説明

固体の高充填を強化するための、ポリソルベート等の高濃度の非イオン界面活性剤を含む溶解性フィルム

口腔ケア組成物および方法を説明するものであり、本組成物は、キャリアー中に混入させたフィルムまたは複数のフィルム断片を含む。このフィルムまたは複数のフィルム断片は、比較的高濃度の非イオン界面活性剤を含む。本組成物および方法は、有効性改善のために上記フィルム配合中により多くの活性物質が充填されること、および、製品に必要なフィルムの量を減少させ、同時に、組成物中のフィルムの充填量がより低い場合に匹敵するか又はそれよりも改善された有効性を達成することといった利点を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、口腔およびパーソナルケア組成物に関し、より具体的には、キャリアー中に混入させたフィルムを含む組成物に関しており、ここで該フィルムは、比較的高濃度の例えばポリソルベートのような非イオン界面活性剤を含む。このような組成物としては、例えば、歯みがき剤が挙げられる。高濃度の非イオン界面活性剤は、フィルムの固体充填能力を強化する。
【背景技術】
【0002】
[0002]このような組成物の審美的な魅力は重要であり、さらに、消費者の受け取り方や使い方に有意な効果を有し得る。審美的な作用は、多くの製品の消費者の受け取り方において重要な役割を果たすことがわかっている。このような製品は消費者に十分受け入れられているが、当業界は、これらの製品の審美的な作用、加えて美容的および治療的有用性をさらに改善しようと努めている。実際に、当業界でよく知られているこのような組成物の多くが、1つの特性またはそれより多くの特性が不足している。
【0003】
[0003]例えば口腔ケア組成物、スキンケア組成物およびヘアケア組成物などの健康状態、衛生状態または外観を高めるための組成物は大勢の人々に用いられている。これらの組成物は多種多様の目的のために用いられるが、例えば体の健康状態、衛生状態および外観を高める目的で用いられ、加えて、人間および動物において様々な病気およびその他の状態を予防または治療する目的でも用いられる。
【0004】
[0004]このような組成物の調合物は、数多くの課題を提示する。このような調合物は、目的とする用途に応じて医薬的および/または美容的に許容できるものでなければならない。治療上活性な物質を含む組成物は、活性物質を、過剰な化学分解を回避しながら有効なレベルで送達するものであることが好ましい。加えて美容的な機能性材料を含む組成物は、一般的に消費者によって使用される条件下でこのような機能性材料を例えば口腔、皮膚または毛髪に有効なレベルで送達しなければならない。
【0005】
[0005]治療剤を経口投与するための水溶性フィルムは当業界公知である。さらに、このようなフィルムを、例えばメントールのような呼気をさわやかにする物質を投与するために使用することも当業界でよく知られている。このような呼気をさわやかにする物質および/または医薬活性物質を投与するための既知のフィルムは、一般的に、人間の摂取に適した少なくとも1種の水溶性ポリマー、および、少なくとも1種の水溶性ポリマーの湿潤性を高める化合物で構成されており、この水溶性ポリマーの湿潤性を高める化合物は、典型的には多価アルコール、界面活性剤、および、可塑剤から選択される。例えば米国特許第5,948,430号は(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、口腔に付着して医薬的または美容的な活性成分を放活性成分出することができる単分子層フィルムを説明しており、ここでこのフィルムは、少なくとも1種の水溶性ポリマー;少なくとも1種の多価アルコール、界面活性剤、および、可塑剤からなる群より選択される物質;少なくとも1種の美容的活性または医薬活性を有する成分;および、矯味矯臭剤を含む。
【0006】
[0006]米国特許第5,700,478号(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)は、水溶性ポリマーと水溶性可塑剤とで構成される水溶性の粘着層、および、水溶性ポリマー層を含む、粘膜に覆われた体腔内に物質を制御放出させるための積層型の装置を説明している。この特許は、物質の制御放出または持続放出のために比較的ゆっくり溶解する複数層からなるラミネートを教示している。
【0007】
[0007]米国特許第4,900,552号(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)は、口腔内における活性成分の持続送達および持続送達に適した3層のフィルムを説明している。この3層は、水和可能な粘膜に付着するベース層;非粘着性の貯蔵層;および、ベース層と貯蔵層との間に存在し互いを接着させる水不透過性のバリアを含む。この特許は、物質を持続放出または持続放出させるためにゆっくり崩壊することができるフィルムを開示している。
【0008】
[0008]米国特許第5,047,244号(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)は、無水であるが水和可能なモノリシックな高分子マトリックスを含む治療用の投薬形態を開示しており、ここでこの投薬形態は、アモルファスヒュームドシリカ、加えて治療剤、および、高分子マトリックスに固定されており非粘着性の面の境界となる水不溶性バリア層を含む。この特許は、急速に崩壊することができるフィルムを開示していないが、その代わりに、制御放出性の粘膜に付着するキャリアー系からの治療剤の利用率を改善することができる組成物を考慮している。
【0009】
[0009]米国特許第6,669,929号、および、米国公開特許公報第2003/0053962号(これらそれぞれの開示は、それらの全体を参照により本明細書に組み入れられる)は、口腔ケア組成物において有用なフィルム形成剤を開示している。このようなフィルムは口中で溶解し、機能性成分、典型的には香味物質を放出する。
【0010】
[0010]口腔中で溶解するフィルム中には香味物質、着色剤、およびある種の活性成分が包含されていることが知られている。これらのフィルムは、そのものが呼気をさわやかにするストリップ、歯を白くするためのストリップとして用いられたり、または、口腔ケア組成物中全体にわたり分散されたポリマーフレークとして用いられる。また、歯みがき剤中に亜鉛塩が包含されることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,948,430号
【特許文献2】米国特許第5,700,478号
【特許文献3】米国特許第4,900,552号
【特許文献4】米国特許第5,047,244号
【特許文献5】米国特許第6,669,929号
【特許文献6】米国公開特許公報第2003/0053962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0011]溶解性フィルムは、活性物質やその他のタイプの固体成分を取り込むことができる。しかしながら、フィルムのマトリックスに固体を取り込ませすぎると、マトリックスが包含可能な固体の量が制限されてしまう可能性がある。それにより、フィルムに充填可能な量に応じてバリアを形成することから、製品に用いられるフィルムのコストを高める可能性がある。
【0013】
[0012]従って現在でも、新規の口腔およびパーソナルケア組成物およびそれらの使用方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0013]本発明は、様々な実施態様において、キャリアー中に混入させたフィルムを含む口腔およびパーソナルケア組成物を提供し、ここで本フィルムは、比較的高濃度の非イオン界面活性剤、例えばポリソルベートを含む。一実施態様において、本フィルムは、複数のフィルム断片として提供される。様々な実施態様において、本発明は、キャリアー中に複数の薄板状断片を含む組成物を提供する。
【0015】
[0014]一実施態様において、本口腔ケア組成物は、キャリアー中に混入させたフィルムを含み、ここで上記フィルムは、非イオン界面活性剤をフィルムの5質量%〜フィルムの20質量%の量で含む。フィルムの配合中の固体充填量を高めると、優れた効能を送達することが求められている面積あたりの活性物質の送達量も増加する。
【0016】
[0015]また本実施態様は、上記フィルムの製造方法、および、それらを必要とする人間または動物の被験者に活性化合物を投与する方法も提供し、本方法は、被験者に、キャリアー中に混入させたフィルムを含む口腔ケア組成物を局所的に適用することを含み、ここで上記フィルムは、非イオン界面活性剤をフィルムの5質量%〜フィルムの20質量%の量で含む。様々な方法において、このような方法は、局所的な適用の後に上記フィルムを崩壊させることをさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
