説明

固体分散液、着色感光性組成物、インクジェット用インク、カラーフィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、表示装置、並びに金属錯体化合物及びその互変異性体

【課題】色純度及び堅牢性に優れた着色膜を形成できる固体分散液を提供する。
【解決手段】溶剤と、前記溶剤に対し不溶な着色剤と、を含有し、前記着色剤が、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体であって前記溶剤に対し不溶な錯体であるか、又は、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が前記溶剤に対し不溶化された錯体である固体分散液である〔R〜R:水素原子又は置換基;R:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基〕。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体分散液、着色感光性組成物、インクジェット用インク、カラーフィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、表示装置、並びに金属錯体化合物及びその互変異性体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、特に大画面液晶テレビの発達に伴い、液晶ディスプレイ(LCD)、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。更なる高画質化の要求から有機ELディスプレイの普及も待ち望まれている。一方、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話の普及から、CCDイメージセンサーなどの固体撮像素子も需要が大きく伸びている。
これらのディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されており、更なる高画質化の要求とともにコストダウンへの要求が高まっている。このようなカラーフィルタは、通常、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3原色の着色パターンを備えており、表示デバイスや撮像素子において、通過する光を3原色へ分画する役割を果たしている。
【0003】
カラーフィルタに使用されている着色剤には、共通して次のような特性が求められる。 即ち、色再現性上好ましい分光特性を有すること、液晶ディスプレイのコントラスト低下の原因である光散乱や固体撮像素子の色ムラ・ザラツキ感の原因となる光学濃度の不均一性といった光学的な乱れがないこと、使用される環境条件下における堅牢性、例えば、耐熱性、耐光性、耐湿性等が良好であること、モル吸光係数が大きく薄膜化が可能なこと、等が必要とされている。
【0004】
上記カラーフィルタを作製する方法の一つとして顔料分散法が採用されている。
顔料分散法により顔料を感光性組成物に分散させた着色感光性組成物を用いて、フォトリソ法やインクジェット法によってカラーフィルタを作製する方法は、顔料を使用するために光や熱に対して安定である。
【0005】
このフォトリソ法では、基板上に感放射線性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布し、乾燥させて塗布膜を形成し、該塗布膜をパターン露光し現像することによって、着色された画素を得る。この操作を色相分だけ繰り返すことでカラーフィルタを作製することができる。フォトリソ法は光によってパターンを形成するため位置精度に優れ、大画面で高精細なカラーフィルタの作製に好適な方法として広く利用されている。特に近年、更なる高解像度が求められる固体撮像素子の作成に非常に有利な方法である。
【0006】
また、上記フォトリソ法以外にも、カラーフィルタの製造方法としては、インクジェット法で着色インクを吹き付けして着色層(着色画素)を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
インクジェット法は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。インクジェット法は、インクジェットヘッドを順次移動させることにより、大面積のカラーフィルタを高生産性で製造でき、低騒音で操作性がよいという利点を有する。このようなインクジェット法によるカラーフィルタの製造には、顔料分散法を使用したインクジェット用インクが用いられている。顔料分散法を使用したインクジェット用インクとしては、例えば、バインダー成分、顔料、及び、沸点が180℃〜260℃でかつ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤を含むカラーフィルタ用インクジェットインクが提案されている。
【0007】
一方、顔料の粗大粒子の影響による解像度低下や色ムラを抑制するために、顔料に代えて染料を含有する着色感光性組成物を用い、フォトリソ法によりカラーフィルタを形成する技術も検討されている。
例えば、カラーフィルタに好適な分光特性に着目して、ジピロメテン染料を用いた着色感光性組成物及び色素化合物が検討されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭59−75205号公報
【特許文献2】特開2004−339332号公報
【特許文献3】特開2008−292970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
染料を含有するカラーフィルタ用着色組成物においては、特に着色膜形成後に加熱処理を施した場合に、該着色膜の色が、隣接された層や積層された層に移る現象(以下、「色移り」ともいう)が生じやすい傾向がある。
特許文献3ではジピロメテン染料固有の光吸収特性に由来した分光特性に関しては開示があるもの、前述の色移りについての言及はなされていない。
また、特許文献3に記載のジピロメテン染料では、耐熱性や耐光性などの諸堅牢性のさらなる改良が望まれている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、色純度及び堅牢性に優れた着色膜を形成できる固体分散液を提供することを目的とする。
また、本発明は、色移りが抑制され、色純度及び堅牢性に優れた着色パターンを形成できる着色感光性組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、色純度及び堅牢性に優れた着色画素を形成できるインクジェット用インクを提供することを目的とする。
また、本発明は、色純度及び堅牢性に優れたカラーフィルタ及びその製造方法、並びに、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子及び表示装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、色純度及び堅牢性に優れた金属錯体化合物及びその互変異性体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはジピロメテン系金属錯体を詳細に検討した結果、溶剤中に、該溶剤に対し不溶なジピロメテン系金属錯体または該溶剤に対し不溶化(例えば、レーキ化)されたジピロメテン系金属錯体を固体分散して得られる固体分散液を用いることで、色純度及び堅牢性に優れた着色膜を形成できるとの知見を得、この知見に基づき本発明を完成した。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
【0012】
<1> 溶剤と、前記溶剤に対し不溶な着色剤と、を含有し、
前記着色剤が、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体であって前記溶剤に対し不溶な錯体であるか、又は、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が前記溶剤に対し不溶化された錯体である固体分散液。
【0013】
【化1】



【0014】
〔一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【0015】
<2> 前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が前記溶剤に対し不溶化された錯体は、下記一般式(2)で表される金属錯体化合物又はその互変異性体である<1>に記載の固体分散液。
【0016】
【化2】



【0017】
〔一般式(2)中、Aは、前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基であり、nは2又は3を表し、Mはn価の金属イオンを表す。〕
【0018】
<3> 前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体は、下記一般式(2)で表される化合物又はその互変異性体である<1>又は<2>に記載の固体分散液。
【0019】
【化3】



【0020】
〔一般式(3)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、Xは、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Yは、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表し、R及びRは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。〕
【0021】
<4> <1>〜<3>のいずれか1項記載の固体分散液を含有する着色感光性組成物。
<5> <1>〜<3>のいずれか1項記載の固体分散液を含有するインクジェット用インク。
<6> <4>に記載の着色感光性組成物又は<5>に記載のインクジェット用インクを用いてなるカラーフィルタ。
<7> <4>に記載の着色感光性組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程と、形成された着色層をマスクを介して露光する工程と、露光された着色層を現像して着色パターンを形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
<8> 更に、前記着色パターンを形成する工程の後、形成された着色パターンに紫外線を照射する工程を有する<7>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<9> 隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、前記凹部に、インクジェット法によって、<8>に記載のインクジェット用インクの液滴を付与して、カラーフィルタの着色画素を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
<10> <6>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
<11> <6>に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
<12> 下記一般式(2)で表される金属錯体化合物及びその互変異性体。
【0022】
【化4】



【0023】
〔一般式(2)中、Aは、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基であり、nは2又は3を表し、Mはn価の金属イオンを表す。〕
【0024】
【化5】



〔一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【0025】
<13> 前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体である<12>に記載の金属錯体化合物及びその互変異性体。
【0026】
【化6】



【0027】
〔一般式(3)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、Xは、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Yは、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表し、R及びRは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。〕
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、色純度及び堅牢性に優れた着色膜を形成できる固体分散液を提供することができる。
また、本発明によれば、色移りが抑制され、色純度及び堅牢性に優れた着色パターンを形成できる着色感光性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、色純度及び堅牢性に優れた着色画素を形成できるインクジェット用インクを提供することができる。
また、本発明によれば、色純度及び堅牢性に優れたカラーフィルタ及びその製造方法、並びに、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子及び表示装置を提供することができる。
また、本発明によれば、色純度及び堅牢性に優れた金属錯体化合物及びその互変異性体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0030】
≪固体分散液≫
本発明の固体分散液は、溶剤と、前記溶剤に対し不溶な着色剤(以下、「特定着色剤」ともいう)と、を含有し、前記着色剤が、下記一般式(1)で表される化合物が金属又は金属化合物に配位した錯体(以下、「特定錯体」ともいう)であって前記溶剤に対し不溶な錯体(金属錯体化合物)であるか、又は、前記特定錯体が前記溶剤に対し不溶化された錯体(金属錯体化合物)である。
即ち、本発明の固体分散液においては、溶剤中に前記特定着色剤が固体(顔料)として分散されている。
固体分散液を上記本発明の構成とすることにより、前記特定錯体が有する良好な色純度を維持したまま、堅牢性(耐熱性及び耐光性)を向上させることができる。
従って、本発明の固体分散液によれば、色純度に優れ、堅牢性に優れた着色膜を形成できる。
更に、本発明の固体分散液は保存安定性にも優れる。
以上により、本発明の固体分散液は、後述する本発明の着色感光性組成物や本発明のインクジェット用インクに好適に用いられる。
【0031】
更に、本発明者等の検討により、前記特定着色剤は、分散剤を用いることなく(用いたとしても固体分散液の全固形分中10質量%以下の含有量で)溶剤中に固体分散させることができることがわかった。
これにより、後述するように、形成される着色膜(着色パターン、着色画素、等)の薄膜化、感度及びパターン形成性の向上、等の各効果が得られることがわかった。
以下、まず本発明の固体分散液に含まれる着色剤について説明する。
【0032】
<着色剤>
本発明における着色剤(特定着色剤)は、下記一般式(1)で表される化合物が金属又は金属化合物に配位した錯体(特定錯体)であって本発明の固体分散液に含まれる溶剤に対して不溶な錯体(金属錯体化合物)であるか、または、前記特定錯体が前記溶剤に対して不溶化された錯体(金属錯体化合物)である。
本発明において、「不溶化」、「不溶」、又は「溶解しない」とは、溶剤に対する25℃における溶解度が1質量%以下である状態を指す。前記溶解度は、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.25質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下である。不溶化の具体的形態については後述する。
以下、まず特定錯体について説明する。
【0033】
(特定錯体)
〜一般式(1)で表される化合物〜
本発明における特定錯体は、下記一般式(1)で表される化合物(ジピロメテン系化合物)又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体である。
【0034】
【化7】



【0035】
一般式(1)中のR〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0036】
一般式(1)中のR〜Rにおける置換基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、
【0037】
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルN−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、
【0038】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)を表す。
【0039】
一般式(1)中のR〜Rの置換基が更に置換可能な基である場合には、R〜Rで説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
一般式(1)中のRとR、RとR、RとR、又は/及びRとRが各々独立に互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記R〜Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)中のRとR、RとR、RとR、又は/及びRとRが、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
【0041】
一般式(1)中のRは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、前記R〜Rの置換基で説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基と同じ基を表し、その好ましい範囲も同様である。
のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が、更に置換可能な基である場合には、前記R〜Rの置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
〜金属又は金属化合物〜
本発明における特定錯体は、既述の一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体である。
ここで、金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。金属又は金属化合物としては、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOが更に好
ましく、Znが最も好ましい。
【0043】
次に、本発明における特定錯体の好ましい範囲について説明する。
本発明における特定錯体の好ましい範囲は、一般式(1)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基であり、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、金属又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOである範囲である。
【0044】
本発明における特定錯体のより好ましい範囲は、一般式(1)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、金属又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOである範囲である。
【0045】
本発明における特定錯体の特に好ましい範囲は、一般式(1)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であり、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、Rが、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、金属又は金属化合物が、Zn、Cu、Co、又はVOである範囲である。
【0046】
〜一般式(3)で表される化合物〜
本発明における特定錯体としては、一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
【0047】
【化8】



