説明

固体形態の経口投与用の食欲をそそる医薬品

本発明は、粉末の食欲をそそる材料、結合剤および溶媒を含む、フィルムコーティング法によって経口投与用の動物用医薬組成物に適用するためのコーティング組成物に関する。本発明はさらに、経口投与用の固体の動物用医薬のフィルムコーティングによるコーティング法、ならびに動物用医薬組成物と、食欲をそそる材料および結合剤を含む、前記組成物の周囲に配置される食欲をそそるコーティングとを含む、動物用の食欲をそそる医薬品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用医薬品の調製の分野に関するものであり、より具体的には、固体形態で製剤された医薬品の、動物(家畜(domestic)、畜産(farm)または野生動物)による服用を改善することを目標とする。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、ペットに施されるケアに変化が起こっており、経口経路が、医療従事者によるまたは飼い主による医薬品の投与のための好都合な経路になっている。これは、医薬品の投与に関して、従来の非経口経路(筋肉内、皮下、皮内または静脈内)には不都合な点があるためである。筋肉内および皮下経路は、例えば、血腫または膿瘍を引き起こす可能性がある。静脈内経路に関しては、それは、専門家(獣医師)の診療行為を必要とすることが多い。これらの非経口投与経路はまた、動物の支持を必要とする。その上、有効成分の中には、非経口医薬剤形に製剤することが困難なものもある。最後に、有効成分の中には、それらが消化管に直接到達する場合に、動物に対してそれらの治療効果を発揮するだけのものもある。
【0003】
経口経路すなわち口からの医薬品の投与に適した医薬剤形は、一般に液体形態(シロップ剤、経口服用される液剤または懸濁剤、滴剤など)、半固体形態(経口投与用スラリーなど)または固体形態で提供されている。ペット、特にネコおよびイヌに医薬品を投与するのに一般に使用される固体形態は、性質が異なっている種々の剤形および異なる方法によって得られる種々の剤形で提示されている。選抜されているのは、例えば、圧縮錠を含む錠剤、ゼラチンカプセル剤を含むカプセル剤、チューインガム、丸剤、トローチ剤またはロゼンジである。経口経路によって投与される治療の遵守(換言すると、医薬品の服用に関して、医療従事者の指示および命令に従うこと)は、常に適切に従われているとは限らず、これは動物に十分な治療を施すことの困難さによるものであることが分かっている。これは、いくつかの活性物質の味および医薬品を構成しているいくつかの添加剤の味が悪いことならびに動物の嗅覚および味覚が高度に発達していることが原因で、動物に、経口経路によって固体医薬剤形の医薬品を投与することが、多くの場合、困難であるためである。その上、医薬品の経口投与は、大多数の場合、考慮の下で、個々および病状に従って変動する用量の使用を伴い、時には分割し、時間をかけて繰り返される必要がある。特に、イヌおよびネコにおいて、経口治療の遵守を非常に困難にし、実際には不可能にさえしている主な理由は、医薬品によって刺激される本能的欲望の欠如であることが観察されている。
【0004】
医薬品に対する本能的欲望は、後者の感覚刺激性の特徴の認知に反応した、医薬品を吸収したいという欲求に相当する心理状態と定義される。本能的欲望を刺激する能力は、本能的欲望刺激性として知られている。本能的欲望刺激性は、普通に育てられた動物に対して、それが有する魅力を決定する、医薬品の特徴の組合せに相当する。医薬品の本能的欲望刺激性は、治療を自発的に受けることおよび時には非常に長い期間にわたって服用が繰り返されることが、動物によって拒否されるかまたは許容されるかに大きく寄与するものである。いくつかの治療の状況において、治療を受けることは、毎日および一生の間のことであり得る。
【0005】
経口経路によって投与される医薬品の本能的欲望刺激性は、結果として、動物による許容および自発的な摂取をもたらす。この本能的欲望刺激性は、動物によってたとえ一度にまたは一定の間隔ですべてが服用される医薬品が数種類存在しても、手からもしくは地面からのその自発的な服用または同様のその摂取などの、医薬品の種々のパラメータを考慮に入れた、本能的欲望の一般的な試験で測定することができる。
【0006】
先行技術において、動物による医薬品の吸収を容易にするために、多数の解決策が生み出されてきた。
【0007】
1.最初の選択肢は、1種の有効成分または複数種の有効成分の不快な味および/または不快なにおいを、これらの有効成分をカプセル化することによってまたはコーティングすることによって、マスキングすることにある。
【0008】
したがって、特許出願EP0997143において、有効成分の苦味の問題は、酢酸セルロースのまたは酢酸酪酸セルロースのまたはポリビニルピロリドン(PVP)のまたはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のブレンドなどの、味をマスキングする組成物中に、それらをカプセル化することによって解決されている。
【0009】
特許出願EP1490037は、有効成分の不快な味がマスキングされる医薬品の調製を提供しており、その調製は、有効成分、マスキングすることが望ましい味を、支持体として作用する顆粒の周囲にコーティングすることにある。有効成分の層は、続いて生理学的に許容されるポリマーマトリックス(セルロース、デンプン、スクロース、ラクトースまたは他のタイプの糖など)で生成された保護層で覆われ、これによって有効成分が、動物の味覚細胞に直接接触するのを防ぐ。こうして調製された顆粒は、続いて食欲をそそる物質と混合することができ、次いで、混合物は、例えば、ロゼンジの形に圧縮される。
【0010】
しかし、これらの解決策は、多数のカプセル化段階またはコーティング段階を必要とする。その上、固体医薬剤形の医薬品の調製は、続いて圧縮によって行われ、実際には、いくつかの有効成分は、非常に繊細であり、圧縮中に使用される物理的応力に耐えられない。
【0011】
国際出願WO01/15547は、動物に使用するための、動物によって許容されにくい活性剤の製剤を記載している。ここで再び、提案されている原理は、マトリックス中に前もって組み込まれた1種の活性剤または複数の活性剤を、その味をマスキングするためにカプセル化することである。活性剤を組み込んでいるマトリックスは、キサンタン、ポリビニルピロリドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む、際立った特徴のない味を有する層で覆われる。こうして製剤化された1種の活性剤または複数の活性剤は、動物によってもはや気付かれない。
【0012】
しかし、この文献に記載されている方法は、特に、繊細な有効成分に損害を与え得る押出成形段階を必要とする。
【0013】
2.別の選択肢によると、有効成分は、それらの味をマスキングするために、食欲をそそる物質を含むマトリックス中に混合される。
【0014】
したがって、オーストラリア特許出願AU2001279664は、有効成分および動物に経口投与することができる特定の芳香剤を含む、デンプンベースの押出成形品を記載している。
【0015】
しかし、押出成形は、いくつかの有効成分が分解する問題を提示する可能性があり、そのために、押出成形を避けることが好ましい。
【0016】
その上、芳香剤は、嗅覚によってのみ気付かれる、合成または天然由来の香気成分である。特に、芳香剤は、味覚器に感覚を生み出さず、それ故に風味を有さない。その結果として、本能的欲望刺激性を増加することができる物質としての芳香剤の質は限定されている。
【0017】
特許出願EP0320320は、動物に熱望されるマトリックス中に完全に組み込まれた1種または複数種の有効成分を含む少なくとも1つのコアから構成されることを特徴とする、家畜のための圧縮錠を記載している。圧縮錠の本能的欲望刺激性は、マトリックスの成分である、レバー粉末またはビール酵母などの薬剤によって付与され、そのようなマトリックスは、その上、圧縮錠の製造を容易にする役割の錠剤調剤用添加剤および/または滑沢剤を含む。
【0018】
しかし、これらの圧縮錠の調製は、錠剤調剤段階を必要とし、この段階は、1種の有効成分または複数種の有効成分に損害を与え得るという点で、不都合な点を構成している。その上、1種の有効成分または複数種の有効成分は、マトリックスの熱望される成分と親密に接触しており、そのような熱望される成分は、有効成分とマトリックスの他の成分、特にマトリックスの熱望される成分との両方に良好な安定性を与えるために、必ずしも適合性であるとは限らないことが見出されている。
