説明

固体表面上のイオン液体の濡れ性を改善するための機能添加剤

【課題】固体表面上のイオン液体の濡れ性を改善すること。
【解決手段】少なくとも1種のイオン液体と少なくとも1種の機能添加剤と、適切な場合、溶媒および/またはさらなる助剤もしくは添加剤とを含む組成物、ならびに固体表面の湿潤剤としてのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体表面上のイオン液体の濡れ性(wetting properties)を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術:
イオン液体は、固体表面の濡れ性が重要な役割を果たす多数の用途のために使用され、提案されている。このような用途の例は、潤滑油としておよび分離プロセス、特に蒸留分離プロセスにおける使用である。イオン液体は、しばしば不十分な濡れおよび拡散挙動を有し、したがって、卓越した特性プロフィールにもかかわらず、この欠陥のために適さないことがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目的の記述
したがって、イオン液体の濡れおよび拡散挙動を効果的に制御して、固体表面を濡らさなければならない用途に広く永続的に使用できるようにすることが本発明の目的である。液体の適当な濡れ性は、この用途における機能を本質的に改善し得る。
【0004】
界面活性により表面の濡れ(洗浄プロセス中に一般に行われる一時的な濡れ)を促進する洗浄剤と対照的に、拡散は、洗浄に関しては必ずしも利点ではない。
【0005】
さらに、洗浄用途においては、洗浄される表面と短時間の接触しか生じないが、本発明の用途の場合、表面上の永続的または周期的に繰り返す一定の使用が生ずる。例えば、ギヤボックスで使用される場合、ギヤボックスが使用される時間の少なくとも95%の間、イオン液体による濡れは起こり、逆に、例えば、流下膜蒸留プロセス(falling film distillation process)における熱交換表面がイオン液体の薄層で繰り返し濡れ、これがイオン液体の拡散作用をもたらし、本発明の有利な効果に寄与する場合に、周期的使用が確保される。
【0006】
このことは、短時間の洗い流しの適用は本発明には関係がないが、代わりに非常に長期にわたる濡れたままの適用が望ましいことを示している。全体として、表面は、イオン液体によって常にまたは少なくとも大部分濡れて、濡れたままになっていなければならず、表面張力は、洗浄用途におけるように短時間に減少されてはならない。
【0007】
本発明の対象ではない洗浄用途においては、水または溶媒の濃度もイオン液体への添加において一般的に重要である。
【0008】
しかし、本発明の場合、イオン液体自体は、非常に高濃度で存在し、機能添加剤(performance additive)によりその機能、例えば、潤滑について最適化されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の組成物は、50から99.999重量%、好ましくは80から99.999重量%、特には少なくとも95重量%、特に好ましくは>98から99.999重量%の1種以上のイオン液体と、
0から20重量%、好ましくは0から10重量%、特に好ましくは0から5重量%の溶媒と、
0から20重量%、好ましくは0から10重量%、特に好ましくは0から5重量%の助剤および添加剤と、
0.001から10重量%、好ましくは0.001から5重量%、特に好ましくは0.05から1重量%の1種以上の本発明の機能添加剤とを含み、
ここで、組成物の全ての成分の合計は100重量%である。
【0010】
本発明の機能添加剤の場合、高い拡散性が良好な濡れ性と関連している場合は有利である。本発明によるものではない高い濡れ性を必要とするが良好な拡散性を追加で提供しない洗浄剤とは対照的に、このことは再度強調されてもよい。潤滑剤として使用される純粋なイオン液体の場合、潤滑されるべき表面上の膜形成は極めて重要である。拡散性も非常に高い場合、表面の濡れは非常に薄い膜の形成と一緒に起こる。このことは、必要な湿潤剤(wetting agent)および展着剤の濃度を減少させることができ、コストを節約することができる。蒸留分離プロセスの場合においても、蒸発器表面上で蒸留される材料の濡れ性および拡散性は極めて重要である。濡れ性/拡散性が改善されれば、蒸発器表面上の液膜はより薄くなり、処理能力を増加し得る。
【0011】
イオン液体は、一般に、低温(<100℃)で溶融する塩であり、イオンのみからなる新しい種類の液体を表す。高融点、高粘性、かつ腐食性の媒体である古典的な塩溶融物と対照的に、イオン液体は、低温においてさえ液体であり、比較的低い粘性を有する(K.R. Seddon J. Chem. Technol. Biotechnol. 1997, 68, 351-356)。
【0012】
驚くべきことに、以前はもっぱら水溶液系で使用されてきた添加剤が上記目的を達成することが見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的のためには、イオン液体は、一般式I、IIまたはIIIの塩:
[A][Y]n− (I)
(式中、nは、1、2、3もしくは4であり、[A]は、第4級アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオンもしくはホスホニウムカチオンであり、[Y]n−は、1価、2価、3価もしくは4価アニオンである);または
一般式(II)の混合塩
[A[A[Y]2− (IIa);
[A[A[A[Y]3− (IIb);もしくは
[A[A[A[A[Y]4− (IIc)、
(式中、[A、[A、[Aおよび[Aは、[A]について記載された群のうちから独立して選択され、[Y]n−は、式(I)について定義されたとおりである);または
一般式(III)の混合塩
[A[A[A[M[Y]4− (IIIa);
[A[A[M[M[Y]4− (IIIb);
[A[M[M[M[Y]4− (IIIc);
[A[A[M[Y]3− (IIId);
[A[M[M[Y]3− (IIIe);
[A[M[Y]2− (IIIf);
[A[A[M2+[Y]4− (IIIg);
[A[M[M2+[Y]4− (IIIh);
[A]+[M3+[Y]4− (IIIi);または
[A[M2+[Y]3− (IIIj)
(式中、[A、[Aおよび[Aは、[A]について記載された群のうちから独立して選択され、[Y]n−は、式(I)について定義されたとおりであり、[M、[M、[Mは、1価金属カチオンであり、[M2+は、2価金属カチオンであり、[M3+は、3価金属カチオンである);
または全ての式(I)から(III)の混合物の塩である。
【0014】
イオン液体は、例えば、置換アンモニウム、ホスホニウム、ピリジニウムまたはイミダゾリウムカチオンなどと組み合わされた、ハロゲン化物、カルボキシレート、ホスフェート、チオシアネート、イソチオシアネート、ジシアナミド、スルフェート、アルキルスルフェート、スルホネート、アルキルスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェートまたはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドなどのアニオンを含み、上述のアニオンおよびカチオンは、多数の可能なアニオンおよびカチオンからの少数の選択を表し、したがって完全なものを記載するものではなく、何らの制限も課せられない。
【0015】
本発明によって使用されるイオン液体は、好ましくは、少なくとも1種の第4級窒素および/またはリン化合物および/または硫黄化合物および少なくとも1種のアニオンからなり、それらの融点は、約+250℃未満、好ましくは約+150℃未満、特には約+100℃未満である。本発明によって使用されるイオン液体またはそれらの混合物は、特に好ましくは室温で液体である。
【0016】
本発明の目的に使用されるのが好ましいイオン液体は、例えば、一般式:
(IV)
=CR (V)
(VI)
=CR (VII)
(VIII)
の少なくとも1種のカチオンからなり得る
(式中、
、R、R、Rは、同じであるか異なり、各々、水素、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基、2から30個の炭素原子を有し、1個以上のヘテロ原子(酸素、NH、NR`、ここで、R`は、二重結合を含有してもよいC〜C30−アルキル基、特に−CHである)によって介入され、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、2から30個の炭素原子を有し、−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH、−(CH)N−C(O)−、−(O)C−N(CH)−、−S(O)−O−、−O−S(O)−、−S(O)−NH−、−NH−S(O)−、−S(O)−N(CH)−、−N(CH)−S(O)−からなる群から選択される1つ以上の官能基によって介入され、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、1から30個の炭素原子を有し、OH、OR`、NH、N(H)R`、N(R`)(ここで、R`は、二重結合を含有してもよいC〜C30−アルキル基である)によって末端が官能化され、二重結合または式−(R−O)−Rのブロックまたはランダム構造を有するポリエステルを含有してもよい直鎖または分枝脂肪族または脂環式炭化水素基であり、
ここで、
は、2から4個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭化水素基であり、
nは、1から100、好ましくは2から60であり、
は、水素、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基または−C(O)−R基であり、ここで、
は、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基である)。
【0017】
(IV)のタイプの一般式によって特徴付けられるアルキル化脂肪酸の第4級アンモニウム塩(アルカノールアミンエステルクアットとも呼ばれる)が好ましく、ここで、Rは、1から20個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1から4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、(CHCHRO)−H基(ここで、nは、1から200であり、Rは、HまたはCHである)であり、Rは、1から4個の炭素原子を有するアルキル基または(CHCHRO)−H基(ここで、nは、1から200であり、Rは、HまたはCHである)であり、Aは、1価アニオンである。
【0018】
これらの化合物のうちでは、次式
(IX)R4−m[((CH−Q−R
の物質が好ましい
(式中:各々の基Rは、独立して、1から6個の炭素原子を有するアルキル基またはヒドロキシアルキル基、またはベンジル基、好ましくはメチル基であり;基Rは、各々、互いに独立して、水素、11から22個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基、11から22個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルケニル基であり、但し、少なくとも1つの基Rは、水素ではなく;
Qは、−O−CO)−、−C(O)O、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−O、−CHR−O−C(O)−または−CH(OCOR)−CH−O−C(O)−の式の群のうちから独立して選択され、ここで、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、Rは、水素またはメチルであり、Qは、好ましくは−O−C(O)−または−NH−C(O)−であり、mは、1から4、好ましくは2または3であり、nは、1から4、好ましくは2であり;Xは、可塑剤に相溶性のアニオン、例えばクロリド、ブロミド、メチルスルフェート、エチルスルフェート、スルフェートまたはナイトレート、好ましくはクロリドまたはメチルスルフェートである)。第4級アンモニウム化合物は、その値が1からmにわたる、水素ではない異なる基Rを有する化合物の混合物を含有してもよい。このような混合物は、好ましくは、水素ではない、平均1.2から2.5個の基Rを有する。水素ではない基Rの割合は、好ましくは1.4から2.0、より好ましくは1.6から1.9である。
【0019】
好ましい第4級アンモニウム化合物は、次のタイプ:
(X) R[CHCHROH−][CHCHROC(O)R
(XI) R[CHCHROC(O)R
(XII) R[CHCHROH−][CHCHNHC(O)Rの化合物である(式中、R、RおよびXは、式(i)について上記に定義されたとおりであり、但し、Rは水素ではない)。
【0020】
部分−C(O)Rは、好ましくは、脂肪含有アシル基である。使用し得る脂肪含有アシル基は、トリグリセリドの天然源、好ましくは、獣脂、植物油、部分水素化獣脂および部分水素化植物油から誘導される。使用し得るトリグリセリドの供給源は、大豆油、獣脂、部分水素化獣脂、ヤシ油、パーム核油、菜種、ラード、ココナツ、セイヨウアブラナ、ベニバナ油、トウモロコシ、米およびトール油ならびにこれらの成分の混合物である。
【0021】
当業者なら、脂肪酸含有化合物の組成は、収穫から収穫までの間の状態または多数の植物油供給源に依存して、いくつかの自然の変動の影響を受けることがわかるであろう。基Rは、通常、飽和および不飽和脂肪族脂肪酸の直鎖および分枝の炭素鎖の混合物である。
【0022】
このような混合物中の不飽和基Rの割合は、好ましくは、少なくとも10%、特に好ましくは、少なくとも25%、非常に特に好ましくは、40から70%である。このような混合物中の多不飽和基Rの割合は、10%未満、好ましくは、5%未満、特に好ましくは、3%未満である。必要ならば、飽和特性を増大させて最終生成物の安定性(例えば、臭気、色など)を改善するために、部分水素化を行ってもよい。ヨウ素価で表される不飽和物質の含有量は、5から150の範囲であるべきで、好ましくは、5から50の範囲である。不飽和基R中の二重結合のシスおよびトランス異性体の比は、好ましくは、1:1よりも大きく、特に好ましくは、4:1から50:1の範囲である。
【0023】
式(IX)の化合物の好ましい例は:
N,N−ジ(タローイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(N,N-di(tallowyloxyethyl)-N,N-dimethylammonium chroride);
N,N−ジ(カノリルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(N,N-di(canolyloxyethyl)-N,N-dimethylammonium chroride);
N,N−ジ(タローイルオキシエチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルスルフェート;
N,N−ジ(カノリルオキシエチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルスルフェート;
N,N−ジ(タローイルアミドエチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルスルフェート;
N,N−ジ(2−タローイルオキシ−2−オキソエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド;
N,N−ジ(2−カノリルオキシ−2−オキソエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド;
N,N−ジ(2−タローイルオキシエチルカルボニルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド;
N,N−ジ(2−カノリルオキシエチルカルボニルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド;
N(2−タローイルオキシ−2−エチル)−N−(2−タローイルオキシ−2−オキソエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド;
N(2−カノリルオキシ−2−エチル)−N(2−カノリルオキシ−2−オキソエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド;
N,N,N−トリ(タローイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムクロリド;
N,N,N−トリ(カノリルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムクロリド;
1,2−ジタローイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルクロリド;および
1,2−ジカノリルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルクロリドである。
【0024】
さらに好ましい第4級アンモニウム塩は、ジタロージメチルアンモニウムクロリド、ジタロージメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドおよびジベヘニルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0025】
さらなる可能なカチオンは、置換されてもよい4から10員、好ましくは5または6員の複素環中に3価窒素原子を各々の場合において有する、飽和または不飽和環式化合物または芳香族化合物から誘導されるイオンである。このようなカチオンは、一般式(XIII)、(XIV)および(XV)(ここで、複素環は、適切な場合、複数のヘテロ原子を含有してもよい)による単純化された形(すなわち、分子中の二重結合の正確な位置および数の表示がない)で記載することができる。
【化1】

