説明

固体医薬剤形

固体単位剤形を含む医薬組成物であって、該固体単位剤形は、水不溶性ポリマー及び/又は水溶性ポリマーと組み合わせた、バラシクロビル、オランザピン、ボリコナゾール、トポテカン、アルテスナート、アモジアキン、ググロステロン、ラミプリル、テルミサルタン、チボロン、アトルバスタチン、シンバスタチン、アムロジピン、エゼチミブ、フェノフィブレート、タクロリムス、バルガンシクロビル、バルサルタン、クロピドロゲル、エストラジオール、トレンボロン、エファビレンツ、メトホルミン、プソイドエフェドリン、ベラパミル、フェロジピン、バルプロ酸/バルプロ酸ナトリウム、メサラミン、ヒドロクロロチアジド、レボスルピリド、ネルフィナビル、セフィキシム、及びセフポドキシムプロキセチルから選択される1種以上の医薬活性成分を含む、前記医薬組成物。該医薬組成物の製造方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマー、又はそれら両ポリマーの組み合わせの中に微粒子として分散された医薬活性成分を含む、熱熔融(ホットメルト)押出医薬組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景及び先行技術)
1種以上のポリマー担体中に微細かつ均一に分散された活性化合物からなる医薬製剤は、固体分散物、ガラス溶液、分子分散物、及び固溶体として記載されている。用語「固体分散物」は、活性化合物が粗から密までの粒度範囲で、賦形担体(excipient carrier)中に分散されている医薬製剤を表すための一般用語として使用されている。ガラス溶液、分子分散物、及び固体分散物とは、特に、不定形の結晶性活性化合物がそのままで形成され、熱熔融押出工程の間にポリマーマトリックス中に分散された調製物をいう。
【0003】
多くの研究者は、熱熔融押出技術を用いて種々の活性化合物及びポリマー担体を含むこの種の調製物を製造している。Rosenberg及びBreitenbachは、非イオン形態の活性材料を、塩及びポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル(PVPVA)コポリマー又はヒドロキシアルキルセルロースなどと共に熔融押出を行うことによって固溶体を製造している。Sixら、Brewsterら、Baertら、及びVerreckらは、種々のポリマー担体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、オイドラギット(Eudragit)El00、PVPVA、及びオイドラギットEl00とPVPVAとの組合せと共に熱熔融押出を行うことによって、溶解速度が改良されたイトラコナゾールの固体分散物を製造している。Forsterらは、PVP及びPVPVA中に水難溶性薬剤であるインドメタシン、ニフェジピン及びトルブタミドを含み、結晶形と比較して溶解性が改良された非晶質のガラス溶液を生産した。また、この文献では、25℃かつ相対湿度75%で押出物を保管した後では、インドメタシンとポリマーを1:1の割合で含有する化合物のみが完全に非晶質のままであったことがわかる。その他の薬剤の製剤、及びインドメタシン濃度を増大させた製剤は、保管時に再結晶を示した。この再結晶は、活性剤の溶解速度を有意に低下させることが示された。また、この研究では安定性の研究が高温で行われなかったことに留意されたい。高温が再結晶の発生及び程度を上昇させることが予想されるであろう。先の参考文献は、熱熔融押出技術によって製造される非晶質分散物の本来の不安定性を明らかにしている。多くの文献が非晶質固体分散物の製造、及びその結果得られる薬剤溶解速度の向上を明示しているが、ほとんどの文献は、保管時のこのような調製物の安定性について議論していない。Fosterらの研究及び非晶質系の熱力学に対する理解から、保管時の非晶質固体分散製剤の再結晶化は一般的な問題であると結論付けることができる。非晶質状態は、熱力学的に準安定であり、したがって、非晶質化合物が、時間と共に、また、気温の上昇及び湿気への曝露などの摂動に応答して、安定な結晶構造をとるであろうことが予測される。押出しされた製剤では、非晶質薬剤粒子が、保管時間の増加、温度上昇、又は湿気への曝露、主に担体からの沈殿と共に、凝集及び結晶化することになる。この保管の間の相分離への進行は、時間依存的な溶解プロフィールをもたらす。時間に伴う溶解速度の変化は、医薬製品の商業的成功を妨げる。
【0004】
前記引用文献などの参考文献から、高い薬剤充填量の安定な単相の非晶質分散物を製造することは困難であることが理解できる。加工又は保管時の活性化合物の第二相の出現は、時間依存的な二相性溶解プロフィールをもたらすので、許容し得る医薬調製物とはみなされないであろう。
【0005】
水難溶性薬剤の溶解速度向上を示す熱熔融押出による固体分散物の製造に成功したことが、数多く報告されているが、当該技術に基づく多くの市販品が存在しないことは、安定性の問題がこのような医薬調製物の商業的成功にとって依然として大きな障害になっているという証拠である。
【0006】
マイクロ又はナノメートルのサイズ範囲の薬剤微粒子の製造に関する医薬文献で周知であるいくつかの方法が存在する。これらの方法は、3つの主要なカテゴリ:(1) 機械的微粒子化、(2)溶液ベースの相分離、(3) 急速凍結技術に分けることができる。
【0007】
医薬文献に記述された、マイクロ及びナノサイズの薬剤粒子を製造する多くの溶液ベースの相分離方法がある。より一般的に公知である方法には、噴霧乾燥、乳化(emulsification)/蒸発、溶媒抽出、及び複合コアセルベーションがある。あまり知られていない方法には、簡潔にするために各例示的参考文献を伴って列挙した下記のもの: a) ガス抗溶媒沈殿(GAS)、(27)及びWO9003782、EP0437451; b) 圧縮された抗溶媒による沈殿(PCA)、(28)及びUS 5,874,029; c) エアロゾル溶媒抽出システム(ASES)、(29); d) 水溶液への蒸発沈殿(EPAS)、(30)米国特許出願20040067251; e) 超臨界抗溶媒 (SAS)、(31); f) 超臨界流体による溶液促進分散(SEDS)、(32); g) 超臨界溶液から水溶液への急速膨張法(RESAS)、(33); 及び h)抗溶媒沈殿がある。