説明

固体撮像装置およびその製造方法

【課題】 カメラ一体型ビデオ等に搭載される固体撮像装置において、斜め方向から入射した光の一部が光電変換素子に入射せず、光利用効率の低下を招き、また迷光となって他の光電変換素子へ入射し、固体撮像装置の解像度を低下させるという課題を解決し、光の入射角度に影響されず、均一で高い集光率を得ることができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】 シリコン基板11の表面に設けられた光電変換素子12の上面に第1の平坦化膜16と、カラーフィルタ層17と、第2の平坦化膜18と、凸状レンズまたはレンチキュラレンズのマイクロレンズ19とが順次形成されており、その光学ブロック21の周囲に溝20が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基板上にマトリックス状に配置された複数の光電変換素子を備えた固体撮像装置に関し、特に光電変換素子の上面に集光手段を形成することにより光電変換素子に有効的に光を入射させることができる固体撮像装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ一体型ビデオに代表されるように固体撮像装置を内蔵するカメラが民生分野をはじめ、監視用、放送用、医療用またはテレビ会議、テレビ電話等のマルチメディアの分野においても広く採用されてきており、その忠実な色彩の再現性や微細なディテールの表現など高画質に関する要求からカメラの小型化、高性能化が強く要望されている。このことから固体撮像装置に対してチップサイズの小型化、画素数の増大およびS/Nの向上が要求されるようになってきた。特にS/Nに対しては光電変換素子の感度を向上させることと並行して光電変換素子への入射光を増大させるために光電変換素子上に直接集光用の光学レンズを形成することが行われている。
【0003】図8、図9は従来の固体撮像装置の、特に撮像中心に対しての周辺部の構成を拡大して示したものである。図において1はシリコン基板であり、その上面に光電変換素子2が形成されている。光電変換素子2が隣り合う間隙にはポリシリコン電極3が絶縁層4を介して形成されており、さらにその上面には同じく絶縁層4を介して遮光膜5が形成されている。また光電変換素子2およびポリシリコン電極3の領域は表面が凹凸状となっており、その表面を平滑化するため第1の平坦化膜6が塗布されている。つぎにその第1の平坦化膜6の上面にカラーフィルタ7および第2の平坦化膜8が形成され、さらにその上面にマイクロレンズ9が設けられており、入射光a,b,c等を光電変換素子2へ集光する構成となっている。
【0004】図8は固体撮像装置の周辺部を示しているために、入射光a,b,cは図に示すように斜め方向から入射しており、したがってマイクロレンズ9により屈折された光arは遮光膜5部分で反射し、辛うじて光電変換素子2へ入射しているが、同じく遮光膜5部分で反射した光brおよび光crは光電変換素子2には入射せず、外部へ向けて反射すると同時にカラーフィルタ7の界面や第2の平坦化膜8の界面等で複雑に反射されて他の光電変換素子へ迷光となって入射し、隣接画素間で混色を起こす原因となっている。このような課題を解決するために従来は下記のような手段を用いて固体撮像装置の周辺部における入射効率の改善を図ってきた。
(1)マイクロレンズのピッチを中央部から周辺部にかけて段階的に変化させることによって光電変換素子とマイクロレンズとの中心軸をずらす。
(2)固体撮像装置の中央部から周辺部にかけてそれぞれの光電変換素子に対応するマイクロレンズの曲率を段階的に変化させる。
(3)マイクロレンズと光電変換素子との距離を小さくする。
【0005】図9は上記の課題を解決するために考えられた一つの構成を示すものであり、マイクロレンズのピッチを段階的に変化させて固体撮像装置の周辺部にある光電変換素子2の上面に位置するマイクロレンズ9の中心軸RCを光電変換素子2の中心軸PCよりずらすことにより、斜め方向よりの入射光a,b,cがマイクロレンズ9により屈折された光ar,br,crを効率よく光電変換素子上に集光するように構成したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のようなマイクロレンズの位置をずらす方法は煩雑なマイクロレンズ・パラメータ最適化設計が必要となり、コスト上昇の原因となり、また、カメラレンズの全ての使用条件下(F値、射出瞳位置)に最適な解は原理的に不可能である。入射光の複雑な反射によって生じた迷光に起因する隣接画素間の混色を完全に解決するには至っていない。
