説明

回転駆動装置、画像形成装置、カラー画像形成装置および回転体の軸芯合わせ方法

【課題】 4つの玉軸受を理想位置に位置決めしないと感光体駆動軸、感光体軸に軸芯のずれが生じ、カップリング部の噛み合いが悪くなり、感光体駆動軸の角速度の変動がカップリング部によって増大して感光体に伝わってしまい、色ずれ発生の要因の一つとなっていた。
【解決手段】 回転駆動装置25は、感光体10の感光体軸28aが玉軸受31に、感光体軸28bが玉軸受32に、カップリング部35を介して感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29がすべり軸受33に、感光体駆動軸29が玉軸受34に、それぞれ回転自在に支持され、玉軸受31、玉軸受32、すべり軸受33、玉軸受34を装置本体26に対して位置決め固定し、かつ、カップリング部35とは別体の位置決め手段(位置決め孔36、位置決めピン37)での軸芯合わせを介して、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との軸芯を合わせることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動装置、画像形成装置、カラー画像形成装置および回転体の軸芯合わせ方法に関し、さらに詳しくはあらゆる技術分野の回転駆動装置、ならびに電子写真方式を利用したレーザプリンタ等のプリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、これらの複合機などにおける回転駆動装置を有する画像形成装置、カラー画像形成装置および回転体の軸芯合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から回転体である複数の感光体ドラムを一列に並べて構成された、いわゆるタンデム方式のカラープリンタ、カラー複写機等などのカラー画像形成装置において、感光体ドラム(以下、単に「感光体」という)の回転精度を確保して色ずれを防止する技術が知られている(例えば、特許文献1ないし4参照)。
【0003】
図9および図10を参照して、従来のカラー画像形成装置におけるドラム状の感光体10の軸芯合わせ方法の一例を説明する。図9は、感光体10の軸受位置決め構成を示し、図10は、図9に示した感光体10の軸受位置決め構成と等価の細部構成を拡大誇張して模式的に示している。両図において、符号70は、回転体としての感光体10を回転駆動する回転駆動装置を示す。この回転駆動装置70は、例えば、後述する本発明の実施形態を示す図1のプリンタ1に配設される複数の回転駆動装置の従来例に相当する。
【0004】
回転駆動装置70は、図9および図10に示すように、感光体10の一方の軸としての感光体軸28bがカップリング部35を介して感光体10を駆動する感光体駆動軸29に着脱自在に構成されている。感光体10は、感光体軸28bがカップリング部35を介して感光体駆動軸29に連結されたときに、感光体10を回転駆動するためのギヤ列を構成する駆動ギヤ39やプーリ間に掛け渡された無端ベルト(図示せず)等の駆動力伝達手段を介して、図示しない駆動手段(例えば駆動モータ等)によって回転駆動される。
【0005】
回転駆動装置70は、感光体10の他方の軸としての感光体軸28aが第1の軸受としての玉軸受31に、感光体軸28bが第2の軸受としての玉軸受32に、カップリング部35を介して感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29が第3の軸受としての玉軸受73に、図示しない駆動手段(例えば駆動モータ等)に対向する側の感光体駆動軸29が第4の軸受としての玉軸受34に、それぞれ回転自在に支持され、玉軸受31、玉軸受32、玉軸受73、玉軸受34を装置本体26(面板ユニット27、本体側板26a、ホルダ40および側板ブラケット26bを含む)に対して位置決め固定することにより、感光体軸28aと感光体軸28bと感光体駆動軸29との軸芯を合わせるようになっている。
【0006】
具体的には、玉軸受31を、装置本体26に対して挿脱自在に位置決め支持される面板ユニット27に対して位置決めを行い、玉軸受34を、装置本体26に固設された本体側板26aにさらに固設された側板ブラケット26bに対して位置決めを行い、玉軸受32および玉軸受73を、本体側板26aに固設されたホルダ40に対して位置決めを行っている。つまり、上述したような軸受で位置決めをする場合は、感光体軸28a−玉軸受32−ホルダ40−玉軸受73−感光体駆動軸29と公差が積みあがる。
【0007】
感光体10、感光体軸28a,28b、各玉軸受31,32および感光体軸28bに対向する側のカップリング部35は、適宜、現像装置等と一体化された作像ユニットを構成するプロセス・カートリッジ・ユニット(以下、「PCU」と略記する)71として、装置本体26に対して着脱自在、すなわち図示しない案内支持部材を介して図10に両矢印で示す方向に挿脱自在に構成されている。なお、図9では、ホルダ40を始めその周りの図示を省略している(後述する実施形態を示す図2も同様)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−214654号公報
【特許文献2】特開2000−227696号公報
【特許文献3】特開2001−147618号公報
【特許文献4】特開2003−186348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図9および図10に示した回転駆動装置70における感光体10の軸芯合わせ方法では、ころがり軸受としての4つの玉軸受31,32,73,34を理想位置に位置決めしないと感光体駆動軸29、感光体軸28a,28bに軸芯のずれが生じ、カップリング部35の噛み合いが悪くなり、感光体駆動軸29の角速度の変動がカップリング部35によって増大して感光体10に伝わってしまい、色ずれ発生の要因の一つとなっていた。
【0010】
この対策のために、感光体駆動軸と感光体軸とを一体にした貫通軸を用いるなどの事例も実施されているが、この手法ではPCUの交換が困難になるなどの問題点がある。また、それぞれの軸受を理想の位置に位置決めする方法も考えられるが、そのためには本体の成型にかかるコストが非常に高くなり、寸法公差の積み上げを考えると技術的にも難しい。