[0016]本発明の組成物および方法は、当業界でよく知られているもののなかでも、組成物および方法に利点を提供するものである。このような利点としては、消費者の受容性の向上、利用可能な活性物質量の改善、活性物質の存在によって引き起こされる副作用の減少、見た目のよさの向上、活性物質またはその他の機能性材料に関する安定性の改善、および、制御された活性物質送達のうち1つまたはそれより多くが挙げられる。さらなる利点および本発明の実施態様は、本明細書に示した説明から明白である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0017]本発明は、人間またはその他の被検動物に投与または使用するための組成物および方法を提供する。従って、本発明で使用され得る具体的な材料および組成物は、好ましくは医薬的または美容的に許容できるものである。本明細書で用いられる、このような「医薬的に許容される」または「美容的に許容できる」構成要素は、適度なベネフィット・リスク比を有し、過剰な副作用(例えば毒性、渋味、刺激性およびアレルギー性応答)を生じることなく、望ましい治療的、感覚的、装飾的または美容的な利点を提供するために人間および/または動物との使用に適しているものである。本明細書に示した発明の詳細な説明を読み取り解釈する際に、以下の定義および非限定的な指針を考慮に入れなければならない。
【0019】
[0018]本明細書において用いられる見出し(例えば「導入」および「要約」)は、単に発明の開示に記載された項目の一般的な構成を示すためのものであり、発明の開示またはそれらのあらゆる形態を限定することは目的としない。具体的に言えば、「導入」で開示された主題は、本発明の範囲内の技術の形態を含んでいてもよく、従来技術の詳述を構成していなくてもよい。「要約」で開示された主題は、本発明の全範囲のすべてまたはそれらのあらゆる実施態様を網羅した完全な開示ではない。
【0020】
[0019]本明細書において参考文献が引用されていても、これらの参考文献が従来技術であるか、または、本明細書において開示された発明の特許性に何らかの関連性を有することを認めることにはならない。本明細書の詳細な説明の段落に引用された全ての参考文献は、参照によりその全体を本発明に包含させる。
【0021】
[0020]詳細な説明および具体的な例は、本発明の実施態様を示すとともに単なる説明を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することは目的としない。述べられた特徴を有する複数の実施態様の詳述は、追加の特徴を有するその他の実施態様、または、述べられた特徴の異なる組み合わせを包含するその他の実施態様を排除することは目的としない。本発明の組成物および方法をどのように製造、使用および実施するかを説明するために、具体的な例を示したが、これは、すでになされたことを説明すると明記されていない限り(すなわち過去形を用いて)、本発明の所定の実施態様がすでに行われているか、または未だ行われていないかを表示するものではない。
【0022】
[0021]本明細書に用いる用語「好ましい」および「好ましくは」は、所定の環境下で所定の利点を提供する本発明の実施態様を意味する。しかしながら、同じ環境またはその他の環境下で、その他の実施態様が好ましい場合もある。さらにその上、1またはそれより多くの好ましい実施態様が詳述されているが、これは、それ以外の実施態様が有用ではないことを意味するものではなく、本発明の範囲からその他の実施態様を排除することは目的としない。本明細書で用いる「〜を含む(include)」という言葉およびそれが変化した形は非限定的であり、列挙されたものの詳述によって、本発明の材料、組成物、装置および方法において有用であり得るその他の似たようなものが排除されないこととする。同様に、既知の材料および方法の所定の利点または不利益の説明は、それらが排除されるように実施態様の範囲を限定すること目的としない。実際に、本明細書において考察された不利益を被らない限り、所定の実施態様に1またはそれより多くの既知の材料または方法が含まれていてもよい。
【0023】
[0022]本明細書で用いられる用語「〜を含む(comprising)」は、最終結果に影響を与えないその他の工程およびその他の構成要素が利用されていてもよいことを意味する。用語「〜を含む(comprising)」は、「〜からなる(consisting of)」および「実質的に〜からなる(consisting essentially of)」という表現を包含する。本明細書で用いられる「有効量」という表現は、よい利点、好ましくは口内の健康状態の利点を有意に誘導するのに十分な程度だが、重篤な副作用が回避される程度に低い化合物または組成物の量を意味し、すなわち、当業界において通常の技術を有するものの正しい判断の範囲内で、適度なベネフィット・リスク比を提供するような化合物または組成物の量を意味する。例えば「the」、「a」、または「an」のような単数形を示す語の使用は、単数の構成要素の使用のみに限定するのではなく、複数の構成要素も含み得ることとする。
【0024】
[0023]様々な実施態様の口腔ケア組成物は、好ましくは、歯みがき剤の形態でである。用語「歯みがき剤」は、この説明で用いられるように、ペースト、ゲルまたは液状の調合物を意味する。歯みがき剤はどのような望ましい形態であってもよく、例えば深い縞模様のある形態、表面に縞模様のある形態、多層の形態、ペーストの周りにゲルを有する形態、または、それらのあらゆる組み合わせの形態であってもよい。本口腔ケア組成物に含まれるフィルムは、どのような望ましい形状または構造であってもよく、例えば、複数の小さいストリップ、または、1つの連続したストリップであってもよい。
【0025】
[0024]この説明で用いられる「キャリアー」または「水性キャリアー」という表現は、本明細書において使用するための安全で有効なあらゆる材料を意味する。このような材料としては、例えば、増粘剤、潤滑剤、イオン性活性成分、緩衝剤、歯石防止剤、研磨つや出し材(abrasive polishing material)、過酸化物源、アルカリ金属の炭酸水素塩、界面活性剤、二酸化チタン、着色剤、風味相乗剤系、甘味剤、抗菌剤、薬草系の物質、知覚鈍麻剤、染色性の還元剤(stain reducing agent)、および、それらの混合物が挙げられる。
【0026】
[0025]本明細書において用いられる全てのパーセンテージおよび比率は、特に他の規定がない限り、口腔ケア組成物の質量に基づく。全ての測定は、特に他の規定がない限り、25℃でなされる。
【0027】
[0026]本発明は、キャリアー中に混入させたフィルムを含む口腔ケアまたはパーソナルケア組成物を提供し、ここで上記フィルムは、比較的高濃度の非イオン界面活性剤、例えばポリソルベートを含む。本明細書で述べられるように、「口腔ケアまたはパーソナルケア組成物」は、例えばあらゆる生理学的な症状または障害の予防または治療など、被験者の健康状態、衛生状態または外観を強化し、感覚的、装飾的または美容的な利点を提供するための、人間または動物の被験者への投与または適用に適したあらゆる組成物およびそれらの組み合わせである。このような組成物としては、本明細書で示されるもののなかでも特に、口腔ケア組成物、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、局所用医薬組成物、および、眼用組成物が挙げられる。本明細書で用いられる「口腔ケア組成物」は、例えば口腔ケア、口腔の衛生状態または口腔の見た目などを使用の目的とする組成物、または、例えば口腔への投与などを使用方法の目的とする組成物を意味する。
【0028】
[0027]本発明の実施態様は、フィルムを含む。本明細書で述べられる「フィルム」は、実質的に薄板状の構造を有する材料である。「薄板状の」構造は、3次元で示される構造の厚さ(例えばz方向)よりも実質的に大きい1次元または2次元で示されるサイズ(例えばx寸法およびy寸法)を有する、または有する可能性がある。薄板状の構造としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、実質的に平坦な形状、多層または薄片状の形状であるものが挙げられる。一実施態様において、薄板状の構造は、実質的に平坦であり、x方向およびy方向の両方が実質的にz方向よりも大きいサイズを有する。その他の実施態様において、薄板状の構造は、平坦ではない。一実施態様において、この意図を有するフィルムは、実質的に表面が平坦のように見える実質的に連続した表面を含むが、いくつかの実施態様において、このようなフィルムは変形している。このような実施態様において、上記フィルムは、例えば滑らかな曲線状の表面を有する形状など多数の形状のうちどのような形状であってもよい。
【0029】
[0028]フィルムは、本明細書において有用なもののなかでも特に、硬質のフィルムまたは可塑性のフィルムが挙げられ、これらは、例えばフィルム形成材料、粘土、ワックス、および、それらの混合物からなる群より選択される材料などの様々な材料のいずれかを含む。一実施態様において、上記フィルムは、フィルム形成ポリマーを含む。フィルム形成ポリマーとしては、本明細書において有用なもののなかでも特に、水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、水不溶性ポリマー、および、それらの混合物からなる群より選択される材料が挙げられる。
【0030】