マイクロ又はナノサイズの薬剤粒子を製造する凍結技術には、簡潔にするために各例示的参考文献を伴って列挙した下記のもの: a) 液体への噴霧乾燥(SFL)、(34)WO02060411、US2003054042; 及び b) 超高速凍結(URF)、(35)がある。溶液ベースの相分離又は超高速凍結技術によって製造された薬剤微粒子は、本質的に非晶質であることが多いことに留意されたい。これらの非晶質粒子は、高い熔融点又はガラス遷移温度を有する1種以上の賦形担体と共に、製造工程の間に複合体化又はコーティングすることによって、安定化することができる。安定な非晶質薬剤微粒子は、結晶性薬剤微粒子と同様に本調製物に製剤化することができる。高剪断の熱熔融押出工程は、(高い表面エネルギーが原因で、押出の前に凝集する可能性がある)非晶質薬剤粒子を効率的に解凝集及び分散させて、安定かつ不溶性である担体にして、それによって、凝集した粒子を分離して、担体系による加工及び保管時の凝集及び凝塊に対して安定している一次粒子にする。非晶質薬剤粒子が複合体化又はコーティングされている賦形剤系は、熱熔融押出及び保存の間の、安定かつ不溶性である担体基質中に分散されている非晶質薬剤含有微粒子ドメインの再結晶を防ぐことになる。従来の非晶質分散物と比較したこの形態の非晶質分散物の利点は、非晶質薬剤微粒子が、担体系による結晶性薬剤微粒子の溶解によってそのままでは形成されないので、非晶質薬剤微粒子の形成が、担体系における薬剤の溶解に依存的ではないことである。
【0008】
先に列挙した方法などの方法によって製造された薬剤微粒子は、粒子間の強力な凝集力をもたらす高い表面エネルギーを示すことが報告されている。解離の力は、粒子質量(微粒子の場合には小さい)に依存するので、微粒子の粉末が凝集する可能性があることは公知である。したがって、個々の微粒子間の凝集力は分離する力よりも大きく、そのために粒子は凝集体の形態をなし、それゆえに凝集の程度は、粒径が減少すると増加する。
【0009】
微粒子の凝集は見かけの粒径を増加させることになり、結果的に粒径の減少は幾分打ち消される。粒径の減少、すなわち溶解速度上昇の十分な利点を達成するためには、投与時に凝集体が個々の粒子まで粒状化されなくてはならない。
【0010】
また、保管に伴う粒子の凝集は、見かけの粒径の増加、及び対応する溶解速度の低下をもたらす。薬剤微粒子を含有する理想的な固体投与形態の製造においては、凝集体は加工の間に担体系によって個々の粒子として分離及び安定化されるであろう。また、担体系は、周囲及び上昇させた温度及び湿度条件において、保管時に粒子の凝集及び凝塊を妨げるように機能するであろう。
【0011】
先に述べたものなどの先行技術例は、薬剤微粒子を含む熱熔融押出化合物から薬剤を送達する、本願発明の有利な特性の必要性が継続していることを明示している。
【0012】
WO02/35991は、熱熔融押出工程及び球形化による球状ペレットの製造方法を開示している。WO 97/49384は、治療用化合物と、任意に可塑剤としてポリエチレングリコールを含有する高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)との熱熔融押出可能な混合物を含む、製剤処方を開示している。
【0013】
US2004/0253314は、活性薬剤成分、及び40〜75重量%のアクリル酸の又はメタクリル酸のラジカル共重合C1-4アルキルエステルからなるメタアクリレートコポリマーを含む、熱熔融押出製剤を開示している。
EP1663183は、少なくとも1種のHIVプロテアーゼ阻害薬、少なくとも1種の医薬的に許容され得る水溶性ポリマー、及び少なくとも1種の医薬的に許容され得る界面活性剤の固体分散物を含み、該水溶性ポリマーが、少なくとも約50℃のTg(ガラス転移温度)を有する、固体医薬剤形を開示する。
【0014】
WO2007068615は、C型肝炎ウィルス(HCV)治療用の、イソ酪酸(2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソ-2H-ピリミジン-1-イル)-2-アジド-3,4-ビス-イソ-ブチリルオキシ-テトラヒドロ-フラン-2-イルメチルエステル;塩酸塩(I)とポリエチレングリコール(PEG)/ポリプロピレングリコール(PPG)ブロックコポリマーとの熱熔融押出により調製される固体懸濁物を含有する医薬組成物を開示する。
US20070071813は、活性医薬成分及び水溶性ポロキサマーを熱熔融押出によって処理した後に他の成分と混合する、医薬錠剤組成物の製造方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
(本発明の目的)
本発明の目的は、高い薬剤充填量の薬剤微粒子を、好ましくは、1種以上の活性医薬成分を含む経口組成物の形態で、提供することである。
本発明の他の目的は、熱熔融押出技術によって製造される1種以上のポリマー担体中に微細にかつ均一に分散された活性化合物からなる医薬製剤を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、製造が容易な医薬組成物を提供することである。
本発明は、個々の薬剤粒子を分離及び単離させるように作用するポリマー担体中に、熱力学的に安定な結晶状態又は安定した非結晶状態の薬剤微粒子を、熱熔融押出を介して分散させ、それによって製造中及び保管中に凝集及び凝塊を形成させないことによって、従来の固体分散物の物理的不安定性、及び得られる時間依存的薬剤放出プロフィールの問題に対処している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(本発明の要旨)
本発明の一態様によれば、1種以上の活性医薬成分と、少なくとも1種の水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマー又はそれらの組み合わせと、1種以上の任意の医薬として許容し得る賦形剤とを含む、熱熔融押出医薬組成物が提供される。
【0018】