また、感光体軸、感光体駆動軸同士を孔とボスによって位置決めすることも可能であるが、感光体軸と感光体駆動軸を電気的に絶縁させる必要性のある場合には、金属の軸同士での位置決めはできない。
【0011】
そこで、本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであって、回転体であると共に像担持体でもある感光体ドラム等の感光体駆動軸と感光体軸の軸芯を精度良く合わせることにより、軸芯のずれによるカップリング部の駆動受け渡し時の角速度変動の増大を抑制することが可能な画像形成装置を提供すると共に、複数の像担持体を有するカラー画像形成装置において色ずれの低減を図ることを第1の主な目的としている。その他、後述する実施形態等で記載した利点・効果を奏することも目的としている
【0012】
さらには、あらゆる技術分野の回転駆動装置において、回転体の駆動軸と回転体の軸の軸芯を精度良く合わせることにより、軸芯のずれによるカップリング部の駆動受け渡し時の角速度変動の増大を抑制することが可能な回転駆動装置および回転体の軸芯合わせ方法を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、各請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、回転体の一方の軸がカップリングを介して該回転体を駆動する駆動軸に着脱自在に構成されており、前記回転体の他方の軸が第1の軸受に、前記一方の軸が第2の軸受に、前記カップリングを介して前記一方の軸に対向する側の前記駆動軸が第3の軸受に、前記駆動軸が第4の軸受に、それぞれ回転自在に支持され、第1ないし第4の軸受を装置本体に対して位置決め固定することにより、前記一方の軸と前記他方の軸と前記駆動軸との軸芯を合わせる回転駆動装置において、第1の軸受、第2の軸受および第4の軸受は、ころがり軸受であり、第3の軸受は、前記駆動軸の中心線と直交する方向の前記一方の軸に対向する側の駆動軸との間に所定の隙間を持つすべり軸受であり、前記一方の軸と前記一方の軸に対向する側の前記駆動軸との軸芯を合わせるための、前記カップリングとは別体の位置決め手段を有することを特徴とする。
ここで、装置本体には、第1の軸受固定側でユニット化された例えば面板ユニットが第4の軸受固定側の装置本体に対して着脱自在であり、第4の軸受固定側の装置本体に装着されたときに該装置本体に位置決め固定される前記面板ユニットも含まれる(以下、同様)。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転駆動装置において、第2の軸受および第3の軸受は、前記装置本体側に固設された支持部材に対して位置決め固定されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の回転駆動装置において、前記ころがり軸受が、玉軸受であることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の回転駆動装置において、前記位置決め手段は、前記一方の軸端部および前記一方の軸に対向する側の駆動軸端部の何れか一方に形成された孔と、前記一方の軸端部および前記一方の軸に対向する側の駆動軸端部の何れか他方に設けられ前記孔に嵌入する棒状部とからなることを特徴とする。
ここで、「孔に嵌入する棒状部」とは、換言すれば、孔に挿通された棒状部との間に軸芯合わせに影響を与えない範囲で通常の人間の操作力で軽く圧入できる程度の「はめあい」であることを意味する。また、「棒状部」が一方の軸端部および一方の軸に対向する側の駆動軸端部の何れか他方に設けられることには、棒状部が一体的に設けられる場合と、後述する実施形態のような位置決めピンのように別体で設けられる場合の双方が含まれる(以下、同様)。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の回転駆動装置において、前記孔の形成部および前記棒状部の少なくとも一方が電気絶縁性の材料で形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の回転駆動装置を具備し、前記回転体は、像担持体であることを特徴とする画像形成装置である。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記像担持体は、前記カップリングを介して前記装置本体に対して、着脱自在に構成されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の画像形成装置において、前記回転体は、前記像担持体に対向して配置されトナー像を担持する中間転写手段または該像担持体に対向して配置され転写材を担持し搬送する搬送転写手段であることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の回転駆動装置を複数具備し、前記複数の回転体は、像担持体であることを特徴とするカラー画像形成装置である。
請求項10記載の発明は、請求項9記載のカラー画像形成装置において、前記各像担持体は、前記カップリングを介して前記装置本体に対して、着脱自在に構成されていることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載のカラー画像形成装置において、前記回転体は、前記各像担持体に対向して配置されトナー像を担持する中間転写手段または該各像担持体に対向して配置され転写材を担持し搬送する搬送転写手段であることを特徴とする。
【0018】
請求項12記載の発明は、回転体の一方の軸がカップリングを介して該回転体を駆動する駆動軸に着脱自在に構成されており、前記回転体の他方の軸が第1の軸受に、前記一方の軸が第2の軸受に、前記カップリングを介して前記一方の軸に対向する側の前記駆動軸が第3の軸受に、前記駆動軸が第4の軸受に、それぞれ回転自在に支持され、第1ないし第4の軸受を装置本体に対して位置決め固定することにより、前記一方の軸と前記他方の軸と前記駆動軸との軸芯を合わせる回転体の軸芯合わせ方法において、第1の軸受、第2の軸受および第4の軸受には、ころがり軸受を用い、第3の軸受には、前記駆動軸の中心線と直交する方向の前記一方の軸に対向する側の駆動軸との間に所定の隙間を持つすべり軸受を用いて、前記軸芯を合わせることを特徴とする。
