説明

図書保管管理装置及び図書保管管理方法

【課題】図書館員が図書をコンテナに入れたか又は中止したかを確実に認識することができる図書保管管理装置及び図書保管管理方法を提供する。
【解決手段】記憶素子が付着された図書を収容するコンテナ(12)と、コンテナを保持するステーション(22)と、図書を収容するコンテナの重量を測定する重量センサ(39)と、記憶素子の図書コードを検出する検出部(37)と、ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づき図書コードを記憶し更新する記憶手段(51)と、検出部が記憶素子の図書コードを検出後に重量増を測定すると図書を返却したものと登録し、重量減を測定後に記憶素子の図書コードを検出すると図書を取り出したものと登録する登録手段(46)をもつ図書保管管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば多量の図書を保管する大型図書館等に使用して好適する図書保管管理装置及び図書保管管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年、多量の蔵書を有する大規模図書館等にあっては、図書の収容効率の高い閉架書庫方式が採用される傾向にある。そして、このような閉架書庫に対する図書の取り出しや返却に要する作業の能率向上を図るために、自動入出庫システムが導入されてきている。
【0003】
この自動入出庫システムは、貸し出しが要求された図書を書庫から取り出してカウンターまで搬送し、その図書に対する貸し出し登録を行なう作業や、返却された図書に対する貸し出し登録を削除し、その図書を書庫まで戻して収容位置を記録する作業等を自動化して、閉架書庫に対する図書の取り出し及び返却作業を、正確かつ迅速に実行することができるようにしたものである。
【0004】
すなわち、この種の自動入出庫システムにおいては、保管されている多量の図書の管理を容易にするために、各図書それぞれにバーコードや無線タグ等を付している。また、各図書は、複数冊毎にコンテナに収容されており、書庫に対してコンテナ単位で入出庫されるようになされている。
【0005】
そして、図書の取り出し(貸し出し)が要求された場合には、その図書の収容されたコンテナが書庫から自動出庫されてステーションまで搬送され、図書館員は、ステーションに搬送されてきたコンテナの中から要求された図書を取り出して、図書に貼付されたバーコードラベル又は、RFIDタグ等を読み取り、利用者に渡し、ここに、図書の貸し出しが行なわれる。
【0006】
また、図書の返却が要求された場合には、その返却図書を収容すべきコンテナが書庫から自動出庫されステーションに取り出される。図書館員は、図書に貼付されたバーコードラベル又は、RFIDタグ等を読み取り、ステーションに取り出されたコンテナに返却された図書を収容させた後にそのコンテナを書庫に入庫させ、ここに、図書の返却が行なわれる。
【0007】
ところで、ここでもし読み取りを行わないで出納作業を行うと、取り出し時は、コンテナ内に実際には図書が無いのにデータ上図書があるということになり、返却時は、コンテナ内にデータで管理されない図書が存在することとなる。
【0008】
特に返却時に本件が発生すると不明本となり、自動化書庫システムで運用されているフリーロケーション方式においてこの図書を捜索することは、図書の格納量の増大に伴い、莫大な手間と労力が必要となり、現実には図書の捜索はほぼ不可能となっている。
【0009】
この防止策として、図書の出納作業時に絶対にミスをしないということが求められる訳だが、人間が行う操作なので100%ミスをしないという保証は得られない。
【0010】
特許文献1は、図書に貼付されたバーコードラベルを読み取りさせないでコンテナに納入させようとすると警報を発する旨が記載されている。
【0011】
特許文献2は、図書に貼付されたバーコードラベルは、タグリーダで読み取られることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−338011号公報
【特許文献2】特開2003−118812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1においては、図書のバーコードを読んだか否かを確認するものの、図書をコンテナに入れたか、その後、中止されたかどうかを確認することは記載されていない。
【0014】
また、特許文献2においても、図書をコンテナに入れたか、その後、中止されたかどうかを確認することは記載されていない。
【0015】
本発明は、図書館員が図書をコンテナに入れたか又は中止したかを確実に認識することができる図書保管管理装置及び図書保管管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
課題を解決するための一実施形態は、
固有の図書コードを記憶する記憶素子が付着された図書を収容して書庫に収容されるコンテナと、
前記書庫から取り出されたコンテナを保持し、利用者に前記コンテナからの図書の取り出し又は返却を行わせるためのステーションと、
要求されたコンテナを前記書庫から取り出して前記ステーションに搬送するとともに、前記ステーションに保持されたコンテナを前記書庫に返却する搬送手段と、
前記図書を収容するコンテナの重量を測定する重量センサと、