[0029]いくつかの実施態様において、フィルムは、少なくとも1種のフィルム形成材料を含む。所定の実施態様において、フィルム形成材料は、ポリマーである。ここで有用なポリマーとしては、親水性のポリマー、および、疎水性ポリマーが挙げられる。所定の実施態様において、上記ポリマーは、水溶性ポリマーである。いくつかの実施態様において、上記ポリマーは、水溶性で壊れやすいポリマーであり、例えば歯磨き中などの使用中に溶解するポリマーである。この溶解は、例えばせん断および/または高濃度の水を含む溶媒(例えば唾液)への曝露の結果として起こる可能性がある。いくつかの実施態様において、上記ポリマーは不溶性であるが、分散性であることによって水中で壊れやすいものであり、すなわちこのようなポリマーは、例えばせん断の結果として小さい断片に崩壊する。いくつかの実施態様において、ポリマーは、不溶性であるが、膨潤性である。ポリマーが使用中に崩壊しないような形態において、このようなポリマーは、撥水性ポリマー、または、水中で安定な親水性ポリマーであってもよく、例えばある種のセルロース(例えば紙)である。いくつかの実施態様において、フィルム断片は、フィルム形成材料の混合物を含んでいてもよい。
【0031】
[0030]水溶性ポリマーとしては、本明細書において有用なもののなかでも特に、セルロースエーテル、メタクリラート、ポリビニルピロリドン、および、それらの混合物が挙げられる。一実施態様において、上記ポリマーは、セルロースエーテルであり、例えば、ヒドロキシアルキルセルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および、それらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。その他のポリマーとしては、本明細書において有用なもののなかでも特に、ポリビニルピロリドン、架橋されたポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレートポリマー、架橋されたポリアクリレートポリマー、架橋されたポリアクリル酸(例えば、カーボポール(Carbopol(R)))、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル−マレイン酸コポリマー(例えば、ガントレッズ(Gantrez(R)))、および、カルボキシビニルポリマー;天然ゴム類、例えばアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンゴム、アラビアゴム(gum acacia)、アラビアゴム、グアールガム、プルラン、寒天、キチン、キトサン、ペクチン、カラヤゴム、ゼイン、ホルデイン、グリアジン、ローカストビーンガム、トラガカントおよびその他の多糖類;スターチ、例えばマルトデキストリン、アミロース、高アミローススターチ、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、米デンプン、タピオカスターチ、エンドウマメのデンプン、サツマイモのデンプン、オオムギのデンプン、コムギデンプン、ワキシーコーンスターチ(waxy corn starch)、加工デンプン(例えばヒドロキシプロピル化高アミローススターチ)、デキストリン、レバン、エルシナン(elsinan)、および、グルテン;および、タンパク質、例えばコラーゲン、乳清タンパク質を単離したもの、カゼイン、乳タンパク質、大豆タンパク質、および、ゼラチンが挙げられる。
【0032】
[0031]水分散性の膨潤性ポリマーの非限定的な例としては、加工デンプン、アルギン酸エステル、2価または多価イオンのアルギン酸塩が挙げられる。水不溶性ポリマーの非限定的な例としては、少なくとも1種の有機溶媒に溶解可能なポリマー、例えば酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニルホモポリマー、エチルセルロース、ブチルセルロース、イソプロピルセルロース、セラック、シリコーンポリマー(例えばジメチルシリコン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、酢酸フタル酸セルロース、および、天然または合成ゴム;有機溶媒に溶解しないポリマー、例えばセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、および、ナイロンが挙げられる。
【0033】
[0032]様々な実施態様において有用なフィルムは、米国特許第6,669,929号および米国公開特許公報第2003/0053962号(これらの開示は、それらの全体を参照により本明細書に組み入れられる)で説明されている方法に従って製造することができる。上記フィルム中に包含される非イオン界面活性剤は、当業界でよく知られている技術を用いてフィルム製造中に上記フィルムに包含させることができる。当業界において通常の技術を有するものは、本明細書で示された指針を用いて高濃度の非イオン界面活性剤を含む上記フィルムを製造することができるものと予想される。
【0034】
[0033]多くの溶解性フィルムに用いられている高分子マトリックスは、所定の実施態様において好ましいが、それが保持できる固体量には限界がある。これが、上記フィルムに充填可能な量についての障壁となっており、さらに、製品に用いられるフィルムのコストを高める可能性がある。固体の高充填を保持するために、上記フィルムのマトリックスを壊さないようにして所定の配合の変更を行うこともできる。本発明者等は、非イオン界面活性剤の量を多くすることによって、従来可能であった量よりも多くの活性物質を上記フィルムに充填することができることを見出した。より高濃度の活性物質を有するフィルムは、送達しようとする面積あたりより多くの活性物質を付与し、さらに、このようなより多い量を送達するのに必要なフィルムの量も少なくする。改善されたより高充填のフィルムを配合させると、表面上により多くの量が堆積され優れた有効性をもたらす。また、より多くの活性物質の充填が保持されるように上記フィルム調合物を改善することによって、製品に要求されるフィルムの総量を減らすことができ、同時に比較的低充填のフィルムを用いた場合と同じ有効性を達成することができる。いかなる作用の理論に縛られることは望まないが、本発明者等は、非イオン界面活性剤がその他の成分を溶媒に溶解させるように作用し、乳化しようとする物質の表面張力を減少させることによってエマルジョンの形成に役立つと考察している。加えて、非イオン界面活性剤は、アニオン性およびカチオン性界面活性剤を用いた場合に干渉する可能性があるような配合中のその他の成分に干渉しない。そのようなものとして、多くの様々な活性成分が非イオン界面活性剤を含む調合物に用いられる可能性がある。
【0035】
[0034]好ましい非イオン界面活性剤としては、ポリソルベート、例えばポリソルベート20、40、60、80、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特に好ましい実施態様としては、ポリソルベート80が挙げられる。フィルムの崩壊を促進するためには、溶解性フィルム調合物に従来用いられているポリソルベートの典型的な濃度は、約2%(乾燥質量)である。発明者等は、上記フィルム配合中の非イオン界面活性剤の濃度を高めることによってより高い固体充填を計画することができ、一方で崩壊速度は、固体充填によって影響をうけないことを見出した。フィルム中に含まれる非イオン界面活性剤の量は、フィルムの5質量%〜フィルムの20質量%の範囲で様々であってよく、好ましくはフィルムの10質量%〜フィルムの18質量%、最も好ましくはフィルムの14質量%である。
【0036】
[0035]上記フィルム中に含まれる固体の量は、フィルムの20質量%〜65質量%の範囲で様々であってよく、好ましくはフィルムの30質量%〜55質量%、最も好ましくはフィルムの45質量%である。また経口用組成物に含まれるフィルムの量も、0.1質量%〜5.0質量%の範囲で様々であってよく、より好ましくは0.25質量%〜3.0質量%、最も好ましくは0.5質量%〜2.0質量%である。従って、経口用組成物全体で用いられる固体の量は、組成物の総質量に基づいて0.02%〜3.25%の範囲で様々であってよく、典型的には口腔ケア組成物の総質量に基づいて0.08%〜1.5%である。
【0037】
[0036]様々な実施態様において、本口腔ケア組成物は、キャリアー中に混入させた複数の薄板状フィルム断片を含む。一実施態様において、本組成物はフィルムを含み、ここで上記フィルムは、上記フィルム材料の薄板状断片を含む。一実施態様において、本組成物は、その中に複数の薄板状断片が分配されたキャリアーを含み、ここで上記断片は、マトリックス、および、治療活性物質を含む。このような実施態様の一つにおいて、上記マトリックスは、フィルムを含む。このような断片は、例えば半固体または固体の不連続な部分、断片、粒子、フレーク、または、それらの組み合わせなど様々な形状または形態のどれをとってもよい。様々な実施態様において、上記フィルムは、第一の複数の断片、および、第二の複数の断片を含み、ここで第一の複数の断片は、組成または外観の点で第二の複数の断片とは異なる。このような組成または外観の差は、断片の組成(例えば、異なるフィルム成分、異なる機能性材料、異なる配合の着色剤)、異なる外観(例えば、形状、色、質感、屈折率、反射率)、または、それらの組み合わせといったあらゆる観点における差であってもよい。
【0038】