【0007】本発明は上記課題を解決するものであり、光の入射角度に影響されず、均一で高い集光率を得ることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、基板主面上にマトリックス状に配置した複数の光電変換素子の上に形成された平坦化膜の上方に位置する集光手段の少なくとも対向する2辺の列に平行に、その集光手段の隣接領域内に溝を形成することにより、1画素列ごとに、または1画素ごとに集光手段であるマイクロレンズを含む光学ブロックを構成し、マイクロレンズに入射した光をその光学ブロック内で多重反射させて光の利用効率を高めるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、半導体基板主面にマトリックス状に複数の光電変換素子が配置され、その半導体基板上に光電変換素子に対応して樹脂膜を介して集光手段が形成された固体撮像装置であって、集光手段の少なくとも対向する2辺の列の隣接領域内に溝が形成されている構成をとることにより、溝を構成する2面または4面の壁面においてマイクロレンズにより屈折入射された光を反射させ、入射光を無駄なく光電変換素子に取り込み光の利用効率を高めることができる。
【0010】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の固体撮像装置において、集光手段をレンチキュラレンズとしたものであり、比較的簡単な製造工程により請求項1に記載の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0011】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1記載の固体撮像装置において、集光手段を凸状の光学レンズとしたものであり、光電変換素子の上面に位置する光学ブロックの4面が反射面を形成しているために入射光の極めて高い利用効率を得ることができる。
【0012】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1記載の固体撮像装置において、溝を構成する壁面に金属薄膜を形成したものであり、集光手段を透過した光が金属薄膜によって鏡面化した溝の壁面で全反射するため、光の利用効率を大きく向上することができる。
【0013】本発明の請求項5に記載の発明は、光電変換素子がマトリックス状に配置形成された基板の主面上に平坦化膜を形成する工程と、平坦化膜の上面に透明樹脂層を形成する工程と、透明樹脂層の上面に感光性樹脂層を形成したのち、感光性樹脂層を選択的に露光して光電変換素子に対応する領域に溝状のパターンを形成する工程と、感光性樹脂層をマスクとして透明樹脂層、平坦化膜をエッチングにより深さ方向に選択的に除去して溝を形成する工程と、透明樹脂層を加熱して軟化させ、表面を凸状に成形した集光手段を形成する工程とを有する固体撮像装置の製造方法であり、固体撮像装置の全域に亘って均一でかつノイズの少ない画像が得られる固体撮像装置を提供することができる。
【0014】本発明の請求項6に記載の発明は、光電変換素子がマトリックス状に配置形成された基板の主面上に平坦化膜を形成する工程と、平坦化膜の上面に透明樹脂層を形成する工程と、透明樹脂層に溝を形成したのちに透明樹脂層を加熱し軟化させて凸状に成形した集光手段を形成する工程と、集光手段をマスクとして平坦化膜を溝の深さ方向にエッチング除去する工程とを有する固体撮像装置の製造方法であり、請求項4に記載の実施の形態と同様に固体撮像装置の全域に亘って均一でかつノイズの少ない画像が得られる固体撮像装置を提供することができる。
【0015】本発明の請求項7に記載の発明は、光電変換素子がマトリックス状に配置形成された基板の主面上に平坦化膜を形成する工程と、平坦化膜の上面に透明樹脂層を形成する工程と、透明樹脂層に溝を形成したのちに透明樹脂層を加熱し軟化させて凸状に成形した集光手段を形成する工程と、集光手段の表面に選択的に感光性樹脂パターンを形成する工程と、感光性樹脂パターンをマスクとして平坦化膜を溝の深さ方向にエッチング除去したのち感光性樹脂パターンを除去する工程とを有する固体撮像装置の製造方法であり、請求項4に記載の実施の形態と同様に固体撮像装置の全域に亘って均一でかつノイズの少ない画像が得られる固体撮像装置を提供することができる。
【0016】本発明の請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法に関し、平坦化膜を形成する工程が、第1の平坦化膜を形成した後、その上面にカラーフィルタ層を挟んで第2の平坦化膜を形成する2つの工程よりなるものであり、色純度に優れたカラー映像を撮像する固体撮像装置を提供できる。
【0017】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法に関し、溝状のパターンを光学変換素子に対応して平行線状に形成し、透明樹脂層、平坦化膜を深さ方向に選択的に除去して形成された溝を集光手段の隣接領域に平行線状に形成したものであり、集光手段をレンチキュラレンズとして形成でき、集光効率に優れた固体撮像装置を比較的安価に提供することができる。
【0018】本発明の請求項10に記載の発明は、請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法に関し、溝状のパターンを光学変換素子に対応して碁盤目状に形成し、透明樹脂層、平坦化膜を深さ方向に選択的に除去して形成された溝を集光手段の隣接領域に碁盤目状に形成したものであり、集光手段を独立した凸状のレンズとして形成でき、レンズより入射した光を光学ブロックを構成する4面の壁面で反射することができるため、ノイズ光を遮断することにより集光効率および解像度に優れた固体撮像装置を製造することができる。
