説明

固体バルサルタン医薬組成物

【課題】薬理学的に効果的な量のバルサルタン、またはその薬学的に許容される塩、またはその水和物を含む、固体経口投与形を提供すること。
【解決手段】活性剤としてのバルサルタンまたはその医薬的に許容される塩もしくは水和物と崩壊剤を含み、活性剤と崩壊剤の重量比が2.9:1〜1:1であり、活性剤の単位用量20mgを含んでいる、経口固体医薬組成物により解決される。該組成物のバイオアベイラビリティは、慣用のバルサルタンカプセル剤よりも少なくとも1.2倍高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルサルタンを含む固体の経口投与剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシン II 受容体アンタゴニストであるバルサルタンは、鬱血性心不全の処置に効果的であり、かつ年齢、性別、または人種に無関係に血圧を降下させるのに効果的であると知られており、また耐容性がよい。バルサルタンとHCTZとの組み合わせはまた、高血圧の処置として周知である。
【0003】
WO 97/49394(本明細書中で言及することによって組み込まれている)の内容、特に請求項に記載の事項(しかしそれには制限されない)は、例えば任意に塩形であるバルサルタンを、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)と任意に組み合わせて、圧縮成型した製剤などの固化によって圧縮された固体の経口投与形を公開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 97/49394
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、バルサルタンまたはその薬学的に許容される塩またはその水和物(以後“活性な薬剤”と呼ぶ)の、既知のバルサルタン製剤と比べてバイオアベイラビリティが改善された固体の製剤(以後“本発明の組成物”と呼ぶ)を製造することが可能であることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、薬理学的に効果的な量のバルサルタンもしくはその薬学的に許容される塩もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、そしてバルサルタンカプセル剤、例えばバルサルタンを20、40、80、または160mg含む、商品名 Diovan(登録商標)として市販されているカプセル剤、または単位用量にバルサルタンを1から500mg含む何れかの相当するカプセル剤よりも、バイオアベイラビリティが、平均で少なくとも1.2倍、例えば1.2から3倍、例えば1.3から2倍、例えば1.7倍以上高い、例えば錠剤の形態の、経口固体医薬組成物に関する。
【0007】
1つの具体的態様において、本発明は、経口固体医薬組成物、例えば薬理学的に効果的な量のバルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、かつ単回投与のヒトのバイオアベイラビリティ試験において、40mgの用量として投薬した際に、例えばバルサルタンを20、40、80、または160mg含む商品名 Diovan(登録商標)で市販されているカプセル剤、またはバルサルタンを単位用量に1から500mg含む何れかの相当するカプセル剤などの、バルサルタンのカプセル剤よりも、平均で少なくとも1.5倍、例えば3倍以下、例えば2.5倍バイオアベイラビリティが高い錠剤の形態に関する。
【0008】
特に、本発明は、経口固体医薬組成物、例えば薬理学的に効果的な量のバルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、かつ単回投与のヒトのバイオアベイラビリティ試験において、320mgの用量として投薬した際に、例えばバルサルタンを20、40、80、または160mg含む商品名 Diovan(登録商標)で市販されているカプセル剤、またはバルサルタンを単位用量に1から500mg含む何れかの相当するカプセル剤などの、バルサルタンのカプセル剤よりも、平均で少なくとも1.2倍、例えば2倍以下、例えば1.5倍 バイオアベイラビリティが高い錠剤の形態に関する。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、経口固体医薬組成物、例えば薬理学的に効果的な量のバルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、かつ40mgのカプセル剤のAUCが3.9h.mg/lである場合と同じ条件で、そのAUCが4.5h.mg/l以上、例えば8h.mg/lまで、例えば6h.mg/lである、錠剤の形態に関する。