【0048】
一般式(3)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、Xは、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Yは、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表し、R及びRは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。
【0049】
一般式(3)中のR〜R、及びRは、一般式(1)中のR〜R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(3)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記特定錯体の説明で記載した金属又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0050】
一般式(3)中、R及びRは、各々独立にアルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ドデシルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、t−オクチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ)、アリールアミノ(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N−エチル−N−フェニルアミノ)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール、3−アミノピラゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン)を表す。
【0051】
一般式(3)中、R及びRのアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記R〜Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
一般式(3)中、Xは、NR、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa、酸素原子、又は硫黄原子を表し、RとRaはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル)を表す。
前記RとRaのアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基は、更に、前記R〜Rの置換基で説明した
基で置換されていても良く、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は
同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
一般式(3)中、Yは、NRc、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表し、Rcは、前記XのRと同義である。
【0054】
一般式(3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
【0055】
一般式(3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員、6員、又は7員の環を形成していても良い。形成される5員、6員、及び7員の環は、前記のRとY及び炭素原子で形成される環から、1個の結合が二重結合に変化した環が挙げられる。
【0056】
一般式(3)中、RとY、及びRとYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な環である場合には、前記R〜Rの置換基で説明した基で置換されていても良く、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0057】
一般式(3)で表される化合物の好ましい態様としては、R〜R、R、及びMaはそれぞれ、前記特定錯体の説明で記載した好ましい態様であり、XはNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は酸素原子であり、XはNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基)、又は酸素原子であり、YはNRc(Rcは水素原子、又はアルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Yは窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基、又はRとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、又はRとYとが互いに結合して5員、6員環を形成し、aは0又は1で表される。
【0058】
一般式(3)で表される化合物の更に好ましい態様としては、R〜R、R、Maはそれぞれ、一般式(1)で表される化合物の説明で記載した特に好ましい態様であり、X及びXは、酸素原子であり、YはNHであり、Yは窒素原子であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、R、Rは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基、又はRとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、又はRとYとが互いに結合して5員、6員環を形成し、aは0又は1で表される。
【0059】
以上、本発明における特定錯体について説明した。
本発明における特定着色剤は、既述の特定錯体であって本発明の固体分散液に含まれる溶剤に対し不溶な錯体であるか、または、既述の特定錯体が本発明の固体分散液に含まれる溶剤に対し不溶化された錯体である。
【0060】
前記「溶剤に対し不溶な錯体」は、前記溶剤との関係で不溶であれば特に限定はなく、例えば、特定錯体が前記溶剤に対し不溶となるように、一般式(1)中のR〜R(または一般式(3)中のR〜R、R〜R、X、X、Y、Y)を適宜選択した形態が挙げられる。
例えば、前記溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、及びシクロヘキサノンから選択される少なくとも1種を含む場合、「溶剤に対し不溶な錯体」の好ましい形態は、一般式(1)中のR〜R(または一般式(3)中のR〜R、R、R)に、アリール基を有する基が4つ以上含まれる形態である(その他の基の好ましい範囲は、既述の一般式(1)又は一般式(3)の好ましい範囲と同様である)。この形態の中でも、一般式(1)(または一般式(3))中のR及びRがアリール基である形態が特に好ましい。
【0061】
前記「溶剤に対し不溶化された錯体」の具体的形態としては特に限定はないが、例えば、特定錯体がレーキ化されてなるレーキ顔料の形態が好適である。
前記レーキ顔料の中でも、下記一般式(2)で表される金属錯体化合物(以下、「一般式(2)で表される化合物」ともいう)又はその互変異性体が特に好ましい。
【0062】
〜一般式(2)で表される化合物〜
本発明における一般式(2)で表される化合物について詳細に説明する。
【0063】
【化9】



【0064】
一般式(2)中、Aは、前記特定錯体(前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体)の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基であり、nは2又は3を表し、Mはn価の金属イオンを表す。
【0065】
一般式(2)で表される化合物は、カルボキシル基を置換基として有するピロメテン系金属錯体を多価金属イオンでレーキ化して不溶化したもの、即ち、レーキ顔料である。
該レーキ顔料は、濃度が高く、鮮明な色相及び高い透明性を示す着色剤であり、一般的な有機顔料(レーキ顔料以外の顔料)と比して、薄膜/高感度化が要求されているカラーフィルタ用途において特に好ましい着色剤の形態である。
ピロメテン系金属錯体をレーキ化した例はこれ迄に全く知られておらず、カラーフィルタ用途に特に好適に用いることができることは想像できないものであった。
【0066】
一般式(2)中、Aは、前記特定錯体(前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体)の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基を表す。
前記特定錯体の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基として好ましい態様は、化合物であるか残基であるかの違いを除き、上述した特定錯体の好ましい態様と同様である。
前記特定錯体から水素原子を1個取り除く位置として、好ましくは、一般式(1)中のR、R、R、R、RまたはRである。
【0067】
前記Aとしては、前記一般式(3)で表される化合物の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基であることがより好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基として好ましい態様は、化合物であるか残基であるかの違いを除き、上述した一般式(3)の好ましい態様と同様である。
一般式(3)で表される化合物から水素原子を1個取り除く位置として、好ましくは、R、R、R、R、RまたはRであり、より好ましくはR、R、RまたはRであり、特に好ましくはRまたはRである。
【0068】
一般式(2)中、nは2または3を表す。
【0069】
一般式(2)中、Mはn価の金属イオンを表す。金属イオンの例には、アルカリ土類金属イオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+など)や、遷移金属イオン(例えば、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Fe3+など)及びその他の金属イオン(例えば、Al3+)などが挙げられる。
Mとして、好ましくはアルカリ土類金属イオンまたは遷移金属イオンであり、より好ましくはMg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+、Cu2+、Zn2+であり、特に好ましくはMg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+、Zn2+である。
【0070】
本発明における特定着色剤(例えば、一般式(2)で表される金属錯体化合物又はその互変異性体)のモル吸光係数は、膜厚の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。
具体的には、最大吸収波長λmaxにおけるモル吸光係数が、100,000Lmol−1cm−1以上が好ましく、150,000Lmol−1cm−1以上がより好ましい。
また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。なお、最大吸収波長、及びモル吸光係数は、分光光度計UV−3100(島津製作所社製)により測定されるものである。
本発明における特定着色剤としては、色純度及び透明性の観点から、「溶剤に対し不溶化された錯体」が好ましく、特定錯体がレーキ化されてなるレーキ顔料がより好ましく、一般式(2)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
【0071】
以下に、本発明における一般式(1)で表される特定着色剤の代表例を示すが、本発明は下記例示化合物に何ら限定されるものではない。なお、例示化合物(1−1)〜(1−6)、(2−1)〜(2−5)、(3−1)〜(3−5)および(4−1)〜(4−5)は、一般式(2)で表される不溶化された金属錯体化合物(レーキ化合物)の代表例であり、例示化合物(5)〜(7)は一般式(3)で表される不溶な金属錯体化合物の代表例でもある。
【0072】
【化10】

【0073】
【化11】

【0074】
【化12】

【0075】
【化13】

【0076】
【化14】



【0077】
以上、本発明における特定着色剤について説明したが、本発明の固体分散液において、特定着色剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の固体分散液では、特定着色剤とその他の着色剤とを併用してもよい。その他の着色剤の例については後述する。
本発明の固体分散液の全量中における特定着色剤の含有量(2種以上の場合には総含有量)は、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
【0078】
本発明の固体分散液中における固体粒子(特定着色剤粒子、又は、特定着色剤を含む固体粒子)の平均一次粒子径としては、10〜200nmが好ましく、20〜150nmがより好ましく、30〜150nmが特に好ましい。
【0079】
<着色剤の合成方法>
以下、本発明における着色剤(例えば、一般式(2)で表される金属錯体化合物)の合成方法の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ジピロメテン金属錯体は例えば特開2008−292970号公報記載の合成法を参照し、原料化合物を選択することにより、同様にして合成することができる。
【0080】
(例示化合物1−1の合成)
下記前駆体(1)11.4gをTHF100mLに溶解させ室温で飽和塩化カルシウム水溶液を20mL滴下した。THFを減圧留去し、ここに更に水を100mL加え室温で1時間拡販し析出している結晶をろ過して温水で水洗し、例示化合物1−1の桃色固体を得た。収量11.5g。例示化合物1−1のDMF中吸収スペクトルは最大極大波長547nmを示した(室温、希薄溶液)。また、最大吸収波長(最大極大波長)におけるモル吸光係数は245,000Lmol−1cm−1であった。
また、例示化合物1−1の同定は、以下の測定値に基づいて行った。
元素分析:理論値C63.05%、H8.24%、N4.62%、測定値C63.33%、H8.38%、N4.77%。原子吸光分析:理論値Ca1.72wt―%、Zn5.62wt−%、測定値Ca1.69wt−%、Zn5.66wt−%。
【0081】
【化15】