【0019】本発明の請求項11に記載の発明は、請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法に関し、溝を形成する工程をドライエッチング法を用いて行うものであり、極めて高い加工精度を有する製造方法を提供することができる。
【0020】本発明の請求項12に記載の発明は、請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法に関し、溝を形成する工程のあとに、その溝を構成する内壁面に金属薄膜を形成する工程を付加するものであり、光の利用効率を大きく向上することができる固体撮像装置を製造することができる。
【0021】つぎに本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の第1の実施の形態における固体撮像装置の一部分の構造を示すものである。固体撮像装置の基本的な構成部分は従来と同様であり、図1において11は光電変換素子12が形成されたシリコン基板、13は絶縁層14を介して設けられたポリシリコン電極でその上面には遮光層15が形成されている。図に見られるようにシリコン基板11の表面はポリシリコン電極13の形成によって凹凸を生じているためにその表面を平滑化するため第1の平坦化膜16が設けられている。17はカラーフィルタ層であり、このカラーフィルタ層17は赤、緑、青でそれぞれその厚さが異なるためその上面にはさらに第2の平坦化膜18が設けられている。19は撮影レンズ(図示せず)より入射した光を光電変換素子12の面に集光するためのマイクロレンズである。20は本発明の特徴とする溝であってマイクロレンズ19が互いに隣接する境界部に設けられており、したがって溝20を設けることによって生じた第1および第2の平坦化膜16,18、カラーフィルタ17およびマイクロレンズ19より構成される光学ブロック21には壁面22が形成されている。
【0022】なお、この壁面22の全面に亘って蒸着やスパッタリング等の手段により金属薄膜を形成することも可能であり、この場合マイクロレンズ19を透過した光は鏡面を呈する金属薄膜によって全反射されるため、入射光の利用効率をさらに高めることができる。
【0023】図2は図1に示す固体撮像装置の構成を示す一部のイメージ斜視図であり、碁盤目状に溝20が形成されているために壁面22は独立したマイクロレンズを含む光学ブロック21の4面に形成されている。
【0024】(実施の形態2)図3は本発明の第2の実施の形態における固体撮像装置の一部イメージ斜視図であり、断面は図1と同様である。図3から明らかなように、本実施の形態における固体撮像装置を構成するマイクロレンズ23はレンチキュラレンズを構成しているために溝24はマイクロレンズ23が対向する2辺に平行に設けられており、したがって壁面25は光学ブロック26の2面に形成されている。
【0025】つぎに図1を用いて本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態における光電変換素子に入射する光の状態について説明する。
【0026】図1に示すように、斜め方向から入射した光a,b,cはそれぞれマイクロレンズ19によって屈折され、光aの場合は遮光膜15上の絶縁層14で反射し、光bは同じく絶縁層14で反射されて本発明の特徴的構造である溝20によって形成された光学ブロック21の内壁面23で反射したのちマイクロレンズ19および光学ブロック21の他の内壁面23で反射し、また光cは光学ブロック21の内壁面23で反射し、それぞれ光ar,br,crとなって光電変換素子12へ入射される。溝20の内部は空気で満たされており、十分な反射率を得ることができるが、溝20によって生じた光学ブロック21の外壁面22に蒸着またはスパッタリング等によりクロムまたはアルミニウム等の金属薄膜を設けることによりさらに反射光率を向上することができる。
【0027】なお、レンチキュラレンズを有する第2の実施の形態の場合、光学ブロックの内壁面は2面であるが、凸状レンズを有する第1の実施の形態の場合はその内壁面が4面であり、光電変換素子に対して優れた集光率を得ることが可能である。さらにマイクロレンズ19へ入射した光は光学ブロック21から外部へ出ることがないため、迷光を発生することもなくノイズも防止することができる。
【0028】(実施の形態3)つぎに本発明の第3の実施の形態である固体撮像装置の製造方法について図4(a)〜(d)および図5(a),(b)を用いて説明する。
