説明

固体微粒子治療剤のエキソビボ適用

本発明は、薬学的に活性な物質の小さい粒子を調製し、疾患または障害を処置するために哺乳動物被験体に送達する方法に関する。好ましい実施形態は、(i)動物ドナーからの組織細胞の回収、(ii)薬物の担体をほとんど含まず(約10重量%以下)、約100ミクロン未満の平均粒径を有する治療活性のある化合物の固体粒子が添加される細胞培養培地中での、これらの細胞の選択的増殖または非選択的増殖、(iii)細胞培養培地中の細胞と治療活性のある化合物の固体粒子とを接触させ、培養された細胞の細胞内区画のいずれかの中への細胞による粒子の取り込み、粒子としての活性ある化合物のそのような細胞の周囲への付着、または細胞内への取り込みと細胞表面への付着の組み合わせを生じさせること、(iv)状況に応じた、工程iからiiiで調製された細胞の単離および/または再懸濁、(v)哺乳動物被験体への細胞の投与を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(技術分野)
本発明は、エキソビボでの、細胞によって媒介される、被験体への薬学的に活性な因子の送達に関する。薬学的に活性な因子は最初にマイクロ粒子として調製され、これは細胞に取り込まれるか、または細胞によって吸着される。細胞はその後、被験体に投与される。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
薬学的活性のある化合物のエキソビボでの送達は、いくつかの治療分野において、特に、遺伝子送達において順調に発展している。エキソビボでの送達のためには、細胞が患者から取り出され、体外で改変され、再度移植される。インビボでの送達は、直接体内に薬学的因子を投与することからなり、これには、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、髄腔内、硬膜外、大脳内、口腔経路、直腸、局所、経皮的、経口、鼻腔内、肺、および腹腔内での投与が含まれる。遺伝的物質のインビボでの送達は、一見したところ簡単であるが、安全性に対する重大な懸念が生じる。エキソビボでの送達は、さらに複雑であるが、遺伝子改変された細胞が投与される前に安全性についての試験を行うことができる。候補の遺伝的物質としては、遺伝される1つの遺伝子の欠損の処置から、血管の後天性障害またはガンの後天性の障害までの範囲の広範囲の用途を有し得る、分泌される因子をコードする遺伝的物質が含まれる。筋芽細胞は、最近、レトロウイルスベクターによってトランスフェクトされている(非特許文献1)。
【0003】
低分子の薬学的送達の分野においては、Bender et al.によって、ヌクレオシド類似体であるザルシタビン(2’、3’−ジデオキシシチジン)またはサキナビル(プロテアーゼインヒビター)のいずれかが装填されたポリヘキシルシアノアクリレートナノ粒子でのHIVに感染した単球/マクロファージの処置が開示されている(非特許文献2)。ポリヘキシルシアノアクリレートナノ粒子は乳化重合によって調製され、初代ヒト単球/マクロファージの中で抗ウイルス活性についてインビトロで試験された。サクイナビルの水溶液は、HIVに感染したマクロファージの中ではわずかな抗ウイルス活性を示したが、ナノ粒子処方物は、10分の1の溶液濃度で有意な抗ウイルス活性を示した。100nMの濃度では、溶液中のサクイナビルは慢性的にHIVに感染したマクロファージにおいては完全に不活性であったが、ナノ粒子に結合させると、ウイルス抗原の生産に関して35%の減少を引き起こした。この研究では、薬物がポリマー(ポリヘキシルシアノアクリレート)マトリックスの中に取り込まれた。マクロファージへの送達のための純粋な固体の薬物のナノ粒子の調製は開示されていなかった。粒子はインビトロではマクロファージにしか送達されず、薬物を輸送することができるナノ粒子で処理された細胞を投与することによる薬物の送達は意図されていない。
【0004】
特許文献1(Baurain et al.)および特許文献2(Leclef et al.)には、ナイスタチン、アンホテリンB、および他の抗真菌性化合物(おそらくは、マクロファージに対する増強させられた標的化を有しているもの)の脂質マイクロ粒子が開示されている。
【0005】
本発明により、エキソビボでの薬物送達方法において固体の薬学的因子を含む薬学的組成物を提供することによって先行技術の欠点が克服される。添加物(すなわち、直接患者に投与される処方物)マトリックスの使用を上回るこのアプローチの利点とは、高用量の薬物の装填が行われること、および薬物の激しい破裂を誘導することができることである。本発明の一部として、本発明者によって、担体マトリックスをほとんど含まず、安定化させる表面活性成分を有している固体の薬物のみから構成される、固体の1ミクロン未満の粒子をエキソビボで適用することが開示される。固体の粒子は、粒子を取り込むことができる細胞、または粒子を細胞の外表面に付着させることができる細胞と接触させられる。以下のようないくつかの治療分野が、このエキソビボ技術に適している:細菌、ウイルス、および真菌による感染の処置、新生物、リソソーム蓄積症、自己免疫障害、および代謝性障害。遺伝子の送達およびアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達もまた開示される。
【0006】
固体のナノ粒子、特に、本質的には純粋な活性因子の粒子のエキソビボでの送達によって、いくつかの治療分野において多くの利点が提供され得る。例えば、遺伝子治療においては、通常ベクターが使用され、これは、ウイルス性であっても、また、非ウイルス性であってもいずれでもよい。それらを利用して、ウイルスは、細胞内にDNAを送達するためのウイルスに生来備わっている機構によって、強い特異性と高いトランスフェクション効率を付与する。インビボで発現した遺伝子は、特に、ウイルスの遺伝的物質の所望されない発現が生じた場合には、意図されない致命的な結果をもまた誘導する場合がある。一方、非ウイルス性のアプローチには毒性は少ないが、比較的効果が低く、非特異的である。しかし、非ウイルス性ベクターは核酸についての担体である小胞に依存している。特許文献3では、インビボでの遺伝子の非特異的送達を改善することが試みられ、中空ナノ粒子による遺伝子の部位特異的送達が開示されている。さらなる詳細については、069号公報に、肝細胞にタンパク質を送達するための生体認識分子(B型肝炎ウイルスのLタンパク質)の使用が開示されている。
【0007】
薬学的因子は、溶液を添加することによって、エキソビボ培養物中でファゴサイトーシス食細胞する細胞を誘導することができる。しかし、薬物のほとんどは、流入が、溶質である薬物が膜を通過する分子拡散に依存する場合には、細胞中には不十分な濃度でしか存在しないことがある。この薬物の非効率的な利用により、培養物中で細胞傷害性作用を生じることができるより高い薬物濃度の細胞外灌流が必要であり得る。より効率的な薬物の送達は、粒子を取り込む食細胞(例えば、中でもマクロファージ、単球、網状赤血球、好酸球、好塩基球、好中球、および樹状細胞)の能力を活用することによって実現できる。
【0008】
本発明により、マイクロ粒子を取り込むことができる細胞によって、または細胞表面上に薬学的因子のマイクロ粒子を吸着させる(これは、装填された細胞が患者に送達されると、標的組織に到達することができる)ことによって、実質的には担体を含まない薬学的因子のマイクロ粒子を送達することによる上記の限界が克服される。
【特許文献1】米国特許第4,973,465号明細書
【特許文献2】米国特許第5,100,591号明細書
【特許文献3】米国特許公開第US 2003/0092069号明細書
【非特許文献1】Ozawa CR,Springer ML,Blau HM,A novel means of drug delivery:myoblast−mediated gene therapy and regulatable retroviral vectors. Annu Rev Pharmacol Toxicol.2000;第40巻,295−317頁
【非特許文献2】Bender et al.,Efficiency of Nanoparticles as a Carrier System for Antiviral Agents in Human Immunodeficiency Virus−Infected Human Monocytes/Macrophases In Vitro,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,1996年6月,第40(6)巻,p.1467−1471
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明により、細胞の輸送によって哺乳動物被験体の標的細胞に薬学的組成物を送達するための方法が提供される。より具体的には、本発明の方法は、(1)哺乳動物ドナーからの組織細胞の回収、(2)培養された細胞の細胞内区画のいずれかへの活性のある化合物の送達、そのような細胞の周囲への活性因子の付着、または細胞内取り込みと細胞表面への付着の組み合わせを目的とした、好ましくは、薬物の担体をほとんど含まない(約10重量%以下)治療的活性のある化合物の固体粒子を含む薬学的組成物が添加されている細胞培養培地中でのこれらの細胞の選択的または非選択的増殖、(3)状況に応じた、工程1および2で調製された細胞の単離および/または再懸濁、ならびに、(4)工程1から3において調製された細胞懸濁物の哺乳動物への投与を包含する。
【0010】
哺乳動物被験体からの単離の後、その細胞は薬学的因子の粒子を含む薬学的組成物と接触させられる。その細胞は、ファゴサイトーシス、すなわち、細胞の表面上での粒子の吸着によって、あるいは部位特異的送達(例えば、脂質または他の中空ナノ粒子と組み合わせた生体認識分子の使用)によって、粒子を取り込むことができる。ファゴサイトーシスを有している細胞としては、マクロファージ、単球、顆粒球、好中球、好塩基球、好酸球、および樹状細胞が挙げられるが、これらに限定されない。薬物のマイクロ粒子を取り込むかまたは吸着する任意の他のタイプの細胞を本発明で使用することができる。回収され、そしてエキソビボで投与されるこのような他の細胞としては、赤血球、筋細胞、骨髄細胞および骨細胞、血管細胞、臓器組織細胞、および神経細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい形態においては、細胞との接触の間、その粒子は熱力学的飽和溶解度よりも高濃度で存在し、それによって、取り込みの間、粒子の形態を維持することができ、その後、細胞によって標的の体組織に送達される。
【0011】
装填された細胞は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、髄腔内、硬膜外、大脳内、腹腔内、眼内、眼窩球後などを含む多くの経路によって投与することができる。装填された細胞は、断続的に、または連続してのいずれかによって注入される場合も、あるいは、注射器によって注射される場合もある。
【0012】
別の好ましい実施形態においては、この方法は、薬学的組成物の分散物を約100ミクロン未満(好ましくは、10ミクロン未満)の平均粒径を有している粒子として提供する工程と、標的組織に到達することができる再度注入される細胞による、薬学的組成物の一部の標的組織への送達のために、哺乳動物被験体に分散物を直接投与する工程を包含する。このプロセスで利用される薬学的組成物は、小さい固体の粒子として調製することができ、治療剤または診断剤であり得る。治療剤には、哺乳動物の疾患を処置するために使用される任意の物質が含まれ得、例えば、細菌、ウイルス、および真菌による感染の処置、新生物、リソソーム蓄積症、自己免疫障害、炎症性障害および代謝性障害の処置のための薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子の送達およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ATO)の送達のための治療剤もまた開示される。
【0013】
エキソビボでの薬物の送達には、インビボでの投与を上回る多数の利点がある。例えば、細胞と会合している(例えば、細胞内に取り込まれているか、または細胞表面上に吸着させられている)固体の薬物粒子を送達することにより、薬物粒子を感染部位に輸送することができる。ファゴサイトーシスは白血球、主に、マクロファージ、好中球、および好酸球によって行われる。好中球は、感染または炎症の初期に優勢であり、その後、単球を起源とするマクロファージが移動して、血管を離れて感染した組織に侵入する。固定されたマクロファージ(組織球)は、肝臓、神経系、肺、リンパ節、骨髄、およびいくつかの他の組織に豊富に存在する。細菌、ウイルス、または真菌である病原体に最も冒されており、炎症を起こしている組織は、走化性によってこれらの炎症部位に向かう傾向を有している、薬物が装填された細胞(例えば、顆粒球)の送達によって標的化することができる。薬学的因子は、病原体の密度が高い炎症領域でこれらの細胞から放出される。または、薬学的因子が抗炎症薬(例えば、ステロイド)である場合もあり、この場合は、薬物は治療が最も必要とされる領域で放出される。