必要に応じて、各々の成分は、遊離塩基として、或いはその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、又は医薬として許容し得るプロドラッグとして提供することができる。熱熔融押出医薬組成物は、固体経口医薬組成物として提供されるのが好ましい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、1種以上の活性医薬成分と、少なくとも1種の水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマー又はそれらの組み合わせと、1種以上の任意の医薬として許容され得る賦形剤とを熱熔融押出することによる、医薬組成物の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1種の水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマーを伴い又は伴わずに、1種以上の医薬として活性な成分を熔融することによって、固体経口医薬組成物を製造する熱熔融押出方法が提供される。ここで、ある成分が熔融し、他の成分が該熔融物中に分散し、それによって固体/ガラス溶液及び/又は懸濁液を形成する。
これらの成分の混合は、熔融物の形成前、形成の間、又は形成後に行うことができる。
【0021】
前記活性医薬成分は、好ましくは、パラセタモール、オランザピン、バルサルタン、クロピドグレル、アトルバスタチン、シンバスタチン、アムロジピン、エゼチミブ、フェノフィブレート、ボリコナゾール、トポテカン、アルテスナート、アモジアキン、ググロステロン(guggulosterone)、ラミプリル、テルミサルタン、チボロン、タクロリムス、バラシクロビル、バルガンシクロビル(valgancyclovir)、エストラジオール、トレンボロン、エファビレンツ、メトホルミン、プソイドエフェドリン、ベラパミル、フェロジピン、バルプロ酸/バルプロ酸ナトリウム、メサラミン、ヒドロクロロチアジド、レボスルピリド、ネルフィナビル、セフィキシム、及びセフポドキシムプロキセチルのうちの1種以上から選択される。
【0022】
先の段落で述べた活性材料の各々は、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができることが理解されるであろう。従って、本願明細書の全体を通して、活性材料の言及には、必要に応じて、遊離塩基、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態が含まれると解釈すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
上記及び下記のとおり、本発明者らは、驚くべきことに、本発明が、個々の薬剤粒子を分離及び単離させるポリマー担体中に、熱力学的に安定な結晶状態又は安定した非結晶状態の薬剤微粒子を熱熔融押出を介して分散させ、それによって製造中及び保管中に凝集及び凝塊を形成させないことによって、薬剤微粒子を含む好都合な剤形を達成するように配合できることを見出した。
【0024】
本発明による剤形は、優れた安定性によって特徴づけられ、特に、活性成分の再結晶又は分解に対して高い耐性を示す。
好適には、本発明による製剤は、固体剤形、好都合には、単位剤形で提供され、経口及び/又は口腔内投与に適している剤形を含む。
【0025】
本発明による固体剤形は、好ましくは錠剤の形態であるが、他の従来の投与形態、例えば、粉末、ペレット、カプセル及び小袋などの形態で提供することもできる。
本発明による好ましい製剤は、1種以上の医薬活性成分を、1種以上の水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマー又はそれらの組み合わせと、さらなる1種以上の任意の医薬として許容され得る賦形剤と組み合わせた錠剤の形態である。
【0026】
本発明によれば、医薬として活性な成分は、鎮痛剤、抗炎症薬、鬱血除去剤、ホルモン類、抗癌剤、抗マラリア剤、防菌類、抗精神病薬、抗ウイルス剤、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断剤、HMG-Coレダクターゼ阻害剤、抗高脂肪血剤、免疫抑制剤、抗血小板剤、ステロイド、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、又は医薬として許容し得るプロドラッグ及び/又はそれらの組合せから選択することができるが、これらに限定されない。
【0027】
好ましくは、本発明による医薬として活性な成分は、パラセタモール、オランザピン、バルサルタン、クロピドグレル、アトルバスタチン、シンバスタチン、アムロジピン、エゼチミブ、フェノフィブレート、ボリコナゾール、トポテカン、アルテスナート、アモジアキン、ググロステロン、ラミプリル、テルミサルタン、チボロン、タクロリムス、バラシクロビル、バルガンシクロビル、エストラジオール、トレンボロン、エファビレンツ、メトホルミン、プソイドエフェドリン、ベラパミル、フェロジピン、バルプロ酸/バルプロ酸ナトリウム、メサラミン、ヒドロクロロチアジド、レボスルピリド、ネルフィナビル、セフィキシム、及びセフポドキシムプロキセチルから選択することができるが、これらに限定されない。
【0028】
錠剤製剤は、好ましい固体経口剤形であり、その理由は、固体経口剤形の、より優れた安定性、異なる薬剤間における化学的相互作用のリスクがより低いこと、かさがより小さいこと、投与量の正確さ、及び製造の容易さである。
好ましい実施態様によれば、本発明は、1種以上の医薬活性生成分を1種以上の水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマー又はそれらの組み合わせと共に熱熔融押出することを伴う、熱熔融押出技術を介して加工することができる。
【0029】
該熔融押出し方法は、パラセタモール、オランザピン、バルサルタン、クロピドグレル、アトルバスタチン、シンバスタチン、アムロジピン、エゼチミブ、フェノフィブレート、ボリコナゾール、トポテカン、アルテスナート、アモジアキン、ググロステロン、ラミプリル、テルミサルタン、チボロン、タクロリムス、バラシクロビル、バルガンシクロビル、エストラジオール、トレンボロン、及びエファビレンツと共に使用することが特に好ましい。
概して、熱熔融押出し方法は、当業者に公知の従来の押出機で行われる。
【0030】
該熔融押出し方法は、1種以上の薬剤と、ポリマーと、賦形剤との均一な熔融物を調製する工程、及び該熔融物が固化するまで冷却する工程を含む。「熔融」とは、ある成分を他の成分の中に均一に埋め込ませることが可能な、液体又はゴム状態への転移を意味する。
【0031】