【0029】図4(a)に示すように、複数の光電変換素子32が形成されたシリコン基板31の光電変換素子32の隣接領域にポリシリコン電極よりなる複数の配線33が形成される。つぎに図4(b)に示すように、光電変換素子32の面と配線33との面を平坦化するために第1の平坦化膜34を形成し、その上面に赤、緑、青よりなるカラーフィルタ層35および異なる厚さを有するカラーフィルタ層35の面を平坦化するための第2の平坦化膜36を形成する。つぎに図4(c)に示すようにこの第2の平坦化膜36の上面にレンズを形成するための透明樹脂層37を塗布し、さらに、図4(d)のように、必要とする凸状レンズまたはレンチキュラレンズを形成するためのレジストパターン38を透明樹脂層37の上面に形成する。つぎにこのレジストパターン38をマスクとして透明樹脂層37、第2の平坦化膜36、カラーフィルタ層35、第1の平坦化膜34を図5(a)に示すようにドライエッチングして溝39を形成すると同時にそれぞれ光電変換素子32に対応したマイクロレンズ原型40を形成する。図5(a)はこのドライエッチング工程において、溝39を配線33の表面までエッチングすることによって形成した例について示しているが、溝39の底面を第1の平坦化膜34の表面またはそれよりも上面に設けることも可能である。つぎに図5(b)に示すように、加熱処理によってマイクロレンズ原型40を溶融することにより、凸状レンズまたはレンチキュラレンズよりなるマイクロレンズ41が形成されて外壁面42によって囲まれた光学ブロック43が得られる。
【0030】なお、図示していないがこの工程の後、溝39を取り囲む光学ブロック43の外壁面42上にクロム、アルミニウム等の金属薄膜を蒸着またはスパッタリングにより形成して光学ブロック43の外壁面42を鏡面化することにより、さらに光の利用効率を高め、また光学ブロックより外へ光が散乱することを防止できるため、隣接画素間の混色をより効果的に回避できる固体撮像装置を製造することができる。
【0031】溝39の形成によって生じた光学ブロック43の外壁面42への金属薄膜の形成は、図5(a)に示すドライエッチングによる溝39の形成後、クロムまたはアルミニウムをスパッタリングして全面に被覆させた後、マイクロレンズ原型40の表面の金属薄膜を研磨により除去して光学ブロック43の外壁面42のみに金属薄膜を形成することも可能であり、また全面に金属薄膜を形成した後、溝39内にエッチングレジストを充填して化学エッチングによりマイクロレンズ原型40の表面に付着した金属薄膜を除去したのち、溝39内のエッチングレジストを溶解除去することによって形成することも可能である。
【0032】(実施の形態4)つぎに本発明の第4の実施の形態における固体撮像装置の製造方法について図6(a)〜(c)を用いて説明する。本実施の形態における前半工程は上記第3の実施の形態における製造工程の前半、すなわち図4(a)〜(d)に示す工程と同様であり説明を省略し、後半工程について説明する。図6(a)は、第2の平坦化膜36上にマイクロレンズ原型40を形成したところである。その後、図6(b)のように加熱処理によってマイクロレンズ原型40を溶融して凸状レンズまたはレンチキュラレンズよりなるマイクロレンズ41を形成する。つぎに図6(c)に示すように加熱処理によってエッチング耐性が高くなったマイクロレンズ41をエッチングレジストとして第2の平坦化膜36、カラーフィルタ層35、第1の平坦化膜34をドライエッチングして溝39を形成すると同時にそれぞれ光電変換素子32に対応した光学ブロック43を形成する。本実施の形態においても光学ブロック43の外壁面42上に金属薄膜を設けて鏡面化できることは第3の実施の形態の場合と同様である。
【0033】また図6(c)に示すエッチング工程において溝39の底面を第1の平坦化膜34の表面またはそれよりも上面に設けることも可能である。
【0034】(実施の形態5)つぎに本発明の第5の実施の形態における固体撮像装置の製造方法について図7(a)〜(e)を用いて説明する。本実施の形態における前半工程も前述の第3の実施の形態における製造工程の前半、すなわち図4(a)〜(d)に示す工程と同様であり説明を省略し、後半工程について説明する。図7(a)は、第2の平坦化膜36上にマイクロレンズ原型40を形成したところである。その後、図7(b)のように加熱処理によってマイクロレンズ原型40を溶融して凸状レンズまたはレンチキュラレンズよりなるマイクロレンズ41を形成する。つぎに図7(c)に示すようにマイクロレンズ41の全面を覆うようにエッチングレジスト44を塗布したのちパターニングしてマイクロレンズ41の上面のみにエッチングレジスト44を残し図7(d),(e)に示すように第2の平坦化膜36、カラーフィルタ層35、第1の平坦化膜34をエッチングして溝39を形成すると同時にそれぞれ光電変換素子32に対応した外壁面42によって囲まれた光学ブロック43を形成する。本実施の形態においても光学ブロック43の外壁面42上に金属薄膜を設けて鏡面化できることは第3の実施の形態の場合と同様である。また図7(e)に示すエッチング工程において溝39の底面を第1の平坦化膜34の表面またはそれよりも上面に設けることも可能である。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、撮影レンズより入射された光は固体撮像装置の周辺部においてマイクロレンズよりなる集光手段で屈折されてもマイクロレンズの隣接領域に設けられた溝によって形成された光学ブロックの内壁面において多重反射を繰り返していかなるF値においても光学ブロック内の光電変換素子に無駄なく集光することができるので光の利用効率を従来より向上することが可能となり、またマイクロレンズより入射した光が乱反射して他の光電変換素子に迷光として侵入することを防止できるため隣接画素間の混色を効果的に防ぐことができ、高い品質を有する画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における固体撮像装置の一部拡大断面図