【0019】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の回転体の軸芯合わせ方法において、前記カップリングとは別体の位置決め手段を用いて、前記一方の軸と前記一方の軸に対向する側の前記駆動軸との軸芯を合わせることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の回転体の軸芯合わせ方法において、前記位置決め手段には、前記一方の軸端部および前記一方の軸に対向する側の駆動軸端部の何れか一方に形成された孔と、前記一方の軸端部および前記一方の軸に対向する側の駆動軸端部の何れか他方に設けられ前記孔に嵌入する棒状部とを用いることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項14記載の回転体の軸芯合わせ方法において、前記孔の形成部および前記棒状部の少なくとも一方を、電気絶縁性の材料で形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各請求項記載の構成により、前記課題を解決して新規な回転駆動装置、画像形成装置、カラー画像形成装置および回転体の軸芯合わせ方法を提供することができる。主な発明の効果を挙げれば、以下のとおりである。
本発明によれば、回転駆動装置における構成要素の公差の積み上げを少なくして、回転体の駆動軸と回転体の軸との軸芯を精度良く合わせることができ、軸芯のずれによるカップリング部での角速度変動の増大を抑制することが可能になると共に、装置本体の各軸受位置決め部の寸法に従来よりも余裕度が生まれるので、コスト面、成型技術面でも有利になる。
【0021】
本発明によれば、画像形成装置が具備する回転駆動装置における構成要素の公差の積み上げを少なくして、像担持体の駆動軸と像担持体の軸との軸芯を精度良く合わせることができ、軸芯のずれによるカップリング部での角速度変動の増大を抑制することが可能になると共に、装置本体の各軸受位置決め部の寸法に従来よりも余裕度が生まれるので、コスト面、成型技術面でも有利になる。
【0022】
本発明によれば、カラー画像形成装置が具備する複数の回転駆動装置における構成要素の公差の積み上げを少なくして、各像担持体の駆動軸と各像担持体の軸との軸芯を精度良く合わせることができ、軸芯のずれによるカップリング部での角速度変動の増大を抑制することが可能となることで、色ずれを低減することができる。また、装置本体の各軸受位置決め部の寸法に従来よりも余裕度が生まれるので、コスト面、成型技術面でも有利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図9および図10に示した従来例、実施形態や変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではできるだけその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0024】
本実施形態において、画像形成装置は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタ1(以下、「プリンタ1」と略記する)である。
【0025】
まず、図1を参照してプリンタ1としての基本構成とその動作について説明し、この後に本形態特有の構成部分について説明する。図1に示すプリンタ1は、装置本体26の下部に記録材としての用紙Pが収納される給紙部2が配設され、その上方に画像形成部3を配置した構成となっている。画像形成部3には、像担持体を備えた複数の作像手段として4個の作像ユニット8Y,8C,8M,8BKを備えた作像部8と、複数のローラ4,5,6およびこれらのローラ4,5,6に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された中間転写体としての中間転写ベルト7aを有する中間転写ユニット7と、上記各像担持体に光書込みを行う光書込み部としての光書き込みユニット15と、用紙Pにトナー像を定着する定着装置19とが設けられている。
各作像ユニット8Y,8C,8M,8BKおよび中間転写ユニット7は、装置本体26に対してそれぞれ着脱自在に構成されている。すなわち、各作像ユニット8Y,8C,8M,8BKは、PCUを構成していて、図示しない前ドアーを開けたとき、紙面の手前側に離脱可能になっている。給紙部2から定着装置19までの間には、画像形成部3で画像形成された用紙Pを搬送する搬送経路Rが形成されている。ローラ6は、後述する2次転写装置を構成しており、一点鎖線で示す搬送経路Rに臨んで配置されている。搬送経路Rの端部R1は、装置本体26の上部に形成された排紙部20を構成する積載部としての排紙トレイ22に臨むべく開放されている。
【0026】
中間転写ベルト7aのローラ4とローラ5との間は、このベルト7aの下部側ベルト走行辺に相当している。中間転写ベルト7aには、ローラ6と対向する部位に2次転写装置となる2次転写ローラ16が搬送経路Rに臨むように配設され、ローラ4と対向する部位にベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置17が配設されている。
【0027】
作像部8は、中間転写ベルト7aの下部側ベルト走行辺に対向するように配置されることで、中間転写ベルト7aの下方に配設されている。本実施形態において、各作像ユニット8Y,8C,8M,8BKは、基本的には同一の構成であり、図1では代表して作像ユニット8BKの構成要素のみ符号を付している。各作像ユニット8Y,8C,8M,8BKは、中間転写ベルト7aに接する像担持体としてのドラム状の感光体10、帯電装置11、現像装置12およびクリーニング装置13をそれぞれ具備している。
各感光体10の周りには、帯電装置11、現像装置12、クリーニング装置13がそれぞれ配置されている。各感光体10が中間転写ベルト7aに接する位置における中間転写ベルト7aの内側には、1次転写を行う転写手段としての転写ローラ14がそれぞれ設けられている。各作像ユニット8Y,8C,8M,8BKにおいて、その構成が異なるのは各現像装置12に収容されている現像剤としてのトナーの色が異なる点にある。各作像ユニット8Y,8C,8M,8BKの各現像装置12には、それぞれイエロー,シアン,マゼンタ、ブラックのトナーが収容されている。各現像装置12は、トナーが減ると装置本体26の上部に配設されたトナー補給ボトルT1,T3,T3,T4から補給用のトナーがそれぞれ供給されるように構成されている。