[0037]様々な実施態様において、上記断片は、キャリアーに対して知覚可能な違いを示す。知覚可能な違いは、感覚的な違いであってもよく、例えば視覚的な違い、触覚的な違い、味覚的な違い、または、嗅覚的な違いである。ある種の構成において、視覚的な違いは色の違いであってもよく、または、屈折率または反射率における差であってもよい。ある種の構成において、色の違いは、異なる組成成分を含む1種またはそれより多くの着色剤によって付与することができる。様々な実施態様において、本発明は、キャリアー中に複数のフィルム断片を含む組成物を提供するものであり、ここで上記断片は、視覚的に識別することができる。本明細書で述べられる「視覚的に識別することができる」は、断片に混入させたキャリアーに対して、断片に異なる物理的な外観を付与する1またはそれより多くの断片の特徴、好ましくは目で見てわかる特徴を意味する。このような特徴としては、色、不透明度、屈折率、反射率、サイズ、形状、および、それらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
[0038]様々な実施態様において、上記断片は、ランダムではない形状を有する。一実施態様において、「ランダムではない」形状は、断片に特定の形状が付与されるような成形、切断またはその他の成形工程といった製造工程によって形成される形状である。このような実施態様において、ランダムではない形状は、単なる材料の沈殿または研削によって形成されるような形状とは区別される。一実施態様において、「ランダムではない」形状は、「繰り返し」の形状であり、ここで本組成物は、実質的に同じ形状を有する複数の断片を含む。このような繰り返しの形状は、様々な形態のうちどのような形状であってもよく、様々な審美的または機能的な基準に基づいて選択することができる。所定の実施態様において、フィルム断片の形状は、認識可能な形状であってもよい。所定の実施態様において、フィルム断片は、ランダムではない形状を含んでいてもよい。このような形状としては、単純な幾何学的形状、例えば多角形、および、楕円形、例えば三角形、四辺形(例えば四角形、長方形、ひし形)、五角形、六角形、長円形、および、円形が挙げられる。一実施態様において、繰り返しの形状は、四角形である。その他の実施態様において、繰り返しの形状は、図形または生物もしくは無生物を表した形状を含み、例えば、星、ハート、宝石、花、木、クローバー、アルファベット文字、数字、動物、人、および、顔が挙げられる。様々な実施態様において、本組成物は、単一種の繰り返しの形状を含む。その他の実施態様において、本組成物は、複数種の繰り返しの形状を有する複数の断片を含む。一実施態様において、本発明の組成物は、第一の繰り返しの形状を有する複数の第一のフィルム断片、および、第二の繰り返しの形状を有する複数の第二のフィルム断片を含み、ここで第一の繰り返しの形状は、第二の繰り返しの形状とは異なっている。
【0040】
[0039]様々な実施態様において、上記断片のサイズは重要ではなく、例えば製造上の利便性、外観への影響、表面積、組成物における質感への影響、および、それらの組み合わせなどの様々な基準のいずれかに従って決定してもよい。いくつかの実施態様において、上記フィルム断片は、最長寸法で1インチ(25.4mm)以下の長さであってもよい。本明細書で述べられる「長さ寸法」は、断片の「厚さ」または最も短い寸法に実質的に直角の方向(すなわちz方向)における、断片の長さまたは幅の寸法(すなわち、上記断片が平坦な形状であるかまたは上記断片を平坦な形状に変形させた場合のx方向およびy方向における寸法)である。複数の断片を含む様々な実施態様において、上記断片は、様々な要因に応じて様々なサイズで存在する可能性があるものとし、このような要因としては、ランダムなサイズの変動、製造上の公差、および、篩い分けもしくは類似の手段による上記断片の計画的なサイジングまたは混合が挙げられる。本明細書で述べられるサイズは、所定の複数の断片において、断片の平均サイズを意味する。
【0041】
[0040]様々な実施態様において、上記断片は、長さ寸法で0.2mm〜15mmである。様々な実施態様において、上記断片の長さ寸法は、0.2mm〜10mm、0.5mm〜10mm、0.8mm〜8mm、0.9mm〜5mm、1.0mm〜5mm、または、1.5mm〜2.5mmである。いくつかの実施態様において、上記断片の長さ寸法は、少なくとも3mmであり、6mm〜13mmであってもよい。所定の実施態様において、複数のフィルム断片は、最長寸法で600マイクロメートルより大きい。所定の実施態様において、複数のフィルム断片は、最長寸法で1ミリメートルより大きい。
【0042】
[0041]様々な実施態様において、本発明の断片は、1ミル(1インチの1000分の1、25.4マイクロメートル)〜3ミル(76.2マイクロメートル)の厚さを有する。様々な実施態様において、上記断片は、4ミル未満または100マイクロメートル未満の厚さ、および、0.1ミル(2.54マイクロメートル)〜10ミル(254マイクロメートル)、0.5ミル(12.7マイクロメートル)〜5ミル(127マイクロメートル)、1.4ミル(35.6マイクロメートル)〜2.0ミル(50.8マイクロメートル)の厚さを有する。
【0043】
[0042]いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、少なくとも5:1のアスペクト比を有する断片を含む。本明細書で述べられる断片の「アスペクト比」は、物体を囲むことができる最も小さい仮想の球体の直径の、完全に物体の内側であり物体の表面に接することができる最も大きい仮想の球体の直径に対する比率である。例えば球体のアスペクト比は、1:1であり;その他の例において、長さが2インチ(50.8mm)および直径が1/4インチ(6.35mm)の円柱のアスペクト比は、8:1をわずかに超える値であり;さらにその他の例において、厚さが1ミル(25.4マイクロメートル)、長さが1インチ(25.4mm)および幅が1インチ(25.4mm)の本発明のフィルム断片は、1414:1のアスペクト比を有する。
【0044】
[0043]いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、少なくとも10:1のアスペクト比を有する断片を含む。様々な実施態様において、上記断片は、5:1〜10,000:1、5:1〜500:1、10:1〜1,000:1、10:1〜100:1、20:1〜100:1、または、25:1〜35:1のアスペクト比を有する。
【0045】
[0044]様々な実施態様において、上記フィルムは、フィルム、組成物またはその両方を着色する製剤着色剤を含む。様々な実施態様において、上記フィルム断片はキャリアーと相違しており、白色、黒色であるか、または、バックグラウンドとなるキャリアーと相違して見える、もしくは対照的に見えるあらゆる色である。製剤着色剤としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、非毒性の水溶性色素または顔料、例えば金属酸化物の「レーキ」が挙げられる。所定の実施態様において、着色剤は、監督官庁によって食物または薬物への混合が承認されているものであり、例えば米国での使用に関して食品医薬品局(FDA)によって承認されたFD&CまたはD&C顔料および色素が挙げられる。着色剤としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、FD&C赤色3号(テトラヨードフルオレセインのナトリウム塩)、食品用赤色17号、6−ヒドロキシ−5−{(2−メトキシ−5−メチル−4−スルホフェニル)アゾ}−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩、食品用黄色13号、キノフタロンまたは2−(2−キノリル)インダンジオンのモノおよびジスルホン酸の混合物のナトリウム塩、FD&C黄色5号(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシピラゾール−3カルボン酸のナトリウム塩)、FD&C黄色6号(p−スルホフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホネートのナトリウム塩)、FD&C緑色3号(4−{[4−(N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウムフェニル)−メチレン}−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−Δ−3,5−シクロヘキサジエンイミン]の二ナトリウム塩)、FD&C青色1号(ジベンジルジエチル−ジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸無水物の二ナトリウム塩)、FD&C青色2号(二スルホン酸ナトリウムインジゴチン)、および、それらの様々な比率での混合物が挙げられる。一実施態様において、着色剤は、水不溶性の無機顔料を含み、例えば二酸化チタン、酸化クロムグリーン、フタロシアニングリーン、群青、酸化第二鉄、または、水不溶性のレーキ色素が挙げられる。いくつかの実施態様において、レーキ色素としては、FD&C色素、例えばFD&C緑色1号レーキ、FD&C青色2号レーキ、D&C赤色30号レーキ、または、FD&C黄色15号レーキのカルシウムまたはアルミニウム塩が挙げられる。所定の実施態様において、例えばFD&C青色1号のような水溶性色素は、例えば、ポリエチレンビーズ(例えば、マイクロパウダーズ社(Micropowders, Inc.)から市販されているマイクロブルー・スペクトラビーズ(Microblue Spectrabead))中に見出されるようなポリエチレンのような水不溶性ポリマー中に包含される。所定の実施態様において、上記フィルムは、例えばD&C赤色30号のような色素を含む。所定の実施態様において、白色の着色剤が用いられ、このような着色剤としては、例えば二酸化チタン(TiO)、二酸化チタンで被覆した雲母(例えばティミロン(Timiron))、鉱物、または、粘土が挙げられる。所定の実施態様において、着色剤は、にじまない色素である。様々な実施態様において、上記フィルムは、着色剤を、フィルムの0.5質量%〜20質量%、または、フィルムの1質量%〜15質量%、または、フィルムの3質量%〜12質量%のレベルで含む。一実施態様において、本発明の組成物は、第一の色を含む第一の複数のフィルム断片、および、第二の色を含む第二の複数のフィルム断片を含む。好ましくは、第二の色は、第一の色と異なっている。