【0014】
本発明により、肝臓での薬物の過剰な代謝を回避することができ、治療のコストを下げることができる。この概念は、小さい固体粒子の送達から、ファゴサイトーシスを有している細胞用の任意の容器までを網羅するように、本発明においてなおさらに拡大される食細胞、特に、マクロファージが全身のほぼ全ての結合組織にいきわたることは認識されている。マクロファージは、正常なマクロファージと炎症性のマクロファージに分けることができる。正常なマクロファージには、結合組織にとどまる組織球、肝臓のクッパー細胞、肺の肺胞マクロファージ、リンパ節の遊離マクロファージおよび固定マクロファージ、脾臓(遊離マクロファージおよび固定マクロファージ)、骨髄(固定マクロファージ)、漿液(胸膜および腹膜マクロファージ)、皮膚(組織球、ランゲルハンス細胞)、および他の組織のものが含まれる。特定の組織のマクロファージの集団は、いくつかの競合プロセスによって維持され得る:血液からの単球の流入、前駆細胞からの増殖、および代謝回転。炎症性マクロファージは細胞外液中に存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明には、多くの様々な形態の実施形態の余地がある。本発明の好ましい実施形態は、本開示が本発明の原理の説明とみなされ、本発明の広範囲の態様を例示される実施形態に限定するようには意図されないとの了解のもとで開示される。
【0016】
本発明により、エキソビボでの細胞への薬学的因子の送達と、その後のここで処理された細胞の宿主への再注入を含む、処置方法が提供される。このプロセスは、自系(ドナーとレシピエントが同じ)であっても、また、異種(ドナーとレシピエントが異なる)であってもよい。この方法は、一般には、(1)動物ドナーからの組織細胞の回収、(2)培養された細胞の細胞内区画への活性のある化合物の取り込み、そのような細胞の周囲への活性のある化合物の付着、または細胞内取り込みと細胞表面への付着の組み合わせのいずれかを目的とした、好ましくは、担体を実質的には含まない(以下で定義される)治療的活性のある化合物の固体粒子を含む薬学的組成物が添加されている細胞培養培地中でのこれらの細胞の選択的または非選択的増殖、(3)状況に応じた、工程1および2で調製された細胞の単離および/または再懸濁、ならびに、(4)工程1から3において調製された細胞懸濁物の動物への投与を包含する。以下の薬学的組成物の記載は、本発明の全ての実施形態に適用される。薬学的組成物は水に難溶性であっても、また、水溶性であってもよい。また、薬学的組成物は治療剤であっても、また診断剤であってもよい。また、薬学的組成物は、同様の治療剤のクラスの1種以上の化合物であっても、また異なる治療剤のクラスの1種以上の化合物であってもよい。治療剤には、固体粒子の形態の化合物が装填されている投与される細胞がその罹患した組織に到達することができる疾患を処置するために使用される任意の化合物が含まれ得る。このような疾患としては、細菌、ウイルス、および真菌による感染、新生物、リソソーム蓄積障害、炎症性障害および自己免疫障害、ならびに代謝性障害が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性疾患と自己免疫疾患としては、変形性関節症、関節リウマチ、クローン病、膀胱炎、回腸炎、大腸炎、狼瘡、多発性硬化症、および筋萎縮側索硬化症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「実質的に担体を含まない」は、実質的に純粋な薬学的因子(約90重量%、または90重量%を上回る)から構成される固体粒子を意味し、界面活性剤または他の賦形剤は、固体粒子の薬学的因子の凝集を防ぐため、または固体粒子からの薬学的因子の放出を調節するためのいずれかのために懸濁物に添加される。懸濁物は本明細書中に記載される任意の方法によって調製することができる。活性因子の粒子は、約100ミクロン未満の平均有効直径を有しており、液相には、細胞培養培地に添加されると細胞を死に至らしめることのない成分が含まれる。
【0018】
薬学的組成物にはさらに、薬学的組成物を安定化させるために、界面活性剤を単独で、または他の界面活性剤と組み合わせて含めることができる。界面活性剤は、種々の公知の陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および表面活性のある生物学的改変因子から選択することができる。
【0019】
治療剤は、種々の公知の医薬品、例えば(限定的ではないが)、鎮痛薬、麻酔薬、興奮薬、アドレナリン作動薬、アドレナリン遮断薬、抗アドレナリン薬、アドレノコルチコイド、アドレナリン模倣物、抗コリン作動剤、抗コリンエステラーゼ、抗痙攣剤、アルキル化剤、アルカロイド、アロステリックインヒビター、蛋白同化ステロイド、食欲抑制薬、制酸剤、止瀉薬、解毒剤、葉酸代謝拮抗薬、解熱剤、抗リウマチ剤、精神治療薬、神経遮断薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗生物質、抗凝固剤、抗鬱剤、鎮痙薬、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、抗ムスカリン剤、抗ミコバクテリア剤、抗腫瘍薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤、診断剤、画像診断剤、ドーパミン作動薬、止血剤、血液学的薬剤、催眠薬、免疫学的薬剤、ムスカリン様作用薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、プロテアーゼインヒビター、放射性薬品、鎮静剤、刺激薬、交感神経刺激剤、ビタミン、キサンチン、増殖因子、ホルモン、および抗プリオン薬から選択することができる。抗腫瘍薬としては、パクリタキセルとその誘導化合物、アルカロイド、代謝拮抗物質、酵素インヒビター、アルキル化剤、および抗生物質を挙げることができる。他の治療剤としては、カルバマゼピン、プレドニソロン、およびナブメトンが挙げられる。
【0020】
治療剤にはまた生物製剤も含まれる。生物製剤は、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、および核酸から選択することができる。核酸には、一本鎖DNAまたは二本鎖DNA、RNA、通常は、cDNA、t−RNA、mRNA,si−RNAなどが含まれるが、これらに限定されない。タンパク質は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体から選択される抗体であり得る。
【0021】
診断剤としては、x線撮影造影剤および造影剤が挙げられる。x線撮影造影剤の例としては、WIN−8883(エチル3,5−ジアセトアミドー2,4,6−トリヨード安息香酸)(ジアトラゾイン酸(diatrazoic acid)のエチルエステル(EEDA)としても知られている)、WIN 67722(すなわち、6−エトキシ−6−オキソへキシル−3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨード安息香酸;エチル−2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)ブチレート(WIN 16318);エチルジアトリゾキシアセテート(WIN 12901);エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)プロピオネート(WIN 16923);N−エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシアセトアミド(WIN 65312);イソプロピル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセトアミド(WIN 12855);ジエチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)マロネート(WIN 67721);エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)フェニルアセテート(WIN 67585);プロパン二酸、[[3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,5−トリヨードベンゾイル]オキシ]ビス(1−メチル)エステル)(WIN 68165);および安息香酸、3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨード−4−(エチル−3−エトキシ−2−ブテノエート)エステル(WIN 68209)が挙げられる。好ましい造影剤としては、生理学的条件下で比較的迅速に分解され、これによって、粒子に関係するあらゆる炎症性の反応を最小にすると予想される造影剤が挙げられる。分解は、生理学的pHでのカルボン酸の酵素的加水分解、可溶化、または他の機構によって生じ得る。したがって、加水分解に不安定なヨウ化された種、例えば、WIN 67721、WIN 12901、WIN 68165、およびWIN 68209などを伴った、難溶性のヨウ化カルボン酸、例えば、ヨージパミド、ジアトリジン酸(diatrizoic acid)、メトリゾイン酸(metrizoic acid)が、好ましい場合がある。
【0022】
他の造影剤としては、ガドリニウムキレート、酸化鉄、または他の常磁性造影剤のような磁気共鳴画像化補助物質の粒子状の調製物が挙げられるが、これに限定はされない。このような化合物の例は、ガドペンテト酸ジメグルミン(Magnevist(登録商標))およびガドテリドール(Prohance(登録商標))である。
【0023】
治療剤および診断剤のクラスの記載と、それぞれのクラス内の種のリストは、Martindale,The Extra Pharmacopoeia,第29版,The Pharmaceutical Press,London,1989(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に見ることができる。治療剤および診断剤は市販されており、そして/または、当該分野で公知の技術によって調製することもできる。
【0024】
薬学的組成物は、水に難溶性の化合物であることが好ましい。「水に難溶性」によって意味されるのは、約10mg/mL未満、好ましくは、1mg/mL未満の、水中での化合物の溶解度である。これらの水に難溶性の化合物は、水性の媒体中にこれらの化合物を処方する代替法は限定されているので、水性の懸濁調製物に最も適している。
【0025】
粒子についての以下の記載はまた、本発明の全ての実施形態にも適用される。分散物中の粒子は、示差走査熱量測定法(DSC)またはX線回折などの適切な分析方法によって決定した場合に、不定形であっても、半結晶性であっても、結晶性であっても、またそれらの組み合わせであってもよい。投与の前に、薬学的組成物はホモジナイゼーションプロセスによってホモジナイズさせることができる。薬学的組成物はまた、マイクロ沈殿/ホモジナイゼーションプロセス、マイクロ沈殿、または超音波処理などによっても、ホモジナイズできる。
【0026】
薬学的組成物の分散物は、投与前に滅菌することができる。滅菌は、任意の医学的滅菌プロセスによって行うことができ、これには、加熱滅菌またはγ線の照射による滅菌が含まれる。これは、200nm未満の粒径を有している分散物の場合には直接濾過によって、また、固体の分散物を形成させる前に、沈殿プロセスで使用される溶液の滅菌濾過のいずれかによって、滅菌することもできる。滅菌または、非常に高い圧力(2000大気圧を超える)を短時間かけることによって、または高圧と高温の組み合わせによっても行うことができる。
【0027】
