説明

図面データ管理装置

【課題】扱うデータサイズをより減少させ、図面データの管理をより容易にすることを可能にする図面データ管理装置を提供する。
【解決手段】地図データの対象となる領域を複数に分割したメッシュ上の図形要素を表す点列を相対座標で表す場合の基点となる代表点は、メッシュ上の左下隅点に設定された基準点を基点として2バイトで表現される相対座標で表すとともに、1バイトで上記点列を表現することが可能なメッシュ上の位置に設定する。そして、上記点列は、代表点を基点として1バイトで表現される相対座標で表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面データ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ある領域(以下、管理領域)を示す地図の図面データをコンピュータ処理するときのデータ管理の単位として、管理領域を複数に分割した矩形状のメッシュを用いることが行われている。
【0003】
ここで、上記メッシュを用いる場合には、各メッシュの図面データの中で用いる位置データとして、そのメッシュのみを対象とした相対座標系、すなわち当該メッシュの代表点を原点とする座標系の値を用いることになる。そのため、複数のメッシュにまたがる図形データ要素(道路線、施設線など)を処理する場合には、当該図形データ要素の位置データを、選択メッシュにおける相対座標系の位置データ(以下、相対位置データ)から分割元の管理領域の絶対座標系の位置データ(以下、絶対位置データ)に変換しなければならない。
【0004】
例えば、特許文献1では、選択メッシュの代表点として、メッシュの左下隅点やメッシュの対角線同士の交点を用いる技術が開示されている。そして、特許文献1では、この選択メッシュの代表点の管理領域における位置を示す代表点絶対位置データを、メッシュのサイズデータ、選択メッシュのメッシュ番号、選択メッシュの代表点の自メッシュにおける位置を示す代表点相対位置データに基づいた演算処理により求めることによって、相対位置データから絶対位置データに変換する技術も開示されている。また、選択メッシュ中の代表点以外の点については、選択メッシュの代表点からの相対位置(つまり、オフセット)をもとに求めることが開示されている。
【0005】
なお、特許文献2には、道路などの湾曲した地理特色(つまり、図形データ要素)を表現する場合に、緯度および経度座標からなる形状点の集合を用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−212449号公報
【特許文献2】特開平11−265441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、扱うデータサイズが膨大になり、図面データの管理が困難になってしまうという問題点を有していた。この問題点については以下で詳述する。
【0008】
まず、地図を示す図面データにおけるメッシュは、一般的に32768×32768ピクセルであることが知られている。ここで、前述のオフセットはこのメッシュの枠内で表現されるため、メッシュ中の1つの形状点を表現するのにX座標に16ビット(つまり、2バイト)、Y座標に2バイトを使用することになり、形状点のデータを格納する場合には、1つの形状点について少なくとも4バイトの格納領域を確保しなければならなくなる。
【0009】
特許文献2に開示されているように、道路などの湾曲した図形データ要素を表現する場合には、複数の形状点を用いることになる。よって、特許文献1に開示の技術では、道路などの湾曲した図形データ要素を表現する場合には、扱うデータサイズが膨大になってしまう。例えば、扱うデータサイズが膨大になると、図面データを用いた演算処理の負荷が増大して処理に時間がかかる。また、扱うデータサイズが膨大になると、図面データを通信でやり取りする場合の通信負荷が増大して図面データの通信による更新に時間がかかる。従って、扱うデータサイズが膨大になると図面データの管理が困難になってしまう。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、扱うデータサイズをより減少させ、図面データの管理をより容易にすることを可能にする図面データ管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の図面データ管理装置によれば、メッシュ上の所定の位置に設定された基準点を基点として所定ビット数で表現される相対座標で表される代表点をさらに基点として、当該所定ビット数よりも小さい圧縮ビット数でメッシュ上の図形要素を表す点列の相対座標を表すことになる。よって、図形要素を表す点列について、当該所定ビット数よりも少ないビット数で表現することができる。従って、基準点を基点として代表点を相対座標で表すのと同様に基準点を基点として図形要素を表す点列を当該所定ビット数で表現する構成に比べ、図形要素を表す点列を当該所定ビット数よりも小さい圧縮ビット数で表現できる分だけ、扱うデータサイズをより減少させることができる。
【0012】
また、以上の構成によれば、扱うデータサイズをより減少させることができるので、図面データを用いた演算処理の負荷をより減少させて処理にかかる時間を抑えたり、図面データを通信でやり取りする場合の通信負荷をより減少させて図面データの通信による更新にかかる時間を抑えたりすることが可能になる。その結果、以上の構成によれば、図面データの管理をより容易にすることが可能になる。
【0013】
また、請求項2のように、図面データが、複数のメッシュに分割される地図上の領域の図面表示内容に関する電子地図の図面データであって、図形要素が、地図上の地形、道路、および施設のうちの少なくともいずれかである態様としてもよい。これによれば、車載ナビゲーション装置などに本発明を適用することによって、車載ナビゲーション装置などで扱う電子地図の図面データのデータサイズを減少させることができ、電子地図の図面データの管理をより容易にすることが可能になる。
【0014】
また、請求項3のように、図形要素の点列が、圧縮ビット数によって0以下の数値も表現されている態様としてもよい。これによれば、図形要素の各点列の相対座標を0以上の数値で表現できる位置に限らずに代表点を設定することが可能になる。よって、代表点を設定する位置の自由度を高くすることができ、代表点の設定を容易にすることができる。