【0082】
その他の例示化合物も上記例示化合物1−1の合成法に準じて合成することができる。
【0083】
本発明のレーキ顔料は、上述のようなレーキ化後、後処理を行ってもよい。後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤および分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
【0084】
後処理として溶媒加熱処理および/またはソルベントソルトミリングを行なうことが好ましい。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、またはこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、さらに無機または有機の酸または塩基を加えても良い。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
ソルベントソルトミリングとしては、例えば、粗アゾ顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行うことが挙げられる。上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。当該無機塩の使用量は、粗アゾ顔料に対して3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好適に使用でき、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールまたはこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、レーキ顔料に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20〜130℃が好ましく、40〜110℃が特に好ましい。混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
【0085】
<溶剤>
本発明の固体分散液は溶剤を含む。
溶剤としては、前記本発明の着色剤(特定着色剤)を溶解しない溶剤であれば特に制限なく用いることができ、例えば、以下に列挙する溶剤の中から少なくとも1種を選択して用いることができる。
【0086】
前記溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0087】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0088】
また、固体分散液中における溶剤としては、上述のレーキ化後の後処理で用いられる溶剤として例示したものを用いてもよい。
【0089】
これらの溶剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
混合溶剤として特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶剤である。
【0090】
溶剤の固体分散液中における総含有量としては、固体分散液中の全固形分濃度が5〜50質量%になる量が好ましく、10〜40質量%になる量がより好ましく、10〜30質量%になる量が特に好ましい。
【0091】
<その他の成分>
本発明の固体分散液には、必要に応じ、その他の成分(公知の各種添加物、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、pH調整剤、凝集防止剤)等を配合することができる。
但し、形成される着色膜の薄膜化の観点からは、その他の成分の含有量は、固体分散液の全固形分に対し10質量%以下であることが好ましい。
【0092】
さらに、固体分散物の分散性を向上させるため、分散剤を併用してもよい。前記一般式(1)〜(3)で表される着色剤を非水系ビヒクルに分散してなるものであり、非水系ビヒクルに使用される樹脂は、例えば、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン/マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。非水系ビヒクルとして、光硬化性樹脂を用いてもよい。但し、形成される着色膜の薄膜化の観点からは、固体分散液の全固形分に対して少ないほどよく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
【0093】
≪着色感光性組成物≫
本発明の着色感光性組成物は、既述の本発明の固体分散液を含む。
このため、本発明の着色感光性組成物によれば、色純度に優れ、堅牢性に優れた着色パターンを形成できる。また、本発明の着色感光性組成物は保存安定性にも優れる。
更に、本発明の着色感光性組成物によれば、形成された着色パターンの隣接された層や積層された層への色移りが抑制され、該着色パターンの耐溶剤性や耐アルカリ性が向上する。
【0094】
また、前述のとおり、本発明の固体分散液は分散剤の含有量を少なくすることができる(例えば、全固形分中における含有量を10質量%以下とすることができる)ため、本発明の固体分散液を含む着色感光性組成物においても分散剤の含有量を少なくすることができる(例えば、全固形分中における含有量を10質量%以下とすることができる)。これにより、以下の効果が得られる。
(1)分散剤の含有量を少なくすることにより、着色剤以外の成分の含有量を相対的に少なくすることができ、その結果、色濃度を高く維持したまま、形成される着色パターンを薄膜化させることができる。
(2)分散剤の含有量を少なくする分、フォトリソ性に寄与する成分(感放射線性化合物、重合性化合物、バインダー等)の含有量を相対的に増加させることができ、その結果、感度及びパターン形成性が向上する。
【0095】
本発明の着色感光性組成物は、ポジ型、ネガ型のいずれであってもよく、感放射線性化合物や重合性化合物(例えば重合性モノマー)を更に含有することが好ましい。また、一般には更に溶剤を用いて構成することができ、必要に応じて更にバインダーや架橋剤など他の成分を用いて構成することができる。
以下、本発明の着色感光性組成物の各成分について説明する。
【0096】
<固体分散液>
本発明の着色感光性組成物に含まれる固体分散液については、前記≪固体分散液≫の項で説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
本発明の着色感光性組成物の全量中における固体分散液の含有量は、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜60質量%が特に好ましい。
【0097】
本発明の着色感光性組成物の全固形分中における特定着色剤の含有量(2種以上の場合には総含有量)は、着色剤の分子量やモル吸光係数によっても異なるが、0.5〜80質量%が好ましく、0.5〜70質量%がより好ましく、1〜70質量%が特に好ましい。
【0098】
<重合性化合物>
本発明の着色感光性組成物は、重合性化合物の少なくとも一種を含有することによって好適に構成することができる。重合性化合物は、着色感光性組成物をネガ型に構成する場合に主として含まれる。
尚、重合性化合物は、後述のナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型の系に、後述の光重合開始剤と共に含有でき、この場合には形成されるパターンの硬化度をより促進させることができる。以下、重合性化合物について説明する。
【0099】
上記重合性化合物として、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0100】
モノマー及びその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0101】
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0102】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
【0103】
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0104】
【化16】



【0105】
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0106】
本発明の着色感光性組成物中における重合性化合物の含有量は、該着色感光性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0107】
本発明の着色感光性組成物中、特定着色剤と重合性モノマーとの含有質量比(一般式(1)で表される化合物:重合性モノマー)は、薄層化観点から、1:2〜20:1であることが好ましく、1:1〜10:1であることがより好ましい。
【0108】
<感放射線性化合物>
本発明の着色感光性組成物は、感放射線性化合物の少なくとも一種を含有することにより好適に構成することができる。
感放射線性化合物は、400nm以下のUV光に対し、ラジカル発生、酸発生、塩基発生などの化学反応を起こし得る化合物であることが好ましい。これにより、例えば、バインダーを架橋、重合、酸性基の分解などの反応により不溶化させたり、塗膜中に共存する重合性モノマーやオリゴマーの重合、架橋剤の架橋などを起こすことで塗膜をアルカリ現像液に対して不溶化させることができる。
【0109】
本発明の着色感光性組成物がネガ型に構成される場合には、前記感放射線性化合物として光重合開始剤を含有することが好適であり、本発明の着色感光性組成物がポジ型に構成する場合には前記感放射線性化合物としてナフトキノンジアジド化合物を含有することが好適である。
【0110】
(光重合開始剤)
前記光重合開始剤は後述する重合性モノマーを重合させられるものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれることが好ましい。
尚、光重合開始剤は、上記のナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型の着色感光性組成物に更に含有させてもよく、この場合には形成されるパターン硬化度をより促進させることができる。
それらの光重合開始剤、及びナフトキノンジアジド化合物の例としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0260]〜[0271]段落に記載の化合物が挙げられる。
【0111】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。光重合開始剤の具体例については、特開2004−295116号公報の段落〔0070〕〜〔0077〕に記載のものが挙げられる。
中でも、前記重合開始剤としては、重合反応が迅速である点等から、オキシム系化合物(本発明において「オキシム系光重合開始剤」ともいう)が好ましい。
【0112】
前記オキシム系光重合開始剤としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報(段落番号0004〜0296)、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報、特開2006−342166号公報(段落番号0004〜0264)等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0113】
これらのうち、より少ない露光量で形状(特に、固体撮像素子の場合はパターンの矩形性)の良好なパターンが得られる点で、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン等のオキシム−O−アシル系化合物が特に好ましく、具体的には、例えば、CGI−124、CGI−242(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0114】
また、前記重合開始剤としては、特開2007−269779号公報(段落番号0016〜0082)に記載されている、下記一般式(OX−1)で表されるオキシム系光重合開始剤も好ましい。
【0115】
【化17】



【0116】
[式(OX−1)中、R1’は、芳香環またはヘテロ芳香環を含む置換基を表す。Rlaは、下記(A)群から選択される少なくとも1つの置換基を有するアルキル基である。R2aは、アルカノイル基、アルケノイル基、アリーロイル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、ヘテロ環チオカルボニル基、ヘテロアリールチオカルボニル基、−CO−CO−Rd(Rdは置換基を有しても良い芳香環またはヘテロ芳香環を表す。)を表す。nは1〜6の整数を示す。]
<(A)群>
シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、−NArAr’、−SAr、−COOH、−CONRaRb、−NRa−CO−Rb、−O−CO−NRaRb、−NRa−CO−ORb、−NRa−CO−NRaRb、−SO−Rc、−SO−Rc、−O−SO−Rc、−SO−NRaRb、−NRa−SO−Ra、−CO−NRa−CORb、−CO−NRa−SO−Rb、−SO−NRa−CO−Rb、−SO−NRa−SO−Rc、−Si(Ra)(ORb)、及びヘテロ環基。ここで、Ar、Ar’は独立に、置換基を有しても良い芳香環またはヘテロ芳香環を示し、Ra、Rbは独立に水素原子、置換基を有しても良い、アルキル基、芳香環、又はヘテロ芳香環を示し、Rcは置換基を有しても良い、アルキル基、芳香環、又はヘテロ芳香環を示し、l、mはそれぞれ0〜3の整数を示し、l+m=3を満たす。
【0117】
また、本発明においては、感度、径時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム系化合物として、下記一般式(OX−2)で表される化合物がより好ましい。
【0118】
【化18】



【0119】
上記一般式(OX−2)中、R及びXは、各々独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5の整数である。
【0120】
Rとしては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0121】
Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0122】
Arとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
【0123】
Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(OX−2)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
【0124】
以下、一般式(OX−2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0125】
【化19】

【0126】
また、本発明の着色感光性組成物には、上記の光重合開始剤のほかに、特開2004−295116号公報の段落〔0079〕に記載の他の公知の光重合開始剤を使用してもよい。
【0127】
着色感光性組成物がネガ型の場合、上記光重合開始剤の着色感光性組成物中における含有量は、前記重合性化合物の固形分に対して0.01〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると重合が良好に進み、また、良好な膜強度が得られる。
【0128】
(ナフトキノンジアジド化合物)
次に、本発明の着色感光性組成物がポジ型の場合に含まれ得るナフトキノンジアジド化合物について説明する。
該ナフトキノンジアジド化合物は、少なくとも1つのo−キノンジアジド基を有する化合物であり、例えば、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸アミド、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド等が挙げられる。これらのエステルやアミド化合物は、例えば特開平2−84650号公報、特開平3−49437号公報において一般式(I)で記載されているフェノール化合物等を用いて公知の方法により製造することができる。
【0129】
着色感光性組成物がポジ型の場合、上記ナフトキノンジアジド化合物の着色感光性組成物中における含有量は、2質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることがより好ましい。
【0130】
<バインダー>
本発明の着色感光性組成物は、バインダーの少なくとも一種を含有することが好ましい。前記バインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特には限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
【0131】
アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。
このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。また、線状有機高分子重合体としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0227]〜[0234]段落に記載の重合体が挙げられる。
【0132】
上述したものの他、本発明におけるアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0133】
また、アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0134】
アルカリ可溶性バインダーとしては、下記一般式(E−1)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を重合してなるポリマー(a)を用いることも好ましい。
【0135】
【化20】