別記しない限り、本明細書中で記載のAUC値は、最小2乗平均値である。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、経口固体医薬組成物、例えば薬理学的に効果的な量のバルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、かつ320mgのカプセル剤のAUCが29.4h.mg/lである場合と同じ条件で、そのAUCが30h.mg/l以上、例えば40h.mg/lまで、例えば35h.mg/lである、錠剤の形態に関する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、経口固体医薬組成物、例えば薬理学的に効果的な量のバルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、かつ単回投与のヒトのバイオアベイラビリティ試験において、40mgの用量として投薬した際に、そのCmaxが少なくとも約0.77mg/l、例えば3.5mg/lまで、例えば1.3mg/lである、錠剤の形態に関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、経口固体医薬組成物、例えば薬理学的に効果的な量のバルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含み、かつ単回投与のヒトのバイオアベイラビリティ試験において、320mgの用量として投与した際に、そのCmaxが少なくとも約4.75mg/l、例えば15mg/lまで、例えば6mg/lである、錠剤の形態に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】2つの製剤の平均濃度−時間 プロフィール。上のエラーバー(SD)を示してある。プロトコル時間を明らかにするために用いる。A=40mgの錠剤;B=40mgのカプセル剤
【図2】2つの製剤の平均濃度−時間 プロフィール。上のエラーバー(SD)を示してある。プロトコル時間を明らかにするために用いる。A=320mgの錠剤;B=2*160mgのカプセル剤
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物は、単位用量において、1から500mg、例えば2から400mg、例えば5から300mg、例えば10から200mg、例えば20から200mg、例えば30から100mgの有効成分を含む。用量の例は、10、20、40、80、160、または320mgである。
【0015】
他の利点に関して、バイオアベイラビリティが高いことは活性な薬剤の低容量経口投与形を製造することを可能にし、それは患者の耐用性にとって好ましいことである。従って、本発明は、さらなる態様において、経口固体医薬組成物、例えば活性な薬剤を20mg以下、例えば1から15mg、例えば1、5、または10mg、または何れかの他の中間用量含む、バルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物の錠剤の形態に関する。例えば錠剤などの該固体の経口投与形は、活性な薬剤の与えられた量に関して、該活性な薬剤の何れの既知の製剤よりも小さくなり得る。
【0016】
組成物の第1の群は実施例2を除く。組成物の第2の群は実施例3を除く。
さらなる態様において、本発明は、崩壊剤を、全重量に対して10から80%、例えば20と80%の間、例えば25から75%例えば30から70%、例えば35から65%、例えば40から60%、例えば50%含む、バルサルタン、もしくはその薬学的に許容される塩、もしくはその水和物の、例えば錠剤の形態などの経口の固体の医薬に関する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、バルサルタンもしくはその薬学的に許容される塩もしくはその水和物と崩壊剤を、重量比で例えば10:1から0.5:1の間、例えば9.5:1、例えば8:1、例えば5:1から0.5:1、例えば5:1から1:1、例えば2.9:1から1:1、例えば2.5から1:1、例えば2から1:1、例えば1.5:1で含む、例えば錠剤の形態などの、経口の固体の医薬に関する。
【0018】
より好ましい具体的態様において、本発明の組成物は、例えば微晶性セルロースなどの充填剤を、該固体の経口投与形の核成分の全重量に対する重量で30%以上、例えば31から65%、例えば40から60%、例えば50%含む。
【0019】