【図2】同固体撮像装置のイメージを説明する一部拡大斜視図
【図3】本発明の第2の実施の形態における固体撮像装置のイメージを説明する一部拡大斜視図
【図4】本発明の第3の実施の形態における固体撮像装置の製造方法を示す前半工程断面図
【図5】同第3の実施の形態における固体撮像装置の製造方法を示す後半工程断面図
【図6】本発明の第4の実施の形態における固体撮像装置の製造方法を示す後半工程断面図
【図7】本発明の第5の実施の形態における固体撮像装置の製造方法を示す後半工程断面図
【図8】従来の固体撮像装置の一部拡大断面図
【図9】他の従来の固体撮像装置の一部拡大断面図
【符号の説明】
11 シリコン基板(基板)
12 光電変換素子
16 第1の平坦化膜(平坦化膜)
18 第2の平坦化膜(平坦化膜)
19 マイクロレンズ(集光手段)
20 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板主面にマトリックス状に複数の光電変換素子が配置され、前記半導体基板上に前記光電変換素子に対応して樹脂膜を介して集光手段が形成された固体撮像装置であって、前記集光手段の少なくとも対向する2辺の列の隣接領域内に溝が形成されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】 集光手段が、レンチキュラレンズである請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】 集光手段が、凸状の光学レンズである請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項4】 溝を構成する壁面に金属薄膜が形成されている請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項5】 光電変換素子がマトリックス状に配置形成された基板の主面上に平坦化膜を形成する工程と、前記平坦化膜の上面に透明樹脂層を形成する工程と、前記透明樹脂層の上面に感光性樹脂層を形成したのち、前記感光性樹脂層を選択的に露光して前記光電変換素子に対応する領域に溝状のパターンを形成する工程と、前記感光性樹脂層をマスクとして前記透明樹脂層、平坦化膜をエッチングにより深さ方向に選択的に除去して溝を形成する工程と、前記透明樹脂層を加熱して軟化させ、表面を凸状に成形した集光手段を形成する工程とを有する固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】 光電変換素子がマトリックス状に配置形成された基板の主面上に平坦化膜を形成する工程と、前記平坦化膜の上面に透明樹脂層を形成する工程と、前記透明樹脂層に溝を形成したのちに前記透明樹脂層を加熱し軟化させて凸状に成形した集光手段を形成する工程と、前記集光手段をマスクとして平坦化膜を前記溝の深さ方向にエッチング除去する工程とを有する固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】 光電変換素子がマトリックス状に配置形成された基板の主面上に平坦化膜を形成する工程と、前記平坦化膜の上面に透明樹脂層を形成する工程と、前記透明樹脂層に溝を形成したのちに前記透明樹脂層を加熱し軟化させて凸状に成形した集光手段を形成する工程と、前記集光手段の表面に選択的に感光性樹脂パターンを形成する工程と、前記感光性樹脂パターンをマスクとして前記平坦化膜を前記溝の深さ方向にエッチング除去したのち前記感光性樹脂パターンを除去する工程とを有する固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】 平坦化膜を形成する工程が、第1の平坦化膜を形成した後、その上面にカラーフィルタ層を挟んで第2の平坦化膜を形成する2つの工程よりなる請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】 透明樹脂層、平坦化膜を深さ方向に選択的に除去して形成された溝が、集光手段の隣接領域に平行線状に形成されている請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】 透明樹脂層、平坦化膜を深さ方向に選択的に除去して形成された溝が集光手段の隣接領域に碁盤目状に形成されている請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】 溝を形成する工程が、ドライエッチング法を用いて行う工程である請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】 溝を形成する工程のあとに、前記溝を構成する内壁面に金属薄膜を形成する工程を付加する請求項5から7のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate