説明

固体撮像装置

【課題】画像情報を高速に読み出すことが可能な固体撮像装置を提供すること。
【解決手段】固体撮像装置10は、マトリックス状に配列された複数の画素Caを備え、行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1により決定される1つの画素Caを選択する。そして、固体撮像装置10は、選択した1つの画素Caの画像情報、つまり光電変換により生成した入射光量に応じた光電変換信号を出力信号Doとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の画像データを取得するために、MOS型の固体撮像装置が用いられている。この種の固体撮像装置は、複数の画素が例えばマトリックス配置され、垂直走査回路により行(ライン)を順次走査して各列の画素から画像信号を読み出し、水平走査回路により1ライン分の画像信号を画素毎に読み出すように構成されている。各画素は、線形変換型のイメージセンサであって、所定の電荷蓄積時間、所謂インテグレーションタイムにおいてフォトダイオードで光電変換された画像情報をコンデンサに電荷として蓄積し、蓄積電荷量に応じた画像信号を出力する。このように、コンデンサに電荷を蓄積するインテグレーション動作を行うため、コンデンサに電荷が蓄積されていると、次の蓄積期間においてコンデンサに蓄積される電荷量が入射光量と対応しなくなる。このため、基準電位レベルをコンデンサに与えるリセット動作を行う必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、リセット動作は蓄積電荷の消去なので、リセット後、次の画像情報を蓄積するためのインテグレーションタイムが必要である。そして、リセット動作とインテグレーション動作と情報の読み出し動作を繰り返し行わなければならない。このため、動的に変化する画像の情報を連続的に読み出しをしようとしても、このインテグレーションタイムやリセット動作が制約条件になり、高速読み出しができなかった。
【0004】
この発明は、画像情報を高速に読み出すようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による固体撮像装置は、受光素子に流れる電流を検出して電気信号に変換する画素が複数の行信号線及び列データ線の交差点にそれぞれ接続されてマトリックス状に配置された撮像部と、前記行信号線及び前記列データ線と接続され、アドレス信号に基づく行信号線及び列データ線を選択するデコーダと、選択された前記行信号線に接続された画素から列データ線を介して入力される光電変換信号を増幅する増幅回路と、前記受光素子に入射光量に応じた電流が流れるように制御する第1駆動信号と、前記受光素子が接続されたセンスノードをリセットするための第2駆動信号とを生成し、制御信号に応答して前記第1駆動信号及び第2駆動信号を切り換えて前記画素に供給する電圧制御回路と、を備えたものである。
【0006】
この発明では、画素において受光素子に流れる電流を電気的平衡状態下で検出して電気信号に変換する、つまり動作原理が専らスタティック状態によっているため、電荷の蓄積及び放電を行うダイナミック状態による画素に必要な画像情報の読出し毎のリセットが不要である。このため、第1駆動信号を供給している間、アドレス信号を変更することでそれらのアドレス信号により選択される画素から連続的に画像情報の読出しを行うことができ、読出し間隔が短くなる、つまり実効的に高い読出し速度を得られ、画像情報を高速に読出すことができる。また、制御信号により画素をリセットすることにより、画素に発生する残像が次に読出される画像情報に影響することを防ぐことができる。
【0007】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記画素に対する読出しを検出する読み出し検出回路と、前記読み出し検出回路の検出結果に基づき読出し回数をカウントし、該カウント値と設定値とを比較して前記制御信号を出力するリセット制御回路と、がさらに設けられる。この構成により、画素を間欠的にリセットすることで、外部から制御する必要がなく、残像が次に読出される画像情報に影響することを防ぐことができる。
【0008】