【0019】
本出願人の特許出願EP0725570は、3から20%までの水不溶性ポリマー、5から45質量%までの食欲をそそる物質ならびに、35から60質量%までの脂質物質を含み、固体形態の脂質物質をポリマー(単数または複数)の融点よりも低い温度で融解させ、ポリマー(単数または複数)を他の成分と同温度で混合することによって得られる、動物にとって魅力的な固体形態の組成物を記載している。組成物は、50質量%までの生物活性物質を含むことができ、ブロックに成形することができる。それは、例えば、野生動物を治療するために、医薬品を環境に散布することができる高い機械的強度を示す製剤である。食欲をそそる物質は、得られた医薬剤形に均一に分布されている。
【0020】
そのような組成物の調製は、いくつかの成分の融解をもたらすために、40と80℃との間に加熱する必要がある。しかし、この加熱は、いくつかの有効成分の安定性に対して主要な不都合な点を構成し得る。
【0021】
芳香剤および/または食欲をそそる物質および有効成分が混合され、それ故に接触している製剤の限界は、以下の通りである。
【0022】
・それらが、結果として、1種の有効成分もしくは複数種の有効成分のまたは芳香剤のおよび食欲をそそる材料の変換または分解をもたらす不適合性につながり得ること。その上、食欲をそそる材料は、多量に存在しても、高度に発達した嗅覚および味覚を有する動物にとって不快なにおいまたは味を、常にマスキングするとは限らない。たとえ製剤が、風味を増強することで知られている液体または固体の脂質を含むとしても、このことはすべて、より真実に近い。
【0023】
・適切な場合、食欲をそそる材料が組成物の内部に均質に分布すると、動物がその味を体験するために、自身の口の中に製剤を入れ、それを噛み始める前に、食欲をそそる材料の大部分が、本能的欲望刺激性を最大限に発揮することに利用できなくなること。および、
・これらの製剤は、湿度および温度などの環境条件から有効成分を保護することならびに長期にわたって完全な安定性を維持することを、常に可能にするとは限らない。
【0024】
3.有効成分の経口投与を容易にするためのさらに別の選択肢は、医薬品を食欲をそそる材料でコーティングすることである。
【0025】
以下の特許出願:FR2715803、US5853757、US6143316、US5792470、US5674515、EP0574301、US4857333、DE19853729、WO03/030863、WO2004/043427およびWO2007/090987は、動物に医薬品を経口投与するために、食欲をそそる材料を用いて生成され、中に固体形態の医薬品を使用時に組み込むことができる誘惑物を提供している。これらのシステムは、経口経路のための動物用医薬品の多数の固体形態に適しているという利点を示す。
【0026】
類似の原理によると、出願WO89/12442は、水におよび有効成分に不透過性である外部層を含む魚用医薬組成物支持体を記載している。この外部層は、少なくとも1種の有効成分を含む少なくとも1つのチャンバーを取り囲んでおり、前記有効成分の味をマスキングする。外部層は、植物性または動物性材料、好ましくは、魚粉および/または海洋性材料の水性抽出物、および必要に応じて味増強剤および/または結合剤から構成される。この魚用医薬組成物支持体の重要な特徴は、特に水に対するその不透過性であり、この性質は、天然接着剤として作用する、デンプンから誘導される結合剤の使用によっておよび海洋性材料の水性抽出物の存在によって得られる。
【0027】
これらの誘惑物の共通の不都合な点は、それらの使用が、医薬品を誘惑物の中に組み込むという事前の作業を必要とし、多数の動物を治療しなければならない場合には、使用者によっては嫌がる可能性があり、面倒になる可能性もあることである。その上、それらの大きな体積(医薬品よりも必然的に大きい)は、大量の材料を必要とし、それらの製造は、それらの複雑な形に適応しなければならない。それ故に、これらの誘惑物は、多くの場合、高価であることが判明する。
【0028】
本出願人の特許出願EP0725627は、餌タイプの生物活性(生物学的、化学的または医薬の)物質の経口投与のための医薬剤形を記載している。それは、二重コンパートメントの医薬剤形であり、
(i)第1のコンパートメントとして、1種または複数種の生物活性物質を含む、多孔性固体の中心コアであって、凍結乾燥による凝固に適した特定の組成物を有し、唾液中で速やかに溶解または崩壊する特徴を示すため、動物がこの医薬品を咀嚼する場合、コアによって生じた破片が、動物の口腔の組織に付着する、コアと、
(ii)3から30%までの肉粉または魚粉タイプの天然または合成の食欲をそそる物質、40から93%までの脂質物質および4から30%までのポリマーを含む、疎水性の外部層である第2のコンパートメントと
を含む。第2のコンパートメントの組成物は、それを疎水性にし、コアを水から保護するために、脂質を含むという特定の特徴を有する。それはポリマーも含み、このポリマーは、脂質層を強化する役割、餌の取り扱いを容易にする役割および組成物の融点を変更する役割を有する、構造上の充填剤である。それ故に、この層は、疎水性であり、熱望され、制御された厚さを有する。しかし、そのような製剤の調製は、いくつかの有効成分の安定性に好ましくない、機械的および熱的な制約を課している。
【0029】
通常、動物によって拒絶される形態である、「硬ゼラチンカプセル剤」または「軟カプセル剤」提示物では、ゼラチンカプセル剤を含むカプセル剤の壁に、芳香剤を加えることが可能である。しかし、芳香剤の含量は、壁の成分およびゼラチンカプセル剤を含むカプセル剤全体の総質量に対する壁の低い質量のために、必然的に低い。したがって、芳香剤の存在は、所望の本能的欲望刺激性を発揮し且つ服用を促進するには不十分であることが多く、芳香剤は、嗅覚によってのみ気付かれ、それは味覚器に感覚を生み出さず、それ故に風味を有さないので、なおさら不十分なのである。その上、液体形態において、導入される芳香剤の量は、ただ低い可能性があり(一般に、2パーセント未満)、大多数の場合にゼラチンである壁の成分の性質と適合しなければならない。
【0030】
特許出願EP0025226は、ヒトが使用するための種々の固体の食品または医薬剤形をコーティングするための組成物を記載している。前記組成物は、スクロース、ラクトースなどの少なくとも1種の他の糖および水からなり、着色剤、着香剤、香料およびアジュバントを追加的に含むことができる。これらの組成物は、処理工程中に結晶化する傾向をより少なくする糖から形成された組成物のおかげで、糖コーティングによってコーティングする処理工程の使用を容易にしている。すべての糖衣錠におけるように、糖で作られたコーティングは、ヒトに対して好ましい味を付与する。しかし、このタイプの製剤は、動物には適しておらず、精製糖は、動物にとって食欲をそそる材料ではない。加えて、精製糖は、動物に本能的欲望刺激性をもたらすのに必要なにおいを放出しない。最後に、「糖衣」形態は、動物によって許容されにくい。この形態は、極めて硬く、非常に滑らかな表面を有しており、動物が捕捉するのは困難である。
【0031】
加えて、そのようなコーティング組成物は、動物にとって食欲をそそる、微粉形態の材料の、可能性のある追加物と適合しない。その理由として、
・高含量の食欲をそそる材料を含む糖シロップは、糖衣錠を調製するための処理工程中に、糖コーティングノズルにおいて、流れの悪さを引き起こす傾向がある。
・糖衣錠の調製中の、溶媒の蒸発中に、糖の結晶化が食欲をそそる材料を閉じ込めてしまう作用を有し、それ故、動物にとって食欲をそそる材料の魅力を大いに減らすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】EP0997143
【特許文献2】EP1490037
【特許文献3】WO01/15547
【特許文献4】AU2001279664
【特許文献5】EP0320320
【特許文献6】EP0725570
【特許文献7】FR2715803
【特許文献8】US5853757
【特許文献9】US6143316
【特許文献10】US5792470
【特許文献11】US5674515
【特許文献12】EP0574301
【特許文献13】US4857333
【特許文献14】DE19853729
【特許文献15】WO03/030863
【特許文献16】WO2004/043427