【0026】
ここで、RおよびRは、上記に定義されたとおりであり、
Rは、水素原子、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基または7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基である。Xは、酸素原子、硫黄原子または置換窒素原子である(X=O、S、NR)。
【0027】
上述のタイプの環状窒素化合物の例は、ピロリジン、ジヒドロピロール、ピロール、イミダゾリン、オキサゾリン、オキサゾール、チアゾリン、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、インドール、カルバゾール、ピペリジン、ピリジン、ピコリンの異性体およびルチジンの異性体、キノリンおよびイソキノリンである。一般式(XIII)、(XIV)および(XV)の環状窒素化合物は、非置換であってもよく(R=H)、または基Rで一置換または多置換されていてよく、ここで、Rによる多置換の場合、個々の基Rは、異なっていてよい。
【0028】
さらなる可能なカチオンは、飽和非環式、飽和もしくは不飽和環式化合物から、または各々の場合において4から10員、好ましくは5もしくは6員の複素環中に2個以上の3価窒素原子を有する、芳香族化合物から誘導されるイオンである。これらの化合物は、炭素原子上または窒素原子上のいずれかで置換されてもよい。それらは、置換または非置換ベンゼン環および/またはシクロヘキサン環と縮合して多環構造を形成することもできる。このような化合物の例は、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルイミダゾール、ジヒドロピラゾール、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2,3−、2,5−および2,6−ジメチルピラジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、フェナジンおよびピペラジンである。イミダゾールおよびそのアルキルおよびフェニル誘導体から誘導されるカチオンは、イオン液体の成分として特に有用であることが見いだされた。
【0029】
可能なカチオンは、2個の窒素原子を含有し、一般式(XVI)
【化2】