【0028】
光書き込みユニット15は、光変調されたレーザ光Lを各感光体10の表面に照射して、その感光体表面に色毎の潜像を形成するものであり、本実施形態では、作像部8の下方に配置されている。
【0029】
図1に示すプリンタ1では、画像形成動作が開始されると、各作像ユニット8の感光体10が図示しない駆動装置によって時計回り方向に回転駆動され、各感光体10の表面が帯電装置11によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体10の表面には、光書き込みユニット15からレーザ光Lがそれぞれ照射されて、それぞれの表面に静電潜像が形成される。この際、各感光体10に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像は、各感光体10と現像装置12の間を通る時、各現像装置12のトナーによってトナー像として可視像化される。
【0030】
中間転写ベルト7aが巻き掛けられた複数のローラ4,5,6のうちの1つのローラが、図示していない駆動装置によって反時計回り方向に回転駆動され、これにより中間転写ベルト7aが矢印で示す反時計回り方向に走行駆動されることで、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト7aには、イエローのトナーを有する現像装置12を具備する作像ユニット8Yで形成されたイエロートナー像が転写ローラ14によって転写される。その転写されたイエロートナー像には、作像ユニット8C,8Mおよび8BKで形成されたシアントナー像、さらにマゼンタトナー像およびブラックトナー像が転写ローラ14によって順次重ね転写され、こうして中間転写ベルト7aはその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0031】
トナー像が転写された後の各感光体10の表面に付着する残留トナーは、各クリーニング装置13によって感光体10の表面から除去され、次いでその表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0032】
一方、給紙部2から給紙される用紙Pは、搬送経路Rに送り込まれ、2次転写ローラ16よりも搬送経路Rの上流側(給紙部2側)に配設されたレジストローラ対18によって給紙タイミングを取られて、ローラ6と2次転写ローラ16とが対向する転写部に給送される。このとき2次転写ローラ16には、中間転写ベルト7a表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト7aの表面のトナー像が用紙P上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙Pは、定着装置19へと搬送され、定着装置19を通過する際に熱と圧が加えられてトナー像が溶融されて定着される。トナー像が定着された用紙Pは、搬送経路Rの端部R1に配設された排出部21へと搬送され、排紙トレイ22へと排出される。トナー像を用紙Pに転写後の中間転写ベルト7aは、このベルトに残留したトナーがベルトクリーニング装置17より除去される。
【0033】
このように構成されたタンデム方式のプリンタ1は、4個の作像ユニット8Y,8M,8C,8BKを中間転写ベルト7aに対向して設け、中間転写ベルト7aに順次各色のトナー像を重ね転写するため、例えば作像手段が1つで4色の現像装置を持ち、中間転写ベルト上にトナー像を重ね転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて、作像時間を大幅に短縮することができる。また、装置本体26の上部に積載部としての排紙トレイ22が配置されているので、装置本体26から排紙トレイ22が周囲に飛び出ることがなく、設置面積や占有面積が小さくなるという利点を有する。
【0034】
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、作像部8の作像ユニットの何れか1つを使用して単色画像を形成したり、2色または3色の画像を形成したりすることもできる。また、本実施形態のプリンタ1を用いてモノクロ印刷をする場合には、作像ユニット8BKの感光体10上にのみ静電潜像を形成して同ユニットによって現像して用紙Pに転写し、定着装置19で定着すればよい。
【0035】
次に、図2ないし図7を参照して、本実施形態の特徴的な構成である回転駆動装置および感光体の軸芯合わせ方法について説明する。
図2ないし図7において、符号25は、回転体としての感光体10を回転駆動する回転駆動装置を示す。この回転駆動装置25は、図1に示したプリンタ1の各作像ユニット8Y,8M,8C,8BKに対応してそれぞれ配設されている。図2および図3は、回転駆動装置25における感光体10の軸受位置決め構成を示し、図4および図5は、図2および図3に示した回転駆動装置25における感光体10の軸受位置決め構成と等価の細部構成を拡大誇張して模式的に示している。
【0036】
回転駆動装置25は、図9および図10に示した従来例の回転駆動装置70と比較して、第3の軸受としてころがり軸受の一例である玉軸受73に代えて、すべり軸受33を用いた点、およびカップリング部35とは別体の位置決め手段を有する点が主に相違する。
【0037】
以下、回転駆動装置25の上記相違点の構成周りを中心に説明するが、回転駆動装置70と同様の構成および軸芯合わせ方法の詳細についても補足する。
回転駆動装置25は、図2ないし図6に示すように、感光体10の他方の軸としての感光体軸28aが第1の軸受としての玉軸受31に、感光体軸28bが第2の軸受としての玉軸受32に、カップリング部35を介して感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29が第3の軸受としてのすべり軸受33に、図示しない駆動手段(例えば駆動モータ等)側の感光体駆動軸29が第4の軸受としての玉軸受34に、それぞれ回転自在に支持され、玉軸受31、玉軸受32、すべり軸受33、玉軸受34を装置本体26(面板ユニット27、本体側板26a、ホルダ40および側板ブラケット26bを実質的に含む)に対して位置決め固定し、かつ、カップリング部35とは別体の位置決め手段(図4ないし図6参照)での軸芯合わせを介して、感光体軸28aと感光体軸28bと感光体駆動軸29との軸芯を合わせることを特徴としている。