本発明は、水溶性化合物を用いて行うことができる。これらの水溶性の活性がある化合物は、ポリマー(例えば、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体(PLGA)、ポリシアノアクリレート、アルブミン、デンプン)と混合されるか、または、薬学的化合物を透過させない取り囲む小胞の中に包まれる。この包んでいる小胞は、ポリアクリレートのようなポリマーコーティングであり得る。さらに、これらの水溶性化合物から調製された小さい粒子は、化学的安定性を改善するため、および粒子からの化合物の放出を制御することにより化合物の薬物動態特性を制御するために、改変することができる。水溶性化合物の例としては、簡単な有機化合物、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、および炭水化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明で利用される粒子は、動的光散乱法(例えば、フォトコリレーション(photocorrelation)顕微鏡、レーザー回折、低角度レーザー光散乱光検出器(LALLS)、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS))、光遮蔽(light obscuration)法(例えば、コールター(Coulter)法)、(HIAC)電気抵抗、レオロジー測定、または顕微鏡(光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡)によって測定した場合に、約100μm未満の平均有効粒径を有する。好ましい平均有効粒径は、化合物の意図される投与経路、処方物、溶解度、毒性、および生体利用性のような要因に応じて様々である。
【0029】
A.粒子としての薬学的組成物の調製
本発明で使用される粒子を調製するためのプロセスは、当業者に公知の多数の技術によって行うことができる。網羅的薬学的組成物の粒子分散物を調製するための代表的な(しかし、網羅的ではない)技術についての議論は以下の通りである。
【0030】
I.小さい粒子の分散物を形成させるためのエネルギー添加技術
一般的には、エネルギー添加技術を使用して小さい粒子の分散物を調製する方法は、薬学的活性のある化合物(しばしば薬物と呼ばれるものとする)を、以下に記載される界面活性剤のうちの1種以上を含む水もしくは水溶液のような適切な媒体、または薬学的化合物が認め得るほどには溶解しない他の液体に対してバルクの形態で添加して、第1の懸濁液(プレ懸濁液と呼ばれるものとする)を形成させる工程を包含する。エネルギーがプレ懸濁液に添加されて、プレ懸濁液よりも物理的安定性が高い粒子分散物が形成される。あるいは、エネルギー添加工程は、乾燥粉末形態の活性のある化合物に対して行うことができる。エネルギーは、機械による粉砕(例えば、パールミル粉砕、ボールミル粉砕、ハンマーミル粉砕、流体エネルギーミル粉砕、ジェットミル粉砕、または湿式粉砕)によって添加される。このような技術は、米国特許第5,145,684号(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。
【0031】
エネルギー添加技術はさらに、高い剪断条件にプレ懸濁液を供することを包含し、これには、キャビテーション、シアリング、またはマイクロ流動化装置を利用する衝撃力が含まれる。本発明によって、さらに、ピストンギャップホモジナイザーまたは逆電流ホモジナーザー(counter current flow homogenizer)(例えば、本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する米国特許第5,091,188号に開示されているもの)を使用してプレ懸濁液にエネルギーを添加することが意図される。適切なピストンギャップホモジナイザーは、Avestinから製品名EMULSIFLEXとして、そしてSpectronic InstrumentsからはFrench Pressure Cellsとして市販されている。適切なマイクロ流動化装置は、Microfluidics Corp.から市販されている。
【0032】
エネルギーの添加工程はまた、超音波技術を使用して行うこともできる。超音波処理の工程は、Branson Model S−450AまたはCole−Parmer 500/750 Watt Modelのような任意の適切な超音波デバイスを用いて行うことができる。このようなデバイスは当該分野では周知である。通常、超音波デバイスには超音波を発するホーンまたはプローブがあり、これは溶液の中に超音波エネルギーを放射するためにプレ懸濁液の中に挿入される。超音波デバイスは、本発明の好ましい形態においては、約1kHzから約90kHz、より好ましくは、約20kHzから約40kHz、またはその中の任意の範囲もしくは組み合わせの周波数で操作される。プローブの大きさは変えることができ、例えば、1/2インチまたは1/4インチなどの異なる大きさであることが好ましい。
【0033】
使用されるエネルギー添加技術とは無関係に、小さい粒子の分散物は使用前に滅菌されなければならない。滅菌は、加熱滅菌、γ線照射、濾過(200nm未満の粒径を有している分散物の場合には直接濾過によって、また、固体の分散物を形成させる前に、沈殿プロセスで使用される溶液の滅菌濾過のいずれか)、そして非常に高い圧力(2000大気圧を超える)をかけることによって、あるいは高圧と高温の組み合わせによっても行うことができる。
【0034】
II.1ミクロン未満の大きさの粒子分散物を調製するための沈殿方法
小さい粒子の分散物はまた、沈殿技術によって調製することもできる。以下は、沈殿技術の例についての記載である。
【0035】
マイクロ沈殿方法
マイクロ沈殿方法の一例は、米国特許第5,780,062号(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。第062号特許には、有機化合物の沈殿プロセスが開示されており、このプロセスは、(i)水混和性の第1の溶媒中に有機化合物を溶解させる工程;(ii)水溶性の第2の溶媒中のポリマーと両親媒性化合物の溶液を調製する工程であって、この第2の溶媒中では、有機化合物は実質的に不溶性であり、これによってポリマー/両親媒性化合物の複合体が形成させられる工程;ならびに、(iii)有機化合物とポリマー/両親媒性化合物複合体の凝集物の沈殿が生じるように、工程(i)の溶液と工程(ii)の溶液を混合する工程を包含する。
【0036】
適切な沈殿プロセスの別の例は、米国特許第6,607,784号;および同時係属中の共有にかかる米国特許出願番号09/874,499;同09/874,637;および同10/021,692(これらは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。開示されているプロセスは、(1)水混和性の第1の有機溶媒中に有機化合物を溶解させて第1の溶液を生成する工程;(2)第1の溶液を第2の溶媒または水と混合して有機化合物を沈殿させて、プレ懸濁液を生成する工程;および(3)高剪断混合を生じるようにプレ懸濁液にエネルギーを添加するか、または小さい粒子の分散物を生じるように加熱する工程を包含する。状況によっては、第1の有機溶媒が遠心分離または濾過方法などの任意の適切な手段によって混合物から除去される。さらに、分散物の連続相を、状況に応じて、遠心分離および濾過のような方法を使用して第1の連続相を除去し、第2の連続相を添加し、続いて、第2の連続相の中に固体物質を再度分散させることによって、別の連続相と置き換えることができる。以下に記載される1つ以上の任意の表面改変因子を、第1の有機溶媒または第2の水溶液に添加することができる。
【0037】
乳濁物の沈殿方法
1つの適切な乳濁物沈殿技術は、同時係属中の共有にかかる米国特許出願番号09/964,273(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。このアプローチにおいては、プロセスは、(1)有機相と水相を有している多相系を提供する工程であって、有機相にはその中に薬学的活性のある化合物が含まれている工程;および(2)有機相の一部を蒸発させるためにその系を超音波処理して水相中の化合物を沈殿させて、小さい粒子の分散物を形成させる工程を包含する。多相系を提供する工程は、(1)水に混和しない溶媒を薬学的活性のある化合物と混合して、有機溶液を規定する工程、(2)1つ以上の表面活性のある化合物を含む水をベースとする溶液を調製する工程、および(3)有機溶液を水溶液と混合して、多相系を形成させる工程を包含する。有機相と水相の混合工程は、ピストンギャップホモジナイザー、コロイドミル、高速攪拌装置、押し出し装置、手作業による攪拌、または振盪装置、マイクロ流動化装置、あるいは高い剪断条件を提供するための装置もしくは技術の使用を包含する。粗乳濁物には、およそ1μm未満の直径の大きさの水中油滴が含まれる。粗乳濁物は、マイクロエマルジョンを規定するために超音波処理され、最終的に小さい粒子の分散物が提供される。
【0038】
小さい粒子の分散物を調製するための別のアプローチは、同時係属中の共有にかかる米国特許出願番号10/183,035(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。このプロセスは、(1)有機相と水相を含む多相系の粗分散物を提供する工程であって、有機相にはその中に薬学的化合物が含まれている工程;(2)粗分散物にエネルギーを提供して細かい分散物を形成させる工程;(3)細かい分散物を凍結させる工程;および(4)薬学的化合物の小さい粒子を得るために細かい分散物を凍結乾燥させる工程を包含する。小さい粒子は、以下に示される技術によって滅菌することができ、また、小さい粒子は、水性の媒体中で再構成させ、そして滅菌することもできる。
【0039】
多相系を提供する工程は、(1)水に混和しない溶媒を薬学的に有効な化合物と混合して、有機溶液を規定する工程;(2)水をベースとする溶液を1つ以上の表面活性のある化合物を用いて調製する工程;および(3)有機溶液を水溶液と混合して多相系を形成させる工程を包含する。有機相と水相を混合する工程には、ピストンギャップホモジナイザー、コロイドミル、高速攪拌装置、押し出し装置、手作業による攪拌、または振盪装置、マイクロ流動化装置、あるいは高い剪断条件を提供するための装置もしくは技術の使用が含まれる。
【0040】
溶媒−抗溶媒による沈殿
小さい粒子の沈殿物はまた、Fessi et al.,米国特許第5,118,528号およびLeclef et al.,米国特許第5,100,591号(これらは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)によって開示されている溶媒抗溶媒沈殿技術を使用して調製することもできる。いずれのプロセスも、(1)1つ以上の界面活性剤がそれに添加され得る溶媒または溶媒の混合物中に、生物学的活性のある物質の液相を調製する工程;(2)非溶媒の第2の液相、または非溶媒の混合物を調製する工程であって、非溶媒は物質用の溶媒または溶媒の混合物と混和性である工程;(3)(1)の溶液と(2)の溶液を攪拌しながら一緒に添加する工程;ならびに(4)望ましくない溶媒を除去して、小さい粒子の分散物を得る工程を包含する。これらの方法は、これらによって高い剪断力のある混合または加熱の形態で懸濁液にエネルギーを添加する最後の工程が提供されない点で、上記セクションの「マイクロ沈殿方法」に記載された方法とは区別される。
【0041】
相転移による沈殿(Phase Inversion Precipitation)
小さい粒子の分散物は、米国特許第6,235,224号、同第6,143,211号、および米国特許出願番号2001/0042932に(これらのそれぞれは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている相転移沈殿を使用して形成させることができる。相転移は、連続相溶媒系に溶解させられたポリマーがそれによって固体の巨大分子ネットワーク(その中ではポリマーは連続相である)に転換させられる物理的現象を記載するために使用される用語である。相転移を誘導するための1つの方法は、連続相への非溶媒の添加による。ポリマーは単層から不安定な2相混合物:ポリマーを多く含む画分とポリマーをほとんど含まない画分への転移を受ける。ポリマーを多く含む層の中では非溶媒のミセル小滴は核生成部位となり、ポリマーでコーティングされる。第224号特許には、特定の条件下でのポリマー溶液の相転移によって、ナノ粒子を含む分離したマイクロ粒子の自発的な形成がもたらされ得ることが開示されている。第224号特許には、溶媒中にポリマーを溶解または分散させることが開示されている。薬学的因子もまた、溶媒中に溶解または分散させられる。このプロセスに有効である結晶シード添加工程については、その因子が溶媒中に溶解させられることが望ましい。ポリマー、因子、および溶媒は、一緒に連続相を有している混合物を形成し、ここでは溶媒が連続相である。その後、混合物は10nmから10μmの間の平均粒径を有している因子の微小に包まれたマイクロ粒子の自発的な形成を生じさせるために、少なくとも10倍過剰の混和性の非溶媒中に導入される。粒径は、溶媒:非溶媒の容量比、ポリマーの濃度、ポリマー−溶媒溶液の粘度、ポリマーの分子量、および溶媒−非溶媒対の特性によって影響を受ける。
