説明

図書保管管理装置及び図書保管管理方法

【課題】管理上のデータと実際にコンテナ内に収容されている図書とに不一致が生じたことを迅速に検出し、そのような事態に対して図書館員が実用的な対処を行なうことを十分に支援することができるようにした図書保管管理装置及び図書保管管理方法を提供する。
【解決手段】ステーション22,24,25から書庫内に返却要求されたコンテナに対して、その内部に収容されている全ての図書の無線タグから図書コードを読み取る読み取り手段63,69と、読み取り手段63,69で読み取られた図書コードを記憶手段54の更新後の記憶内容と比較し、そのコンテナに対して比較結果の登録を行なう登録手段46とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば多量の図書を保管する大型図書館等に使用して好適する図書保管管理装置及び図書保管管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年、多量の蔵書を有する大規模図書館等にあっては、図書の収容効率の高い閉架書庫方式が採用される傾向にある。そして、このような閉架書庫に対する図書の取り出しや返却に要する作業の能率向上を図るために、自動入出庫システムが導入されてきている。
【0003】
この自動入出庫システムは、貸し出しが要求された図書を書庫から取り出してカウンターまで搬送し、その図書に対する貸し出し登録を行なう作業や、返却された図書に対する貸し出し登録を削除し、その図書を書庫まで戻して収容位置を記録する作業等を自動化して、閉架書庫に対する図書の取り出し及び返却作業を、正確かつ迅速に実行することができるようにしたものである。
【0004】
すなわち、この種の自動入出庫システムにおいては、保管されている多量の図書の管理を容易にするために、各図書それぞれにバーコードや無線タグ等を付している。また、各図書は、複数冊毎にコンテナに収容されており、書庫に対してコンテナ単位で入出庫されるようになされている。
【0005】
そして、図書の取り出し(貸し出し)が要求された場合には、その図書の収容されたコンテナが書庫から自動出庫されてカウンターまで搬送される。図書館員は、カウンターに搬送されてきたコンテナの中から要求された図書を取り出して利用者に渡し、ここに、図書の貸し出しが行なわれる。
【0006】
また、図書の返却が要求された場合には、その返却図書を収容すべきコンテナが書庫から自動出庫されカウンターに取り出される。図書館員は、カウンターに取り出されたコンテナに、返却された図書を収容させた後、そのコンテナを書庫に入庫させ、ここに、図書の返却が行なわれる。
【0007】
ところで、上記のような自動入出庫システムを用いて図書の管理を行なう場合、特に重要となることは、コンテナとその中に収容されている図書とを対応させた管理上のデータと、実際にコンテナ内に収容されている図書とが一致しなくなったことを迅速に検出し、それに対する対策を施せるようにしておくことである。
【0008】
特許文献1には、通常作業モードが指示されると、物品を保管部から入出庫する通常入出庫作業を実行しながら、前回の点検作業の後に入出庫実績があるか否かを物品毎に管理し、点検作業モードが指示されたとき、前回の点検作業の後に入出庫実績がある物品のみを点検作業の対象とするようにした物品保管管理システムが開示されている。
【特許文献1】特許第3974285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、管理上のデータと実際にコンテナ内に収容されている図書とに不一致が生じたことを迅速に検出し、そのような事態に対して図書館員が実用的な対処を行なうことを十分に支援することができるようにした図書保管管理装置及び図書保管管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る図書保管管理装置は、内部に固有の図書コードを記憶し外部と無線通信可能な無線タグの付着された複数の図書を収容して書庫に収容される複数のコンテナと、要求されたコンテナを書庫から取り出してステーションに搬送するとともに、ステーションに保持されたコンテナを書庫に返却する搬送手段と、コンテナの書庫内における収容位置と当該コンテナに収容された図書の図書コードとを対応させて記憶し、ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、記憶内容を更新する記憶手段と、ステーションから書庫内に返却要求されたコンテナに対して、その内部に収容されている全ての図書の無線タグから図書コードを読み取る読み取り手段と、読み取り手段で読み取られた図書コードを記憶手段の更新後の記憶内容と比較し、そのコンテナに対して比較結果の登録を行なう登録手段とを備えるようにしたものである。
【0011】