前記ステーションに設けられ、前記記憶素子の図書コードを検出する検出部と、
前記ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、前記コンテナに収容された図書の図書コードを記憶し更新する記憶手段と、
前記重量センサの重量減を測定した後に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出すると前記図書コードの図書を取り出したものと前記記憶手段に登録し、
前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出した後に前記重量センサの重量増を測定すると前記図書コードの図書を返却したものと前記記憶手段に登録する登録手段とを具備することを特徴とする図書保管管理装置である。
【0017】
また、固有の図書コードを記憶する記憶素子が付着された図書を収容して書庫に収容されるコンテナと、前記書庫から取り出されたコンテナを保持し、利用者に前記コンテナからの図書の取り出し又は返却を行わせるためのステーションと、要求されたコンテナを前記書庫から取り出して前記ステーションに搬送するとともに、前記ステーションに保持されたコンテナを前記書庫に返却する搬送手段と、前記図書を収容するコンテナの重量を測定する重量センサと、前記ステーションに設けられ、前記記憶素子の図書コードを検出する検出部と、前記ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、前記コンテナに収容された図書の図書コードを記憶し更新する記憶手段を備えた図書管理システムに使用される図書保管管理方法であって、
前記重量センサの重量減を測定した後に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出すると前記図書コードの図書を取り出したものと前記記憶手段に登録する第1工程と、
前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出した後に前記重量センサの重量増を測定すると前記図書コードの図書を返却したものと前記記憶手段に登録する第2工程を有することを特徴とする図書保管管理方法である。
【発明の効果】
【0018】
コンテナに重量センサを設けて図書の移動を識別することで、途中で取り出しまたは返却を中止した場合でも取り出しまたは返却のキャンセルを確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、図書自動管理システムの全体的な構成を説明するために示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるコンテナとこのコンテナに収容される図書との関係及び重量センサを説明するために示す斜視図。
【図3】同実施の形態における2階ステーションの詳細な構成を説明するために示す斜視図。
【図4】同実施の形態における2階ステーションの開口部を開閉するシャッタを説明するために示す斜視図。
【図5】同実施の形態における図書自動管理システムの制御系を説明するために示すブロック構成図。
【図6】同実施の形態における図書自動管理システムのステーションの一例を示す断面図。
【図7】同実施の形態における図書自動管理システムの統括制御盤の詳細を説明するために示すブロック構成図。
【図8】同実施の形態における図書自動管理システムのゲート状のタグリーダ/ライタと周辺回路を示す説明図。
【図9】同実施の形態における図書自動管理システムの取出し動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図10】同実施の形態における図書自動管理システムの取出し動作の他の一例を説明するために示すフローチャート。
【図11】同実施の形態における図書自動管理システムの返却動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図12】同実施の形態における図書自動管理システムの返却動作の他の一例を説明するために示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する図書自動管理システムの全体的な構成を示している。すなわち、図1において、符号11は書棚である。
【0021】
この書棚11は、例えば図書館の3階の書庫内に設置されている。この書棚11には、複数のコンテナ12が収容されている。これらコンテナ12には、詳細は後述するが、それぞれ、複数の図書13が収容されている。
【0022】
上記書棚11の前面には、レール14に案内されて走行可能なスタッカークレーン15が設置されている。このスタッカークレーン15は、図書13の出庫時に、書棚11から所望のコンテナ12を取り出して出庫用ラックステーション16に搬送する。
【0023】
この出庫用ラックステーション16に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア17を介してコンテナ搬出口18に搬送された後、図示しない垂直搬送機を介して、2階向コンテナ搬入口19または1階向コンテナ搬入口20に選択的に搬送される。
【0024】
