説明

固体撮像装置およびその製造方法

【課題】加工精度を維持しつつ、固体撮像装置の特性劣化を抑制する。
【解決手段】固体撮像装置に設けられるカラーフィルタは、格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、所定の色成分のフィルタと他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜とを備え、所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、他の色成分のフィルタおよび光減衰膜の底面は、所定の色成分のフィルタの底面より低い。本技術は、例えばCMOSイメージセンサに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置およびその製造方法に関し、特に、加工精度を維持しつつ、固体撮像装置の特性劣化を抑制することができるようにする固体撮像装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像装置における画素の微細化に伴い、カラーフィルタ(CF)の加工精度が限界に近づきつつある。CFの加工においては、そのCFを構成する感光性樹脂からなる3色の材料が、例えばレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の順に露光および現像処理によりパターニングされるが、加工精度に応じた各色毎の重ね合わせずれに起因して、固体撮像装置の混色特性が悪化する恐れがあった。
【0003】
また、近年、固体撮像装置を搭載するデジタルカメラや携帯電話機等のカメラ付き電子機器の小型薄型化に伴い、光学レンズから固体撮像装置の受光面までの距離の短縮が要求されている。この距離が短縮されると、光学レンズから固体撮像装置の受光面に入射する光の角度が急峻となり、固体撮像装置の感度特性や混色特性が悪化する恐れがある。特に、単位画素に対応して受光面に形成されているCFにおいて、隣接する異なる色のCFを通過した光が固体撮像装置のフォトダイオードに入射することにより、混色特性を劣化させていた。
【0004】
さらに、固体撮像装置における画素の微細化や、カメラ付き電子機器の小型薄型化に伴い、感度特性や輝度シェーディング特性の向上を図る必要性が増している。加えて、CFの加工形状やフォトリソグラフィ法によるパターン形成時の密着性の改善、CFの分光特性の調整の自由度の向上のためのブレークスルー技術が要求されている。
【0005】
ここでいうブレークスルー技術は、フォトレジストベースの組成物の開発や吸光度の高い色素の新規導入等により、フォトリソグラフィ法に寄与する組成比率をアップさせる技術や、フォトリソグラフィ法以外の手法や、フォトリソグラフィ法と例えばドライエッチング法との組み合わせによるパターン形成技術を指している。
【0006】
ところで、1色目のCF上を形成した後、2色目以降のCFを形成する際に行われる平坦化処理の終点を、容易に特定可能するために、1色目のCF上にケイ素化合物を含む層を形成し、この層をエッチバックのストッパまたはCMP(Chemical Mechanical Polishing)の終点として、2色目および3色目のCFを形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、固体撮像装置の混色特性の改善のために、各CFの境界に遮光体を設けるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2乃至4参照)。
【0008】
さらに、CFの下地に凹凸を形成することで、CFの膜厚調整を行うようにする技術が提案されている(例えば、特許文献5,6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−244710号公報
【特許文献2】特開2010−239076号公報
【特許文献3】特開2010−134353号公報
【特許文献4】特開平10−163462号公報
【特許文献5】特開2006−269533号公報
【特許文献6】特開2006−222291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術は、3色のCFをセルフアライメントにより形成するものではなく、加工精度が高いものとはいえなかった。
【0011】
また、特許文献2乃至4の技術では、遮光体を形成した後、各CF材料を充填するようにしているが、これには、加工精度に限界があり、実際に混色特性の改善を図れない恐れがある。
【0012】
さらに、特許文献5の技術においては、CFの下地の凹凸を、レジストマスクを用いてエッチングし、最終的にCF上面を研磨して面一とするようにしているが、各CFの組成の違いに応じた研磨制御を適切にできなかった場合、各CFについて所望の分光特性が得られず、色再現性や感度特性が劣化する恐れがある。
【0013】
また、特許文献6の技術は、1色目のCFをドライエッチングにより形成した後、2色目および3色目のCFをフォトリソグラフィ法で形成するものであるが、特許文献6には、1色目のCFを形成する際、その下地として形成されている有機膜を途中までエッチングすることが開示されている。この場合、エッチングの精度が悪いと、2色目および3色目のCFの膜厚にばらつきが生じ、色再現性や感度特性が劣化する恐れがある。また、有機膜の途中でエッチングをストップさせるために、CFの膜厚を厚膜化することが考えられるが、この場合、固体撮像装置の集光特性が悪化し、感度特性やシェーディング特性が劣化する恐れがある。
【0014】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、加工精度を維持しつつ、固体撮像装置の特性劣化を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本技術の一側面の固体撮像装置は、格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜とを備え、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、前記他の色成分のフィルタおよび前記光減衰膜の底面は、前記所定の色成分のフィルタの底面より低いカラーフィルタを備える。
【0016】