【0015】
なお、この場合には、請求項4のように、図形要素の各点列の中心に相当する点をもとにして代表点が設定されている態様としてもよいし、請求項5のように、図形要素の各点列の中心に相当する点に代表点が設定されている態様としてもよい。
【0016】
また、請求項6のように、領域は、座標平面の第1象限に属するものであって、基準点は、メッシュの左下隅点に設定されている態様としてもよい。これによれば、メッシュの左下隅点が座標平面の原点に最も近い点となる。
【0017】
また、基準点がメッシュの左下隅点に設定されている態様においては、請求項7のように、図形要素の点列が、圧縮ビット数によって0以上の数値のみで表現されており、代表点が、図形要素の外接四角形の四隅の点のうち、基準点に最も近い点に設定されている態様としてもよい。この態様においては、図形要素の各点列の相対座標を0以上の数値のみで表現し、扱うデータサイズをより減少させることができる。
【0018】
また、請求項8のように、メッシュ上の少なくとも1つの図形要素については、代表点が複数設定されている態様としてもよい。
【0019】
また、請求項9のように、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを圧縮ビット数で表現できない図形要素については、代表点が複数設定されている態様としてもよい。これによれば、代表点が追加されているので、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを圧縮ビット数で表現できない図形要素についても、各点列のすべてを圧縮ビット数で表現することが可能となっている。よって、以上の構成によれば、圧縮ビット数で表現できない点列を所定ビット数で表現しなくてはならない状況を生じさせずに済み、扱うデータサイズをより確実に減少させ、図面データの管理をより容易にすることができる。
【0020】
また、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを圧縮ビット数で表現できない図形要素について代表点が複数設定されているので、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを圧縮ビット数で表現できる図形要素については、代表点が複数設定されていない。よって、以上の構成によれば、不要な代表点の追加によるデータサイズの増加を抑えることができる。
【0021】
なお、この場合には、請求項10のように、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを圧縮ビット数で表現できない図形要素については、当該図形要素が区分けされており、区分けされた部分ごとに代表点が設定されている態様としてもよい。
【0022】
また、請求項11の構成によれば、メッシュ上のすべての図形要素について、図形要素を表す各点列のすべてが、各図形要素にそれぞれ設定した代表点を基点とした圧縮ビット数で表現される相対座標で表されているので、扱うデータサイズをより多く減少させ、図面データの管理をさらに容易にすることが可能になる。
【0023】
また、請求項12のように、圧縮ビット数が、所定ビット数よりも小さい単一のビット数である態様としてもよい。
【0024】
また、請求項13のように、所定ビット数を2バイトとし、圧縮ビット数を1バイトとする態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】地図データ更新システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】地図データの改造構造を説明するための模式図である。
【図4】メッシュ上の道路Aの形状点列、基準点、および代表点を示す模式図である。
【図5】メッシュ上に設定される代表点の一例を説明するための模式図である。
【図6】メッシュ上に設定される代表点の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された地図データ更新システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す地図データ更新システム100は、車両に搭載されるナビゲーション装置1および地図センタ2を含んでいる。
【0027】
地図センタ2は、サーバから構成されており、インターネット等のネットワーク(つまり、通信網)を介してナビゲーション装置1と通信することが可能な通信装置、地図データを保持するデータベースとしての記憶装置、および通信を制御する制御装置などを備えている。
【0028】
また、地図センタ2は、1つのサーバからなるものであってもよいし、複数のサーバからなっているものであってもよい。なお、地図センタ2の記憶装置には、道路や施設が変更されたり道路や施設が新たに敷設されたりして地図データに変更があった場合の最新の地図データが保有されている。なお、地図データの詳細については後述する。
【0029】
ナビゲーション装置1は、自動車等の車両に搭載されるものであって、一般的なナビゲーション装置と同様の経路案内を行う機能を有している他に、地図センタ2とネットワークを介して通信を行う機能を有している。
【0030】
ここで、図2を用いてナビゲーション装置1の概略的な構成について説明を行う。図2は、ナビゲーション装置1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにナビゲーション装置1は、位置検出器11、地図データ入力器16、記憶媒体17、操作スイッチ群18、リモコン19、リモコンセンサ20、センタ通信部21、外部メモリ22、表示装置23、音声認識ユニット24、音声出力装置25、およびこれらと接続された制御装置26を備えている。
【0031】
位置検出器11は、周知の地磁気センサ12、ジャイロスコープ13、距離センサ14、および衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機15を有している。これらのセンサ等12〜15は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、さらにステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0032】
