説明

図面情報提供システム

【課題】設計図面に関連した各種の情報を提供でき、操作性に優れた図面情報提供システムを提供する。
【解決手段】設計図面の属性情報を識別する複数の識別区分から構成される図面コード13に紐付けられた図面画像情報14と、図面画像情報に紐付けられた部品表情報15と、各部品に紐付けられた詳細部品情報16とを有する管理サーバ2と、管理サーバから通信回線5、6を介して取得された画像情報、部品表情報及び詳細部品情報を蓄積する記憶手段31と、図面コード13に基づいて選択される図面画像情報及び該図面画像情報に紐付けられた部品表情報を記憶手段から抽出する図面検索手段34と、図面検索手段で抽出された図面画像情報及び部品表情報を表示する表示手段33と、部品表情報から部品が選択された場合に、これに紐付けられた詳細部品情報を記憶手段から読み出す部品情報読み出し手段35とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品から組み立てられる対象物の設計図面に関連した図面情報を提供する図面情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、機器や装置等の対象物を施工、建設する場合、複数の設計図面が用いられる。例えば、発電プラントを建設する場合においては、ボイラやタービン等の装置の設計図、配管系統図、電気系統図等のように、膨大な量の図面が必用とされる。これらの図面は、通常CADを用いて作成されることが多く、電子的なCADデータ、またはCADデータから変換されたTIFFやPDFなどの画像データとして記憶され、管理されている。この画像データには、設計図面を識別する図面番号が付与されており、従来は、設計図面が必用となったときに、この図面番号を用いて必要な図面を出力していた。
【0003】
しかし、設計図面が膨大な量になると、必要とする設計図面の図面番号を把握することは大変な労力となる。また、図面番号を把握していないユーザは、必要な図面であっても入手できないこともある。そこで近年は、図面検索機能を有するシステムが提案、実用化されている。その一つとして、図面情報の属性データを対象とするキーワード検索機能を有するシステムがある。これは、ユーザが入力するキーワードに合致する図面情報を検索し、ユーザに提示するものである。この方法では、キーワードが適切であれば容易に所望の情報を見つけ出すことができる。ところが、キーワードが検索意図を適切に表していなかったり、検索意図が曖昧であったりすると、提示される情報量は膨大となり、所望の設計図面を探す作業に時間がかかってしまう。また、所望の設計図面が検索結果から外れてしまうことも考えられる。
【0004】
そこで、特許文献1には、文字や数字などを入力することなく、所望の設計図面を検索することができる図面管理システムが開示されている。このシステムは、機器名列及び図面の種別名列をそれぞれ縦軸または横軸とした検索用画面を表示し、これらの列から所望する機器名及び図面の種別を選択して該当する図面群を検索するようになっている。
一方、実際の施工、建設作業においては、設計図面の他に、設計図面に記載される部品の情報も必要となる。そこで、特許文献2には、物品を構成する部品よりも下位の階層に属する部品についての構成を把握可能な図面検索装置が開示されている。この装置は、物品を構成する構成情報一覧表に基づいて図面データを検索し、検索された図面データから構成情報一覧表を抽出し、さらに構成情報一覧表から部品展開一覧表を構成して出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−99484号公報
【特許文献2】特開2005−293153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、対象物の施工、建設作業においては、設計図面の他に、設計図面に記載される部品の情報も必要となるが、従来は設計図面を蓄積したデータベースと部品情報を蓄積したデータベースとは独立しており、それぞれを個々に検索する必要があるため、必要な情報を入手するのに時間と手間がかかっていた。