典型的には、ある成分が熔融することとなり、他の成分は、熔融物の中に溶解することによって溶液を形成することとなる。該熔融には通常、ポリマーの軟化点を超える加熱が含まれる。該熔融物の調製は、種々の方法で行うことができる。成分の混合は、該熔融物の形成の前、形成の間、又は形成の後に行うことができる。例えば該成分を、最初に混合し、次いで熔融押出を行うか、又は混合及び熔融押出しを同時に行うことができる。通常、該熔融物を、活性成分を効率的に分散させるために均質化する。また、最初に該ポリマーを熔融し、次いで該活性成分を混入して均質化するのが好都合であろう。
【0032】
通常、該熔融温度は、約70℃〜約200℃、好ましくは約80℃〜約180℃、最も好ましくは約90℃〜約150℃の範囲である。
適当な押出機には、一軸スクリュー押出機、噛み合いスクリュー押出機、又は他の多軸スクリュー押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機が含まれ、それらは、同方向又は反対方向に回転することができ、場合により、混練ディスクが設けられてもよい。作業温度が、押出機の種類、又は使用する押出機内の構成の種類によって決定されることを理解されたい。
【0033】
押出物はビーズ、粒状物、管、ストランド又は筒の形態であってもよく、さらにこれを任意の所望の形状に加工することができる。
本明細書で使用される用語「押出物」とは、1種以上のポリマーと、任意に医薬として許容し得る賦形剤とを含む1種以上の薬剤の固溶体、固体分散物、及びガラス溶液をいう。
【0034】
好ましい実施態様によれば、1種以上の活性薬剤と、ポリマーと、任意に1種以上の医薬として許容し得る賦形剤との粉末混合物とを、一軸スクリュー押出機の回転軸によって、押出機の加熱バレルを通して移動させ、これにより該粉末混合物が熔融し、熔融溶解物がコンベヤー上に収集され、該コンベヤー上で該生成物が冷却されて、押出物が形成される。好都合には、押出物の成形は、表面上に互いに適合するへこみを備える2個の逆回転ローラーを有するカレンダーによって行われる。
【0035】
異なる形状のへこみを有するローラーを使用することによって、広範囲の錠剤形態を達成することができる。或いは、該押出物を固化の後に断片に切断して、適当な剤形にさらに加工することができる。より好ましくは、上記方法からこうして最終的に得られた押出物を、当業者に周知の手段によって粉砕及び微粉砕して顆粒にする。
【0036】
さらに、熱熔融押出は、さらなる乾燥又は非連続的な製造工程を必要としない、速く連続的な単一ポットによる製造工程であり;該熱熔融押出は、活性剤の熱への曝露が短く、熱に弱い活性剤を加工することができ;可塑剤の添加によって、加工温度を下げることができ;他の方法に対して装置への投資は比較的少ない。全工程は無水であり、工程中に行われる強度の混合及び攪拌により、非常に均質な押出物となる。
【0037】
一態様では、本発明による好ましい実施態様は、1種以上の医薬活性成分;本明細書に記載される方法によって熔融押出される1種以上の水溶性ポリマー若しくは水不溶性ポリマー(ここでは、1種以上の医薬活性成分、又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、又は医薬として許容し得るプロドラッグの粉末ブレンド);適当な充填剤及びフレーバー剤を含み得る他の賦形剤を含むことができる。これらをこのように加工して粉末混合物を形成し、該粉末混合物を押出機の加熱バレルを通して移動させ、それによって該粉末混合物が熔融し、熔融溶解物がコンベヤー上に収集され、これにより該熔融溶解物が冷却されて、押出物が形成される。
【0038】
或いは、該押出物を固化の後に断片に切断して、適当な剤形にさらに加工することができる。より好ましくは、上記工程からこうして最終的に得られた押出物を、当業者に周知の手段によって粉砕及び微粉砕して顆粒にする。
【0039】
本発明による特に好ましい一実施態様では、バルサルタンを、1種以上の水不溶性ポリマーと共に、本明細書に記載される方法によって熔融押出を行い、バルサルタンと、1種以上の水溶性の、他の任意の賦形剤との粉末混合物を製造する。該賦形剤は任意の適当な充填剤、可塑剤及びフレーバー剤を含んでもよい。先に述べたように、該バルサルタンを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0040】
本発明による別の特に好ましい実施態様では、クロピドロゲルを、1種以上の水不溶性ポリマー及び/又は1種以上の水溶性ポリマーと共に、本明細書に記載される方法によって熔融押出を行い、クロピドロゲルと、1種以上の水溶性のポリマー及び/又は水不溶性のポリマーと、他の任意の賦形剤との粉末混合物を製造する。該賦形剤は適当な充填剤、可塑剤及びフレーバー剤を含んでもよい。先に述べたように、該クロピドロゲルを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0041】
本発明による別の特に好ましい実施態様では、エファビレンツを、1種以上の水不溶性ポリマー及び/又は1種以上の水溶性ポリマーと共に、本明細書に記載される方法によって熔融押出を行い、エファビレンツと、1種以上の水溶性のポリマーと、他の任意の賦形剤との粉末混合物を製造する。該賦形剤は適当な充填剤、可塑剤及びフレーバー剤を含んでもよい。先に述べたように、該エファビレンツを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0042】
本発明による別の特に好ましい実施態様では、オランザピンを、1種以上の水溶性ポリマーと共に、本明細書に記載される方法によって熔融押出を行い、オランザピンと、1種以上の水溶性のポリマーと、他の任意の賦形剤との粉末混合物を製造する。該賦形剤は適当な充填剤、可塑剤及びフレーバー剤を含んでもよい。先に述べたように、該オランザピンを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0043】
本発明による別の特に好ましい実施態様では、ボリコナゾールを、1種以上の水溶性ポリマーと共に、本明細書に記載される方法によって熔融押出を行い、ボリコナゾールと、1種以上の水溶性のポリマーと、他の任意の賦形剤との粉末混合物を製造する。該賦形剤は適当な充填剤、可塑剤及びフレーバー剤を含んでもよい。先に述べたように、該ボリコナゾールを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0044】