で表されるイオンも含む
(式中、
、R、R10、R11、R12は、同じであるか異なり、各々、水素、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい、直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基、1から30個の炭素原子を有し、1個以上のヘテロ原子(酸素、NH、NR`、ここで、R`は、二重結合を含有してもよいC〜C30−アルキル基である)によって介入され、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、1から30個の炭素原子を有し、−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH、−(CH)N−C(O)−、−(O)C−N(CH)−、−S(O)−O−、−O−S(O)−、−S(O)−NH−、−NH−S(O)−、−S(O)−N(CH)−、−N(CH)−S(O)−からなる群から選択される1種以上の官能基によって介入され、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、1から30個の炭素原子を有し、OH、OR`、NH、N(H)R`、N(R`)(ここで、R`は、二重結合を含有してもよいC〜C30−アルキル基である)で末端が官能化され、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族または脂環式炭化水素基または式−(R−O)−Rに相当するブロックまたはランダム構造を有するポリエーテルであり、
ここで、
は、2から4個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、
nは、1から100であり、
は、水素、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基または−C(O)−R基であり、ここで、
は、1から30個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい直鎖または分枝脂肪族炭化水素基、5から40個の炭素原子を有し、二重結合を含有してもよい脂環式炭化水素基、6から40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7から40個の炭素原子を有するアルキルアリール基である)。
【0030】
非常に特に好ましいイミダゾリウムイオン(XII)としては、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチル−イミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチル−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−ブチルイミ−ダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ド−デシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジ−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウムおよび1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムを挙げることができる。
【0031】
さらなる可能なカチオンは、特に、二量化、三量化またはポリマー化によって形成されるジカチオン、トリカチオンまたはポリカチオンの形態の上述のカチオンからなるイオンである。これらには、ジカチオン、トリカチオン、およびポリマー骨格、例えば、シロキサン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリレート、特に、分岐および超分岐ポリマーに基づく骨格を有するポリカチオンも含まれる。
【0032】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、ピリジニウムイオン(XVIIa)
【化3】

であるイオン液体である
(式中、
・基RからRの1つは、メチル、エチルもしくは塩素であり、残りの基RからRは、各々、水素であり;
・Rは、ジメチルアミノであり、残りの基R、R、RおよびRは、各々、水素であり;
・全てのRからRは、水素であり;
・Rは、カルボキシもしくはカルボキサミドであり、残りの基R、R、RおよびRは、各々、水素であり;または
・RおよびRもしくはRおよびRは、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、残りの基R、R、RおよびRは、各々、水素である
イオン液体であり;
特に、
・RからRは、各々、水素であり;または
・基RからRの1つは、メチルもしくはエチルであり、残りの基RからRは、各々、水素である)。
【0033】
非常に特に好ましいピリジニウムイオン(XVIIa)としては、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−ピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラ−デシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−ピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチル−ピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチル−ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジ−メチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムおよび1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムおよび1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムを挙げることができる。
【0034】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、ピリダジニウムイオン(XVIIb)
【化4】

であるイオン液体である
(式中、
・RからRは、各々、水素であり;または
・基RからRの1つは、メチルもしくはエチルであり、残りの基RからRは、各々、水素である)。
【0035】
さらに、非常に特に好ましいのは、カチオン[A]が、ピリミジウムイオン(XVIIc)
【化5】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、水素、メチルもしくはエチルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルであり;または
・Rは、水素、メチルもしくはエチルであり、RおよびRは、各々、メチルであり、Rは、水素である)。
【0036】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、ピラジニウムイオン(XVIId)
【化6】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、水素、メチルもしくはエチルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素もしくはメチルであり;
・Rは、水素、メチルもしくはエチルであり、RおよびRは、メチルであり、Rは、水素であり;
・RからRは、それぞれメチルであり;または
・RからRは、それぞれメチルもしくは水素である)。
【0037】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、ピラゾリウムイオン(XVIIf)、(XVIIg)または(XVIIg’)
【化7】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、水素、メチルまたはエチルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0038】
可能なイオン液体は、さらに、カチオン[A]が、ピラゾリウムイオン(XVIIh)
【化8】

であるイオン液体である
(式中、
・RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0039】
適切なイオン液体は、カチオン[A]が、1−ピラゾリニウムイオン(XVIIi)
【化9】

であるイオン液体も含む
(式中、
・RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0040】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、2−ピラゾリニウムイオン(XVIIj)
【化10】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0041】
カチオン[A]が、3−ピラゾリニウムイオン(XVIIk)または(XVIIk’)
【化11】

であるイオン液体を使用することも可能である
(式中、
・RおよびRは、各々、互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0042】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、イミダゾリニウムイオン(XVIIl)
【化12】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、Hまたはメチルであり、RおよびRは、各々、互いに独立して、水素、メチルまたはエチルまたは14から22個、好ましくは16から18個の炭素原子を有する直鎖飽和または不飽和アシル基であり、RからRは、各々、互いに独立して、水素、1〜4個の炭素原子を有し、OH基を含有してもよい直鎖飽和アルキル基、好ましくはメチル、または脂肪酸基であり;非常に特に好ましくは、RおよびRが、脂肪酸基であり、RまたはRおよびRが脂肪酸基である)。式(XVIIm)に相当するこれらの物質は、特に重要である。文献中、これらには時々、紛らわしい式(式XVIIm’またはXVIIlに類似している)も与えられる。
【0043】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、イミダゾリニウムイオン(XVIIm)または(XVIIm’)
【化13】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、Hまたはメチルであり、RおよびRは、各々、互いに独立して、水素、メチルまたはエチルまたは14から22個、好ましくは16から18個の炭素原子を有する直鎖飽和または不飽和アシル基であり、RからRは、各々、互いに独立して、水素、1〜4個の炭素原子を有し、OH基を含有してもよい直鎖飽和アルキル基、好ましくはメチル、または脂肪酸基であり;非常に特に好ましくは、RおよびRが、脂肪酸基であり、RまたはRおよびRが脂肪酸基である)。式(XIIIm)に相当するこれらの物質は、特に重要である。文献中、これらには時々、紛らわしい式(式XIIIm’またはXIIIlに類似している)も与えられる。
【0044】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、イミダゾリニウムイオン(XVIIn)または(XVIIn’)
【化14】

であるイオン液体である
(式中、
・RからRは、各々、互いに独立して、水素、メチルまたはエチルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0045】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、チアゾリウムイオン(XVIIo)もしくは(XVIIo’)またはオキサゾリウムイオン(XVIIp)
【化15】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RおよびRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0046】
可能なイオン液体は、カチオン[A]が、1,2,4−トリアゾリウムイオン(XVIIq)、(XVIIq’)または(XVIIq”)
【化16】

であるイオン液体も含む
(式中、
・RおよびRは、各々、互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、Rは、水素、メチルまたはフェニルである)。
【0047】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、1,2,3−トリアゾリウムイオン(XVIIr)、(XVIIr’)または(XVIIr”)
【化17】

であるイオン液体である
(ここで、Rは、水素、メチルもしくはエチルであり、RおよびRは、各々、互いに独立して、水素もしくはメチルであり、またはRおよびRは、ともに、1,4−β−1−3−ジエニレンである)。
【0048】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、ピロリジニウムイオン(XVIIs)
【化18】

であるイオン液体である
(式中、
・Rは、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RからRは、各々、互いに独立して、水素もしくはメチルである)。
【0049】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、イミダゾリジニウムイオン(XVIIt)
【化19】

であるイオン液体である
(式中、
・RおよびRは、各々、互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RおよびRおよび同様にRからRは、各々、互いに独立して、水素またはメチルである)。
【0050】
可能なイオン液体は、カチオン[A]が、アンモニウムイオン(IV)
【化20】

であるイオン液体も含む
(式中、
・RからRは、各々、互いに独立して、C〜C18−アルキルであり;または
・RからRは、各々、互いに独立して、水素もしくはC〜C18−アルキルであり、Rは、2−ヒドロキシエチルであり;または
・RおよびRは、ともに、1,5−ペンチレンもしくは3−オキサ−1,5−ペンチレンであり、Rは、C〜C18−アルキル、2−ヒドロキシエチルもしくは2−シアノエチルである)。
【0051】
特に好ましいアンモニウムイオン(IV)としては、メチルトリ(1−ブチル)アンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウムおよびN,N−ジメチルモルホリニウムも挙げることができる。
【0052】
さらなる可能なイオン液体は、カチオン[A]が、グアニジニウムイオン(IVv)
【化21】

