説明

固体状物質中の金属固定化方法

【目的】 廃棄物焼却場等で生じる焼却灰、鉱山から排出される鉱滓、汚染が進んだ土壌、廃水処理に用いられる汚泥等の固体状物質中に存在する金属が、雨水や海水によって固体状物質中から溶出しないように固定化する。
【構成】 固体状物質に、分子量500以下のポリアミンに少なくとも1個のジチオカルボキシ基又はその塩をN−置換基として導入したポリアミン誘導体と、平均分子量5000以上のポリエチレンイミンに少なくとも1個のジチオカルボキシ基又はその塩をN−置換基として導入したポリエチレンイミン誘導体とからなる金属捕集剤と、硫化ナトリウム類とを添加し、これらの固体状物質中に存在する金属が溶出しないように固定化する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼却灰、鉱滓、土壌、汚泥等の固体状物質中に存在する金属を固定化して固体状物質中からの金属の溶出を防止することのできる固体状物質中の金属固定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】鉱山より排出される鉱滓、ゴミ焼却場においてゴミ焼却の際に発生する焼却灰、廃水処理の際の汚泥、更には汚染の進んだ土壌等には種々の金属が含有され、これらの固体状物質中に含まれる金属のうち特に水銀、カドミウム、鉛、亜鉛、銅、クロム等の人体に有害な重金属に対しては厳しい規制が設けられている。近年、これらの鉱滓、焼却灰、土壌等の固体状物質中に存在する金属が地下水、河川、海水中に混入することが問題となっており、これら固体状物質中に存在する金属に対する処理方法を確立することは焦眉の課題となっている。また中和凝集沈澱法による廃水処理では大量の金属水酸化物の汚泥が生成し、これら汚泥は廃棄の仕方によっては再溶解して二次公害を生じるという問題もあった。
【0003】鉱滓、焼却灰、汚泥、土壌等の固体状物質中に存在する金属を処理する方法として従来は、これらの固体物質をそのままセメントで固化した後に埋め立てたり、海洋投棄する等の方法が採用されていたが、海水や雨水と接触した際にセメント壁を通して海水中や土壌中に金属が漏出する虞があり、必ずしも安全な方法とは言い難かった。このため、本発明者等は、各種の金属捕集剤を用いて固体状物質中の金属を固定化処理する方法を検討し、更に処理物が酸性雨等のようにpHが低い水にさらされた場合でも、固定化した金属が溶出する虞のない金属固定化方法の検討を行った。
【0004】本発明者等は上記の点に鑑み、酸性雨等の如く低pHの水に触れた際の金属の溶出を如何に防止するかについて鋭意研究した結果、特定の金属捕集剤と、一硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム等の硫化ナトリウム類の少なくとも一種とを併用して固体状物質中に存在する金属の固定化を行う方法が効果的であることを見出し本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の固体状物質中の金属固定化方法は、分子量500以下のポリアミン1分子当たりに対し、少なくとも1個のジチオカルボキシ基またはその塩を、上記ポリアミンの活性水素と置換したN−置換基として有するポリアミン誘導体と、平均分子量5000以上のポリエチレンイミン1分子当たり、少なくとも1個のジチオカルボキシ基又はその塩を、上記ポリエチレンイミンの活性水素と置換したN−置換基として有するポリエチレンイミン誘導体とからなる金属捕集剤と、一硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウムよりなる硫化ナトリウム類から選ばれた少なくとも一種とを固体状物質に添加して固体状物質中に存在する金属を固定化することを特徴とする。本発明方法は、特に焼却灰、鉱滓、土壌、汚泥等の固体状物質中に存在する金属の固定化に有効である。
【0006】本発明において用いる金属捕集剤を構成する、ポリアミン誘導体、ポリエチレンイミン誘導体は、1級及び/又は2級アミノ基を有するポリアミン分子や、1級及び/又は2級アミノ基を有するポリエチレンイミン分子の窒素原子に結合する活性水素と置換したN−置換基として、少なくとも1個のジチオカルボキシ基:−CSSH又はその塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等(以下、ジチオカルボキシ基及びその塩をまとめて単にジチオカルボキシ基と呼ぶ)、を有する化合物である。このポリアミン誘導体、ポリエチレンイミン誘導体は、例えばポリアミンやポリエチレンイミンに二硫化炭素を反応せしめることにより得られるが、更に反応終了後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等のアルカリで処理するか、或いは前記反応をアルカリの存在下で行ううことによりジチオカルボキシ基末端の活性水素をアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等で置換することができる。ポリアミン、ポリエチレンイミン類と二硫化炭素との反応は溶媒、好ましくは水、アルコール中で30〜100℃で1〜10時間、特に40〜70℃で2〜5時間行うことが好ましい。