【0042】
pHの移動による沈殿
小さい粒子の分散物は、pHの移動による沈殿技術によって形成させることができる。このような技術は、通常、薬物が溶解するpHの溶液中に薬物を溶解させる工程、これに続く、それ以上薬物が溶解しない点にまでpHを変化させる工程を包含する。pHは、特定の薬学的化合物に応じて、酸性である場合も、また塩基性である場合もある。溶液は、その後、小さい粒子の分散物を形成させるために中和される。1つの適切なpHの移動による沈殿プロセスが、米国特許第5,665,331号に開示されており、これは本明細書中に参考として援用され、その一部を構成している。このプロセスは、薬学的因子を結晶成長改変因子(CGM)と共にアルカリ溶液中に溶解させる工程、およびその後、溶液を、適切な表面を改変する表面活性因子(単数または複数)の存在下で、酸で中和して、薬学的因子の小さい粒子の分散物を形成させる工程を含む。沈殿工程に続いて、分散物を透析によって洗浄する工程、その後、所望されるレベルになるように分散物の濃度を調節する工程が行われ得る。
【0043】
pHの移動による沈殿方法の一例は、米国特許第5,716,642号;同第5,662,883号;同第5,560,932号;および同第4,608,278号(これらは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。
【0044】
注入による沈殿方法
小さい粒子の分散物を形成させるために適切な注入による沈殿技術は、米国特許第4,997,454号および同第4,826,689号(これらは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。最初に、適切な固体化合物が適切な有機溶媒に溶解させられて、溶媒混合物が形成させられる。その後、その有機溶媒と混和性である沈殿している非溶媒が、約−10℃から約100℃の間の温度で、50mlの容量あたり1分あたり約0.01mlから1分当たり約1000mlまでの注入速度で、溶媒混合物中に注入され、10μm未満の実質的に均一な平均直径を有している化合物の沈殿している非凝集性の固体粒子の懸濁液が生じる。沈殿する非溶媒とともに注入される溶液のかき混ぜ(例えば、攪拌による)が好ましい。非溶媒には、凝集に対して粒子を安定化させるための界面活性剤が含まれる場合もある。その後、粒子はその溶媒から分離される。固体化合物および所望される粒径に応じて、温度、溶媒に対する非溶媒の割合、注入速度、攪拌速度、および容量のパラメーターを本発明にしたがって変更することができる。粒径は、非溶媒:溶媒の容量の比に比例し、注入温度は注入速度と攪拌速度に反比例する。沈殿する非溶媒は、化合物の相対的な溶解度と所望される懸濁媒体に応じて、水性である場合も非水性である場合もある。
【0045】
温度の移動による沈殿
温度の移動による沈殿技術もまた、小さい粒子の分散物を形成させるために使用することができる。この技術は、米国特許第5,188,837号(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。本発明の1つの実施形態においては、脂質スフェアが以下の工程によって調製される:(1)融解させられた媒体中に送達される薬物のような物質を融解または溶解させて、送達される物質の液体を形成させる工程;(2)その融解させた物質または媒体にその物質または媒体の融点より高い温度で、水性媒体と共にリン脂質を添加する工程;(3)均質な細かい調製物が得られるまで、その媒体の融点よりも高い温度でその懸濁液を混合する工程;ならびに、その後(4)室温またはそれよりも低い温度に調製物を迅速に冷却する工程。
【0046】
溶媒の蒸発による沈殿
溶媒の蒸発による沈殿技術は、米国特許第4,973,465号(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。第465号特許には、微結晶を調製するための方法が開示されており、この方法は、(1)一般的な有機溶媒または複数の溶媒の混合物中に溶解させた薬学的組成物とリン脂質の溶液を提供する工程、(2)その溶媒(単数または複数)を蒸発させる工程、および(3)水溶液中のその溶媒(単数または複数)の蒸発によって得られたフィルムを激しい攪拌によって懸濁させて、小さい粒子の分散物を形成させる工程を包含する。その溶媒は、十分な量の溶媒を蒸発によって除去することができ、化合物の沈殿を生じさせることができる。溶媒はまた、溶液を減圧すること、または溶液に窒素を吹き付けることのような他の周知の技術によっても除去することができる。
【0047】
反応による沈殿
反応による沈殿は、薬学的化合物、および状況によっては、他の賦形剤を、適切な溶媒の中に溶解させて溶液を形成させる工程を包含する。化合物は、溶媒の中での化合物の飽和点の量で、または飽和点を下回る量で添加され得る。化合物または任意の賦形剤が、化学物質との反応によって、または熱もしくはUV線などのようなエネルギーの添加に応答する改変によって溶液から沈殿させられる。その結果、改変された化合物は溶媒中で低い溶解度を有し、溶液から沈殿して、小さい粒子の分散物が形成される。賦形剤の沈殿によっては、薬物が吸着される固体のマトリックスが提供される。
【0048】
圧縮流体による沈殿
圧縮流体によって沈殿させるための適切な技術は、JohnstonのWO97/14407に開示されている(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)。この方法は、溶媒中に水不溶性の薬物を溶解させて溶液を形成させる工程を包含する。この溶液はその後、圧縮流体の中に噴霧される。圧縮流体は、気体であっても、液体であっても、または超臨界流体であってもよい。溶媒中の溶質の溶液を圧縮流体へ添加することにより、溶質は過飽和状態に達するかまたは近づき、細かい粒子として沈殿する。この場合、圧縮流体は、薬物が溶解させられる溶媒の凝集エネルギー密度を下げる抗溶媒(antisolvent)としての役割を果たす。
【0049】
あるいは、薬物を圧縮流体に溶解させることができ、これはその後、水相の中に噴霧される。圧縮流体の迅速な膨張により、流体の溶解力は低下し、これに続いて、溶質は水相の中で小さい粒子として沈殿する。この場合、圧縮流体は溶媒としての役割を果たす。
【0050】
粒子を凝集に対して安定化させるために、表面改変因子、例えば、界面活性剤がこの技術に含まれる。
【0051】
低温流体の中への噴霧
圧縮流体によって沈殿させるための適切な技術は、米国特許出願番号10/273,730においてWilliams et al.(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)によって開示されている。この方法により、活性因子が水、1種以上の溶媒、またはそれらの混合物と混合され、得られた混合物が低温流体の表面またはそれよりも下で噴霧される、小さい粒子の生産のためのシステムと方法が提供される。それによって、凍結させられた粒子が提供される。固体の粒子を包むための材料もまた添加することができ、その結果、凍結させられた粒子は、包む物質が活性因子を取り囲むように生成される。
【0052】
タンパク質マイクロスフェアの沈殿
本発明で利用されるマイクロスフェアまたはマイクロ粒子はまた、タンパク質のような巨大分子を水溶性ポリマーと混合するかまたはそれとともに溶解させることを含むプロセスによって生産することができる。このプロセスは、米国特許第5,849,884号、同第5,981,719号、同第6,090,925号、同第6,268,053号、同第6,458,387号、および米国特許出願番号10/399,829(これらは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に開示されている。本発明の1つの実施形態においては、マイクロスフェアは、溶液中の巨大分子を、この巨大分子の等電点に近いpHの溶液中のポリマーまたはポリマーの混合物と混合することによって調製される。混合物は、例えば、熱、放射線、イオン化のようなエネルギー源の存在下でインキュベートされるか、または予め決定された時間の間エネルギーを除去(例えば、冷却)することによってインキュベートされる。得られるマイクロスフェアは、物理的な分離方法によって溶液中に存在する全ての取り込まれていない化合物から取り出すことができる。
【0053】
小さい粒子の分散物を調製するためには多数の他の方法論がある。本発明により、調製の効率には有意には影響を与えずに、そのような分散物を最後に滅菌するための方法が提供される。
【0054】
III.薬学的組成物の粒子分散物を調製するためのさらなる方法
本発明で使用される薬学的組成物(すなわち、有機化合物)の粒子を調製するための以下のさらなるプロセスは、4つの一般的なカテゴリーに分けることができる。プロセスのカテゴリーのそれぞれは、(1)水混和性の第1の溶媒中に有機化合物を溶解させて、第1の溶液を生成する工程、(2)その有機化合物を沈殿させるために第1の溶液を第2の水の溶媒と混合して、プレ懸濁液を生成する工程、および(3)高剪断混合または熱、あるいは両方の組み合わせの形態でそのプレ懸濁液にエネルギーを添加して、上記で定義された所望の大きさの範囲を有している安定な形態の有機化合物を得る工程を共有している。混合工程とエネルギー添加工程は、連続して行うことも、また、同時に行うこともできる。
【0055】
プロセスのカテゴリーは、エネルギー添加工程の前に、およびエネルギー添加工程の後で行われるx線回折実験、DSC実験、または他の適切な実験によって決定される有機化合物の物理的特性に基づいて区別される。第1のプロセスのカテゴリーにおいては、エネルギー添加工程の前には、プレ懸濁液中の有機化合物は不定形の形態、半結晶の形態、または過冷却液体の形態をとっており、平均有効粒径を有している。エネルギー添加工程の後には、有機化合物は、プレ懸濁液の粒径と本質的には同じであるかそれ未満の平均有効粒径を有している結晶形態となる。
【0056】
第2のプロセスのカテゴリーでは、エネルギー添加工程の前には、有機化合物は結晶形態であり、平均有効粒径を有している。エネルギー添加工程の後、有機化合物はエネルギー添加工程の前と本質的には同じ平均有効粒径を有している結晶形態であるが、エネルギー添加工程の後の結晶は、凝集しにくいか、または、大きい結晶を形成しにくい。
【0057】
凝集するか、または大きな結晶を形成する有機化合物の傾向が低いことは、レーザー動的光散乱および光学顕微鏡によって観察される。
【0058】
第3のプロセスのカテゴリーにおいては、エネルギー添加工程の前には、有機化合物はもろい結晶形態であり、平均有効粒径を有している。用語「もろい」によって意味されるのは、粒子が壊れやすく、小さい粒子へとより簡単に崩壊することである。エネルギー添加工程の後、有機化合物は、プレ懸濁液の結晶よりも小さい平均有効粒径を有している結晶形態である。もろい結晶形態の有機化合物を置き換えるために不可欠な工程を行うことによって、次のエネルギー添加工程を、もろくない結晶形態の有機化合物と比較して、より迅速に、効率よく行うことができる。
【0059】
第4のプロセスのカテゴリーにおいては、第1の溶液と第2の溶媒は、同時にエネルギー添加工程に供される。したがって、エネルギー添加工程の前および後の有機化合物の物理的特性は測定されなかった。
【0060】
エネルギー添加工程は、プレ懸濁液または第1の溶液と第2の溶媒がキャビテーション力、剪断力、または衝撃力に曝される任意の様式で行うことができる。1つの好ましい形態では、エネルギー添加工程はアニーリング工程である。アニーリングは、熱力学的に不安定な物質を、エネルギーを1回または繰り返して加える(直接の加熱、または機械的応力)こと、その後の熱緩和によってより安定な形態に変換するプロセスとして、本明細書中で定義される。このエネルギーの低下は、規則性の低い構造からより規則性のある格子構造への固体の形態の変換によって起こり得る。あるいは、この安定化は、固体−液体界面での界面活性分子の並べ替えによっても起こり得る。
【0061】
これらの4つのプロセスのカテゴリーは、以下に別々に示される。しかし、これらのプロセスの条件、例えば、界面活性剤の選択または界面活性剤の組み合わせ、使用される界面活性剤の量、反応温度、溶液の混合速度、沈殿速度などは、次で議論される任意の1つのカテゴリーのもとで任意の薬物が処理されるように選択することができることを理解しなければならない。
【0062】