より好ましくは、本発明の組成物において、活性な薬剤と充填剤は、重量比4:1から0.3:1、例えば3:1から0.3:1、例えば2.5:1から0.5:1、例えば2:1から1:1、例えば1.4:1で存在する。
【0020】
本発明の組成物は、錠剤の形態、例えば下記に公開された製造工程によって得られる圧縮された錠剤であってもよい。
【0021】
本発明の組成物は、該投与形において、慣用の添加剤を含む。一般的に錠剤の製剤において用いられる錠剤化補助剤を用い得、また該補助剤については大量の文献で言及されている。特に“Lexikon der Hilfsstoffe”, 4th Edition, ECV Aulendorf, 1996,(本明細書中で言及することによって組み込まれている)を参照のこと。該補助剤は、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、安定化剤、充填剤もしくは希釈剤、界面活性剤などを含み、かつこれらに制限されない。
【0022】
本発明の組成物に適切な崩壊剤としては、特に
−カルボキシメチルセルロース カルシウム(CMC−Ca);
−カルボキシメチルセルロース ナトリウム(CMC−Na,クロスカーメロース ナトリウム)、例えば Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標)、Pharmacel(登録商標) XL、Explocel(登録商標)、および Nymcel(登録商標) ZSX、例えば分子量90,000−700,000のカルボキシメチルセルロース ナトリウム;
−交差結合したポリビニルピロリドン(PVP)、例えばクロスポビドン、例えば Polyplasdone(登録商標) XL および Kollidon(登録商標) CL、とくに分子量が1,000,000以上の交差結合したPVP、より特別には粒子サイズ分布が400ミクロン以下もしくは74ミクロン以下の交差結合したPVPであり;
−アルギニン酸、アルギニン酸ナトリウム、およびグアールガム;
を記載し得る。
【0023】
より好ましくは、崩壊剤は、交差結合したPVP、クロスポビドン、交差結合したCMC、および Ac-Di-Sol(登録商標) であり得る。
【0024】
本発明の組成物に適切な結合剤としては、特に
−澱粉、例えばじゃがいも澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉;
−セルロース、例えば登録商標名 Avicel(登録商標)、Filtrak(登録商標)、Heweten(登録商標)、または Pharmacel(登録商標)として既知の製品などの微晶性セルロース、および例えばヒドロキシプロピル部分を5から16重量%有し、かつ分子量が80,000から1,150,000であり、より特別には140,000から850,000である、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
を記載し得る。
【0025】
本発明の組成物に適切な滑剤(glidants)としては、特に
−例えば Aerosil(登録商標)などのコロイド状シリカ;
−トリ珪酸マグネシウム;
−粉末状セルロース;
−澱粉;
−タルク;および
−三塩基性リン酸カルシウム;
を記載し得る。
【0026】
本発明の組成物に適切な充填剤もしくは希釈剤としては、
−粉砂糖、圧縮可能な糖、デキストレート類、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース;
−微晶性セルロース、特に密度が約0.45g/cmの微晶性セルロース、例えば Avicel(登録商標)、または粉末状セルロース;および
−タルク;
を記載し得る。より好ましい充填剤は、Avicel(登録商標)であり得る。
【0027】
本発明の組成物に適切な滑沢剤(lubricant)としては、特に
−ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、またはステアリン酸カルシウム;
−分子量4000から8000のポリエチレングリコール(PEG);および
−タルク;
を記載し得る。
【0028】
1個もしくはそれ以上の該添加剤は、固体の経口投与形の特に望ましい性質を考慮して、慣用の試験によって、過度の負担なく当業者によって選択され、用いられ得る。
【0029】