【0046】
[0045]様々な実施態様において、本発明のフィルムは、組成物の使用中に崩壊する。その他の実施態様において、上記フィルムは、組成物の使用中に崩壊しない。いくつかの実施態様において、上記フィルムは、治療活性物質などの物質をキャリアーに放出する。本明細書で述べられる「崩壊する」は、元のフィルムと比較して小さいサイズのフィルムまたはフィルム断片が生じるように、フィルムまたは断片材料が物理的に破壊することを意味する。このような破壊は、機械的、化学的または物理化学的な手段を介していてもよい。崩壊は、例えば使用中におけるせん断、研削、または、高温への曝露によって起こる可能性がある。本発明の歯みがき剤の様々な実施態様において、このような崩壊は、組成物を使用する被験者の歯の上で、組成物をブラッシングすることによって起こる。一実施態様において、上記フィルムは、治療活性物質が放出されるように崩壊する。いくつかの実施態様において、フィルム断片は、見た目でわからないような小片に崩壊する可能性がある。いくつかの実施態様において、上記フィルム断片は、崩壊して集合的にコロイドまたはゲルを形成する。
【0047】
[0046]様々な実施態様において、上記フィルムは、治療活性物質を含んでもよい。本明細書で述べられる治療活性物質は、生理学的な障害または状態の予防または治療に有用な物質である。このような障害または状態としては、口腔(歯および歯肉を含む)、皮膚、毛髪および目の障害または状態が挙げられる。具体的な治療活性物質は、好ましくは、要求される組成物の有用性に従って決定される。このような活性物質としては、以下のものが挙げられる。
【0048】
A.抗菌剤、例えばトリクロサン、塩化セチルピリジニウム、臭化ドミフェン、第四アンモニウム塩、サンギナリン、フッ化物、アレキシジン、オクテニジン(octonidine)、EDTA、エッセンシャルオイル、例えばチモール、サリチル酸メチル、オイカリプトール、およびメントール、ならびに、亜鉛化合物、およびそれと同種のもの、
B.非ステロイド系抗炎症薬、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセン、トルメチンナトリウム、インドメタシン、およびそれと同種のもの、
C.鎮咳薬、例えばベンゾナテート、エジシル酸カラミフェン、メントール、臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸クロフェジアノール、およびそれと同種のもの、
D.うっ血除去剤、例えば塩酸プソイドエフェドリン、フェニレフリン(phenylepherine)、フェニルプロパノールアミン、硫酸プソイドエフェドリン、およびそれと同種のもの、
E.抗ヒスタミン、例えばマレイン酸ブロムフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸デキスクロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、マレイン酸アザタジン、クエン酸ジフェンヒドラミン、コハク酸ドキシラミン、塩酸プロメタジン、マレイン酸ピリラミン、クエン酸トリペレナミン、塩酸トリプロリジン、アクリバスチン、ロラタジン、ブロムフェニラミン、デキスブロムフェニラミン、およびそれと同種のもの、
F.去痰薬、例えばグアイフェネシン、吐根、ヨウ化カリウム、テルピン水和物、およびそれと同種のもの、
G.下痢止め剤、例えばロペラミド、およびそれと同種のもの、
H.H−アンタゴニスト、例えばファモチジン、ラニチジン、およびそれと同種のもの;および、
I.プロトンポンプ阻害薬、例えばオメプラゾール、ランソプラゾール、およびそれと同種のもの、
J.一般的な非選択的な中枢神経抑制薬、例えば脂肪族アルコール、バルビツール酸誘導体、およびそれと同種のもの、
K.一般的な非選択的な中枢神経刺激薬、例えばカフェイン、ニコチン、ストリキニーネ、ピクロトキシン、ペンチレンテトラゾール、およびそれと同種のもの、
L.選択的に中枢神経の機能を改変する薬物、例えばフェニルヒダントイン、フェノバルビタール、プリミドン、カルバマゼピン、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、トリメタジオン、ジアゼパム、ベンゾジアゼピン、フェナセミド、フェネツリッド、アセタゾールアミド、スルチアム、臭化物、およびそれと同種のもの、
M.パーキンソン病治療薬、例えばレボドパ、アマンタジン、およびそれと同種のもの、
N.麻薬性鎮痛薬、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、メトポン、オキシモルホン、レボルファノール、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン(xycodone)、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、およびそれと同種のもの、
O.解熱鎮痛薬、例えばサリチル酸塩、フェニルブタゾン、インドメタシン、フェナセチン、およびそれと同種のもの、および、
P.精神薬理学的な薬物、例えばクロルプロマジン、メトトリメプラジン、ハロペリドール、クロザピン、レセルピン、イミプラミン、トラニルシプロミン、フェネルジン、リチウム、およびそれと同種のもの。
【0049】
上記フィルム中に用いることができる医薬品の量は、有効量の医薬品を提供するのに必要な用量によって様々であってよい。
[0047]様々な実施態様において、有用な治療活性物質としては、齲歯予防薬、歯石予防薬、抗プラーク性の物質、歯根膜活性物質、呼気をさわやかにする物質、口臭予防薬(malodour control agent)、ホワイトニング剤、抗菌剤、ステロイド、抗炎症薬、ビタミン、タンパク質、コンディショニング剤、モイスチャライザー、制汗活性物質、消臭活性物質、麻酔薬、および、それらの混合物が挙げられる。
【0050】
[0048]所定の口腔ケアの実施態様において、上記フィルムまたは口腔ケア組成物は、口腔ケアに関する障害または状態の予防または治療に有用な口腔ケアの活性物質を含んでもよい。口腔ケアの活性物質としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、剥離剤、齲歯予防薬、歯石予防薬、抗プラーク性の物質、歯根膜活性物質、呼気をさわやかにする物質、口臭予防薬、歯の減感剤、唾液分泌促進剤(salivary stimulant)、ホワイトニング剤、および、それらの組み合わせが挙げられる。このような活性物質としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、Leung等の米国特許第6,596,298号で説明されたものが挙げられる。
【0051】
[0049]歯石予防薬としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、ピロリン酸のジアルカリまたはテトラアルカリ金属塩、例えばNa、K、Na、Na、および、K;長鎖ポリリン酸塩、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム;および、環状リン酸塩、例えばトリメタリン酸ナトリウムが挙げられる。ある種の構成において、ポリリン酸塩は、例えば、White, Jrの米国特許第6,241,974号で開示された、ベータ相のピロリン酸カルシウムである。いくつかの実施態様において、上記フィルムは、歯石防止剤をフィルムの15〜20質量%のレベルで含む。
【0052】
[0050]ここで有用な口臭を減らす物質としては、硫黄を沈殿させる物質が挙げられる。このような硫黄を沈殿させる物質としては、金属塩が挙げられ、例えば銅塩、または、亜鉛塩である。このような塩としては、銅グルコン酸塩、クエン酸亜鉛、および、グルコン亜鉛が挙げられる。これらの亜鉛塩は、フィルム中に含まれる亜鉛化合物と組み合わせて用いてもよいし、または、それに加えて用いてもよい。様々な実施態様において、上記フィルムは、硫黄を沈殿させる物質を、フィルムの0.01〜30質量%、フィルムの2質量%〜2.5質量%、または、フィルムの10質量%〜20質量%のレベルで含む。
【0053】
[0051]所定の実施態様において、上記フィルムおよび/または経口用組成物は、唾液分泌促進剤(「サクレント(succulent)」)を含んでいてもよい。このような物質としては、Kleinberg等の米国特許第4,820,506号で開示されたものが挙げられる。ある種の構成において、唾液分泌促進剤としては、食用の酸が挙げられ、例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸、および、酒石酸である。様々な実施態様において、上記フィルムは、唾液分泌促進剤を、フィルムの0.01〜12質量%、フィルムの1質量%〜10質量%、または、フィルムの2.5質量%〜6質量%のレベルで含む。いくつかの実施態様において、唾液分泌促進剤は、口内乾燥症の改善に用いられる可能性がある。