特許文献2の装置によれば、図面データの検索に連係して、物品を構成する部品やその下位階層の部品の構成情報を入手することが可能であるが、入手できる情報は部品の構成情報のみであり、その他の部品情報については別途検索または取得する必要があった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、設計図面に関連した各種の情報を提供でき、操作性に優れた図面情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る図面情報提供システムは、複数の部品から組み立てられる対象物の設計図面に関連した情報を提供する図面情報提供システムであって、前記設計図面の属性情報を識別する複数の識別区分から構成され、複数の前記設計図面のそれぞれに付与される図面コードが設定されており、前記図面コードに紐付けられ、前記設計図面の画像情報からなる図面画像情報と、前記図面画像情報に紐付けられ、前記設計図面に含まれる複数の部品の一覧からなる部品表情報と、前記各部品に紐付けられ、前記部品ごとの詳細な部品情報からなる詳細部品情報とを有する管理サーバと、前記管理サーバから通信回線を介して取得された前記画像情報、前記部品表情報及び前記詳細部品情報を蓄積する記憶手段と、前記図面コードに基づいて選択される前記図面画像情報及び該図面画像情報に紐付けられた前記部品表情報を前記記憶手段から抽出する図面検索手段と、前記図面検索手段で抽出された前記図面画像情報及び前記部品表情報を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された前記部品表から前記入力手段によって前記部品が選択された場合に、該選択された部品に紐付けられた前記詳細部品情報を前記記憶手段から読み出す部品情報読み出し手段とを有し、前記部品情報読み出し手段で抽出された前記部品情報を前記表示手段に表示する端末とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、管理サーバが、設計図面の属性情報を識別する図面コードに紐付けて図面画像情報を管理データベースに格納しておき、端末はこれらの情報を取得し、図面コードに基づいて選択される図面画像情報を抽出するようにしたので、設計図面の属性情報から図面画像情報を抽出して表示手段に表示させることができる。このとき、図面コードは複数の属性情報から構成されるようにしたので、必要とされる図面画像情報を異なる属性情報からも検索可能であり、様々な情報要求に対して的確に応えることができる。
また、図面画像情報に紐付けた部品表情報を表示手段に表示させ、この部品表情報の中から入力手段によって部品が選択された場合に、部品表情報に紐付けられた詳細部品情報を読み出して表示手段に表示させるようにしたので、詳細部品情報を簡単に且つ迅速に表示させることができ、操作性の向上が図れる。
【0009】
上記図面情報提供システムにおいて、前記管理サーバは、複数のプロジェクトの前記設計図面に関連した情報を前記管理データベースに格納しており、前記図面コードが前記プロジェクトを識別する識別区分を含み、前記複数のプロジェクトのうち指定された前記プロジェクトの前記識別区分を含む前記図面コードに紐付けられた前記図面画像情報と、該図面画像情報に紐付けられた部品表情報と、該部品表情報に紐付けられた詳細部品情報とを前記管理サーバから通信回線を介して取得する指定プロジェクト情報取得手段と、前記指定プロジェクト情報取得手段で取得された情報を格納する現地データベースとを有する現地サーバをさらに備え、前記端末は、前記現地サーバを介して前記管理サーバから前記指定されたプロジェクトに関する情報のみを取得するように構成することが好ましい。
【0010】
管理サーバは複数のプロジェクトの設計図面に関連した情報を扱うため、情報量が膨大となる。そこで、上記したように、現地サーバが、複数のプロジェクトのうち指定されたプロジェクトの識別区分を含む図面コードに紐付けられた図面画像情報と、該図面画像情報に紐付けられた部品表情報と、該部品表情報に紐付けられた詳細部品情報とを取得しておき、端末は、指定されたプロジェクトに関する情報のみを現地サーバから取得するように構成することで、端末は、膨大な情報から短時間で必要な情報のみを取得することができる。
【0011】
また、前記管理サーバは、前記部品の追跡情報を蓄積した部品追跡情報データベースから前記各部品の追跡情報を取得して、前記追跡情報を含む前記詳細部品情報を前記現地サーバに送信することが好ましい。
このように、管理サーバが、部品追跡情報データベースから各部品の追跡情報を取得して、追跡情報を含む詳細部品情報を現地サーバに送信するようにしたので、端末は必要に応じて部品の追跡情報を表示させることができるようになり、現地では部品の搬入時期を的確に把握可能となる。したがって、現地では施工、建設等の作業を円滑に進めることが可能となる。なお、ここでいう現地とは、対象物の施工、建設を行う場所である。
【0012】
さらに、前記管理サーバは、前記管理データベースに格納される前記図面画像情報、前記部品表情報または前記詳細部品情報を更新する更新手段を有しており、前記現地サーバは、前記更新手段で更新された更新情報を前記管理サーバから取得して前記端末に送信することが好ましい。
このように、管理サーバで更新された情報を現地サーバが取得し、現地サーバが更新情報を端末に送信するようにしたので、端末は迅速に最新の情報を取得可能となる。
【0013】