例えば滑剤、結合剤、崩壊剤、充填剤もしくは希釈剤、滑沢剤などの、用いた各タイプの添加剤の量は、当業界で慣用の範囲内で変え得る。従って、例えば滑剤の量は、0.1から10重量%の範囲内で、特に0.1から5重量%、例えば0.1から0.5重量%の範囲内で変え得;結合剤の量は、約10から65.3重量%、例えば10から45重量%、例えば20から30重量%の範囲内で変え得;崩壊剤の量は、5から60重量%、例えば13から50重量%、例えば15から40重量%、例えば20から30重量%の範囲内で変え得、例えば25重量%であり;充填剤もしくは希釈剤の量は、15から65重量%、例えば20から50重量%、例えば25から40重量%の範囲内で変え得、例えば30重量%であり;一方、滑沢剤の量は、0.1から5.0重量%の範囲内で変え得る。
【0030】
例えば錠剤などの、本固体の経口投与形の特徴は、該投与形が、非常に少量のみの添加剤を含み、活性な薬剤を高い含有量で含むことである。このことは、物理的に小さな単位用量形を生産することを可能にする。所与の単位用量において、添加剤の総量は、固体の経口投与形の総重量に対する重量で、約65%もしくはそれ以下、より特別には約50%もしくはそれ以下であり得る。好ましくは、添加剤の含有量が、約35から55重量%の範囲であり、より特別には45から55重量%、例えば38から43重量%の範囲である。
【0031】
各添加剤の絶対量および他の添加剤に対する量は、同様に固体の経口投与形に望ましい性質に依存し、そして慣用の試験によって、過度の負担なく、当業者によって選択され得る。例えば、固体の経口投与形は、活性な薬剤の放出を量的に制御しながら、またはせずに、活性な薬剤の放出を速めるおよび/または遅らせるように選択し得る。
【0032】
従って、放出を速めることが望ましい場合、例えば10分以内に約90%放出させたい場合、より特別には5分以内に約90%放出させたい場合、交差結合したポリビニルピロリドン、例えば特に分子量が1,000,000を超える、より特別には粒子サイズ分布が400ミクロン以下もしくは74ミクロン以下である、登録商標名 Polyplasdone(登録商標) XL または Kollidon(登録商標) CL として知られている交差結合したPVP、または水の存在下で錠剤の崩壊を速める効果がある活性な添加剤(発泡性の混合物)、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムなどの化学的に結合した二酸化炭素を含む塩基に水中で作用し、二酸化炭素を放出する固体の形態の酸、典型的にはクエン酸を含む、いわゆる発泡錠剤が望ましい。
【0033】
本発明の医薬組成物は、組成物と組み合わせた活性な薬剤の、特に血圧低下、心収縮もしくは心拡張の何れかまたは両方を含む、既知の適応に有効である。本発明が有効な状態は、高血圧(悪性、突発性、腎血管性、糖尿病性、孤立収縮性(isolated systolic)、または他の二次性の何れか)、鬱血性心不全、狭心症(安定性もしくは不安定性の何れか)、心筋梗塞、動脈硬化症、糖尿病性腎障害、糖尿病性心筋疾患、腎不全、末梢血管疾患、左心室肥大、認識機能不全(アルツハイマーなど)、および卒中を含み、これらに制限されない。
【0034】
活性な薬剤の正確な用量と、投与されるべき特定の製剤は、幾つかの要因、例えば処置すべき状態、処置の望ましい持続時間、および活性な薬剤の放出速度に依存する。例えば、要求される活性な薬剤の量と放出速度は、in vitro または in vivo における既知の技術と、どの程度長く特定の活性な薬剤の血清中の濃度が許容される治療効果レベルで維持されるかの決定に基づいて決定され得る。
【0035】
例えば、臨床試験において、本発明の組成物は、市販のDiovan(登録商標)製剤と比較して、より高いバイオアベイラビリティを有する。
【0036】
より好ましくは、本組成物の薬剤の放出速度は、例えばpHが4から7.2の範囲、例えばpHが4.5から7、例えばpHが6.8において、10分間で70%以上であり、30分以上で80%以上、例えば90%であり、45分以上で95%以上である。
【0037】
例えば75kgのほ乳類で、例えばヒトや標準的な動物モデルで、1日当たり1mgから400mgの範囲のバルサルタンの用量を用い得る。本組成物によって生じたバルサルタンの優れた耐容性が、標準的な動物モデルと臨床試験で観察され得る。
【0038】
さらなる態様において、本発明は、本発明の組成物を患者に投与することを含む、バルサルタン処置が必要な患者にバルサルタンを投与する方法に関する。
【0039】
さらなる態様において、本発明は、上記の何れかの組成物の製造において、活性な薬剤としてのバルサルタンの使用に関する。
【0040】
本発明は、本発明の別の態様において、固体の経口投与形、例えば上記の錠剤の製造工程を提供する。WO 97/49394 (本明細書中に言及することによって組み込まれる)において、例えば上記のように、適切な量で構成成分となることによって、単位用量形を形成し、該固体の経口投与形を生産し得る。