前記固体撮像装置には、無機膜上に形成された有機膜上に、前記所定の色成分のフィルタの材料が成膜され、前記所定の色成分のフィルタの材料に対して、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域にフォトレジストを形成してエッチング処理が施され、エッチング処理が施された前記所定の色成分のフィルタに、前記光減衰膜が形成され、前記光減衰膜が形成された前記所定の色成分のフィルタに対して、エッチング処理が施され、前記他の色成分のフィルタの材料が塗布されて形成された前記カラーフィルタを設けることができる。
【0017】
前記固体撮像装置には、前記所定の色成分のフィルタの材料が、第1の無機膜上に形成される第1有機膜上の、第2の無機膜上に形成される第2有機膜上に成膜されて形成される前記カラーフィルタを設けることができる。
【0018】
前記固体撮像装置には、前記所定の色成分のフィルタ上に、他の無機膜が形成され、前記他の無機膜の上面と、前記他の色成分のフィルタの上面とは面一とされる前記カラーフィルタを設けることができる。
【0019】
前記固体撮像装置には、前記カラーフィルタの上面にマイクロレンズを設け、前記他の無機膜の屈折率は、前記マイクロレンズの屈折率と同じか、またはそれより低くするようにすることができる。
【0020】
前記固体撮像装置には、前記光減衰膜が、金属膜よりなる前記カラーフィルタを設けることができる。
【0021】
前記固体撮像装置には、前記光減衰膜が、光吸収材を含む有機膜よりなる前記カラーフィルタを設けることができる。
【0022】
前記固体撮像装置には、前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタが、ベイヤ配列をなす前記カラーフィルタを設けることができる。
【0023】
本技術の一側面の固体撮像装置の製造方法は、格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜とを備え、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、前記他の色成分のフィルタおよび前記光減衰膜の底面は、前記所定の色成分のフィルタの底面より低いカラーフィルタを備える固体撮像装置の製造方法であって、無機膜上に形成された有機膜上に、前記所定の色成分のフィルタの材料を成膜し、前記所定の色成分のフィルタの材料に対して、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域にフォトレジストを形成してエッチング処理を施し、エッチング処理が施された前記所定の色成分のフィルタに、前記光減衰膜を形成し、前記光減衰膜が形成された前記所定の色成分のフィルタに対して、エッチング処理を施し、前記他の色成分のフィルタの材料を塗布するステップを含む。
【0024】
本技術の一側面においては、カラーフィルタが、格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、所定の色成分のフィルタと他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜とを備え、所定の色成分のフィルタが形成される領域が、少なくとも一部で互いに結合され、他の色成分のフィルタおよび光減衰膜の底面が、所定の色成分のフィルタの底面より低くされる。
【発明の効果】
【0025】
本技術の一側面によれば、加工精度を維持しつつ、固体撮像装置の特性劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本技術を適用した固体撮像装置のカラーフィルタの一実施の形態の平面図および断面図である。
【図2】本技術を適用した固体撮像装置の平面図および断面図である。
【図3】固体撮像装置の受光領域に入射される入射光について説明する図である。
【図4】光減衰膜の底面について説明する図である。
【図5】カラーフィルタの形成処理について説明するフローチャートである。
【図6】カラーフィルタの形成の工程を示す図である。
【図7】カラーフィルタの形成の工程を示す図である。
【図8】エッチング量の調整について説明する図である。
【図9】光減衰膜の他の構成について説明する図である。
【図10】本技術を適用した固体撮像装置のカラーフィルタの他の実施の形態の断面図である。
【図11】図10のカラーフィルタの形成処理について説明するフローチャートである。
【図12】図10のカラーフィルタの形成の工程を示す図である。
【図13】図10のカラーフィルタの形成の工程を示す図である。
【図14】他の配列のカラーフィルタを示す図である。
【図15】他の配列のカラーフィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本技術の実施の形態について図を参照して説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.カラーフィルタの構成
2.カラーフィルタの形成処理
3.カラーフィルタの他の構成
4.カラーフィルタの形成処理
5.他の配列のカラーフィルタ
【0028】
<1.カラーフィルタの構成>
[カラーフィルタの平面図および断面図]
図1は、本技術を適用した固体撮像装置に設けられるカラーフィルタの一実施の形態の構成を示す平面図および断面図である。図1Aは、カラーフィルタの平面図であり、図1Bは、図1Aのカラーフィルタのa1−a1'線での断面図である。なお、図1Aのカラーフィルタのa2−a2'線での断面図は、基本的には、図1Bに示されるものと同様であるので、ここでの図示は省略する。また、固体撮像装置は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであってもよいし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであってもよい。
【0029】
図1に示されるカラーフィルタ21は、複数の画素のそれぞれに対応するR,G,Bの3色の色成分のフィルタ21R,21G,21Bからなり、それぞれが格子状に配置される、いわゆるベイヤ配列をなしている。
【0030】
図1Aに示されるように、フィルタ21R,21G,21Bは、それぞれが略正方形に形成されているが、図中、破線部分Cで示されるように、フィルタ21Gは、少なくとも一部で互いに結合するように形成されている。具体的には、フィルタ21Gは、その四隅が結合するように形成されている。また、フィルタ21Gとフィルタ21R、フィルタ21Gとフィルタ21Bの境界には、光透過率を減衰させる光減衰膜22が形成されている。