この場合、前記管理サーバの更新手段は、前記図面画像情報のうち前記管理データベースに予め格納された図面画像情報と、更新された図面画像情報とを比較して差分画像を生成し、前記管理サーバは、前記更新手段で生成された前記差分画像を前記更新情報として前記現地サーバに送信するようにしてもよい。
このように、管理サーバの更新手段が、更新前の図面画像情報と更新後の図面画像情報とを比較して差分画像を生成し、この差分画像を更新情報として現地サーバに送信するようにしたので、管理サーバと現地サーバとの間の通信量、及び現地サーバと端末との間の通信量を抑制することができる。
【0014】
なお、前記識別区分は、前記対象物のプロジェクトを示すプロジェクト区分と、前記対象物を組み立てる作業工程に関する作業区分と、前記対象物が設置されるエリア区分と、前記対象物の機器系統に関する系統区分と、前記設計画像図面の種類を示す図面種類区分とのうち少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0015】
また、前記端末の前記図面検索手段は、前記識別区分に関連した検索用の選択項目を前記表示手段に表示させ、前記入力手段から選択された前記選択項目に基づいて前記図面コードを用いて前記図面画像情報を前記記憶手段から抽出することが好ましい。
これにより、端末を操作する操作者は、図面コードを知らなくても、要求する図面画像情報を簡単に抽出することができる。
この場合、前記端末の前記図面検索手段は、前記選択項目を図形的に前記表示手段に表示させるようにしてもよく、これにより視覚的に図面画像情報を検索でき、操作性がより一層向上する。
【0016】
上記図面情報提供システムにおいて、前記端末は、充電池が搭載され、無線回線を介して前記現地サーバから情報を取得可能なポータブル端末であることが好ましい。
これにより、対象物の施工、建設作業を行う現地において端末を持ち運び可能となり、図面画像情報等の情報を出力することなく必要な情報を端末画面で参照しながら作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、管理サーバが、設計図面の属性情報を識別する図面コードに紐付けて図面画像情報を管理データベースに格納しておき、端末はこれらの情報を取得し、図面コードに基づいて選択される図面画像情報を抽出するようにしたので、設計図面の属性情報から図面画像情報を抽出して表示手段に表示させることができる。このとき、図面コードは複数の属性情報から構成されるようにしたので、必要とされる図面画像情報を異なる属性情報からも検索可能であり、様々な情報要求に対して的確に応えることができる。
また、図面画像情報に紐付けた部品表情報を表示手段に表示させ、この部品表情報の中から入力手段によって部品が選択された場合に、部品表情報に紐付けられた詳細部品情報を読み出して表示手段に表示させるようにしたので、詳細部品情報を簡単に且つ迅速に表示させることができ、操作性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る図面情報提供システムの全体構成図である。
【図2】図面画像情報及び部品表情報を表示した画面の一例を示す図である。
【図3】図面コードの一例を示す図である。
【図4】機器種類と機器区分との対応関係の一例を示す図である。
【図5】メイン画面の表示例を示す図である。
【図6】作業区分に関連した選択項目の表示例を示す図である。
【図7】図面種類選択画面の表示例を示す図である。
【図8】エリア区分に関連した選択項目の表示例を示す図である
【図9】詳細部品情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る図面情報提供システムの全体構成図である。なお、本願明細書では、本発明に係る図面情報提供システムの一例として、発電プラントを設計対象とした場合を例に説明する。発電プラントは、複数の部品から組み立てられる複数の対象物からなり、それぞれに設計図面が存在する。なお、ここでいう対象物とは、機器、装置、設備を含む。また、設計図面は、対象物の設計に用いられる図面全般を指し、例えば設計図、鳥瞰図、系統図等の様々な種類の図面を含むものである。
【0021】
図1に示されるように、図面情報提供システムは、管理サーバ1、現地サーバ2、ポータブル端末(以下、単に端末と称する)3とを備える。管理サーバ1及び現地サーバ2は通信回線5を介して接続され、現地サーバ2及び端末3は通信回線6を介して接続されている。通信回線5及び通信回線6は、例えばインターネット回線やLAN回線などの通信回線からなり、互いに地理的に離れた場所に設置されていながら互いに各種情報のやり取りが可能となっている。なお、通信回線5及び通信回線6は同一の回線であってもよいが、特に、現地サーバ2及び端末3の間の通信回線6は、現地で端末3を持ち運び可能なように無線回線であることが好ましい。
【0022】