【0041】
例えば、
i)活性な薬剤と薬学的に許容される添加剤とを製粉する;
ii)粉砕した活性な薬剤と添加剤を圧縮し、コンプライメート(comprimate)(コプライメート(coprimate))(圧縮物)を形成する;
iii)コンプライメート(コプライメート)を変換し、顆粒を形成する;
iv)顆粒を圧縮し、固体の経口投与形を形成する;
段階を含む、上記の本発明の組成物の製造工程を提供する。
【0042】
該工程は、水が存在しない状態で、すなわち乾燥圧縮法で行う。該工程は、環境条件の温度と湿度下で行う;該工程は、乾燥雰囲気で行うことの保証は必要ではない。
【0043】
第一の粉砕段階i)は、慣用の粉砕法もしくは微細化法に従って行われ得る。
粒子サイズが約0.1ミクロメーター(μm)から約1500μm、例えば1.0μmから900μm、例えば60μmから600μmになるまで、活性な薬剤と添加剤を、別々にまたは一緒に粉砕し得る。活性な薬剤と添加剤の両方の、少なくとも90%の結晶が、これらの範囲に存在する。慣用の方法によって、例えばエア・ジェット・ミル、ハンマー・アンド・スクリーン・ミル、良衝撃ミル、ボール・ミルまたは振動ミルによって、このサイズの粒子を得る。
【0044】
微細化は、より好ましくは、例えば BRANSON Sonifier タイプの超音波粉砕機を用いる既知の方法によって、または例えば HOMOREX タイプの攪拌機などの高速攪拌機で、懸濁液を攪拌することによって行われる。
【0045】
粉砕した粒子は、任意にこの段階でふるいにかけられ得、そして既知の方法で混合され得る。
【0046】
粉砕された成分の固化を要する。固化(compaction)は、衝撃法を用いて、またはより好ましくは、ローラー式固化を用いて、行われ得る。ローラー式固化装置は、慣用であり、そして本質的に互いに向かって転がる2つのローラーを利用している。液圧ピストンは、ローラーの一方を他方に圧着し、その結果、らせん状のコンベアー装置を介して、ローラー式固化機に送りこまれた粉砕された粒子に、固化力が働く。
【0047】
25と65kNの間の、例えば25と45kNの間の固化力を用い得る。驚くべきことに、この範囲の固化力では、各々の特定の製剤において、固体の経口投与形を得るためには、最小の固化力が用いられるべきであり、また該顆粒を、例えば崩壊が上記の固化された固体の経口投与形に対して最小の固化力で、約6倍速い速度で起こるような、望ましい速度で崩壊し、孤立した一次粒子とすることが見出された。このような速い崩壊速度は、錠剤では一般的ではないが、カプセル製剤の崩壊速度と同程度である。特定の最小固化力は、何れかの所与の製剤における活性な薬剤の内容物に依存し、従って存在する添加剤の量と性質にも依存する。
【0048】
この情報を与えれば、当業者は、慣用の試験を用いて、過度の負担なく、他の製剤に対する最小の固化力を明確に決定し得る。
【0049】
ローラーの速度は、1から20rpmの間、より好ましくは9から15rpmの間に設定し得る。ローラーを通した後、固化された塊(コンプライメート(コプライメート))は、1本の薄いリボンが切刻された状態に似る。
【0050】
コンプライメート(コプライメート)は、ふるいにかけ得、または顆粒を生産するために粉砕され得る。最も単純な形態のふるいは、コンプライメートを機械の圧力でふるいを通してローラーから押し出すことを含む。より好ましくは、コンプライメート(コプライメート)を、例えば MGI 624 Frewitt (Key International Inc.)などの、振動式ミルまたは回転式ミルを用いて、ふるいにかける。
【0051】
顆粒の錠剤核への圧縮は、例えば EK-0 Korsch 偏心打錠機、回転式圧縮機などの慣用の打錠機で、例えば2kN以上の圧縮で行い得る。錠剤核は、形においては、例えば円形、卵形、長円形、円筒形、または何れかの他の適切な形に変え得、大きさにおいては、治療薬剤の濃度に依存して変え得る。本発明の錠剤の特徴は、本発明に含まれる活性な薬剤の量を考慮するとき、小型であることである。
【0052】
本発明のより好ましい具体的態様において、上記の圧縮法によって得られる錠剤は、側面および/または縦の断面がわずかに卵形である。錠剤の端は、斜めであるか、または曲線的である。
【0053】
本発明の特により好ましい具体的態様において、固体の経口投与形は、長さ:幅:高さが、例えば2.5−5.0:0.9−2.0:1.0、例えば2.86−3.16:1.1−1.3:1.0、例えば14.0−14.2mm:5.5−5.7mm:4.5−4.9mmである長円形を有する錠剤の形態に圧縮され、より好ましくは錠剤の下の面と上の面が互いに独立に平坦か、または縦軸に対して凸型に曲がっており;側面は平坦であり;端(end)の面は何れの形もとり得;錠剤の端は斜めであるか、または曲線的である、錠剤の形態に圧縮される。