本発明による別の特に好ましい実施態様では、バルガンシクロビルを、1種以上の水溶性ポリマー及び/又は1種以上の水不溶性ポリマーと共に、本明細書に記載される方法によって熔融押出を行い、バルガンシクロビルと、1種以上の水溶性のポリマー及び/又は1種以上の水不溶性ポリマーと、他の任意の賦形剤との粉末混合物を製造する。該賦形剤は適当な充填剤、可塑剤及びフレーバー剤を含んでもよい。先に述べたように、該バルガンシクロビルを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0045】
これらを加工して粉末混合物を形成し、該粉末混合物を押出機の加熱バレルを通して移動させ、これにより該粉末混合物が熔融し、熔融溶解物がコンベヤー上に収集され、これにより押出物が冷却されて形成される。
或いは、該押出物を固化の後に断片に切断して、適当な剤形にさらに加工することができる。従って、より好ましくは、上記方法からこうして最終的に得られた押出物を、当業者に周知の手段によって粉砕及び微粉砕して顆粒にする。
さらなる別の方法では、本発明はさらに、圧縮して錠剤を形成することができる顆粒を形成することができ、該顆粒をカプセル、小袋、若しくは同様の剤形の中に充填することができる。
【0046】
該方法は、ポリマーを熔融することなく加熱して軟化させ、活性成分とポリマーとを混合して、該ポリマー又は各ポリマー中に分散された該活性成分又は各活性成分の顆粒を形成することを含む。この代替の方法では、熱熔融押出方法とは異なり、ポリマーを熔融せずに、活性成分が溶解又は分散している液体を形成する。該ポリマーは固体のままであるものの、ポリマーは、活性材料がポリマーと混合され、ポリマーの全体にわたって分布できる程十分軟質なものである。この方法は、当該熱熔融押出と同じ型の押出装置で実施することができる。但し、生成物が該装置の押出ノズルを通って押出しされることはない。
【0047】
これによって、均一かつ密度が高い顆粒がもたらされるであろう。前記方法が、本明細書の全体を通して記載される医薬として活性な成分に適用できることを当業者は容易に理解することができるであろう。しかし、該方法は、メトホルミン、プソイドエフェドリン、ベラパミル、フェロジピン、バルプロ酸/バルプロ酸ナトリウム、メサラミン、ハイドロクロルサイアザイド、レボスルピリド、エファビレンツ、ネルフィナビル、及びセファロスポリン(例えばセフィキシム、セフポドキシムプロキセチル)などの抗生物質のうちの1種以上を含む医薬組成物を調製するのに特に適している。
【0048】
ベラパミルは、1種以上の水溶性ポリマー及び/又は1種以上の水不溶性ポリマーと共に、この熱造粒法によって製造することができる。液体状態をもたらすほど加熱するのではないが、ポリマーを軟化させ、ベラパミル及び他の任意の賦形剤(適当な充填剤、可塑剤、及びフレーバー剤を含んでもよい)と混合して、加工をして、ポリマー中に分散されたベラパミルと任意の賦形剤との顆粒を製造する。先に述べたように、ベラパミルを、必要に応じて、遊離塩基として、又はその適切な、医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形体、医薬として許容し得るエステル、又は医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【0049】
本発明によれば、使用することができる水可溶性ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー(特に、ポリビニルピロリドン(PVP)などのN-ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー)、PVP及び酢酸ビニルのコポリマー、N-ビニルピロリドン及び酢酸ビニル若しくはプロピオン酸ビニルのコポリマー、マルトデキストリン等級などのデキストリン、セルロースエステル及びセルロースエーテル、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドなどの高分子ポリアルキレンオキシド、並びにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマーからなる。水可溶性ポリマーは、薬剤とポリマーの比が1:0.5〜1:6の範囲で存在するのが好ましい。
【0050】
本発明によれば、使用することができる水不溶性ポリマーは、アクリルコポリマー(例えばオイドラギット(Eudragit)E100、又はオイドラギット EPO);オイドラギットL30D-55、オイドラギットFS30D、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30D、オイドラギットNE30D、アクリル-Eze(Colorcon Co.); オイドラギットL30D-55、オイドラギットFS30D、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30D、オイドラギットNE30D、アクリル-Eze(Colorcon Co.);ポリ酢酸ビニル(例えば、Kollicoat SR 3OD(BASF Co.); セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース(Surelease(Colorcon Co.)など)、Aquacoat ECD、及びAquacoat CPD(FMC Co.)など)からなる。最も好ましい水不溶性ポリマーは、オイドラギットE100である。水不溶性ポリマーは、薬剤とポリマーの比が1:1〜1:6の範囲で存在する。さらに、水不溶性ポリマーは、クエン酸、酒石酸、グリコール酸などの有機酸と組み合わせてもよい。
【0051】
ポリマー及び工程の要件に応じて可塑剤を組み込むことができる。好都合なことに、これらを熱熔融押出時に使用すると、ポリマーのガラス転移温度が下がる。また、可塑剤は、ポリマー溶融物の粘性を減少させる働きをし、これにより熱熔融押出の間の加工温度及び押出機のトルクを下げることができる。本発明において使用することができる可塑剤には、下記のものが含まれるがこれらに限定されない; ポリソルベート(例えば、モノラウリン酸ソルビタン(スパン 20)、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン); (クエン酸トリエチル、クエン酸フタラートのような)クエン酸エステル型可塑剤; プロピレングリコール; グリセリン; ポリエチレングリコール(低分子量及び高分子量); トリアセチン; セバシン酸ジブチル、セバシン酸トリブチル;酒石酸ジブチル、フタル酸ジブチルである。好ましくは、可塑剤は、ポリマーの重量に対して0% 〜10%の範囲の量で存在する。