管理サーバ1は、主に、情報を入力する入力手段11と、設計図面に関連した情報を格納した管理データベース12と、管理データベース12に格納される情報を更新する更新手段18とを有する。管理サーバ1は、設計図面に関連した情報を取り纏める管理者によって操作可能に構成され、現地から離れた場所に設置されていてもよい。なお、ここでいう現地とは、対象物の施工、建設を行う場所である。
【0023】
管理データベース12は、複数のプロジェクトに関する情報が格納されている。この管理データベース12は、格納されている情報の種類に応じて、設計画像情報データベース14と、部品表情報データベース15と、詳細部品情報データベース16に細分化されて構成されている。なお、管理データベース12は、これらのデータベース14、15、16の2以上が一体的に構成されていてもよい。
設計画像情報データベース14には、設計図面の画像情報からなる複数の設計画像情報が格納されている。これらの設計画像情報は、図面コード13に紐付られている。なお、設計画像情報は、図2に示すような設計図面の電子的な画像情報からなり、例えば、PDFファイル、TIFFファイル、CADファイル等である。
【0024】
ここで、図面コード13は、設計図面の属性情報を識別する複数の識別区分から構成され、複数の設計図面のそれぞれ付与される。図面コード13の一例を図3に示す。図面コード13は、a機器区分と、bプロジェクト区分と、c作業区分と、dエリア区分と、e系統区分と、f図面種類区分とから構成される。機器区分は、配管関係、換排気関係等のように、対象物の種類を識別する。プロジェクト区分は、「A地区発電プラント」等のようにプロジェクトを識別する。作業区分は、溶接、据え付け等のように対象物を組み立てる作業工程を識別する。エリア区分は、ボイラエリア、発電機エリア等のように、対象物が設置されるエリアを識別する。図面種類区分は、設計図、鳥瞰図、系統図のように、設計図面の種類を識別する。なお、系統図とは、系統的に配置される機器構成を示す図面で、例えば、配管系統や電気系統等が挙げられる。また、図面コード13は、上記した区分を全て含む必要はなく、少なくとも2以上の区分を有していればよい。
各識別区分は、アルファベットや数字のような記号で表される。図4は、一例として、機器種類と機器区分との対応関係を示す図である。同図に示すように、機器種類ごとに機器区分がそれぞれ付与されている。
【0025】
図1に戻り、部品表情報データベース15には、複数の部品表情報が格納されている。部品表情報は、図2の右下に示すように、設計図面に含まれる部品名称の一覧からなる。また、この部品表情報は、設計画像情報データベース14に格納された設計画像情報に紐付けられている。
【0026】
詳細部品情報データベース16には、複数の詳細部品情報が格納されている。詳細部品情報は、対象物を設計する際に必要とされる部品の詳細な情報であり、部品の追跡情報または取扱い情報を含んでいることが好ましい。ここで、部品の追跡情報とは、部品の位置情報と時刻情報とを含み、部品が現在どこに存在するかを示すものである。通常、追跡情報は、管理サーバ1とは別に設置された追跡情報データベース4から取得される。但し、この追跡情報データベース4は管理サーバ1に設けられていてもよい。この追跡情報によって、部品が出荷されたか否か、部品が輸送中であるか否か、あるいは部品が入荷されたか否かを判断することができ、部品の調達状況を迅速に把握することが可能である。さらに、詳細部品情報は、追跡情報に加えて、部品の出荷予定時期や入荷予定時期の情報を含んでいてもよい。部品の取扱い情報は、部品を取り扱う際の注意事項に関する情報であり、例えば、MSDS(製品安全データシート)のように指定化学物質を含有する製品の性状及び取扱いに関する情報や部品組み立て時の注意事項に関する情報等が挙げられる。なお、部品の取扱い情報は、部品の梱包資材の取扱い情報を含んでいてもよい。
【0027】
更新手段18は、管理データベース12に格納された図面画像情報、部品表情報または詳細部品情報を更新する。具体的には、入力手段11によって、図面画像情報、部品表情報または詳細部品情報の更新情報が入力されたら、リビジョン番号を付与して管理データベース12に更新情報を格納する。そして、管理サーバ1は、現地サーバ2へ情報を送信する際に、最も新しいリビジョン番号が付与された情報を送信する。また、更新手段18は、定期的に追跡情報データベース4から直近の追跡情報を取得し、詳細部品情報データベース16を更新することが好ましい。このように、管理サーバ1で更新された情報を現地サーバ2が取得し、現地サーバ2が更新情報を端末3に送信するように構成することで、端末3は迅速に最新の情報を取得可能となる。
【0028】