また、この発明に係る図書保管管理方法は、内部に固有の図書コードを記憶し外部と無線通信可能な無線タグの付着された複数の図書を収容して書庫に収容される複数のコンテナと、要求されたコンテナを書庫から取り出してステーションに搬送するとともに、ステーションに保持されたコンテナを書庫に返却する搬送手段と、コンテナの書庫内における収容位置と当該コンテナに収容された図書の図書コードとを対応させて記憶し、ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、記憶内容を更新する記憶手段とを備えた図書管理システムに使用される方法を対象としている。そして、ステーションから書庫内に返却要求されたコンテナに対して、その内部に収容されている全ての図書の無線タグから図書コードを読み取る第1の工程と、第1の工程で読み取られた図書コードを記憶手段の更新後の記憶内容と比較し、そのコンテナに対して比較結果の登録を行なう第2の工程とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
上記した発明によれば、ステーションから書庫内に返却要求されたコンテナに対して、その内部に収容されている全ての図書の無線タグから図書コードを読み取り、読み取られた図書コードを記憶内容と比較し、そのコンテナに対して比較結果の登録を行なうようにしたので、管理上のデータと実際にコンテナ内に収容されている図書とに不一致が生じたことを迅速に検出し、そのような事態に対して図書館員が実用的な対処を行なうことを十分に支援することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する図書自動管理システムの全体的な構成を示している。すなわち、図1において、符号11は書棚である。
【0014】
この書棚11は、例えば図書館の3階の書庫内に設置されている。この書棚11には、複数のコンテナ12が収容されている。これらコンテナ12には、詳細は後述するが、それぞれ、複数の図書13が収容されている。
【0015】
上記書棚11の前面には、レール14に案内されて走行可能なスタッカークレーン15が設置されている。このスタッカークレーン15は、図書13の出庫時に、書棚11から所望のコンテナ12を取り出して出庫用ラックステーション16に搬送する。
【0016】
この出庫用ラックステーション16に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア17を介してコンテナ搬出口18に搬送された後、図示しない垂直搬送機を介して、2階向コンテナ搬入口19または1階向コンテナ搬入口20に選択的に搬送される。
【0017】
そして、2階向コンテナ搬入口19に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア21を介して、カウンターである2階ステーション22のコンテナ受入部22aに搬送される。また、1階向コンテナ搬入口20に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア23を介して、カウンターである1階ステーション24または25のコンテナ受入部24a,25aに搬送される。
【0018】
一方、1階ステーション24または25のコンテナ受入部24a,25aにあるコンテナ12は、コンテナ排出部24b,25bに移送され、搬送コンベア26を介して、1階向コンテナ搬出口27に搬送される。
【0019】
また、2階ステーション22のコンテナ受入部22aにあるコンテナ12は、コンテナ排出部22bに移送され、搬送コンベア28を介して、2階向コンテナ搬出口29に搬送される。
【0020】
このように、1階向コンテナ搬出口27または2階向コンテナ搬出口29に搬送されたコンテナ12は、図示しない垂直搬送機を介して、3階のコンテナ搬入口30に搬送される。このコンテナ搬入口30に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア31を介して、入庫用ラックステーション32に搬送された後、スタッカークレーン15により書棚11に入庫される。
【0021】
ここで、上記コンテナ12には、図2に示すように、複数の図書13が、その背表紙を同一方向に向けた状態で、厚み方向に1列に並んで収容されるようになっている。また、各図書13には、無線タグ33がそれぞれ付着されている。これら無線タグ33には、バーコードも記載されている。
【0022】
すなわち、無線タグ33には、図書13毎に固有の図書コードが予め書き込まれている。そして、この無線タグ33の表面に、バーコードリーダで読み取り可能なバーコードが印字されたラベルが貼付されている。
【0023】
ただし、このバーコードラベルは、図書13の無線タグ33とは別の箇所(図書13を開かないで見える位置)に貼付されていてもよい。この場合、無線タグ33の付される位置は、図書13のどこでもよいことになる。
【0024】