【特許文献17】WO2007/090987
【特許文献18】WO89/12442
【特許文献19】EP0725627
【特許文献20】EP0025226
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
したがって、動物に経口経路によって投与される固形医薬品の本能的欲望刺激性を改善することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本出願人自身は、先行技術の不都合な点を克服し、組成物ならびに固体形態の経口投与用医薬品に、既知の組成物および技術に比べて良好な本能的欲望刺激性を付与することができる方法を開発する目的を定めた。単純且つ経済的である、経口投与用の動物用組成物を開発すること自体は、特に適用されており、用いられる固体医薬剤形および工業規模で容易に行われ得る製造なら何でも使用され得る。特に、医薬品の本能的欲望刺激性を改善するための処理は、後者の化学的および物理的安定性を保証しながら、前記医薬品の製造ラインの終わりに適用することができなければならない。
【0035】
本発明によるコーティング組成物の開発に至る研究において、本出願人は、出発材料状態では微粉形態で存在する、標的動物にとって食欲をそそる物質を、経口経路によって投与される固体組成物の表面に濃縮された量で追加することが、一方では、動物の本能的欲望を促進し、他方では、動物に前記固体組成物を摂取するように促すことを見出した。経口経路によって投与される固体組成物に本能的欲望刺激性を付与する物質は、標的動物によって知覚され且つ評価される味およびにおいによって決まる。
【0036】
本発明は、この観察を、動物によって非常に良好に許容され、速やかに吸収され、時々与えられようと、繰り返し与えられようと、食欲をそそる医薬品を提供するための出発点として使用する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の第1の主題は、経口投与用の固体の動物用医薬組成物に、フィルムコーティング処理工程(表面にコーティング組成物の薄層を適用することにある)によって適用することができる、適切な量の食欲をそそる材料を含むコーティング組成物である。
【0038】
したがって、本発明は、
(i)
・微粉形態で提供され、有利には、動物または植物由来の物質から選択され、乾燥もしくは脱水、粉砕または選別などの処理後、但し、例えば、保存を促進するために、他の成分を追加して変換した後も、直ちに粉末にされる、標的動物にとって食欲をそそる材料であって、標的種、特にイヌおよびネコなどの肉食性家畜に対して高い本能的欲望刺激性を有する選択の物質が、暗黙に限定されることなく、ビール酵母、肉粉、魚粉、粉チーズまたは粉乳誘導体、レバー粉末およびそれらの混合物を含む、材料と、
・ポリビニルアルコールポリマー、ポリビニルピロリドンポリマー、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー、酢酸フタル酸ポリビニル、セルロースおよびそれらの誘導体、アルギン酸およびその塩、ゼイン、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、キサンタンガム、カラギーナン、プルランまたは寒天ポリマー、キトサンまたはその誘導体、カルボマー、ポリアルケニルエーテルで架橋されたアクリル酸、ポリカルボフィル、メチルビニルおよび無水マレイン酸のコポリマー、非イオン性ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、単糖類、二糖類および多糖類、ポリオールまたはこれらの結合剤の少なくとも2種の混合物から選択される少なくとも1種の結合剤であって、1種または複数種の単糖類、二糖類および/または多糖類を含む場合には、前記単糖類、二糖類または多糖類の質量百分率が、結合剤の総質量に対して50%以下、好ましくは25%以下に相当することが理解されている、結合剤と、
・水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロールまたはそれらの混合物から選択される溶媒と
を含み、
(ii)結合剤および食欲をそそる材料から構成される混合物の総質量に対して、30質量%と90質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含む
ことを特徴とする、経口投与用の固体の動物用医薬組成物に、フィルムコーティング処理工程によって適用することができるコーティング組成物に関する。
【0039】
標的動物にとって食欲をそそる材料は、有利には、微粉形態で提供され、換言すると、それは小粒子からなり;この形態は、経口投与用の固体の動物用医薬組成物上に前記材料をフィルムコーティングによってコーティングした後でさえも、食欲をそそる材料の、動物にとって食欲をそそる性質を維持することに著しく寄与する。これは、微粉形態が、特に液体形態と比較して、粒子の回復を促進する利点ひいてはコーティング組成物を、コーティングされる固体の動物用医薬組成物に適用した後、外部とやり取りするための表面積を最大にする利点を示すためである。
【0040】
コーティングされた固体の動物用医薬組成物の動物に対する誘引性は、より具体的には、コーティング組成物中の高含量の食欲をそそる材料、固体の動物用医薬組成物の表面でのその位置および小粒子が存在するおかげによる、やり取りするためのできるだけ広い表面積によって決まる。微粉形態で提供される、標的動物にとって食欲をそそる材料を構成する粒子の平均直径は、有利には、500μm未満、好ましくは400μm未満、より好ましくはさらに50と100μmとの間である。
【0041】
標的動物に対して魅力をもたらす任意の食料品が、食欲をそそる材料として使用され得、前記魅力は本能的欲望試験によって評価されることが可能である。
【0042】
溶媒は、結合剤および微粉の食欲をそそる材料を溶解または懸濁させるために使用され;その含量は、前記結合剤および前記微粉の食欲をそそる材料の性質に従って、当業者によって選択される。結合剤および食欲をそそる材料によって形成される混合物の総質量に対する溶媒の質量比は、好ましくは2以上6以下、より好ましくはさらに2と4との間(両端を含む)である。
【0043】
コーティング組成物中に使用される結合剤の選択は、食欲をそそる材料を、それが動物に対してその機能をできるだけ良好に発揮するために、利用できるようにしなければならない。したがって、結合剤を固体の動物用医薬に適用した後、コーティング組成物の表面乾燥中、結合剤が形成する恐れがある結晶中に、微粉形態の食欲をそそる材料が封じ込められる現象を制限するために、注意が払われる必要がある。
【0044】
「セルロースおよびそれらの誘導体」という用語は、特に、微結晶性セルロースまたはメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル−セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースもしくは酢酸セルロースなどのアルキルセルロースのエーテルもしくはエステルを意味することが理解される。
【0045】
単糖類、二糖類および多糖類は、スクロース、グルコース、マルトース、デキストリン、キシロース、リボース、ガラクトース、レブロース、ラクトースまたは転化糖(スクロースの加水分解によって得られる、フルクトースとグルコースとの混合物)から選択することができる。
【0046】
単糖類、二糖類および多糖類が結合剤として使用される場合、それらは、別の化学種(換言すると、単糖類でも二糖類でも多糖類でもないもの)のうちの少なくとも1種の結合剤との混合物として使用され、単糖類、二糖類および多糖類の質量百分率は、結合剤の総質量に対して50%を超えない、好ましくは25%を超えない。
【0047】
ポリオールは、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、マルチトール、マンニトール、ラクチトールまたはそれらの混合物から選択することができる。
【0048】
好ましくは、食欲をそそる材料は、レバー粉末、ビール酵母またはレバー粉末とビール酵母との混合物である。
【0049】
好ましくは、使用される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび微結晶性セルロースを含むことが好ましい、セルロースまたはそれらの混合物から選択される。
【0050】