そして、2階向コンテナ搬入口19に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア21を介して、カウンターである2階のステーション22のコンテナ受入部22aに搬送される。また、1階向コンテナ搬入口20に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア23を介して、カウンターである1階ステーション24または25のコンテナ受入部24a,25aに搬送される。
【0025】
一方、1階ステーション24または25のコンテナ受入部24a,25aにあるコンテナ12は、コンテナ排出部24b,25bに移送され、搬送コンベア26を介して、1階向コンテナ搬出口27に搬送される。
【0026】
また、2階のステーション22のコンテナ受入部22aにあるコンテナ12は、コンテナ排出部22bに移送され、搬送コンベア28を介して、2階向コンテナ搬出口29に搬送される。
【0027】
このように、1階向コンテナ搬出口27または2階向コンテナ搬出口29に搬送されたコンテナ12は、図示しない垂直搬送機を介して、3階のコンテナ搬入口30に搬送される。このコンテナ搬入口30に搬送されたコンテナ12は、搬送コンベア31を介して、入庫用ラックステーション32に搬送された後、スタッカークレーン15により書棚11に入庫される。
【0028】
ここで、上記コンテナ12には、図2に示すように、複数の図書13が、その背表紙を同一方向に向けた状態で、厚み方向に1列に並んで収容されるようになっている。また、各図書13には、無線タグ33がそれぞれ付着されている。これら無線タグ33には、バーコードも記載されている。
【0029】
すなわち、無線タグ33には、図書13毎に固有の図書コードが予め書き込まれている。そして、この無線タグ33の表面に、バーコードリーダ65等で読み取り可能なバーコードが印字されたラベルが貼付されている。
【0030】
ただし、このバーコードラベルは、図書13の無線タグ33とは別の箇所(図書13を開かないで見える位置)に貼付されていてもよい。この場合、無線タグ33の付される位置は、図書13のどこでもよいことになる。
【0031】
これら記憶素子である無線タグ33に記憶されている図書コード、または、無線タグ33の表面または図書13上に設けられた記憶素子であるバーコードラベルに記載されている図書コードは、後述するステーションに設置されるバーコードリーダ65等またはカウンター台34上の平置きアンテナをもつ無線タグリーダ/ライタ37aまたはゲート状無線タグリーダ/ライタ37により検出されるものである。特に、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37は、図書13をコンテナ12に搬入する際に、必ず図書13をゲート状無線タグリーダ/ライタ37の中を通過させることになるので、図書館員の操作ミスを防止して確実に図書コードを読み取ることができる。
【0032】
そして、各コンテナ12にも、それぞれ固有の識別コードが付されており、コンテナ12の識別コードと、そのコンテナ12に収容されている全ての図書13の図書コードと、そのコンテナ12の書棚11内における収容位置とが対応付けられ、図書情報として管理されている。
【0033】
この場合、2階のステーション22または1階ステーション24,25等において、コンテナ12に対して図書13の取り出しや返却が行なわれる際には、コンテナ12から取り出された図書13やコンテナ12に入庫する図書13の無線タグ33(またはバーコード)から図書コードが読み取られて、元の図書情報が更新されるようになっている。
【0034】
また、ステーション22のコンテナ12が保持される位置には、図2に示すように重量センサ39が設けられている。重量センサ39は、コンテナ12の本体の重量と共にコンテナ12に収納される図書の重量の変化を測定するものである。
【0035】
次に、図3は、上記2階のステーション22の詳細を示している。なお、1階ステーション24,25については、2階のステーション22と同様な構成であるため、その説明を省略する。すなわち、この2階のステーション22には、カウンター台34が設置されている。
【0036】
このカウンター台34の裏側には、前記コンテナ受入部22aとコンテナ排出部22bとが配置されている。そして、搬送コンベア21を介して2階のステーション22に搬送されてきたコンテナ12は、コンテナ受入部22aで受け入れられた後、コンテナ排出部22bに移送されて保持される。
【0037】
また、上記カウンター台34には、コンテナ排出部22bに対応する部分に開口部34aが形成されている。そして、図書館員は、この開口部34aを介することにより、コンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に対して、図書13の取り出しや返却を行なうことができる。
【0038】
この場合、カウンター台34の開口部34aからは、コンテナ12内に厚み方向に1列になって収容されている図書13の背表示が露出されることになる。そして、このコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12は、搬送コンベア28を介して2階向コンテナ搬出口29に搬送される。
【0039】
