説明

図書消毒器

【課題】図書Aを紫外線や赤外線でもって便利にかつ効果的に殺菌、消毒するとともに、利用者が図書Aを消毒チャンバー10に一層易しく載置して使用することができる図書消毒器を提供する。
【解決手段】図書Aに空気を噴射して図書Aの中紙aを広げて、殺菌ランプ30でもって消毒処理する図書消毒器であって、消毒チャンバー10の底壁12と上壁14との間には、傾斜後方壁16が備えられ、前記消毒チャンバー10には、前記傾斜後方壁16に近接する自由端部18を持つ少なくとも一つの図書保持部材20が備えられ、前記消毒チャンバー10の底壁12、傾斜後方壁16および上壁14には、送風機26に連結された少なくとも一つの空気噴射機28が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書消毒器に係り、より詳しくは、図書館、文書保管所、資料室、学校および家庭などにおいて図書を紫外線や赤外線でもって便利にかつ効果的に殺菌、消毒することができ、特に、利用者が図書を消毒チャンバーに一層易しく載置して使用することができる図書消毒器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、図書館や学校などで閲覧されるか、あるいは貸し出される各種の図書は、利用者の唾液、鼻水、汗などのような身体分泌物、コーヒー、飲み物、お菓子などのような飲食物、そして本(換言すれば、図書)に棲息する虫などのような害虫などによって汚染され、種々のウイルス、細菌、かびなどが繁殖しやすいために、種々の疾病を伝染させる媒介体となるなどの問題点があった。
【0003】
特に、汚染されやすくて、種々のウイルス、細菌、かびおよび害虫などの棲息場所となる図書の内部、つまり中紙の場合には、通常の紫外線消毒器でもって殺菌、消毒処理しても、図書の表紙とは異なる中紙などによって紫外線の照射が遮断されるために、図書の汚染された内部を効果的に殺菌、消毒処理することができない問題点があった。
【0004】
このような従来の問題点を解決するためのものとしては、本発明者による大韓民国特許第0880583号に開示されている図書消毒器を挙げることができる。
【0005】
前記図書消毒器は、消毒すべき図書を垂直に立てた状態において図書の表紙を広げたままで保持する図書固定台と図書保持具とを含む図書保持手段を備えたものであるので、垂直に立てられた図書の下端部、つまり中紙の下端部が消毒チャンバーの底面と接触することになるために、消毒すべき図書に向かって噴射される空気でもって図書の中紙を扇形に広げるときに、前記中紙の下端部と消毒チャンバーの底面との摩擦抵抗によって、図書の中紙を円滑に広げることができなくなる欠点があった。
【0006】
また、利用者が、図書を消毒器内の図書固定手段で固定させるときに、片手で図書が倒れないようにつかんだままで他の手では図書の表紙を中紙から分離させながら図書固定具を操作しなければならないので、使用が不便な欠点があった。
【0007】
特に、大型の子供用絵本などのように大面積を持つ図書、または重い図書を固定させることが、非常に不便であっただけでなく、手の力が一般の大人に比べて弱い子供、老人または病弱者が、消毒すべき図書を消毒器内に固定しにくいなどの欠点もあった。
【0008】
また、図書固定手段が、垂直固定型の図書固定台と、折畳可能にピボット連結された一対の可動型図書固定具とからなるものなので、構造が比較的複雑であり、製作の際に多くの組立て工数が要求され、このために、製作コストが高くかかるなどの欠点もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は前記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、消毒すべき図書の中紙と表紙とが両分(換言すれば、二分)されるように図書を開いて、消毒チャンバーに備えられた傾斜後方壁と図書保持部材との間に挟み込む方式で消毒すべき図書を載置させることができるようにすることによって、消毒すべき図書をより手軽に載置することができ、このように載置される消毒すべき図書の中紙と表紙とが自重および重力によって自ら広げられるようにすることによって、消毒すべき図書に向けて空気を噴射させるときに、載置された図書の中紙と表紙とがより円滑に広げられることになり、殺菌、消毒ランプから照射される光線が図書の中紙と表紙との深部にも均一に照射されるようにすることができるために、殺菌・消毒処理効果が非常に優秀であり、より安いコストでもって製作することができる図書消毒器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、図書に空気を噴射して図書の中紙を広げ、殺菌ランプで消毒処理する図書消毒器であって、消毒チャンバーの底壁と上壁との間には、傾斜後方壁が備えられ、前記消毒チャンバーには、前記傾斜後方壁に近接する自由端部を持つ少なくとも一つの図書保持部材が備えられ、前記消毒チャンバーの底壁、傾斜後方壁および上壁には、送風機に連結された少なくとも一つの空気噴射機が備えられている図書消毒器を提供する。