第1のプロセスのカテゴリーは、さらには、第2、第3、および第4のプロセスのカテゴリーも同様に、2つのサブカテゴリーである方法Aと方法Bにさらに分けることができる。
【0063】
以下のプロセスによる第1の溶媒は、目的の有機化合物が比較的可溶性でありかつ第2の溶媒と混和性である溶媒または溶媒の混合物である。このような溶媒としては、水混和性のプロトン性化合物が挙げられるがこれに限定はされない。水混和性のプロトン性化合物においては、分子中の水素原子は、酸素、窒素、または元素の周期表のVA族、VIA族、およびVIIA族の他の原子のような、電気陰性原子に結合している。このような溶媒の例としては、アルコール、アミン(第1級または第2級)、オキシム、ヒドロキサム酸、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸、アミド、および尿素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
第1の溶媒の他の例としては、非プロトン性有機溶媒も挙げられる。これらの非プロトン性溶媒のいくつかは、水と水素結合を形成することができるが、これらが有効なプロトン供与基を有していないとの理由から、プロトン受容体としての役割しか担うことができない。非プロトン性溶媒の1つのクラスは、International Union of Pure and Allpied Chemistry(IUPAC Compendium of Chemical Technology,第2版,1997年編)によって定義されている:
約15より大きい比較的高い相対的誘電率(または誘電定数)を有しており、かなり大きな永久双極子モーメントを有している溶媒であり、強い水素結合を形成するために適している不安定な水素原子を供与することはできない(例えば、ジメチルスルホキシド)、
ような二極性非プロトン性溶媒である。
【0065】
双極性非プロトン性溶媒は、以下からなる群より選択することができる:アミド(全置換されている、水素原子が結合していない窒素を含むもの)、尿素(全置換されている、窒素に結合した水素原子を含まないもの)、エーテル、環式エーテル、ニトリル、ケトン、スルホン、スルホキシド、全置換されたリン酸、リン酸エステル、ホスホルアミド、ニトロ化合物など。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、2−ピロリジノン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、アセトニトリル、およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ニトロメタンなどがこのクラスのメンバーである。
【0066】
一般的には水不混和性であるが、少量で(10%未満)十分な水溶性を有している溶媒が、これらの少量で水混和性の第1の溶媒として作用するように選択される場合もある。例として、芳香族炭化水素、アルケン、アルカン、およびハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルケン、およびハロゲン化アルカンが挙げられる。芳香族には、ベンゼン(置換されたものまたは未置換のもの)、および単環式または多環式のアレーンが含まれるが、これらに限定されない。置換されたベンゼンの例としては、キシレン(オルト、メタ、またはパラ)およびトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。アルカンの例としては、ヘキサン、ネオペンタン、へプタン、イソオクタン、およびシクロヘキサンが挙げられるがこれらに限定されない。ハロゲン化芳香族化合物の例としては、シクロベンゼン、ブロモベンゼン、およびクロロトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン化アルカンおよびハロゲン化アルケンの例としては、トリクロロエタン、塩化メチレン、エチレンジクロライド(EDC)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
上記の溶媒のクラスの全ての例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドンとも呼ばれる)、2−ピロリジノン(2−ピロリドンとも呼ばれる)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、酢酸、乳酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、グリセロール、ブチレングリコール(ブタンジオール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノ−アクリレートモノグリセリドおよびジ−アクリレートモノグリセリド(例えば、グリセリルカプリレート)、ジメチルイソソルビド、アセトン、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、芳香族炭化水素、アルケン、アルカン、ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルケン、ハロゲン化アルカン、キシレン、トルエン、ベンゼン、置換されたベンゼン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン、トリクロロエタン、塩化メチレン、エチレンジクロライド(EDC)、ヘキサン、ネオペンタン、へプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG−4、PEG−8、PEG−9、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−120、PEG−75、PEG−150)、ポリエチレングリコールエステル(例えば、PEG−4ジラウレート、PEG−20ジラウレート、PEG−6イソステアレート、PEG−8パルミトステアレート、PEG−150パルミトステアレート)、ポリエチレングリコールソルビタン(例えば、PEG−20ソルビタンイソステアレート)、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、PEG−3ジメチルエーテル、PEG−4ジメチルエーテル)、ポリエチレングリコール(PPG)、ポリプロピレンアルギネート、PPG−10ブタンジオール、PPG−10メチルグルコースエーテル、PPG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ラウリン酸プロピレングリコール、およびグリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)。好ましい第1の溶媒はN−メチル−2−ピロリジノンである。別の好ましい第1の溶媒は乳酸である。
【0068】
第2の溶媒は水性の溶媒である。この水性の溶媒は、水そのものである場合がある。この溶媒には、緩衝液、塩、界面活性剤(単数または複数)、水溶性ポリマー、およびこれらの賦形剤の組み合わせが含まれる場合がある。
【0069】
方法A
方法A(図1を参照のこと)においては、有機化合物(「薬物」)が最初に第1の溶媒に溶解させられて、第1の溶液が生成される。有機化合物は、第1の溶媒中の有機化合物の溶解度に応じて、約0.1%(w/v)から約50%(w/v)までで添加することができる。約30℃から約100℃までの濃縮物の加熱が、第1の溶媒中に化合物の全てを確実に溶解させるために必要である場合もある。
【0070】
第2の水性の溶媒は、それに添加される陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または生物学的な表面活性のある分子のような1つ以上の任意の表面改変因子とともに提供される。適切な陰イオン性界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ラウリン酸カリウム、トリエタノールアミンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンスルフェート、アルギン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびそれらの塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コール酸、ならびに他の胆汁酸(例えば、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸)およびそれらの塩(例えば、デオキシコール酸ナトリウムなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
両性イオン性界面活性剤は電気的には中性であるが、その同じ分子の中に局所的な正電荷と負電荷を有している。適切な両性イオン性界面活性剤としては、両性イオン性リン脂質が挙げられるが、これに限定はされない。適切なリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(例えば、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DSPE)、およびジオレオリル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DOPE))が挙げられる。陰イオン性リン脂質と両性イオン性リン脂質を含むリン脂質の混合物が本発明で使用される場合もある。このような混合物としては、リゾリン脂質、卵のリン脂質または大豆のリン脂質、あるいはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。リン脂質は、陰イオン性リン脂質、両性イオン性リン脂質、またはリン脂質の混合物であるかにはかかわらず、塩を形成している場合も、または脱塩されている場合もあり、水素化されている場合も、または部分的に水素化されている場合もあり、また、自然界の存在するもの、半合成のもの、または合成のものである場合もある。リン脂質はまた、本発明のマクロファージへの送達を特異的に標的化するために、水溶性ポリマーまたは親水性ポリマーと結合させられる場合もある。しかし、結合させられたリン脂質は、他の用途において他の細胞または組織を標的化するために使用される場合がある。好ましいポリマーはポリエチレングリコール(PEG)であり、これはまた、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)としても知られている。PEGの分子量は変更することができ、例えば、200から50,000までである。市販されているいくつかの一般的に使用されるPEGとしては、PEG350、PEG550、PEG750、PEG1000、PEG2000、PEG3000、およびPEG5000が挙げられる。リン脂質またはPEG−リン脂質結合体には、また、タンパク質、ペプチド、炭水化物、糖タンパク質、抗体、または薬学的に活性な因子を含むがこれらに限定されないリガンドに共有結合することができる官能基が組み入れられる場合もある。これらの官能基は、例えば、アミド結合の形成、ジスルフィドまたはチオエーテルの形成、あるいは、ビオチン/ストレプトアビジン結合によってリガンドと結合することができる。リガンドに結合する官能基の例としては、ヘキサノイルアミン、ドデカニルアミン、1,12−ドデカンジカルボキシレート、チオエタノール、4−(p−マレイミドフェニル)ブチルアミド(MBP)、4−(p−マレイミドメチル)シクロヘキサン−カルボキサミド(MCC)、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(PDP)、サクシネート、グルタレート、ドデカノエート、およびビオチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
適切な陽イオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルアルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、アシルカルニチンヒドロクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモミウムブロマイド(dimethyldioctadecylammomium bromide)(DDAB)、ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、ジミリストイルトリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジメチルアミノエタンカルバモイルコレステロール(DC−Chol)、1,2−ジアシルグリセロ−3−(O−アルキル)ホスホコリン、O−アルキルホスファチジルコリン、アルキルピリジニウムハライド、または長鎖アルキルアミン、例えば、n−オクチルアミンおよびオレイルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