また、更新手段18は、図面画像情報のうち管理データベース12に予め格納された図面画像情報と、更新された図面画像情報とを比較して差分画像を生成し、この差分画像を更新情報として管理データベース12に格納してもよい。この場合、最も新しいリビジョン番号を有する図面画像情報と、これより一つ前のリビジョン番号を有する図面画像情報とを比較し、画像認識によって差分画像を抽出し、差分画像のみを更新情報として管理データベース12に格納する。管理サーバ1は、この更新手段18で生成された差分画像のみを更新情報として現地サーバ2に送信する。この場合、現地サーバ2は、現地データベース22に格納されている同一設計図面の図面画像情報に差分画像を合成して、この合成画像を最新図面画像情報として現地データベース22に格納する。さらにこのとき、図面画像情報のうち差分画像を合成した領域をマーキングし、更新部分を明示することが好ましい。
【0029】
このように、管理サーバ1の更新手段18が、更新前の図面画像情報と更新後の図面画像情報とを比較して差分画像を生成し、この差分画像を更新情報として現地サーバ2に送信するように構成することで、管理サーバ1と現地サーバ2との間の通信量、及び現地サーバ2と端末3との間の通信量を抑制することができる。
【0030】
現地サーバ2は、対象物が施工、建設される現地に配置され、主に、指定プロジェクト情報取得手段21と、現地データベース22とを有する。
指定プロジェクト情報取得手段21は、予め指定されたプロジェクトの識別区分を含む図面コード23に紐付けられた図面画像情報と、該図面画像情報に紐付けられた部品表情報と、該部品表情報に紐付けられた詳細部品情報とを、管理サーバ1の管理データベース12から通信回線5を介して取得する。
現地データベース22は、設計画像情報データベース24と、部品表情報データベース25と、詳細部品情報データベース26とを有し、指定プロジェクト情報取得手段21で取得された情報がそれぞれのデータベースに振り分けて格納されている。なお、現地データベース22は、これらのデータベース24、25、26の2以上が一体的に構成されていてもよい。現地データベース22の各データベース24、25、26の構成は、管理データベース12と略同一であるが、指定されたプロジェクトに関する情報のみが格納されるため、管理データベース12より情報量は少ない。
【0031】
端末3は、主に、記憶手段31と、入力手段32と、表示手段33と、図面検索手段34と、部品情報読み出し手段35とを有する。この端末3は、充電池が搭載され、無線回線6を介して現地サーバ2から情報を取得可能に構成されていることが好ましく、これにより現地において端末3を持ち運び可能となり、図面画像情報等の情報を出力することなく必要な情報を端末画面で参照しながら作業を行うことができる。さらに、端末3は現地に複数配置されることが好ましく、これにより現地の作業員が同一の情報を共有することができる。
【0032】
記憶手段31は、現地サーバ2から通信回線6を介して取得された情報が蓄積されており、現地サーバ2の現地データベース22と同様のデータ構成を有している。すなわち、記憶手段31には、指定されたプロジェクトに関する詳細部品情報、部品表情報及び詳細部品情報が蓄積されている。また、端末3は、記憶手段31と、現地サーバ2の現地データベース22とを定期的に同期させるようにしてもよい。あるいは入力手段32から入力される更新要求があった場合に、記憶手段31を現地データベース22と同期させてもよい。
【0033】
図面検索手段34は、識別区分に関連した検索用の選択項目を表示手段33に表示させ、入力手段32から選択された選択項目に基づいて、図面コードを用いて図面画像情報を記憶手段31から抽出するとともに、該図面画像情報に紐付けられた部品表情報を抽出する。
部品情報読み出し手段35は、表示手段33で表示された部品表から入力手段32によって部品が選択された場合に、該選択された部品に紐付けられた詳細部品情報を記憶手段31から読み出す。
【0034】
次に、上記した構成を有する端末3を用いた図面情報の検索方法について説明する。
端末3は、まず表示手段33にメイン画面51を表示させる。図5に示すように、メイン画面51には、識別区分に対応した複数の検索手法が表示される。検索手法としては、例えば、「工事フロー図から検索51」、「エリアから検索52」、「系統から検索53」、「図面種別から検索54」が挙げられる。このときメイン画面51に、更新機能を有効にする情報更新55の項目を同時に表示させてもよい。ここで、「工事フロー図から検索」が選択された場合、図6に示す検索画面が表示される。なお、図6は、作業区分に関連した選択項目の表示例を示す図である。
【0035】
