排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0098】
コイルターン部74ct−bの配置角度γcが大きすぎるとコイルターン部74ct−bの側面に当たることなく冷却風が外部に排出されるため、フロントファン16の羽根の出口角度θbとコイルターン部74ct−bの配置角度γ’cの差が0°にならいないように設定することで、コイルターン部74ct−bの側面に確実に当てることができ、固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0099】
また、図16に示すように、フロントブラケットの排気窓18−aの角度θfはコイルターン部74ct−bの配置角度γ’cと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0100】
コイルターン部74ct−bの配置角度γ’cについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上の角度ではスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−b同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0101】
フロントファン16側のコイルエンド部74−bについて述べてきたが、リヤファン17側のコイルエンド部74−aについても同様である。
【0102】
図17に示すように、リヤファン17と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、リヤファン17の羽根の出口角度θbrは回転方向に対し反対方向に角度が付けられ、それに対し、コイルターン部74ct−aの配置角度γ’crは羽根の角度と同じ方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−aの側面に当てつつ、リヤブラケット19の外部に滑らかに排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0103】
コイルターン部74ct−aの配置角度γ’crが大きすぎると流路抵抗の増加およびコイルターン部74ct−a間の流路への入り口幅が狭くなることにより風量低下となるため、リヤファン17の羽根の出口角度θbrとコイルターン部74ct−aの配置角度γcrの合計が60°以下の範囲に設定することで、流路抵抗を抑えつつ固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0104】
また、図15に示すように、リヤブラケットの排気窓19−aの角度θfrはコイルターン部74ct−aの配置角度γ’crと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0105】
コイルターン部74ct−aの配置角度γ’crについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上の角度ではスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−a同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0106】
フロントファン16及びリヤファン17に合わせ、コイルターン部の配置角度を各々設定するため効果的に固定子巻線の冷却を効果的に冷却が可能である。
【0107】
したがって、口出し線側のコイルターン部の配置角度と口出し線と反対側(フロントファン側)のコイルターン部の配置角度は、各々変更しても成立し、最大限に風量を効果的に増加させ、コイルターン部に直接冷却風を当てることで固定子巻線の冷却性向上を図ることが可能である。
【0108】
以上の本実施形態によりファンの出口側の角度とコイルターン部の角度を変更することでコイルターン部に冷却風を当て冷却性が向上し、ファンの羽根の出口角度とコイルターン部の配置角度を同じ方向に角度設定をすることで風量を低下させず固定子巻線の冷却性に優れた高品質で高出力で高効率化の固定子を有する回転電機が実現できる。
【0109】
なお、前述の第1実施形態から第3実施形態は、6つの異なる相の固定子巻線7を固定子鉄心6に装着した後に、電気角が異なる2つの相の固定子巻線を並列に接続して整流器20に接続した構成であるが、直列接続でも同様の効果が得られ口出し線の数を削減できる効果がある。
【0110】
また、デルタ結線での構成であるがスター結線でも同様の効果が得られる。
【0111】
また、第1の実施形態では、固定子巻線の巻回ピッチを5/6(電気角150°)で巻線された固定子について述べてきたが、巻回ピッチを4/6(電気角120°)または、巻回ピッチが6/6(電気角180°)で巻線された固定子の構成についても成立し、同様の効果が得られる。
【0112】
また、2組の3相巻線を有する固定子について述べてきたが、3相巻線及び5相、7相等の多相の固定子についても同様の効果が得られる。
【0113】
また、上述の各実施形態では、回転電機の一例として車両用交流発電機について説明を行ったが、回転力を出力するモータや、発電と駆動を兼ねたモータジェネレータ等にも適用することができる。特にモータとしては、ハイブリット自動車や電動四輪駆動車の駆動用モータ,ポンプを駆動するためのモータ等への固定子として適用できる。
【符号の説明】
【0114】
1…プーリ
2…シャフト
3…フロントベアリング
4…回転子
5…固定子
6…固定子鉄心
7…固定子巻線
71…口出し線
73…渡り線
74−a…口出し線側コイルエンド
74−b…口出し線反対側コイルエンド
74ct−a…口出し線側のコイルエンド頂点のコイルターン部
74ct−b…口出し線反対側のコイルエンド頂点のコイルターン部
75−a…固定子鉄心内層側スロットに装着されるコイル
75−b…固定子鉄心外層側スロットに装着されるコイル
76…環状コイル
8…絶縁紙
9…スロット楔
10…リヤベアリング
11…フロント側爪磁極
12…リヤ側爪磁極
13…界磁巻線
14…スリップリング
15…ブラシ
16…フロントファン
17…リヤファン
18…フロントブラケット
19…リヤブラケット
22…リヤカバー
20…整流回路
21…ダイオード接続端子
23…車両用交流発電機
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機やモータ等の回転電機に係り、特に固定子巻線の冷却に好適な構成を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境規制やエンドユーザー側の省エネルギ−指向が進み車両用の回転電機では、高出力で高効率な回転電機を安価に提供することが求められており、特に効果が大きい固定子による改善案が提案されている。