適切な非イオン性界面活性剤としては、グリセリルエステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル(マクロゴール(Macrogol)およびBrij)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート(Polysorbate))、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(Myrj)、ソルビタンエステル(Span)、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー)、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶セルロース、デンプンおよびデンプン誘導体(例えば、ヒドロキシエチルデンプン(HES))を含む多糖類、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。好ましい形態においては、非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン共重合体であり、好ましくは、プロピレングリコールとエチレングリコールのブロック共重合体である。このようなポリマーは、商品名POLOXAMERとして販売されており、PLURONIC(登録商標)と呼ばれることもしばしばあり、Spectrum Chemical and Rugerを含むいくつかの供給業者から販売されている。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの中には、短いアルキル鎖を有しているものが含まれる。このような界面活性剤の一例は、BASF Aktiengesellschaftによって製造されているSOLUTOL(登録商標)HS 15、ポリエチレン−660−ヒドロキシステアレートである。表面活性のある生物学的分子には、アルブミン、カゼイン、ヒルジン、または他の適切なタンパク質のような分子が含まれる。多糖類である生物製剤もまた含まれ、これはデンプン、ヘパリン、およびキトサンから構成されるが、これらに限定されない。他の適切な界面活性剤には、ロイシン、アラニン、バリン、イソロイシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、フェニルアラニンのような任意のアミノ酸、またはこれらのアミノ酸の任意の誘導体、例えば、アミドまたはエステル誘導体、およびこれらのアミノ酸から形成されたポリペプチドが含まれる。
【0074】
第2の溶媒にpH調整剤を添加することが所望される場合もある。適切なpH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、モノカルボン酸(例えば、酢酸および乳酸)、ジカルボン酸(例えば、コハク酸)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸)、THAM(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、メグルミン(N−メチルグルコサミン)、水酸化ナトリウム、ならびに、グリシン、アルギニン、リジン、アラニン、ヒスチジン、およびロイシンのようなアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。第2の溶媒は、約3から約11までの範囲のpHを有さなければならない。水性媒体にはさらに、浸透圧調整剤が含まれる場合があり、例えば、グリセリン、デキストロースのような単糖、スクロースのような二糖、ラフィノースのような三糖、ならびに、マンニトール、キシリトールおよびソルビトールのような糖アルコールであるが、これらに限定されない。
【0075】
好ましい形態においては、有機化合物の小さい粒子を調製するための方法は、第2の溶媒に第1の溶液を添加する工程を包含する。添加速度は、バッチの大きさ、有機化合物の沈殿速度に応じて様々である。通常、小さいスケールの研究室でのプロセス(1リットルの調製物)については、添加速度は1分あたり約0.05ccから1分あたり約10ccまでである。添加の間は、溶液を一定速度で攪拌しなければならない。光学顕微鏡を使用して、不定形の粒子、半結晶性の固体、または超低温液体が形成されてプレ懸濁液が生成されることが観察されている。この方法はさらに、不定形の粒子、超低温液体または半結晶固体をより安定な結晶の固体状態に変換させるために、プレ懸濁液をエネルギー添加工程に供する工程を包含する。得られる粒子は、動的光散乱法によって測定される平均有効粒径を有する。プロセスのカテゴリー4においては、第1の溶液と第2の溶媒は、エネルギー添加工程を同時に行いながら一緒にされる。
【0076】
エネルギー添加工程は、超音波処理、ホモジナイゼーション、向流ホモジナイゼーション、マイクロ流動化、または衝突力、剪断力、もしくはキャビテーション力を提供する他の方法によってエネルギーを添加する工程を包含する。試料は、この段階の間に冷却されるかまたは加熱され得る。1つの好ましい形態においては、エネルギー添加工程は、Avestin Inc.によって商品名EmulsiFlex−C160として販売されているホモジナイザーのようなピストンギャップホモジナイザーによって行われる。別の好ましい形態においては、エネルギー添加工程は、Sonics and Materials,Inc.によって製造されているVibra−Cell Ultrasonic Processor(600W)のような超音波処理装置を使用して、超音波処理によって行うことができる。なお別の好ましい形態においては、エネルギー添加工程は、米国特許第5,720,551号(これは本明細書中に参考として援用され、本明細書の一部を構成する)に記載されている乳化装置の使用によって行うことができる。
【0077】
エネルギーの添加速度に応じて、およそ−30℃から30℃までの範囲にまで、処理される試料の温度を調節することが所望される場合もある。あるいは、処理された固体の所望される相変化を行うためには、エネルギー添加工程の間に約30℃から約100℃までの範囲の温度になるように、プレ懸濁液を加熱することが必要である場合もある。
【0078】
方法B
方法Bは、以下の点で方法Aとは異なる。第1の相違点は、第1の溶液に添加される界面活性剤または界面活性剤の組み合わせである。界面活性剤は、上記の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、および表面活性のある生物学的改変因子の群より選択することができる。
【0079】
これらのプロセスを適用することによって得られる薬物の懸濁液は、注射用水が処方物において使用され、溶液を滅菌するための適切な手段が使用される限りにおいて、注射することができる溶液として直接投与することができる。滅菌は、蒸気滅菌または加熱滅菌、γ線照射などの当該分野で周知の方法によって行うことができる。他の滅菌方法としては、特に、粒子の99%より多くが200nm未満である粒子については、3.0ミクロンのフィルターを通す最初のプレ濾過、その後の0.45ミクロンの粒子フィルターを通す濾過、その後の、蒸気滅菌もしくは加熱滅菌、または二重の0.2ミクロンの膜フィルターを通す滅菌濾過もまた挙げられる。なお別の滅菌手段は、薬物と任意の界面活性剤(単数または複数)を含む第1の溶媒から調製された濃縮物の滅菌濾過、および水性の希釈剤の滅菌濾過である。その後、これらは滅菌の混合容器の中で、好ましくは、隔離された滅菌の環境下で一緒にされる。混合、ホモジナイゼーション、および懸濁液のさらなる処理が、その後、無菌条件下で行われる。
【0080】
なお別の滅菌手順は、ホモジナイゼーション工程の前、間、またはその後の、ホモジナイザーそのものの中での加熱滅菌または高圧蒸気滅菌からなる。この熱処理後の処理は、無菌条件下で行われる。
【0081】
状況に応じて、溶媒を含まない懸濁液が沈殿後の溶媒の除去によって生じる場合がある。これは、遠心分離、透析、透析濾過(diafiltration)、力場分画、高圧濾過、逆浸透、または当該分野で周知の他の分離技術によって行うことができる。N−メチル−2−ピロリジノンの完全な除去は、通常、1回から3回の連続する遠心分離を実行することによって行われ、それぞれの遠心分離(18,000rpmで30分間)の後に、上清がデカントされ、廃棄される。有機溶媒を含まない懸濁媒体の新しい容量が残りの固体に添加され、混合物はホモジナイゼーションによって分散させられる。他の高剪断混合技術をこの再構成工程に適用することができることは当業者によって認識される。あるいは、溶媒を含まない粒子を、経口、肺、鼻孔、局所、筋肉内などの種々の投与経路について所望される種々の投与形態に処方することができる。
【0082】
さらに、任意の望ましくない賦形剤(例えば、界面活性剤)が、上記の段落に記載された分離方法を使用してより望ましい賦形剤で置き換られる場合もある。溶媒および第1の賦形剤は、遠心分離または濾過の後、上清とともに廃棄され得る。その後、溶媒を含まずかつ第1の賦形剤を含まない懸濁媒体の新しい容量が添加され得る。あるいは、新しい界面活性剤が添加される場合もある。例えば、薬物であるN−メチル−2−ピロリジノン(溶媒)、ポロキサマー188(第1の賦形剤)、デオキシコール酸ナトリウム、グリセロール、および水からなる懸濁液は、遠心分離と上清の除去の後、リン脂質(新しい界面活性剤)、グリセロール、および水で置き換えられる場合がある。
【0083】
I.第1のプロセスのカテゴリー
第1のプロセスのカテゴリーの方法は、一般的には、水混和性の第1の溶媒中に有機化合物を溶解させる工程、その後、この溶液を水性の溶媒と混合して、プレ懸濁液を形成させる工程を包含する。ここでは、有機化合物は、x線回折実験、DSC実験、光学顕微鏡、または他の分析実験によって決定された場合には、不定形の形態であるか、半結晶性の形態であるか、または超低温液体の形態であり、上記の有効粒径の範囲の1つに入る平均有効粒径を有する。混合工程の後には、エネルギー添加工程が続く。
【0084】
II.第2のプロセスのカテゴリー
第2のプロセスのカテゴリーの方法は、第1のプロセスのカテゴリーの工程と本質的に同じ工程を包含するが、以下の点で異なる。プレ懸濁液のx線回折実験、DSC実験、または他の適切な分析実験技術により、結晶形態であり、平均有効粒径を有している有機化合物が示される。有機化合物は、エネルギー添加工程の後には、本質的には、エネルギー添加工程の前と同じ平均有効粒径を有しているが、プレ懸濁液の粒子と比較した場合には、より大きな粒子へと凝集する傾向は少ない。理論に束縛されることなく、粒子の安定性の差は、固体−液体界面にある界面活性分子の並べ替えが原因であり得ると考えられている。
【0085】
III.第3のプロセスのカテゴリー
第3のカテゴリーの方法は、プレ懸濁液中の有機化合物が平均有効粒径を有しているもろい形態(例えば、細長い針状、および薄い平板状)であることを確実にするために、第1のプロセスと第2のプロセスのカテゴリーの方法の最初の2工程を改変する。もろい粒子は、適切な溶媒、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ、個々の溶液の温度、混合速度、および沈殿速度などを選択することによって形成させることができる。もろさはまた、第1の溶液と水性溶媒との混合の工程の間に、格子欠陥(例えば、劈開面)を導入することによって高めることができる。これは、沈殿工程で生じるような迅速な結晶化によって生じる。エネルギー添加工程で、これらのもろい結晶は、力学的に安定しておりかつプレ懸濁液よりも小さい平均有効粒径を有している結晶へと転換させられる。「力学的に安定している」は、力学的に安定していない粒子と比較して、凝集する傾向が低い粒子を意味する。このような場合には、エネルギー添加工程によって、もろい粒子の崩壊が生じる。プレ懸濁液の粒子がもろい状態であることを確実にすることによって、有機化合物は、もろい形態にするための工程が行われていない有機化合物の処理と比較して、より容易に、そしてより迅速に、所望される大きさの範囲の粒子になるように調製することができる。
【0086】
IV.第4のプロセスのカテゴリー
第4のプロセスのカテゴリーの方法は、混合工程がエネルギー添加工程と同時に行われることを除いて、第1のプロセスのカテゴリーの工程を包含する。