【0054】
[0052]所定の口腔ケアの実施態様において、上記フィルムは、その他の活性物質を含み、このような活性物質としては、例えば、抗菌剤、例えばモクレン属植物の抽出物、トリクロサン、グレープシード抽出物、チモール、サリチル酸メチル、オイカリプトール、メントール、ホップの酸、塩化セチルピリジニウム、(例えばCPC/Zn、および、CPC+酵素)、および、ウスニン酸;抗炎症薬、例えば呼気をさわやかにする物質(例えばグルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛、および、アルファイオノン);歯の知覚鈍麻剤、例えば硝酸カリウム、知覚鈍麻作用のあるポリマー、および、知覚鈍麻作用のある無機質;抗炎症薬、例えばモクレン属の植物の抽出物、ウルソル酸;アロエおよびクランベリー抽出物;ビタミン、例えばパンテオン、パルミチン酸レチニル、葉酸、酢酸トコフェロール、および、ビタミンA;薬草系の物質、または、薬草の抽出物、例えばローズマリー、オレガノ、カモミラ・レクティタ(chamomilla recutita)、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、サルビヤ(Salvia officinalis)、ミルラ(Orcommiphora and myrrha);タンパク質、例えば乳タンパク質、および、酵素、例えば過酸化物生産酵素、アミラーゼ、プラークを崩壊させる物質、例えばパパイン、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、および、「次世代」の酵素;ホワイトニング剤、例えば過酸化水素、過酸化尿素およびリン酸塩;薬物、例えばアスピリン(アセチルサリチル酸)、カフェイン、および、ベンゾカイン;プロバイオティクス;剥離剤、例えばシリカ(高精製シリカ(high cleaning silica)も含む);齲歯予防薬、例えば第一スズ塩(例えば、フッ化スズ)、または、フッ化アミノ;一酸化窒素合成酵素阻害剤、例えばグアニジノエチルジスルフィド;カルシウム;付着防止成分、例えばポリウミルホスホン酸(polyumylphosphonic acid);保存剤、例えばソルブロール(Solbrol(R))(バイエル・ケミカルズ社(Bayer Chemicals AG));シリコーン;クロロフィル化合物、抗白板症薬、例えばベータ−カロチン;抗酸化剤、例えばビタミンE;および、それらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施態様において、上記フィルムは、このような活性物質を、フィルムの0.01質量%〜30質量%、フィルムの2質量%〜25質量%、または、フィルムの10質量%〜20質量%の濃度で含む。
【0055】
[0053]所定の実施態様の経口用組成物は、亜鉛イオン源を提供する亜鉛化合物をフィルム中に含む。亜鉛化合物は、無機または有機対イオンを含む、可溶性または難溶性の亜鉛化合物であってもよい。例として、亜鉛のフッ化物、塩化物、塩化フッ化物、酢酸塩、ヘキサフルオロジルコン酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、グリシナート、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、および、酸化物が挙げられる。好ましくは、亜鉛化合物は、酸化亜鉛であり、トリクロサンのような従来の抗菌剤の代わりに用いられる。
【0056】
[0054]亜鉛イオンは、歯みがき剤組成物中のフィルムに有効量で存在する亜鉛化合物から誘導される。亜鉛イオンの有効量は、少なくとも1000ppmの亜鉛イオン、好ましくは2,000ppm〜15,000ppmと定義される。亜鉛イオンは、より好ましくは3,000ppm〜13,000ppm、さらにより好ましくは4,000ppm〜10,000ppmの量で存在する。これは、歯の表面に送達するための組成物中に存在する亜鉛イオンの総量である。
【0057】
[0055]亜鉛イオン源として役立つ適切な亜鉛化合物の例は、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、および、米国特許第4,022,880号で列挙されたその他の塩である。
【0058】
[0056]所定の実施態様において、上記フィルムおよび/または口腔ケア組成物は、保存剤を含む。保存剤は、フィルムの0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%の量で添加することができる。保存剤の非限定的な例としては、安息香酸ナトリウム、および、ソルビン酸カリウムが挙げられる。
【0059】
[0057]所定の実施態様において、歯みがき剤またはその他の組成物中に懸濁した上記フィルムマトリックス中に治療活性物質を包含させることで、これらの物質を組成物中に存在する反応性の活性成分との相互作用から隔離し、そうすることによって、製造および貯蔵中は、これらの物質が反応性の組成成分から実質的に離れた状態を維持するが、そのあと組成物が使用される際には、フィルムマトリックスから放出されるようになる。隔離は、治療活性物質とキャリアー材料中に存在するその他の構成要素との間に起こり得る副作用を回避するだけでなく、治療活性物質の溶解と活性物質の早すぎる放出も回避する。
【0060】
[0058]本発明の組成物は、中にフィルムまたは断片を混入させるキャリアーを含む。本明細書で述べられる「キャリアー」は、フィルムを混入させることができ、本組成物が投与または適用される人間または動物の被験者への投与または適用に適したあらゆる材料または組成物である。本明細書で述べられる「混入」は、キャリアー中にフィルムを埋め込むこと、または、懸濁することを意味する。複数の断片を含む様々な実施態様において、このような断片は、キャリアー中に断片を埋め込むこと、懸濁すること、分散すること、または、その他の方法で分配させることによって混入させることもできる。様々な実施態様において、上記断片は、キャリアー全体にわたり実質的に均一に分配される。その他の実施態様において、上記断片は、キャリアー中に均一に分配されない。所定の実施態様において、複数のフィルム断片は、キャリアー内で実質的に等方的に分配される。キャリアー中に分散または懸濁された複数のフィルム断片を含む歯みがき剤組成物は、コルゲート・パルモリーブ社(Colgate-Palmolive Company,ニューヨーク州ニューヨーク)から、マックス・フレッシュ(Max Fresh(R))、または、マックス・ホワイト(Max White(R))という商品名で市販されている。
【0061】
[0059]上記実施態様の組成物は、2つの相を含むものとして説明することもでき、その場合、1つの相は、キャリアーを含み、第二の相は、上述のフィルムまたは断片を含む。本明細書で用いられる用語「相」は、物理科学および材料科学において理解されている物理的な相を意味し、すなわち材料の特性および組成が均質の部分を意味する。しかしながら、本明細書で用いられる相は不連続であってもよく、すなわち相は複数の別々の構成要素を含んでいてもよい。例えば同一な組成物の複数のポリマーフィルム断片は、1つの相を含むものとみなされる。いくつかの実施態様において、フィルム断片は、第一の相を含む材料内に完全に埋め込まれていてもよいし、または、第一の相の表面に完全に、または、部分的に露出していてもよい。例えば、本組成物がゲルとフィルム断片との両方を含む歯みがき剤である場合、フィルム断片は、ゲルによって完全に包囲されていてもよいし、または、ゲル表面上に部分的に、または、完全に露出していてもよい。所定の実施態様において、組成物は、2つより多くの相を含む。このような多相の組成物としては、2種のキャリアーを有する組成物が挙げられ、ここでこれらのキャリアーはそれぞれ、本明細書において説明されているようなフィルム断片に加えて、組成物に相を提供する。その他の多相の組成物としては、1種のキャリアー、および、2種またはそれより多くの複数の断片を有する組成物が挙げられ、ここでこれらの複数の断片は、異なる組成を有する。
【0062】
[0060]様々な実施態様において、キャリアーは、液体、半固体、または、固体である。「液体」は、低粘性の液体であってもよいし、または高粘性の液体であってもよい。液体は、周囲条件下で流動がごくわずかであるような液体であってもよい。例えば、通常の棒状ハンドソープのような石鹸は、本明細書において液体とみなすことができる。液体は、チキソトロピー性の液体であってもよい。本明細書で用いられる「半固体」は、ゲル、コロイド、または、ゴムであり得る。本明細書で用いられるように、半固体および液体は、粘度に基づき区別される流体であり:半固体は高粘性の流体であり、液体はより低い粘度を有する。これら2タイプの流体間に、明確な区別基準はない。半固体は、所定の実施態様において、数千ミリパスカル秒(mPa・s)もの高い粘度を有していてもよい。キャリアーとしては、本明細書において有用なもののなかでも特に、液体、ペースト、軟膏およびゲルが挙げられ、これらは、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、または不透明であってもよい。
【0063】