この検索画面は、識別区分に関連した検索用の選択項目からなる。例えば、作業区分に関連した選択項目を表示する場合、図6に示すように、作業工程を示す工事フロー図60を表示させる。このとき、工事フロー図60の各作業工程61が選択項目となる。ユーザは、工事フロー図60から必要な設計図面の作業工程61を選択し、これに応じて端末3の図面検索手段34は、選択された作業工程61の作業区分を有する図面コードに基づいて、記憶手段31から図面画像情報を抽出する。さらに図面検索手段34は、この図面画像情報に紐付けられた部品表情報も同時に記憶手段31から抽出し、これらの情報を表示手段33に表示させる。なお、図面画像情報及び部品表情報はそれぞれ別に画面表示させることもできる。
【0036】
また、工事フロー図60を表示して作業工程61を選択させた後、機器区分を選択させるようにしてもよい。この場合、作業工程61が選択されたときに、図面検索手段34は、この作業工程61の作業対象となる機器種類を選択するため機器種類選択画面62を表示させる。ここで、機器種類選択画面62から選択された機器種類に対応した図面画像情報を表示させてもよいし、図7に示すように、選択された機器種類に対応した図面種類選択画面66を表示させ、この図面種類選択画面66から要求する図面を選択させるようにし、さらに図面画像情報を絞り込んでもよい。このように、図面検索手段34は、検索用の選択項目を階層的に複数段階表示させ、選択させることによって、大量の図面画像情報から要求する図面を的確に抽出することができる。
【0037】
さらにまた、図面検索手段34は、選択項目を図形的に表示手段33に表示させるようにしてもよい。図8は、エリア区分に関連した選択項目を図形的に表示させた図である。この選択画面70では、プラントの建設エリア71を複数のエリアA〜Fに分割し、入力手段32によって、複数のエリアのうち一つのエリアを選択すると、このエリアに関連した図面画像情報が表示手段33に表示されるようになっている。このとき、エリア区分のみでは該当する図面画像情報が多い場合、上記したように、階層的に他の選択項目を用いて、図面画像情報を絞り込むとよい。
【0038】
このようにして図面検索手段34によって図面画像情報が抽出されたら、図2に示したように、図面画像情報を表示手段33に表示させるとともに、これに紐付けられた部品表情報を表示手段33に表示させる。
そして、図2に示す部品表情報から入力手段32によって部品が選択されると、図9に示すように、この部品に紐付けられた詳細部品情報75が表示される。この詳細部品情報75は、部品名、部品番号、追跡情報、入荷予定、取り扱い情報等を含んでいる。なお、詳細部品情報75は、図2に示す図面画像情報に重畳して表示させてもよいし、別画面に表示させてもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、管理サーバ1が、設計図面の属性情報を識別する図面コードに紐付けて図面画像情報を管理データベース12に格納しておき、端末3はこれらの情報を取得し、図面コードに基づいて選択される図面画像情報を抽出するようにしたので、設計図面の属性情報から図面画像情報を抽出して表示手段に表示させることができる。このとき、図面コードは複数の属性情報から構成されるようにしたので、必要とされる図面画像情報を異なる属性情報からも検索可能であり、様々な情報要求に対して的確に応えることができる。
【0040】
また、図面画像情報に紐付けた部品表情報を表示手段33に表示させ、この部品表情報の中から入力手段によって部品が選択された場合に、部品表情報に紐付けられた詳細部品情報を読み出して表示手段に表示させるようにしたので、詳細部品情報を簡単に且つ迅速に表示させることができ、操作性の向上が図れる。
【0041】
さらにまた、現地サーバ2が、複数のプロジェクトのうち指定されたプロジェクトの識別区分を含む図面コード13に紐付けられた図面画像情報と、該図面画像情報に紐付けられた部品表情報と、該部品表情報に紐付けられた詳細部品情報とを取得しておき、端末3は、指定されたプロジェクトに関する情報のみを現地サーバ2から取得するように構成することで、端末3は、膨大な情報から短時間で必要な情報のみを取得することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0043】
1 管理サーバ
2 現地サーバ
3 ポータブル端末
4 追跡情報データベース
5、6 通信回線
12 管理データベース
13、23、図面コード
14、24 設計画像情報データベース
15、25 部品表情報データベース
16、26 詳細部品情報データベース
21 指定プロジェクト情報取得手段
22 現地データベース
31 記憶手段
32 入力手段
33 出力手段
34 図面検索手段
35 部品情報読み出し手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品から組み立てられる対象物の設計図面に関連した情報を提供する図面情報提供システムであって、