【0052】
本発明は、これらに限定されないが下記のものを含めた適当な崩壊剤を含むことができる:クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、トウモロコシデンプン及び加工デンプン、ケイ酸カルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロースである。崩壊剤の量は、好ましくは組成物の5%〜35重量%の範囲である。
【0053】
本発明は、これらに限定されないが下記のものを含めた適当な充填剤をさらに含むことができる;糖類、例えば単糖類、二糖類、多糖類、及び糖アルコール(例えば、アラビノース、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、フルクトース、マルトース、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトールなど)、並びに他の充填剤(例えば、粉末セルロース、微結晶性セルロース、精製された糖、及びそれらの誘導体など)である。製剤には、1種以上の上記の充填剤を組み込むことができる。充填剤の量は、好ましくは組成物の15%〜70重量%の範囲である。
【0054】
本発明は、これらに限定されないが下記のものを含めた適当な滑沢剤及び滑剤(glidant)を含むことができる;ステアリン酸及びその誘導体又はエステル(ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムなど)、及びこれに相当するエステル(ステアリルフマル酸ナトリウム);タルク及びコロイド状二酸化ケイ素である。滑沢剤又は滑剤の量は、好ましくは組成物の0.25%〜5重量%の範囲である。
【0055】
本発明によれば、錠剤をシールコーティングすることができる。好ましくは、錠剤をシールコーティングして、最後にフィルムコーティングすることができる。該製剤は、レディカラーミックスシステム(Ready colour mix system)(例えば、オパドライカラーシステム(Opadry colour mix system))でコーティングすることができる。
【0056】
第1の実施態様によれば、バルサルタン、及び1種以上の賦形剤(ポリマー(例えば、水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとを組み合わせたもの)が挙げられるがこれに限定されない)、1種以上の可塑剤、1種以上の崩壊剤、1種以上の滑沢剤及び滑剤を熱熔融押出技術を介して押出を行い、ここで、押出物が得られ、その押出物を所望の形状に成型して、小袋/カプセルに充填することができる、又は顆粒状にすることができる。或いは、該顆粒を圧縮して錠剤することができる。
【0057】
第2の実施態様によれば、オランザピン、及び1種以上の賦形剤(ポリマー(例えば、水溶性ポリマー)が挙げられるがこれに限定されない)、1種以上の可塑剤、1種以上の崩壊剤、1種以上の滑沢剤及び滑剤を熱熔融押出技術を介して押出を行い、ここで、押出物が得られ、その押出物を所望の形状に成型して、小袋/カプセルに充填することができる、又は顆粒状にすることができる。或いは、該顆粒を圧縮して錠剤することができる。
【0058】
第3の実施態様によれば、ボリコナゾール、及び1種以上の賦形剤(ポリマー(例えば、水溶性ポリマー)が挙げられるがこれに限定されない)、1種以上の可塑剤、1種以上の崩壊剤、1種以上の滑沢剤及び滑剤を熱熔融押出技術を介して押出を行い、ここで、押出物が得られ、その押出物を所望の形状に成型して、小袋/カプセルに充填することができる、又は顆粒状にすることができる。或いは、該顆粒を圧縮して錠剤することができる。
【0059】
第4の実施態様によれば、バルガンシクロビル、及び1種以上の賦形剤(ポリマー(例えば、水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとを組み合わせたもの)が挙げられるがこれに限定されない)、1種以上の可塑剤、1種以上の崩壊剤、1種以上の滑沢剤及び滑剤を熱熔融押出技術を介して押出を行い、ここで、押出物が得られ、その押出物を所望の形状に成型して、小袋/カプセルに充填することができるか、又は顆粒状にすることができる。或いは、該顆粒を圧縮して錠剤することができる。
【0060】
本発明の別の態様によれば、医薬組成物の製造方法は、1種以上のポリマーを熔融することなく加熱して軟化させ、1種以上の活性成分とポリマーとを混合して、該ポリマー又は各ポリマー中に分散された活性成分の顆粒を形成することを含む。
【0061】
厳密な温度は重要ではない。重要なのは、活性材料が使用温度で分解しないこと、及びポリマー中に活性材料又は各活性材料が分散されるように、軟質ではあるが固体形態であるポリマー材料を、活性材料と共に押出機によって加工できることである。この加工の好ましい温度は、30℃〜120℃である。
【0062】
本発明のこの態様に従って、均一かつ密度が高い顆粒を得ることが可能である。このようにして得られた顆粒をさらに混合し、ふるいにかけ、移して、単一錠剤に圧縮することができる、又はカプセル若しくは小袋に充填することができる、或いは該顆粒を直接投与するこができる。錠剤は、シールコーティング及び/又はフィルムコーティングをしてもよい。
【0063】
或いは、本発明による2つの活性剤を含む適当な医薬剤形では、上記で得られた顆粒又は各顆粒(個々の活性剤を含む)を個々に圧縮して2種の錠剤にして、最終的には二層の錠剤に固めて圧縮してもよい。錠剤は、シールコーティング及びフィルムコーティングをしてもよい。
該製剤は、レディカラーミックスシステム(例えば、オパドライカラーシステム)でコーティングすることができる。
【0064】
本発明による製剤/組成物の投与は、医薬として許容できる従来の非毒性の担体を含有する、懸濁液、カプセル、錠剤、小袋、溶液、ドライシロップ剤、エマルジョン;アジュバント、及び賦形剤などの、異なる単位剤形製剤を含むことが想定できる。
以下の実施例は、本発明を説明することのみを目的とするものであって、本発明の範囲を少しも限定するものではない。
【0065】
(実施例1)
【表1】