【0087】
多形体の制御
このプロセスによっては、所望される大きさの範囲の、所望される結晶構造の化合物の懸濁液を最終的に生じるように、有機化合物の結晶構造を制御するためのさらなる工程がさらに提供される。用語「結晶構造」によって意味されるものは、結晶の単位格子の中での原子の配置である。異なる結晶構造になるように結晶化させることができる化合物は、多形体と言われる。同じ薬物の異なる多形体は、溶解度、治療活性、生体利用性、および懸濁安定性において相違を示し得るので、多形体の同定は薬物の処方において重要な工程である。したがって、生成物の純度と各バッチの再現性を確保するためには、化合物の多形体形態を制御することが重要である。
【0088】
化合物の多形体形態を制御するための工程は、所望される多形体の形成を確実にするために、第1の溶液、第2の溶媒、またはプレ懸濁液に種晶を加える工程を包含する。種晶を加える工程は、種晶となる化合物を使用する工程、またはエネルギーを添加する工程を包含する。好ましい形態においては、種晶となる化合物は、所望される多形体形態において薬学的活性のある化合物である。あるいは、種晶となる化合物はまた、不活性な不純物、所望される多形体について構造においては無関係であるが、結晶分子の鋳型を導くことができる特徴を有している化合物、あるいは、所望される多形体の構造と類似している構造を有している有機化合物でもあり得る。
【0089】
種晶となる化合物は、第1の溶液から沈殿させることができる。この方法は、第1の溶媒中の有機化合物の溶解度を越える十分な量の有機化合物を添加して、過飽和溶液を生成する工程を包含する。過飽和溶液は、有機化合物を所望される多形体形態で沈殿させるように処理される。過飽和溶液の処理には、結晶(単数または複数)の形成が観察されて種晶混合物が生成されるまでの時間、溶液を熟成させる(aging)ことが含まれる。過飽和溶液にエネルギーを添加して、有機化合物を溶液から所望される多形体で沈殿させることも可能である。エネルギーは、種々の方法で添加することができ、これは、上記のエネルギー添加工程を包含する。さらなるエネルギーは、加熱によって、あるいは、電磁エネルギー源、粒子線源、または電子線源に対してプレ懸濁液をさらすことによって添加することができる。電磁エネルギーには、光エネルギー(紫外線、可視光線、または赤外線)またはコヒーレント光(例えば、レーザー、マイクロ波エネルギーによって提供されるもの(例えば、メーザーによって提供されるもの(発光(emission of radiation)の刺激によるマイクロ波増幅)、力学的電磁エネルギー、あるいは他の線源から提供されるもの)が挙げられる。超音波、静電場、または静磁場、あるいはこれらの組み合わせを、エネルギー添加源として利用することがさらに想定される。
【0090】
好ましい形態においては、熟成させた過飽和溶液から種晶を生じさせるための方法は、以下の工程を包含する:(i)第1の有機溶媒に対してある量の有機化合物を添加して、過飽和溶液を生成する工程;(ii)過飽和溶液を熟成させて検出可能な結晶を形成させ、種晶混合物を生成する工程;ならびに(iii)種晶混合物を第2の溶媒と混合して有機化合物を沈殿させてプレ懸濁液を生成する工程。その後、プレ懸濁液は、所望される多形体の、所望される大きさの範囲の有機化合物の水性懸濁液を提供するために、上記に詳細に記載されたように、その後、さらに処理することができる。
【0091】
種晶を加える工程はまた、さらされる液体(単数または複数)に有機化合物または種晶となる物質が含まれている場合には、第1の溶液、第2の溶媒またはプレ懸濁液に対してエネルギーを添加することによっても行うことができる。エネルギーは、過飽和溶液について上記に記載されたものと同じ様式で添加することができる。
【0092】
したがって、本発明のプロセスでは、特定されていない多形体(単数または複数)を本質的に含まない所望される多形体形態の有機化合物の組成物が利用される。好ましい形態においては、有機化合物は薬学的に活性な因子である。本明細書中に記載される方法は、多数の薬学的活性のある化合物について所望される多形体を選択的に生じさせるために使用することができると考えられる。
【0093】
B.固体の薬物粒子のエキソビボでの送達
哺乳動物被験体中には、ファゴサイトーシスが可能であり、粒子を運搬することができる多数の細胞が存在している。これらの細胞としては、マクロファージ、単球、顆粒球、好中球、好塩基球、好酸球、および樹状細胞が挙げられるが、これらに限定されない。約150nmから約100ミクロンまでの大きさの範囲の粒子は、これらのファゴサイトーシス生物によってより容易に取り込まれる。150nmより小さい粒子もまた、細胞表面への付着または細胞表面との会合によって、細胞とインビトロおよびエキソビボで会合することができる。これらは、その後、ピノサイトーシスによって細胞内に取り込まれる場合がある。ピノサイトーシスは、粒子の周囲に細胞内カプセルを形成するための細胞膜の陥入である。ピノサイトーシス(「細胞の飲み込み」)においては、囲まれる粒子は比較的小さい(例えば、20nm)(Watts,C;Marsh,M.Endocytosis:what goes in and how? J Cell Sci.1992:103(1):1−8)。ピノサイトーシスは、ほぼ全ての真核細胞で連続して生じる。
【0094】
哺乳動物被験体からのマクロファージの単離は、細胞分離装置によって行うことができる。例えば、Isolex細胞分離装置(Baxter Healthcare Corp.,Deerfield,IL)を使用して種々の細胞を単離することができる。エキソビボでの細胞の単離のための当業者に公知の他の方法を、本発明の方法に有用な細胞を得るために使用することができる。このような方法には、末梢血のフェレーシス;G−CSFまたはGM−CSFを通じた骨髄細胞の動員による;例えば、あるいは、脊椎穿刺、胸骨穿刺、腰椎穿刺、または腸骨稜の穿刺による骨髄細胞の直接の取り出しが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
一旦単離されると、細胞は、選択的増殖培地または非選択的増殖培地中で培養され、同時に、またはその後、特定の薬学的組成物と接触させられ、そして細胞に粒子を取り込ませるかまたは吸着させるために短時間インキュベートされる。
【0096】
エキソビボ手順で使用される薬学的組成物の濃度は、いくつかの要因によって変化する。これらの要因としては、使用される細胞のタイプ、細胞の濃度、使用される薬学的因子、小さい粒子の分散物の大きさ、処置される疾患などが挙げられるが、これらに限定されない。しかし、一般的には、細胞単離物は、約1から約300mg/mlの本発明の薬学的組成物と接触させられる。
【0097】
細胞は、細胞に薬物粒子を取り込ませるために十分な24時間またはそれ以上の間、薬学的組成物とともにインキュベートすることができる。粒子としての薬学的組成物の分散物の細胞による取り込みとしては、ファゴサイトーシス、またはエンドサイトーシスの他の手段、または細胞の表面上への粒子の吸着を挙げることができる。さらに、本発明の好ましい形態においては、細胞との接触の間、粒子は熱力学的飽和溶解度よりも高い濃度で存在し、これによって哺乳動物被験体への取り込みおよび送達の間、粒子は粒子形態を維持することができる。
【0098】
わずかに可溶性である薬物については、単離された細胞が薬学的組成物の粒子を飲み込むことができる(エンドサイトーシス、ファゴサイトーシスなどによる)か、あるいは競合する溶解プロセスよりも早い速度で薬学的組成物の粒子を吸着することができる限りは、エキソビボでの手順を利用することができる。粒子は、細胞に粒子を飲み込ませるかまたは吸着させ、それらを所望の標的組織に、粒子が完全に溶解してしまう前に運搬するために十分に大きくなければならない。さらに、薬学的組成物の濃度は、飲み込み、吸着、またはピノサイトーシスの間、粒子が固体の状態を維持できるように、組成物の飽和溶解度よりも高く維持されなければならない。
【0099】
他の細胞を、被験体に薬学的活性のある化合物を送達するために使用することができる。任意の細胞のタイプを、それが活性のある化合物を培養された細胞の細胞内区画に取り込むことができるか、そのような細胞の周囲に活性のある化合物の粒子を付着させることができるか、または細胞内への取り込みと細胞表面への付着の組み合わせができる限りは、本発明で使用することができる。他のタイプの細胞の例としては、赤血球、筋細胞、骨髄細胞および骨細胞、血管細胞、臓器組織細胞、ならびに神経細胞が挙げられる。このような他の細胞は当業者に公知の技術によって単離することができる。
【0100】
細胞に薬学的活性のある化合物の粒子を装填するための任意の方法を、この方法がその細胞を破壊することはないか、または細胞を別の方法で被験体への投与に有用ないようにする条件で、使用することができる。例えば、生体認識分子による粒子の部位特異的送達が使用される場合がある。例えば、米国特許公開番号US2003/0092069(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。ここでは、中空ナノ粒子による遺伝子の部位特異的送達が開示されている。エキソビボで細胞に装填する他の方法としては、エレクトロポレーション、ソノポレーション、および細胞膜を破壊して(例えば、超音波処理)細胞内に固体粒子を挿入することができる他の機械的手段が挙げられる。超音波は、Zarnitsyn and Prausnitz(Zarnitsyn VG,Prausnitz MR.Physical parameters influencing optimization of ultrasound−mediated DNA transfection.Ultrasound Med Biol.2004年4月;30(4):527−38)によって、細胞膜を一時的に破壊し、それによって生存している細胞中へのDNAの装填を促進するために、うまく使用された。他の機械的手順が当業者には周知であり、この開示の一部として含まれる。細胞膜を一時的に脱安定化させる化学的方法もまた周知である。トランスフェクション試薬には表面活性が含まれ、これには、293フェクチンTMトランスフェクション試薬とリポフェクタミンTMが含まれ、これらはいずれも、Invitrogen Corporation(Carlsbad,California)の製品である。細胞内にDNAを導入するために使用される界面活性剤の別の例は、Synvolux Therapeutics B.V.L.J.(Groningen,The Netherlands)によるSAINTTM試薬であり、これは、ピリジニウム界面活性剤をベースとするものである。
【0101】
エキソビボでは、細胞は、当業者に公知の細胞培養培地または他の単離システムにおいて培養される。このような培地の例は、Alserver’s溶液、Ames’培地、イーグル基本培地、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞培養培地、Click’s培地、ダルベッコ改変イーグル培地、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝デキストロースまたはスクロース、イーグル平衡塩溶液、遺伝子治療培地−3、Gey’s平衡塩溶液、Glasgow最少必須培地、ハンクス平衡塩溶液、ハイブリドーマ培地、Iscove’s改変Dulbecco’s培地、糖を含むKrebs−Henseleit緩衝液、Leibovitz培地(L−15)、M16培地、McCoy’s培地、MCDB、MDBK(ウシ腎臓(Madin−Darby Bovine Kidney))、MDCK(イヌ腎臓(Madin−Darby Canine Kidney))、培地199、NCTC,Ham’s培地(例えば、栄養素混合物(Nutrient Mixture)F−10)、Coon’s改変Ham’s培地、RPMI、およびBiochemicals & Reagents for Life Science Research,Sigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO,USA)に列挙されているもののような他のものである。そのように記載された培養の目的は、細胞のロスがない単純な保存の目的、または細胞増殖を促進するための増殖因子、サイトカイン、および栄養素の適切な添加による細胞の増殖の目的であり得る。このような増殖によって、細胞試料を取り出すために患者が準備しなければならない回数を最少限にすることができる。
【0102】