さらに、上記カウンター台34上には、図書館員が図書13の貸し出しまたは返却に関する種々の操作を行なうとともに、操作案内や必要な表示を行なうための入力タッチパネル式の表示パネル35と、図書に貼付されたバーコードラベルを読み取るバーコードリーダ65等および無線タグ33の図書コードを読み取る無線タグリーダ/ライタ37aが設置されている。また、図書館員がコンテナ12から取り出された図書13やコンテナ12に入庫する図書13の無線タグ33から図書コードを読み取るゲート状無線タグリーダ/ライタ37が、開口部34aにゲート状に設けられている。
【0040】
また、上記カウンター台34の開口部34aは、図4に示すように、シャッタ38によって開閉可能になっている。
【0041】
また、図5に示すように、無線タグリーダ/ライタ37,37aは、RF(Radio Frequency)回路42を介して通信制御回路45に接続されている。この通信制御回路45は、所定の信号をRF回路42を介して無線タグ33に送信するとともに、無線タグ33から返送される応答信号をRF回路42を介して受信し、必要な情報を通信記憶部45aに保存する機能を有している。
【0042】
ここで、無線タグ33は、発振回路33a、CPU(Central Processing Unit)33b、EEPROM(Electrically and Erasable Programmable Read Only Memory)33c、RF回路33d及び共振コイル33eとから構成される。
【0043】
この無線タグ33は、無線タグリーダ/ライタ37,37aから送出される電波を共振コイル33eで受信し、CPU33bで解析した後、このCPU33bの制御に基づいて、必要な情報をEEPROM33cから読み出し、RF回路33d及び共振コイル33eを介して送信している。
【0044】
なお、上記EEPROM33cには、図書13毎に固有の図書コードが、図示しないタグリーダ/ライタにより予め書き込まれている。また、このEEPROM33cには、取り出しサイン等のように図書管理上必要となる情報の書き込み領域も確保されているものとする。
【0045】
次に、図6は、上記した図書自動管理システムのステーション22の一例の断面図である。図6において、ステーション22の内部には、コンテナ12の重量を計量する重量センサ39を備えたコンテナ保持部41が示されている。
【0046】
次に、図7は、上記のような図書自動管理システムに使用される制御系を示している。すなわち、図7において、符号46は管理コンピュータである。この管理コンピュータ46は、図示しないCPU等の制御部を有している。管理コンピュータ46は、バスライン47を介して無停電電源装置48が接続されている。
【0047】
また、この管理コンピュータ46には、バスライン47からファイルアダプタ49を経て、フロッピー(登録商標)ディスク50と、システムの制御プログラムが記憶されたハードディスク51とが接続されている。
【0048】
さらに、この管理コンピュータ46には、バスライン47からファイルアダプタ53を経て、上記した図書情報の記憶されたハードディスク54が接続されている。また、この管理コンピュータ46には、バスライン47からファイルアダプタ55を経て、バックアップ情報の記憶されたハードディスク56が接続されている。
【0049】
一方、上記管理コンピュータ46には、バスライン47からシリアルインターフェースアダプタ57を経て、統括制御盤58が接続されている。この統括制御盤58は、前記スタッカークレーン15、2階のステーション22及び1階ステーション24,25、搬送コンベア17,21,23,26,28,31、垂直搬送機59等の動作を統括的に制御している。
【0050】
また、上記管理コンピュータ46には、バスライン47からシリアルインターフェースアダプタ60を経て、表示パネル35、無線タグ33と無線通信を行なう無線通信手段としてのゲート無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37a、利用者に図書13の貸出票を発行するためのプリンタ64及びバーコードリーダ65が接続されている。
【0051】
そして、これら表示パネル35、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37a、プリンタ64及びバーコードリーダ65等は、2階のステーション22に設置されている。
【0052】
さらに、上記管理コンピュータ46には、バスライン47からシリアルインターフェースアダプタ66を経て、表示パネル35、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37a、プリンタ70及びバーコードリーダ71が接続されている。そして、これら表示パネル35、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37aプリンタ70及びバーコードリーダ71等は、1階ステーション24,25にそれぞれ設置されている。
【0053】
ここで、図8は、上記統括制御盤58の詳細を示している。すなわち、前記バスライン47は、シリアルインターフェースアダプタ57を経た後、入出力回路58aを介して制御回路58bに接続される。この制御回路58bは、入出力回路58cを介して、各制御対象であるスタッカークレーン15、2階のステーション22及び1階ステーション24,25、搬送コンベア17,21,23,26,28,31、垂直搬送機59をそれぞれ制御している。また、上記入出力回路58aには、通信記憶部58dが接続されている。