この発明の一態様においては、前記画素は、受光素子に接続され、前記第1駆動信号によりサブスレショールド領域にて動作する負荷トランジスタと、前記受光素子と前記負荷トランジスタとの間のセンスノードに接続され該センスノードの電位に応じた光電変換信号を出力する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタと前記列データ線とを接離する読出トランジスタと、を備えた対数変換型画素である。対数変換型画素は、線形変換型画素に比べてダイナミックレンジが広いため、暗い部分における黒つぶれや明るい部分における白とびがないため、鮮明な画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上記述したように、本発明によれば、画像情報を高速に読み出すことが可能な固体撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、固体撮像装置の概略ブロック回路図である。
固体撮像装置10は、撮像部11、アドレスデコーダとしてのXデコーダ12及びYデコーダ13、増幅回路としてのコラムアンプ14、出力回路15、電圧制御回路16を含む。
【0011】
撮像部11は、行列配列された複数の画素Caを備えている。尚、説明を簡単にするため、本実施の形態では、4行4列のマトリックス状に配列された画素Caを備えた撮像部11について説明する。各画素Caは、受光素子に流れる電流を検出して電気信号に変換する画素である。各行の画素Caはそれぞれ行信号線R0〜R3に接続され、各列の画素Caはそれぞれ列データ線C0〜C3に接続されている。
【0012】
Xデコーダ12は、撮像部11の行数に対応する4本の行信号線R0〜R3が接続され、撮像部11の行数に対応する2ビットの行アドレス信号X0,X1が入力される。Xデコーダ12は、行アドレス信号X0,X1をデコードして行信号線R0〜R3のうちの1本を選択する。そして、Xデコーダ12は、選択した1本の行信号線の電位を画素Caから画像情報を読み出すための電圧レベルに制御する。従って、本実施形態では、選択された1本の行信号線を介して、同行信号線に接続された4個の画素Caに画像情報を読み出すための電圧が読出信号として供給される。各画素Caは、行信号線R0〜R3を介して供給される読出信号に応答して画像情報を列データ線C0〜C3に出力する。
【0013】
4個の画素Caから読み出された画像情報としての光電変換信号は、各画素Caが接続された列データ線C0〜C3を介してコラムアンプ14に入力される。コラムアンプ14はYデコーダ13に接続され、該Yデコーダ13には撮像部11の列数に対応する2ビットの列アドレス信号Y0,Y1が入力される。Yデコーダ13は、アドレス信号Y0,Y1をデコードした信号をコラムアンプ14に出力する。
【0014】
コラムアンプ14は、増幅部とマルチプレクサ回路部とアナログ−デジタル(A/D)変換部とを含み、増幅部は各列データ線C0〜C3に対応して設けられている。各列データ線C0〜C3を介して入力される光電変換信号は各増幅部にてそれぞれ増幅され、マルチプレクサ回路部を介して1つのA/D変換部に伝達される。A/D変換部は対応する増幅部の出力信号を所定のクロック信号に基づいてサンプリングし、そのサンプリングしたアナログ量(例えば電圧)をデジタル信号に変換する。つまり、コラムアンプ14は、各行信号線R0〜R3に接続された4個の画素Caからそれぞれ読み出された光電変換信号に対応する4つのデジタル信号を生成する。そして、コラムアンプ14は、Yデコーダ13の出力信号に基づき、4つのデジタル信号のうちアドレス信号Y0,Y1の論理レベルに対応する1つのデジタル信号を選択し、該デジタル信号を出力回路15に出力する。出力回路15は、コラムアンプ14の出力信号を変換した出力信号Doを出力する。
【0015】
即ち、固体撮像装置10は、マトリックス状に配列された複数の画素Caを備え、行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1により決定される1つの画素Caを選択する。そして、固体撮像装置10は、選択した1つの画素Caの画像情報、つまり光電変換により生成した入射光量に応じた光電変換信号を出力信号Doとして出力する。従って、行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1により、任意な位置の画素Caの画像情報を読み出すことができる。
【0016】
上記撮像部11を構成する各列の画素Caは、それぞれ電圧供給線L0〜L3に接続されている。つまり、各電圧供給線L0〜L3には、行信号線R0〜R3と同様に、それぞれ4個の画素Caが接続されている。各電圧供給線L0〜L3は、電圧制御回路16に接続されている。
【0017】