【0007】上記ポリアミン誘導体の骨格をなすポリアミンとしては分子量500以下、特に好ましくは分子量60〜250のポリアミンが用いられる。このポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、トリブチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン;フェニレンジアミン、o-,m-,p-キシレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、3,5-ジアミノクロロベンゼン、メラミン、1-アミノエチルピペラジン、ピペラジン、3,3 ′−ジクロロベンジジン、ジアミノフェニルエーテル、トリジン、m-トルイレンジアミン等が挙げられる。これらは単独で用いるのみならず、2種以上混合して用いることもできる。
【0008】金属捕集剤のもう一方の構成成分であるポリエチレンイミン誘導体の骨格をなすポリエチレンイミンとしては平均分子量5000以上、好ましくは平均分子量10000〜200000、特に好ましくは平均分子量20000〜150000のものが用いられる。
【0009】上記ポリアミン、ポリエチレンイミン(以下、ポリアミン、ポリエチレンイミンを総称してポリアミン類と呼ぶ場合がある。)はアルキル基、アシル基或いはβ−ヒドロキシアルキル基をN−置換基として有していても良い。アルキル基をN−置換として導入するには、上記ポリアミン類(或いはジチオカルボキシ基を置換基として導入したポリアミン類)とアルキルハライドを反応させれば良い。またアシル基をN−置換基として導入するには、上記ポリアミン類(或いはジチオカルボキシ基を置換基として導入したポリアミン類)と脂肪酸類とを反応させれば良い。更にβ−ヒドロキシアルキル基をN−置換基として導入するには、ポリアミン類(或いはジチオカルボキシ基を置換基として導入したポリアミン類)とエポキシアルカンとを反応させれば良い。上記N−置換アルキル基は炭素数2〜18のものが好ましく、N−置換アシル基は炭素数2〜30のものが好ましい。また、N−置換したβ−ヒドロキシアルキル基としては、アルキル基の炭素数が2〜35のものが好ましい。
【0010】本発明で用いる金属捕集剤における、上記ポリアミン誘導体と、ポリエチレンイミン誘導体との混合比は、重量比でポリアミン誘導体:ポリエチレンイミン誘導体=9:1〜7:3が好ましい。
【0011】本発明方法において上記金属捕集剤を、一硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム等の硫化ナトリウム類、トリメルカプトトリアジン又はその塩類の少なくとも一種とともに用いるが、特にポリ硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウムと併用することが好ましい。本発明において用いる上記金属捕集剤は、固体状物質中の金属を確実に固定することができるが、硫化水素ナトリウム類とを併用することにより、金属捕集剤の使用量を低下させることができるとともに、より確実に金属を固定化することができる。ポリ硫化ナトリウムとしては、二硫化ナトリウム、三硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、五硫化ナトリウム等を用いることができる。
【0012】上記硫化ナトリウム類は、金属捕集剤量の0.02〜4倍量用いるのが好ましい。また金属捕集剤の添加量は固体状物質中に存在する金属量、金属の種類によっても異なるが、固体状物質に対し、0.01〜20重量%が好ましい。金属捕集剤と硫化ナトリウム類とは、予め混合して添加しても、別々に添加しても良いが、予め混合してから添加することが好ましい。尚、別々に添加する場合、どちらを先に添加しても得られる効果はほぼ同等である。
【0013】本発明方法を適用し得る、金属を含む固体状物質としては、特に焼却灰、鉱滓、土壌、汚泥が好適である。焼却灰には、飛灰と残灰とがある。飛灰はゴミや産業廃棄物等の焼却に伴って発生する粉状の煤塵や、残灰処理における熔融炉から発生する煤塵を集塵したものであり、集塵方法により以下のように分類される。最も広く利用されている電気集塵法(EP法ともいう。)により集塵された飛灰をEP灰という。次に多い集塵法は遠心集塵法(サイクロン法)で、特にサイクロンを並列にして用いるマルチサイクロン法(MC法ともいう。)により集塵された飛灰をMC灰という。また洗浄集塵法(スクラバー法)による集塵灰、バッグフィルターを用いて集塵した集塵灰等である。これらの集塵法は単独の場合もあるが、2つの方法を併用することもあり(例えばMC法とEP法等)、本発明ではこのようにして得られた飛灰も対象とすることができる。一方、残灰は、ゴミ焼却場及び産業廃棄物の焼却場等で、焼却後、焼却炉の残る灰であり、有害な金属を含むものが対象となる。本発明方法では、上記金属捕集剤と硫化ナトリウム類とを固体状物質の表面に散布するだけでも良いが、固体状物質に添加して混練することが好ましい。この際、混練作業を容易とするために、更に水を添加しても良い。