地図データ入力器16は、記憶媒体17が装着され、その記憶媒体17に格納されている地図データやメッシュ管理情報を含む各種データを入力するための装置である。なお、地図データやメッシュ管理情報の詳細については後述する。
【0033】
ここで、地図データの構成について説明を行う。地図データは、対象となる領域(以下、管理領域)をメッシュ状に分割し、矩形状のメッシュ(地図区画)と呼ばれる個々の分割範囲ごとに、記憶媒体17に格納されている。このようにメッシュ単位で分割して記憶される地図データは、主に、実際の道路に即して道路を表示するための道路データと、自然地形や施設など地図を表示する際の背景となる背景データと、地名や施設名や道路名等を地図上に表示するための文字データとからなる。なお、日本全土の地図データを扱うとすると、管理領域は日本全土を含む範囲となる。また、1つのメッシュは、32768×32768ピクセルであるものとする。なお、管理領域は、座標平面の第1象限(x>0、y>0)に属するものとして以降の説明を続ける。
【0034】
道路データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。リンク(道路リンク)とは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点、付帯施設が存在する点、案内ポイントとして設定されている点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。ただし、道路の形状が直線以外の場合、実際の道路の形状を模擬するため、ノード間に形状補間点が設定される。この場合、ノードと形状補間点との間や形状補間点同士を結ぶ線分はセグメントと呼ばれ、リンクは複数のセグメントから構成されることになる。
【0035】
リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの形状情報、道路リンクの始端及び終端ノード座標、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。また、リンク座標データには、このリンクの始端と終端の座標が記述される。なお、リンクデータは、1つのメッシュに含まれる、名称や車両の走行条件が同一である道路部分を示す複数のリンクについてのデータを含む。例えば、1つのメッシュに、道路Aと道路Bとが含まれていると仮定する。この場合、このメッシュの道路データは、道路Aに対応するリンクデータと道路Bに対応するリンクデータとを有することになる。また、リンクの形状情報は、そのリンクの両端とその間の形状を表す形状補間点との座標位置を示す座標列からなる。
【0036】
一方、ノードデータは、地図上のノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。
【0037】
なお、道路データは、地図を表示する以外に、マップマッチング処理を行う際の道路の形状を与えるために用いられたり、目的地までの案内経路を検索する際に用いられたりする。
【0038】
また、背景データは、地図上の各施設や地形等と、それに対応する(例えば各施設や地形等を示す線に対応する)地図上の座標とを関連付けたデータである。なお、施設に関しては、各種施設の種類、名称、住所のデータなども含まれる。なお、ここで言うところの施設とは、住宅、ビル、駅、空港、競技場、橋等の建築物などを示している。また、文字データは、地名、施設名、道路名等を地図上に表示するためのデータであって、その表示すべき位置に対応する座標のデータと関連付けられている。なお、道路データや背景データや文字データが請求項の図面データに相当する。
【0039】
また、上記メッシュの呼び名は、本実施形態で便宜上名づけたものである。従って、必ずしもこれらの名称に限定されるものではない。例えば、メッシュをパーセルと言ってもよいし、管理単位と言ってもよい。
【0040】
なお、地図データは、例えばカバーする範囲の広さを基に複数段の階層に分かれた階層構造となっていてもよい。以下では、地図データが図3に示すように広域側から詳細側に3段の階層(図3のレベル0〜レベル2)に分かれた階層構造となっているものとした場合を例に挙げて説明を続ける。各階層のデータの関係は、図3に示すように、カバーする範囲がより広い広域側のデータの1枚のメッシュに、カバーする範囲がより狭い詳細側のデータの4枚のメッシュが対応するように階層化されている。
【0041】
また、ここでは、広域側のデータの1枚のメッシュに詳細側のデータの4枚のメッシュが対応するように階層化される構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、広域側のデータの1枚のメッシュに詳細側のデータの4枚以外の複数のメッシュが存在するように階層化される構成であってもよい。
【0042】
さらに、ここでは、カバーする範囲の広さを基に複数段の階層に分かれた階層構造となっている構成を示したが、必ずしもこれに限らず、他の基準に基づいて複数段の階層に分かれた階層構造となっている構成であってもよい。例えば、道路網の情報量を基に複数段の階層に分かれた階層構造となっている構成であってもよい。
【0043】
また、地図データは、メッシュを1単位としてデータの更新を行うことが可能となっており、メッシュ単位で管理されている。つまり、地図データは、メッシュ単位で部分的に更新を行うことが可能となっている。また、地図データには、個々のメッシュを識別するための識別子としてのメッシュIDがメッシュ毎に付加されている。なお、メッシュ番号は、最小経度、最小緯度のメッシュを基準メッシュとして、順次N字の順番で、各メッシュに番号を付与することで与えられるものとする。さらに、地図データには、地図データの改訂の度に付加される新旧情報としてのバージョン番号がメッシュ毎に付加される。
【0044】
なお、本実施形態では、地図データの改訂の度に付加されるバージョン番号がメッシュ毎に付加される構成を示したが、必ずしもこれに限らない。各メッシュには、個々のメッシュの更新が行われたタイミングを示す情報が付加される構成であれば、バージョン番号に限らず、更新日時の情報等が付加される構成であってもよい。
【0045】