電圧制御回路16は、外部入力される制御信号Scに応答して電圧供給線L0〜L3を介して各画素Caに供給する駆動信号の電圧を制御する。例えば、電圧制御回路16は、Lレベルの制御信号Scに基づいて第1の電圧の駆動信号(以下、第1駆動信号)を各画素Caに供給し、Hレベルの制御信号Scに基づいて第2の電圧の駆動信号(以下、第2駆動信号)を各画素Caに供給する。第1駆動信号は、その電圧が各画素Caにおいて光電変換動作するために設定された信号である。第2駆動信号は、その電圧が各画素Caにおいてリセット動作するために設定された信号である。各画素Caは、第1駆動信号に応答して、入射光を光電変換して画像情報を生成する。また、各画素Caは、第2駆動信号に応答してその第2駆動信号の入力直前に保持した画像情報を消去する。従って、この固体撮像装置10を利用する場合、制御信号Scを供給することにより、必要に応じて各画素Caをリセットして画像情報を一旦消去した後の画像を得ることができる。
【0018】
尚、電圧制御回路16が応答する制御信号Scのレベルは適宜変更されてもよい。また、制御信号Scが複数ビット又は複数の信号により構成されていてもよく、複数ビット又は複数の信号の論理レベルの組み合わせに基づいて駆動信号の電圧を制御する。
【0019】
次に、画素Caの構成を説明する。尚、各画素Caの構成は同じであるため、行信号線R0と列データ線C0とに接続された画素Caについて説明する。
図2に示すように、本実施形態の画素Caは対数変換型画像素子である。対数変換型画像素子は、線形変換型画素に比べてダイナミックレンジが広いため、暗い部分における黒つぶれや明るい部分における白とびがないため、鮮明な画像を得ることができる。
【0020】
画素Caは、受光素子としてのフォトダイオードPDと、3つのトランジスタT1,T2,T3とから構成されている。第1〜第3トランジスタT1〜T3は、1導電チャネル型のトランジスタ(本実施形態ではNチャネル型MOSトランジスタ)であり、図示しないがバックゲートがグランドGNDに接続されている。
【0021】
負荷トランジスタとしての第1トランジスタT1のドレイン(第1端子)は高電位電源Vddが供給され、ゲート(制御端子)は電圧供給線L0に接続され、ソース(第2端子)はフォトダイオードPDのカソードに接続されている。フォトダイオードPDのアノードは低電位電源(本実施形態ではグランドGND)に接続されている。フォトダイオードPDは、入射光の光量に応じた電流Ipを流す。
【0022】
第1トランジスタT1とフォトダイオードPDとの間の接続点であるセンスノードN1は増幅トランジスタとしての第2トランジスタT2のゲートに接続されている。第2トランジスタT2のドレインには高電位電源Vddが供給され、ソースは画素選択トランジスタとしての第3トランジスタT3の第1端子(例えばドレイン)に接続されている。
【0023】
第3トランジスタT3のゲートは行信号線R0に接続され、第2端子(ソース)は列データ線C0に接続されている。第3トランジスタT3は行信号線R0を介して供給される読出信号に応じてオンオフ動作し、第2トランジスタT2と列データ線C0とを接離する。従って、第3トランジスタT3がオンしたときに第2トランジスタT2と列データ線C0とが接続される。列データ線C0には図示しない定電流源が接続されており、この定電流源と第2トランジスタT2によりソースフォロア回路を構成し、センスノードN1の電位が第2トランジスタT2を介して光電変換信号として列データ線C0に出力される。
【0024】
上記のように構成された画素Caに対して、図1に示す電圧制御回路16は、第1駆動信号と第2駆動信号を供給する。第1駆動信号は画素Caが光電変換動作するように電圧が設定された信号であり、第2駆動信号は画素Caがリセット動作するように電圧が設定された信号である。
【0025】
電圧制御回路16は、第1トランジスタT1を弱反転状態、所謂サブスレショールド領域動作を行わせるように電圧を設定した第1駆動信号、例えばドレインの電位と同じ高電位電源Vddの第1駆動信号を供給する。
【0026】
画素Caに光が当ると、この光量に応じてフォトダイオードPDにフォト電流Ipが流れる。第1トランジスタT1には、第1駆動信号により弱反転状態であるため、フォト電流Ipと同量のサブスレショールド電流(subthreshold current)が流れ、センスノードN1の電位は、フォト電流Ipに応じた電位に安定する。このセンスノードN1の電位が安定した状態を電気的安定状態(又は電気的平衡状態)という。第1トランジスタT1に流れるサブスレショールド電流はフォトダイオードPDに流れるフォト電流Ipと等しいため、センスノードN1の電位は、フォト電流Ipを対数変換した電位となる。そして、読出信号により第3トランジスタT3をオンさせることにより、センスノードN1の電位、つまり入射光量に対応する電位の光電変換信号が得られる。