【0054】
そして、上記スタッカークレーン15、2階のステーション22及び1階ステーション24,25、搬送コンベア17,21,23,26,28,31、垂直搬送機59等の制御対象は、それぞれ、入出力回路58cからの制御信号を受ける制御回路72a〜72dと、この制御回路72a〜72dの制御に基づいて制御対象を駆動させる駆動回路73a〜73dと、制御対象の位置等を検出するための検出器74a〜74dとを有している。
【0055】
上記のような構成となされた図書自動管理システムにおいて、以下、その特徴的な処理動作について、図9乃至図12に示すフローチャートを参照して説明する。すなわち、2階のステーション22のコンテナ排出部22bや、1階ステーション24,25のコンテナ排出部24b,25bに保持されたコンテナ12に対して、図書13の取り出し処理や返却処理が行われる。
【0056】
(取り出し処理)
はじめに、2階のステーション22のコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に対して、図9のフローチャートを用いて、図書13の取り出し処理を行う場合について説明する。
【0057】
はじめに、図書館員は、2階のステーション22において、図書館の利用者の希望に従って、タッチパネルの表示パネル35等から図書のタイトル等の入力を行い、希望の図書が載置されたコンテナ12を搬送コンベア17等で2階のステーション22まで呼び出す(ステップS11)。図書館員は、開口部34aに手を入れて、コンテナ12から該当の図書を取り出す。管理コンピュータ46の制御部は、重量センサ39からの重量減の信号を検出し(ステップS12)、次に、所定時間(例えば3秒等)のうちに、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37a(またはバーコードリーダー65等)から、無線タグ33やバーコードの図書コードを読み出すと(ステップS13)、該当の図書がコンテナ12から取り出されたものと判断する。そして、該当の図書が取り出されたと、記憶手段であるハードディスク51等に登録する(ステップS14)。しかし、管理コンピュータ46の制御部は、所定時間のうちに、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37a(またはバーコードリーダー65等)から、無線タグ33やバーコードの図書コードが読み出されなかった場合は(ステップS13)、該当の図書がコンテナ12に再び図書が戻されたものと判断して、図書館員の取出登録操作ミスと判断して、ステップS15で取出登録操作ミスであることを表示パネル35に表示させ、図書館員に確認または取出登録操作を促して処理を終了する。ここで、重量減であることを検出した後、所定時間のうちに取出登録操作が為されたか否かを判断することができることで登録操作ミスを防止することができる。
【0058】
また、このように、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37をゲート状に開口部34aに設け、さらに、コンテナ12の重量変化を監視することにより、図書館員の操作ミスを排除して、確実に図書の取り出しを検出して登録する。
【0059】
さらに、図10のフローチャートの手順を用いて、図書13の取り出し処理を行う場合について説明する。この手順においては、ステップS11乃至ステップS13までは、図9のフローチャートの手順と同一である。しかし、管理コンピュータ46の制御部は、ステップS12において重量センサ39が重量減を検出し、ステップS13で無線タグ33やバーコードの図書コードが検出された段階で、ステップS16において、該当の図書の図書コードについて取り出しがあったものとして、記憶手段であるハードディスク51等に登録する。ステップS13で、管理コンピュータ46の制御部は、所定時間(例えば、3秒等)以内に無線タグ33やバーコードが検出されずに重量増を検出すると(ステップS17)、該当の図書の取り出しの登録を記憶手段であるハードディスク51等からキャンセルする(ステップS18)。そして、管理コンピュータ46の制御部は、所定時間(例えば、3秒等)以内に無線タグ33やバーコード及び重量増を検出しなければ、図書館員の取出登録操作ミスと判断して、ステップS19で取出登録操作ミスであることを表示パネル35に表示させ、図書館員に確認または取出登録操作を促して処理を終了する。このように、図10のフローチャートの手順によっても、図書館員の操作ミスを防止して、非常に確実に図書の取り出し処理の登録を行うことができる。
【0060】
(返却処理)
次に、2階のステーション22のコンテナ排出部22bに保持されたコンテナ12に対して、図11のフローチャートを用いて、図書13の返却処理を行う場合について説明する。
【0061】