であるイオン液体である
(式中、
・RからRは、各々、メチルであり;
・RからRは、各々、互いに独立して、C〜C18−アルキルであり;または
・RからRは、各々、互いに独立して、水素もしくはC〜C18−アルキルもしくは2−ヒドロキシエチルである)。
【0053】
非常に特に好ましいグアニジニウムイオン(IVv)としては、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメチルグアニジニウムを挙げることができる。
【0054】
可能なイオン液体は、カチオン[A]が、エタノールアミンの誘導体、例えば、コリニウムイオン(cholinium ion)(XVIIw)、またはジエタノールアミンの誘導体(XVIIw’)、またはトリエタノールアミンの誘導体(XVIIw”)
【化22】

であるイオン液体も含む
(式中、
・RおよびRは、各々、互いに独立して、メチル、エチル、1−ブチルもしくは1−オクチルであり、Rは、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOHもしくは−PO(OH)であり;
・Rは、メチル、エチル、1−ブチルもしくは1−オクチルであり、Rは、−CH−CH−OR基であり、RおよびRは、各々、互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOHもしくは−PO(OH)であり;または
・Rは、−CH−CH−OR基であり、Rは、−CH−CH−OR基であり、RからRは、各々、互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOHもしくは−PO(OH)であり;
・Rは、メチル、エチル、1−ブチル、1−オクチル、アセチル、−SOOHもしくは−PO(OH)であり、RからRは、各々、互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOH、−PO(OH)もしくは−(C2nO)であり、ここで、n=1から5であり、m=1から100である)。
【0055】
R、RおよびRが、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル基であり、Rおよび/またはRが、8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪酸またはアリール基である化合物も好ましい。アシルまたは脂肪酸基の混合物(特に、例えば、天然存在比で)が存在することも可能である。
【0056】
式(XVIIw”)の場合、R、R、Rが、各々、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基であり、Rが、脂肪酸基であり、RおよびRが、各々、脂肪酸基または水素であること非常に特に好ましい。
【0057】
可能なイオン液体は、カチオン[A]が、ホスホニウムイオン(VI)であるイオン液体を含み、ここで、
・RからRは、各々、互いに独立して、C〜C18−アルキル、特にブチル、イソブチル、1−ヘキシルまたは1−オクチルである。
【0058】
上述のカチオンのうちでは、ピリジニウムイオン(XVIIa)、イミダゾリウムイオン(XVI)およびアンモニウムイオン(IV)、特に1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ド−デシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサ−デシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−ピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラ−デシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−ピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチル−ピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチル−ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチル−ピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチル−ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−メチル−イミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチル−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムおよび1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−イミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムおよび2−ヒドロキシエチルアンモニウムが好ましい。
【0059】
式(IIIa)から(IIIj)において記載された金属カチオン[M、[M、[M、[M2+および[M3+は、一般的に、周期表の1、2、6、7、8、9、10、11、12および13族の金属カチオンである。適切な金属カチオンは、例えば、Li、Na、K、Cs、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Ag、Zn2+およびA13+である。
【0060】
本発明によって使用されるイオン液体は、少なくとも1種のアニオンと組み合わせた少なくとも1種の上記のカチオンを含む。可能なアニオンは、基本的には、カチオンと組み合わせてイオン液体をもたらす全てのアニオンである。
【0061】
イオン液体のアニオン[Y]n−は、例えば、
・式:F、Cl、Br、I、BF、PF、AlCl、AlCl、AlCl10、AlBr、FeCl、BCl、SbF、AsF、ZnCl、SnCl、CuCl、CFSO、(CFSO、CFCO、CClCO、CN、SCN、OCN、NO、NO、N(CN)のハロゲン化物およびハロゲン含有化合物の群;
・一般式:SO2−、HSO、SO2”、HSO、ROSO、RSOのスルフェート、サルファイトおよびスルホネートの群;
・一般式:PO3−、HPO、HPO4−、RPO2−、HRPO、RPOのホスフェートの群;
・一般式:RHPO、RPO、RPOのホスホネートおよびホスフィネートの群;
・一般式:PO3−、HPO2−、HPO、RPO2−、RHPO、RPOのホスファイトの群;
・一般式:RPO、RHPO、RPO、RHPOのホスホナイトおよびホスフィナイトの群;
・一般式:RCOOのカルボキシレートの群;
・一般式:BO3−、HBO2−、HBO、RBO、RHBO、RBO2−、B(OR)(OR)(OR)(OR、B(HSO、B(RSOのボレートの群;
・一般式:RBO2−、RBOのボロネートの群;
・一般式:HCO、CO2−、RCOのカーボネートおよびカーボネートエステルの群;
・一般式:SiO4−、HSiO3−、HSiO2−、HSiO、RSiO3−、RSiO2−、RSiO、HRSiO2−、HSiO、HRsiOのシリケートおよびシリケートエステルの群;
・一般式:RSiO3−、RSiO2−、RSiO、RSiO、RSiO、RSiO2−のアルキルシランおよびアリールシラン塩の群;
・一般式:
【化23】

のカルボキサミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミドの群;
・一般式:
【化24】

のメチドの群;
・一般式:Rのアルコキシドおよびアリールオキシドの群;
・一般式[MHals−(ここで、Mは、金属であり、Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、rおよびtは、正の整数であり、この錯体の化学量論を示し、sは、正の整数であり、この錯体上の電荷を示す)のハロメタレートの群;
・一般式:S2−、HS、[S2−、[HS、[RS](ここで、vは、2から10までの正の整数である)の硫化物、硫化水素、多硫化物、多硫化水素およびチオレートの群;
・Fe(CN)3−、Fe(CN)4−、MnO、Fe(CO)などの金属錯イオンの群
から選択される。
【0062】
これらの式において、R、R、RおよびRは、各々、互いに独立して、
・水素;
・C〜C30−アルキルおよびそれらのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、−CO−O−または−CO−N<で置換された成分、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチル−プロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチルまたはC2(q−a)+(1−b)2a+b(ここで、q<30であり、0≦a≦qであり、b=0または1である)(例えば、CF、C、CHCH−C(q−2)2(q−2)+1、C13、C17、C1021、C1225);
・C〜C12−シクロアルキルおよびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−または−CO−O−で置換された成分、例えば、シクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシルまたはC2(q−a)−(1−b)2a−b(ここで、q≦30であり、0≦a≦qであり、b=0または1である);
・C〜C30−アルケニルおよびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−または−CO−O−で置換された成分、例えば、2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニルまたはC2(q−a)−(1−b)2a−b(ここで、q≦30であり、0≦a≦qであり、b=0または1である);
・C〜C12−シクロアルケニルおよびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−または−CO−O−で置換された成分、例えば、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニルまたはC2(q−a)−3(1−b)2a−3b(ここで、q≦30であり、0≦a≦qであり、b=0または1である);
・2から30個の炭素原子を有するアリールまたはヘテロアリールおよびそのアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−または−CO−O−で置換された成分、例えば、フェニル、2−メチルフェニル(2−トリル)、3−メチルフェニル(3−トリル)、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−フェニルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニルまたはC(5−a)(ここで、0≦a≦5である)であり;あるいは
・2つの基は、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてよく、1個以上の酸素および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換イミノ基によって介入されてもよい不飽和、飽和または芳香族環を形成するものである。
【0063】
可能なアニオンは、例えば、塩化物;臭化物;ヨウ化物;チオシアネート;ヘキサフルオロホスフェート;トリフルオロメタンスルホネート;メタンスルホネート;ホルメート;アセテート;グリコレート;ラクテート;オキサレート;シトレート;マレート;マレエート;タルトレート;マンデレート;ナイトレート;ナイトライト;トリフルオロアセテート;スルフェート;硫酸水素塩;メチルスルフェート;エチルスルフェート;1−プロピルスルフェート;1−ブチルスルフェート;1−ヘキシルスルフェート;1−オクチルスルフェート;ホスフェート;リン酸二水素塩(dihydrogenphosphate);リン酸水素塩;C〜C−ジアルキルホスフェート;プロピオネート;テトラクロロアルミネート;AlCl;クロロジンケート;クロロフェレート;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド;ビス(メチルスルホニル)イミド;ビス(p−トリルスルホニル)イミド;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド;ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド;p−トリルスルホネート;テトラカルボニルコバルテート;ジメチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート;オレエート;ステアレート;アクリレート;メタクリレート;マレエート;クエン酸水素塩;ビニルホスホネート;ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート;ビス[サリチラト(2−)]ボレート、ビス[オキサラト(2−)]ボレート、ビス[1,2−ベンゼンジオラト(2−)−O,O’]ボレート、テトラシアノボレート、テトラフルオロボレートなどのボレート;ジシアナミド;トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート;トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスフェート、カテコールホスフェート(C)P(O)Oなどの環状アリールホスフェートおよびクロロコバルテートである。
【0064】
好ましいアニオンは、完全なものを記載するものではないが、ハロゲン化物、ビス(トリフルロロメチリルスルホニル)イミドなどのビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドまたはイミド、アルキルトシレートおよびアリールトシレート、パーフルオロアルキルトシレート、ナイトレート、スルフェート、硫酸水素塩、アルキルスルフェートおよびアリールスルフェート、ポリエーテルスルフェートおよびスルホネート、パーフルオロアルキルスルフェート、スルホネート、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、過フッ素化アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、アルキルカルボキシレート、およびアリールカルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、テトラクロロアルミネート、サッカリネートからなる群から選択される。さらなる可能性は、ジシアナミド、チオシアネート、イソチオシアネート、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ポリエーテルホスフェートおよびホスフェートである。
【0065】
非常に特に好ましいアニオンは、塩化物、臭化物、硫酸水素塩、テトラクロロアルミネート、チオシアネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、メタンスルホネート、ホルメート、アセテート、グリコレート、ラクテート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、p−トリルスルホネート、テトラフルオロボレートおよびヘキサフルオロホスフェートである。
【0066】
本発明のさらなる好ましい実施形態においては、1,3−ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム、1,3−ジアルキルイミダゾリニウムおよび1,2,3−トリアルキルイミダゾリニウムカチオンと、ハロゲン化物、ビス(トリフルオロメチリルスルホニル)イミド、パーフルオロアルキルトシレート、アルキルスルフェートおよび−スルホネート、パーフルオロアルキルスルホネートおよびアルキルスルフェート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、ジシアナミド、チオシアネート、イソチオシアネート、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、アセテート、グリコレート、ラクテートからなる群から選択されるアニオンとの組み合わせを含有するイオン液体またはそれらの混合物が使用される。
【0067】
さらに、TEGO(登録商標)IL T16ES、TEGO(登録商標)IL K5MS、TEGO(登録商標)IL DSまたはTEGO(登録商標)IL 2MS(Evonik Goldschmidt GmbHの製品)などの単一の、市販の、非環式第4級アンモニウム塩を使用することも可能である。
【0068】
本開示の目的のための特に好ましいイオン液体は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルスルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチル−ピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロ−メチルスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロ−メチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチル−ピロリジニウムブロミド、1−ブチルピリジニウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルホスホニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダ−ゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムクロリド、メチルイミダゾリウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチル−ホスホニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、ブチルアンモニウム−α−シアノ−4−ヒドロシンナメート、ジエチルアンモニウム−α−シアノ−4−ヒドロシンナメート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノエート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムジシアナミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、トリヘキシルテトラ−デシルホスホニウムジシアナミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダ−ゾリウムエチルスルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルフェート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−(3,3,...−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−(3,3,...−トリデカフルオロ−オクチル)イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−4−メチル−ピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダ−ゾリウムヘキサフルオロホスフェート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルフェート、メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルフェート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルフェート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムメタンスルホネート、テトラブチルホスホニウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、メチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1,2,3−トリメチル−イミダゾリウムメチルスルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、テトラブチル−アンモニウムノナフルオロブタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムオクチルスルフェート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)−ブタン−1−スルホネート、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラ−クロロアルミネート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムテトラ−フルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラ−フルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロ−ボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチル−ピロリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチル−ピリジニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラ−フルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリヘキシルテトラ−デシルホスホニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムチオシアネート、テトラペンチルアンモニウムチオシアネート、トリオクチルメチルアンモニウムチオサリチレート、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムトシレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、テトラブチルホスホニウムトシレート、トリイソブチル−メチルホスホニウムトシレート、3−(トリフェニル−ホスホニオ)プロパン−1−スルホニルトシレート、テトラエチル−アンモニウムトリフルオロアセテート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)ブタン−1−スルホニルトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタン−スルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ−メタンスルホネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ−メタンスルホネート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムトリフルオロ−メタンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムトリフルオロ−メタンスルホネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウム−2−(2−メトキシエトキシ)エチルスルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチル−イミダゾリウムアセテート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヒドロキシエチル−3−メチル−イミダゾリウムクロリド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムデカノエート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロ−ホスフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロゲン−スルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムホスフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチル−イミダゾリウムオクチルスルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダ−ゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムサリチレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムチオサリチレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチル−イミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムラクテート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダ−ゾリウムグリコレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムシトレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムオキサレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムタルトレート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムアセテート、ビス−(ヒドロキシエチル)−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセテート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムブロミド、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムデカノエート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムジシアナミド、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロゲンスルフェート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヨージド、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムメタンスルホネート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムメチルスルフェート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムエチルスルフェート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムニトレート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムホスフェート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムオクチルスルフェート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムテトラクロロアルミネート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムチオシアネート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムサリチレート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムチオサリチレート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムトシレート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムラクテート、ビス−(ヒドロキシ−エチル)ジメチルアンモニウムグリコレート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジ−メチルアンモニウムシトレート、ビス−(ヒドロキシ
エチル)ジメチル−アンモニウムオキサレート、ビス−(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムタルトレートである。
【0069】
次の機能添加剤の添加によって、固体表面上における、イオン液体を含有する好ましくは単相の組成物の濡れ性が改善される。本目的のためには、機能添加剤は、固体表面上における、イオン液体の濡れ性および/または拡散挙動を改善する物質である。本明細書では、濡れは、液体によって表面を覆うことを意味する。改善された濡れ挙動は、濡れていない場所が少ししか存在しないことおよび濡れが均一であることによって認めることができる。
【0070】
本目的のための拡散は、固体表面の自然発生的な濡れである。液体は、表面上で平たい円盤の形態で自然発生的に拡散する。理想的な場合には、単分子膜が形成され、接触角はゼロである。液体の表面張力の低下は、拡散のための必要条件であるが、十分条件ではない。拡散は、もっぱら疎水性表面上で生ずる。
【0071】
イオン液体と一緒に使用される場合に有効な湿潤剤および展着剤としての下記に記載する主に界面活性である物質の発見は、それだけに驚くべきことである。
【0072】
本発明の組成物は、固体表面の永続する濡れに役立ち、少なくとも1種のイオン液体、および少なくとも1種の機能添加剤、および適切な場合、溶媒および/またはさらなる助剤もしくは添加剤を含有する。
【0073】
本発明の組成物は、50から99.999重量%、好ましくは80から99.999重量%、特には少なくとも95重量%、および特に好ましくは>98から99.999重量%の1種以上のイオン液体と、
0から20重量%、好ましくは0から10重量%および特に好ましくは0から5重量%の溶媒と、
0から20重量%、好ましくは0から10重量%および特に好ましくは0から5重量%の助剤および添加剤と、
0.001から10重量%、好ましくは0.001から5重量%および特に好ましくは0.05から1重量%の1種以上の本発明の機能添加剤とを含み、
ここで、組成物の全ての成分の合計は、100重量%である。
【0074】
本発明の組成物中に機能添加剤として湿潤剤または展着剤を使用することが好ましい。
【0075】
さらに、本発明の組成物は、好ましくは単相からなる。
【0076】
本発明の組成物中に機能添加剤として1種以上の界面活性剤を使用することが好ましい。
【0077】
本発明の組成物は、溶媒として有機溶媒または水および/またはそれらの混合物を含有することができ、好ましくは、溶媒または有機溶媒が存在しない。
【0078】
界面活性剤それ自体は、非イオン性を有する水系または有機系において使用される。
【0079】
驚くべきことにかつまったく予想外には、記載された界面活性剤も、イオン液体の濡れ性および拡散挙動にプラスに影響し得る。イオン液体と一緒に使用される場合、それらは、したがって、所望の方法でこれらの成分を含有する組成物の分散挙動および付着挙動に影響を与えることができるという利点を提供する。
【0080】
次式においては、基Pは、
−(CH−)(OC−)(OC−)(OC(OCHCH(C))OR20
である
(ここで、
20は、水素、アルキルまたはカルボキシル基である。
20は、好ましくは、水素またはメチル基またはアセチル基である。
指数gは、0から6であり、
指数hは、0から20であり、
指数iは、0から50であり、ここで、h+i≧1であり、
指数jは、0から10であり、
指数kは、0から10である)。
【0081】
指数gは、0から3であり、指数hは、5から80であり、指数iは、0から30であることが好ましく、指数jおよびkは、好ましくは、<5、特には0である。
【0082】
次式においては、基R21は、水素、または1〜25個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝、飽和もしくは不飽和アルキル基、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、アリル、ウンデカエニル、ドデカエニル、オクタデカエニル、エイコサエニル、ドコサエニル、テトラコサエニル、オクタデカジエニル、オクタデカトリエニル、エイコサテトラエニル、エイコサペンタエニル、ドコサペンタエニルまたはドコサヘキサエニルである。
【0083】
1.非イオン有機界面活性剤:
・一般式
【化25】