【0027】
電圧制御回路16は、第1トランジスタT1を強反転状態、所謂オン状態にて動作するように電圧を設定した第2駆動信号、例えばドレインの電位よりもトランジスタT1のしきい値電圧以上高い電圧の第2駆動信号を供給する。すると、センスノードN1の電位は、高電位電源Vddと同じ電圧となり、出力電位が初期化される。この初期化により、過去にフォトダイオードPDに入射された光が次の光電変換信号に影響する、即ち残像の影響を防ぐことができる。
【0028】
次に、第1駆動信号を画素Caに供給した状態で入射光量が変化した場合について説明する。
上記と同様に、画素Caに光が当ると、この第1の光量に応じてフォトダイオードPDにフォト電流Ipが流れる。第1トランジスタT1は、第1駆動信号により弱反転状態であるため、センスノードN1の電位は、フォト電流Ipに応じた電位に安定する平衡状態となる。
【0029】
画素Caへの入射光量が第2の光量に変化すると、その入射光量に応じてフォトダイオードPDにフォト電流Ip2が流れる。センスノードN1の電位は、第2の光量に基づくフォト電流Ip2に応じた電位へと変動する、いわゆる過渡状態となる。そして、時間経過に従ってセンスノードN1の電位は、フォト電流Ip2に応じた電位に安定する、つまり電気的安定状態となる。
【0030】
ここで、過渡状態にある時間は、センスノードN1に存在している浮遊容量によって異なる。本実施形態の画素Caでは積極的に電荷を蓄積するためのコンデンサを備えていない。しかし、現実的には、配線間等に微少な浮遊容量が存在する。この浮遊容量がほとんどゼロとみなせるほど小さい理想的な状態にある場合、過渡時間はゼロとみなせる。すなわち、浮遊容量に蓄積されている余分な電荷の引き抜き、もしくは浮遊容量に不足電荷を補うための蓄積、が非常に短時間に行われ、実質的な過渡時間はゼロとみなせる。従って、過渡状態の時間がゼロ、即ち入射光量が変化してからセンスノードN1が安定するまでの待ち時間がゼロであるため、待ち時間を設ける必要がなく、実質的に高速な読み出しができる。
【0031】
浮遊容量がほとんどゼロとみなせるほど小さい理想的な状態にない場合、センスノードN1の電位は、過渡状態においては、第1の光量の影響を受ける電位となる、即ち残像が発生する。つまり、この時に読み出される光電変換信号は、第2の入射光量による信号と、第1の入射光量による残像信号とを含む。しかし、この残像信号は、センスノードN1の電位が平衡状態に近づくに従って小さくなり、平衡状態では0(ゼロ)となる。そして、読出信号により第3トランジスタT3をオンさせることにより、第2の光量に対応する電位の光電変換信号が得られる。
【0032】
つまり、本実施形態では、リセット動作を行うことなく変化した光量に応じた電位の光電変換信号を得ることができる。従って、光量が一定の場合、センスノードN1の電位は平衡状態であるため、直ちにセンスノードN1の電位を読み出すことができる、つまり高速に読出しを行うことができる。
【0033】
光量が変化した場合、その光量の変化量に応じて光量が変化してから平衡状態になるまでに入射光の変化量に対応した時間がかかる。この時間以上の時間間隔で読出しを行うことにより、残像の無い光電変換信号を得ることができる。この場合であっても、リセット動作が必要ないため、リセット動作を行う場合に比べて読出しまでの時間が短くなり、高速に読出しを行うことができる。
【0034】
更に、入射光量が徐々に変化する場合、その光量変化に応じてセンスノードN1の電位が変化する。従って、入射光量の変化が、過渡状態から平衡状態へと移行するまでに必要な時間程度かそれ以下の場合、センスノードN1の電位はほぼ平衡状態で変化するといえる。一方、従来例のようにリセット動作を行うと、センスノードN1の電位が基準電位にリセットされるため、その基準電位から光量に応じた電位に変化するために入射光の変化量に対応した時間以上の時間がかかる。つまり、従来例では、リセット動作の期間と、平衡状態となるまでの期間とが必要となり、読出しの間隔が長い。しかし、本実施形態では、センスノードN1の電位がほぼ平衡状態で変化するため、読出しの間隔を従来例に比べて短く、ほぼ連続的に読み出すことができる。
【0035】
光量が変化してから過渡状態を経て平衡状態に移行するまでに要する時間、つまり残像信号が残る時間は、入射光量の変化量の絶対値が同じであっても、変化する方向(減少又は増加)によって異なる。入射光量が減少した場合、フォト電流Ipが減少するので浮遊容量に蓄積された電荷を引き抜くのに時間がかかるため、直前まで高い照度であった被写体部分が低い照度に変化した場合、残像信号が残る時間は長い。逆に、入射光量が増加した場合、フォト電流Ipが増加するので浮遊容量に電荷を蓄積する時間が短く、残像信号が残る時間は短い。