好ましくは、コーティング組成物は、結合剤および食欲をそそる材料によって形成される混合物の総質量に対して、40質量%と90質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含み;より好ましくは、それは、結合剤および食欲をそそる材料によって形成される混合物の総質量に対して、50質量%と90質量%との間(両端を含む)、より好ましくはさらに60質量%と90質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含む。より好ましくはさらに、コーティング組成物は、結合剤および食欲をそそる材料によって形成される混合物の総質量に対して、60質量%と80質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含む。
【0051】
したがって、コーティング組成物は、これらの3つの成分:食欲をそそる材料、結合剤および溶媒から構成され、他のいずれの成分も除いて使用され得る。
【0052】
本発明の別の代替形態によると、コーティング組成物は、1種または複数種の許容される添加剤を追加的に含み、そのような添加剤は、例としておよび何ら限定する性質なく、可塑剤として、ステアリン酸およびその誘導体、クエン酸およびその誘導体、乳酸およびその誘導体、プロピレングリコール、グリセロール、フタル酸エステルおよびそれらの誘導体、アジピン酸エステルおよびそれらの誘導体、セバシン酸エステルおよびそれらの誘導体、ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体またはグルコース、マルトデキストリン、ソルビトール、スクロースなどの糖またはアセチル化モノグリセリドなど;安定化剤として、酸化防止剤など;保存剤として、アスコルビン酸およびその誘導体もしくは塩、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸およびその誘導体、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンおよびそれらの誘導体、EDTAおよびその塩またはパラベンなど;充填材として、タルク、シリカ、ケイ酸塩、微結晶性セルロース、雲母、炭酸塩またはシリコーンなど;界面活性剤;着色剤として、酸化鉄、アルミナレーキに吸収された可溶性色素または酸化チタンなど;あるいは細孔形成剤から選択される。
【0053】
本発明の別の主題は、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の、フィルムコーティングによるコーティングにおける、前記コーティング組成物の使用である。
【0054】
経口投与用の固体の動物用医薬組成物は、動物に使用するための医薬品、換言すると、動物の病的状態の予防および/または治療を意図した医薬品あるいはペット、特に、イヌまたはネコなどの肉食性家畜を意図した栄養補助食品または栄養サプリメントであり得る。
【0055】
本発明はまた、食欲をそそる材料、好ましくは微粉の食欲をそそる材料を、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の表面に固定することを可能にするフィルムコーティングによってコーティングする方法に関する。経口投与用の固体の動物用医薬組成物のフィルムコーティングは、当業者に知られている従来の技術および装置に従って得られる。以下の非限定例が、本発明を説明する。
【0056】
より具体的には、本発明は、食欲をそそる材料でコーティングされた経口投与用の固体の動物用医薬組成物(以下、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物と表示される)を調製する方法であって、以下の段階:
(1)標的動物のための、微粉形態の、少なくとも1種の食欲をそそる材料、結合剤および溶媒を含むコーティング組成物の層を、経口投与用の固体の動物用医薬組成物に適用する段階と;
(2)段階(1)において得られた前記コーティングされた組成物を乾燥する段階と;
(3)必要に応じて、段階(1)および(2)を繰り返す段階と;
(4)前記食欲をそそる材料が、前記経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物に対して少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%に相当する、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物を製造する段階と
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0057】
特定の実施形態によると、本発明による方法は、以下の段階:
(A)コーティングされる経口投与用の固体の動物用医薬組成物を、コーティングパンに導入する段階と;
(B)標的動物のための、微粉形態の、少なくとも1種の食欲をそそる材料、結合剤および溶媒を含むコーティング組成物を、前記食欲をそそる材料が、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物に対して少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%に相当するような量で、前記回転パン中に、ノズルを使用して噴霧する段階と
を含むことを特徴とする。
【0058】
上記方法を実施するための温度条件は、使用される装置および成分に適している。
【0059】
有利には、本発明による方法の実施は、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の温度が、42℃を超えない、好ましくは40℃を超えない、さらに好ましくは38℃を超えないようなものである。
【0060】
コーティングは、以上に定義されているようなコーティング組成物の使用を必要とし、そのようなコーティング組成物は、例としておよび何ら限定する性質なく、ポリビニルアルコールポリマー、ポリビニルピロリドンポリマー、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー、酢酸フタル酸ポリビニル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースもしくは酢酸セルロースなどのアルキルセルロースのエーテルまたはエステルなどのセルロースおよびそれらの誘導体、アルギン酸およびその塩、ゼイン、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、キサンタンガム、カラギーナン、プルランまたは寒天ポリマー、キトサンまたはその誘導体、カルボマー、ポリアルケニルエーテルで架橋されたアクリル酸、ポリカルボフィル、メチルビニルおよび無水マレイン酸のコポリマー、非イオン性ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、スクロース、グルコース、マルトース、デキストリン、キシロース、リボース、ガラクトース、レブロース、ラクトースまたは転化糖(スクロースの加水分解によって得られる、グルコースとフルクトースとの混合物)から選択される単糖類、二糖類および多糖類あるいはソルビトール、キシリトール、イソマルト、マルチトール、マンニトールまたはラクチトールから選択されるポリオールから選択される、溶媒中の少なくとも1つの結合剤の水性または有機の溶液または懸濁液であり、食欲をそそる材料を含む。
【0061】
単糖類、二糖類および多糖類が結合剤として使用される場合、それらは、別の化学種(換言すると、単糖類でも二糖類でも多糖類でもないもの)のうちの少なくとも1種の結合剤との混合物として使用され、単糖類、二糖類および多糖類の質量百分率は、結合剤の総質量に対して50%を超えない、好ましくは25%を超えない。
【0062】
コーティングは、溶液または懸濁液の適用および溶媒の蒸発によって得られる。この適用は、所望のレベルの食欲をそそる材料を得るために、数回繰り返すことができる。
【0063】
本発明によるコーティング組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールなどの溶媒を含む水性もしくは有機性であるか、または水性/アルコール性溶液でもある。
【0064】