ここで、道路データや背景データ等における図形要素を表す形状点列のデータの扱い方について説明を行う。なお、図形要素とは、地図上で図形として表示される道路や施設や地形等の1単位のまとまりを示している。例えば、図形要素とは、1区切りの道路や1つの施設や1区切りの地形等である。また、ここで言うところの形状点列とは、図形要素の形状を示す座標列である。例えば、道路の形状の場合には、道路リンクの始端及び終端ノードやセグメントの座標列であり、施設の形状や地形の場合には、施設や地形等を示す線に対応する座標列である。
【0046】
また、上記形状点列のデータは地図データの一部であることから、形状点列のデータの管理もメッシュ単位で行われる。以下では、ある1つのメッシュ上の道路Aの形状点列を一例に挙げて説明を行う。なお、道路Aの形状点列は、図4に示すように、道路Aの道路リンクの始端ノード(図4中のC)及び終端ノード(図4中のD)と4箇所のセグメント(図4中のE1〜E4)との6点からなるものとする。なお、図4は、メッシュ上の後述の基準点、道路Aの形状点列、および道路Aの代表点を示す模式図である。
【0047】
まず、メッシュの左下隅点(図中F)は、後述する代表点を相対座標で表すための基点(以下、基準点)として設定されている。なお、ここでは、メッシュの左下隅点が請求項の基準点に相当する。また、1つのメッシュは、32768×32768ピクセルであるので、当該メッシュ上のどの点であっても、基準点からの相対座標は2バイト(16ビット)あれば表現することができる。よって、基準点からの代表点の相対座標(以下、代表点の相対座標)は2バイトで表現されている。また、道路Aに対しては、上記6点の形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能な基点にあたる当該メッシュ上の位置に、道路Aについての代表点が設定されている(図4中のG)。なお、ここで言うところの2バイトが請求項の所定ビット数に相当し、1バイトが請求項の圧縮ビット数に相当する。
【0048】
続いて、代表点の設定方法について説明を行う。ここでは、1バイトによって0以下の数値も表現する場合の例について説明を行う。1バイトによって0以下の数値も表現する場合とは、いわゆる符号付数値表現によって負の数値も表現する場合を示している。なお、符号付数値表現としては、例えば、符号ビットを追加して正負を表すことによって−127〜127の数値を表現するものであってもよいし、2進数における1の補数表現を用いて−127〜127の数値を表現するものであってもよい。また、2進数における2の補数表現を用いて−128〜127の数値を表現するものであってもよいし、エクセスNを用いて−127〜128の数値を表現するものであってもよい。
【0049】
1バイトによって0以下の数値も表現する場合には、例えば、道路Aの形状点列(つまり、各点列)の中心に相当する点(以下、中心点)をもとに、道路Aの形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能な位置を検索する。一例としては、中心点に近い座標から順に代表点として仮設定し、仮設定した代表点を基点にして道路Aの形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能か否かを試行し、道路Aの形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能であった点を代表点として本設定する構成とすればよい。また、道路Aの形状点列の中心に相当する点を代表点として設定する構成としてもよい。
【0050】
なお、ここでは、中心点をもとに代表点を設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、形状点列のうちのいずれかの点をもとに、道路Aの形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能な位置を検索して代表点を設定する構成としてもよいし、メッシュ上の他の点をもとに、道路Aの形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能な位置を検索して代表点を設定する構成としてもよい。
【0051】
以上のように、1バイトによって0以下の数値も表現する場合には、形状点列を相対座標で表現するのに正の整数および0だけでなく、負の整数も用いることができるので、形状点列の各点の相対座標を0以上の数値で表現できる位置に限らずに代表点を設定することが可能になる。よって、代表点を設定する位置の自由度を高くすることができ、代表点の設定を容易にすることができるという利点がある。
【0052】
また、前述の実施形態では、1つの図形要素について代表点を1つだけ設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば図形要素について複数の代表点を設定する構成としてもよい。また、図形要素について複数の代表点を設定する構成とする場合には、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを1バイトで表現できない図形要素について代表点を複数設定する構成とすることがより好ましい。
【0053】
以下では、図5を用いて、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを1バイトで表現できない図形要素について代表点を複数設定する構成の説明を行う。なお、図5は、メッシュ上に設定される代表点の一例を説明するための模式図である。また、図5においても道路Aを例に挙げて説明を行う。なお、道路Aの形状点列は、図5に示すように、道路Aの道路リンクの始端ノード(図5中のC)及び終端ノード(図5中のD)と4箇所のセグメント(図5中のE1〜E4)との6点からなるものとする。また、ここでは、1つの代表点だけで道路Aの形状点列のすべてを1バイトで表現できるメッシュ上の位置が存在しないものとする。
【0054】
1つの代表点だけで道路Aの形状点列のすべてを1バイトで表現できない場合には、道路Aの形状点列を区分けし、区分けした部分ごとに代表点を設定する構成とすればよい。なお、区分けした部分ごとに代表点を設定する場合には、区分けした部分における形状点列のすべての相対座標を1バイトで表現することが可能な位置を前述したのと同様にして求めて代表点を設定する構成とすればよい。