【0003】
発電機やモータ等に用いられている一般的な固定子は、周方向に複数のスロットが内周面に開口した固定子鉄心と、夫々のスロットに挿入され、各スロット間のティース部に巻回された複数の固定子巻線によって構成されている。このため、幅の狭いスロット内に巻回のための固定子巻線を挿入する作業が煩雑となり、作業性が悪いばかりでなく、コイルエンド部でのコイルの干渉により固定子巻線の占積率を向上させることができないといった問題があった。
【0004】
それに対して、第1に、固定子巻線の占積率向上のため断面が略四角形の平角線をU字形状に成形し、前記スロット内に前記固定子鉄心の軸方向から挿入し端部を所定の角度で周方向に捻り、端部を所定のコイルと溶接し、固定子を構成する回転電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、第2に、断面が略四角形の平角線を重ね巻きにより連続的に巻線し、固定子巻線の占積率の向上が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−211810号公報
【特許文献2】特開2008−167567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のものは、セグメントコイルの一端側を多数箇所溶接しなければならないため、生産性及び溶接部の絶縁性等の品質面での問題が懸念され、特に高電圧の回転電機で問題となる。
【0008】
また、特許文献2記載のものは、連続巻線におけるコイルエンド部の形状が重要であり、コイルエンド部で異なる相のコイル同士が接触すると固定子鉄心に挿入できなくなる等の製造面での問題がある。
【0009】
また、近年では回転電機の高出力化に伴う固定子巻線の発熱量の増大により、コイルの冷却性向上も図らなければならない。例えば、回転電機が発電機(オルタネータ)の場合、従来は、14Vで120A程度の出力であったのに対して、14Vで220A程度まで出力が大電流化してきている。その結果、固定子巻線の発熱量が増大してきている。
【0010】
本発明の目的は、生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質の回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、固定子と、該固定子の内周側に隙間を介して回転可能に支持された回転子を有し、前記固定子は、内周面に向かって開口された複数のスロットを有する環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に複数のスロットを介して装着された固定子巻線とを有し、前記固定子巻線は、前記複数のスロットを跨ぎ複数回周回するコイルと前記周回するコイル同士とをつなぐ渡り線により連続的に構成され、前記固定子巻線は、複数組、固定子鉄心の全周にわたり配置されている、回転電機であって、前記固定子鉄心の軸方向に配置されるコイルエンドの頂点部で折り返されるコイルタ−ン部はU字形状に形成され、前記コイルエンドの頂点のコイルターン部は、側面が中心に向かうように放射状に配置され、前記コイルエンドの頂点のコイルターン部と隣接するコイルエンドの頂点のコイルターン部との間には、内周側から外周側に貫通される空間を設けられているものである。
かかる構成により、生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質の回転電機とし得るものとなる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配列は、スロット部では径方向に巻数分整列され、前記コイルエンドの頂点部のコイルターン部では軸方向に積層されるように、巻数分整列されるものである。
【0013】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記コイルエンドのコイルタ−ン部は、環状コイルの固定子鉄心のスロットに挿入される位置の中間部に配置されるものである。
【0014】
(4)上記(2)において、好ましくは、前記コイルエンド部頂点のコイルタ−ン部の配置角度が、リヤフレームの排気窓の角度に一致するようにしたものである。
【0015】
(5)上記(4)において、好ましくは、さらに、冷却ファンの羽根の出口角度が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の配置角度に一致するようにしたものである。
【0016】
(6)上記(2)において、好ましくは、冷却ファンの羽根によって生成された冷却風が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の側面に当たるように、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部が配置されているものである。
【0017】
(7)上記(1)において、好ましくは、前記コイルは断面が略矩角形状の平角線であり、前記固定子巻線の複数回周回するコイルは亀甲形状であり、前記固定子鉄心のスロットを径方向に2分割され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルのスロット部に挿入されるコイル部は一方が外周側に挿入され、もう一方はスロットの内周側に配置され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配置は、各相、磁極ピッチと同じ数の配置であり、前記固定子巻線の複数回周回するコイルを磁極ピッチより短い巻回ピッチで巻線され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルの巻回ピッチが、4/6〜5/6で巻回されるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生産性に優れ、固定子巻線でのコイルエンド部の干渉を回避でき、冷却性を向上させた固定子を有する高出力・高効率で高品質のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態による回転電機の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による固定子のリヤ側から斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるU1相Aコイルの固定子巻線の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による環状コイルの斜視図である。
【図6】図5の環状コイルをP側から見た図である。
【図7】図5の環状コイルをF側から見た図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による固定子鉄心内の巻線配置図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による固定子のフロント側から斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による固定子鉄心スロット部の詳細図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による回転電機の断面図である。
【図12】本発明の第2実施例におけるフロントファン付近を断面した図である。
【図13】本発明の第2実施例におけるリヤファン付近を断面した図である。
【図14】本発明の第3実施例におけるフロントファン付近を部分的に断面した図である。
【図15】本発明の第3実施例におけるリヤファン付近を部分的に断面した図である。
【図16】本発明の第4実施例におけるフロントファン付近を部分的に断面した図である。
【図17】本発明の第4実施例におけるリヤファン付近を部分的に断面した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の第1の実施形態による回転電機の構成について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による回転電機の全体構成について説明する。ここでは、回転電機として、車両用交流発電機を例にして説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による回転電機の全体構成を示す断面図である。
【0021】
回転電機である車両用交流発電機23は、回転子4と、固定子5とを備えている。回転子4は、シャフト2の中心部に界磁巻線13を備え、その両側に磁性材料にて成形されたフロント側爪形磁極11とリヤ側爪形磁極12からなる回転子鉄心が界磁巻線13を覆うように両側から挟むように配置される。フロント側爪形磁極11とリヤ側爪形磁極12とは、爪部が互いに対向し、かつ、一方の爪形磁極が他方の爪形磁極に噛み合うように配置される。
【0022】
回転子4は、固定子5の内周側に、僅かなギャップを介して対向配置されている。回転子4は、フロントベアリング3及びリヤベアリング10の内輪にシャフト2が挿通され、回転自在に支持されている。
【0023】
固定子5は、固定子鉄心6と固定子巻線7から構成される。固定子鉄心6は、環状に形成された薄板鋼板が複数枚積層され、内周側には突出した歯部(ティース)とからなり、各歯部の間にスロットが形成されている。各々のスロットに各相の固定子巻線7が複数のティースを跨いで夫々のスロットに挿入され、装着される。固定子5の両端は、フロントブラケット18とリヤブラケット19によって保持されている。
【0024】
シャフト2の一方の端部には、プーリ1が取り付けられている。シャフト2の他方の端部には、スリップリング14が設けられ、ブラシ15と接触し界磁巻線13に電力を供給している。更に、回転子4のフロント側爪形磁極11とリヤ側爪磁極12の両端面には、外周側に複数の羽根を有する冷却ファンであるフロントファン16とリヤファン17が設けられ、回転することによる遠心力によって、破線で示すように、外部からの空気を導入し、内部を冷却した空気を外部に排出するように、冷却風CWを流通させるようになっている。この冷却風により、固定子巻線7が冷却される。
【0025】
固定子巻線7は、本例では2組の3相巻線で構成されており、それぞれの巻線の口出し線は、整流回路20に接続されている。整流回路20は、ダイオード等の整流素子から構成され、全波整流回路を構成している。例えばダイオードの場合、カソード端子はダイオード接続端子21に接続されている。また、アノード側の端子は車両用交流発電機本体に電気的に接続されている。リヤカバー22は整流回路20の保護カバーの役割を果たしている。
【0026】
次に、発電動作について説明する。
【0027】
まず、エンジンの始動に伴ってクランクシャフトからベルトを介してプーリ1に回転が伝達されるため、シャフト2を介して回転子4を回転させる。ここで、回転子4に設けられた界磁巻線13にスリップリング14を介してブラシ15から直流電流を供給すると界磁巻線13の内外周を周回する磁束が生じるため、回転子4におけるフロント側爪形磁極11とリヤ側爪形磁極12にN極、又は、S極が周方向に交互に形成される。この界磁巻線13による磁束は、フロント側爪形磁極11のN極から固定子鉄心6をとおって固定子巻線7の周りを周回し、回転子4のリヤ側爪形磁極12のS極に到達することで回転子4と固定子5を周回する磁気回路が形成される。このように回転子にて生じた磁束が固定子巻線7と鎖交するため、U1相、U2相、V1相、V2相、W1相、W2相の固定子巻線7のそれぞれに交流誘起電圧が発生し、全体としては6相分の交流誘起電圧が生じる。
【0028】
このように発電された交流電圧は、ダイオード等の整流素子で構成された整流回路20によって、全波整流されて直流電圧に変換される。整流された直流電圧は一定電圧になるようにICレギュレータ(図示せず)で界磁巻線13に供給する電流を制御することで達成している。
【0029】
次に,図2〜図11を用いて、本実施形態による回転電機に用いる固定子の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子のリヤ側から斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子の回路図である。図4は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子のU1相Aコイルの固定子巻線の斜視図である。図5は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる環状コイルの斜視図である。図6は、図5のP矢視図である。図7は、図5のF矢視図である。図8は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子鉄心内の巻線配置図である。図9は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子のフロント側からの斜視図である。図10は、本発明の第1の実施形態による回転電機に用いる固定子鉄心スロット部の詳細図である。図11は、本発明の第1の実施形態による回転電機の断面図である。
【0030】
図2に示すように、固定子5は、内周面の周方向に複数のスロットを有する環状の固定子鉄心6と、その各々のスロットの内周面に装着されたU字状の絶縁紙8を介して、各相の固定子巻線7を装着し、固定子巻線7をスロット内に保持するためスロット最内周側にスロット楔9を有する。この例では、スロット数は72である。
【0031】
固定子鉄心6のスロットから軸方向にはみ出た部分は、2つのスロット間を口出し線側のコイルエンド72−a,口出し線側と反対側のコイルエンド72−bである。また、図示のように、24本の口出し線71が取り出される。口出し線71の数が24本であるので、コイルの数は12個である。12個のコイルは、図3にて説明するように、6個のAコイルと、6個のBコイルとからなる。
【0032】
ここで、固定子巻線の各周回コイルの間には、1mm以上の空隙が存在するようにしている。これは、回転電機が電動機である場合、印加される電圧は300Vや600Vのように高圧であるため、相間の絶縁を確保するため、所定の空隙(1mm以上)が存在するようにする。
【0033】
一方、回転電機が発電機の場合、その出力電圧は14Vと低いため、線間の耐圧はそれほど要求されない。そのため、固定子巻線の各周回コイルの間の空隙には、絶縁材(絶縁ワニス)を介在させる。
、図3に示す結線図に示すように、本実施例での構成は、固定子巻線は三角形状に結線されたデルタ結線の構成で、第1巻線7−1及び第2巻線7−2と2種類のコイルを並列に結線し構成されている。第1巻線7−1は、整流器20−1に接続され、第2巻線7−2は、整流器20−2に接続される。
【0034】
デルタ結線された第1巻線7−1は、6個のコイル(2個の並列接続されたU相コイル7U1−A,7U1−Bと、2個の並列接続されたV相コイル7V1−A,7V1−Bと、2個の並列接続されたW相コイル7W1−A,7W1−B)から構成されている。第2巻線7−2も、同様に6個コイルがデルタ結線されている。
【0035】
なお、以上の巻線はデルタ結線されているが、直列接続及びスター結線(Y結線)で構成しても回転電機として成立する。
【0036】
図4に示すように、U1相の固定子巻線は、環状に巻回され成形されたコイルを渡り線73で複数連結した形態で構成されている。本例である毎極毎相のスロット数が「2」であり、12極6相分の巻線の場合、環状コイル76の数は12個である、各コイル間は渡り線73で接続され、連続的に形成される。環状コイル76の巻数は、例えば、5Tである。図示の例は、U1相の第1の固定子巻線7U1−Aを示しており、6個の環状コイル76と、それらの環状コイル76の間を接続する5個の渡り線73と、両端に位置する環状コイル76を外部に接続するための2個の口出し線71とからなる。
【0037】
図3に示すように、U1相の固定子巻線7U1は、7U1−A巻線と7U1−B巻線で構成されている。図4において、7U1−A巻線は渡り線73−aが口出し線71側に配置される構成で7U1−B巻線も同様に渡り線73−bが口出し線71側に配置される構成の固定子巻線であり、渡り線の配置を口出し線側に集約する。
【0038】
図5は、一つの環状コイル76の形態を示している。環状コイル76は、略六角形であり、口出し線71と、固定子鉄心の軸方向に飛び出したコイルエンド部74−a,74−bと、固定子鉄心のスロット部に装着されるコイルスロット部75−a,75−bと、環状コイル間を繋ぐ渡り線73とにより構成される。コイルエンド部74−a、74−bには、コイルエンド部の三角形状の頂点でU字形状に折り返しされるコイルターン部74ct−a,74ct−bがある。
【0039】
図5に示すように、環状コイル76の巻順は、口出し線71からコイルエンド部74−aにθ1の角度で固定子鉄心のスロット部に入る環状コイルスロット部75−aに入り、口出し線と反対側のコイルエンド部74−bにθ2の角度を保ちながら移る。
【0040】
コイルエンド部の頂点である折り返し点であるコイルエンドターン部74ct−bでコイルエンド部の頂点部付近で軸方向に屈曲し、軸方向にコイルが向いたのちU字形状にスロットの内層から外層に向けてUターンする。
【0041】
コイルターン部74ct−bのU字形状は、軸方向に積層されるように、巻数分整列される。
【0042】
コイルターン部74ct−bのU字形にターン後、口出し線と反対側のコイルエンド72−bはθ3の角度に屈曲し、口出し線と反対側コイルエンド72−baから固定子鉄心の外層側のスロット部に入るコイルスロット部75−bに入る。
【0043】
コイルスロット部75−bに入ったコイルは口出し線側に排出され、θ4の角度を向けて口出し線71側のコイルエンド部74−aを通過する。
【0044】
コイルエンド部の頂点であるコイルエンドターン部74ct−bでコイルエンド部の頂点部付近で一度軸方向に屈曲し、軸方向にコイルが向いたのちU字形状にスロットの外層から内層に向けてUターンする。
【0045】
コイルターン部74ct−aのU字形状は、軸方向に積層されるように、巻数分整列
コイルターン部74ct−aでU字形状にターン後、θ1の角度でコイルエンド部74−aから固定子鉄心のスロット部に入る環状コイルスロット部75−aに入り、六角形状を一周し、環状コイル76の1T(ターン)となる。
【0046】
これを所定の巻数分を繰り返すことで、回転電機の特性に必要とする所定の巻数分を巻回する。
【0047】
なお、コイルターン部74ctでは軸方向に重なるような形態となる。
【0048】
コイルエンド部の角度θ1〜θ4は、30度〜50度が望ましい。
【0049】
図6は、図5の環状コイルを軸方向のP方向から見た図を示している。コイルターン部74ct−aの位置は、スロットコイル部75−aとスロットコイル部75−bとの角度βの半分のβ/2の位置となっている。
【0050】
図7は、図5の環状コイルを軸方向のF方向から見た図を示している。コイルターン部74ct−bの位置はスロットコイル部75−aとスロットコイル部75−bとの角度βの半分のβ/2の位置となっている。
【0051】
図8は、固定子鉄心に装着される固定子巻線のスロットの配置図を示している。
【0052】
環状コイル76の配置ピッチは、磁極ピッチと等しい電気角360°間隔で配置され、環状コイルの巻回ピッチは、磁極ピッチより小さい電気角180°未満の150°で巻回される短節ピッチとなる。
【0053】
このように、固定子巻線に用いる環状コイルの巻回ピッチが、磁極ピッチと等しい全節ピッチの間隔よりも狭い間隔(短節ピッチ=電気角で180°未満)で複数のティースをまたいで夫々のスロットに挿入されるものを短節巻きと称する。なお、固定子巻線に用いる環状コイルの巻回ピッチが、磁極ピッチと等しい全節ピッチの間隔(全節ピッチ=電気角で180°)で複数のティースをまたいで夫々のスロットに挿入されるものを全節巻きと称する。
【0054】
また、V1相からW2相の固定子巻線についても同様の構成である。
【0055】
図5で示す環状コイル76は、固定子鉄心に装着されるが、固定子巻線7の配置は、図8に示すようにスロットの半径方向に2分割され、スロット開口部側を内層、固定子鉄心6の外周側を外層となる2層巻線の配置となる。
【0056】