そして、各コンテナ12にも、それぞれ固有の識別コードが付されており、コンテナ12の識別コードと、そのコンテナ12に収容されている全ての図書13の図書コードと、そのコンテナ12の書棚11内における収容位置とが対応付けられ、図書情報として管理されている。
【0025】
この場合、2階ステーション22または1階ステーション24,25等において、コンテナ12に対して図書13の取り出しや返却が行なわれる際には、コンテナ12から取り出された図書13やコンテナ12に入庫する図書13の無線タグ33から図書コードが読み取られて、元の図書情報が更新されるようになっている。
【0026】
次に、図3は、上記2階ステーション22の詳細を示している。なお、1階ステーション24,25については、2階ステーション22と同様な構成であるため、その説明を省略する。すなわち、この2階ステーション22には、カウンター台34が設置されている。
【0027】
このカウンター台34の裏側には、前記コンテナ受入部22aとコンテナ排出部22bとが配置されている。そして、搬送コンベア21を介して2階ステーション22に搬送されてきたコンテナ12は、コンテナ受入部22aで受け入れられた後、コンテナ排出部22bに移送されて保持される。
【0028】
また、上記カウンター台34には、コンテナ排出部22bに対応する部分に開口部34aが形成されている。そして、図書館員は、この開口部34aを介することにより、コンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に対して、図書13の取り出しや返却を行なうことができる。
【0029】
この場合、カウンター台34の開口部34aからは、コンテナ12内に厚み方向に1列になって収容されている図書13の背表示が露出されることになる。そして、このコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12は、搬送コンベア28を介して2階向コンテナ搬出口29に搬送される。
【0030】
さらに、上記カウンター台34上には、図書館員が図書13の貸し出しまたは返却に関する種々の操作を行なうとともに、操作案内や必要な表示を行なうための入力タッチパネル式の表示装置35と、図書館員が利用者の所持する利用者カードを読み取らせるためのカードリーダ36と、図書館員がコンテナ12から取り出された図書13やコンテナ12に入庫する図書13の無線タグ33から図書コードを読み取るための無線タグリーダ37とが設置されている。
【0031】
また、上記カウンター台34の開口部34aは、図4に示すように、シャッタ38によって開閉可能になっている。
【0032】
ここで、上記カウンター台34には、図5に示すように、コンテナ排出部22bに保持されているコンテナ12に対して、その底面と1つの側面とこの側面に直交する他の1つの側面とにそれぞれ対向する3個所に、アンテナコイル39,40,41が設置されている。
【0033】
これらのアンテナコイル39〜41は、それぞれ、コンテナ12内に収容されている複数の図書13に付着された無線タグ33と無線通信を行なうために設置されているもので、コンテナ12の内方に向かう指向性を有している。
【0034】
すなわち、空きスペースの多いコンテナ12では、複数の図書13が内部で散乱されてしまうことを考慮して、3つのアンテナコイル39〜41をそれぞれ異なる3方向に指向性を有するように設置することにより、様々な方向を向いた図書13の無線タグ33との無線通信を良好に行なえるようにしている。
【0035】
具体的に言えば、アンテナコイル39はコンテナ12の底面に倒れている図書13a、アンテナコイル40はコンテナ12内に本来の向きで収容されている図書13b、アンテナコイル41はコンテナ12内に本来の向きに直交する向きで収容されている図書13cに付着された無線タグ33との通信を考慮したものである。なお、これらアンテナコイル39〜41の設置に関しては、3方向に限定されるものではなく、適宜、単体または組み合わせて設置しても良い。
【0036】
そして、これらアンテナコイル39〜41は、図6に示すように、それぞれ、RF(Radio Frequency)回路42,43,44を介して、通信制御回路45に接続されている。
【0037】
この通信制御回路45は、所定の信号を各RF回路42〜44及びアンテナコイル39〜41を介して無線タグ33に送信するとともに、無線タグ33から返送される応答信号を、アンテナコイル39〜41及びRF回路42〜44を介して受信し、必要な情報を通信記憶部45aに保存する機能を有している。
【0038】
ここで、無線タグ33は、発振回路33a、CPU(Central Processing Unit)33b、EEPROM(Electrically and Erasable Programmable Read Only Memory)33c、RF回路33d及び共振コイル33eとから構成される。
【0039】