【0031】
図1Bに示されるように、カラーフィルタ21(フィルタ21R,21G)は、無機膜31上に形成されている。ただし、フィルタ21Gは、無機膜31上に形成される有機膜32上に形成されている。これにより、フィルタ21R(フィルタ21B)の底面は、フィルタ21Gの底面より低く形成される。さらに、フィルタ21Gの上面には、無機膜33が形成されており、フィルタ21R(フィルタ21B)の上面と、無機膜33の上面とは面一とされるように形成されている。また、カラーフィルタ21の上面には、各フィルタ21R,21G,21B(すなわち各画素)に対応して、マイクロレンズ34が設けられている。すなわち、光減衰膜22は、マイクロレンズ34からの入射光の光透過率を減衰させる機能を備えている。
【0032】
[固体撮像装置の平面図および断面図]
図2は、上述したカラーフィルタを備える固体撮像装置の平面図および断面図を示している。
【0033】
図2Aは、固体撮像装置の外観構成を示す平面図であり、図2Bは、図2Aの固体撮像装置のb−b'線での断面図である。図2Aに示されるように、固体撮像装置40の中央には、複数の画素が行列状に配列された画素アレイが配置される領域である受光領域41が設けられている。受光領域41の上面には、図2Bに示されるように、カラーフィルタ21およびマイクロレンズ34が画素毎に設けられており、図示せぬ光学レンズからの入射光がマイクロレンズ34およびカラーフィルタ21に入射される。なお、カラーフィルタ21は、配線層や画素アレイ等を含む基板上に設けられている。また、図2Aにおいて、図中、受光領域41の上下には、金線を接続するための端子であるボンディングパッド42が配置されており、ワイヤボンディングによって、ボンディングパッド42に接続された金線と図示せぬ基板とが接続される。
【0034】
ここで、図2Bに示されるように、図示せぬ光学レンズからの入射光は、受光領域41の中心では、固体撮像装置40に対して垂直に入射されるが、受光領域41の周縁に近づくほど、その入射角度は大きくなる。
【0035】
すなわち、各画素に対応するマイクロレンズ34に入射された光が、対応するカラーフィルタ21を介してその画素を構成するフォトダイオード(PD)に入射されるようにする必要がある。そこで、一般的には、PDに対するカラーフィルタ21およびマイクロレンズ34は、対応する画素に対して、その位置を図2Aの受光領域41中に示される太矢印の向き、すなわち受光領域41の中心方向にシフトさせるようにして設計され、そのシフト量は、受光領域41の周縁ほど大きくなる。
【0036】
[固体撮像装置の受光領域に入射される入射光について]
ここで、図3を参照して、図2Bに示される固体撮像装置の破線部分Dに入射される入射光について説明する。
【0037】
図3Aは、従来の固体撮像装置における、図2Bの破線部分Dに対応する部分を示している。図3Aにおいては、上述したように、G画素に対応するマイクロレンズ34Gに入射された光が、対応するフィルタ21Gを介してそのG画素を構成するPD51に入射されるようになされている。具体的には、入射光Lの入射角度に応じて、PD51に対応するマイクロレンズ34Gおよびフィルタ21Gが、受光領域41の中心方向(図中右方向)にシフトさせるようになされている。なお、マイクロレンズ34Gおよびフィルタ21Gの上下方向の位置関係に応じて、PD51に対するマイクロレンズ34Gのシフト量(マイクロレンズシフト量)と、PD51に対するフィルタ21Gのシフト量(CFシフト量)とは、同じか、または、マイクロレンズシフト量の方が大きくなるように設計される。
【0038】
ところで、図3Aにおいて、フィルタ21Gに対応して形成されているマイクロレンズ34Gに入射される入射光Lは、図中、破線部分Hで示されるように、その一部が、フィルタ21Gに隣接するフィルタ21Rの一部を通過して、G画素に対応するPD51に入射されている。すなわち、G画素に対応するPD51に入射されるフィルタ21Gからの緑色の光に、フィルタ21Rからの赤色の光が混ざることで混色が発生し、固体撮像装置の色再現性が劣化してしまう。
【0039】
一方、図3Bは、本技術を適用した固体撮像装置40における、図2Bの破線部分Dに対応する部分を示している。
【0040】
図3Bにおいて、フィルタ21Gに対応して形成されているマイクロレンズ34Gに入射される入射光Lのうち、フィルタ21Gに隣接するフィルタ21Rの一部を通過する入射光L'は、図中、破線部分Jで示されるように、フィルタ21Gとフィルタ21Rの境界に形成された光減衰膜22によって、反射または吸収される。
【0041】
これにより、上述した混色の発生を抑えることができ、固体撮像装置の色再現性の劣化を抑制することができる。
【0042】
なお、マイクロレンズやカラーフィルタに入射される入射光の入射角度は、上述したように、受光領域における画素位置に応じて異なる上に、デジタルカメラ等の電子機器におけるF値によっても変化する。したがって、受光領域における画素位置によっては、隣接するフィルタの境界に光減衰膜を形成するだけでは十分に混色の発生を抑えることができない恐れがある。
【0043】
[光減衰膜の底面について]
ここで、図4を参照して、図3Bに示される破線部分Kに入射される入射光について説明する。
【0044】
図4Aは、隣接するフィルタの境界に光減衰膜を設けた固体撮像装置における、図3Bの破線部分Kに対応する部分を示している。
【0045】
図4Aにおいては、フィルタ21Gとフィルタ21Rとの間に光減衰膜22が形成されているが、それぞれの底面は面一とされている。この場合、図4Aに示されるように、フィルタ21Gに入射し光減衰膜22の下端を通過する入射光Lは、フィルタ21Gに隣接するフィルタ21Rに対応するR画素のPDに入射し、混色が発生してしまう。
【0046】
一方、図4Bは、本技術を適用した固体撮像装置40における、図3Bの破線部分Kに対応する部分を示している。
【0047】
図4Bにおいては、フィルタ21Gとフィルタ21Rとの間に光減衰膜22が形成され、かつ、フィルタ21Rおよび光減衰膜22の底面がフィルタ21Gの底面より低く形成されている。これにより、図4Aの構成では、フィルタ21Gに隣接するフィルタ21Rに対応するR画素のPDに入射してしまう入射光Lは、光減衰膜22によって、反射または吸収される。