【0055】
例えば、図5の例では、道路Aの形状点列を、始端ノードC、セグメントE1、およびセグメントE2の各点からなる形状点列とセグメントE3、セグメントE4、および終端ノードDの各点からなる形状点列との2つの部分に区分けしている。そして、始端ノードC、セグメントE1、およびセグメントE2の各点の相対座標を1バイトで表現することが可能な代表点G1とセグメントE3、セグメントE4、および終端ノードDの各点の相対座標を1バイトで表現することが可能な代表点G2とをそれぞれ設定している。なお、代表点G1および代表点G2については、基準点Fからの相対座標を2バイトで表現するものとする。
【0056】
また、図5の例では、複数個のノードやセグメントごとの単位で区分けする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、道路名称や道路種別ごと等の属性単位で区分けする構成であってもよい。なお、区分けの単位の決め方としては、始めに属性単位で区分けした部分ごとに代表点となり得る位置が存在するか否かを前述したようにして試行し、代表点となり得る位置が存在しない場合には、その部分については複数個のノードやセグメントごとの単位での区分けを行い、代表点が設定できるまで区分けの単位を細分化していく構成とすればよい。
【0057】
以上の構成によれば、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを1バイトで表現できない図形要素についても、各点列のすべてを1バイトで表現することが可能となる。よって、以上の構成によれば、1バイトで表現できない点列を2バイトで表現しなくてはならない状況を生じさせずに済み、扱うデータサイズをより確実に減少させ、地図データの管理をより容易にすることができる。また、以上の構成によれば、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを1バイトで表現できる図形要素については、代表点を複数設定しないので、不要な代表点の追加によるデータサイズの増加を抑えることができる。
【0058】
なお、前述の実施形態では、1バイトによって0以下の数値も表現する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、1バイトによって0以上の数値のみを表現する構成としてもよい。1バイトによって0以上の数値のみを表現する構成とは、1バイトによって0および正の整数(詳しくは0〜255)のみを表現する構成を示している。
【0059】
以下では、この構成について図6を用いて説明を行う。なお、図6は、メッシュ上に設定される代表点の一例を説明するための模式図である。また、図6においても道路Aを例に挙げて説明を行う。なお、道路Aの形状点列は、図6に示すように、道路Aの道路リンクの始端ノード(図5中のC)及び終端ノード(図5中のD)と4箇所のセグメント(図5中のE1〜E4)との6点からなるものとする。
【0060】
1バイトによって0以上の数値のみを表現する場合には、道路Aの形状点列のすべての相対座標を0以上の数値で表現する必要がある。そして、道路Aの形状点列のすべての相対座標を0以上の数値で表現するためには、道路Aの形状点列のいずれの点よりも座標平面の原点に近い点に代表点を設定する必要がある。ここで、管理領域は座標平面の第1象限に属するため、管理領域を分割したものであるメッシュも第1象限に属することになり、メッシュ上では左下隅点(つまり、基準点F)が座標平面の原点に最も近い点となる。
【0061】
よって、道路Aの形状点列の外接四角形の四隅の点のうち、基準点Fに最も近い点に代表点(図6中のG3)を設定すれば、道路Aの形状点列のいずれの点よりも座標平面の原点に近い点に代表点を設定することができ、1バイトによって0以上の数値のみを表現する場合にも道路Aの形状点列のすべての相対座標を0以上の数値で表現することができる。従って、道路Aの形状点列の外接四角形の四隅の点のうち、基準点Fに最も近い点に代表点G3を設定する構成とすればよい。
【0062】
なお、1バイトによって0以上の数値のみを表現する態様において、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを1バイトで表現できない場合には、前述したのと同様にして図形要素を区分けし、区分けした部分ごとに代表点を設定する構成とすればよい。
【0063】
本実施形態では、前述したようにして、1バイトで図形要素の各点列のすべてを表現することが可能なメッシュ上の位置に代表点が設定されることになる。
【0064】
そして、道路Aの道路データとして、道路Aについての代表点は、2バイトで表現された基準点からの相対座標の座標値が、記憶媒体17におけるデータフレームに格納される。また、道路Aの道路データとして、道路Aの上記6点の形状点列は、1バイトで表現された代表点からの相対座標の座標値が、当該データフレームに格納される。よって、ナビゲーション装置1(より詳しくは制御装置26)が、請求項の図面データ管理装置に相当する。なお、道路Aについて複数の代表点が設定されている場合には、複数の代表点の各相対座標の座標値が道路Aについての代表点として当該データフレームに格納される。また、当該データフレームには、道路Aの他の道路データも格納される構成としてもよい。
【0065】
以上の構成によれば、道路Aの形状点列について、1バイトで表現することができる。従って、基準点Fを基点として代表点Gを相対座標で表すのと同様に基準点Fを基点として道路Aの形状点列を2バイトで表現する構成に比べ、道路Aの形状点列を1バイトで表現できる分だけ、ナビゲーション装置1において扱う道路データや背景データ(つまり、図面表示内容に関する図面データ)のデータサイズを減少させることができる。
【0066】
なお、メッシュ上のすべての図形要素について、図形要素を表す各点列のすべてが、各図形要素にそれぞれ設定された代表点を基点とした1バイトで表現される相対座標で表される構成としてもよい。これによれば、メッシュ上のすべての図形要素について、図形要素を表す各点列のすべてが、各図形要素にそれぞれ設定した代表点を基点とした圧縮ビット数で表現される相対座標で表されているので、扱うデータサイズをより多く減少させ、図面データの管理をさらに容易にすることが可能になる。