この無線タグ33は、各アンテナコイル39〜41から送出される電波を共振コイル33eで受信し、CPU33bで解析した後、このCPU33bの制御に基づいて、必要な情報をEEPROM33cから読み出し、RF回路33d及び共振コイル33eを介して送信している。
【0040】
なお、上記EEPROM33cには、図書13毎に固有の図書コードが、図示しないタグリーダ/ライタにより予め書き込まれている。また、このEEPROM33cには、取り出しサイン等のように図書管理上必要となる情報の書き込み領域も確保されているものとする。
【0041】
次に、図7は、上記のような図書自動管理システムに使用される制御系を示している。すなわち、図7において、符号46は管理コンピュータである。この管理コンピュータ46には、バスライン47を介して無停電電源装置48が接続されている。
【0042】
また、この管理コンピュータ46には、バスライン47からファイルアダプタ49を経て、フロッピー(登録商標)ディスク50と、システムの制御プログラムが記憶されたハードディスク51とが接続されている。
【0043】
さらに、この管理コンピュータ46には、バスライン47からファイルアダプタ53を経て、上記した図書情報の記憶されたハードディスク54が接続されている。また、この管理コンピュータ46には、バスライン47からファイルアダプタ55を経て、バックアップ情報の記憶されたハードディスク56が接続されている。
【0044】
一方、上記管理コンピュータ46には、バスライン47からシリアルインターフェースアダプタ57を経て、統括制御盤58が接続されている。この統括制御盤58は、前記スタッカークレーン15、2階ステーション22及び1階ステーション24,25、搬送コンベア17,21,23,26,28,31、垂直搬送機(図7では符号59で示す)等の動作を統括的に制御している。
【0045】
また、上記管理コンピュータ46には、バスライン47からシリアルインターフェースアダプタ60を経て、利用者カードを読み取るためのカードリーダ61及び表示パネル62(これらは図3に示したカードリーダ36及び表示装置35に相当)、前記無線タグ33と無線通信を行なう無線通信手段としてのタグリーダ/ライタ63(これは図6に示したアンテナコイル39〜41,RF回路42,43,44及び通信制御回路45に相当)、利用者に図書13の貸出票を発行するためのプリンタ64及びバーコードリーダ65が接続されている。
【0046】
そして、これらカードリーダ61、表示パネル62、タグリーダ/ライタ63、プリンタ64及びバーコードリーダ65等は、2階ステーション22に設置されている。
【0047】
さらに、上記管理コンピュータ46には、バスライン47からシリアルインターフェースアダプタ66を経て、カードリーダ67、表示パネル68、タグリーダ/ライタ69、プリンタ70及びバーコードリーダ71が接続されている。そして、これらカードリーダ67、表示パネル68、タグリーダ/ライタ69、プリンタ70及びバーコードリーダ71等は、1階ステーション24,25にそれぞれ設置されている。
【0048】
ここで、図8は、上記統括制御盤58の詳細を示している。すなわち、前記バスライン47は、シリアルインターフェースアダプタ57を経た後、入出力回路58aを介して制御回路58bに接続される。この制御回路58bは、入出力回路58cを介して、各制御対象であるスタッカークレーン15、2階ステーション22及び1階ステーション24,25、搬送コンベア17,21,23,26,28,31、垂直搬送機59をそれぞれ制御している。また、上記入出力回路58aには、通信記憶部58dが接続されている。
【0049】
そして、上記スタッカークレーン15、2階ステーション22及び1階ステーション24,25、搬送コンベア17,21,23,26,28,31、垂直搬送機59等の制御対象は、それぞれ、入出力回路58cからの制御信号を受ける制御回路72a〜72dと、この制御回路72a〜72dの制御に基づいて制御対象を駆動させる駆動回路73a〜73dと、制御対象の位置等を検出するための検出器74a〜74dとを有している。
【0050】
上記のような構成となされた図書自動管理システムにおいて、以下、その特徴的な処理動作について、図9及び図10に示すフローチャートを参照して説明する。この処理動作は、例えば、2階ステーション22のコンテナ排出部22bや、1階ステーション24,25のコンテナ排出部24b,25bに保持されたコンテナ12に対して、図書13の取り出しや返却が完了したことにより開始(ステップS1)される。
【0051】
この実施の形態では、2階ステーション22のコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に対して、図書13の取り出しや返却が完了した場合について説明する。この場合、上記管理コンピュータ46は、ステップS2で、2階ステーション22のコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に対して、書棚11への入庫(返却)が要求されたか否かを判別する。