【0036】
このように、入射光量、即ち被写体照度によって残像消滅時間が異なる。このため、上記の固体撮像装置10の出力信号Doに対してエッジ強調や色補正などの画像処理を行う処理回路では、連続的に読み出される2つの光電変換信号の間の変化量、つまり2つの光電変換信号の差の絶対値と差の符号に基づいて、選択的に処理を行うようにすればよい。例えば、入射光量が大きく増加した、つまり光電変換信号の値が大きくなった場合、残像は無いと判断して画像処理を実行する。一方、入射光量が大きく減少した、つまり、光電変換信号の値が小さくなるとともにその値の絶対値が読出し間隔により設定される基準値よりも大きい場合、残像があると判断して処理を保留するとともに、画素Caをリセットするべく制御信号Scを出力する。これにより、残像を含む光電変換信号に対する画像処理を行うことを防ぎ、残像の影響を防ぐことができる。
【0037】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
・固体撮像装置10は、マトリックス状に配列された複数の画素Caを備え、行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1により決定される1つの画素Caを選択する。そして、固体撮像装置10は、選択した1つの画素Caの画像情報、つまり光電変換により生成した入射光量に応じた光電変換信号を出力信号Doとして出力する。従って、行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1により、任意な位置の画素Caの画像情報を読み出すことができる。
【0038】
・電圧制御回路16は、制御信号Scに応答して電圧供給線L0〜L3を介して各画素Caに、第1駆動信号を供給し、各画素Caを対数変換型画素として機能させる。また、電圧制御回路16は、制御信号Scに応答して各画素Caにリセット動作するための第2駆動信号を供給する。各画素Caは、第2駆動信号に応答してその第2駆動信号の入力直前に保持した画像情報を消去する。従って、制御信号により画素Caをリセットすることにより、画素Caに発生する残像が次に読出される画像情報に影響することを防ぐことができる。
【0039】
・画素Caは、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDに接続されサブスレショールド領域にて動作する第1トランジスタT1とを備えた対数変換型画素である対数変換型画素は、線形変換型画素に比べてダイナミックレンジが広いため、暗い部分における黒つぶれや明るい部分における白とびがないため、鮮明な画像を得ることができる。
【0040】
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態における固体撮像装置10の構成を適宜変更しても良い。
例えば、図3に示すように、固体撮像装置を構成する。この固体撮像装置20は、直並列変換回路(シリアル−パラレル変換回路:SP変換回路)21を備える。SP変換回路21は、シリアル変換されたアドレス信号Siを入力し、該アドレス信号Siをパラレル変換して生成した行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1をXデコーダ12及びYデコーダ13に出力する。このように、固体撮像装置20を構成することにより、行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1を入力する専用ピンを設ける必要がないため、固体撮像装置20のパッケージサイズを小さくすることができる。
【0041】
また、図4に示すように、固体撮像装置を構成する。この固体撮像装置30は、アドレス発生回路31を備える。アドレス発生回路31は、読出し領域の対角の画素を指定する先頭データSp及び最終データEpに基づいて、読出し領域に含まれる全ての画素Caを指定するための行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1を順次生成する。この構成により、読出し領域に含まれる全ての画素Caから光電変換信号が連続的に順次出力されるため、撮像部11から部分的な画像情報を容易に読み出すことができる。尚、先頭データSp及び最終データEpに替えて、読出し領域の基準位置(例えば、アドレスが最も小さい画素Caの位置)と領域のサイズ(画素の個数)を入力するように構成してもよい。