はじめに、図書館員は、2階のステーション22において、図書館の利用者の希望に従って、タッチパネルの表示パネル35等から、図書の返却のために、図書の大きさに対応した大きさを持った種類のコンテナ12を搬送コンベア17等で2階のステーション22まで呼び出す(ステップS21)。次に、図書館員は、図書館の利用者から受け取った図書を開口部34aから挿入して、呼び出して保持しているコンテナ12に投入する。管理コンピュータ46の制御部は、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37又はカウンター台に平置きされた無線タグリーダ/ライタ37a(またはバーコードリーダー65等)から、無線タグ33やバーコードの図書コードを読み出し(ステップS22)、そして、所定時間内に重量センサ39からのコンテナ12の重量増の信号を検出すると(ステップS23)、該当の図書がコンテナ12に返却されたものと判断する。そして、該当の図書が返却されたと、記憶手段であるハードディスク51等に登録する(ステップS24)。しかし、ステップS23で管理コンピュータ46の制御部は、所定時間のうちに(例えば、3秒等)、重量増を検出しなかった場合または、無線タグ33やバーコードが検出されずに重量増を検出した場合は(ステップS25)、図書館員の返却登録操作ミスと判断して、ステップS26で返却登録操作ミスであることを表示パネル35に表示させ、図書館員に確認または返却登録操作を促して処理を終了する。ここで、無線タグやバーコードが検出された後に重量増の検出が為されたか否か、および重量増の検出がある時に無線タグやバーコードの検出が為されたか否かを判断することができることで登録操作ミスを防止することができる。
【0062】
また、このように、ゲート状無線タグリーダ/ライタ37をゲート状に開口部34aに設け、さらに、コンテナ12の重量変化を監視することにより、図書館員の操作ミスを排除して、確実に図書の返却を検出して登録する。
【0063】
さらに、図12のフローチャートの手順を用いて、図書13の返却処理を行う場合について説明する。この手順においては、ステップS21乃至ステップS26までは、図11のフローチャートの手順と同一である。しかし、管理コンピュータ46の制御部は、ステップS22において無線タグ33やバーコードの図書コードを検出し、ステップS23において重量センサ39が重量増を検出した段階で、ステップS24において、該当の図書の図書コードについて返却があったものとして、記憶手段であるハードディスク51等に登録する。その上で、管理コンピュータ46の制御部は、所定時間(例えば、3秒等)以内に重量減を検出すると(ステップS27)、該当の図書の返却の登録を記憶手段であるハードディスク51等からキャンセルする(ステップS28)。しかし、管理コンピュータ46の制御部は、所定時間(例えば、3秒等)以内に重量減を検出しなければ、該当の図書の返却の登録は確定することになる。このように、図12のフローチャートの手順によっても、図書館員の操作ミスを防止して、非常に確実に図書の取り出し処理の登録を行うことができる。
【0064】
なお、上記した実施形態では、2階のステーション22において説明したが、本発明に係る実施形態では、他のステーションにおいても同様の動作により同様の作用効果を有するものである。
【0065】
また、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0066】
11…書棚、12…コンテナ、13,13a,13b.13c…図書、14…レール、15…スタッカークレーン、16…出庫用ラックステーション、17…搬送コンベア、18…コンテナ搬出口、19…2階向コンテナ搬入口、20…1階向コンテナ搬入口、21…搬送コンベア、22…2階ステーション、23…搬送コンベア、24,25…1階ステーション、26…搬送コンベア、27…1階向コンテナ搬出口、28…搬送コンベア、29…2階向コンテナ搬出口、30…コンテナ搬入口、31…搬送コンベア、32…入庫用ラックステーション、33…無線タグ、33a…発振回路、33b…CPU、33c…EEPROM、33d…RF回路、33e…共振コイル、34…カウンター台、34a…開口部、35…表示装置、37…ゲート状無線タグリーダ/ライタ、37a…無線タグリーダ/ライタ、38…シャッタ、39…重量センサ、40、41…アンテナコイル、42〜44…RF回路、45…通信制御回路、45a…通信記憶部、46…管理コンピュータ、47…バスライン、48…無停電電源装置、49…ファイルアダプタ、50…フロッピーディスク、51…ハードディスク、53…ファイルアダプタ、54…ハードディスク、55…ファイルアダプタ、56…ハードディスク、57…シリアルインターフェースアダプタ、58…統括制御盤、58a…入出力回路、58b…制御回路、58c…入出力回路、58d…通信記憶部、59…垂直搬送機、60…シリアルインターフェースアダプタ、64…プリンタ、65…バーコードリーダ、66…シリアルインターフェースアダプタ、70…プリンタ、71…バーコードリーダ、72a〜72d…制御回路、73a〜73d…駆動回路、74a〜74d…検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の図書コードを記憶する記憶素子が付着された図書を収容して書庫に収容されるコンテナと、
前記書庫から取り出されたコンテナを保持し、利用者に前記コンテナからの図書の取り出し又は返却を行わせるためのステーションと、
要求されたコンテナを前記書庫から取り出して前記ステーションに搬送するとともに、前記ステーションに保持されたコンテナを前記書庫に返却する搬送手段と、
前記図書を収容するコンテナの重量を測定する重量センサと、