装填された細胞は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内に、関節内に、クモ膜下腔内に、硬膜外に、大脳内に、口腔投与によって、直腸に、局所に、経皮的に、経口で、鼻腔内に、肺経路から、腹腔内に、眼内に、眼窩球後に、または哺乳動物被験体への粒子が装填された細胞の送達に使用することができる任意の手順によって、投与することができる。投与工程は、ボーラス注入法によって、間欠的注入によって、または持続注入によって行うことができる。
【0103】
細胞の量および送達方法は、熟練した医師によって決定される。種々の要因が細胞濃度および送達方法に影響を与え、これには、使用される細胞のタイプ、処置される被験体の性別、体重、および年齢、処置される疾患または障害のタイプおよび成熟度、細胞に装填される薬学的因子などが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
特定のウイルスおよび細菌は、食細胞によって取り込まれ得、これらの細胞の中にとどまり続けることができる。しかし、薬物粒子が装填された細胞は、薬物が食細胞中で濃縮され、感染性生物が多量の薬物にさらされ、それによって生物を死滅させるので、このような感染の処置に有効である。さらに、感染した組織への灌流後、酸に溶解させることができる粒子は、食細胞中のpHのレベルを下げ、それによって薬物の濃縮物を放出するので、溶解する。濃度勾配は、食細胞のエンドソームの中では高い薬学的組成物の濃度を有し、エンドソームの外側では低い濃度を有するように形成される。したがって、マクロファージの中の粒子の内容物は、改善の目的のために周辺組織に放出される。時間と共に、周辺組織中に存在している遊離ウイルスおよび細菌生物は、そのように包まれていない遊離薬物の投与によって通常送達することができる濃度よりも高い濃度の薬物に曝される。
【0105】
特定の実施形態が説明され、記載されているが、本発明の趣旨から逸脱することなく多数の改変が想起され、保護される範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に活性な因子の小さい粒子の調製、および哺乳動物被験体への該粒子の送達のための方法であって:
(i)哺乳動物ドナーから組織細胞を回収する工程、
(ii)細胞培養培地中で該細胞を培養する工程であって、該細胞培養培地に、1種以上の治療的活性のある化合物または診断剤の粒子を含む薬学的組成物が添加されている、工程、
(iii)該細胞による該細胞の細胞内区画のいずれかへの該粒子の取り込み、該細胞の周囲への該粒子の付着、またはそれらの組み合わせを生じさせる工程;および
(iv)哺乳動物被験体に該細胞を投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記細胞を投与する工程は、前記哺乳動物被験体の標的組織に前記細胞を送達する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与する工程は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内に、関節内に、クモ膜下腔内に、硬膜外に、大脳内に、頬側に、直腸に、局所に、経皮的に、経口で、鼻腔内に、肺経路から、腹腔内に、眼内に、またはそれらの組み合わせで前記細胞を投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞は、ファゴサイトーシス、粒子としての前記薬学的組成物の吸着、またはこれらの粒子のピノサイトーシスの能力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞が、マクロファージ、単球、顆粒球、好中球、好塩基球、好酸球、樹状細胞およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞が、赤血球、筋細胞、骨髄細胞および骨細胞、血管細胞、臓器組織細胞、神経細胞、樹状細胞およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞を培養する工程は、前記細胞を単離する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞を単離する工程は、細胞分離装置またはアフェレーシス装置によって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子の一部は、前記標的組織への送達の前に溶解してしまうことはない、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、前記化合物の飽和溶解度を上回る粒子の濃度を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物は、水に難溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞を培養する工程は、24時間以上行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薬学的組成物は、さらに界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、表面活性のある生物学的改変因子、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物中の粒子は、示差走査熱量測定法またはX線回折のいずれかによって決定された場合に、不定形、半結晶性、結晶性、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的組成物は水混和性である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記治療因子は、鎮痛薬、麻酔薬、興奮薬、アドレナリン作動薬、アドレナリン遮断薬、抗アドレナリン薬、アドレノコルチコイド、アドレナリン模倣物、抗コリン作動剤、抗コリンエステラーゼ、抗痙攣剤、アルキル化剤、アルカロイド、アロステリックインヒビター、蛋白同化ステロイド、食欲抑制薬、制酸剤、止瀉薬、解毒剤、葉酸代謝拮抗薬、解熱剤、抗リウマチ剤、精神治療薬、神経遮断薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗生物質、抗凝固剤、抗鬱剤、鎮痙薬、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、抗ムスカリン剤、抗ミコバクテリア剤、抗腫瘍薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤、診断剤、画像診断剤、ドーパミン作動薬、止血剤、血液学的薬剤、催眠薬、免疫学的薬剤、ムスカリン様作用薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、プロテアーゼインヒビター、放射性薬品、鎮静剤、刺激薬、交感神経刺激剤、ビタミン、キサンチン、増殖因子、ホルモン、抗プリオン薬、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記抗腫瘍薬は、パクリタキセルとその誘導化合物、アルカロイド、代謝拮抗物質、酵素インヒビター、アルキル化剤、抗生物質、遺伝子治療薬、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記治療剤は、オリゴヌクレオチドおよび核酸からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記治療剤は生物製剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記生物製剤は、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、核酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記薬学的組成物の分散物は、投与の前に滅菌される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記治療活性のある化合物が、遺伝的に後天性の疾患または遺伝性の疾患を処置するために使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
前記遺伝的に後天性の疾患または遺伝性の疾患が、鎌状赤血球貧血、バーキットリンパ腫、ゴウシェ病、血友病A、慢性骨髄性白血病、ニーマンピック病、発作性夜間血色素尿症、ポルフィリン症、サラセミア、乳ガンおよび卵巣ガン、結腸ガン、小細胞肺癌、悪性黒色腫、多発性内分泌腫瘍、神経線維腫症、膵ガン、多発性嚢胞腎疾患、前立腺ガン、網膜芽細胞腫、結節硬化症、フォン・ヒッペル−リンダウ症候群、結腸ガン、クローン病、嚢胞性線維症、1型糖尿病、グルコース・ガラクトース吸収不全症、ウィルソン病、ツェルヴェーガー症候群、遺伝的に後天性の難聴、神経線維腫症、ペンドレッド症候群、ベスト病、遺伝的に後天性の緑内障、脳回転状網膜脈絡膜萎縮、網膜芽細胞腫、レット症候群、副腎過形成、先天性副腎白質ジストロフィ、自己免疫性多腺症候群、コケーン症候群、褶曲性骨形成異常、多発性内分泌腺腫、毛細血管拡張性運動失調、アテローム性動脈硬化症、QT延長症候群、ウィリアムズ症候群、喘息、毛細血管拡張性運動失調、ディジョージ症候群、高IgM症候群を伴う免疫不全症、重症複合型免疫不全、アルポート症候群、男性型禿頭症、前立腺ガン、ファンコーニ貧血、ハートナップ病、カルタゲナー症候群、リソソーム蓄積症、およびピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
約100ミクロン未満の平均粒径を有している粒子として提供され、組織に到達することができる細胞による有効量の薬学的組成物の組織への送達のために哺乳動物被験体に投与するように適応された、該薬学的組成物の分散物を含む、該哺乳動物被験体への送達のための組成物。
【請求項27】
前記細胞が、ファゴサイトーシス、細胞表面上での粒子としての前記薬学的組成物の吸着、ピノサイトーシス、またはそれらの組み合わせの可能性を有する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記細胞が、マクロファージ、単球、顆粒球、好中球、好塩基球、好酸球、幹細胞、樹状細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記細胞が、赤血球、筋細胞、骨髄細胞および骨細胞、血管細胞、臓器組織細胞、神経細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記薬学的組成物は、選択培養培地または非選択培養培地中で細胞と混合される、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記治療剤は生物製剤である、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
前記生物製剤は、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、核酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記タンパク質は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗体である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記薬学的組成物の分散物は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内に、関節内に、クモ膜下腔内に、硬膜外に、大脳内に、頬側に、直腸に、局所に、経皮的に、経口で、鼻腔内に、肺経路から、腹腔内に、眼内に、眼窩球後に、またはそれらの組み合わせで送達される、請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
前記薬学的組成物の分散物が投与の前に滅菌されている、請求項26に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−502706(P2008−502706A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516856(P2007−516856)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/022992
【国際公開番号】WO2005/123907
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】