【0052】
そして、要求されたと判断された場合(YES)、管理コンピュータ46は、ステップS3で、タグリーダ/ライタ(アンテナコイル39〜41,RF回路42,43,44及び通信制御回路45)63により、2階ステーション22のコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に収容されている全ての図書13の無線タグ33と無線通信を行ない、当該コンテナ12内の全図書13の図書コードを読み取る。
【0053】
その後、管理コンピュータ46は、ステップS4で、コンテナ12内からタグリーダ/ライタ63で読み取った全図書13の図書コードと、上記ハードディスク54に記憶されコンテナ12に対して図書13の取り出しや返却が完了した後の更新された図書情報における、当該コンテナ12内の全図書13の図書コードとを比較し、一致しているか否かを判別する。
【0054】
そして、一致していると判断された場合(YES)、管理コンピュータ46は、ステップS5で、2階ステーション22のコンテナ排出部22bに保持されているコンテナ12を書棚11に搬送して入庫させることにより、処理を終了(ステップS6)する。
【0055】
また、上記ステップS4で一致していないと判断された場合(NO)、管理コンピュータ46は、ステップS7で、当該コンテナ12に対して、そのコンテナ12に収容されている図書13がハードディスク54に記憶されている図書情報と不一致であることを登録するとともに、そのコンテナ12が書棚11への返却時に不一致と判断された回数をカウントして登録する。
【0056】
その後、管理コンピュータ46は、ステップS8で、コンテナ12内からタグリーダ/ライタ63で読み取った図書13の数が、上記ハードディスク54に記憶された図書情報における当該コンテナ12内の図書13の数よりも少ないか否かを判別する。
【0057】
そして、少ないと判断された場合(YES)、管理コンピュータ46は、ステップS9で、当該コンテナ12に対して、タグリーダ/ライタ63で読み取った図書13の数が、図書情報が示す図書13の数よりも少ないことを登録する。
【0058】
また、管理コンピュータ46は、ステップS10で、当該コンテナ12内において、図書情報の中で不一致となった図書コードを登録するとともに、その図書コードがコンテナ12の書棚11への返却時に不一致と判断された回数をカウントして登録する。
【0059】
その後、管理コンピュータ46は、ステップS11で、当該コンテナ12内において、図書情報の中で過去に不一致と判断された図書コードのうち、今回タグリーダ/ライタ63で読み取った図書コードと一致したものがあるか否かを判別する。
【0060】
そして、一致した図書コードがあると判断された場合(YES)、管理コンピュータ46は、ステップS12で、今回タグリーダ/ライタ63で読み取った図書コードと一致した図書コードについて登録されている、不一致と判断された回数をリセットした後、上記ステップS5で、2階ステーション22のコンテナ排出部22bに保持されているコンテナ12を書棚11に搬送して入庫させ、処理を終了(ステップS6)する。
【0061】
また、上記ステップS8で、コンテナ12内からタグリーダ/ライタ63で読み取った図書13の数が、上記ハードディスク54に記憶された図書情報における当該コンテナ12内の図書13の数よりも少なくない(多い)と判断された場合(NO)、管理コンピュータ46は、ステップS13で、当該コンテナ12に対して、タグリーダ/ライタ63で読み取った図書13の数が、図書情報が示す図書13の数よりも多いことを登録する。
【0062】
さらに、管理コンピュータ46は、ステップS14で、当該コンテナ12内において、コンテナ12に収容されている図書13の中で不一致となった図書13の図書コードを登録するとともに、その図書コードがコンテナ12の書棚11への返却時に不一致と判断された回数をカウントして登録する。
【0063】
そして、このステップS14の後、管理コンピュータ46は、上記ステップS5で、2階ステーション22のコンテナ排出部22bに保持されているコンテナ12を書棚11に搬送して入庫させ、処理を終了(ステップS6)する。
【0064】
上記した実施の形態によれば、図書13の取り出しや返却が完了したコンテナ12が書棚11に返却される度に、タグリーダ/ライタ63でコンテナ12内の全図書13の図書コードを読み取り、読み取った図書コードと、ハードディスク54に記憶されコンテナ12からの図書13の取り出しや返却に応じて更新された図書情報が示す、当該コンテナ12内の全図書13の図書コードとを比較して一致しているか否かを判別するようにしている。
【0065】