[0061]所定の実施態様において、本発明の組成物は、口腔への投与に適した口腔ケア組成物である。このような組成物としては、歯みがき剤、口内洗浄剤、歯科用ゲル、ロゼンジ、ビーズ、ガム、口腔用ストリップ、ミント、液状練り歯磨き、スプレー、塗るタイプのゲル、リップクリーム、歯を白くするためのストリップ、ブレスストリップ(breath strip)、口腔用咀嚼剤(oral chew)、および、それらの組み合わせが挙げられる。本明細書において開示された口腔ケア組成物は、例えば虫歯予防、ホワイトニング、プラーク予防または低減、歯肉炎予防または低減、歯石コントロール、知覚過敏予防または低減、または、口臭予防または低減、および、しみ予防のために用いられる可能性がある。
【0064】
[0062]キャリアーの具体的な組成は、好ましくは、本組成物の目的とする使用に応じて決定される。様々な実施態様において、キャリアーは、水性であって、5%〜95%の水、または、10%〜70%の水分を含む。その他の実施態様において、キャリアーは、実質的に非水性である。歯みがき剤のキャリアーの場合、含水量は、5%〜70%、10%〜50%、または、20%〜40%であり得る。水の存在が上記フィルムの崩壊を引き起こすと予想される場合、乾燥させたフィルムは遊離の水を含まないことが特に好ましく、ここで水の量は、実質的に0%か、または、ごくわずかである。
【0065】
[0063]キャリアーは、例えば乳化剤、増粘剤、充填剤、および、保存剤などの様々な材料のいずれを含んでもよい。いくつかの実施態様において、キャリアーは、例えば上述したもののような機能性物質または活性物質を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、キャリアーは、上記フィルムと同じ機能性材料を含む。
【0066】
[0064]一実施態様において、キャリアーは、歯みがき剤として使用するのに適したものである。いくつかの実施態様において、キャリアーは潤滑剤を含み、このような潤滑剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、または、アルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、または、プロピレングリコールが挙げられる。ある種の構成において、キャリアーは、潤滑剤を、組成物の10質量%〜80質量%、または、20質量%〜60質量%のレベルで含む。キャリアーの組成は、本明細書において有用なもののなかでも特に、Garlick, Jr.等の米国特許第5,695,746号、および、Mei-King Ng等の第4,839,157号に開示されているものが挙げられる。
【0067】
[0065]様々な歯みがき剤の実施態様において、キャリアーは、増粘剤、ゲル化剤、または、それらの組み合わせを含む。ここで有用な増粘剤またはゲル化剤としては、無機物質、天然もしくは合成増粘剤、または、ゲル化剤が挙げられる。ある種の構成において、キャリアーは、増粘剤およびゲル化剤を、合計で、組成物の0.10質量%〜15質量%、または、0.4質量%〜10質量%のレベルで含む。ここで有用な増粘剤およびゲル化剤の例としては、無機増粘性シリカ、例えば:無定形シリカ、例えばゼオデント(Zeodent(R))165(フーバー社(Huber Corporation));アイリッシュ・モス;イオタ−カラギーナン;トラガカントゴム;または、ポリビニルピロリドンが挙げられる。所定の実施態様において、キャリアーは、研磨成分を含み、このような研磨成分としては、例えば、シリカ、焼成アルミナ、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、または、ピロリン酸カルシウムが挙げられる。様々な実施態様において、キャリアーは、見た目が透明な組成物であってもよい。
【0068】
[0066]見た目が透明なキャリアーを含む歯みがき剤の様々な実施態様において、このような組成物は、少なくとも1種の研磨成分を含む。研磨成分としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、コロイドシリカ、例えばゼオデント(R)115(フーバー社)、および、アルカリ金属のアルミノケイ酸錯体(すなわち、アルミナを含むシリカ)が挙げられる。ある種の構成において、研磨成分は、水および/または潤滑剤と組み合わされたゲル化剤の屈折率に近い屈折率を有していてもよい。様々な実施態様において、キャリアーは、研磨成分を、組成物の5質量%〜70質量%のレベルで含む。
【0069】
[0067]所定の歯みがき剤において、キャリアーは、追加の界面活性剤、または、界面活性剤の混合物を含む。界面活性剤としては、本明細書において有用なもののなかでも特に、少なくとも1種の高級脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸エステルの水溶性の塩、例えば硬化ヤシ油脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩;コカミドプロピルベタイン;高級アルキル硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム;アルキルアリールスルホン酸塩、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホン酸塩;高級アルキルスルホ酢酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム;1,2−ジヒドロキシプロパンスルホン酸塩の高級脂肪酸エステル;および、低級脂肪族アミノカルボン酸の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシルラジカルにおいて12〜16個の炭素を有する高級脂肪族アシルアミド;ならびに、それらの混合物が挙げられる。アミドは、例えば、N−ラウロイルサルコシンであってもよく、さらに、N−ラウロイル、N−ミリストイル、または、N−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウムおよびエタノールアミン塩であってもよい。様々な実施態様において、キャリアーは、界面活性剤を、組成物の0.3質量%〜5質量%、または、組成物の0.5質量%〜3質量%のレベルで含む。
【0070】
[0068]本発明はまた、歯みがき剤のキャリアーの製造方法も提供する。一実施態様において、水と少なくとも1種の潤滑剤とを第一の均一なゲル相が形成されるまで一般的なミキサーで分散する。第一の均一なゲル相に研磨成分を添加する。第一の均一なゲル相と研磨成分とを第二の均一なゲル相が形成されるまで混合する。第二の均一なゲル相に、増粘剤、香味物質および界面活性剤を添加する。これらの成分を、高速で20〜100mmHgの真空中で混合する。
【0071】
[0069]本発明の組成物は、貯蔵の標準的な条件下で安定であることが好ましい。本明細書で述べられる「安定な」は、例えば外観、風味、レオロジー、および、組成物の化学組成といった組成物特性のうちどれか、好ましくはそれら全てにおいて顕著な負の作用がないことを意味する。好ましくは、本発明の組成物における安定性は、組成物中のフィルム(断片が存在する場合、断片も含む)の組成の安定性および物理的安定性を含む。様々な実施態様において、フィルムを含む組成物は、周囲温度での貯蔵の際、少なくとも2年安定である。しかしながら、いくつかの実施態様において、その他の点で安定なフィルムは、(上記で考察したように)使用中に、例えば歯みがき剤組成物を用いて歯磨きする最中に崩壊できるものとする。
【0072】
[0070]所定の実施態様において、組成物は、本明細書において説明されているようなフィルム断片に加えて、2種またはそれより多くのキャリアーを含んでいてもよく、ここでこれらキャリアーはそれぞれ、組成物に相を提供する。このような組成物は、色のにじみに対して安定であり得る。例えば、組成物は、フィルム断片、および、縞模様のある歯みがき剤、例えばWong等の米国特許第6,315,986号で開示されたものを含んでいてもよい。所定の実施態様において、上記フィルム断片は、審美的な魅力を高めるために縞模様とは異なる色を有していてもよい。
【0073】
[0071]また上記実施態様において、キャリアー中に混入させたフィルムを含む組成物の製造方法も提供される。様々な実施態様において、複数の断片は、キャリアーと組み合わされる。ある種の構成において、キャリアーおよび複数のフィルム断片を混合することができる。ある種の構成において、上記混合は、ゆっくり撹拌することを含んでいてもよい。一つの好ましい実施態様において、その中に複数の薄板状断片が分配されたキャリアーを含む組成物の製造方法は:
(a)キャリアーを提供すること;
(b)キャリアーに、比較的高濃度の非イオン界面活性剤(例えばポリソルベート)を含むフィルムの薄板状断片を添加して、混合物を形成すること;および、
(c)この混合物をホモジナイズすること、
を含む。
【0074】
[0072]本明細書で用いられる用語「ホモジナイズすること」は、上記断片とキャリアーとを、キャリアー中で断片が実質的に均一に分布されるように混合することを意味する。しかしながら、注目すべきすることに、その結果得られた組成物はそれでもなお2相の組成物の特徴を保持し続ける。ホモジナイズは、様々な一般的なホモジナイザーのどれを用いて達成してもよい。
【0075】