【0136】
式(E−1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
【0137】
本発明の着色感光性組成物が前記ポリマー(a)を含有することにより、該組成物を用いて形成された硬化塗膜の耐熱性及び透明性がより向上する。
前記エーテルダイマーを示す前記一般式(E−1)中、RおよびRで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ステアリル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基等のアリール基;シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタジエニル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、等の脂環式基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル基等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
これらの中でも特に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素を含む基が耐熱性の点で好ましい。
なお、RおよびRは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0138】
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0139】
また、アルカリ可溶性バインダーとしては、エポキシ基を有するポリマーであることも好ましい。
アルカリ可溶性バインダーにエポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーを得る際の単量体成分が前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。
【0140】
アルカリ可溶性バインダーは、酸基を有するポリマーであることも好ましい。
前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合後に酸基を付与しうるモノマーを用いる場合において、重合後に酸基を付与するための処理としては、ポリマー側鎖の極性基の一部を、ポリマー反応により変性する処理が挙げられる。
【0141】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0142】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0143】
(アルカリ可溶性フェノール樹脂)
また、本発明におけるバインダーとしては、アルカリ可溶性フェノール樹脂を用いることもできる。該アルカリ可溶性フェノール樹脂は、本発明の着色感光性組成物をポジ型の組成物とする場合に好適に用いることができる。アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、又はビニル重合体等が挙げられる。
上記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、又はビスフェノールA等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記フェノール類及びアルデヒド類は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0144】
上記ノボラック樹脂の具体例としては、例えば、メタクレゾール、パラクレゾール又はこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。
【0145】
上記ノボラック樹脂は分別等の手段を用いて分子量分布を調節してもよい。又、ビスフェノールCやビスフェノールA等のフェノール系水酸基を有する低分子量成分を上記ノボラック樹脂に混合してもよい。
【0146】
以上で説明した本発明におけるバインダーは、質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体が更に好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
また、アルカリ可溶性バインダーの酸価としては50〜300mgKOH/gが好ましく、75〜200mgKOH/gがより好ましく、80〜160mgKOH/gが特に好ましい。酸価がこの範囲にあるとパターン形成時に現像残渣がより残りにくく、且つ塗布均一性がより良好となる。
本発明の着色感光性組成物中の上記バインダーの使用量は、本発明の着色感光性組成物の全固形分に対して、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%が更に好ましく、30質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0147】
<架橋剤>
本発明の着色感光性組成物は、本発明の固体分散物を含有することにより、従来との比較において、より色純度に優れ、薄層化可能な高い吸光係数を有し、且つ堅牢性に優れるものとすることができるが、これに更に補足的に架橋剤を用いることによって、より高度に硬化させた膜が得られるように構成することも可能である。
【0148】
架橋剤としては、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、またはウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたフェノール化合物、ナフトール化合物、またはヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0149】
前記(a)エポキシ樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれでもよく、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
【0150】
前記架橋剤(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数としては、メラミン化合物の場合は2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合は5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
【0151】
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物およびウレア化合物を総じて、(b)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、またはアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
【0152】
前記(b)に係るメチロール基含有化合物は、(b)に係るアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(b)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
【0153】
以下、前記置換基を有する(b)に係る化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物またはその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物またはその混合物、などが挙げられる。
【0154】
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物またはその混合物などが挙げられる。
【0155】
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物またはその混合物、などが挙げられる。
【0156】
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物またはその混合物、テトラメトキシエチルウレア、などが挙げられる。
(b)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0157】
前記架橋剤(c)、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物、またはヒドロキシアントラセン化合物は、前記架橋剤(b)の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。
以下、これら化合物を総じて、(c)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、またはアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
【0158】
前記架橋剤(c)に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基、アルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱架橋性および保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。骨格となるフェノール化合物の3位または5位は、未置換であっても置換基を有していてもよい。また、骨格となるナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
【0159】
前記(c)に係るメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基のオルト位またはパラ位(2位または4位)が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)に係るアルコキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
【0160】
架橋剤(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位またはパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
【0161】
前記架橋剤(c)の具体例としては、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール、等が挙げられる。
【0162】
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
また、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、上記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部または全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0163】
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体またはそれらのメチロール基がアルコキシメチル基およびメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
【0164】
本発明の着色感光性組成物が架橋剤を含有する場合、その総含有量は、該組成物の全固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。
該含有量が前記範囲内であると、充分な硬化度と未硬化部の溶出性とを保持でき、硬化部の硬化度が不足したり、未硬化部の溶出性が著しく低下することを防ぐことができる。
【0165】
<溶剤>
本発明の着色感光性組成物を調製する際には、一般に溶剤を含有することができる。
本発明の着色感光性組成物における溶剤としては、前記本発明の着色剤(特定着色剤)を溶解しない溶剤であれば特に限定はない。
また、溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や着色感光性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0166】
前記溶剤の例としては、前述のレーキ化後の後処理で用いられる溶剤や、固体分散液中における溶剤として例示したものが挙げられる。また、特開2008−292970号公報の段落番号[0272]に記載の溶剤を用いてもよい。
なかでも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
これらの溶剤は一種単独で用いてもよいが、固体分散物の分散安定性、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。
溶剤の着色感光性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0167】
<その他の着色剤>
本発明の着色感光性組成物は、前述の特定着色剤以外のその他の着色剤を含有していてもよい。
本発明の着色感光性組成物にその他の着色剤を含有させる場合、既述の本発明の固体分散液中に含有させて着色感光性組成物を調製してもよいし、本発明の固体分散液とは別に、その他の着色剤の分散液又は溶液を調製し、得られた分散液又は溶液と、本発明の固体分散液と、を混合して着色感光性組成物を調製してもよい。
その他の着色剤としては、特に制限はなく、染料であっても顔料であってもよく、従来カラーフィルタ用途として用いられている公知の色素を使用できる。例えば、特開2002-14220号公報、特開2002-14221号公報、特開2002-14222号公報、特開2002-14223号公報、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、等に記載の色素である。
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、べンゾピラン系、インジゴ系等の色素が使用できる。
【0168】
特定着色剤と併用できるその他の着色剤としては、形成される着色パターン(カラーフィルタ)の色純度等の観点より、フタロシアニン系顔料が好適である。
前記フタロシアニン系顔料としては、フタロシアニン骨格を有する顔料であれば特に制限されるものではない。また、フタロシアニン系顔料に含まれる中心金属としては、フタロシアニン骨格を構成できる金属であればよく、特に限定されない。その中でも、中心金属としては、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムが好ましく用いられる。
【0169】
本発明におけるフタロシアニン系顔料として、具体的には、C.I.ピグメントブルー15,C.I.ピグメントブルー15:1,C.I.ピグメントブルー15:2,C.I.ピグメントブルー15:3,C.I.ピグメントブルー15:4,C.I.ピグメントブルー15:5,C.I.ピグメントブルー15:6,C.I.ピグメントブルー16,C.I.ピグメントブルー17:1,C.I.ピグメントブルー75,C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7,C.I.ピグメントグリーン36,C.I.ピグメントグリーン37、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンオキシド、亜鉛フタロシアニンが挙げられる。中でも、耐光性と着色力との点から、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー15:1,C.I.ピグメントブルー15:2が好ましく、特に、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。
【0170】
本発明の着色感光性組成物がフタロシアニン系顔料を含む場合、その含有量としては、着色感光性組成物の全固形分成分に対して、10質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましく、35質量%〜50質量%が最も好ましい。
【0171】
<重合禁止剤>
本発明の着色感光性組成物においては、該着色感光性組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
【0172】
<界面活性剤>
本発明の着色感光性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤の各種界面活性剤を使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に、流動性)をより向上させ、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
すなわち、フッ素系界面活性剤を含有する着色感光性組成物においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0173】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であると、塗布厚均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中への溶解性も良好である。
【0174】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(ゼネカ社製)等が挙げられる。
【0175】
また、カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業社製))、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越シリコーン社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
更に、アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばトーレシリコーン株式会社製「トーレシリコーンDC3PA」、「同SH7PA」,「同DC11PA」,「同SH21PA」,「同SH28PA」、「同SH29PA」、「同SH30PA」、「同SH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−444(4)(5)(6)(7)6」、「TSF−44 60」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、ビッグケミー社製「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は2種類以上を組み合わせても良い。
【0176】
<有機カルボン酸>
また、非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、着色感光性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことが好ましい。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0177】
<その他の添加物>
着色感光性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の着色感光性組成物においては、特開2004−295116号公報の段落〔0078〕に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0178】
<着色感光性組成物の調製方法>
本発明の着色感光性組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。
本発明の着色感光性組成物の調製に際しては、組成物の上述の各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。全成分を同時に溶剤に溶解して組成物を調製してもよいし、必要に応じては各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された組成物は、好ましくは孔径0.01〜3.0μm,より好ましくは孔径0.05〜0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
【0179】
本発明の着色感光性組成物は、各種表示装置(例えば、液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、等)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として好適に用いることができる。特に、CCD、CMOS等の固体撮像素子用の着色画素形成用として好適に用いることが出来る。
本発明の着色感光性組成物は、既存の顔料系の着色感光性組成物と比して着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。また本発明の着色感光性組成物は、従来提案されている染料を用いた系と比して、色移りの点からも有利であり、画素サイズの小さな固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。
【0180】
一般には、カラーフィルタを構成する画素パターンサイズ(基板法線方向からみた画素パターンの辺長)が2μm以下である場合(例えば0.5〜2.0μm)は、着色剤量が増大したり、更には色相が青色系であること等により、線幅感度が悪くなり、DOFマージンが狭くなる結果、パターン形成性が損なわれやすい。これは、特に画素パターンサイズが1.0〜1.7μm(更に1.2〜1.5μm)の場合に顕著になる。また、厚み1μm以下の薄膜である場合、着色剤を除くフォトリソ性に寄与する成分の膜中の量が相対的に減少し、着色剤量の増大で他成分の量は更に減少して、低感度化し、低露光量領域ではパターンが剥離しやすくなる。この場合、ポストベーク等の熱処理を施した際に熱ダレを起こし易い。これらは、特に膜厚が0.005μm〜0.9μm(更に0.1μm〜0.7μm)の場合に顕著である。
【0181】
しかしながら、本発明の着色感光性組成物を用いれば、上記のような2μm以下の画素パターンサイズでも、パターン形成に優れ、良好な断面プロファイルを有するカラーフィルタを作製することができる。
【0182】
また、一般に染料を用いる硬化性組成物では、先に形成した他色のパターン(または層)に染料が塗布時に染み込みやすく混色を生じやすい(次色塗布時における染料の染み込み)。さらには、染料を用いる硬化性組成物では多量の染料の添加が必要であって、結果、フォトリソ性に寄与する成分の相対含有量が少なくなる。そのため感度低下により低露光量領域でパターンが剥離しやすくなる、またはアルカリ現像時の染料の溶出等により所望の形状や色濃度が得られない、等のパターン形成不良が生じやすい(アルカリ現像時の染料の溶出)。さらには、染料を用いる硬化性組成物では、成膜後に加熱処理を施した場合に、隣接画素間や積層状態での層間で色移りが生じやすい(加熱処理による熱拡散)。
【0183】