のアルキルアミンアルコキシレート、例えば、ポリエチレングリコールココスアミン(polyethylene glycol cocosamine)(VARONIC K-202もしくはK-202 PもしくはK-205の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールステアリルアミン(Varonic Sの商品名で市販されている)
・一般式
【化26】

のアミドアミン、例えば、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン(ADOGEN S-18 Vの商品名で市販されている)
・一般式
【化27】

のアルカノールアミド、例えば、ジエタノールアミド(REWOMID DC212SもしくはREWOMID S280もしくはVARAMID 70の商品名で市販されている)
・一般式
【化28】

のエトキシル化モノエタノールアミド(REWOCOROS AC 100もしくはVARAMIDE T-55の商品名で市販されている)
・アルキルホスフィンオキシド、例えば、ジメチルデシルホスフィンオキシド(APO 10の商品名で市販されている)
・アルキル−N−グルカミド、例えば、オクチル−N−グルカミド(MEGA-10の商品名で市販されている)
・アルキルグルコシド、例えば、n−ノニル−β−D−グルコピラノシドまたはオクチル−β−D−チオグルコピラノシド(AGNIQUE PGシリーズの商品名で市販されている)
・胆汁酸、例えば、コラン酸またはコール酸
・一般式
21−P
のアルキルアルコキシレート、例えば、ポリエチレングリコールp−1、1、3、3−テトラメチルブチル)フェニルエーテル(TRITON X-100の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールイソトリデシルエーテル(GENAPOL X-080もしくはTEGO Alkanol TD 6の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールステアリルエーテル(TEGO Alkanol S 2、S 10、S 20Pの商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールオレイルエーテル(TEGO Alkanol O 20の商品名で市販されている)、またはポリプロピレングリコールミリスチルエーテル(VARONIC APMの商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(REWOPAL HV 10の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマー(PLURONIC、例えば、F68もしくはF127の商品名で市販されている)
・ポリエーテルポリオール(例えば、TERGITOL L-62 EおよびL-62およびL-81の商品名で市販されている)
・一般式
【化29】

のソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノラウレート(TEGO SMLの商品名で市販されている)、またはソルビタントリオレエート(TEGO STOの商品名で市販されている)、
・ソルビタンエステルエトキシレート、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TEGO SML 20の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールモノオレエート(TEGO SMOの商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールソルビタントリステアレート(TEGO STSの商品名で市販されている)
・一般式
21−OH
の脂肪アルコール、例えば、イソステアリルアルコール(TEGO Alkanol 66の商品名で市販されている)、またはオレイルアルコール(TEGO Alkanol 80、85および90の商品名で市販されている)、
・一般式
【化30】

の脂肪酸エトキシレート、例えば、ポリエチレングリコールステアレート(TEGO Acid Sの商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールオレエート(AROSURF 8-190もしくはREWOPAL EO 70の商品名で市販されている)
・一般式
【化31】

のエステル油、例えば、イソプロピルパルミテート(TEGOSOFT Pの商品名で市販されている)、またはエチルヘキシルパルミテート(TEGOSOFT OP)
・エステルエトキシレート、例えば、ポリエチレングリコールグリセリルラウレート(TAGAT L2の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールグリセリルオレオリシノレート(TAGAT V20の商品名で市販されている)、またはポリエチレングリコールグリセリルココエート(Varonic LIの商品名で市販されている)
・有機変性シロキサン(organomodified siloxanes)、例えば:TEGOPRENシリーズまたはTEGO WETシリーズの商品名で市販されているポリエーテルシロキサン。
【0084】
特に適切なポリエーテルシロキサン誘導体は、一般式(XVIII)
【化32】

のものである
(式中、
基Rは、基Rであってよく、ここで、
は、1から4個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアリール基であり、
または
基Rは、基RもしくはRであり、但し、少なくとも1つの基Rは、基Rであり、ここで、
およびRは、互いに独立して、式(XIX)
(F)(O(C4−dR’O)(C2xO)Z) (XIX)
のポリエーテル基であり、
ここで、
dは、1から3であり、
mは、>1であり、
qは、0もしくは1であり、
xは、2から10であり、
rは、>1であり、
wは、1から4であり、
Fは、分枝であってもよい炭化水素基であり、
R’は、水素基、1から18個の炭素原子を有する1価炭化水素基であり、
Zは、H原子、またはアルキルもしくはアルキルエステルもしくはアリールエステルなどの1価有機基であり、
ここで、式(XIII)において
bは、0から8であり、
aは、bが、6から8である場合、1から100であり、
aは、bが、3から6である場合、1から200であり、
aは、bが、0から3である場合、1から300である)。
【0085】
本発明によって付随的に使用されるシリコーンポリエーテルコポリマーは、一般的に平衡混合物の形態で存在するため、aおよびbの値は、平均値である。
【0086】
基R1は、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基、またはアリール基であり、フェニル基が好ましい。製造および価格の理由のため、メチル基が好ましく、基R1の少なくとも80%は、メチル基である。全てのR1が、メチル基であるポリシロキサンは、特に好ましい。
【0087】
シロキサン混合物は、直鎖(b=0)または分枝(b>0から8)であり得る。aの値は、経験に基づいて、bの値と指示された方法でのみ組み合わすことができる。なぜなら、さもなければ、増加した粘性によって取り扱いが困難になるからである。
【0088】
特に好ましいシリコーンポリエーテルコポリマーは、一般式(XX)
【化33】

のものである
(式中、
m=0から30であり、
k=1から5であり、
は、1から10個のエチレンオキシド分子および1から25個のプロピレンオキシド分子と反応させたアリルアルコールまたはアルキル開始ポリエーテル(alkyl-initiated polyether)であり、
・例えば、商品名TEGOPREN 7100の商品名で市販されている官能化ポリエーテルシロキサン
・ブロック構造を有するポリエーテルシロキサン
である。
【0089】
適切なポリエーテルシロキサンは、式(XXI)
【化34】

(式中、
基Aは、平均式(XXII)
[(C4−dR’O)(C2xO)(C4−dR”O)] (XXII)
のポリオキシアルキレンブロックであり、
ここで、
dは、1から3であり、
nは、≧0であり、
xは、2から10であり、
rは、≧0であり、
tは、0であり、
n+r+t≧1であり、
R’は、1価芳香族、置換または非置換炭化水素基であり、
R”は、水素基、または1から18個の炭素原子を有する1価炭化水素基であり、
は、H原子、C〜C40の鎖長を有する1価有機直鎖もしくは分枝アルキル基、または分枝もしくは非分枝アルキルエステルもしくはアリールエステルのカルボキシル基であり、
基Bは、平均式(XXIII)
【化35】

のポリシロキサンブロックであり、
ここで、
基Rは、同じか異なっており、各々、1から4個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基であり、
yは、5から200であり、
mは、2から100であり、
pは、0または1であり、
qは、0または1である)、
あるいは、式(XXVI)
【化36】