【0048】
これにより、混色の発生をより一層抑えることができ、固体撮像装置の色再現性の劣化をより確実に抑制することができる。特に、赤色または青色の光に、緑色の光が混ざる混色を抑制することができるので、R画素およびB画素の2倍の数のG画素が設けられるベイヤ配列のカラーフィルタを備える固体撮像装置において、混色の影響を十分に抑えることが可能となる。
【0049】
<2.カラーフィルタの形成処理>
次に、図5乃至図7を参照して、図1のカラーフィルタ21を備える固体撮像装置の製造工程における、カラーフィルタ21の形成処理について説明する。図5は、図1のカラーフィルタ21の形成処理について説明するフローチャートであり、図6および図7は、形成工程におけるカラーフィルタ21の断面図を示している。特に、図6および図7において、左側には、図1Aのカラーフィルタのa1−a1'線での断面図が示されており、右側には、図1Aのカラーフィルタのb1−b1'線での断面図が示されている。
【0050】
まず、ステップS11において、図6Aに示されるように、無機膜31が形成される。具体的には、例えば、無機膜31として、P-SiO(プラズマシリコン酸化膜)、P-SiN(プラズマシリコン窒化膜)、P-SiON(プラズマシリコン酸窒化膜)等が形成される。
【0051】
ステップS12において、図6Bに示されるように、無機膜31上に有機膜32が形成される。具体的には、無機膜31上に、有機膜32として、例えば、アクリル系、スチレン系、エポキシ系等の樹脂が、スピンコートおよび150℃乃至250℃程度の加熱処理により形成される。なお、有機膜32の膜厚は、200nm以下が好適である。
【0052】
ステップS13において、図6Cに示されるように、有機膜32上に緑色のカラーフィルタ(CF)材料21Gが成膜される。CF材料21Gとしては、例えば、色素内添型熱硬化樹脂が用いられる。成膜は、色素内添型熱硬化樹脂をスピン塗布した後、180℃乃至220℃程度で熱硬化させて行われる。なお、ここでは、色素内添型熱硬化樹脂に代えて、色素内添型フォトレジストが用いられるようにしてもよい。色素内添型フォトレジストとして、顔料内添型光重合系ネガ系レジスト(以下、単にネガ系レジストという)が用いられた場合、ウエハ上にネガ系レジストがスピン塗布された後、プリベーキングされる。そして、光源にi線(波長365nmの水銀のスペクトル線)を用いた縮小投影型ステッパを用いて、ウエハが全面露光され、ポストベーキングされることで成膜が行われる。
【0053】
ステップS14において、図6Dに示されるように、緑色のCF材料21G上に無機膜33が形成される。具体的には、例えば、無機膜33として、P-SiO、P-SiN、P-SiON等が、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて200℃程度で形成される。ここで生成される無機膜33の屈折率は概ね、P-SiOであれば1.45程度、P-SiNであれば1.90程度、P-SiONであれば1.45乃至1.90の間で調整可能とされる。なお、図6および図7には図示されないが、マイクロレンズ34(図1B)が無機膜33上に直接形成される場合、無機膜33の屈折率は、マイクロレンズ34の屈折率と同じか、または、それより低く調整されて形成されるものとする。これにより、界面反射の低減を図ることが可能となる。
【0054】
また、プラズマCVD法による成膜温度は、250℃以下とされ、200℃以下が好適である。無機膜33の膜厚は、200nm程度以下とされ、100nm程度が好適である。
【0055】
ステップS15において、図6Eに示されるように、無機膜33上の緑色のCF(フィルタ21G)に対応する領域にフォトレジスト61が形成される。フォトレジスト61の材料としては、感光剤にナフトキノンジアジドを用いたノボラック系ポジ型レジスト(以下、単にポジ型レジストという)が用いられる。成膜は、まず、ポジ型レジストがスピン塗布された後、プリベーキングされ、光源にi線(波長365nmの水銀のスペクトル線)を用いた縮小投影型ステッパを用いてパターン露光され、露光後のポストベーキングが行われる。次に、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)2.38%水溶液によるパドル現像が行われ、ポストベーキングされることで成膜が行われる。TMAH2.38%水溶液に界面活性剤を添加した現像液を用いるようにしてもよい。
【0056】
ステップS16において、フォトレジスト61をマスクとしてドライエッチング処理が施される。エッチング装置としては、マイクロ波プラズマ型エッチング装置、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置、高圧狭ギャップ型プラズマエッチング装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance)型エッチング装置、変成器結合プラズマ型エッチング装置、誘導結合プラズマ型エッチング装置等が用いられる。また、エッチング装置として、ヘリコン波プラズマ型エッチング装置や、その他の高密度プラズマ型エッチング装置が用いられるようにしてもよい。エッチング装置として、例えば、誘導結合プラズマ型エッチング装置を用いるようにした場合、エッチングガスとしては、CF4,C2F6,C3F8,C4F8,CH2F2,CHF3等のフロン系ガスのいずれか1種類または複数種類を用いたり、これらフロン系ガスに、O2,Ar,He,N2等のガスを添加したものを用いてもよい。さらに、エッチングガスとして、Cl2,
BCl3,HBr等のハロゲン系ガスに、O2,N2等のガスを添加したものを用いてもよい。
【0057】
この結果、図6Fに示されるように、フォトレジスト61が形成された領域以外の領域、すなわち、フィルタ21Gが形成される領域以外の領域において、無機膜33、CF材料21G、および有機膜32がドライエッチングされる。なお、ここでのドライエッチングは、無機膜31が露出した際に発生するプラズマの発光スペクトルを検知することで、ドライエッチングの終点が検出される。この終点検出を精度よく行うことで、オーバーエッチング量を調整することができ、例えば、図6Fにおける破線部分fを拡大した図8Aに示されるように、エッチングの深さを無機膜31の表面としたり、同じく図8Bに示されるように、エッチングの深さを無機膜31の途中とすることが可能となる。