しかしながら、本発明の着色感光性組成物を用いれば、染料並みの透明性を保持しながら、上記の染料特有の、次色塗布時における染料の染み込み、アルカリ現像時の染料の溶出、加熱処理による熱拡散(色移り)が、大幅に抑制できたカラーフィルタを作製することができる。
【0184】
≪インクジェット用インク≫
本発明のインクジェット用インクは、既述の本発明の固体分散液を含有する。
このため、本発明のインクジェット用インクによれば、色純度に優れ、堅牢性に優れた着色画像(例えば着色画素)を形成できる。
また、本発明のインクジェット用インクは保存安定性にも優れる。
更に、本発明のインクジェット用インクは、連続的及び断続的な吐出の際にも、飛翔曲がり不吐出等の吐出の乱れが生じにくく、吐出安定性に優れ、一定期間休止後の回復性、さらに不吐出等が生じた場合の回復性に優れる。
本発明のインクジェット用インクは、インクジェット法によるカラーフィルタの作製に特に好適に用いられる。
【0185】
<固体分散液>
本発明のインクジェット用インクに含まれる固体分散液については、前記≪固体分散液≫の項で説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
本発明のインクジェット用インクにおける前記特定着色剤の含有量(2種以上の場合には総含有量)は、インク全量に対して、1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%以上であれば、カラーフィルタとして必要な光学濃度を達成するための膜厚をより薄くすることができ、そのためブラックマトリクスも薄くすることができ、ブラックマトリクス形成がより容易となる。
前記含有量20質量%以下であれば、インク粘度の上昇をより抑制でき、吐出性をより向上させることができ、また溶剤への分散がより容易となる。
【0186】
<溶剤>
本発明のインクジェット用インクは、溶剤を含有する。
本発明のインクジェット用インクにおける溶剤としては、前記本発明の着色剤(特定着色剤)を溶解しない溶剤であって、更に、着色剤以外の各成分の溶解性や後述する沸点を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に後述するバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。溶剤の例としては、特開2009−13206号公報の段落番号[0030]〜[0040]に記載の溶剤を挙げることができる。
また、本発明のインクジェット用インク中の溶剤としては、本発明の着色感光性組成物中の溶剤として説明した溶剤を用いることもできる。
【0187】
本発明のインクジェット用インク中の該溶剤の含有量は、インク全量に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜90質量%がさらに好ましい。30質量%以上であると1画素内に打滴されるインク量が保たれ、画素内でのインクの濡れ広がりが良好である。また、90質量%以下であると、インク中の機能膜(例えば画素など)を形成するための溶剤以外の成分量を所定量以上に保つことができる。これより、カラーフィルタを形成する場合には、1画素当たりのインク必要量が多くなり過ぎることがなく、例えば隔壁で区画された凹部にインクジェット法でインクを付与する場合に、凹部からのインク溢れや隣の画素との混色の発生を抑制することができる。
【0188】
本発明のインクジェット用インクは、ノズルに対するインクの吐出性及び基板に対する濡れ性の点で、上述した溶剤のうち、沸点の高い溶剤を含有していることが好ましい。
【0189】
本発明で用いられる溶剤の沸点は、130〜280℃であることが好ましい。
溶剤の沸点が130℃以上であれば、面内の画素の形状の均一性がより向上する。
溶剤の沸点が280℃以下であれば、プリベークによる溶剤除去性がより向上する。
なお、溶剤の沸点は、圧力1atmのもとでの沸点を意味し、化合物辞典(Chapman & Hall 社)などの物性値表により知ることができる。これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0190】
なお、上述のインクジェット用インクが後述する重合性化合物などを含まない場合、インクに含まれる溶剤を除去して得られるインク残部(色画素)の厚みが薄くなるため、混色などの防止目的で基板上に形成された隔壁の高さを低くすることができ、コスト・生産性の面から好ましい。
【0191】
<重合性化合物>
本発明のインクジェット用インクでは、重合性化合物を含んでいてもよい。
重合性化合物の添加により、インク液滴と基板との密着性が向上する。
併せて、上述した特定着色剤のインク中での分散均一性の向上や、耐候性・耐熱性などの堅牢性の向上が期待できる。
前記重合性化合物としては重合性モノマーが好ましく、該重合性モノマーとしては、特に制限は無いが、各種置換基のバリエーションが多く、入手が容易な点で、(メタ)アクリル系モノマー、エポキシ系モノマー、及びオキセタニル系モノマーから選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0192】
重合性モノマーとしては、重合性基を2つ以上有するモノマー(以下、「2官能以上のモノマー」ともいう)が好ましい。重合性モノマーとしては、活性エネルギー線及び/又は熱により重合反応可能であれば特に限定されるものではないが、膜の強度や耐溶剤性などの点から、重合性基を3つ以上有するモノマー(以下、「3官能以上のモノマー」ともいう)がより好ましい。
【0193】
上述した重合性基の種類としては、特に制限はないが、上記の通り、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基が特に好ましい。重合性モノマーの例としては、特開2009−13206号公報の段落番号[0054]〜[0068]記載の化合物が挙げられる。
また、本発明のインクジェット用インク中の重合性化合物としては、本発明の着色感光性組成物中の重合性化合物として説明した重合性化合物を用いることもできる。
【0194】
上述した重合性化合物の含有量は、インクジェット用インクの固形分中の30〜80質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく。重合性化合物の含有量が上記範囲内であれば、画素部の重合が十分となるため、画素部の膜強度の不足に起因する傷の発生が起こりにくくなる。さらには、透明導電膜を付与する際にクラックやレチキュレーションが発生しにくくなったり、配向膜を設ける際の耐溶剤性が向上したり、電圧保持率を低下させない等の効果が得られる。ここで、配合割合を特定するためのインクジェット用インクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性化合物なども固形分に含まれる。
【0195】
<バインダー樹脂>
本発明のインクジェット用インクには、粘度の調整やインク硬度の調整などの目的で、バインダー樹脂を入れてもよい。バインダー樹脂としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー樹脂を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット法により基板上に画素のパターンを形成後、該画素を重合反応により硬化させることのできるバインダー樹脂を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー樹脂や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー樹脂のような、重合硬化可能なバインダー樹脂を用いることができる。
また、本発明のインクジェット用インク中のバインダー樹脂としては、本発明の着色感光性組成物中のバインダーとして説明したものを用いることもできる。
【0196】
<重合開始剤>
本発明のインクジェット用インクは、重合性化合物及びバインダー樹脂の重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、インクジェット用インクに用いる重合性モノマー及びバインダーの種類、重合経路にあわせて選択することができる。
また、本発明のインクジェット用インク中の重合開始剤としては、本発明の着色感光性組成物中の光重合開始剤として説明したものを用いることもできる。
【0197】
<硬化剤>
エポキシ系モノマー(エポキシ基含有モノマー)、熱硬化性バインダー樹脂には、通常、硬化剤を組み合わせて配合することができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂技術協会発行の「総説エポキシ樹脂基礎編I」2003年11月19日発行、第3章に記載の硬化剤、促進剤を好適に用いることができ、例えば、多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を用いることができる。
【0198】
<界面活性剤>
本発明のインクジェット用インクには、さらに界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、着色組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
また、本発明のインクジェット用インク中の界面活性剤としては、本発明の着色感光性組成物中の界面活性剤として説明したものを用いることもできる。
【0199】
その他の添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
【0200】
本発明のインクジェット用インクの各成分の含有量としては、前述の特定着色剤の固体分散物の総含有量は1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、溶剤の含有量は30〜90質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましく、重合性化合物の含有量は5〜50質量%が好ましく、7〜30質量%がより好ましく、界面活性剤の含有量が0.1〜5質量%が好ましい。
【0201】
<インクジェット用インクの製造方法>
本発明のインクジェット用インクの製造には、公知のインクジェット用インクの製造方法を適用することが可能である。例えば、溶剤中に前述の特定着色剤を分散させた後、インクジェット用インクに必要な各成分(例えば重合性モノマーやバインダーなど)を溶解させてインクジェット用インクを調製することができる。
【0202】
モノマー液を作製する際には、溶剤に対して使用する素材の溶解性が低い場合には、モノマー液が重合反応を起こさない範囲内で、加熱や超音波処理等の処理を適宜行うことが可能である。
【0203】
前述の特定着色剤を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特開2001−240763号、特開2001−262039号、特開2001−247788号のように、特定着色剤と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散させたり、特開2001−262018号、特開2001−240763号、特開2001−335734号のように高沸点有機溶媒に分散させた特定着色剤を水性媒体中に分散させてもよい。前述の特定着色剤を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許文献に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、前述の特定着色剤を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
【0204】
分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット用インクの調製方法については、先述の特許文献以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特開2001−271003号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット用インクの調製にも利用できる。
【0205】
<インクジェット用インクの物性値>
本発明のインクジェット用インクの物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましい。また、装置で吐出する際には、インクジェットインクの温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。これにより、インク粘度の低下をより抑制でき、ノズル詰まりをより抑制できる。
【0206】
なお、粘度は、25℃にインクジェット用インクを保持した状態で、一般に用いられるE型粘度計(例えば、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いることにより測定される値である。
【0207】
また、インクジェット用インクの25℃の表面張力(静的表面張力)としては、非浸透性の基板に対する濡れ性の向上や、吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、装置で吐出する際には、インクジェット用インクの温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。インクジェット用インクの温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱又は冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱又は冷却を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
【0208】
上述の表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB-A3など)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃、60%RHにて測定される値である。
【0209】
また、インクジェット用インクが基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板に着弾後のインクジェット用インクの液物性を所定に保持することが好ましい。このためには、基板及び/又は基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
【0210】
≪カラーフィルタ及びその製造方法≫
本発明のカラーフィルタは、前記本発明の着色感光性組成物又は前記本発明のインクジェット用インクを用いてなるものである。このため本発明のカラーフィルタは、色純度及び堅牢性に優れる。
【0211】
次に、本発明の着色感光性組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)について説明する。
本発明の着色感光性組成物を用いて、フォトリソ法によりパターンを形成する方法としては、例えば、特開2008−292970号公報の段落番号[0277]〜[0284]に記載の方法が挙げられる。
【0212】
具体的には、前記着色感光性組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程(以下、「着色層形成工程」ともいう)と、形成された着色層をマスクを介して露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、露光された着色層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、「現像工程」ともいう)と、を有するカラーフィルタの製造方法が挙げられる。
【0213】
<着色層形成工程>
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色感光性組成物を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して、塗布層を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行い、該塗布層を乾燥させて着色層を形成する(着色層形成工程)。
【0214】
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)基板などが挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0215】
なお、着色感光性組成物を支持体上に回転塗布する際には、液の滴下量を低減のため、着色感光性組成物の滴下に先立ち、適当な有機溶剤を滴下、回転させることにより、着色感光性組成物の支持体への馴染みをよくすることができる。
【0216】
上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、着色感光性組成物により形成される着色層の厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、0.2μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.5μmであることが更に好ましく、0.3μm〜1.5μm最も好ましい。なお、ここでいう着色層の厚さは、プリベーク後の膜厚である。
【0217】
<露光工程>
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に形成された着色層には、マスクを介した露光が行われる(露光工程)。
この露光に適用し得る光若しくは放射線としては、g線、h線、i線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm〜10000mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
【0218】
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザー光源、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
【0219】
(レーザー光源を用いた露光工程)
前記レーザー光源を用いた露光方式では、光源として紫外光レーザーを用いることができる。レーザーは英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出により光の増幅)の頭文字である。反転分布をもった物質中でおきる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器および増幅器、励起媒体として結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー、液体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどの公知の紫外光に発振波長を有するレーザーを用いることができる。その中でも、レーザーの出力および発振波長の観点から、固体レーザー、ガスレーザーが好ましい。
【0220】
前記レーザー光源を用いた露光方式に用いることのできるレーザーとしては、300nm〜380nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である紫外光レーザーが、レジスト(着色感光性組成物)の感光波長に合致しているという点で好ましい。
【0221】
具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
被露光物(着色層)に対する露光量としては、1mJ/cm〜100mJ/cmの範囲であり、1mJ/cm〜50mJ/cmの範囲がより好ましい。露光量がこの範囲であると、パターン形成の生産性の点で好ましい。
【0222】
前記レーザー光源を用いた露光方式に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
【0223】
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、340〜370mにピーク波長を有するUV−LEDである。
【0224】
紫外光レーザーは平行度が良好なので、露光の際にマスクを使用せずとも、パターン露光ができる。しかし、マスクを用いてパターンを露光した場合、さらにパターンの直線性が高くなるのでより好ましい。
【0225】
露光した着色層は、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
また、露光は、着色層中の着色剤の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
【0226】
<現像工程>
続いて、露光後の着色層に対し、現像液にて現像を行う(現像工程)。これにより、ネガ型若しくはポジ型の着色されたパターン(レジストパターン)を形成することができる。
現像液は、着色層の未硬化部を溶解し、硬化部を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度が好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。特に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%となるように調整したアルカリ性水溶液を現像液として用いることができる。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは23℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行うことができる。
【0227】
また、アルカリ性水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄することが好ましい。洗浄方式も、目的に応じて適宜選択されるが、シリコンウエハ基板等の支持体を回転数10rpm〜500rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行うことができる。
【0228】
その後、必要に応じて、形成されたパターン(レジストパターン)に対し後加熱及び/又は後露光を行い、パターンの硬化を促進させてもよい(後硬化工程)。
【0229】
−紫外線照射工程−
紫外線照射工程は、前記現像工程により得られた着色パターンに、紫外光(UV光)(例えば、現像前の露光処理における露光量[mJ/cm]の10倍以上の照射光量[mJ/cm]の紫外光(UV光))を照射する。現像工程と後述の加熱処理との間に、紫外線照射工程を設けることで、後に加熱された際に色移りするのを効果的に防止できる。
【0230】
UV光を照射する光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、DEEP UVランプなどを用いることができる。中でも、照射される紫外光中に275nm以下の波長光を含み、かつ275nm以下の波長光の照射照度[mW/cm]が紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して5%以上である光を照射できるものが好ましい。紫外光中の275nm以下の波長光の照射照度を5%以上とすることで、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。この点から、前記パターン形成工程での露光に用いられるi線等の輝線などの光源と異なる光源、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯などを用いて行なうことが好ましい。中でも、前記同様の理由から、紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して7%以上が好ましい。また、275nm以下の波長光の照射照度の上限は、25%以下が望ましい。