各相の固定子巻線7は、Aコイル及びBコイルの2種類に分割され、図8において、例えば、2つのU1相の固定子巻線7は、AコイルはU1A、BコイルはU1Bとし、環状コイルU1Aは、第1スロットS1の内層側と第5スロットS5の外層側に配置され、コイルエンド部で結ばれ環状コイル76を形成する。
【0057】
すなわち、U1相の環状コイル巻回ピッチは磁極ピッチより小さい電気角180°未満の150°で巻回される。
【0058】
一方、環状コイルU1Bは、第7スロットのS7の内層側と第11スロットであるS11の外層側に配置され、コイルエンド部で結ばれ環状コイル76を形成する。
【0059】
すなわち、U2相の環状コイル巻回ピッチは磁極ピッチより小さい電気角180°未満の150°で巻回される。
V1相からW2相の環状コイルについても同様の構成である。
【0060】
図8に示すスロット配置図で装着された環状コイルを図4に示すように渡り線73で繋ぐ形態とし、図3に示すような結線図で各相の固定子巻線7を結線し、整流器に接続することで、固定子は2組の3相結線を備えた本第一実施例である車両用交流発電機となる。
【0061】
図9は、図5の環状コイル76で構成された固定子5を、フロント側から見た場合を示している。
【0062】
図9に示されるように、コイルエンドの頂点であるコイルターン部74ct−bは、U字形状が固定子の半径方向になるように、放射状に整列され、コイルターン部74ct−b同士が一定の間隔が設けられている。
【0063】
コイルターン部74ct−bのU字方向をスロットの長手方向に径方向に整列することで、図10に示すようにスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下となった場合においても、コイルターン部での間隔を一定に保つことができ、コイルエンド部で干渉することが無く固定子を構成できる。
【0064】
また、モータ等の高電圧化にも一定のギャップを保つことが可能となり、相間絶縁紙無しで固定子を構成することができ、高品質で安価の固定子を提供できる。
【0065】
図11は、図1の車両用交流発電機の断面図を示している。固定子5の内周側には回転子4が配置され、回転子4のフロント側爪磁極には、フロントファン16が配置され、回転子が矢印R1方向に回転することで中心部から外周側に放射状に冷却風が発生し、固定子巻線7の冷却をしている。
【0066】
本実施形態の場合、コイルエンド部74−bのコイルターン部74ct−bは図9に示すように放射状に配置しており、コイルターン部74ct−b間には一定の空間が空いている。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、この空間は径方向に冷却風が通り抜けやすい形態にコイルエンド部74−bが形成されているため、流路抵抗が少なく効率よく固定子巻線7の冷却性が向上され、冷却性に優れた固定子巻線を有する高品質で高出力で高効率化の固定子が実現できる。
【0068】
次に、図12及び図13を用いて、本発明の第2の実施形態による回転電機の構成について説明する。本実施形態による回転電機の全体構成は、図1に示したものと同様である。
図12は、本発明の第2の実施形態による回転電機のフロントファン付近の断面図である。図13は、本発明の第2の実施形態による回転電機のリアファン付近の断面図である。
【0069】
上記した第1実施形態は、コイルエンド部での干渉回避と冷却性向上のため、コイルターン部74ct−bを中心に対し垂直に傾けた構造をとっている。
【0070】
それに対して、本実施形態である車両用交流発電機冷却風の効果を最大限に高める構造を目的とし、冷却風の排出側の流路抵抗を低減させ、風量を増加することで冷却性を向上することである。
【0071】
図12に示すように、フロントファン16と固定子巻線7の位置関係を示した図であるが、フロントファン16の羽根の出口角度θbと、コイルターン部74ct−bの配置角度θcが同等の角度となることで、冷却ファンの出口角度とコイルターン部74ct−bが直線状となり、流路抵抗が少なく冷却風を外部に排出でき、風量を増加させることができる。
【0072】
コイルターン部の角度θcが大きくなると、コイルエンド部に入る冷却風の入り口が狭くなり、流路抵抗の原因となるため、40°以下が望ましい。
【0073】
また、図12に示すようにフロントブラケットの排気窓18−aの角度θfも冷却ファンの羽根の出口角度θbとコイルターン部74ct−bの配置角度θcと角度を一致させることで、ファンの羽根の出口角度からコイルターン部、カバーから外部への排出まで冷却風が一直線上に抜けるため、流路抵抗を大幅に低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0074】
フロントファン16側のコイルエンド部74−bについて述べてきたが、リヤファン17側のコイルエンド部74−aについても同様である。図13に示すようにリヤファン17と固定子巻線7の位置関係を示した図であるが、リヤファン17の羽根の出口角度θbrと、コイルターン部74ct−aの配置角度θcrが同等の角度となることで、冷却ファンの出口角度とコイルターン部74ct−bが直線状となり、流路抵抗が少なく冷却風を外部に排出でき、風量を増加させることができる。
【0075】
さらにリヤブラケット19の排気窓19−aの角度θrもリヤファン17の羽根の出口角度θbrとコイルターン部74ct−aの配置角度θcrと角度を一致させることで、ファンの羽根の出口角度からコイルターン部、カバーから外部への排出まで冷却風が一直線上に抜けるため、流路抵抗を大幅に低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0076】
コイルターン部の角度θcが大きくなると、コイルエンド部に入る冷却風の入り口が狭くなり、流路抵抗の原因となるため、40°以下が望ましい。
【0077】
フロントファン16びリヤファン17に合わせ、コイルターン部の配置角度を各々設定するため効果的に固定子巻線の冷却を効果的に冷却が可能である。
【0078】
したがって、口出し線側のコイルターン部の配置角度と口出し線と反対側(フロントファン側)のコイルターン部の配置角度は、変更しても成立し、最大限に風量を効果的に増加させることが可能である。
【0079】
以上の本実施形態により、ファンの出口側の流路抵抗を低減することで風量が増加しコイルの冷却性及び各部の冷却性も向上し、冷却性に優れた固定子巻線を有する高品質で高出力で高効率化の固定子を有する回転電機が実現できる。
【0080】
次に、図14及び図15を用いて、本発明の第3の実施形態による回転電機の構成について説明する。本実施形態による回転電機の全体構成は、図1に示したものと同様である。
図14は、本発明の第3の実施形態による回転電機のフロントファン付近の断面図である。図15は、本発明の第3の実施形態による回転電機のリアファン付近の断面図である。