すなわち、書棚11に対して図書13の取り出しや返却を行なう通常の運用状態で、コンテナ12が書棚11に返却される毎に、管理上のデータである図書情報とコンテナ12内に収容されている全図書13の無線タグ33から読み取った図書コードとに不一致が生じたか否かを検出しているため、例えば定期的な蔵書点検時期等を待つことなく不一致が生じたことを迅速に検出することが可能となる。
【0066】
また、ハードディスク54に記憶されている図書情報とコンテナ12内から読み取った図書コードとが不一致である場合には、そのコンテナ12が不一致であることと、そのコンテナ12が不一致と判断された回数とを登録し、さらに、コンテナ12内に収容されている図書13の数が、図書情報が示す図書13の数よりも少ないか多いかを判別して登録するとともに、少ない場合には、図書情報の中で不一致となった図書コードを登録するとともに、その図書コードが不一致と判断された回数を登録し、多い場合には、コンテナ12内の図書13の中で不一致となった図書13の図書コードを登録するとともに、その図書コードが不一致と判断された回数を登録するようにしている。
【0067】
これにより、例えば、不一致であると登録されているコンテナ12、所定回数以上不一致であると登録されているコンテナ12、コンテナ12内の図書13の数が図書情報の示す図書13の数よりも少ないまたは多いと登録されているコンテナ12等々、図書館員が必要に応じて登録の種類を任意に指定することにより、その指定された登録の種類に対応するコンテナ12を2階または1階ステーション22,24,25に取り出すことが可能となる。このため、ハードディスク54に記憶されている図書情報と、コンテナ12内から読み取った図書コードの読み取り結果とが不一致となった場合に、図書館員が実用的な対処を行なうことを十分に支援することができる。
【0068】
ここで、コンテナ12内から読み取った図書13の数が図書情報と比較して少ない場合には、ステップS11,S12に示すように、図書情報の中で過去に不一致と判断された図書コードが、今回タグリーダ/ライタ63で読み取った図書コードと一致したとき、その図書コードについて登録されている、不一致と判断された回数をリセットしている。これにより、その図書コードに対応する図書13が実際にコンテナ12内に収容されていないか、または、タグリーダ/ライタ63でコンテナ12内の全図書13の図書コードを読み取ったときに読み抜けが発生したかの判別を行なうことができる。
【0069】
すなわち、図書情報の中で過去に不一致と判断された図書コードが、何回目かのコンテナ12の返却時にタグリーダ/ライタ63で読み取った図書コードと一致した場合、タグリーダ/ライタ63でコンテナ12内の全図書13の図書コードを読み取ったときに、その図書コードについて読み抜けが発生していたと考えられるので、不一致と判断された回数をリセットすることができる。また、図書情報の中で過去に不一致と判断された図書コードが、何回ものコンテナ12の返却が行なわれてもタグリーダ/ライタ63で読み取った図書コードと一致せずいつまでもリセットされない場合は、コンテナ12内にその図書コードに対応する図書13が存在しないと判断することができる。
【0070】
これに対し、コンテナ12内から読み取った図書13の数が図書情報と比較して多い場合には、コンテナ12内から読み取られ図書情報と不一致になった図書コードが、何回目かのコンテナ12の返却時にコンテナ12内から読み取った図書13の数が図書情報と比較して一致した場合でも、その不一致回数をリセットしないように制御している。これは、タグリーダ/ライタ63でコンテナ12内の全図書13の図書コードを読み取ったときに、その図書コードについて読み抜けが発生した場合、一致してしまう虞があるからである。
【0071】
そして、ハードディスク54に記憶された図書情報と比較してコンテナ12から読み取った図書13の数が多い場合は、コンテナ12に対して図書情報にない図書13が収容されているということであり、その図書13は不明本である可能性が大きいため、この種のコンテナ12のみを取り出すことにより、不明本の発見を容易に行なうことができる。
【0072】
このように、通常の運用状態で蔵書点検が同時に行なえるので、改めて全てのコンテナ12に対して蔵書点検を行なう必要がなくなる。また、定期的に蔵書点検を行なう場合にも、不一致登録されているコンテナ12の中から点検したいコンテナ12を特定して選択的に取り出すことができるので、図書館員の負担を大幅に軽減することができる。
【0073】
次に、図11は、この図書自動管理システムにおいて、不一致登録されたコンテナ12に対する図書館員の対処方法の一例を示すフローチャートである。この対処方法は、書棚11に対して図書13の取り出しや返却が行なわれている通常の運用状態で開始(ステップS15)される。
【0074】