【0042】
また、図5に示すように、固体撮像装置を構成する。この固体撮像装置40は、複数(図5において2つ)のコラムアンプ41,42と、出力回路43とを備える。両コラムアンプ41,42は、パイプライン構成であり、それぞれ光電変換信号をサンプリングして生成したデジタル信号を出力する。そして、両コラムアンプ41,42を交互に動作させる。即ち、一方のコラムアンプからデジタル信号を出力するときに他方のコラムアンプにて読み出した光電変換信号のサンプリングを行う。出力回路43は、両コラムアンプ41,42から交互に出力されるデジタル信号を出力信号Doとして出力する。
【0043】
各行信号線R0〜R3を介して読出信号が供給されると、各行信号線R0〜R3に接続された複数の画素Caから同時に光電変換信号が出力される。従って、1つの行信号線に接続された画素Caの画像情報を読み出すためには行アドレスと列アドレスとを指定する必要があり、続いて同じ行信号線に接続された別の画素Caの画像情報を読み出すためには列アドレスのみを指定すればよい。このため、アドレスの指定から出力信号が出力するまでの時間に差が生じる。従って、一定の間隔でアドレスを指定しても、出力信号の出力間隔が異なる場合がある。この現象は、選択する行信号線を変更する、つまり行アドレス信号を変更する場合に発生する。このため、1つの行アドレスの指定により読み出された複数の画像情報を一方のコラムアンプにてサンプリングして出力信号を順次出力する。この出力信号を出力している間に、別の行アドレスを指定して行信号線に接続された複数の画素Caから読み出した画像情報を別のコラムアンプに入力する。そして、出力回路43は、一方のコラムアンプからの読出しが終了すると、別のコラムアンプからの読出しを開始する。このように、第1コラムアンプ41と第2コラムアンプ42に対してランプリングと信号の読出しとを交互に行うことにより、行アドレスを変更しても一定の間隔で出力信号Doを出力することができる。
【0044】
・上記各実施形態における画素Caは、フォト電流Ipにより設定されるセンスノードN1の電位を読み出す、所謂スタティック動作をしている。ちなみに、従来の画素は、コンデンサに対する電荷の蓄積・放電を行うダイナミック動作をしている。このため、スタティック動作を専ら行う画素、つまり、フォトダイオードPDに流れるフォト電流Ipを検出して電気信号に変換する画素であれば構成を変更しても良く、例えば、図6に示すように、抵抗R1を備えた画素を用いてもよい。この画素は、抵抗R1にフォト電流Ipが流れることによって生じるセンスノードN1の電圧変化を光電変換信号として読み出すものである。尚、図6に示す画素に、センスノードN1をリセットするためのトランジスタを備えても良い。
【0045】
・上記実施形態では、入力される制御信号Scにより画素Caをリセットするようにしたが、固体撮像装置自身が判断して画素Caをリセットするようにしてもよい。この一具体例を図7に示す。この固体撮像装置50は、読み出し検出回路51とリセット制御回路52とを備える。読み出し検出回路51は、行信号線R0〜R3に接続され、各行信号線R0〜R3の電圧変化に基づいて画像情報の読出しを検出し、検出信号を出力する。リセット制御回路52は、読み出し検出回路51の検出信号に基づいて読出し回数をカウントし、そのカウント値が設定値(例えば、30回)と一致すると制御信号Scを電圧制御回路16に出力する。この構成により、読出し動作に対して間欠的にリセットを実行することができ、残像の影響を定期的に除去することができる。尚、読出し検出回路は、列データ線のレベル変化、アドレス信号(行アドレス信号X0,X1及び列アドレス信号Y0,Y1)の変化、等に基づき読出しを検出するようにしてもよい。
【0046】
・上記各実施形態では、1導電チャネル型のトランジスタとしてNチャネル型MOSトランジスタを用いたが、Pチャネル型MOSトランジスタを用いてもよい。また、Nチャネル型MOSトランジスタ及びPチャネル型MOSトランジスタを用いたCMOS構造としてもよい。
【0047】
・上記実施形態では全ての画素Caを一括してリセットするようにしたが、別々にリセットするようにしてもよい。例えば、電圧制御回路16は、行アドレス信号X0,X1に基づいて選択される行信号線R0〜R3の選択情報を入力し、その選択情報に基づいて、画像情報が読み出された画素Caが接続された行信号線に第2駆動信号を供給することにより、読出し動作が行われた行の画素Caをリセットする。この構成によれば、1つの行信号線に接続された画素Caから画像情報を読み出しているときに、読出しが終了した行の画素Caをリセットすることができる、つまり読出しとリセットを同時に行うことができるため、従来例のようにリセットが終了するまで待つ必要がなく、連続的に画像情報の読出しを行うことができ、複数の画像情報の読出し時間が短くなる、つまり実効的な読出し速度を向上することができる。