【0231】
なお、積分照射照度とは、分光波長ごとの照度(単位面積を単位時間に通過する放射エネルギー;[mW/m])を縦軸とし、光の波長[nm]を横軸とした曲線を引いた場合に照射光に含まれる各波長光の照度の和(面積)をいう。
【0232】
UV光の照射は、前記パターン形成工程での露光時の露光量の10倍以上の照射光量[mJ/cm]として行なうことが好ましい。本工程での照射光量が10倍以下であれば、着色画素間や上下層間における色移りをより効果的に抑制できる。
中でも、UV光の照射光量は、パターン形成工程での露光時の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。
【0233】
この場合、照射される紫外光における積分照射照度が200mW/cm以上であることが好ましい。積分照射照度が200mW/cm以上であると、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。中でも、250〜2000mW/cmが好ましく、300〜1000mW/cmがより好ましい。
後加熱は、ホットプレートやオーブンを用いて、100℃〜300℃で実施することが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。後加熱時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
【0234】
後露光は、g線、h線、i線、KrF、ArF、UV光、電子線、X線等により行うことができるが、g線、h線、i線、UV光が好ましく、特に、UV光が好ましい。UV光を照射(UVキュア)を行う際は、20℃以上50℃以下(好ましくは25℃以上40℃以下)の低温で行うことが好ましい。UV光の波長は、200〜300nmの範囲の波長を含んでいることが好適であり、光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等を使用することができる。照射時間としては、10〜180秒、好ましくは20〜120秒、更に好ましくは30〜60秒である。
【0235】
後露光と後加熱は、どちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
【0236】
このようにして得られた着色パターンがカラーフィルタにおける画素を構成することになる。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前記パターン形成工程(及び必要に応じて硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。
【0237】
本発明に係る着色感光性組成物が、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、前掲の本発明に係る着色感光性組成物に含まれる溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明に係る着色感光性組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートおよびアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、着色感光性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加しても良い。
【0238】
更に、カラーフィルタの製造方法としては、インクジェット法を用いる方法が挙げられる。インクジェット法でカラーフィルタを製造する方法は特に限定されないが、隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、前記凹部に、インクジェット法によって、前記インクジェット用インクの液滴を付与して、カラーフィルタの着色画素を形成する工程と、を有する方法が好適である。例えば、特開2008−250188号公報の段落番号[0114]〜[0128]に記載の方法等を用いることができる。
【0239】
本発明のカラーフィルタは、さらに透明導電膜として、酸化インジウムスズ(ITO)層を有していてもよい。ITO層の形成方法としては、例えば、インライン低温スパッタ法や、インライン高温スパッタ法、バッチ式低温スパッタ法、バッチ式高温スパッタ法、真空蒸着法、及びプラズマCVD法などが挙げられ、特にカラーフィルタに対するダメージを少なくするため、低温スパッタ法が好ましく用いられる。
【0240】
<本発明のカラーフィルタの用途>
本発明のカラーフィルタは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶プロジェクタ、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの表示装置、特にカラー表示装置の用途に特に制限なく好適に適用できる。
また、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、内視鏡、携帯電話などに使用されるCCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子用のカラーフィルタとして好適に用いることができる。特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等に好適である。
【0241】
≪固体撮像素子≫
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えたものである。
本発明の固体撮像素子として、具体的には、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、内視鏡、携帯電話などに使用されるCCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサーが好適である。特に100万画素を超えるような高解像度のCCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサーが好適である。
固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、次のような構成が挙げられる。
即ち、支持体上に、受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、その上に、本発明のカラーフィルタを設け、次いで、マイクロレンズを積層する構成である。
【0242】
また、本発明のカラーフィルタを備えるカメラシステムは、色材の光褪色性の観点から、カメラレンズやIRカット膜が、ダイクロコートされたカバーガラス、マイクロレンズ等を備えており、その材料の光学特性は、400nm以下のUV光の一部又は全部を吸収するものであることが望ましい。また、カメラシステムの構造としては、色材の酸化褪色を抑止するため、カラーフィルタへの酸素透過性が低減されるような構造になっていることが好ましく、例えば、カメラシステムの一部又は全体が窒素ガスで封止されていることが好ましい。
【0243】
≪表示装置≫
本発明の表示装置は、本発明のカラーフィルタを備えたものである。
本発明の表示装置として、具体的には、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクタ、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビ用表示装置などの表示装置、特にカラー表示装置が好適である。
【0244】
表示装置の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0245】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性としては、通常の要求特性に加え、層間絶縁膜に対する要求特性、即ち低誘電率及び剥離液耐性が必要である。本発明のカラーフィルタでは、紫外光レーザーによる露光方法を用いることや、着色画素の色相や膜厚を選択することによって、露光光である紫外光レーザーの透過性を高めることができるものと考えられる。これによって、着色画素の硬化性が向上し、欠けや剥がれ、ヨレのない画素を形成できるので、TFT基板上に直接または間接的に設けた着色層の特に剥離液耐性が向上し、COA方式の液晶表示装置に有用である。低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
さらにCOA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜15μm程度の矩形のスルーホールあるいはコの字型の窪み等の導通路を形成する必要であり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
【0246】
前記液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。
これらの部材については、例えば、「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
【0247】
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木 隆明)などに記載されている。
【0248】
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0249】
以上、本発明の固体分散液、着色感光性組成物、インクジェット用インク、カラーフィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、表示装置、並びに金属錯体化合物及びその互変異性体について、種々の実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
【実施例】
【0250】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の範囲から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「%」及び「部」は「質量%」及び「質量部」を表し、「wt−%」及び「wt%」は「質量%」を表し、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
【0251】
[実施例1]
<固体分散液の調製>
例示化合物1−1(着色剤)40質量部を(平均粒子経270nm、最大吸収波長547nm)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)180質量部に、分散剤を用いずに、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間単独分散して、固体分散液を調製した。
調製された固体分散液について、固体微粒子(着色剤微粒子)の平均1次粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製))により測定したところ、85nmであった。
また、例示化合物1−1のPGMEAに対する25℃における溶解度は、0.2質量%であった。
【0252】
<C.I.Pigment Blue15:6分散液の調整>
C.I.Pigment Blue15:6を11.5質量部(平均粒子径55nm)、及び顔料分散剤BY−161(BYK社製)を3.5質量部、PGMEA85質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、顔料分散液を得た。顔料分散液について、顔料の平均1次粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製))により測定したところ、25nmであった。
【0253】
<着色感光性組成物の調製>
下記の各成分を混合して、着色感光性組成物である着色組成物1を得た。
【0254】
・上記固体分散液(例示化合物1−1の固体分散液) … 37.99部
・上記C.I.Pigment Blue15:6分散液(固形分濃度15%,顔料濃度11.5%) … 55.47部
・重合性モノマー(KAYARAD DPHA(日本化薬製)) … 3.34部
・重合開始剤(CGI−242(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;オキシム系重合開始剤)) … 0.96部
・樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体 30%PGMEA溶液(樹脂A)(モル比=70:30、重量平均分子量30000)) … 0.53部
・フッ素系界面活性剤(ソルスパース20000、ゼネカ製) 1%CyH溶液
… 0.1部
【0255】
<単色のカラーフィルタの作製及び色滲み評価>
(1)下塗り層付ガラス基板の作製
ガラス基板(コーニング1737)をオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このガラス基板上にCT−4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を乾燥膜厚1μmになるように塗布し、更に200℃のホットプレート上で5分加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付ガラス基板を得た。
【0256】
(2)着色感光性組成物の塗布、露光、現像
着色感光性組成物(着色組成物1)を、前記(1)で得られた下塗り層付ガラス基板の下塗り層上に塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.6μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが10.0μm四方のベイヤーパターンマスクを通して100〜2500mJ/cmの範囲で露光量を100mJ/cmずつ変化させて照射した。
その後、照射された塗布膜が形成されているガラス基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行なった。次いで、該ガラス基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥し、着色パターンを得た。
【0257】
(3)着色パターンの後硬化処理
得られた着色パターンを、UV照射装置(UMA−802−HC552FFAL:ウシオ電機(株)製)を用い、35℃で、350mW/cmを30sec照射した。その後、200℃で300sec加熱し(ポストベーク)、着色パターンを硬化させた。
以上により着色パターン(青色単色のカラーフィルタ)付きのガラス基板を得た。
【0258】
(4)透明膜組成物の調製
下記組成の成分を混合して溶解し、透明膜組成物(CT−1)を調製した。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) … 63.0部
・エチルエトキシプロピオネート(EEP) … 27.0部
・樹脂〔メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(モル比=70:30)〕
… 4.88部
・KAYARAD DPHA(日本化薬製、重合性化合物) … 4.88部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.0001部
・フッ素系界面活性剤(F−475、大日本インキ化学工業(株)製) … 0.01部
・光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジエン)
… 0.23部
【0259】
(5)透明膜組成物の塗布
前記(4)で調製した透明膜組成物CT−1を、前記(3)で得られた着色パターン付きガラス基板の着色パターン形成面側に塗布した後、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
【0260】
(6)透明膜組成物の後硬化処理
前記(5)で透明膜組成物CT−1を塗布したガラス基板に、UV照射装置 UMA−802−HC552FFAL:ウシオ電機(株)製)を用い、35℃で、350mW/cmのUV光を30sec照射した。その後、照射された塗布膜が形成されているガラス基板を、200℃で、300sec加熱処理を行なった。
以上のようにして着色パターン付きのガラス基板の着色パターン形成面側に透明膜を形成した。
【0261】
(7)評価
着色感光性組成物を用いてガラス基板上に塗設された塗布膜の耐アルカリ溶出性、耐溶剤性、熱拡散による色移り、色純度、保存安定性、耐熱性、耐光性を下記のようにして評価した。評価結果は下記表2に示す。
【0262】
〔耐アルカリ溶出性〕
上記(2)において、プリベーク後の塗布膜の分光(分光A)、およびこの塗布膜の露光部における現像後の分光(分光B)を測定し、この分光Aと分光Bとの差より色素残存率(%)を算出し、これを耐アルカリ溶出性を評価する指標とした。この数値は100%に近いほど耐アルカリ溶出性に優れていることを示す。
【0263】
〔耐溶剤性〕
上記(3)において、ポストベーク後の着色パターンの分光を測定した(分光A)。
この着色パターン(着色パターン付き基板)に対し、この上に上記(4)で得た透明膜組成物(CT−1)を膜厚1μmとなるように塗布しプリベークを行った後、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して23℃・120秒間の条件で現像を行い、再度分光を測定した(分光B)。この分光Aと分光Bとの差より色素残存率(%)を算出し、これを耐溶剤性を評価する指標とした。この数値は100%に近いほど耐溶剤性に優れていることを示す。
【0264】
〔熱拡散による色移り〕
上記(3)のようにして作製したカラーフィルタの着色パターン形成面に、乾燥膜厚が1μmとなるようにCT−2000L溶液(下地透明剤、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、200℃で5分間加熱処理を行なった。加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜の吸光度を顕微分光測定装置(大塚電子(株)製LCF−1500M)にて測定した。得られた透明膜の吸光度の値の、同様に加熱前に測定した着色パターンの吸光度に対する割合[%]を算出し、色移りを評価する指標とした。
−判定基準−
隣接ピクセルへの色移り(%)
◎:隣接ピクセルへの色移り≦1%
○:1%<隣接ピクセルへの色移り≦10%
△:10%≦隣接ピクセルへの色移り≦30%
×:隣接ピクセルへの色移り>30%
【0265】
〔色純度/透過率評価〕
上記により得たカラーフィルタの透過スペクトルを測定し、450nmの透過率を評価した。透過率が大きい方が、青色光の透過量が多く、青色カラーフィルタとして優れていることを示す。
−判定基準−
カラーフィルタの最大吸収波長での透過率を2%に補正(規格化)したときの450nmの透過率を判定した。
○:450nm透過率≧90%
△:80%≦450nm透過率<90%
×:450nm透過率<80%
【0266】
〔保存安定性〕
上記で調製された着色感光性組成物を室温で一ヶ月保存し、保存後における異物の析出度合いを目視により観察し、下記判定基準に従って評価した。
−判定基準−
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0267】
〔耐熱性〕
上記(3)のようにして作製したカラーフィルタをホットプレートにより260℃で5分間加熱した(耐熱テスト)。色度計MCPD−1000(大塚電子製)にて、耐熱テスト前後の色差(ΔEab値)を測定して、下記評価基準に従って評価した。ΔEab値の小さい方が耐熱性が良好であることを示す。
−判定基準−
○:ΔEab値<5以下
△:5≦ΔEab値≦10
×:10<ΔEab値
【0268】
〔耐光性〕
上記(3)のようにして作製したカラーフィルタを、キセノンランプを10万luxで48時間照射(480万lux・h相当)した(耐光テスト)。耐光テスト前後における色差(ΔEab値)を測定し、下記評価基準に従って評価した。ΔEab値の小さいほうが耐光性が良好である。
〜 判定基準 〜
○:ΔEab値<3
△:3≦ΔEab値≦10
×:10<ΔEab値
【0269】
[実施例2〜5および比較例1〜5]
上記実施例1において着色剤(例示化合物1−1)を、同質量の下記表1に示す着色剤に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
なお、例示化合物1−2の固体分散液において、固体微粒子の平均1次粒子径は80nmであった。また、例示化合物1−2のPGMEAに対する25℃における溶解度は0.1質量%であった。
また、例示化合物1−2の同定は、以下の測定値に基づいて行った。
元素分析:理論値C63.49%、H8.30%、N4.85%、測定値C63.21%、H8.45%、N4.59%。原子吸光分析:理論値Mg1.05wt―%、Zn5.67wt−%、測定値Mg1.11wt−%、Zn5.61wt−%。
【0270】
また、例示化合物2−1の固体分散液において、固体微粒子の平均1次粒子径は85nmであった。また、例示化合物2−1のPGMEAに対する25℃における溶解度は0.1質量%であった。
また、例示化合物2−1の同定は、以下の測定値に基づいて行った。
元素分析:理論値C61.08%、H7.81%、N4.38%、測定値C61.20%、H8.11%、N4.54%。原子吸光分析:理論値Ca1.56wt―%、Zn5.12wt−%、測定値Ca1.58wt−%、Zn5.21wt−%。
【0271】
また、例示化合物2−3の固体分散液において、固体微粒子の平均1次粒子径は70nmであった。また、例示化合物2−3のPGMEAに対する25℃における溶解度は0.05質量%であった。
また、例示化合物2−3の同定は、以下の測定値に基づいて行った。
元素分析:理論値C58.84%、H7.52%、N4.22%、測定値C58.74%、H7.71%、N4.33%。原子吸光分析:理論値Ba5.18wt―%、Zn4.93wt−%、測定値Ba5.22wt−%、Zn4.99wt−%。
【0272】
また、例示化合物3−3の固体分散液において、固体微粒子の平均1次粒子径は68nmであった。また、例示化合物3−3のPGMEAに対する25℃における溶解度は0.1質量%であった。
また、例示化合物3−3の同定は、以下の測定値に基づいて行った。
元素分析:理論値C63.05%、H8.24%、N4.62%、測定値C63.33%、H8.38%、N4.77%。原子吸光分析:理論値Ba5.49wt―%、Zn5.23wt−%、測定値Ba5.38wt−%、Zn5.19wt−%。
【0273】
【表1】