【0081】
上記した第1及び第2実施形態は、ファンの出口側の流路抵抗を低減することで風量が増加しコイルの冷却性及び各部の冷却性も向上させた、
それに対して、本実施形態では、コイルターン部の側面に冷却風を当てることで、固定子巻線7の冷却性を向上させることを目的とする。
【0082】
図14に示すようにフロントファン16と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、フロントファン16の羽根の出口角度θbは回転方向に対し反対方向に角度が設定され、それに対し、コイルターン部74ct−bの配置角度γcは羽根の角度と反対方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−bの側面に当てつつ、フロントブラケット18の外部に排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0083】
コイルターン部74ct−bの配置角度γcが大きすぎると流路抵抗の増加およびコイルターン部74ct−b間の流路への入り口幅が狭くなることにより風量低下となるため、フロントファン16の羽根の出口角度θbとコイルターン部74ct−bの配置角度γcの合計が60°以下の範囲に設定することで、流路抵抗を抑えつつ固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0084】
また、図14に示すように、フロントブラケットの排気窓18−aの角度θfはコイルターン部74ct−bの配置角度γcと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0085】
コイルターン部74ct−bの配置角度γcについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上の場合、スロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−b同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0086】
フロントファン16側のコイルエンド部74−bについて述べてきたが、リヤファン17側のコイルエンド部74−aについても同様である。
【0087】
図15に示すように、リヤファン17と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、リヤファン17の羽根の出口角度θbrは回転方向に対し反対方向に角度が付けられ、それに対し、コイルターン部74ct−aの配置角度γcrは羽根の角度と反対方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−aの側面に当てつつ、リヤブラケット19の外部に排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0088】
コイルターン部74ct−aの配置角度γcrが大きすぎると流路抵抗の増加およびコイルターン部74ct−a間の流路への入り口幅が狭くなることにより風量低下となるため、リヤファン17の羽根の出口角度θbrとコイルターン部74ct−aの配置角度γcrの合計が60°以下の範囲に設定することで、流路抵抗を抑えつつ固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0089】
また、図15に示すように、リヤブラケットの排気窓19−aの角度θfrはコイルターン部74ct−aの配置角度γcrと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0090】
コイルターン部74ct−aの配置角度γcrについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上に設定するとスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−a同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0091】
フロントファン16及びリヤファン17に合わせ、コイルターン部の配置角度を各々設定するため効果的に固定子巻線の冷却を効果的に冷却が可能である。
【0092】
したがって、口出し線側のコイルターン部の配置角度と口出し線と反対側(フロントファン側)のコイルターン部の配置角度は、変更しても成立し、最大限に風量を効果的に増加させ、コイルターン部に直接冷却風を当てることで固定子巻線の冷却性向上を図ることが可能である。
【0093】
以上の本実施形態によりファンの出口側の角度とコイルターン部の角度を変更することでコイルターン部に冷却風を当て冷却性が向上し、固定子巻線の冷却性に優れた高品質で高出力で高効率化の固定子を有する回転電機が実現できる。
【0094】
次に、図16及び図17を用いて、本発明の第4の実施形態による回転電機の構成について説明する。本実施形態による回転電機の全体構成は、図1に示したものと同様である。
図16は、本発明の第4の実施形態による回転電機のフロントファン付近の断面図である。図17は、本発明の第4の実施形態による回転電機のリアファン付近の断面図である。
【0095】
上記した第3実施形態では、ファンの出口側の角度とコイルターン部の角度を変更することでコイルターン部に冷却風を当て冷却性が向上し、固定子巻線の冷却性を向上させたが、第流路抵抗が大きく第2実施形態に比べ、風量が低下する。
【0096】
そこで、本実施形態では、コイルターン部の側面に冷却風を当て固定子巻線の冷却性を向上させるとともに、風量低下量を抑えることで固定子巻線7の冷却性を向上させることを目的とする。
【0097】
図16に示すように、フロントファン16と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、フロントファン16の羽根の出口角度θbは回転方向に対し反対方向に角度が設定され、それに対し、コイルターン部74ct−bの配置角度γ’cは羽根の角度と同じ方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−bの側面に当てつつ、フロントブラケット18の外部に滑らかに排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0098】
コイルターン部74ct−bの配置角度γcが大きすぎるとコイルターン部74ct−bの側面に当たることなく冷却風が外部に排出されるため、フロントファン16の羽根の出口角度θbとコイルターン部74ct−bの配置角度γ’cの差が0°にならいないように設定することで、コイルターン部74ct−bの側面に確実に当てることができ、固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0099】