【0038】
装置本体26は、適宜の表面処理をされた鋼板等の板金または樹脂で形成されている。本体側板26aおよび側板ブラケット26bは、適宜の表面処理をされた鋼板等の板金で形成されている。面板ユニット27は、例えば、板金が適宜インサートされた樹脂で形成されている。
面板ユニット27、感光体10、感光体軸28a,28b、各玉軸受31,32および感光体軸28bに対向する側のカップリング35aは、各作像ユニット8Y,8M,8C,8BK(PCU)を構成していて、装置本体26に対して着脱自在、すなわち本実施形態例では図示しない案内支持部材を介して図4および図5に両矢印で示す方向に挿脱・開閉自在になっている。
【0039】
面板ユニット27は、各作像ユニット8Y,8M,8C,8BKの感光体10や現像装置12等、あるいは図1に示した中間転写ユニット7の交換時や清掃あるいは整備点検時等に挿脱・開閉して作業を行う周知の構成である。面板ユニット27は、装置本体26に装着され位置決め・固定される装着位置を占めるとき、面板ユニット27を装置本体26にロックする図示しないロック機構と連動して、装置本体26に3次元方向に位置決め・固定される仕組みになっている。
【0040】
説明の便宜上から、感光体軸28aと感光体軸28bとについて符号を別々に付して説明したが、感光体軸28aと感光体軸28bとは、図4および図5に破線で示したように感光体10の両端板を貫通して長く形成された1本の単一の軸部材であり、各端板の両側において軸芯を合わせた上で各端板に固定されている。感光体軸28a,28bは、例えば鋼材で形成されている。
【0041】
図2ないし図5に示すように、玉軸受31の位置決めは、感光体軸28aを玉軸受31の内輪(以下、「内レース」という)に軽く圧入(以下、「軽圧入」という)し、玉軸受31の外輪(以下、「外レース」という)を面板ユニット27の孔に軽圧入して固定することにより、面板ユニット27に位置決め支持されることでなされる。それ故に、面板ユニット27が各作像ユニット8Y,8M,8C,8BKと共に装置本体26に装着され装着位置を占めたとき、玉軸受31は装置本体26に位置決め・固定される。玉軸受31は、図示しない止め輪で感光体軸28aの軸方向の移動を規制されて、装置本体26に対して最終的に3次元方向に位置決め・固定されることとなる。
【0042】
なお、安全上等の配慮から、ユーザが簡単に面板ユニットと共に各作像ユニット(PCU)を装置本体26から離脱・開放できないようにした装置もあるが、位置決めの方法は基本的に上述したと同様である。
【0043】
玉軸受34の位置決めは、前記駆動モータに対向する側の感光体駆動軸29を玉軸受34の内レースに軽圧入し、玉軸受34の外レースを本体側板26aに固設された側板ブラケット26bの孔に軽圧入し固定することにより、側板ブラケット26bを介して装置本体26に位置決め支持されることでなされる。玉軸受34は、図示しない止め輪で感光体駆動軸29の軸方向の移動を規制されて、装置本体26に対して最終的に3次元方向に位置決め・固定されることとなる。
【0044】
装置本体26側に固設された支持部材としてのホルダ40は、例えば電気絶縁性の樹脂で一体的に形成されていて、本体側板26aにねじ等の締結手段によって取り付け固定されている。ホルダ40を形成する樹脂としては、例えば鋼材でできている玉軸受32の外レース周面や、すべり軸受33の外周面との着脱・挿脱時の摩擦抵抗を少なくとすると共に耐磨耗性の良好なポリアセタール樹脂(POM)やポリアミド樹脂(PA)あるいは適宜のエンジニヤリングプラスチックが用いられる。この利点を望まなくてもよいのであれば、ホルダ40を板金等で形成しても構わない。
【0045】
図2ないし図5に示すように、玉軸受32の位置決めは、その内レースに感光体軸28bを軽圧入し、図示しない止め輪で感光体軸28bの軸方向の移動を規制した上でホルダ40内に挿入し、ホルダ40の内周部に形成された凹部(図示せず)に玉軸受32の外レースを嵌合することで、ホルダ40を固設している装置本体26に位置決めされることとなる。
【0046】
感光体駆動軸29を回転自在に支持するすべり軸受33は、例えば潤滑油が不要な焼結合金または含油樹脂で形成されていて、感光体駆動軸29の中心線と直交する方向の感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29の外周面・外径との間に所定の隙間を持つ、すき間ばめ(感光体駆動軸29の外径がマイナス公差、軸受内径がプラス公差)であることが必要条件である。所定の隙間としての最小すき間(すき間ばめ)の設定値としては、実験等の結果から、すべり軸受33の内径最小値−感光体駆動軸29の外径最大値=最小すき間が、0.01〜0.1mmの範囲であれば良いことが分かっている。
最小すき間が0.01mmよりも小さいと、軸芯合わせの効果が期待できなくなると共に、感光体駆動軸29のすべり軸受33への嵌入・装着時の作業性が悪くなる点から、最小すき間が、0.1mmを超えると、軸芯合わせの効果が期待できなくなると共に、軸受としての機能を発揮しなくなる点から好ましくない。
【0047】
すべり軸受33の位置決めは、感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29をすべり軸受33の内周部に挿入し、図示しない止め輪ですべり軸受33を感光体駆動軸29の軸方向の移動を規制した上でホルダ40内に挿入し、ホルダ40の内周部に形成された凹部(図示せず)に玉軸受32の外レースを嵌合することで、ホルダ40を固設している装置本体26に位置決めされることとなる。
すべり軸受33と玉軸受34との間の感光体駆動軸29上には、感光体10を回転駆動するための駆動ギヤ39が固着されている。駆動ギヤ39は、図示しないギヤ列を介して、図示しない駆動手段としての駆動モータに連結されている。
【0048】