好ましくは、前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物は、不快な味またはにおいを示し、それ故に標的動物による動物用組成物の服用を妨げる、少なくとも1種の活性化合物(以降、区別されることなく、有効成分または活性化合物と称する)および/または例えば食欲をそそる材料に関しては不安定であり、食欲をそそる医薬品の製造および標的動物による動物用組成物の服用を妨げる1種の活性化合物を含む。
【0065】
本発明の主題の代替形態によると、前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物は、不快な味またはにおいを示し、それ故に標的動物による動物用組成物の服用を妨げる、少なくとも1種の添加剤および/または例えば食欲をそそる材料に関しては不安定であり、食欲をそそる医薬品の製造および標的動物による動物用組成物の服用を妨げる1種の添加剤を含む。
【0066】
「添加剤」という用語は、前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物のうちの、1種の有効成分もしくは複数種の有効成分を除く任意の成分を意味することが理解される。それは、例えばおよび何ら限定する性質なく、充填剤、保存剤、安定化剤、着色剤、細孔形成剤または崩壊剤に関係する。
【0067】
経口投与用の固体の動物用医薬組成物は、例えばおよびこのリストが限定する性質を有することなく、圧縮錠を含む錠剤、ゼラチンカプセル剤、硬カプセル剤または軟カプセル剤、丸剤、ロゼンジ、顆粒剤、チューインガム、トローチ剤などである。
【0068】
加えて、経口投与用の固体の動物用医薬組成物は、必要に応じて、切り込み線をつけられる。これは、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の主要な片面または両面に、切り込み線として作用する1つまたは複数の、特に2つのノッチを作る行為は、前記経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の服用の容易さまたは1つの切り込み線もしくは複数の切り込み線に沿って割れた後に得られる断片の容易さを決して損ねることはないことが理解されているためである。
【0069】
したがって、本発明による方法の代替の実施形態は、フィルムコーティングによってコーティングする段階の後に、世話される動物の要求によって組成物が分割できることを可能にする切り込み線をつけられた形態を有する、経口投与用の固体の動物用医薬組成物を使用することにある。実施例6は、本発明の方法によってコーティングされ、切り込み線をつけられた錠剤を切り分けた後でさえも、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の破片が、動物によって、まだ非常に良好に許容されることを示している。
【0070】
本発明による方法の別の有利な実施形態によると、経口投与用の固体の動物用医薬組成物は、プライマーフィルムと言われるフィルムによって、食欲をそそる材料を含むコーティング組成物から分離される。このプライマーフィルムは、食欲をそそる材料を含むコーティング組成物によるコーティング前に、フィルム、主にポリマーフィルムによって、前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物をカプセル化、コーティングまたはフィルムコーティングすることによって得ることができる。このプライマーフィルムは、選択される成分の機能として、分離バリアを生成し、ひいては本発明によるコーティング組成物によってを引き起こされる傾向があるいずれの物理的または化学的攻撃からも、経口投与用の固体の動物用医薬組成物、特に1種の有効成分または複数種の有効成分を保護する役割を有することができる。プライマーフィルムは、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の表面に、食欲をそそる材料をもたらすコーティング組成物の付着を容易にする役割も有することができる。最後に、プライマーフィルムは、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の表面に分離バリアを生成する役割および同経口投与用の固体の動物用医薬組成物の表面に、食欲をそそる材料をもたらすコーティング組成物の付着を容易にする役割の両方を有することができる。
【0071】
したがって、本発明による方法は、少なくとも1種の結合剤および少なくとも1種の溶媒および/または所望の効果のために許容される1種もしくは複数種の添加剤を含む溶液または懸濁液を使用するプライマーフィルムで、前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物を被覆すること、換言すると、フィルムコーティングまたはコーティングすることにある追加の段階を、段階(1)の前に含むことができる。ここで、結合剤、溶媒および許容される添加剤は、以上に定義されている通りである。
【0072】
経口投与用の固体の動物用医薬組成物の表面における、本発明によるコーティング組成物の適用に限り、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の表面でのプライマーフィルムの事前適用は、固体医薬組成物をコーティングまたはフィルムコーティングするための従来の技術によって行われる。
【0073】
本発明の別の主題は、本発明によるフィルムコーティングによってコーティングする方法によって得ることができることを特徴とする、少なくとも1種の有効成分を含む、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物である。
【0074】
この経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物は、
・少なくとも1種の有効成分を含む、経口投与用の固体の動物用医薬組成物と、
・食欲をそそる材料および結合剤から構成される、前記組成物の周囲に位置するコーティングであって、前記コーティングが、食欲をそそる材料および結合剤から構成されるコーティングの総質量に対して、30質量%と90質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含み、前記食欲をそそる材料が、前記経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物に対して少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%に相当するコーティングと
を含むことを特徴とする。
【0075】
食欲をそそる材料および結合剤は、以上に定義されている通りである。
【0076】
経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の、この特定の形態によって提示される利点は、食欲をそそる材料が、前記経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の表面に濃縮されていることである。したがって、以下の実施例2、4、6および8に実証されているように、限定された経済的な量の食欲をそそる材料を使用していても、食欲をそそる医薬品を服用した際に、やはり非常に良好な有効性が得られる。
【0077】
この経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物は、動物によって許容されにくい有効成分の投与に対して特に有利である。しかし、それが動物用組成物の服用を容易にし、有効成分の保存を促進する限りにおいて、それは、動物用の関心対象の任意の有効成分の投与を促進するのに使用され得る。
【0078】
一般に、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物は、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の総質量に対して、0.01質量%と50質量%との間(両端を含む)の少なくとも1種の有効成分を含む。
【0079】
好ましくは、有効成分の含量は、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の質量に対して35質量%を超えない。
【0080】
言うまでもなく、本発明による経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物は、現存するすべての薬効分類から選択される、種々のタイプの有効成分を含むことができる。そのような薬効分類の中で、何ら限定する性質なく、以下の例が言及され得る。