【0058】
また、フォトレジスト61の膜厚t(図6E)は、ドライエッチング完了時に、その残膜が無くなるような膜厚としてもよいし、その残膜が残るような膜厚としてもよい。ドライエッチング完了時に、フォトレジスト61の残膜が残るようにした場合、その残膜は、有機溶剤を用いて除去される。有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、およびメチル−3−メトキシプロピオネート等の溶剤、または、これら2以上の混合溶剤等が用いられる。また、フォトレジスト61の残膜除去の方法としては、例えば、基板を回転させその上から上述の有機溶剤を滴下し、遠心力で均一な膜を作るスピンオン法や、基板を上述の有機溶剤に漬け引き上げて膜を作るディップ法等が用いられる。
【0059】
ここまでの処理により、フィルタ21G上に無機膜33が形成され、フィルタ21Gの四隅が結合され、フィルタ21R,21Bが形成される領域に開口部が設けられた、市松模様状の緑色CFのパターンが形成される。
【0060】
ステップS17において、図7Aに示されるように、市松模様状の緑色CFのパターンに光減衰膜22が形成される。光減衰膜22は、金属膜よりなり、その材料としては、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)、Cr(クロム)、Co(コバルト)等の遷移金属が用いられる。この場合、光減衰膜22は、光を反射する光反射膜として機能する。なお、光減衰膜22の材料として、加工性の観点ではWが好ましく、光反射性の観点ではAlが好ましい。金属膜としての光減衰膜22の成膜には、例えばスパッタ法が用いられ、基板温度が100℃以下となるように基板ステージ温度が調整される。また、光減衰膜22の膜厚は、100nm以下が好適である。
【0061】
ステップS18において、上述したステップS16における処理と同様にして、光減衰膜22が形成された緑色CFのパターンに対して、全面ドライエッチング処理が施される。
【0062】
ここまでの処理により、図7Bに示されるように、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンにおいて、フィルタ21R,21Bが形成される領域に開口部の側面(壁面)に光減衰膜22が形成される。
【0063】
ステップS19において、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンの全面に、赤色のCF材料21Rがスピンコートで塗布される。赤色のCF材料21Rとしては、ネガ型またはポジ型の色素内添型フォトレジスト材料が用いられる。この色素内添型フォトレジスト材料の組成には、感光性成分としてバインダー樹脂、光ラジカル発生剤、モノマー等が含まれる他、顔料色素が含まれている。ここでは、光を照射した部分が硬化するネガ型の色素内添型フォトレジスト材料が用いられるものとする。
【0064】
フィルタ21Rは、フィルタ21Rが形成される領域にのみ、光を透過する光学マスクを形成し、赤色のCF材料21Rに対して露光し、現像することで形成される。このとき、光学マスクの合わせずれを考慮して、開口部の面積(フィルタ21Rが形成される領域)より広い領域が露光される。したがって、フィルタ21Rは、その一部がフィルタ21G上の無機膜33にオーバーラップして形成される。
【0065】
この処理により、図7Cの左側に示されるように、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンの、フィルタ21Rが形成される領域の開口部に、赤色のCF材料21Rが埋め込まれる。
【0066】
ステップS20において、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンの全面に、青色のCF材料21Bがスピンコートで塗布される。青色のCF材料21Bとしても、ネガ型またはポジ型の色素内添型フォトレジスト材料が用いられる。この色素内添型フォトレジスト材料の組成には、感光性成分としてバインダー樹脂、光ラジカル発生剤、モノマー等が含まれる他、顔料色素が含まれている。ここでは、光を照射した部分が硬化するネガ型の色素内添型フォトレジスト材料が用いられるものとする。
【0067】
フィルタ21Bは、フィルタ21Bが形成される領域にのみ、光を透過する光学マスクを形成し、青色のCF材料21Bに対して露光し、現像することで形成される。このとき、光学マスクの合わせずれを考慮して、開口部の面積(フィルタ21Bが形成される領域)より広い領域が露光される。したがって、フィルタ21Bは、その一部がフィルタ21G上の無機膜33にオーバーラップして形成される。
【0068】
この処理により、図7Dの右側に示されるように、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンの、フィルタ21Bが形成される領域の開口部に、青色のCF材料21Bが埋め込まれる。
【0069】
ステップS21において、図7Eに示されるように、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンの開口部に埋め込まれた赤色のCF材料21Rおよび青色のCF材料21Bに対して平坦化処理が施される。具体的には、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)により、赤色のCF材料21Rおよび青色のCF材料21Bが平坦化される。ここでのCMPにおいては、スラリー液のpHは7乃至14、スラリー砥粒径は100nm以下、スラリー砥粒濃度は5wt%以下とされる。また、研磨パッドには、例えば、連続発泡のウレタン樹脂等が用いられ、その研磨圧力は5psi以下、研磨ヘッドおよび研磨パッドの回転数は150rpm以下とされる。なお、これらの値は、平坦化処理が最適化されるように適宜調整されるものとする。また、ここでのCMPにおいては、フィルタ21G上の無機膜33がストッパとしての役割を担う。
【0070】
なお、赤色のCF材料21Rおよび青色のCF材料21Bの平坦化処理として、CMPを行うようにしたが、ステップS16やステップS18において施したドライエッチングを行うようにしてもよい。
【0071】