図4ないし図6に示すように、カップリング部35とは別体の位置決め手段は、感光体軸28bの図において右端部中央に形成された位置決め孔36と、感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29の図において左端部中央に圧入・固定され、面板ユニット27が装着位置を占めたときに位置決め孔36にガタなく嵌入する棒状部としての位置決めピン37とからなる。位置決めピン37は、電気絶縁性の材料である例えば樹脂で形成されている。
【0049】
カップリング部35とは別体の位置決め手段は、上記したものに限らず、棒状部としての位置決めピンを感光体軸28b側に、位置決め用の孔を感光体駆動軸29側に設けてもよい。また、位置決め孔36の周りを電気絶縁性の材料で形成したりコーティングしたりしてもよいし、あるいは位置決め孔36および位置決めピン37の両方共に電気絶縁性の材料で形成したりコーティングしたりしてもよい。
【0050】
図2、図4および図5に示すように、カップリング部35は、感光体軸28bの図において右端部に固定されたカップリング35aと、感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29の図において左端部において感光体駆動軸29の軸線方向に移動(摺動)可能、かつ、カップリング35aと選択的に噛合可能なカップリング35bとからなる。カップリング35aおよびカップリング35bのうちの少なくとも一方は、電気絶縁性の材料で形成またはコーティングされている。カップリング35bは、図2に示すすべり軸受33とカップリング35bとの間の感光体駆動軸29に巻着された圧縮ばね38によって、カップリング35aと噛み合う向きに付勢されている。なお、図6では、カップリング部35の取り付け・形状を省略している。
【0051】
上記構成のとおり、面板ユニット27が装着位置を占める際、位置決め孔36に位置決めピン37が軽圧入(ガタ無く嵌入)されることで、感光体軸28bと感光体駆動軸29との軸芯合わせを精度良く行うことができると共に、圧縮ばね38の付勢力に抗してカップリング35aとカップリング35bとが噛み合うことで前記軸芯合わせの機能とは無関係に独立して感光体駆動軸29側からの回転駆動力が伝達されることとなる。加えて、この際には、感光体軸28bと感光体駆動軸29と、カップリング35aとカップリング35bとがそれぞれ電気的に絶縁されることとなるので、感光体10が装置本体26と電気的に絶縁されることを必要とする感光体の帯電電位制御という場合に効果がある。
【0052】
このように本実施形態では、例えば特開2001−147618号公報(特許文献3)の図2および図3に示され段落「0050」に記載されているカップリング(B)とカップリング(36)との組み合わせと比較して、カップリング部による回転駆動力の伝達機能と感光体軸28bと感光体駆動軸29との軸芯合わせとの機能とを分離・独立させたので、カップリング(B)とカップリング(36)との係合状態を解除する解除部材は不要になると共に、軸芯合わせ精度もより一層向上し、上述および後述する顕著な効果を奏するものである。
上述したとおり、本実施形態では、課題を解決するための手段欄に記載した請求項12ないし15の回転体(像担持体)の軸芯合わせ方法が使用されていたと言える。
【実施例1】
【0053】
図7に示す実施例を図8に示す比較例と対比して説明する。
図7に示す実施例は、基本的には図1ないし図6に示した本実施形態のプリンタ1における回転駆動装置25を使用し、下記の仕様でかつ一定の試験条件下で、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との軸芯が合った場合の角速度の積分値を感光体軸28b側と感光体駆動軸29側とで取得して比べたものである。
図8に示す比較例は、基本的には図9および図10に示した従来のプリンタにおける回転駆動装置70を使用し、上記実施例と下記の仕様のみ異なる試験条件下で、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との軸芯が合わない場合の角速度の積分値を感光体軸28b側と感光体駆動軸29側とで取得して比べたものである。
【0054】
図7および図8のグラフは、共に、横軸に時間(秒:sec)を取り、縦軸に振幅(mm)を取っている。感光体軸28bと感光体駆動軸29とのそれぞれの速度(周速度)の積分によって移動距離を計算し、振幅は、速度が等速と仮定した場合の移動距離と実際の速度の積分値との差分で求めた。両図を見て分かるように、速度変動が大きい程、その際の振幅が大きくなることが容易に理解できる。
【0055】
(実施例の仕様)
玉軸受31、玉軸受32および玉軸受34:JIS 0 等級
すべり軸受:すき間ばめの最小すき間が0.01〜0.1mm
位置決め穴36と位置決めピン37との軸芯ずれ:0.01mm以内(ガタは無し)
玉軸受31および玉軸受34が軽圧入される装置本体26の孔同士の中心の公差:0.5mm
ホルダ40の公差:0.05mm
【0056】
(比較例の仕様)
玉軸受31、玉軸受32、玉軸受73および玉軸受34:JIS 0 等級
玉軸受31および玉軸受34が軽圧入される装置本体26の孔同士の中心の公差:0.5mm
ホルダ40の公差:0.05mm
【0057】
本実施形態および実施例によれば、面板ユニット27を介して玉軸受31(第1の軸受)を装置本体26に対して位置決めを行い、側板ブラケット26bおよび本体側板26aを介して玉軸受34(第4の軸受)を装置本体26に対して位置決めを行い、玉軸受32(第2の軸受)およびすべり軸受33(第3の軸受)を、玉軸受32に対する装着性の良いホルダ40を介して装置本体26に対して位置決めを行い、かつ、感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29の軸受には上記所定の隙間(ガタ)を持つすべり軸受33およびカップリング部35とは別体の上記位置決め手段を用いていることにより、感光体軸28bとこれに対向する感光体駆動軸29との軸同士によって軸芯合わせの位置決めを行っていることとなる。従って、この軸受位置決め構成では感光体駆動軸29の感光体軸28b側はすべり軸受33によって位置が決まらないので、玉軸受32およびすべり軸受33での公差の積み上げが極めて小さく無視できる程度(公差が積み上らない)になり、位置決めは玉軸受31を介しての感光体軸28aの装置本体26に対する位置決め孔、感光体軸28bの位置決め孔36と感光体駆動軸29に軽圧入された位置決めピン37との軸芯合わせの精度、感光体駆動軸29の装置本体26に対する位置決め孔の3点の公差の積み上げによって行われるので、図9および図10に示した従来例と比較して、構成要素(構成部品等)の公差の積み上げが少なくなって、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との軸芯を精度良く合わせることができ、軸芯のずれによるカップリング部35での角速度変動の増大を抑制することが可能となることで、色ずれを低減することができる。