(1) バルガンシクロビルを、少量のコリドンVA64及びスパン20と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いで微結晶性セルロース及びクロスポビドンを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) (2)で得られた顆粒を圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0066】
(実施例2)
【表2】

(1) バルガンシクロビルを、少量のオイドラギットE100及びオイドラギット NE30Dと共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いで微結晶性セルロース及びクロスポビドンを添加し、ステアリルフマル酸ナトリウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) (2)で得られた顆粒を圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0067】
(実施例3)
【表3】

(1) エファビレンツを少量のコリドンVA 64及びコロイド状二酸化ケイ素と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いでラクトース、及びデンプングリコール酸ナトリウムを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) (2)で得られた顆粒を圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0068】
(実施例4)
【表4】

(1) エファビレンツを、少量のコリドンVA-64及びコロイド状二酸化ケイ素と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は、70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いでラクトース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) 次いで(2)で得られた顆粒をレディーカラーミックスシステムでコーディングして、最終的にカプセルに充填した。
【0069】
(実施例5)
【表5】

(1) クロピドグレル重硫酸塩を、予めふるいにかけられて、予め移された分量のコリドンVA64及びコロイド状二酸化ケイ素と混合した。
(2) 少量のコロイド状二酸化ケイ素を含めたアトルバスタチンカルシウムを、コリドンVA64及びスパン20と共にミキサー内に移して混合した。
(3) (1)及び(2)で得られた内容物に別々に最後に熱熔融押出を行い(HME)、ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いでマンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース(LHPC)、炭酸カルシウム、及びタルクを添加し、ステアリン酸カルシウムを用いてさらに滑らかにした。
(4) (3)で得られた顆粒を圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0070】
(実施例6)
【表6】

(1) オランザピンを少量のコリドンVA64及びスパン20と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いで微結晶性セルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) (2)で得られた顆粒を圧縮して、最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0071】
(実施例7)
【表7】

(1) オランザピンを少量のオイドラギットE100及びオイドラギット NE30Dと共にミキサー内に移して混合した。
(2)(1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いで微結晶性セルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3)(2)で得られた顆粒を圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0072】
(実施例8)
【表8】

(1) オランザピンを少量のマルトデキストリン及びPEG 6000と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いで微結晶性セルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) (2)で得られた顆粒を一緒に圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0073】
(実施例9)
【表9】

(1) ボリコナゾールを少量のコリドンVA64と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物を混合して、最後に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は70〜200℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、次いで微結晶性セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを添加し、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
(3) (2)で得られた顆粒を一緒に圧縮して最終的にレディーカラーミックスシステムでコーティングされた錠剤を形成した。
【0074】
(実施例10)
【表10】

(1) 塩酸ベラパミルを、アルギン酸ナトリウム及び微結晶性セルロースと共に移して混合し、ポピドンK30とコロイド状ケイ素との均一なブレンドを形成した。
(2) 上記で得られたブレンドを、約30〜120℃の温度に保たれた二軸スクリュー押出機に通し、形成された顆粒を、ステアリン酸マグネシウムを用いて滑らかにした。
(3) 得られた顆粒を圧縮して最終的にフィルムコーティングされた錠剤を形成した。
【0075】
(実施例11)
【表11】

(1) メトホルミン塩酸塩を、予め移された分量の微結晶性セルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びコロイド状二酸化ケイ素と共に移して混合し、均一なブレンドを形成した。
(2) 上記のブレンドを、ステアリン酸マグネシウムを用いて滑らかにして、二軸スクリュー押出機で顆粒にした。
(3) 残りの分量のコロイド状二酸化ケイ素、及び微結晶性セルロースを加え、次いでステアリン酸マグネシウムを加えた、
(3) 上記で得られた顆粒を最終的に圧縮して錠剤にした。
【0076】
(実施例12)
【表12】

(1) 塩酸プソイドエフェドリンを、予め移された分量のラクトース一水和物、微結晶性セルロース、ヒプロメロース、コロイド状二酸化ケイ素と共に移して、均一なブレンドを形成して、次いでステアリン酸マグネシウムを用いて滑らかにした。
(2) 上記のブレンドを、二軸スクリュー押出機で顆粒状にして、顆粒を形成し、次いでタルク並びに残りの分量のコロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムを加えた。
(3) 上記で得られた顆粒を最終的に圧縮して錠剤にした。
【0077】
(実施例13)
【表13】

(1) フェロジピンを、予め移された分量のラクトース一水和物、微結晶性セルロース、没食子酸プロピル、ポビドンK 30、及びHPMC E50と混合して、均一なブレンドを形成した。
(2) 上記のブレンドを、約30〜120℃の温度に保たれた二軸スクリュー押出機で顆粒状にして、顆粒を形成し、次いでHPMC E50、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムと混合した。
(3) 上記で得られた顆粒を最終的に圧縮して錠剤にして、最後にコーティングした。
【0078】
(実施例14)
【表14】