すると、上記管理コンピュータ46は、ステップS16で、不一致登録されたコンテナ12が2階または1階ステーション22,24,25に取り出されたか否かを判別し、取り出されたと判断された場合(YES)、ステップS17で、不一致登録されたコンテナ12である旨を表示パネル62,68に表示させ、図書館員に確認または図書情報の修正を促して、処理を終了(ステップS18)する。なお、促された処理を行なうか否かは、図書館員が自由に選択することができるものとする。
【0075】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、図書自動管理システムの全体的な構成を説明するために示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるコンテナとこのコンテナに収容される図書との関係を説明するために示す斜視図。
【図3】同実施の形態における2階ステーションの詳細な構成を説明するために示す斜視図。
【図4】同実施の形態における2階ステーションの開口部を開閉するシャッタを説明するために示す斜視図。
【図5】同実施の形態におけるタグリーダ/ライタのアンテナコイルとコンテナとの位置関係を説明するために示す斜視図。
【図6】同実施の形態におけるタグリーダ/ライタと無線タグとの詳細を説明するために示すブロック構成図。
【図7】同実施の形態における図書自動管理システムの制御系を説明するために示すブロック構成図。
【図8】同実施の形態における図書自動管理システムの統括制御盤の詳細を説明するために示すブロック構成図。
【図9】同実施の形態における図書自動管理システムの主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図10】同実施の形態における図書自動管理システムの主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図11】同実施の形態における図書自動管理システムの不一致登録されたコンテナに対する図書館員の対処方法の一例を説明するために示すフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
11…書棚、12…コンテナ、13,13a,13b.13c…図書、14…レール、15…スタッカークレーン、16…出庫用ラックステーション、17…搬送コンベア、18…コンテナ搬出口、19…2階向コンテナ搬入口、20…1階向コンテナ搬入口、21…搬送コンベア、22…2階ステーション、23…搬送コンベア、24,25…1階ステーション、26…搬送コンベア、27…1階向コンテナ搬出口、28…搬送コンベア、29…2階向コンテナ搬出口、30…コンテナ搬入口、31…搬送コンベア、32…入庫用ラックステーション、33…無線タグ、33a…発振回路、33b…CPU、33c…EEPROM、33d…RF回路、33e…共振コイル、34…カウンター台、34a…開口部、35…表示装置、36…カードリーダ、37…無線タグリーダ、38…シャッタ、39〜41…アンテナコイル、42〜44…RF回路、45…通信制御回路、45a…通信記憶部、46…管理コンピュータ、47…バスライン、48…無停電電源装置、49…ファイルアダプタ、50…フロッピーディスク、51…ハードディスク、53…ファイルアダプタ、54…ハードディスク、55…ファイルアダプタ、56…ハードディスク、57…シリアルインターフェースアダプタ、58…統括制御盤、58a…入出力回路、58b…制御回路、58c…入出力回路、58d…通信記憶部、59…垂直搬送機、60…シリアルインターフェースアダプタ、61…カードリーダ、62…表示パネル、63…タグリーダ/ライタ、64…プリンタ、65…バーコードリーダ、66…シリアルインターフェースアダプタ、67…カードリーダ、68…表示パネル、69…タグリーダ/ライタ、70…プリンタ、71…バーコードリーダ、72a〜72d…制御回路、73a〜73d…駆動回路、74a〜74d…検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に固有の図書コードを記憶し外部と無線通信可能な無線タグの付着された複数の図書を収容して書庫に収容される複数のコンテナと、
要求されたコンテナを前記書庫から取り出してステーションに搬送するとともに、前記ステーションに保持されたコンテナを前記書庫に返却する搬送手段と、
前記コンテナの前記書庫内における収容位置と当該コンテナに収容された図書の図書コードとを対応させて記憶し、前記ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、記憶内容を更新する記憶手段と、
前記ステーションから前記書庫内に返却要求されたコンテナに対して、その内部に収容されている全ての図書の無線タグから図書コードを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段で読み取られた図書コードを前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較し、そのコンテナに対して比較結果の登録を行なう登録手段とを具備してなることを特徴とする図書保管管理装置。