【0067】
また、前述の実施形態では、1バイトで図形要素の各点列のすべてを表現する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを1バイトで表現できない場合や代表点からの相対座標で表現することによるデータサイズの圧縮の効果が低い場合などに、図形要素の1部の点や点列を2バイトで表現する構成としてもよい。
【0068】
さらに、地図センタ2の記憶装置に保有されている地図データのうちの道路データや背景データ等における図形要素を表す形状点列のデータについても、図形要素を表す各点列が、代表点を基点とした1バイトで表現される相対座標で表されている構成としてもよい。よって、地図センタ2も請求項の図面データ管理装置に相当する。
【0069】
続いて、メッシュ管理情報についての説明を行う。メッシュ管理情報とは、例えば1つの階層に含まれる総メッシュ数、前述の基準メッシュの左下隅点の絶対座標(以下、基準メッシュ絶対座標)、東西の経度方向に並ぶメッシュの数(以下、経度方向メッシュ数)、南北の緯度方向に並ぶメッシュの数(緯度方向メッシュ数)などである。
【0070】
図2に戻って、記憶媒体17には、各種施設の種類、名称、住所のデータなども記憶されており、それらのデータは経路探索の際の目的地設定などに用いられる。なお、記憶媒体17としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0071】
操作スイッチ群18は、例えば表示装置23と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により制御装置26へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、表示画面変更、音量調整、地図データ取得更新等)の操作指示を行う。また、操作スイッチ群18は、出発地および目的地を設定するためのスイッチを含んでおり、ユーザはそのスイッチを操作することによって、予め登録しておいた地点、施設名、電話番号、住所などから、出発地および目的地を設定することができる。
【0072】
リモコン19には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ20を介して各種指令信号を制御装置26に入力することにより、操作スイッチ群18と同じ機能を制御装置26に対して実行させることが可能である。
【0073】
センタ通信部21は、ネットワークを介して地図センタ2との間で通信を行い、地図センタ2から配信される地図データを取得するものである。なお、センタ通信部21は、例えば車両に搭載されるDCM(data communication module)等のテレマティクス通信に用いられる車載通信モジュールを通じてネットワークに接続する構成としてもよいし、例えばBluetooth(登録商標)等で接続した携帯電話機を通じてネットワークに接続する構成としてもよい。
【0074】
外部メモリ22は、HDD等の書き込み可能な大容量記憶装置である。外部メモリ22には大量のデータや電源をOFFしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器16からコピーして利用したりする等の用途がある。なお、外部メモリ22は、比較的記憶容量の小さいリムーバブルなメモリであってもよい。
【0075】
表示装置23は、車両の走行を案内するための地図および目的地選択画面等を表示するものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。
【0076】
音声認識ユニット24は、図示しないマイクから入力された音声を認識し、その認識した音声に対応する制御コマンドを制御装置26へ出力する。なお、制御装置26では、この制御コマンドに従って処理を実行する。音声出力装置25は、スピーカ等から構成され、制御装置26の指示に基づいて、経路案内時の案内音声などを出力する。
【0077】
制御装置26は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。制御装置26は、位置検出器11、地図データ入力器16、操作スイッチ群18、リモコンセンサ20、センタ通信部21、外部メモリ22、音声認識ユニット24から入力された各種情報に基づき、ナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内処理、マップマッチング処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)や地図データの更新に関連する処理(地図データ取得更新処理等)を実行する。
【0078】
例えば、制御装置26は、操作スイッチ群18、リモコンセンサ20、音声認識ユニット24から目的地が入力されると、距離優先、時間優先等の予め設定された条件を満たす複数の移動経路を、公知のダイクストラ法を用いて探索する経路探索実行処理を行う。また、制御装置26は、表示装置23に表示されている地図上に上記目的地までの最適経路を重ねて表示させる経路案内処理を行う。
【0079】
また、制御装置26は、センタ通信部21による地図センタ2との通信で地図センタ2から更新用の地図データ(例えば最新の地図データなど)を取得し、記憶媒体17に格納している地図データを、センタ2から取得した更新用の地図データに更新する地図データ取得更新処理を行う。なお、センタ通信部21によるセンタ2からの更新用の地図データの取得は、地図センタ2から地図データの変更があった旨の通知があった場合に行う構成としてもよいし、例えば1週間ごとや1ヶ月ごとなどの定期的に行う構成としてもよい。また、地図データの更新を行う旨の入力が操作スイッチ群18等の入力装置にユーザから行われた場合に、地図データ取得更新処理を行う構成としてもよい。
【0080】
なお、地図データ取得更新処理において、管理領域に含まれるすべてのメッシュの地図データを取得して更新する構成としてもよいし、管理領域に含まれる一部のメッシュの地図データを取得して更新する構成としてもよい。
【0081】