【0014】本発明において使用する金属捕集剤は、pH=3〜10の範囲において金属捕集効果が高いため、固体状物質の処理に際して必要により酸やアルカリ等を添加し、固体状物質中の金属を固定化し易い条件に調整する。酸としては、通常、塩酸、硫酸、硝酸等が用いられる。またアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。本発明方法で処理した固体状物質は、処理後に海洋や土中に投棄するに際してセメント等で固化すると良い。また本発明方法は、特に水銀、カドミウム、亜鉛、銅、クロム、砒素、金、銀、白金、バナジウム、タリウム等やその化合物の固定化に優れ、これらを含む固体状物質の処理に好適である。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0016】まず、以下に示す方法により、ポリアミン誘導体及びポリエチレンイミン誘導体の合成を行った。尚、ポリエチレンイミン誘導体1〜3は実施例で用い、ポリエチレンイミン誘導体4は比較例において用いた。
【0017】ポリエチレンイミン誘導体1の合成平均分子量13000のポリエチレンイミン100重量部に、7.8%水酸化ナトリウム水溶液600重量部を加え、攪拌しながら液温を45℃に調整し、二硫化炭素88重量部を徐々に添加した。添加終了後、45℃で15時間反応を続けてポリエチレンイミン誘導体1を得た。
【0018】ポリエチレンイミン誘導体2の合成平均分子量65000のポリエチレンイミン150重量部に、8%水酸化ナトリウム水溶液1470重量部を加え、上記と同様の方法で二硫化炭素212重量部を反応させてポリエチレンイミン誘導体2を得た。
【0019】ポリエチレンイミン誘導体3の合成平均分子量100000のポリエチレンイミンの30%水溶液500重量部に、10%水酸化ナトリウム水溶液1325重量部を加え、上記と同様にして二硫化炭素252重量部を反応させてポリエチレンイミン誘導体3を得た。
【0020】ポリエチレンイミン誘導体4の合成平均分子量1200のポリエチレンイミンの30%水溶液500重量部に、10%水酸化ナトリウム水溶液1400重量部を加え、同様にして二硫化炭素265gを反応させてポリエチレンイミン誘導体4を得た。
【0021】ポリアミン誘導体1の合成四ッ口フラスコ中にエチレンジアミン(分子量60)40gと、20%水酸化ナトリウム水溶液536gとを仕込み、40℃にて激しく攪拌しながら滴下ロートより二硫化炭素203.7gを滴下し、滴下終了後、同温度にて4時間熟成を行ってポリアミン誘導体1を得た。
【0022】ポリアミン誘導体2の合成同様の装置にトリエチレンテトラミン(分子量146)101gと20%水酸化ナトリウム水溶液464gを仕込み、上記と同様にして二硫化炭素176.3gを反応させてポリアミン誘導体2を得た。
【0023】ポリアミン誘導体3の合成同様の装置にジエチレントリアミン(分子量103)48.5gと水384gを仕込み、60℃に加熱して二硫化炭素145.9gを滴下ロートより滴下し、滴下終了後同温度にて4時間熟成を行った。次いで反応溶液温度を70〜75℃に昇温し、20%水酸化ナトリウム水溶液384gを添加して1.5時間反応を行いポリアミン誘導体3を得た。
【0024】上記で得たポリエチレンイミン誘導体、ポリアミン誘導体及び硫化ナトリウム類を表1に示す割合で混合して金属捕集剤組成物を得た(配合比は固形分換算値)。
【0025】
【表1】


【0026】実施例1鉛820ppm 、カドミウム40ppm 、亜鉛3400ppm 、全クロム30ppm 、水銀3ppm 、銅210ppm 、カルシウム27.5%、マグネシウム1.5%を含有するゴミ焼却場より得られた飛灰(EP灰)50gに、表1に示す金属捕集剤組成物Aを、金属捕集剤(ポリアミン誘導体とポリエチレンイミン誘導体の混合物)の添加量(固形分)が1gとなるように添加し、65〜70℃で20分間充分混練した。上記の如くして処理した飛灰と、未処理の飛灰各50gを、pH=4の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液500ミリリットル中で常温にて6時間振とうして、金属溶出試験を行った。上記緩衝液中に溶出した金属の濃度を測定した結果を表2に示す。尚、表2において(−)は、定量限界以下を示す。