【請求項2】
前記登録手段は、前記読み取り手段で読み取られた図書コードが前記記憶手段の更新後の記憶内容と一致していない場合、そのコンテナに対して不一致となった回数を登録することを特徴とする請求項1記載の図書保管管理装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記読み取り手段で読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して多いか少ないかを登録することを特徴とする請求項1記載の図書保管管理装置。
【請求項4】
前記登録手段は、前記読み取り手段で読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して少ない場合、記憶内容の中で不一致となった図書コードと、その図書コードに対して不一致となった回数とを登録することを特徴とする請求項3記載の図書保管管理装置。
【請求項5】
前記登録手段は、記憶内容の中で不一致となった図書コードが、前記読み取り手段で読み取られた図書コードと一致した場合、その図書コードに対する不一致回数をリセットすることを特徴とする請求項4記載の図書保管管理装置。
【請求項6】
前記登録手段は、前記読み取り手段で読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して多い場合、読み取られた図書コードの中で不一致となった図書コードと、その図書コードに対して不一致となった回数とを登録することを特徴とする請求項3記載の図書保管管理装置。
【請求項7】
前記登録手段は、前記読み取り手段で読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して多い場合、前記読み取り手段で読み取られた図書コードと一致した場合、その図書コードに対する不一致回数をリセットさせないことを特徴とする請求項4記載の図書保管管理装置。
【請求項8】
内部に固有の図書コードを記憶し外部と無線通信可能な無線タグの付着された複数の図書を収容して書庫に収容される複数のコンテナと、
要求されたコンテナを前記書庫から取り出してステーションに搬送するとともに、前記ステーションに保持されたコンテナを前記書庫に返却する搬送手段と、
前記コンテナの前記書庫内における収容位置と当該コンテナに収容された図書の図書コードとを対応させて記憶し、前記ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、記憶内容を更新する記憶手段とを備えた図書管理システムに使用される図書保管管理方法であって、
前記ステーションから前記書庫内に返却要求されたコンテナに対して、その内部に収容されている全ての図書の無線タグから図書コードを読み取る第1の工程と、
前記第1の工程で読み取られた図書コードを前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較し、そのコンテナに対して比較結果の登録を行なう第2の工程とを有することを特徴とする図書保管管理方法。
【請求項9】
前記第2の工程は、読み取られた図書コードが前記記憶手段の更新後の記憶内容と一致していない場合、そのコンテナに対して不一致となった回数を登録すること、読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して多いか少ないかを登録すること、読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して少ない場合、記憶内容の中で不一致となった図書コードとその図書コードに対して不一致となった回数とを登録すること、読み取られた図書コードの数が前記記憶手段の更新後の記憶内容と比較して多い場合、読み取られた図書コードの中で不一致となった図書コードとその図書コードに対して不一致となった回数とを登録することのいずれかを行なうことを特徴とする請求項8記載の図書保管管理方法。
【請求項10】
前記第2の工程における登録の種類を指定することにより、その指定された登録の種類に対応する前記コンテナを前記ステーションに取り出す第3の工程を有することを特徴とする請求項8または9記載の図書保管管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−120758(P2010−120758A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296872(P2008−296872)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000229759)日本ファイリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】