前述したように、地図データのうちの道路データや背景データ等における図形要素を表す各点列が、各図形要素にそれぞれ設定した代表点を基点とした圧縮ビット数で表現される相対座標で表されており、地図データのデータサイズはより圧縮されている。よって、本実施形態の構成によれば、以上のように地図データを通信でやり取りする場合に、通信負荷をより減少させて地図データを通信によって取得して更新するまでにかかる時間を抑えることができる。その結果、以上の構成によって、地図データの管理をより容易にすることができる。
【0082】
また、制御装置26は、代表点からの相対座標で表現されている図形要素の形状点列を、管理領域における絶対座標に変換する処理(以下、絶対座標変換処理)を行う。
【0083】
例えば、操作スイッチ群18等の入力装置にユーザから行われた目的地の施設の名称の入力をもとにメッシュ上の当該施設の位置を特定する場合に、制御装置26が絶対座標変換処理を行う。これは、目的地の名称には管理領域における絶対座標が対応付けられているのに対して、メッシュ上の当該施設は当該メッシュ上に設定された点からの相対座標で表されているためである。
【0084】
他にも、例えば、2つのメッシュ間にわたる道路データが存在する場合であって、その一方のメッシュのみが地図データ取得更新処理によって更新された場合に、制御装置26が絶対座標変換処理を行って当該道路データのメッシュ境界の部分の絶対座標を求め、隣接メッシュ間の道路データの接続を行う。また、異なる段(以下、レベル)の階層にわたって経路探索を行う場合であって、異なるレベルのメッシュ間にわたる道路データが存在する場合に、制御装置26が絶対座標変換処理を行って当該道路データのメッシュ境界の部分の絶対座標を求め、異なるレベル間の道路データの接続をし、経路探索を行う。
【0085】
ここで、絶対座標変換処理について詳しく説明を行う。まず、絶対座標変換処理では、メッシュの基準点の絶対座標を求める。なお、メッシュの基準点の絶対座標は、周知の方法によって求める構成とすればよく、例えば、基準メッシュ絶対座標、当該メッシュの1段上の階層の経度方向メッシュ数および緯度方向メッシュ数、当該メッシュのメッシュ番号といったメッシュ管理情報をもとに、特許文献1における代表点絶対位置データの算出と同様にして求める構成とすればよい。
【0086】
続いて、メッシュの基準点の絶対座標をもとに、代表点の絶対座標を求める。詳しくは、メッシュの基準点の絶対座標に代表点の相対座標の座標値を加算することによって求める。そして、求めた代表点の絶対座標をもとに、図形要素の形状点列の絶対座標を求める。詳しくは、代表点の絶対座標に図形要素の形状点についての相対座標の座標値を加算することによって、各点の絶対座標を求める。
【0087】
このように、絶対座標変換処理においては、メッシュ上の基準点の管理領域における絶対座標をもとに、当該基準点からの相対座標で表されている代表点を管理領域における絶対座標に変換するとともに、変換して得られた当該代表点の管理領域における絶対座標をもとに、当該代表点からの相対座標で表されているメッシュ上の図形要素を表す点列を、管理領域における絶対座標に変換する。
【0088】
なお、前述の実施形態では、最小経度、最小緯度のメッシュを基準メッシュとして、順次N字の順番で、各メッシュに付与される構成を示したが、必ずしもこれに限らない。メッシュ番号は、メッシュ番号をもとに管理領域における位置が特定できるように規則的に与えられた番号であればよく、順次N字の順番以外の規則的な順番で付与される構成としてもよい。例えば、原点からX軸、Y軸それぞれの方向に何番目であるかを示す態様で付与される構成としてもよい。
【0089】
前述したように、地図データのうちの道路データや背景データ等における図形要素を表す各点列が、各図形要素にそれぞれ設定した代表点を基点とした圧縮ビット数で表現される相対座標で表されており、地図データのデータサイズはより圧縮されている。よって、本実施形態の構成によれば、以上のように地図データを用いた演算処理を行う場合に、演算処理の負荷をより減少させて処理にかかる時間を抑えることができる。その結果、以上の構成によって、地図データの管理をより容易にすることができる。
【0090】
なお、前述の実施形態では、管理領域が座標平面の第1象限に属する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、1バイトによって0以下の数値も表現する構成であれば、管理領域が座標平面の第2象限(x<0、y>0)に属する構成としてもよいし、第3象限(x<0、y<0)に属する構成としてもよいし、第4象限(x>0、y<0)に属する構成としてもよい。また、これらの場合には、管理領域が座標平面の第1象限に属する構成とした場合のメッシュの左下隅点に対応する基準点としては、メッシュの四隅の点のうち、座標平面の原点に近い点を基準点として設定する構成とすればよい。
【0091】
また、前述の実施形態では、基準点をメッシュの左下隅点に設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、1バイトによって0以下の数値も表現する構成であれば、基準点をメッシュの対角線同士の交点に設定する構成としてもよいし、メッシュ上の他の点に設定する構成としてもよい。
【0092】
なお、前述の実施形態では、代表点の相対座標を表現するビット数(請求項の所定ビット数に相当)として2バイトを用いるとともに、図形要素の形状点列の各点の相対座標を表現するビット数(請求項の圧縮ビット数に相当)として1バイトを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。図形要素の形状点列の各点の相対座標を表現するビット数が、代表点の相対座標を表現するビット数よりも小さくなる構成であれば、他のビット数を用いる構成としてもよい。例えば、代表点の相対座標を表現するビット数として8ビットを用いるとともに、図形要素の形状点列の各点の相対座標を表現するビット数として4ビットを用いる構成としてもよい。
【0093】
また、前述の実施形態では、図形要素の形状点列の各点の相対座標を表現するビット数を単一のビット数とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図形要素の形状点列の各点の相対座標を表現するビット数を単一でないビット数とする構成としてもよい。一例としては、図形要素の形状点列の各点の相対座標を表現するのに必要な最低限のビット数で上記各点のそれぞれの相対座標を表現する構成としてもよい。