前記ステーションに設けられ、前記記憶素子の図書コードを検出する検出部と、
前記ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、前記コンテナに収容された図書の図書コードを記憶し更新する記憶手段と、
前記重量センサの重量減を測定した後に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出すると前記図書コードの図書を取り出したものと前記記憶手段に登録し、
前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出した後に前記重量センサの重量増を測定すると前記図書コードの図書を返却したものと前記記憶手段に登録する登録手段とを具備することを特徴とする図書保管管理装置。
【請求項2】
前記登録手段は、前記重量センサの重量減を測定した後、所定時間以内に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出しなかった場合に、取り出し異常とすることを特徴とする請求項1記載の図書保管管理装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記重量センサの重量減を測定した後、前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出する前に前記重量センサの重量増を測定し、所定時間以内に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出しなかった場合に、図書の取り出しをキャンセルすることを特徴とする請求項1記載の図書保管管理装置。
【請求項4】
前記登録手段は、前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出しないにも関わらず、前記重量センサの重量増を測定した場合に、返却異常とすることを特徴とする請求項1記載の図書保管管理装置。
【請求項5】
前記登録手段は、前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出した後に前記重量センサの重量増を測定し、その後前記重量センサの重量減を測定した場合に、図書の返却の登録をキャンセルすることを特徴とする請求項1記載の図書保管管理装置。
【請求項6】
固有の図書コードを記憶する記憶素子が付着された図書を収容して書庫に収容されるコンテナと、前記書庫から取り出されたコンテナを保持し、利用者に前記コンテナからの図書の取り出し又は返却を行わせるためのステーションと、要求されたコンテナを前記書庫から取り出して前記ステーションに搬送するとともに、前記ステーションに保持されたコンテナを前記書庫に返却する搬送手段と、前記図書を収容するコンテナの重量を測定する重量センサと、前記ステーションに設けられ、前記記憶素子の図書コードを検出する検出部と、前記ステーションに保持されたコンテナに対する図書の取り出し及び返却に基づいて、前記コンテナに収容された図書の図書コードを記憶し更新する記憶手段を備えた図書管理システムに使用される図書保管管理方法であって、
前記重量センサの重量減を測定した後に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出すると前記図書コードの図書を取り出したものと前記記憶手段に登録する第1工程と、
前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出した後に前記重量センサの重量増を測定すると前記図書コードの図書を返却したものと前記記憶手段に登録する第2工程を有することを特徴とする図書保管管理方法。
【請求項7】
前記第1工程は、前記重量センサの重量減を測定した後、所定時間以内に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出しなかった場合に、取り出し異常とすることを特徴とする請求項6記載の図書保管管理方法。
【請求項8】
前記第1工程は、前記重量センサの重量減を測定した後、前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出する前に前記重量センサの重量増を測定し、所定時間以内に前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出しなかった場合に、図書の取り出しをキャンセルすることを特徴とする請求項6記載の図書保管管理方法。
【請求項9】
前記第2工程は、前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出しないにも関わらず、前記重量センサの重量増を測定した場合に、返却異常とすることを特徴とする請求項6記載の図書保管管理方法。
【請求項10】
前記第2工程は、前記検出部が前記記憶素子の図書コードを検出した後に前記重量センサの重量増を測定し、その後前記重量センサの重量減を測定した場合に、図書の返却の登録をキャンセルすることを特徴とする請求項6記載の図書保管管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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