(1) パラセタモールを、オイドラギットE100、ステアリン酸、及び酒石酸と共にミキサー内に移して混合した。
(2) (1)で得られた内容物に熱熔融押出を行った(HME)。ここでは、押出加工の熔融温度は80〜140℃の範囲であり、こうして得られた分子質量をコンベヤーの上に回収して冷却させて、押出物を形成し、これらの押出物をさらに粉砕して顆粒にして、ソルビトール、マンニトール、クロスポビドン、キシリトール、スクラロース、イチゴフレーバー、FD&C着色剤を添加して、ステアリン酸マグネシウムを用いてさらに滑らかにした。
【0079】
当技術分野の技術者にとって、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書に開示された発明の代替変更及び改変ができることは、容易に明らかである。したがって、本発明は、好ましい実施態様によって具体的に開示されているが、本発明に開示された概念の任意選択的特徴、改変及び変更は当業者によって成し得るものであり、このような改変及び変更は、本発明の範囲内に入るものとみなされる。
【0080】
本明細書で使用される用語及び専門用語は、記述目的のものであり、限定するものではないことが理解される。本明細書における「含むこと(including)」、「含むこと(comprising)」、又は「有すること(having)」及びそれらの変形例の使用は、それらの後に列挙されるもの及びそれらの均等物、並びに追加されるものを包括することになっている。
【0081】
本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用される単数形の「ひとつの(a)」「ひとつの(an)」「その(the)」には、その文脈が他に明示しない限りは、複数形の表現が含まれることに留意しなくてはいけない。したがって、例えば、「ポリマー」という表現には、1つのポリマー、並びに2つの以上異なるポリマーが含まれ;「可塑剤」という表現には、1つの可塑剤、又は2つ以上の可塑剤の組み合わせなどの表現が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体単位剤形を含む医薬組成物であって、該固体単位剤形が、水不溶性ポリマー及び/又は水溶性ポリマーと組み合わせた、パラセタモール、オランザピン、バルサルタン、クロピドグレル、アトルバスタチン、シンバスタチン、アムロジピン、エゼチミブ、フェノフィブレート、ボリコナゾール、トポテカン、アルテスナート、アモジアキン、ググロステロン、ラミプリル、テルミサルタン、チボロン、タクロリムス、バラシクロビル、バルガンシクロビル、エストラジオール、トレンボロン、エファビレンツ、メトホルミン、プソイドエフェドリン、ベラパミル、フェロジピン、バルプロ酸/バルプロ酸ナトリウム、メサラミン、ヒドロクロロチアジド、レボスルピリド、ネルフィナビル、セフィキシム、及びセフポドキシムプロキセチルから選択される1種以上の医薬活性成分を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬活性成分の重量と前記ポリマーの重量との比が1:0.5〜1:6である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬活性成分が、前記ポリマー中にそれぞれ分散している、又は溶解している、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の医薬として許容し得る賦形剤が、前記ポリマー中に分散している、又は溶解している、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬活性成分を前記ポリマーと共に熱熔融押出を行うことによって得られる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ポリマー中に分散している前記活性成分又は各活性成分の顆粒を形成するために、該ポリマーを熔融することなく加熱して軟化させ、かつ該活性成分とポリマーとを混合することによって得られる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の前記医薬活性成分を前記ポリマーと共に熱熔融押出を行い、押出物を形成し、次いで該押出物を医薬組成物に製剤化することを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項8】
前記熱熔融押出工程の前に、前記医薬活性成分を、前記水溶性ポリマー及び/又は水不溶性ポリマーと混合する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬活性成分、前記ポリマー、及び、任意に、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤の実質的に均一な熔融物を調製すること、該熔融物を押出すること、及び該熔融物が固化するまで冷却することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記熔融物が、実質的に50℃〜実質的に200℃の温度で形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬活性成分又は各医薬活性成分、前記ポリマー、及び、任意に、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤を調製して粉末混合物を形成し、該粉末混合物を押出機の加熱バレルを通して移動させ、これにより該粉末混合物が熔融して熔融溶解物が形成され、該溶解物を冷却して押出物を形成する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却押出物を、所望の医薬剤形に製剤化することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記医薬活性成分が、パラセタモール、オランザピン、バルサルタン、クロピドグレル、アトルバスタチン、シンバスタチン、アムロジピン、エゼチミブ、フェノフィブレート、ボリコナゾール、トポテカン、アルテスナート、アモジアキン、ググロステロン、ラミプリル、テルミサルタン、チボロン、タクロリムス、バラシクロビル、バルガンシクロビル、エストラジオール、トレンボロン、及びエファビレンツのうちの1種以上から選択される、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーを熔融することなく、加熱して軟化させること、及び前記活性成分とポリマーとを混合し、該ポリマー又は各ポリマー中に分散された該活性成分又は各活性成分の顆粒を形成することを含む、請求項1〜4又は6のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項15】
前記温度が、30℃〜120℃の範囲である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記顆粒を冷却し、次いで該顆粒を所望の医薬剤形に製剤化することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬活性成分が、エファビレンツ、メトホルミン、プソイドエフェドリン、ベラパミル、フェロジピン、バルプロ酸/バルプロ酸ナトリウム、メサラミン、ヒドロクロロチアジド、レボスルピリド、ネルフィナビル、セフィキシム、及びセフポドキシムプロキセチルのうちの1種以上から選択される、請求項13〜15記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項7〜17のいずれか一項に記載の方法により製造される、錠剤又はカプセルの形態の医薬剤形。

【公表番号】特表2011−509283(P2011−509283A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541844(P2010−541844)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000083
【国際公開番号】WO2009/087410
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】