説明

固体が混合された液状体の充填装置

【課題】伊達巻の材料のように固体が混合された液状体の固体の分散斑を解消することができる固体が混合された液状体の充填装置を提供する。
【解決手段】モータ43の回転軸45が回転し、これと共に撹拌羽根47が回転する。撹拌羽根47が回転すると、混合羽根部材55、57によって材料Iが混合される。このときに混合羽根部材55、57によって材料Iに流れが発生し、しかも材料Iが貫通穴59を通過する。これにより材料Iが混合されると共に、魚のすり身Fが分散されて、鶏卵Eに均一に分散する状態となる。更に送給羽根部材61の回転によっても、材料Iが撹拌される。撹拌羽根47は送出管5の近傍に備えられているので、特に送出管5付近の材料Iの魚のすり身Fが鶏卵Eに均一に分散されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体が混合された液状体の充填装置に係り、例えば食品材料の充填を行う固体が混合された液状体の充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば液状食品を容器に充填する場合には特許文献1に記載された充填装置が用いられる。この従来の充填装置では、ホッパに収容された液状食品を定量ポンプによって容器に充填する。
ところで、固体が混合された液状体として伊達巻の材料がある。この伊達巻の材料は鶏卵、砂糖、澱粉等、タラなどの魚のすり身等から成る。これを従来の充填装置によって容器に充填すると、魚のすり身の分散が斑になってしまうことが多い。特に、異物除去のため伊達巻の材料を裏ごし機にかけて、小穴を通過させると魚のすり身の分散の斑が著しいものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、魚のすり身の分散が斑になると、焼いた後に伊達巻の内部に小さな割れ目が入ってしまったり、表面の色斑が生じたりしてしまい商品価値を落とすという問題がある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、伊達巻の材料のように固体が混合された液状体の固体の分散の斑を解消することができる固体が混合された液状体の充填装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、固体が混合された液状体から成る被充填物が収容され下端部に送出口が設けられた収容部と、前記被充填物を所定量ずつ送給する送給手段とを有する固体が混合された液状体の充填装置において、前記収容部の送出口の近傍には前記送出口から送り出される直前の被充填物を撹拌する撹拌羽根が備えられていることを特徴とする液状体の充填装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した固体が混合された液状体の充填装置において、撹拌羽根はラジアル方向へ突出する板状の混合羽根部材を有し、前記混合羽根部材には貫通穴が形成されていることを特徴とする液状体の充填装置である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した固体が混合された液状体の充填装置において、撹拌羽根は、送給羽根部材を有し、前記送給羽根部材は下端部が送出口の中心に対向し、且つ前記下端部の方向へ向かって下がる方向へ傾斜し、しかも送出口の中心軸の延長線を中心とする線対称に形成されていることを特徴とする液状体の充填装置である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載した固体が混合された液状体の充填装置において、送給羽根部材は混合羽根部材の下側に備えられていることを特徴とする液状体の充填装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の固体が混合された液状体の充填装置によれば、固体が混合された液状体の固体を均一に分散させることができるようになり、固体の分散の斑を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る固体が混合された液状体の充填装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る固体が混合された液状体の充填装置の構成図である。
【図3】図1の固体が混合された液状体の充填装置に搭載される撹拌部材、その近傍の部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る固体が混合された液状体の充填装置1を図面にしたがって説明する。
符号3は収容部としてのホッパを示し、このホッパ3は上面が開口し、またホッパ3は上下方向のほぼ中心から下方へ行くに従って縮径している。ホッパ3の下端部には送出口としての送出管5が設けられている。
【0012】
符号7は送給手段としてのポンプを示す。このポンプ7の構造について説明する。
ケース9は両端面が閉鎖されたほぼ円筒状に形成されており、ケース9の図1において左端面の中心にはロッド挿通穴10が形成され、右端面は閉鎖板12によって閉鎖されている。この閉鎖板12の中心には軸挿通穴14が形成されており、この閉鎖板12の右側にギア収容部16が設けられている。