以上の処理によれば、フィルタ21Gと、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bとの境界に光減衰膜が形成され、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bと光減衰膜22の底面が、フィルタ21Gの底面より低く形成されるようになるので、混色の発生を抑えることができ、固体撮像装置の色再現性の劣化を抑制することができる。
【0072】
特に、光減衰膜22は、フィルタ21Gの四隅が結合されたCFのパターンにおいて、フィルタ21R,21Bが形成される領域に開口部の側面(壁面)に自己整合的に形成される。したがって、遮光体を形成した後、各CF材料を充填するといった従来の技術と比較して、よりよい加工精度で、固体撮像装置の色再現性の劣化を抑制することができるようになる。
【0073】
また、固体撮像装置における画素の微細化に伴い、パターニング特性は低下する傾向にあるが、このような場合、CF材料に含まれる感光性成分を増加させることでパターニング特性を調整することが行われていた。
【0074】
一方、本技術によれば、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bと光減衰膜22の底面が、フィルタ21Gの底面より低く形成されるので、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bについて所望の分光特性が得られるように、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bの膜厚を厚くすることができる。結果として、感光性成分を増加させることなく、よりよいパターニング特性を得ることが可能となり、色再現性や感度特性の劣化を抑制することができる。
【0075】
また、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bの膜厚を厚くしても、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bについて所望の分光特性が得られず、色濃度を下げる必要がある場合には、赤色または青色のCF材料中の色素の割合を少なく(すなわち、感光性成分を多く)調整することで、よりよいパターニング特性を得ることができる。この場合、赤色または青色のCF材料中の色素の割合を少なくできるので、コストを抑えることもできるようになる。
【0076】
[光減衰膜の他の構成]
なお、以上においては、光減衰膜は、金属膜より構成されるものとして説明したが、光吸収材を含む有機膜(有機系熱硬化膜)より構成されるようにしてもよい。有機系熱硬化膜の材料としては、例えば、アクリル系、スチレン系、エポキシ系、シロキサン系ポリイミド系の樹脂、または、これらの共重合系樹脂等の中に、光吸収材としての、カーボンブラック、チタンブラック、鉄ブラック等が含まれたものが用いられる。
【0077】
光減衰膜が、光吸収材を含む有機膜よりなる場合、図5のフローチャートのステップS17においては、図9Aに示されるように、市松模様状の緑色CFのパターンに、光減衰膜71が形成される。光吸収材を含む有機系熱硬化膜としての光減衰膜71は、スピンコートおよび150℃乃至250℃程度の加熱処理により形成される。
【0078】
また、ステップS18においては、ステップS16における処理と同様にして、光減衰膜22が形成された緑色CFのパターンに対して、全面ドライエッチング処理が施される。これにより、図9Bに示されるように、フィルタ21Gの四隅が結合された緑色CFのパターンにおいて、フィルタ21R,21Bが形成される領域に開口部の側面(壁面)に光減衰膜71が形成される。なお、この場合、光減衰膜71は、光を吸収する光吸収膜として機能する。
【0079】
以上のような構成においても、図1のカラーフィルタ21と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
<3.カラーフィルタの他の構成>
図10は、本技術を適用した、固体撮像装置に設けられるカラーフィルタの他の実施の形態の構成を示す断面図である。図10Aは、図1Aのa1−a1'線での断面図に対応するカラーフィルタの断面図であり、図10Bは、図10Aの破線部分Qの拡大図である。
【0081】
なお、図10の断面図において、図1Bの断面図と同様の構成については、同一名称および同一符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
【0082】
図10に示されるように、カラーフィルタ21(フィルタ21R,21G)は、無機膜31上に形成される有機膜131上に形成されている。ただし、フィルタ21Gは、有機膜131上に形成される、無機膜132上の有機膜133上に形成されている。これにより、フィルタ21R(フィルタ21B)の底面は、フィルタ21Gの底面より低く形成される。
【0083】
このように、図10のカラーフィルタ21は、フィルタ21G、フィルタ21R,21Gのいずれの下側にも有機膜が形成される構成をとる。
【0084】
<4.カラーフィルタの形成処理>
次に、図11乃至図13を参照して、図10のカラーフィルタ21を備える固体撮像装置の製造工程における、カラーフィルタ21の形成処理について説明する。図11は、図10のカラーフィルタ21の形成処理について説明するフローチャートであり、図12および図13は、形成工程におけるカラーフィルタ21の断面図を示している。特に、図12および図13において、左側には、図1Aのa1−a1'線での断面図に対応する図10のカラーフィルタの断面図が示されており、右側には、図1Aのカラーフィルタのb1−b1'線での断面図に対応する図10のカラーフィルタの断面図が示されている。
【0085】
なお、図11のフローチャートのステップS111,S116,S117,S119乃至S123の処理は、図5のフローチャートのステップS11,S14,S15,S17乃至S21の処理とそれぞれ同様であるので、その説明は省略する。
【0086】
すなわち、ステップS112において、無機膜31上に有機膜131が形成される。具体的には、無機膜31上に、有機膜131として、例えば、アクリル系、スチレン系、エポキシ系等の樹脂が、スピンコートおよび150℃乃至250℃程度の加熱処理により形成される。なお、有機膜131の膜厚は、200nm以下が好適である。
【0087】