【0054】
本発明の特により好ましい具体的態様において、顆粒から、固体の経口投与形は、例えば40mgまたは80mgのバルサルタンを含み、かつ上の面と下の面がわずかに凸の表面を有する、本質的に平円形の錠剤の形態に圧縮される。より好ましくは、錠剤は直径が約6から6.5mmであり、深さが約2.5から3.5mmであるか、または直径が約8から8.5mmであり、深さが約3から4mmである。
【0055】
本発明の別の特により好ましい具体的態様において、固体の経口投与形は、顆粒から、例えばバルサルタン160mgを含み、長さが約10.0から15.0mmであり、幅が約5.0から6.0mmであり、そして高さが約3から6mm、例えば3.0から4.0mmである、長円形の錠剤の形態に圧縮される。
【0056】
本発明の別の特により好ましい具体的態様において、固体の経口投与形は、顆粒から、例えばバルサルタン80、160、または320mgを含み、長さが約9から11mmであり、幅が最も広い点で約5から6.5mmであり、高さが約3から4mmであるか、または長さが約12から14mmであり、幅が最も広い点で約7から8mmであり、そして高さが約4から5mmであるか、または長さが約15から17mmであり、幅が最も広い点で約9から10mmであり、高さが約5から6.5mmである、アーモンド型の錠剤の形態に圧縮される。
【0057】
本発明の別の特により好ましい具体的態様において、固体の経口投与形は、顆粒から、例えばバルサルタン320mgを含み、長さが約15から17mmであり、幅が最も広い点で9から10mmであり、そして高さが約5から7mmである、アーモンド型の錠剤の形態に圧縮される。
【0058】
本発明のさらに別のより好ましい具体的態様において、固体の経口投与形は、上の面と下の面がわずかに凸の表面を有する、本質的に平円形の錠剤を供給する。より好ましくは、錠剤の直径が約8から8.5mmであり、深さが約3から3.5mmであるか、または錠剤の直径が約16mmであり、そして深さが約6mmである。錠剤の体積は、約0.1cmから約1cmであり、例えば0.1cmから約0.45cmであり、例えば0.2から0.3cmであり、例えば約0.125cm、または0.25cmである。
【0059】
錠剤は、さらに透明であっても無色であっても色がついていてもよく、また、この製品に、他と異なる外見を与え、すぐに認識できるようにするために印をつける。染料の使用は、外見をよくするためと、組成物を同定する役目を果たし得る。薬学において使用に適切な染料は、典型的にカロチノイド、酸化鉄、またはクロロフィルを含む。
【実施例】
【0060】
以下に本発明の組成物の実施例の方法のみを記載する。
実施例1から4:
【表1】

【0061】
実施例5:
表1:バルサルタンの薬理力学的なパラメーターの最小二乗平均値の要約分析(両処置で評価し得るパラメータを有する全患者)
【表2】

Nは繰り返し投薬を含む観察の数を表す。
a:最小二乗平均値を元の真数スケールで表す。
b:元のスケールでの平均値の比を対数のスケールで最小二乗平均値における差の真数によって計算する。
c:元のスケールでカプセル剤に対する錠剤の比のコンフィデンスの範囲を、対数のスケールで処置の最小二乗平均値の差に対するコンフィデンスの限界の真数をとることによって得る。
市販されている40mgDiovan(登録商標)カプセル剤:
内相:バルサルタン 40.0mg;微晶性セルロース/Avicel PH 102:12.55mg;ポリビニルピロリドン K30:6.25mg;ラウリル硫酸ナトリウム:0.3mg;
外相:クロスポビドン:6.5mg;ステアリン酸マグネシウム:0.65mg;
総重量:66.25mg;カプセルサイズ:3
【0062】
実施例6:
表2:バルサルタンの薬理力学的なパラメーターの最小二乗平均値の要約分析(両処置で評価し得るパラメータを有する全患者)
【表3】

Nは繰り返し投薬を含む観察の数を表す。
a:最小二乗平均値を元の真数スケールで表す。
b:元のスケールでの平均値の比を対数のスケールで最小二乗平均値における差の真数によって計算する。
c:元のスケールでカプセル剤に対する錠剤の比のコンフィデンスの範囲を、対数のスケールで処置の最小二乗平均値の差に対するコンフィデンスの限界の真数をとることによって得る。
市販されている160mgDiovan(登録商標)カプセル剤:
内相:バルサルタン160.0mg;微晶性セルロース/Avicel PH 102:50.2mg;ポリビニルピロリドン K30:125.0mg;ラウリル硫酸ナトリウム:1.2mg;