【0011】
また、本発明によると、前記図書保持部材の固定端部が、前記消毒チャンバーの底壁、傾斜後方壁および上壁の中のいずれか一つの壁に固定されていることができる。
【0012】
また、本発明によると、前記傾斜後方壁には、前記図書保持部材と対応する図書支持台が備えられていることができる。
【0013】
また、本発明によると、前記傾斜後方壁には、前記図書保持部材の自由端部と対応する磁石が備えられていることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による図書消毒器は、消毒すべき図書を両分(換言すれば、二分)されるように開いてから、消毒チャンバー内の傾斜後方壁と、図書保持部材の自由端部との間に挟み込む方式で載置させることができるようになっているので、消毒すべき図書を一般の大人はもちろん、子供、老人または病弱者も、手軽に載置して使用することができる。
【0015】
また、本発明による図書消毒器は、載置された図書の中紙と表紙とが摩擦抵抗なしに自重および重力によって自ら広げられて、噴射される空気によってより円滑に広げられるので、殺菌、消毒ランプから照射される光線が図書の中紙と表紙との深部にも均一に照射されるようにすることができ、このために、殺菌・消毒処理効果が非常に優れ、さらに、図書固定手段の構造簡素化をはかって製作コストを節減することができるなどの利点がある。
【0016】
また、本発明による図書消毒器は、消毒チャンバー内に多数の図書保持部材と図書支持台とを並列で備えることができるようになっているので、多くの図書を同時にかつ効率よく殺菌・消毒処理することができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による図書消毒器の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明による図書消毒器の消毒チャンバーに載置された消毒すべき図書の中紙と表紙とが自重および重力、そして噴射される空気によって広げられる状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を添付図面に基づいてさらに詳細に説明すれば、つぎのとおりである。
【0019】
図1は、本発明による図書消毒器の一実施例を示す縦断面図、図2は、本発明による図書消毒器の消毒チャンバーに載置された消毒すべき図書の中紙と表紙とが自重および重力、そして噴射される空気によって広げられる状態を示す斜視図である。
【0020】
本発明による図書消毒器は、図1および図2に示すように、消毒チャンバー10の底壁12と上壁14との間に傾斜後方壁16が備えられており、前記消毒チャンバー10には前記傾斜後方壁16に近接する自由端部18を持つ少なくとも一つの図書保持部材20が備えられているので、消毒すべき図書Aの中紙aと表紙bとを両分(換言すれば、二分)するように開いてから、前記傾斜後方壁16と前記図書保持部材20との間に消毒すべき図書Aの背部(book−spine、すなわち、図書Aの背表紙)cを挟み込む方式でもって載置させることができるようになっている。
【0021】
前記図書保持部材20は、鋼棒などのような高引張力の金属で作られ、前記図書保持部材20の固定端部22は、例えば、前記消毒チャンバー10の底壁12、傾斜後方壁16または上壁14に固定されている。
【0022】
前記傾斜後方壁16には、前記図書保持部材20と対応する図書支持台24が備えられていて、この図書支持台24は、前記傾斜後方壁16と前記図書保持部材20との間に背部cが斜めに挟み込まれる図書Aの下端の角部を支えるようになっている。
【0023】
前記消毒チャンバー10の底壁12、傾斜後方壁16または上壁14には、送風機26に連結された空気噴射機28、紫外線殺菌ランプ30および赤外線ランプ32が備えられている。
【0024】
前記傾斜後方壁16において、前記図書保持部材20の自由端部18と対応する部位には、永久磁石または電磁石でなる磁石34が備えられていて、前記傾斜後方壁16と前記図書保持部材20の自由端部18との間に配置される図書Aの背部cを、より堅固にかつ安定に支持することができるようになっており、前記図書保持部材20は、前記傾斜後方壁16に向かって移動可能に設置されることもできる。