また、図16に示すように、フロントブラケットの排気窓18−aの角度θfはコイルターン部74ct−bの配置角度γ’cと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0100】
コイルターン部74ct−bの配置角度γ’cについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上の角度ではスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−b同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0101】
フロントファン16側のコイルエンド部74−bについて述べてきたが、リヤファン17側のコイルエンド部74−aについても同様である。
【0102】
図17に示すように、リヤファン17と固定子巻線7の位置関係を示した断面図であるが、リヤファン17の羽根の出口角度θbrは回転方向に対し反対方向に角度が付けられ、それに対し、コイルターン部74ct−aの配置角度γ’crは羽根の角度と同じ方向に角度を付けることで冷却風をコイルターン部74ct−aの側面に当てつつ、リヤブラケット19の外部に滑らかに排出させることで、固定子巻線の冷却性が向上する。
【0103】
コイルターン部74ct−aの配置角度γ’crが大きすぎると流路抵抗の増加およびコイルターン部74ct−a間の流路への入り口幅が狭くなることにより風量低下となるため、リヤファン17の羽根の出口角度θbrとコイルターン部74ct−aの配置角度γcrの合計が60°以下の範囲に設定することで、流路抵抗を抑えつつ固定子巻線7の冷却性を向上させることができる。
【0104】
また、図15に示すように、リヤブラケットの排気窓19−aの角度θfrはコイルターン部74ct−aの配置角度γ’crと角度を一致させることで、流路抵抗を低減でき風量増加による冷却性を向上させることができる。
【0105】
コイルターン部74ct−aの配置角度γ’crについては、45度以下になるように設定することが望ましく、45度以上の角度ではスロットティース幅Btとコイル幅Bcの比率(Bt/Bc)が1以下の固定子鉄心の場合、コイルターン部74ct−a同士の干渉の発生が懸念され占積率を向上出来ない等の問題が発生する。
【0106】
フロントファン16及びリヤファン17に合わせ、コイルターン部の配置角度を各々設定するため効果的に固定子巻線の冷却を効果的に冷却が可能である。
【0107】
したがって、口出し線側のコイルターン部の配置角度と口出し線と反対側(フロントファン側)のコイルターン部の配置角度は、各々変更しても成立し、最大限に風量を効果的に増加させ、コイルターン部に直接冷却風を当てることで固定子巻線の冷却性向上を図ることが可能である。
【0108】
以上の本実施形態によりファンの出口側の角度とコイルターン部の角度を変更することでコイルターン部に冷却風を当て冷却性が向上し、ファンの羽根の出口角度とコイルターン部の配置角度を同じ方向に角度設定をすることで風量を低下させず固定子巻線の冷却性に優れた高品質で高出力で高効率化の固定子を有する回転電機が実現できる。
【0109】
なお、前述の第1実施形態から第3実施形態は、6つの異なる相の固定子巻線7を固定子鉄心6に装着した後に、電気角が異なる2つの相の固定子巻線を並列に接続して整流器20に接続した構成であるが、直列接続でも同様の効果が得られ口出し線の数を削減できる効果がある。
【0110】
また、デルタ結線での構成であるがスター結線でも同様の効果が得られる。
【0111】
また、第1の実施形態では、固定子巻線の巻回ピッチを5/6(電気角150°)で巻線された固定子について述べてきたが、巻回ピッチを4/6(電気角120°)または、巻回ピッチが6/6(電気角180°)で巻線された固定子の構成についても成立し、同様の効果が得られる。
【0112】
また、2組の3相巻線を有する固定子について述べてきたが、3相巻線及び5相、7相等の多相の固定子についても同様の効果が得られる。
【0113】
また、上述の各実施形態では、回転電機の一例として車両用交流発電機について説明を行ったが、回転力を出力するモータや、発電と駆動を兼ねたモータジェネレータ等にも適用することができる。特にモータとしては、ハイブリット自動車や電動四輪駆動車の駆動用モータ,ポンプを駆動するためのモータ等への固定子として適用できる。
【符号の説明】
【0114】
1…プーリ
2…シャフト
3…フロントベアリング
4…回転子
5…固定子
6…固定子鉄心
7…固定子巻線
71…口出し線
73…渡り線
74−a…口出し線側コイルエンド
74−b…口出し線反対側コイルエンド
74ct−a…口出し線側のコイルエンド頂点のコイルターン部
74ct−b…口出し線反対側のコイルエンド頂点のコイルターン部
75−a…固定子鉄心内層側スロットに装着されるコイル
75−b…固定子鉄心外層側スロットに装着されるコイル
76…環状コイル
8…絶縁紙
9…スロット楔
10…リヤベアリング
11…フロント側爪磁極
12…リヤ側爪磁極
13…界磁巻線
14…スリップリング
15…ブラシ
16…フロントファン
17…リヤファン
18…フロントブラケット
19…リヤブラケット
22…リヤカバー
20…整流回路
21…ダイオード接続端子
23…車両用交流発電機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、該固定子の内周側に隙間を介して回転可能に支持された回転子を有し、
前記固定子は、内周面に向かって開口された複数のスロットを有する環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に複数のスロットを介して装着された固定子巻線とを有し、
前記固定子巻線は、前記複数のスロットを跨ぎ複数回周回するコイルと前記周回するコイル同士とをつなぐ渡り線により連続的に構成され、
前記固定子巻線は、複数組、固定子鉄心の全周にわたり配置されている、
回転電機であって、
前記固定子鉄心の軸方向に配置されるコイルエンドの頂点部で折り返されるコイルタ−ン部はU字形状に形成され、
前記コイルエンドの頂点のコイルターン部は、側面が中心に向かうように放射状に配置され、
前記コイルエンドの頂点のコイルターン部と隣接するコイルエンドの頂点のコイルターン部との間には、内周側から外周側に貫通される空間を設けられていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機において、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配列は、スロット部では径方向に巻数分整列され、前記コイルエンドの頂点部のコイルターン部では軸方向に積層されるように、巻数分整列されることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2記載の回転電機において、