・抗生物質、スルファミドなどの抗感染薬;
・内部寄生生物と戦うための駆虫薬;
・IGR(昆虫成長抑制剤);
・ステロイド系または非ステロイド系の抗炎症薬および抗ヒスタミン薬;
・経口ワクチン;
・プロスタグランジンなどのホルモン;
・胃腸鎮静薬およびコーティング化合物、抗潰瘍薬、細菌叢交代、止瀉薬、肝保護剤、鎮痙薬、緩下薬または腸内防腐薬などの消化器系治療のための物質;
・呼吸器興奮薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、去痰薬または呼吸器防腐薬などの呼吸器系治療のための物質;
・鎮痛薬、鎮静薬およびトランキライザー、抗けいれん薬、麻酔薬、食欲促進剤および食欲抑制剤などの神経系に作用する物質;
・インターロイキン(インターフェロンなど)などの免疫治療のための物質;
・抗有糸分裂剤または細胞増殖抑制剤などの抗癌治療のための物質;
・多量元素、微量元素および極微量元素;
・ビタミン;
・アミノ酸およびタンパク質;
・脂肪酸;
・炭水化物;
・植物または動物器官の抽出物(植物療法または臓器療法)。
【0081】
1種の有効成分または複数種の有効成分は、経口投与用の固体の動物用医薬組成物の内部に単に分布され得るか、または前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物に組み込まれるコア自体の内部に組み合されて、一体成形体を形成し得る。
【0082】
有効成分は、それらの安定性を高めるためにまたは動物の嗅覚または味覚からのそれらのにおいおよびそれらの味のマスキングを強めるために、それら自体、当業者に知られている技術によって、カプセル化またはコーティングされ得る。
【0083】
最後に、本発明による経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物は、切り込み線をつけられた固体の形態で提供され得る。
【0084】
経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物は、イヌまたはネコなどの肉食性家畜を意図したものであることが好ましい。
【実施例1】
【0085】
本発明によるコーティングされた圧縮錠の調製
1.分離プライマーフィルムでのコーティング
分離プライマーフィルムを形成するために、噴霧される以下のディスパーション
・水 366.7g
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース/
微結晶性セルロース/ステアリン酸 50.0g
を調製し、丸型圧縮錠250mg(組成:メトロニダゾール/ヒドロキシル−プロピルセルロース/微結晶性セルロース/ベヘン酸グリセリド/ポビドン/コロイダルシリカ/コロイド状二酸化ケイ素/軽質ケイ酸を有する)の2000gを封入する(encapsulating)。
【0086】
圧縮錠を、塵埃を取り除いたコーティングパンに導入し、温度をかける。
【0087】
コーティングは、直径1mmを有するノズルを使用して、3.1から4.56g/分まで流量を増加させて、2時間行う。
【0088】
入口空気温度を、およそ50℃に保つと同時に、圧縮錠の温度が40〜42℃を超えないことをチェックする。
【0089】
コーティング作業の終了時に、分離プライマーフィルムでコーティングされた圧縮錠の温度を25℃に戻す。
2.食欲をそそる材料でのコーティング
噴霧される食欲をそそる材料の以下のディスパーション
・水 1966.5g
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース/
微結晶性セルロース/ステアリン酸マクロゴール 180.0g
・鶏レバー粉末 459.0g
を調製し、上記段階1において得られた質量250mgの丸型圧縮錠の2000gをコーティングする。
【0090】
懸濁液は、前もって500μmふるいを通してろ過しておく。
【0091】
コーティングは、直径1.5mmを有するノズルを使用して、2.2から11.2g/分まで流量を増加させて、5時間20分の間行う。
【0092】
入口空気温度を、およそ50〜55℃に保つと同時に、圧縮錠の温度が40〜42℃を超えないことをチェックする。
【0093】
食欲をそそる材料の懸濁液の噴霧は、食欲をそそる材料が所望の量に到達すると停止する。
【0094】
コーティング作業の終了時に、食欲をそそる材料でコーティングされた圧縮錠の温度を25℃に戻す。
【0095】
圧縮錠上に沈着した、食欲をそそる材料である鶏レバー粉末の量を、以下の通り計算する。
・コーティングされていない錠剤50個の質量は12.56gであり、すなわち圧縮錠1個当たり251.2mgである。
・コーティングされた錠剤50個の質量は16.22gであり、すなわちコーティングされた圧縮錠1個当たり324.4mgである。
【0096】
したがって、コーティングの質量は73.2mgであり、これは、ポリマー24.43mg(コーティングの質量に対して33.37%w/w)、食欲をそそる材料48.77mg(コーティングの質量に対して66.63%w/w)、すなわち、コーティングされた圧縮錠の総質量に対して、15.03%w/wの食欲をそそる材料から構成される。
【実施例2】
【0097】
実施例1のコーティングされた圧縮錠を用いた本能的欲望のモナディックテスト
実施例1において得られた経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物およびコーティングされていない同医薬品(メトロニダゾールを含み、250mgの質量を有する丸型圧縮錠)の本能的欲望の試験を、さまざまな品種の雄および雌の成犬33頭を用いて、交差試験で行った。
【0098】
初日に、イヌ17頭に、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物(実施例1によるコーティングされた圧縮錠)を用いて試験を行い、イヌ16頭に、コーティングされていない圧縮錠を用いて試験を行った。3日目に、イヌ17頭の第1群に、コーティングされていない圧縮錠を用いて試験を行い、一方イヌ16頭の群に、実施例1によるコーティングされた圧縮錠を用いて試験を行った。
【0099】
これはモナディックテストであり、2日間かけて試験を行い、個々の箱の中で、イヌ1頭当たり10分間行う。以下を測定した。
・捕捉
−手から
−地面から、または
−捕捉しない
・摂取
−一部
−全部、または
−摂取しない
パネルの全体にわたっておよびサイズの部類(小型/中型/大型)によって、個々の数を、それぞれの基準に関して明記する。
【0100】
許容性の計算は、提供された、コーティングされたまたはコーティングされていない圧縮錠のすべてを摂取したイヌの百分率に基づいている。
捕捉:
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
摂取:生成品を捕捉した動物のみを検討対象とする。
【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
本発明によるコーティングされた圧縮錠の許容性および摂取は、合計で(97%)であるのに対して、コーティングされていない錠剤のものは、ただ6%のみである。
【実施例3】
【0107】
本発明によるコーティングされたゼラチンカプセル剤の調製
レボチロキシン、ラクトースおよびステアリン酸の混合物を含む質量133mgのゼラチンカプセル剤の765gをカプセル化するために、噴霧される食欲をそそる材料の以下のディスパーション
・水 452g
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース/
微結晶性セルロース/ステアリン酸マクロゴール 45g
・鶏レバー粉末 115g
を調製する。
【0108】
ゼラチンカプセル剤を、塵埃を取り除いたコーティングパンに導入し、温度をかける。
【0109】
懸濁液は、前もって500μmふるいを通してろ過しておく。
【0110】
カプセル化は、直径1.8mmを有するノズルを使用して、3.5から4.6g/分まで流量を増加させて、およそ2時間10分の間行う。
【0111】
食欲をそそる材料の懸濁液の噴霧は、食欲をそそる材料が所望の量に到達すると停止する。
【0112】
入口空気温度を、およそ55℃に保つと同時に、ゼラチンカプセル剤の温度が38〜40℃を超えないことをチェックする。
【0113】