の構造である
(式中、
基R、基A、基Bおよびm、pおよびqは、上記に定義されたとおりであり、
基Cは、2から20個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基である)。
【0090】
示された構造の化合物は、統計的混合物として存在し、したがって、示された指数は、混合物の算術平均に相当する。
【0091】
2.カチオン界面活性剤
・テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド
・アルキルピリジニウム塩、例えば、セチルピリジニウムクロリド
・一般式
【化37】

の、例えば、REWOQUAT WE 15、VARISOFT WE 16またはREWOQUAT WE 38 DPGの商品名で市販されている、エステルクアット、
・一般式
【化38】

の、例えば、VARISOFT 110−75(N,N−ビス(ヒドロタローアミドエチル)−N−ポリエトキシ−N−メチルアンモニウムメチルスルフェート)、VARISOFT 222 LT−90(N,N−ビス(オレイルアミドエチル)−N−ポリエトキシ−N−メチルアンモニウムメチルスルフェート)、またはREWOQUAT WE 38 DPGもしくは VARIQUAT 238−90(N,N−ビス(タローアミドエチル)−N−ポリプロポキシ−N−メチルアンモニウムメチルスルフェート)の商品名で市販されている、ジアミドアミンクアット、
・例えば、REWOQUAT W 90、VARIQUAT 55またはREWOQUAT W3690の商品名で市販されている、イミダゾリニウムクアット、
・例えば、VARIQUAT 638(N−メチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ココアンモニウムクロリド)の商品名で市販されている、アルコキシアルキルクアット、
・一般式
【化39】

の、例えば、VARIQUAT 80 MC(ジメチルアルキル(C12〜C16)ベンジルアンモニウムクロリド)およびVARIQUAT SDAC(ジメチルステアリルベンジルアンモニウムクロリド)の商品名で市販されている、ベンジルクアット、
・例えば、TEGOPREN 6921(ジ第4級ポリジメチルシロキサン]、TEGOPREN 6924[ジ第4級ポリジメチルシロキサン)およびTEGOPREN 7990(ジ第4級ポリエーテルポリジメチルシロキサン)の商品名で市販されている、シリコーンクアット。
【0092】
3.両性界面活性剤
・一般式
【化40】

のベタイン、例えば、3−[N,N−ジメチル(3−ミリストイルアミノプロピル)アンモニオ]プロパンスルホネート(アミドスルホベタイン−14の商品名で市販されている)または1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムベタインまたは3−ドデシルジメチルアンモニオプロパン−1−スルホネート(ZWITTERGENT 3-12の商品名で市販されている)または3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPSの商品名で市販されている)またはラウリルベタイン(REWOTERIC AM DML-35の商品名で市販されている)またはコカミドプロピルベタイン(TEGO Betain F50もしくはL7の商品名で市販されている)、アルキルグリシン、例えば、n−ドデシル−N,N−ジメチルグリシン(EMPIGEN BBの商品名で市販されている)またはタローグリシン(Rewoteric AM TEGの商品名で市販されている)
・一般式
【化41】

のサルテイン(sultaine)、例えば、コカミドプロピルヒドロキシサルテイン(REWOTERIC AM CASの商品名で市販されている)
・一般式
【化42】

の両性プロピオネート、例えば、ココアンホプロピオネート(REWOTERIC AM KSF 40の商品名で市販されている)
・一般式
【化43】

の両性アセテート、例えば、ナトリウムココアンホアセテート(REWOTERIC AM Cの商品名で市販されている)
・一般式
【化44】

のアミンオキシド、例えば、コカミドプロピルジメチルアミンオキシド(VAROX 1770の商品名で市販されている)
・例えば、TEGOPREN 6950の商品名で市販されているシリコーンベタイン。
【0093】
4.パーフルオロ界面活性剤
・パーフルオロアルキルスルホネート、例えば、パーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)
・パーフルオロカルボン酸、例えば、パーフルオロオクタン酸(PFOA)
・フッ化テロメアアルコール(fluorinated telomere alcohol)。
【0094】
5.ジェミニ界面活性剤
・例えば、SURFYNOL 104の商品名で市販されているアセチルジオール
・例えば、SURFYNOL 400またはSURFYNOL 2502の商品名で市販されているアセチレンジオールアルコキシレート
・例えば、DYNOL 604の商品名で市販されているアセチレングリコール
・例えば、ENVIROGEM ADO1、ENVIRONGEM AE01、ENVIRONGEM AE02およびENVIRONGEM AE03の商品名で市販されているアルカンジオール、アルカンジカルボン酸およびそれらのエステル
・ENVIRONGEM 360
・ビスピリジニオアルカン、例えば、1,4−ビス(α−オクチルピリジノ)ブタンジブロミドまたは1,4−ビス(α−ドデシルピリジニウム)ブタンジクロリド
・例えば、TEGO TWIN 4000の商品名で市販されている、EP Al−1 382 632に記載されているシロキサンベースのジェミニ界面活性剤。EP Al−1 382 632の内容は、本開示に参照により全体的に組み込まれている。
【0095】
本発明の組成物は、好ましくは、機能添加剤として、1種以上の非イオン界面活性剤、特に好ましくは1種以上の有機変性シロキサン、特に好ましくは1種以上のポリエーテルシロキサン、および特に式(XVIII)のポリエーテルシロキサンを含有する。
【0096】
登録商標は、大文字で示されている。商標所有者は以下の通りである:
TEGO、TEGOSURF、AROSURF、REWOQUAT、VARONIC、ADOGEN、REWOMID、VARAMID、REWOCOROS、REWOPALは、Evonik Goldschmidt GmbHの商標である。
SURFYNOL、DYNOL、ENVIROGEMは、Air Products,Incの商標である。
AGNIQUEは、Cognisの商標である。
TRITONは、DOW Chemical Companyの商標である。
GENAPOLは、Clariantの商標である。
PLURONICは、BASF AGの商標である。
EMPIGENは、Albright&Wilsonの商標である。
VAROXは、R.T.Vanderbiltの商標である。
ZWITTERGENTは、Calbiochem−Novachemの商標である。
【0097】
上述の機能添加剤は、イオン液体と一緒に単独でまたは互いの任意の混合物で使用することができる。さらなる通例の溶媒、助剤および添加剤も、同様に混合することができる。
【0098】
固体表面の例は、ガラス、金属、半導体、ポリマー、セラミック、石および革、ならびにこれらの物質を含む布または膜である。
【0099】
金属表面の例は、アルミニウム、クロミウム、ニッケル、マグネシウム、チタニウム、バナジウム、鉄、銅、亜鉛、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、パラジウム、銀、スズ、タングステン、白金、金、鉛およびそれらの合金(特定の鋼において炭素などの他の元素も含む)の表面である。鋼の表面の例は、S235JRG2鋼の表面である。
【0100】
半導体表面の例は、シリコンおよび二酸化チタニウムの表面である。
【0101】
ポリマー表面の例は、天然または合成の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびエラストマーの表面である。プラスチック表面の例は、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸などのポリアクリレート、ポリ塩化ビニルなどのポリハロゲン化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフェノール、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン、ポリベンズイミダゾール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリアセテート、ポリシロキサン、ポリシラン、それらのコポリマーおよびブレンド、ならびにそれらの混合物またはコポリマー、オリゴマーおよびブロック(コ)ポリマーである。天然ポリマーは、ゴム、リグニン、多糖、ポリヒドロキシ酪酸およびタンパク質である。
【0102】
セラミック表面の例は、粘土、カオリン、粘土鉱物、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素の表面である。
【0103】
固体表面のうちでは、膜表面が特に好ましい。
【0104】
本発明は、同様に、1種以上のイオン液体、および1種以上の機能添加剤、および同様にさらなる添加剤および/または助剤を含む組成物の使用を提供し、ここで、この組成物は、機能添加剤を添加しないものと比べて、少なくとも10°小さい、好ましくは20°小さい、特に好ましくは30°小さい、非常に特に好ましくは40°小さい処理表面との接触角を有する。
【0105】
本発明は、同様に、イオン液体によって固体表面を濡らす方法、好ましくは機能添加剤の添加によって最適化された濡らす方法における使用を提供し、特に好ましくは、濡れた表面が、機能添加剤を添加しないものと比べて、少なくとも30%大きく、好ましくは50%大きく、特に好ましくは80%大きく、非常に特に好ましくは100%大きい。これは、濡れた領域の直径の増加とも関係し、この濡れた領域の直径は、同様に、機能添加剤を添加しない濡れた表面の直径に比べて少なくとも50%大きい。
【0106】
イオン液体および機能添加剤の混合比は、100000:1から1:10000、好ましくは10000:1から1:1、特に好ましくは10000:1から10:1、非常に特に好ましくは1000:1から100:1の範囲である。
【0107】
混合物は、さらなる溶媒、特に有機溶媒および/または水を含有してもよい。好ましい有機溶媒は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、複素芳香族置換または非置換アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸エステル、カルボキサミド、無水カルボン酸、カルボネート、カルバメート、ナイトレート、エーテル、ポリエーテル、アルカン、アルケン、ハロゲン化炭化水素、チオール、チオエーテル、チオエステル、アミノ酸、ポリオール、スルホン、スルホキシド、尿素およびチオ尿素である。
【0108】
全混合物中の溶媒の割合は、99.9%から0.01%、好ましくは50%から0.05%、特に好ましくは25%から0.1%、非常に特に好ましくは10%から0.5%の範囲である。
【0109】
この混合物は、多くの他の化学工業プロセスに、例えば一般的には金属加工工業において、例えば、冷却潤滑油、焼き入れ油(hardening oils)、圧媒油エマルジョン、研磨ペースト、離型剤(mold release agents)、引き抜き油、酸洗い剤または金属清浄剤にも有利に使用し得る。
【0110】
さらに、本発明の混合物は、皮革、紙、印刷、電気メッキおよび写真産業において使用し得る。
【0111】
さらに、この混合物は、水処理、例えば、排水の処理に使用し得る。
【0112】
さらに、この混合物は、作物保護製剤において使用し得る。
【0113】
界面活性剤は、単独でまたは互いの混合物中のいずれかで使用することができ、用途に応じて特異的に選択し得るさらなる添加剤および助剤を含有することができる。
【0114】
本発明のさらなる対象は、特許請求の範囲によって特徴付けられ、特許請求の範囲の開示内容は、本明細書の開示に参照によって完全に組み込まれている。
【0115】
本発明の機能添加剤およびそれらの使用は、下記に例として説明されるが、本発明は、これらの例示の実施形態に限定されない。化合物のレンジ、一般式またはクラスが以下に示される場合、これらは、明確に記載された化合物の相当するレンジまたはグループのみならず、個々の数値(レンジ)または化合物を無視することによって得ることができる化合物の全てのサブレンジおよびサブグループも包含する。
【実施例】
【0116】
本発明が、次の実施例において例として記載されるが、その範囲が全体の本明細書および特許請求の範囲によって示されている本発明を、この実施例に記載される実施形態に限定することを意味しない。
【0117】
実験手順
8gのイオン液体(IL)を、容器に置き、0.04gの機能添加剤を計量した。このサンプルを、均一になるまでスパチュラで撹拌し、続いて50μlを、PPフィルム上にピペットで移した。5分後の最大拡散を測定した。得られた円の直径(D)を、mm単位で測定する。測定値が高ければ高いほど、拡散および濡れならびにしたがって本発明の機能添加剤の効果が大きい。
【0118】
表1:
イオン液体の濡れ挙動/拡散挙動(5分後に測定された拡散)。濃度は、上記の実験手順によって与えられる。測定は、室温で実施された。
【0119】
【表1】