前記コイルエンドのコイルタ−ン部は、環状コイルの固定子鉄心のスロットに挿入される位置の中間部に配置されることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項2記載の回転電機において、
前記コイルエンド部頂点のコイルタ−ン部の配置角度が、リヤフレームの排気窓の角度に一致することを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機において、
さらに、冷却ファンの羽根の出口角度が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の配置角度に一致することを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項2記載の回転電機において、
冷却ファンの羽根によって生成された冷却風が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の側面に当たるように、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部が配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項1記載の回転電機において、
前記コイルは断面が略矩角形状の平角線であり、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルは亀甲形状であり、
前記固定子鉄心のスロットを径方向に2分割され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルのスロット部に挿入されるコイル部は一方が外周側に挿入され、もう一方はスロットの内周側に配置され、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配置は、各相、磁極ピッチと同じ数の配置であり、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルを磁極ピッチより短い巻回ピッチで巻線され、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルの巻回ピッチが、4/6〜5/6で巻回されることを特徴とする回転電機。
【請求項1】
固定子と、該固定子の内周側に隙間を介して回転可能に支持された回転子を有し、
前記固定子は、内周面に向かって開口された複数のスロットを有する環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に複数のスロットを介して装着された固定子巻線とを有し、
前記固定子巻線は、前記複数のスロットを跨ぎ複数回周回するコイルと前記周回するコイル同士とをつなぐ渡り線により連続的に構成され、
前記固定子巻線は、複数組、固定子鉄心の全周にわたり配置されている、
回転電機であって、
前記固定子鉄心の軸方向に配置されるコイルエンドの頂点部で折り返されるコイルタ−ン部はU字形状に形成され、
前記コイルエンドの頂点のコイルターン部は、側面が中心に向かうように放射状に配置され、
前記コイルエンドの頂点のコイルターン部と隣接するコイルエンドの頂点のコイルターン部との間には、内周側から外周側に貫通される空間を設けられていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機において、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配列は、スロット部では径方向に巻数分整列され、前記コイルエンドの頂点部のコイルターン部では軸方向に積層されるように、巻数分整列されることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2記載の回転電機において、
前記コイルエンドのコイルタ−ン部は、環状コイルの固定子鉄心のスロットに挿入される位置の中間部に配置されることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項2記載の回転電機において、
前記コイルエンド部頂点のコイルタ−ン部の配置角度が、リヤフレームの排気窓の角度に一致することを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機において、
さらに、冷却ファンの羽根の出口角度が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の配置角度に一致することを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項2記載の回転電機において、
冷却ファンの羽根によって生成された冷却風が、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部の側面に当たるように、前記コイルエンドの頂点のコイルタ−ン部が配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項1記載の回転電機において、
前記コイルは断面が略矩角形状の平角線であり、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルは亀甲形状であり、
前記固定子鉄心のスロットを径方向に2分割され、前記固定子巻線の複数回周回するコイルのスロット部に挿入されるコイル部は一方が外周側に挿入され、もう一方はスロットの内周側に配置され、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルの配置は、各相、磁極ピッチと同じ数の配置であり、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルを磁極ピッチより短い巻回ピッチで巻線され、
前記固定子巻線の複数回周回するコイルの巻回ピッチが、4/6〜5/6で巻回されることを特徴とする回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−115947(P2013−115947A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260950(P2011−260950)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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