【0048】
・上記各実施形態では、各行の画素Caを同じ電圧供給線L0〜L3に接続したが、個々の画素Caに対して電圧供給線を別々に接続する構成としてもよい。また、複数行の画素Caを1本の電圧供給線に接続する構成としてもよい。
【0049】
・上記各実施形態では、第1トランジスタT1のゲートに供給する信号の電圧を制御して対数変換のための負荷トランジスタとリセットのためのトランジスタとに機能させるようにしたが、対数変換と対数変換するためのトランジスタとセンスノードN1をリセットするためのトランジスタとを別々の構成としてもよい。
【0050】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
・読出し領域を設定する領域情報が入力され、該領域情報に基づいて前記読出し領域に含まれるすべての画素を選択するためのアドレス信号を順次発生するアドレス発生回路を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の固体撮像装置。
【0051】
・シリアル信号をパラレル変換して前記アドレス信号を生成するシリアル−パラレル変換回路を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の固体撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施形態の固体撮像装置のブロック回路図。
【図2】画素の回路図。
【図3】別の固体撮像装置のブロック回路図。
【図4】別の固体撮像装置のブロック回路図。
【図5】別の固体撮像装置のブロック回路図。
【図6】別の画素の回路図。
【図7】別の固体撮像装置のブロック回路図。
【符号の説明】
【0053】
11…撮像部、16…電圧制御回路、52…リセット制御回路、C0〜C3…列データ線、Ca…画素、Ip…フォト電流、N1…センスノード、R0〜R3…行信号線、Sc…制御信号、X0,X1…行アドレス信号、Y0,Y1…列アドレス信号、T1…第1トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子に流れる電流を検出して電気信号に変換する画素が複数の行信号線及び列データ線の交差点にそれぞれ接続されてマトリックス状に配置された撮像部と、
前記行信号線及び前記列データ線と接続され、アドレス信号に基づく行信号線及び列データ線を選択するデコーダと、
選択された前記行信号線に接続された画素から列データ線を介して入力される光電変換信号を増幅する増幅回路と、
前記受光素子に入射光量に応じた電流が流れるように制御する第1駆動信号と、前記受光素子が接続されたセンスノードをリセットするための第2駆動信号とを生成し、制御信号に応答して前記第1駆動信号及び第2駆動信号を切り換えて前記画素に供給する電圧制御回路と、
を備えたことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素に対する読出しを検出する読み出し検出回路と、
前記読み出し検出回路の検出結果に基づき読出し回数をカウントし、該カウント値と設定値とを比較して前記制御信号を出力するリセット制御回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記画素は、受光素子に接続され、前記第1駆動信号によりサブスレショールド領域にて動作する負荷トランジスタと、前記受光素子と前記負荷トランジスタとの間のセンスノードに接続され該センスノードの電位に応じた光電変換信号を出力する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタと前記列データ線とを接離する読出トランジスタと、を備えた対数変換型画素であることを特徴とする請求項1又は2記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−215030(P2007−215030A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34284(P2006−34284)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】