コーティング作業の終了時に、コーティングされたゼラチンカプセル剤の温度を25℃に戻す。
【0114】
ゼラチンカプセル剤上に沈着した、食欲をそそる材料である鶏レバー粉末の量を、以下の通り計算する。
・コーティングされていないゼラチンカプセル剤50個の質量は6.65gであり、すなわちゼラチンカプセル剤1個当たり133mgである。
・コーティングされたゼラチンカプセル剤50個の質量は8.45gであり、すなわちコーティングされたゼラチンカプセル剤1個当たり169mgである。
【0115】
したがって、コーティングの質量は36mgであり、これは、ポリマー10.08mg(コーティングの質量に対して28%w/w)、食欲をそそる材料25.92mg(コーティングの質量に対して72%w/w)、すなわち、コーティングされたゼラチンカプセル剤の総質量に対して、15.33%w/wの食欲をそそる材料からなる。
【実施例4】
【0116】
実施例3のコーティングされたゼラチンカプセル剤を用いた本能的欲望のおよび安定性のモナディックテスト
a)本能的欲望
実施例3において得られた経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物およびコーティングされていない医薬品(レボチロキシンを含む、質量133mgのゼラチンカプセル剤であって、ゼラチンカプセル剤の壁に含まれた、空のゼラチンカプセル剤に対して1質量パーセント未満に相当する鶏肉の芳香を有する)の本能的欲望の試験を、さまざまな品種の雄および雌の成犬35頭を用いて、交差試験で行った。
【0117】
初日に、イヌ18頭に、実施例3のコーティングされたゼラチンカプセル剤を用いて試験を行い、イヌ17頭に、コーティングされていないゼラチンカプセル剤を用いて試験を行った。3日目に、イヌ18頭の第1群に、コーティングされていないゼラチンカプセル剤を用いて試験を行い、一方イヌ17頭の第2群に、実施例3のコーティングされたゼラチンカプセル剤を用いて試験を行った。
【0118】
試験は、実施例2に記載されているプロトコルを用いて行った。
【0119】
許容性の計算は、ベクターのすべてを摂取したイヌの百分率に基づいている。
捕捉:
【0120】
【表5】

【0121】
【表6】

【0122】
摂取:生成品を捕捉した動物のみを検討対象とする。
【0123】
【表7】

【0124】
【表8】

【0125】
本発明によるコーティングされたゼラチンカプセル剤の許容性および総摂取は、94%であるのに対して、コーティングされていないが芳香剤を含むゼラチンカプセル剤のものは、以下の注釈を考慮に入れなければ、せいぜい60%のみの捕捉および総摂取である。
【0126】
このタイプのサポートに伴う動物の挙動に言及する理由がある:一般に、イヌは、口の中にサポートを入れた、ゼラチンカプセル剤のゼラチン組成物による唾液の存在下における、口腔中のゼラチンカプセル剤の粘着性に照らし、動物は、ゼラチンカプセル剤を吐き出そうと試みたが、その結果、それらに穴が開き、地面に後者の内容物の一部を散らす効果を生じた。これは、それがゼラチンカプセルではなかった場合、直ちに拒絶された。この効果は、動物が頭を振るほど、口が下向きになるほど顕著であった。このシナリオでは、何頭かの動物は、地面から医薬組成物のすべてまたは一部をなめたので、「総摂取」値を、これらの場合に割り当てた。
b)安定性
実施例3の経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物およびコーティングされていないゼラチンカプセル剤(質量133mgのゼラチンカプセル剤No.3であって、ゼラチンカプセル剤の壁に含まれた、空のゼラチンカプセル剤に対して1質量パーセント未満に相当する鶏肉の芳香を有するレボチロキシンを含む)を、40℃および湿度75%にて3か月間の安定性試験に供し、レボチロキシン含量を、t、t1.5か月およびt3か月で、高速液体クロマトグラフィーによって決定した。
【0127】
【表9】

【0128】
本発明によるコーティングは、有効成分の安定性を高めることが明らかである。
【実施例5】
【0129】
本発明によるコーティングされ切り込み線をつけられた圧縮錠の調製
圧縮錠の片面に、圧縮錠を4つの同等な扇状体に分割することができる2本の垂直な切り込み線を表示し、組成:メトロニダゾール/ヒドロキシプロピルセルロース/微結晶性セルロース/ベヘン酸グリセリド/ポビドン/コロイダルシリカ/コロイド状二酸化ケイ素/軽質ケイ酸を有する、質量450mgの丸型圧縮錠の1バッチ分を、実施例1に記載されている方法に従ってコーティングした。
【0130】
圧縮錠上に沈着した、食欲をそそる材料である鶏レバー粉末の量を、以下の通り計算する。
・コーティングされていない圧縮錠50個の質量は22.825gであり、すなわち圧縮錠1個当たり456.5mgである。
・コーティングされた圧縮錠50個の質量は29.54gであり、すなわち本発明によるコーティングされた圧縮錠1個当たり590.8mgである。
【0131】
したがって、圧縮錠1個当たりのコーティングの質量は134.3mgであり、これは、ポリマー44.83mg(コーティングの質量に対して33.38%w/w)、食欲をそそる材料89.47mg(コーティングの質量に対して66.62%w/w)、すなわち、コーティングされた圧縮錠の総質量に対して、15.14%w/wの食欲をそそる材料からなる。
【実施例6】
【0132】
実施例5のコーティングされ切り込み線をつけられた圧縮錠を用いた本能的欲望の試験
実施例5において得られ、4つの扇状体に分割した、メトロニダゾールを含む、コーティングされ切り込み線をつけられた圧縮錠の本能的欲望の試験を、さまざまな品種の雄および雌の成犬34頭を用いて行った。動物にそれぞれ、コーティングされた圧縮錠の1/4を与えたが、このことは、圧縮錠の分割部分の表面積のおよそ半分がコーティングされていないことを意味した。
【0133】
試験は、実施例2に記載されているプロトコルを用いて行った。
【0134】
許容性の計算は、圧縮錠の1/4のすべてを摂取したイヌの百分率に基づいている。
捕捉:
【0135】
【表10】

【0136】
摂取:生成品を捕捉した動物のみを検討対象とする。
【0137】
【表11】

【0138】
経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物の許容性および摂取は、たとえ、その表面がすべて、食欲をそそる材料でコーティングされていなくても、合計で(100%)である。
【実施例7】
【0139】
本発明による圧縮錠の調製
組成、セファレキシン/レバー粉末/架橋ポビドン/ポビドン/微結晶性セルロース/マンニトール/ステアリン酸マグネシウムを有する、質量180mgの長楕円型圧縮錠の1バッチ分を、実施例1に記載されているプロトコルに従ってコーティングした。
【0140】
圧縮錠を、塵埃を取り除いたコーティングパンに導入し、温度をかける。
【0141】
圧縮錠上に沈着した、食欲をそそる材料である鶏レバー粉末の量を、以下の通り計算する。
・コーティングされていない圧縮錠50個の質量は9.32gであり、すなわち圧縮錠1個当たり184.6mgである。
・コーティングされた圧縮錠50個の質量は11.94gであり、すなわちコーティングされた圧縮錠1個当たり238.8mgである。
【0142】
したがって、コーティングの質量は54.2mgであり、これは、ポリマー18.09mg(コーティングの質量に対して33.38%w/w)、食欲をそそる材料36.11mg(コーティングの質量に対して66.62%w/w)、すなわち、コーティングされた圧縮錠の総質量に対して、15.12%w/wの食欲をそそる材料からなる。
【実施例8】
【0143】
実施例7に従って調製された圧縮錠の本能的欲望の試験
実施例7においてコーティングされた圧縮錠およびコーティングされていない同圧縮錠(それらが、セファレキシンおよび食欲をそそる材料を含む、質量180mgの長楕円型圧縮錠であることを念頭に置くべきである)の本能的欲望の試験を、さまざまな品種の雄および雌の成猫26匹を用いて、交差試験で行った。
【0144】
初日に、ネコ13匹に、実施例7によるコーティングされた圧縮錠を用いて試験を行い、ネコ13匹に、コーティングされていない圧縮錠を用いて試験を行った。3日目に、ネコ13匹の第1群に、コーティングされていない圧縮錠を用いて試験を行い、一方ネコ13匹のもう一方の群に、実施例7によるコーティングされた圧縮錠を用いて試験を行った。
【0145】
試験は、実施例2に記載されているプロトコルを用いて行った。