【0120】
機能添加剤の添加によって濡れた表面積の有意な増加がもたらされることが明らかに理解し得る。濡れた領域の直径は、機能添加剤を含まない濡れた領域の直径に比べて50%を超えて大きいことが、それぞれの場合において、例として示されている。濡れた領域それ自体は、相対的にさらに大きい程度に増加している。
【0121】
測定されたイオン液体のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)との接触角は、機能添加剤の添加後に有意に変化する。
【0122】
接触角は、機能添加剤の拡散性の尺度である。接触角が小さいほど、拡散能力は大きい(次の表におけるより高いレンジの値)。
【0123】
使用した配合物は、上述の実験手順によって製造し、接触角は、DataphysicsからのPendant Drop Tensiometer OCA 35を用いて測定した。
【0124】
表2−機能添加剤を添加したイオン液体の拡散能力。濃度は、上記実験手順から得られる。測定温度は、室温である。
【0125】
【表2】

【0126】
【表3】

【0127】
これは、示されたレンジの値の間に少なくとも3のレンジの値がある場合、少なくとも20°の接触角の差位が得られることを示している。
【0128】
さらに、イオン液体および本発明の機能添加剤の混合物を、ガラス板にドクターブレードを用いて塗布し、製品の濡れ性および膜形成を調査した。
【0129】
この目的のために、8gのイオン液体を、容器に置き、0.04から0.08gの機能添加剤を計量した。この生成物を均一な混合物となるまでスパチュラを用いて撹拌した。この混合物の外観を評価し、表に示した。
【0130】
ガラス板を、水および洗浄剤を使用して予備洗浄し、続いて流水下ですすぎ、エタノールを用いて脱脂することによって準備した。このガラス板を、水平な基板上に置き、ガラス板の一端にボックスドクターブレード(box doctor blade)を置いた。上記液体の一部を、ボックスに導き、これをガラス板に直ちに引いた。塗布した層は、50μm未満でなければならない。形成された層を直後に評価した。
【0131】
この時に、クレーターの数を数えた。
【0132】
この結果は、クレーターの数は、ブランクと比較して機能添加剤の添加によって有意に減少したことを示している。機能添加剤の添加によって、このようにイオン液体の濡れ性が改善される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体表面の永続的な濡れのための組成物であって、少なくとも1種のイオン液体および少なくとも1種の機能添加剤および、適切な場合、溶媒および/またはさらなる助剤もしくは添加剤を含む組成物。
【請求項2】
湿潤剤または展着剤が、機能添加剤として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
単相からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
1種以上の界面活性剤が、機能添加剤として使用されることを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびパーフルオロ界面活性剤からなる群から単独でまたはそれらの混合物としてのいずれかで選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
有機溶媒または水および/またはそれらの混合物が、溶媒として使用されることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶媒が、有機溶媒であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
有機変性シロキサンが、非イオン界面活性剤として使用されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機変性シロキサンが、ポリエーテルシロキサンであることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
一般式(XVIII)
【化45】

の化合物がポリエーテルシロキサンとして使用されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物
(式中、
基Rは、基Rであってよく、ここで、
は、1から16個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアリール基であり、
または
基Rは、基RもしくはRであり、但し、少なくとも1つの基Rは、基Rであり、ここで、
およびRは、互いに独立して、式(XIX)
(F)(O(C4−dR’O)(C2xO)Z) (XIX)
のポリエーテル基であり、
ここで、
dは、1から3であり、
mは、>1であり、
qは、0もしくは1であり、
xは、2から10であり、
rは、>1であり、
wは、1から4であり、
Fは、分枝であってもよい炭化水素基であり、
R’は、水素基、1から18個の炭素原子を有する1価炭化水素基であり、
Zは、H原子、またはアルキルもしくはアルキルエステルもしくはアリールエステルなどの1価有機基であり、
ここで、式(XVIII)において
bは、0から8であり、
aは、bが6から8である場合、1から100であり、
aは、bが3から6である場合、1から200であり、
aは、bが0から3である場合、1から300である)。
【請求項11】
前記組成物が、単相からなることを特徴とする、請求項1から10の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記機能添加剤を含まないものと比べて少なくとも10°小さい接触角が達成され得ることを特徴とする、請求項1から11の少なくとも一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
イオン液体により固体表面を濡らす方法における、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
濡れた面積が、添加剤を含まないものと比べて少なくとも30%大きいことを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記表面が、ガラス、金属または合金、セラミック、紙、半導体、ポリマー、石または革からなることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の使用。

【公開番号】特開2009−185287(P2009−185287A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−23271(P2009−23271)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)