外相:クロスポビドン:26.0mg;ステアリン酸マグネシウム:2.6mg;
総重量:265.0mg;カプセルサイズ:1--
【0063】
実施例7:
表3:40mgの錠剤と40mgのカプセル剤(市販品)の薬理力学的パラメーター
【表4】

【0064】
実施例8:
表4:320mgの錠剤と2*160mgのカプセル剤(市販品)の薬理力学的なパラメーターの最小二乗平均値の要約分析)
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤としてのバルサルタンまたはその医薬的に許容される塩もしくは水和物と崩壊剤を含み、活性剤と崩壊剤の重量比が2.9:1〜1:1であり、活性剤の単位用量20mgを含んでいる、経口固体医薬組成物。
【請求項2】
活性剤と崩壊剤の重量比が2.5:1〜1:1である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
崩壊剤がカルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na;クロスカルメロースナトリウム;特に分子量90,000〜700,000のもの)、交差結合ポリビニルピロリドン(PVP;たとえばクロスポビドン、特に分子量1,000,000以上、より特に粒径分布400ミクロン以下または74ミクロン以下のもの)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびグアールガムから成る群から選択されたものである、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
崩壊剤が交差結合PVP、クロスポビドンおよび交差結合CMCから成る群から選択されたものである、請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
【請求項5】
崩壊剤がクロスポビドンである、請求項1〜4のいずれか記載の組成物。
【請求項6】
組成物の核成分の全重量に基づいて30重量%以上、好ましくは31〜65重量%の充填剤を含む、請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
【請求項7】
組成物の核成分の全重量に基づいて40〜60重量%の充填剤を含む、請求項1〜6のいずれか記載の組成物。
【請求項8】
充填剤が微晶性セルロースである、請求項1〜7のいずれか記載の組成物。
【請求項9】
さらに結合剤、滑剤および滑沢剤から成る群から選択された賦形剤を含む、請求項1〜8のいずれか記載の組成物。
【請求項10】
結合剤が10〜65.3重量%の範囲、滑剤が0.1〜10重量%の範囲、そして滑沢剤が0.1〜5.0重量%の範囲で変動する、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
組成物が活性剤20mg、微晶性セルロース62mgおよびクロスポビドン10mgを含む、請求項1〜10のいずれか記載の組成物。
【請求項12】
組成物がコロイド状シリカ1.0mgおよびステアリン酸マグネシウム2.0mgを含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
錠剤の形状である、請求項1〜12のいずれか記載の組成物。
【請求項14】
活性剤がバルサルタンの医薬的に許容される塩またはその水和物である、請求項1〜13のいずれか記載の組成物。
【請求項15】
平均してバルサルタンカプセルよりも少なくとも1.2倍高いバイオアベイラビリティを有する、請求項1〜14のいずれか記載の組成物。
【請求項16】
高血圧(悪性、突発性、腎血管性、糖尿病性、孤立収縮性またはその他の二次性)、鬱血性心不全、狭心症(安定性または不安定性)、心筋梗塞、動脈硬化症、糖尿病性腎障害、糖尿病性心筋疾患、腎不全、末梢血管疾患、左心室肥大、認識機能不全(たとえばアルツハイマー)または卒中の処置に使用するための、請求項1〜15のいずれか記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−211200(P2012−211200A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172246(P2012−172246)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2007−3546(P2007−3546)の分割
【原出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】