ステップS113において、有機膜131上に無機膜132が形成される。具体的には、例えば、無機膜132として、P-SiO、P-SiN、P-SiON等が形成される。なお、無機膜132の膜厚は、200nm以下が好適である。
【0088】
ステップS114において、無機膜132上に有機膜133が形成される。具体的には、無機膜132上に、有機膜133として、例えば、アクリル系、スチレン系、エポキシ系等の樹脂が、スピンコートおよび150℃乃至250℃程度の加熱処理により形成される。なお、有機膜133の膜厚は、200nm以下が好適である。
【0089】
このようにして、図12Bに示されるように、無機膜31上に有機膜131が形成され、有機膜131上に無機膜132が形成され、さらに、無機膜132上に有機膜133が形成されるようになる。なお、有機膜131および有機膜133がアクリル系の樹脂である場合、無機膜132として、P-SiOを用いることで、無機膜132の屈折率を、有機膜131および有機膜133の屈折率(1.5程度)と略同じとすることができ、界面反射の低減を図ることが可能となる。
【0090】
そして、ステップS115においては、図12Cに示されるように、有機膜133上に緑色のCF材料21Gが成膜される。成膜の詳細については、図5のフローチャートのステップS13と同様であるので、その説明は省略する。
【0091】
また、ステップS118においては、図5のフローチャートのステップS16と同様にして、フォトレジスト61をマスクとしてドライエッチング処理が施される。
【0092】
この結果、図12Fに示されるように、フォトレジスト61が形成された領域以外の領域、すなわち、フィルタ21Gが形成される領域以外の領域において、無機膜33、CF材料21G、有機膜133、無機膜132、および有機膜131がドライエッチングされる。なお、ここでのドライエッチングは、無機膜132により、ドライエッチングの終点が検出される。具体的には、無機膜132が露出した際に発生するプラズマの発光スペクトルと、有機膜131が露出した際に発生するプラズマの発光スペクトルの変化を検知することでエッチング量が調整され、エッチングの深さを有機膜131の途中とすることが可能となる。
【0093】
これにより、図13C,D,Eに示されるように、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bは、有機膜131上に形成されるようになる。
【0094】
図11のフローチャートで示されるカラーフィルタ形成処理においても、図5のフローチャートで示されるカラーフィルタ形成処理と同様の作用効果を奏することができる。
【0095】
なお、図5のフローチャートで示されるカラーフィルタ形成処理では、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bは、無機膜31上に形成されるが、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bを構成する色素内添型フォトレジストの材料によっては、無機膜31との密着性が低くなる場合がある。
【0096】
そこで、図11のフローチャートで示されるカラーフィルタ形成処理では、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bが有機膜131上に形成されることにより、フィルタ21Rおよびフィルタ21Bと、有機膜131との密着性を高めることが可能となる。
【0097】
<5.他の配列のカラーフィルタ>
以上においては、複数の画素のそれぞれに対応するR,G,Bの3色の色成分のフィルタがベイヤ配列をなすカラーフィルタに、本技術を適用した例について説明してきたが、他の配列のカラーフィルタに、本技術を適用するようにしてもよい。
【0098】
例えば、図14に示されるように、格子状に形成された緑色のフィルタ221Gと、格子の目の領域に形成された赤色のフィルタ221Rおよび青色のフィルタ221Bとからなるカラーフィルタに、本技術を適用するようにしてもよい。図14のカラーフィルタにおいても、緑色のフィルタ221Gが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合されている。
【0099】
また、図15に示されるように、ベイヤ配列をなすカラーフィルタにおけるGのフィルタを、ホワイト画素に対応する、可視光域を全て透過するフィルタ321Wとし、R,Bのフィルタを、黒画素に対応するフィルタ321BLとした、白黒画像を得るフィルタに、本技術を適用するようにしてもよい。
【0100】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0101】
さらに、本技術は以下のような構成をとることができる。
(1) 格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜と
を備え、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、
前記他の色成分のフィルタおよび前記光減衰膜の底面は、前記所定の色成分のフィルタの底面より低い
カラーフィルタであって、
無機膜上に形成された有機膜上に、前記所定の色成分のフィルタの材料が成膜され、
前記所定の色成分のフィルタの材料に対して、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域にフォトレジストを形成してエッチング処理が施され、
エッチング処理が施された前記所定の色成分のフィルタに、前記光減衰膜が形成され、
前記光減衰膜が形成された前記所定の色成分のフィルタに対して、エッチング処理が施され、
前記他の色成分のフィルタの材料が塗布されて形成された
カラーフィルタ
を備える固体撮像装置。
(2) 前記所定の色成分のフィルタの材料は、第1の無機膜上に形成される第1有機膜上の、第2の無機膜上に形成される第2有機膜上に成膜されて形成される
前記カラーフィルタを備える
(1)に記載の固体撮像装置。
(3) 前記所定の色成分のフィルタ上に、他の無機膜が形成され、
前記他の無機膜の上面と、前記他の色成分のフィルタの上面とは面一とされる
前記カラーフィルタを備える
(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(4) 前記カラーフィルタの上面にマイクロレンズを備え、