【0094】
なお、前述の実施形態では、地図センタ2から更新用の地図データを取得する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、フラッシュメモリやCD−ROMやDVD−ROM等のリムーバブルメディアから更新用の地図データを取得する構成としてもよい。また、この場合には、リムーバブルメディアから更新データを読み込む読み込み装置をナビゲーション装置1に備える構成とすればよい
また、前述の実施形態では、請求項の図面データ管理装置としてナビゲーション装置1の制御装置26や地図センタ2を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。請求項の図面データ管理装置としては、図形要素の形状点列の代表点からの相対座標が基準点からの代表点の相対座標を表現するビット数よりも小さいビット数で表現されているデータが格納されている機器であれば、前述の機器以外の機器も該当する。
【0095】
さらに、前述の実施形態では、複数のメッシュに分割される地図上の領域の図面表示内容に関する電子地図の図面データ(つまり、地図データ)に本発明を適用する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、施設の管理図の図面データなど、地図データ以外の複数のメッシュに分割される領域の図面表示内容に関する図面データに本発明を適用する構成としてもよい。
【0096】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 ナビゲーション装置(図面データ管理装置)、2 地図センタ(図面データ管理装置)、11 位置検出器、16 地図データ入力器、17 記憶媒体、18 操作スイッチ群、19 リモコン、20 リモコンセンサ、21 センタ通信部、22 外部メモリ、23 表示装置、24 音声認識ユニット、25 音声出力装置、26 制御装置、100 地図データ更新システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメッシュに分割される領域の図面表示内容に関する図面データの管理を当該メッシュ単位で行なうとともに、
前記メッシュ上の図形要素を表す点列を、前記メッシュ上に設定した代表点を基点とした相対座標で表している図面データ管理装置であって、
前記代表点は、
前記メッシュ上の所定の位置に設定された基準点を基点として所定ビット数で表現される相対座標で表されているとともに、
前記所定ビット数よりも小さいビット数である圧縮ビット数で前記図形要素の前記点列を表現することが可能な前記メッシュ上の位置に設定されており、
前記点列は、
前記代表点を基点として前記圧縮ビット数で表現される相対座標で表されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記図面データは、複数のメッシュに分割される地図上の領域の図面表示内容に関する電子地図の図面データであって、
前記図形要素は、地図上の地形、道路、および施設のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記点列は、前記圧縮ビット数によって0以下の数値も表現されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記代表点は、前記図形要素の各点列の中心に相当する点をもとにして設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記代表点は、前記図形要素の各点列の中心に相当する点に設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記領域は、座標平面の第1象限に属するものであって、
前記基準点は、前記メッシュの左下隅点に設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記点列は、前記圧縮ビット数によって0以上の数値のみで表現されており、
前記代表点は、前記図形要素の外接四角形の四隅の点のうち、前記基準点に最も近い点に設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
前記代表点は、前記メッシュ上の少なくとも1つの前記図形要素については、複数設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項において、
前記代表点は、1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを前記圧縮ビット数で表現できない図形要素については、複数設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項10】
請求項9において、
1つの代表点だけで図形要素の各点列のすべてを前記圧縮ビット数で表現できない図形要素については、当該図形要素が区分けされており、区分けされた部分ごとに前記代表点が設定されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記メッシュ上のすべての図形要素について、図形要素を表す各点列のすべてが、各図形要素にそれぞれ設定された前記代表点を基点とした前記圧縮ビット数で表現される相対座標で表されていることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項において、
前記圧縮ビット数は、前記所定ビット数よりも小さい単一のビット数であることを特徴とする図面データ管理装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記所定ビット数は、2バイトであり、
前記圧縮ビット数は、1バイトであることを特徴とする図面データ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−164146(P2011−164146A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23447(P2010−23447)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】