また、装置本体26の軸受位置決め部の寸法に従来までより余裕度が生まれるので、コスト面、成型技術面でも有利になる。
【0058】
換言すると、本実施例では、位置決め穴36と位置決めピン37との軸芯ずれ:0.01mm以内に設定していることにより、たとえ玉軸受31および玉軸受34が軽圧入される装置本体26の孔同士の中心の公差:0.5mmの最大値側である場合でも、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との同軸性が保たれ、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との偏角がなく、軸同士が一直線になっているとみなせるから感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との軸芯を精度良く合わせることができるのである。これに対して、比較例では、玉軸受31および玉軸受34が軽圧入される装置本体26の孔同士の中心の公差:0.5mmの最大値側である場合、ホルダ40と玉軸受32、ホルダ40と玉軸受73との公差の積み上げ0.05mmもあるため、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との同軸性が保たれず、感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との偏角が発生してしまい、軸同士が一直線になっているとみなせなくなるから感光体軸28a,28bと感光体駆動軸29との軸芯を精度良く合わせることができない。
【0059】
感光体10の角速度の変動は、スリップトランスファーでは色ずれの大きな要因となる可能性があるので、角速度変動の増大を防ぐことは色ずれの低減に効果がある。ここで、スリップトランスファーとは、電子写真方式における画像形成プロセスにおいて、光学系、像担持体である感光体、用紙(シート状記録媒体:記録紙や転写紙等)、中間転写ベルトやロール、転写ドラム等の画像形成に関わる構成要素の幾何学的な要因と各々の移動・回転変動に伴う動的要因により画像がスリップしながら転写される現象を意味する。
【0060】
本実施形態および実施例によれば、上記基本的な利点・効果を得られる他、次の利点・効果を得られる。
玉軸受31およびすべり軸受33は、装置本体26側に固設された上記樹脂製のホルダ40に対して位置決め固定されることにより、玉軸受31およびすべり軸受33の装着性が良好となる。
第1、第2および第4の軸受として玉軸受を用いたことにより、ころがり軸受としての例えば円筒軸受等を用いる場合と比較して、安価に済む。
上記カップリング部35とは別体の位置決め手段は、感光体軸28bの右端部中央に形成された位置決め孔36と、感光体軸28bに対向する側の感光体駆動軸29の左端部中央に圧入・固定され、面板ユニット27が装着位置を占めたときに位置決め孔36にガタなく嵌入する棒状部としての位置決めピン37とからなることにより、下も簡単な位置決め手段で上記軸芯合わせを行うように構成することができ、安価に済む。
【0061】
上述した実施形態、実施例等では、像担持体としてのドラム状の感光体10を回転体として説明したが、回転体はこれに限らず、例えば本実施形態の図1に示されている中間転写ユニット7における中間転写体としての中間転写ベルト7aを駆動するローラ4,5,6のうちの少なくとも1つの回転駆動装置や、特開2004−139031号公報の図1および図2等に示されている中間転写ユニット(15)における中間転写体としての中間転写ベルト(8)を駆動するローラ(12,13,14)のうちの少なくとも1つの回転駆動装置にも本発明を適用できる。また、例えば特開平11−95565号公報の図1ないし図3等に示されている感光体に対向して配置され転写材としての転写紙(P)を担持し搬送する搬送転写手段としての搬送転写ベルト(9)の回転駆動装置、あるいは例えば特開平9−15993号公報の図1および図4に示されている記録材担持体である転写ドラム(8)にも適用可能である。
【0062】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態、実施例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上述したとおり、画像形成装置やカラー画像形成装置における回転駆動装置および回転体の軸芯合わせ方法に限らず、あらゆる産業分野の回転駆動装置および回転体の軸芯合わせ方法、すなわち、取り分け精度の高い軸芯合わせを必要とする精密機械分野、医療分野あるいは自動車分野等に利用ないしは適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態を示すプリンタ全体の側面図である。
【図2】図1のプリンタに配設される回転駆動装置の正面図である。
【図3】図2の回転駆動装置の要部を拡大して示す正面図である。
【図4】図2および図3の回転駆動装置と等価な回転駆動装置の模式的な断面正面図である。
【図5】図2および図3の回転駆動装置と等価な模式的な断面正面図であって、作像ユニットにおける面板ユニットを装置本体から離脱する際の図である。
【図6】図2および図3の回転駆動装置に配設される位置決め手段を示す要部の斜視図である。
【図7】(a)は感光体駆動軸側の、(b)は感光体軸側の、実施例における回転駆動装置の感光体軸と感光体駆動軸との軸芯が合った場合の積分値(時間−振幅)を表すグラフである。
【図8】(a)は感光体駆動軸側の、(b)は感光体軸側の、比較例における回転駆動装置の感光体軸と感光体駆動軸との軸芯が合わない場合の積分値(時間−振幅)を表すグラフである。
【図9】従来例の画像形成装置(プリンタ)に配設される回転駆動装置の正面図である。