[0073]その他の方法において、上記フィルムは、キャリアー成分(例えば歯みがき剤の場合は潤滑剤)に添加される。続いてキャリアーの残りを製造し、そのキャリアーにフィルム混合物が添加される。
【0076】
[0074]様々な実施態様において、本発明は、機能性材料を必要とする人間または動物の被験者に機能性材料を投与する方法を提供し、ここで本方法は、前記被験者に、キャリアー中に混入させたフィルムを含む組成物を局所的に適用することを含み、ここで上記フィルムは、比較的高濃度の非イオン界面活性剤を含む。本明細書で述べられる「投与(すること)」は、組成物が被験者に適用または投与されるあらゆる方法を意味する。様々な実施態様において、投与は局所的であり、ここで本組成物は、被験者の外面に適用され、例えば口腔表面(例えば、歯、歯肉および舌)に適用される。当然ながら、具体的な経路および投与方法は、本組成物の目的とする用途に依存すると予想される。一実施態様において、本方法はさらに、上記フィルムを局所的に適用した後に、上記フィルムを崩壊させることを含む。このような破壊は、例えば化学的および/または機械的な手段など様々な方法のいずれによって達成してもよい。化学的な手段としては、水または投与部位に存在する物質(例えば、口腔ケアのための適用の場合、唾液)との接触によるフィルムの分解が挙げられる。物理的な手段としては、使用中に(例えば、歯みがき剤としての適用の場合、ブラッシング中に)組成物に物理的なエネルギーがかかることによって生じた撹拌、研削および剪断力が挙げられる。
【0077】
[0075]様々な実施態様において、本発明は、口腔ケアが必要な状態の治療方法を提供する。本明細書で述べられるように、「口腔ケアが必要な状態」は、口腔に組成物を投与することによって予防または治療することができるあらゆる障害または状態であり、例えば、歯、口腔粘膜、歯肉および舌の障害または状態である。このような状態としては、齲歯、歯肉炎、歯周炎、および、美容的な状態、例えば黄ばみ、および、口臭が挙げられる。
【実施例】
【0078】
実施例1
[0077]この実施例で、治療活性物質、および、様々な量の非イオン界面活性剤、具体的にはポリソルベート80を含む、高分子フィルムの様々な調合物を説明する。
【0079】
[0076]以下の非限定的な実施例を参照することによって、本明細書において説明される実施態様のさらなる理解が可能である。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
[0078]表1は、現在のところ利用可能な2質量%ポリソルベート80を含む市販のフィルム製品(マックス・フレッシュ(MaxFresh(R))練り歯磨き剤として市販、コルゲート・パルモリーブ社(ニューヨーク州ニューヨーク)より入手可能)の配合である。このフィルムは、低レベルのポリソルベート80(2質量%)を含み、固体を高充填で含まない(17.6質量%メントール)。
【0086】
[0079]表2は、ホワイトニング剤として過酸化カルシウムを含むホワイトニング用フィルムの配合である。この調合物は、低レベルのポリソルベート80(1.6質量%)と、高レベルの過酸化カルシウム(51質量%)とを含む。製造されたフィルムは強健ではなく、乾燥時にひび割れが入った。
【0087】
[0080]表3は、ホワイトニング剤として過酸化カルシウムを含むホワイトニング用フィルムの配合である。この調合物は、レベルを高くしたポリソルベート80(14.1質量%)と、高レベルの過酸化カルシウム(45質量%)とを含む。製造されたフィルムは強健であり、過酸化カルシウムを高い固体充填率で包含させることができた。
【0088】
[0081]表4は、2種のホワイトニング剤、すなわち過酸化カルシウムとゼオデント(Xeodent)105を含む、その他のホワイトニング用フィルムの配合である。このフィルムは、レベルを高めたポリソルベート80(13.7質量%)、ならびに、高レベルの過酸化カルシウムおよびゼオデント(Xeodent)105(合計で46質量%)を含む。製造されたフィルムは強健であった。
【0089】
[0082]表5は、カーボポール(Carbopol)974と呼ばれる粘膜付着性物質を含む粘膜付着性フィルムの配合である。このフィルムはレベルを高めたポリソルベート80(10.5質量%)を含み、その調合物も強健であった。
【0090】
[0083]本明細書において説明された実施例およびその他の実施態様は典型的なものであって、本発明の組成物および方法のすべての範囲を説明したものにおいて限定することは目的としない。具体的な実施態様、材料、組成物および方法の等価な変化、改変およびバリエーションは、実質的に類似の結果が得られる場合、本発明の範囲内とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアー中に混入させたフィルムを含む口腔ケア組成物であって、該フィルムは、非イオン界面活性剤をフィルムの2質量%〜フィルムの20質量%の量で含む、上記組成物。
【請求項2】
前記組成物は、歯みがき剤の形態でである、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
前記非イオン界面活性剤は、ポリソルベートを含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記ポリソルベートは、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、および、それらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
前記ポリソルベートは、ポリソルベート80である、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
前記フィルムは、治療活性物質をさらに含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記治療活性物質は、フィルム中に、フィルムの20質量%〜フィルムの65質量%の量で存在する、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
前記フィルムは、組成物の総質量の0.1質量%〜5.0質量%の量で存在する、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
前記フィルムは、組成物の総質量の0.25質量%〜3.0質量%の量で存在する、請求項8に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
前記フィルムは、組成物の総質量の0.5質量%〜2.0質量%の量で存在する、請求項9に記載の口腔ケア組成物。
【請求項11】
キャリアー中に混入させたフィルムを含む口腔ケア組成物の製造方法であって、
該フィルムは、非イオン界面活性剤をフィルムの5質量%〜フィルムの20質量%の量で含み、該方法は:
(a)キャリアーを提供すること;
(b)非イオン界面活性剤をフィルムの5質量%〜フィルムの20質量%の量で含むフィルムの薄板状断片を添加すること;および、
(c)この混合物をホモジナイズすること、
を含む、上記方法。
【請求項12】
前記非イオン界面活性剤は、ポリソルベート80である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルムは、治療活性物質をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記治療活性物質は、フィルム中に、フィルムの20質量%〜フィルムの65質量%の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルムは、組成物の総質量の0.1質量%〜5.0質量%の量で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
活性物質を必要とする人間または動物の被験者に活性物質を投与する方法であって、該方法は、被験者に、フィルムを含む口腔ケア組成物を局所的に適用することを含み、ここで該フィルムは、非イオン界面活性剤をフィルムの5質量%〜フィルムの20質量%の量で含む、上記方法。
【請求項17】
局所的な適用の後に前記フィルムを崩壊させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記非イオン界面活性剤は、ポリソルベート80である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルムは、治療活性物質をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記治療活性物質は、フィルム中に、フィルムの20質量%〜フィルムの65質量%の量で存在する、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2013−512896(P2013−512896A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541984(P2012−541984)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066727
【国際公開番号】WO2011/068513
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】