前記設計図面の属性情報を識別する複数の識別区分から構成され、複数の前記設計図面のそれぞれに付与される図面コードが設定されており、前記図面コードに紐付けられ、前記設計図面の画像情報からなる図面画像情報と、前記図面画像情報に紐付けられ、前記設計図面に含まれる複数の部品の一覧からなる部品表情報と、前記各部品に紐付けられ、前記部品ごとの詳細な部品情報からなる詳細部品情報とを有する管理サーバと、
前記管理サーバから通信回線を介して取得された前記画像情報、前記部品表情報及び前記詳細部品情報を蓄積する記憶手段と、前記図面コードに基づいて選択される前記図面画像情報及び該図面画像情報に紐付けられた前記部品表情報を前記記憶手段から抽出する図面検索手段と、前記図面検索手段で抽出された前記図面画像情報及び前記部品表情報を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された前記部品表から前記入力手段によって前記部品が選択された場合に、該選択された部品に紐付けられた前記詳細部品情報を前記記憶手段から読み出す部品情報読み出し手段とを有し、前記部品情報読み出し手段で読み出された前記部品情報を前記表示手段に表示する端末とを備えることを特徴とする図面情報提供システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、複数のプロジェクトの前記設計図面に関連した情報を前記管理データベースに格納しており、
前記図面コードが前記プロジェクトを識別する識別区分を含み、前記複数のプロジェクトのうち指定された前記プロジェクトの前記識別区分を含む前記図面コードに紐付けられた前記図面画像情報と、該図面画像情報に紐付けられた部品表情報と、該部品表情報に紐付けられた詳細部品情報とを前記管理サーバから通信回線を介して取得する指定プロジェクト情報取得手段と、前記指定プロジェクト情報取得手段で取得された情報を格納する現地データベースとを有する現地サーバをさらに備え、
前記端末は、前記現地サーバを介して前記管理サーバから前記指定されたプロジェクトに関する情報のみを取得することを特徴とする請求項1に記載の図面情報提供システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記部品の追跡情報を蓄積した部品追跡情報データベースから前記各部品の追跡情報を取得して、前記追跡情報を含む前記詳細部品情報を前記現地サーバに送信することを特徴とする請求項2に記載の図面情報提供システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記管理データベースに格納される前記図面画像情報、前記部品表情報または前記詳細部品情報を更新する更新手段を有しており、
前記現地サーバは、前記更新手段で更新された更新情報を前記管理サーバから取得して前記端末に送信することを特徴とする請求項2に記載の図面情報提供システム。
【請求項5】
前記管理サーバの更新手段は、前記図面画像情報のうち前記管理データベースに予め格納された図面画像情報と、更新された図面画像情報とを比較して差分画像を生成し、
前記管理サーバは、前記更新手段で生成された前記差分画像を前記更新情報として前記現地サーバに送信することを特徴とする請求項4に記載の図面情報提供システム。
【請求項6】
前記識別区分は、前記対象物のプロジェクトを示すプロジェクト区分と、前記対象物を組み立てる作業工程に関する作業区分と、前記対象物が設置されるエリア区分と、前記対象物の機器系統に関する系統区分と、前記設計画像図面の種類を示す図面種類区分とのうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2に記載の図面情報提供システム。
【請求項7】
前記端末の前記図面検索手段は、前記識別区分に関連した検索用の選択項目を前記表示手段に表示させ、前記入力手段から選択された前記選択項目に基づいて前記図面コードを用いて前記図面画像情報を前記記憶手段から抽出するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の図面情報提供システム。
【請求項8】
前記端末の前記図面検索手段は、前記選択項目を図形的に前記表示手段に表示させるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の図面情報提供システム。
【請求項9】
前記端末は、充電池が搭載され、無線回線を介して前記現地サーバから情報を取得可能なポータブル端末であることを特徴とする請求項1に記載の図面情報提供システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105247(P2013−105247A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247401(P2011−247401)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】