ケース9の図1において上側の右方向へ寄った位置に連結管11が設けられている。
また、ケース9には吐出管13が設けられており、この吐出管13は連結管11の下側に対向して備えられている。吐出管13の先端にはネット15が取り付けられている。
【0013】
符号17はプーリを示し、このプーリ17は図示しないモータによって回転される。プーリ17の中心にはプーリ17と共に回転する中心軸19が設けられ、この中心軸19にはリンク機構21を介してピストンロッド23が連結されている。ピストンロッド23はロッド挿通穴10を通ってケース9へ挿入されており、このピストンロッド23の先端にはピストン25が固定されている。ピストン25はケース9の内面に摺接する。
【0014】
ケース9には回転弁27が収容されており、この回転弁27の先端部27aは斜めに切断された形状に形成されている。この先端部27aは連結管11と吐出管13の対向領域に備えられている。回転弁27の図1において右端面には軸29が固定されており、この軸29は前記したギア収容部16へ突出している。軸29のギア収容部16へ突出した部分には傘歯車31が固定されている。また、ギア収容部16には傘歯車33が回転自在に備えられており、この傘歯車33には傘歯車33と共に回転する中心軸36が設けられている。傘歯車33の中心軸36は軸29の延長線上に直交している。傘歯車31と傘歯車33は噛み合っている。
【0015】
プーリ17の中心軸19にはリンク機構37を介して連結ロッド39の一端部が連結され、この連結ロッド39の他端部は駆動ロッド41が回動自在に連結されている。駆動ロッド41は傘歯車33の中心軸36に固定されている。
ポンプ7は以上のように構成されている。
【0016】
符号43はモータを示し、このモータ43は下方へ突出する回転軸45を有している。この回転軸45の下端部には撹拌羽根47が取り付けられている。この撹拌羽根47は送出管5の真上に位置して、その近傍に備えられている。
撹拌羽根47の構成について説明する。
符号51は第1平板を示し、この第1平板51は回転軸45の下端部にボルト52によって固定されている。第1平板51の一側面には第2平板53が固定されている。この第2平板53は下端部が側方へ曲げられ、この側方へ曲げられた一端側の先端部が第1平板51に固定されている。また、第2平板53の他端側の部分は上方へ真っ直ぐに延びている。
【0017】
第1平板51の第2平板53が取り付けられた面と反対側の面には混合羽根部材55が固定され、また第2平板53の外側面にも混合羽根部材57が固定されている。混合羽根部材55、57はラジアル方向へ突出しており、混合羽根部材55、57のそれぞれの先端部は撹拌羽根47の回転方向へ向かって曲げられている。また、混合羽根部材55、57には、貫通穴59がそれぞれ形成されている。
また、第1平板51の下端部には送給羽根部材61が固定されており、この送給羽根部材61は混合羽根部材55、57より下側に備えられている。
送給羽根部材61は下端部61aが吐出管13の中心に対向し、且つ下端部61aの方向へ向かって下がる方向へ傾斜する形状に形成されている。更に送給羽根部材61は送出管5の中心軸の延長線Sを中心とする線対称に形成されている。
固体が混合された液状体の充填装置1は以上のように構成されている。
【0018】
次に、この固体が混合された液状体の充填装置1の動作を説明する。
ホッパ3には、被充填物としての固体が混合された液状体である伊達巻の材料Iが収容されている。この伊達巻の材料Iは液状体としての鶏卵E、砂糖、澱粉、固体としてのタラなどの魚のすり身F等から成る。
【0019】
モータ43の回転軸45が回転し、これと共に撹拌羽根47が回転する。撹拌羽根47が回転すると、混合羽根部材55、57によって材料Iが混合される。このときに混合羽根部材55、57によって材料Iに流れが発生し、しかも材料Iが貫通穴59を通過する。これにより材料Iが混合されると共に、魚のすり身Fが分散されて、鶏卵Eに均一に分散する状態となる。更に送給羽根部材61の回転によっても、材料Iが撹拌される。
前述のように撹拌羽根47は送出管5の近傍に備えられているので、特に送出管5付近の材料Iの魚のすり身Fが鶏卵Eに確実に分散されることになる。
【0020】
図1に示すように図示しないモータから回転力が付与されてプーリ17が時計回りの方向へ回転すると、この回転力がリンク機構37、連結ロッド39、駆動ロッド41及び中心軸36を介して傘歯車33に伝えられて、傘歯車33が時計回りの方向へ回転する。傘歯車33の回転力は傘歯車31に伝達され、これにより軸29と共に回転弁27が180度、正転させられる。これにより、回転弁27の先端部27aがケース9と吐出管13との間を閉鎖し、且つケース9と連結管11との間を開放する。
【0021】
また、プーリ17の回転力が、中心軸19、リンク機構21を介してピストンロッド23に伝達される。これによりピストンロッド23と共にピストン25が後退して、ホッパ3内の材料Iを吸引して、ホッパ3内の材料Iが送出管5、連結管11を介してケース9へ流入する。撹拌羽根47は送出管5の近傍に備えられているので、材料Iはケース9へ流入する直前まで撹拌羽根47によって撹拌され、魚のすり身Fが鶏卵Eに分散された材料Iがケース9に流入する。