【図10】図9の回転駆動装置と等価な回転駆動装置の模式的な断面正面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 プリンタ(画像形成装置)
10 感光体(回転体、像担持体)
25 回転駆動装置
26 装置本体
26a 本体側板
26b 側板ブラケット
28a 感光体軸(回転体の他方の軸)
28b 感光体軸(回転体の一方の軸)
29 感光体駆動軸(駆動軸)
31 玉軸受(第1の軸受、ころがり軸受)
32 玉軸受(第2の軸受、ころがり軸受)
33 すべり軸受(第3の軸受)
34 玉軸受(第4の軸受、ころがり軸受)
35 カップリング部
36 位置決め孔(位置決め手段)
37 位置決めピン(位置決め手段、棒状部)
40 ホルダ(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の一方の軸がカップリングを介して該回転体を駆動する駆動軸に着脱自在に構成されており、前記回転体の他方の軸が第1の軸受に、前記一方の軸が第2の軸受に、前記カップリングを介して前記一方の軸側の前記駆動軸が第3の軸受に、前記駆動軸が第4の軸受に、それぞれ回転自在に支持され、第1ないし第4の軸受を装置本体に対して位置決め固定することにより、前記一方の軸と前記他方の軸と前記駆動軸との軸芯を合わせる回転駆動装置において、
第1の軸受、第2の軸受および第4の軸受は、ころがり軸受であり、第3の軸受は、前記駆動軸の中心線と直交する方向の前記一方の軸側の駆動軸との間に所定の隙間を持つすべり軸受であり、
前記一方の軸と前記一方の軸側の前記駆動軸との軸芯を合わせるための、前記カップリングとは別体の位置決め手段を有することを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転駆動装置において、
第2の軸受および第3の軸受は、前記装置本体側に固設された支持部材に対して位置決め固定されることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の回転駆動装置において、
前記ころがり軸受が、玉軸受であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の回転駆動装置において、
前記位置決め手段は、前記一方の軸端部および前記一方の軸側の駆動軸端部の何れか一方に形成された孔と、前記一方の軸端部および前記一方の軸側の駆動軸端部の何れか他方に設けられ前記孔に嵌入する棒状部とからなることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項5】
請求項4記載の回転駆動装置において、
前記孔の形成部および前記棒状部の少なくとも一方が電気絶縁性の材料で形成されていることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の回転駆動装置を具備し、前記回転体は、像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、前記カップリングを介して前記装置本体に対して、着脱自在に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の画像形成装置において、
前記回転体は、前記像担持体に対向して配置されトナー像を担持する中間転写手段または該像担持体に対向して配置され転写材を担持し搬送する搬送転写手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし6の何れか一つに記載の回転駆動装置を複数具備し、前記複数の回転体は、像担持体であることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載のカラー画像形成装置において、
前記各像担持体は、前記カップリングを介して前記装置本体に対して、着脱自在に構成されていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項11】
請求項9または10記載のカラー画像形成装置において、
前記回転体は、前記各像担持体に対向して配置されトナー像を担持する中間転写手段または該各像担持体に対向して配置され転写材を担持し搬送する搬送転写手段であることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項12】
回転体の一方の軸がカップリングを介して該回転体を駆動する駆動軸に着脱自在に構成されており、前記回転体の他方の軸が第1の軸受に、前記一方の軸が第2の軸受に、前記カップリングを介して前記一方の軸側の前記駆動軸が第3の軸受に、前記駆動軸が第4の軸受に、それぞれ回転自在に支持され、第1ないし第4の軸受を装置本体に対して位置決め固定することにより、前記一方の軸と前記他方の軸と前記駆動軸との軸芯を合わせる回転体の軸芯合わせ方法において、
第1の軸受、第2の軸受および第4の軸受には、ころがり軸受を用い、第3の軸受には、前記駆動軸の中心線と直交する方向の前記一方の軸側の駆動軸との間に所定の隙間を持つすべり軸受を用いて、前記軸芯を合わせることを特徴とする回転体の軸芯合わせ方法。
【請求項13】
請求項12記載の回転体の軸芯合わせ方法において、
前記カップリングとは別体の位置決め手段を用いて、前記一方の軸と前記一方の軸側の前記駆動軸との軸芯を合わせることを特徴とする回転体の軸芯合わせ方法。
【請求項14】
請求項13記載の回転体の軸芯合わせ方法において、
前記位置決め手段には、前記一方の軸端部および前記一方の軸側の駆動軸端部の何れか一方に形成された孔と、前記一方の軸端部および前記一方の軸側の駆動軸端部の何れか他方に設けられ前記孔に嵌入する棒状部とを用いることを特徴とする回転体の軸芯合わせ方法。
【請求項15】
請求項14記載の回転体の軸芯合わせ方法において、
前記孔の形成部および前記棒状部の少なくとも一方を、電気絶縁性の材料で形成したことを特徴とする回転体の軸芯合わせ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−145774(P2006−145774A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334933(P2004−334933)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】