【0025】
前記消毒チャンバー10は、例えば、開口部36が開放された開放型、またはドア38で開閉される開閉型に製作されることができる。
【0026】
本発明においては、前記底壁12と傾斜後方壁16との間の傾斜角(θ)は、92°〜100°程度であるのが好ましい。この場合には、図1および図2に示すように、消毒すべき図書Aを両分(すなわち、二分)して開いてから、図書Aの背部cが前記図書保持部材20と傾斜後方壁16との間に挟み込まれるように載置したときに、この載置された図書Aの中紙aと表紙bとが、摩擦抵抗なしに、自重および重力によって図2に実線で示すように自ら扇形に広げられる。このために、空気噴射機28でもって図書Aに向って空気を噴射させれば、図2において二点鎖線で示すように、上述のように載置された図書Aの中紙aと表紙bとが、より円滑に広げられる。
【0027】
したがって、紫外線殺菌ランプ30および赤外線ランプ32から照射される光線が、上述のように載置された図書Aの中紙aと表紙bとの深部にも均一に照射されるので、図書Aの殺菌・消毒処理の効果を大幅に向上させることになる。
【0028】
そして、前記図書保持部材20は、鋼棒などのような金属を単純に折曲加工して作られるものであってよいので、図書消毒器の製作費用を節減させることができる。
【0029】
また、前記空気噴射機28は、殺菌・消毒効果を向上させるために、同時にあるいは順次に作動させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、図書館、文書保管所、資料室、学校および家庭などで図書を紫外線や赤外線でもって便利にかつ効果的に殺菌、消毒することができ、特に、利用者が図書を消毒チャンバーに一層易しく載置して使用することができる図書消毒器に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 消毒チャンバー
12 底壁
14 上壁
16 傾斜後方壁
18 自由端部
20 図書保持部材
22 固定端部
24 図書支持台
26 送風機
28 空気噴射機
30 紫外線殺菌ランプ
32 赤外線ランプ
34 磁石
A 図書
a 中紙
b 表紙
c 背部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図書に空気を噴射して図書の中紙を広げ、殺菌ランプで消毒処理する図書消毒器であって、
消毒チャンバー10の底壁12と上壁14との間には、傾斜後方壁16が備えられ、
前記消毒チャンバー10には、前記傾斜後方壁16に近接する自由端部18を持つ少なくとも一つの図書保持部材20が備えられ、
前記消毒チャンバー10の底壁12、傾斜後方壁16および上壁14には、送風機26に連結された少なくとも一つの空気噴射機28が備えられていることを特徴とする、図書消毒器。
【請求項2】
前記図書保持部材20の固定端部22が前記消毒チャンバー10の底壁12に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の図書消毒器。
【請求項3】
前記図書保持部材20の固定端部22が前記消毒チャンバー10の傾斜後方壁16に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の図書消毒器。
【請求項4】
前記図書保持部材20の固定端部22が前記消毒チャンバー10の上壁14に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の図書消毒器。
【請求項5】
前記傾斜後方壁16には、前記図書保持部材20と対応する図書支持台24が備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の図書消毒器。
【請求項6】
前記傾斜後方壁16には、前記図書保持部材20の自由端部18と対応する磁石34が備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の図書消毒器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−92689(P2011−92689A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125937(P2010−125937)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(510152459)アイヴイエス・インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】