【0274】
【化21】



【0275】
【化22】



【0276】
【表2】

【0277】
上記表2からわかるように、本発明の固体分散液を用いた実施例1〜5は、比較例1〜5と比較して、耐アルカリ溶出性、耐溶剤性に優れることが分かる。また熱拡散による色移りにも顕著な効果を示した。さらには、実施例1〜5の固体分散液は、固体分散化したにもかかわらず良好な保存安定性を有していることが分かる。さらには、固体分散していない比較例1および2と比して、優れた堅牢性(耐熱性及び耐光性)を示した。
このように本発明の固体分散液を用いて作製した着色感光性組成物は固体撮像素子のカラーフィルタ用途に非常に好適である。
また、本発明の固体分散液は上記実施例1〜5にも示したように予想外にも分散剤を用いることなく単独分散することが可能であり、薄層化(着色剤以外の成分の構成比が減少)される近年のカラーフィルタ用途に非常に好適であることがわかった。
【0278】
上記では実施例1〜5として、ガラス基板上に青色の着色パターン(青色カラーフィルタ)を形成する例について説明したが、固体撮像素子基板(CCDやCMOS等の撮像素子が形成されたシリコンウエハ基板)上の撮像素子形成面側に、上記実施例1〜5と同様にして青色カラーフィルタを、緑色カラーレジストを用いた公知の方法により緑色カラーフィルタを、赤色カラーレジストを用いた公知の方法により赤色カラーフィルタを、それぞれ作製することにより、固体撮像素子基板の上に、3色のカラーフィルタを作製できる。この3色のカラーフィルタを備えた固体撮像素子は、青色カラーフィルタにおける色純度及び堅牢性に優れ、色移りが抑制され、色再現性及び感度に優れる。
【0279】
[実施例6]
(1)着色感光性組成物[ポジ型]の調製
・下記樹脂P−1 … 3.0部
・下記ナフトキノンジアジド化合物N−1 … 1.8部
・架橋剤:ヘキサメトキシメチロール化メラミン … 0.6部
・光酸発生剤:TAZ−107(みどり化学社製) … 1.2部
・フッ素系界面活性剤(F−475、DIC(株)製) … 0.0005部
・固体分散液:例示化合物1−2の1wt%乳酸エチル(EL)分散液 … 30部
以上を混合し、溶解し着色感光性組成物[ポジ型]を得た。
なお、例例示化合物1−2の1wt%乳酸エチル(EL)分散液において、固体微粒子の平均1次粒子径は82nmであった。また、例示化合物1−2の乳酸エチルに対する25℃における溶解度は0.16質量%であった。
【0280】
上記樹脂P−1、及びナフトキノンジアジド化合物(N−1)は、以下のようにして合成した。
【0281】
(2)樹脂P−1の合成
ベンジルメタクリレート70.0g、メタクリル酸13.0g、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル17.0g、及び2−メトキシプロパノール600gを三口フラスコに仕込み、攪拌装置、還流冷却管、及び温度計を取り付け、窒素気流下65℃にて重合開始剤V−65(和光純薬工業製)を触媒量添加して10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を20Lのイオン交換水に激しく攪拌しながら滴下し、白色粉体を得た。この白色粉体を40℃で24時間真空乾燥し145gの樹脂P−1を得た。分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量Mw=28,000、数平均分子量Mn=11,000であった。
【0282】
(3)ナフトキノンジアジド化合物(N−1)の合成
Trisp−PA(本州化学製)42.45g、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド61.80g、及びアセトン300mlを三口フラスコに仕込み、室温下トリエチルアミン24.44gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間攪拌した後、反応液を大量の水に攪拌しながら注いだ。沈殿したナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを吸引ろ過により集め、40℃で24時間真空乾燥し、ナフトキノンジアジド化合物(N−1)を得た。
【0283】
上記で得られた着色感光性組成物[ポジ型]を実施例1に準じた方法で評価した結果、耐アルカリ性、耐溶剤性、色移り、色純度、保存安定性、耐熱性、及び耐光性に優れることが判った。
【0284】
[実施例7〜8]
(隔壁形成用の濃色組成物の調製)
濃色組成物K1は、まず表3に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、さらに攪拌しながら、表3に記載の量のメチルエチルケトン(2−ブタノン)、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1を計り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得た。なお、表3に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
【0285】
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) … 13.1%
・分散剤(下記記載の化合物B1) … 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) … 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 79.53%
【0286】
【化23】



【0287】
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) … 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 73%
【0288】
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) … 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 24%
【0289】
<界面活性剤1>
・下記構造物1 … 30%
・メチルエチルケトン … 70%
【0290】
【化24】

【0291】
【表3】



【0292】
(隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分間熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベークして膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmで隔壁幅20μm、スペース幅100μmにパターン露光した。
【0293】
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cmにて基板の濃色組成物層K1が形成された面側からポスト露光を行って、オーブンにて240℃で50分加熱し、膜厚2.0μm、光学濃度4.0、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
【0294】
(撥インク化プラズマ処理)
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
【0295】
使用ガス :CF
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
【0296】
(紫色(V)用インクの調製法)
下記表4の成分の内、着色剤と溶剤とを混合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを充填率80%で用い、周速9m/sで25時間分散して固体分散液を調製し、調製された固体分散液にその他の構成成分を加え、1時間撹拌して平均孔径0.45μmのミクロフィルターで減圧濾過し、紫色(V)用インク液(インクV−1、及びインクV−2)を調製した。
【0297】
用いた成分の詳細を以下に示す。
・着色剤:例示化合物2−3
・DPCA−60(日本化薬社製(KAYARAD DPCA−60)):カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・KF−353(信越化学工業(株)社製):ポリエーテル変性シリコーンオイル
【0298】
【表4】