また、撹拌羽根47の送給羽根部材61は、その下端部61aが吐出管13の中心に対向し、且つ下端部61aの方向へ向かって下がる方向へ傾斜する形状に形成され、更に送給羽根部材61は送出管5の中心軸の延長線Sを中心とする線対称に形成されているので、送給羽根部材61によって材料Iに送出管5へ向かう渦が発生する。これにより材料Iは撹拌されながらケース9へ流入されることになる。
【0022】
次いで、図2に示すようにプーリ17が反時計回りの方向へ回転すると、上記したプーリ17が時計回りの方向へ回転した場合と同じ部材を介して回転力が伝達されて、回転弁27が180度、逆転させられる。これにより、回転弁27の先端部27aがケース9と吐出管13との間を開放し、且つケース9と連結管11との間を閉鎖する。
また、プーリ17の回転力が、中心軸19、リンク機構21を介してピストンロッド23に伝達される。これによりピストンロッド23と共にピストン25が進行して、ケース9内の材料Iを吐出管13の先端から吐出させる。この材料Iはネット15の目を通過して、ネット15の下方に備えられた焼釜Pに落下する。そして、焼釜Pは順次図示しないバーナー装置へ搬送されて、材料Iが焼かれて伊達巻が製造される。
【0023】
上記のように材料Iはケース9へ流入する直前まで、撹拌羽根47によって撹拌、混合されているので、魚のすり身Fが鶏卵Eに均一に分散された状態で、焼釜Pに入れられて、そのままの状態で焼かれることになる。従って、材料Iを焼いた後に伊達巻の内部に小さな割れ目が入るのを完全に防止でき、しかも表面の色も均一になり、色むらが生じるのを防ぐことができる。従って、伊達巻の商品価値を高く保つことが可能となる。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、本発明の固体が混合された液状体の充填装置を伊達巻の材料を充填する場合に適用したが、本発明はこれに限定されず他の食品材料、例えば具が混合されたスープ等の他の食品、その他の食品以外の工業製品の材料等を充填する場合に適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の固体が混合された液状体の充填装置は食品等の充填装置の製造業において産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0026】
1…固体が混合された液状体の充填装置 3…ホッパ
5…送出管 7…ポンプ 9…ケース
10…ロッド挿通穴 11…連結管 12…閉鎖板
13…吐出管 14…軸挿通穴 15…ネット
16…ギア収容部 17…プーリ 19…中心軸
21…リンク機構 23…ピストンロッド
25…ピストン 27…回転弁 27a…先端部
29…軸 31…傘歯車 33…傘歯車
36…中心軸 37…リンク機構
39…連結ロッド 41…駆動ロッド 43…モータ
45…回転軸 47…撹拌羽根
51…第1平板 52…ボルト 53…第2平板
55、57…混合羽根部材 59…貫通穴
61…送給羽根部材 61a…(送給羽根部材)の下端部
S…送出口の中心軸の延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体が混合された液状体から成る被充填物が収容され下端部に送出口が設けられた収容部と、前記被充填物を所定量ずつ送給する送給手段とを有する固体が混合された液状体の充填装置において、前記収容部の送出口の近傍には前記送出口から送り出される直前の被充填物を撹拌する撹拌羽根が備えられていることを特徴とする液状体の充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載した固体が混合された液状体の充填装置において、撹拌羽根はラジアル方向へ突出する板状の混合羽根部材を有し、前記混合羽根部材には貫通穴が形成されていることを特徴とする液状体の充填装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した固体が混合された液状体の充填装置において、撹拌羽根は、送給羽根部材を有し、前記送給羽根部材は下端部が送出口の中心に対向し、且つ前記下端部の方向へ向かって下がる方向へ傾斜し、しかも送出口の中心軸の延長線を中心とする線対称に形成されていることを特徴とする液状体の充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載した固体が混合された液状体の充填装置において、送給羽根部材は混合羽根部材の下側に備えられていることを特徴とする液状体の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−90583(P2013−90583A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233514(P2011−233514)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(592084624)
【Fターム(参考)】