【0027】
【表2】


【0028】実施例2亜鉛3390ppm 、鉛2850ppm 、水銀8ppm 、銅370ppm 、ニッケル140ppm 、カルシウム25.9%、マグネシウム13000ppm を含有するゴミ焼却場より得られた飛灰(MC灰)50gに、表1に示す金属捕集剤組成物Bを、金属捕集剤の添加量(固形分)が0.5gとなるように添加し、65〜70℃で20分間充分混練した。上記の如くして処理した飛灰と、未処理の飛灰各50gを、pH=6に調整した純水500ミリリットル中で常温にて6時間振とうして、金属溶出試験を行った。水中に溶出した金属の濃度を測定した結果を表2に示す。
【0029】実施例3水銀0.014ppm 、カドミウム330ppm 、鉛220ppm 、全クロム0.7ppm、銅10ppm を含有する鉱滓50gに、表1に示す金属捕集剤組成物Cを、金属捕集剤の添加量(固形分)が0.1gとなるように添加し、常温で20分間充分混練した。上記の如くして処理した鉱滓と、未処理鉱滓各50gを、pH=6に調整した純水500ミリリットル中で常温にて6時間振とうして、金属溶出試験を行った。水中に溶出した金属の濃度を測定した結果を表2に示す。
【0030】実施例4金属として水銀25ppm 、鉛108ppm 、カドミウム2ppm 、亜鉛160ppm、ニッケル3ppm を含有する、ゴミ焼却場の廃水処理により得られた汚泥(含水率82%)50gに、表1に示す金属捕集剤組成物Aを、金属捕集剤の添加量(固形分)が0.1gとなるように添加し、常温で20分間充分混練した。上記の如くして処理した汚泥と、未処理汚泥各50gを、pH=6に調整した純水500ミリリットル中で常温にて6時間振とうして、金属溶出試験を行った。水中に溶出した金属の濃度を測定した結果を表2に示す。
【0031】比較例1実施例4と同じ汚泥50gに、ポリエチレンイミン誘導体2を0.1g添加し、20分間よく混練した後、この汚泥50gをpH=6に調整した純水500ミリリットル中で常温にて6時間振とうして、金属溶出試験を行った。水中に溶出した金属の濃度を測定した結果を表2に示す。
【0032】比較例2実施例1と同じ飛灰50gに、ポリエチレンイミン誘導体1の1.3重量%と、ポリアミン誘導体1の18.7重量%との混合物(固形分換算値)を、金属捕集剤の添加量(固形分)が1gとなるように添加し(一硫化ナトリウムを含まない他は実施例1と同じ条件)、65〜70℃で20分間充分混練した。この飛灰50gを、pH=4の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液500ミリリットル中で常温にて6時間振とうして、金属溶出試験を行った。上記緩衝液中に溶出した金属の濃度を測定した結果を表2に示す。
【0033】比較例3ポリエチレンイミン誘導体3のかわりにポリエチレンイミン誘導体4を用いた他は実施例3と同様の配合の金属捕集剤組成物を用い、実施例3と同様の鉱滓を同様に処理した。処理後の鉱滓からの金属溶出試験を実施例3と同様にして行った結果を表2に示す。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法は、特定のポリエチレンイミン誘導体と、特定のポリアミン誘導体とからなる金属捕集剤と、硫化ナトリウム類とを併用して焼却灰、鉱滓、土壌、汚泥等の固体状物質中に存在する金属を固定化する方法を採用したことにより、固体状物質中の金属を確実に固定化することができ、しかも金属捕集剤の使用量を低下させることができるとともに、より確実に金属を固定化することができる。また本発明方法により金属を固定化した固体状物質は、酸性雨等の低pHの水と接触した場合でも固定化された金属が遊離して溶出する虞がなく、きわめて安全性の高い金属固定化方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 分子量500以下のポリアミン1分子当たりに対し、少なくとも1個のジチオカルボキシ基またはその塩を、上記ポリアミンの活性水素と置換したN−置換基として有するポリアミン誘導体と、平均分子量5000以上のポリエチレンイミン1分子当たり、少なくとも1個のジチオカルボキシ基又はその塩を、上記ポリエチレンイミンの活性水素と置換したN−置換基として有するポリエチレンイミン誘導体とからなる金属捕集剤と、一硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウムよりなる硫化ナトリウム類、トリメルカプトトリアジン又はその塩類から選ばれた少なくとも一種とを固体状物質に添加して固体状物質中に存在する金属を固定化することを特徴とする固体状物質中の金属固定化方法。
【請求項2】 固体状物質が、焼却灰、鉱滓、土壌、汚泥のいずれかである請求項1記載の固体状物質中の金属固定化方法。