【0299】
固体分散液において、固体微粒子の平均1次粒子径は、それぞれ90nm(実施例7)、87nm(実施例8)であった。
また、例示化合物2−3のシクロヘキサノンに対する25℃における溶解度は0.33質量%であった。
【0300】
(粘度、表面張力の測定)
得られたインクを25℃に調温したまま、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いて以下の条件で粘度を測定した。
−測定条件−
・使用ロータ:1° 34’×R24
・測定時間 :2分間
・測定温度 :25℃
【0301】
得られたインクを25℃に調温したまま、協和界面科学(株)製表面張力計(FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3)で表面張力を測定した。
【0302】
(コントラスト測定方法)
バックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(ルケオ製、POLAX−15N)の間に単色基板を設置し、偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の色度のY値を、クロスニコルに設置したときに通過する光の色度のY値で割ることでコントラストを求めた。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン製BM−5A)を用いた。単色基板は以下の方法で作製した。
カラーフィルタを構成するVインク(インクV―1、インクV−2)を用いて、ガラス基板上にインクジェット法あるいはスピンコート法によってベタ膜を形成して、カラーフィルタ形成と同じようにプリベーク(予備加熱)(温度100℃、2分)、ポストベーク(後加熱)(温度220℃、30分)を行い、膜厚2um(μm)を形成した。
【0303】
色彩輝度計の測定角は1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が400cd/mになるように設定した。
【0304】
上記で得た単色基板(2種類)のコントラストを測定したところ、いずれの単色基板でも50000以上の値を得た。
【0305】
(ITO層作製)
次に、上記で得た単色基板上にスパッタ装置を用い、膜面温度200℃にて15分間、ITO(酸化インジウムスズ)をスパッタして、膜厚1500ÅのITO膜を形成し、ITO付きのカラーフィルタ基板を作製した。
【0306】
(ITOスパッタ前後における分光特性変化)
ITOスパッタ前後において、紫外可視吸収分光装置(日本分光製V−570)を用いて、400nm〜700nmの波長範囲における分光透過率曲線を得た。スパッタ前後での、最大ピークにおける分光透過率変化量が小さい場合、耐熱性に優れることを意味する。作製した基板はITOスパッタ前後においてスペクトル形状が殆ど変化しておらず、高い耐熱性を有することがわかった。
【0307】
[比較例3〜4]
(顔料分散液の調製)
シー・アイ・ピグメント・バイオレット23(大日精化社製)17.5質量部に、顔料分散剤(前記化合物B1)2.5質量部及び溶剤((1,3−ブタンジオールジアセテート)(以下1,3−BGDAと略す)80質量部とMMPGAC(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で配合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを充填率80%で用い、周速9m/sで25時間分散し、V用顔料分散液を調製した。
【0308】
(比較例用インクの調製)
比較例として、上記の顔料分散液を用いて、以下記載の表5の分量で作製した顔料インクを調製した。なお、使用した材料は、以下の通りである。
・DPS100(日本化薬社製):KAYARAD DPS100
・TMPTA(日本化薬社製):KAYARAD TMPTA
・界面活性剤:前述の界面活性剤1
・V−40(和光純薬社製):アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)
【0309】
【表5】



【0310】
(評価用カラーフィルタの作製方法)
上記で調製されたインクを用いて、上記で得られた基板上の隔壁で区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、富士フイルムDimatix製インクジェットプリンターDMP−2831を用い、吐出を行い、その後、100℃オーブン中で2分間加熱を行った。次に、220℃のオーブン中で30分間静置することにより、単色のカラーフィルタを作製した。
【0311】
(インク保存安定性評価)
上記で調製された各色インクを50℃の恒温室に保管し、30日後の粘度を測定し、インク調製直後の値との差(%)[(30日後の粘度−調製直後の粘度)/調製直後の粘度]により評価を行った。評価基準は以下の様に分類した。
−評価基準−
◎:インク調製直後の粘度との差が10%未満
○:インク調製直後の粘度との差が10%以上20%未満
△:インク調製直後の粘度との差が20%以上30%未満
×:インク調製直後の粘度との差が30%以上
【0312】
(連続吐出安定性評価)
上記で調製されたインクを用いて、吐出安定性の評価を行った。評価方法は、富士フイルムDimatix社製インクジェットプリンターDMP−2831、打滴量10pLのヘッドカートリッジ、打滴周波数10kHzで行い、30分間連続吐出をした際の状態を観察した。評価基準は以下の様に分類した。
−評価基準−
◎:問題なく連続吐出が可能
○:吐出中に、少々不吐出、吐出乱れなど観察されるが、吐出中に復帰し、概ね問題の無い状態
△:吐出中に不吐出、吐出乱れが生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
×:吐出中に不吐出、吐出乱れが生じ、正常に吐出ができず、メンテナンスによっても吐出が復帰しない状態
メンテナンスは、DMP−2831によるパージ(ヘッド内インクを加圧してノズルからインクを強制的に吐き出す)、ブロット(ヘッドノズル面をクリーニングパッドに僅かに接触させて、ノズル面のインクを吸い取る)を実施した。
【0313】
(休止後吐出安定性評価)
上記で調製されたインクを用いて、吐出安定性の評価を行った。評価方法は連続吐出安定性評価同様に、富士フイルムDimatix製インクジェットプリンターDMP−2831、打滴量10pLのヘッドカートリッジを用い、打滴周波数10kHzで一度5分間の吐出を行い、24時間の休止後、再び同条件で吐出を開始した際の状態を観察した。評価基準は以下の様に分類した。
−評価基準−
◎:打滴指示と同時に問題なく吐出が可能
○:打滴指示直後は少々不吐出、吐出乱れなど観察されるが、吐出中に復帰し、概ね問題の無い状態
△:不吐出、吐出乱れが生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
×:不吐出、吐出乱れが生じ、正常に吐出ができず、メンテナンスによっても吐出が正常なレベルまで復帰しない状態
メンテナンスは、DMP−2831によるパージ(ヘッド内インクを加圧してノズルからインクを強制的に吐き出す)、ブロット(ヘッドノズル面をクリーニングパッドに僅かに接触させて、ノズル面のインクを吸い取る)を実施した。
【0314】
(耐熱性評価)
上記で作製した各色のカラーフィルタを、230℃に加熱したオーブン内に入れ、1時間放置した後、色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、評価前後のΔEabが5未満を○とした。ΔEabが5以上15未満を△と、ΔEabが15以上を×とした。
【0315】
(耐薬品性評価)
上記で作製した各色のカラーフィルタを、評価を行う薬品(N−メチルピロリドン、2−プロパノール、5%硫酸水溶液、5%水酸化ナトリウム水溶液)中に20分間浸し、その前後の色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、ΔEabが5未満を○とした。ΔEabが5以上15未満を△と、ΔEabが15以上を×とした。ΔEabの評価方法は、上記と同様である。
【0316】
以下の表6に、インクジェット用インク及びカラーフィルタの評価結果を示す。
【0317】
【表6】



【0318】
表6に示すように、実施例7及び実施例8のインクジェット用インクは、保存安定性に優れるとともに、吐出安定性にも優れていた。一方、従来の顔料インクを使用した比較例6においては、吐出安定性が悪く、実用性に欠いていた。
【0319】
[実施例9]
(水性着色インクV−3の調整)
例示化合物(5)を5質量部、高分子分散剤として、国際公開番号WO2006/064193の22ページに記載されているDispersant Solution 10で表されるメタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体水溶液25.5部、水19.5部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ100部とともに遊星型ボールミルを用いて毎分300回転で6時間分散を行った。分散終了後、ジルコニアビーズを分離し、紫色固体分散物V−3を得た。
【0320】
[実施例10]
(水性着色インクV−4の調整)
実施例9の例示化合物(5)を、例示化合物(1−1)に変更した以外は同様にして紫色固体分散物V−4を得た。
【0321】
上記実施例9および10で得られた固体分散物をNo.3のロッドバーを用いてバーコーターを用いてセイコーエプソン(株)社製フォトマット紙<顔料専用>にバー塗布したところ、鮮明な紫色のベタ画像を得た。特にレーキ化したピロメテンを固体分散した実施例10が色純度、透明性が高い画像が得られた。
【0322】
上記に示したようにジピロメテン金属錯体を固体分散化して使用することは非常に有用である。
従来ジピロメテン系金属錯体は優れた色純度を有しているが諸堅牢性(耐光性や耐熱性)において改良の余地があった。このため、本発明のように固体分散化して使用することによって改良効果が得られる。固体分散化のうち、特にレーキ化は色純度及び透明性を低下させない点で有用である。また、該固体分散液は従来公知の着色感光性組成物以外にも、汎用の着色剤(筆記具など)として応用可能であるために産業上の利用価値は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤と、前記溶剤に対し不溶な着色剤と、を含有し、
前記着色剤が、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体であって前記溶剤に対し不溶な錯体であるか、又は、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が前記溶剤に対し不溶化された錯体である固体分散液。
【化1】



〔一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは、水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が前記溶剤に対し不溶化された錯体は、下記一般式(2)で表される金属錯体化合物又はその互変異性体である請求項1に記載の固体分散液。
【化2】



〔一般式(2)中、Aは、前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基であり、nは2又は3を表し、Mはn価の金属イオンを表す。〕
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体が、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体である請求項1又は請求項2に記載の固体分散液。
【化3】



〔一般式(3)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、Xは、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Yは、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表し、R及びRは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。〕
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の固体分散液を含有する着色感光性組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の固体分散液を含有するインクジェット用インク。
【請求項6】
請求項4に記載の着色感光性組成物又は請求項5に記載のインクジェット用インクを用いてなるカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項4に記載の着色感光性組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程と、形成された着色層をマスクを介して露光する工程と、露光された着色層を現像して着色パターンを形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
更に、現像して着色パターンを形成する工程の後、形成された着色パターンに紫外線を照射する工程を有する請求項7に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、前記凹部に、インクジェット法によって、請求項5に記載のインクジェット用インクの液滴を付与して、カラーフィルタの着色画素を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【請求項11】
請求項6に記載のカラーフィルタを備えた表示装置。
【請求項12】
下記一般式(2)で表される金属錯体化合物及びその互変異性体。
【化4】


〔一般式(2)中、Aは、下記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体の任意の位置から水素原子を1個取り除いた残基であり、nは2又は3を表し、Mはn価の金属イオンを表す。〕
【化5】



〔一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【請求項13】
前記一般式(1)で表される化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体は、下記一般式(3)で表される化合物又はその互変異性体である請求項12に記載の金属錯体化合物及びその互変異性体。
【化6】



〔一般式(3)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、Xは、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Xは、NRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Yは、NRc(Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表し、Yは、窒素原子、又は炭素原子を表し、R及びRは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。〕

【公開番号】特開2011−202025(P2011−202025A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70918(P2010−70918)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】