前記他の無機膜の屈折率は、前記マイクロレンズの屈折率と同じか、またはそれより低い
(1)乃至(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(5) 前記光減衰膜は、金属膜よりなる
前記カラーフィルタを備える
(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6) 前記光減衰膜は、光吸収材を含む有機膜よりなる
前記カラーフィルタを備える
(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(7) 前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタは、ベイヤ配列をなす
前記カラーフィルタを備える
(1)乃至(6)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(8) 格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜と
を備え、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、
前記他の色成分のフィルタおよび前記光減衰膜の底面は、前記所定の色成分のフィルタの底面より低い
カラーフィルタを備える固体撮像装置の製造方法であって、
無機膜上に形成された有機膜上に、前記所定の色成分のフィルタの材料を成膜し、
前記所定の色成分のフィルタの材料に対して、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域にフォトレジストを形成してエッチング処理を施し、
エッチング処理が施された前記所定の色成分のフィルタに、前記光減衰膜を形成し、
前記光減衰膜が形成された前記所定の色成分のフィルタに対して、エッチング処理を施し、
前記他の色成分のフィルタの材料を塗布する
ステップを含む固体撮像装置の製造方法。
【符号の説明】
【0102】
21 カラーフィルタ, 21R,21G,21B フィルタ, 22 光減衰膜, 31 無機膜, 32 有機膜, 33 無機膜, 34 マイクロレンズ, 131 有機膜, 132 無機膜, 133 有機膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜と
を備え、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、
前記他の色成分のフィルタおよび前記光減衰膜の底面は、前記所定の色成分のフィルタの底面より低い
カラーフィルタ
を備える固体撮像装置。
【請求項2】
無機膜上に形成された有機膜上に、前記所定の色成分のフィルタの材料が成膜され、
前記所定の色成分のフィルタの材料に対して、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域にフォトレジストを形成してエッチング処理が施され、
エッチング処理が施された前記所定の色成分のフィルタに、前記光減衰膜が形成され、
前記光減衰膜が形成された前記所定の色成分のフィルタに対して、エッチング処理が施され、
前記他の色成分のフィルタの材料が塗布されて形成された
前記カラーフィルタを備える
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記所定の色成分のフィルタの材料は、第1の無機膜上に形成される第1有機膜上の、第2の無機膜上に形成される第2有機膜上に成膜されて形成される
前記カラーフィルタを備える
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記所定の色成分のフィルタ上に、他の無機膜が形成され、
前記他の無機膜の上面と、前記他の色成分のフィルタの上面とは面一とされる
前記カラーフィルタを備える
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記カラーフィルタの上面にマイクロレンズを備え、
前記他の無機膜の屈折率は、前記マイクロレンズの屈折率と同じか、またはそれより低い
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記光減衰膜は、金属膜よりなる
前記カラーフィルタを備える
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記光減衰膜は、光吸収材を含む有機膜よりなる
前記カラーフィルタを備える
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタは、ベイヤ配列をなす
前記カラーフィルタを備える
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
格子状に形成される、複数の画素のうちの所定の画素に対応した所定の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域以外の領域に形成される、他の画素に対応した他の色成分のフィルタと、
前記所定の色成分のフィルタと前記他の色成分のフィルタとの境界に、光透過率を減衰させる光減衰膜と
を備え、
前記所定の色成分のフィルタが形成される領域は、少なくとも一部で互いに結合し、
前記他の色成分のフィルタおよび前記光減衰膜の底面は、前記所定の色成分のフィルタの底面より低い
カラーフィルタを備える固体撮像装置の製造方法であって、
無機膜上に形成された有機膜上に、前記所定の色成分のフィルタの材料を成膜し、
前記所定の色成分のフィルタの材料に対して、前記所定の色成分のフィルタが形成される領域にフォトレジストを形成してエッチング処理を施し、
エッチング処理が施された前記所定の色成分のフィルタに、前記光減衰膜を形成し、
前記光減衰膜が形成された前記所定の色成分のフィルタに対して、エッチング処理を施し、
前記他の色成分のフィルタの材料を塗布する
ステップを含む固体撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−115334(P2013−115334A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262101(P2011−262101)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】