【0146】
許容性の計算は、ベクターのすべてを摂取したネコの百分率に基づいている。
捕捉:
【0147】
【表12】

【0148】
【表13】

【0149】
摂取:生成品を捕捉した動物のみを検討対象とする。
【0150】
【表14】

【0151】
【表15】

【0152】
コーティングされた圧縮錠の許容性および摂取は、合計で(96%)であるのに対して、コーティングされていない同圧縮錠のものは、ただ77%のみである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)
・微粉形態で提供される、標的動物にとって食欲をそそる材料と;
・ポリビニルアルコールポリマー、ポリビニルピロリドンポリマー、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー、酢酸フタル酸ポリビニル、セルロースおよびそれらの誘導体、アルギン酸およびその塩、ゼイン、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、キサンタンガム、カラギーナン、プルランまたは寒天ポリマー、キトサンまたはその誘導体、カルボマー、ポリアルケニルエーテルで架橋されたアクリル酸、ポリカルボフィル、メチルビニルおよび無水マレイン酸のコポリマー、非イオン性ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、単糖類、二糖類および多糖類、ポリオールまたはこれらの結合剤の少なくとも2種の混合物から選択される少なくとも1種の結合剤であって、1種または複数種の単糖類、二糖類および/または多糖類を含む場合には、前記単糖類、二糖類または多糖類の質量百分率が、結合剤の総質量に対して50%以下、好ましくは25%以下に相当することが理解される、結合剤と、
・水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロールまたはそれらの混合物から選択される溶媒と
を含み、
(ii)結合剤および食欲をそそる材料から構成される混合物の総質量に対して、30質量%と90質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含む
ことを特徴とする、経口投与用の固体の動物用医薬組成物に、フィルムコーティング処理工程によって適用することができるコーティング組成物。
【請求項2】
前記微粉の食欲をそそる材料が、ビール酵母、肉粉、魚粉、粉チーズまたは粉乳誘導体、レバー粉末およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記微粉の食欲をそそる材料が、500μm未満、好ましくは400μm未満、より好ましくは50と100μmとの間の平均直径を有する粒子から構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
可塑剤;安定化剤;保存剤;充填剤;界面活性剤;着色剤および細孔形成剤から選択される少なくとも1種の添加剤を追加的に含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
経口投与用の固体の動物用医薬組成物のフィルムコーティングによるコーティングにおける、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項6】
前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物が、動物に使用するための医薬品であることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物が、ペットを意図した栄養補助食品または栄養サプリメントであることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物が、肉食性家畜を意図したものであることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記肉食性家畜が、イヌまたはネコであることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
食欲をそそる材料でコーティングされた経口投与用の固体の動物用医薬組成物を調製する方法であって、以下の段階:
(1)標的動物のための、微粉形態の、少なくとも1種の食欲をそそる材料、結合剤および溶媒を含むコーティング組成物の層を、経口投与用の固体の動物用医薬組成物に適用する段階と;
(2)段階(1)において得られた前記コーティングされた組成物を乾燥する段階と;
(3)必要に応じて、段階(1)および(2)を繰り返す段階と;
(4)前記食欲をそそる材料が、前記経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物に対して少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%に相当する、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物を製造する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記コーティング組成物が、請求項1から4のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物が、動物に使用するための医薬品であることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物が、圧縮錠を含む錠剤、ゼラチンカプセル剤、硬カプセル剤または軟カプセル剤、丸剤、ロゼンジ、顆粒剤、チューインガムまたはトローチ剤であることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物に、切り込み線をつけることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種の結合剤および少なくとも1種の溶媒および/または1種もしくは複数種の許容される添加剤を含む溶液または懸濁液を使用するプライマーフィルムで、前記経口投与用の固体の動物用医薬組成物をコーティングすることにある追加の段階を、段階(1)の前に含むことを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項10から15のいずれか一項に記載の方法によって得られる、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物。
【請求項17】
・少なくとも1種の有効成分を含む、経口投与用の固体の動物用医薬組成物と、
・食欲をそそる材料および結合剤から構成される、前記組成物の周囲に位置するコーティングであって、前記コーティングが、食欲をそそる材料および結合剤から構成されるコーティングの総質量に対して、30質量%と90質量%との間(両端を含む)の食欲をそそる材料を含み、前記食欲をそそる材料が、前記経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物に対して少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%に相当するコーティングと
を含むことを特徴とする、経口投与用の固体の食欲をそそる動物用医薬組成物。
【請求項18】
切り込み線がつけられることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
肉食性家畜を意図したものであることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記肉食性家畜が、イヌまたはネコであることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−528702(P2011−528702A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519209(P2011−519209)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000916
【国際公開番号】WO2010/010256
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(397027086)
【Fターム(参考)】